河野大臣記者会見(令和6年8月2日)
河野デジタル大臣記者会見要旨
(令和6年8月2日(金)10時25分から10時53分まで 於:オンライン)
1. 発言要旨
国家資格のオンライン化・デジタル化についてお知らせしたいと思います。
国家資格の資格登録・氏名変更などの手続、あるいは国家資格などの証明をする場面において、これまでは紙・対面・郵送というアナログでやっていただいておりましたが、資格を管理する機関あるいは資格を持っている方、両方にとってそれなりの負担があったと思います。
国家資格をオンライン化・デジタル化することで、そうした負担を軽減するために、デジタル庁は関係省庁・関係団体とも連携して、マイナンバーを利用可能とする法改正を2021年・2023年と2回実施してきました。また、資格管理者が個別にシステムを開発しなくて済むように、共同利用できる国家資格等情報連携・活用システムの開発を進めてきたところです。
オンライン化・デジタル化によって、マイナンバーカードを用いて、マイナポータルから、便利なサービスが利用可能となります。具体的には、資格試験等の合格者が行う資格登録の申請ですとか、資格を既に持っている人が氏名変更する場合などの手続がオンラインで可能となります。また、こうした手続の時に、戸籍や住民票の写しを添付する必要がなくなり、手数料もオンライン決済で支払うことができるようになります。また、デジタル資格者証をダウンロードして、資格証明に利用することができるようになります。
資格を管理する側も、このデジタル化によって、申請の受付あるいは審査について、記入漏れがあるという場合には早く分かるなど、審査受付の迅速化・コスト削減が、また、政府の戸籍情報連携システムなどと連携して、情報の正確性を向上させることができるようになります。
8月6日(火)から、社会福祉士、介護福祉士、精神保健福祉士、公認心理師について、デジタル化を開始いたします。対象となる資格登録者は250万人くらいになると思います。
今回の4つの資格を皮切りに、年末までに医師を始め27の資格、来年3月までに栄養士を含め11資格、来年度以降に行政書士など42の資格のデジタル化をいたします。
これまでの紙・対面・郵送の手続も引き続き当面は選択することができますが、オンラインで手続を行うことにより、資格を管理する側、資格を保有する側、両方にメリットを出していきたいと思います。
オンラインでの利用を積極的に周知して、利用促進をしてまいりたいと思っております。今後、開始予定の資格についても準備を進めてまいります。
公金受取口座のうち、ご本人以外の口座を登録している方々への対応についてお知らせしたいと思います。
公金受取口座について、あえて家族などご本人以外の口座を登録している方々について、郵送で繰り返し登録口座をご本人口座に変更するようにお願いしてきたところです。そうした中、まだ変更が行われていない方々、約12万人弱だと思いますが、9月上旬頃から順次、口座情報の抹消を行います。該当する方には、本日、簡易書留で通知書を発送いたします。口座情報の抹消後も、マイナポータル経由でご本人の口座を登録いただけますので、改めて登録をお願いしたいと思います。
家族口座かどうかを判断する際に、従来と同様に漢字氏名と読み仮名を対応させるシステムを利用すると同時に、(今回は)目視検査もやっております。この結果、システム上は本人口座と判断していたものが、目視検査の結果、家族口座と判断されたような事例があり、そういう方、約7,000人については、改めて登録口座をご本人の口座に変更するお願いを郵送いたします。これらについても、口座変更がなければ10月以降に口座情報の抹消を予定しております。
本日、国土交通省から、夏の酷暑あるいはイベント開催への対応として、ライドシェアのバージョンアップが発表されると承知しております。
具体的には、自家用車の運行につきまして、タクシー会社に課せられている時間制限・台数制限を、例えば35度以上の酷暑が予報される場合にまず大都市から先行的に実施いたします。さらに、イベントでタクシーが不足することが主催者によって合理的に予測されている場合は緩和することができる仕組みを全国で導入するものと伺っております。
今般の国土交通省のアジャイルな対応に感謝を申し上げたいと思います。雨天時でも同様の取組を実施しておりますので、その実施状況も踏まえながら、引き続き、アジャイルに制度改善に取り組んで、年内しっかりライドシェアのモニタリング・検証・評価をやっていきたいと思います。
国家公務員制度担当大臣として、昨年の11月から12月にかけて全ての国家公務員を対象にアンケートを行いました。令和5年度の働き方改革職員アンケートの結果についてお知らせいたします。
令和5年度のアンケートでは、働き方改革に深く関係する「働きがい」と「働きやすさ」の両面から調査を行って、6万人を超える職員から回答いただきました。
結果によりますと、働き方改革の取組が十分に実施されていると実感があるという回答があった者は61.3%となっておりまして、働き方改革の取組が実施されてきていることがうかがえます。しっかり今後も歩みを止めず、更なる取組をやっていきたいと思っております。
「働きがい」の観点からは、成長実感が得られるように、上司によるキャリア形成に関するアドバイスですとか、業務を遂行した後のフィードバックなどのマネジメント力を強化することが重要である、「働きやすさ」の観点からは、良好な人間関係や相談しやすさ、テレワークも含めた働きやすいオフィス環境整備が重要であるという結果が得られました。
この結果を踏まえ、今後も働きがいと働きやすさの両面を高めていけるよう、働き方改革を更に強力に推進していきたいと思っております。
2. 質疑応答
(問)自治体システム標準化について、標準化の目的の一つはデータ連携で、それについて仕様をデジタル庁が作成されていたかと思うのですけれど、7月31日に公開された検討会資料と議事要旨で、データ連携に関する課題は、デジタル庁が方針などを示すのではなく、事業者間協議によって解決を行ってくださいと方針を出されたかと思うのですが、これについて自治体の方や事業者の方たちから非常に遺憾の声、デジタル庁は仕様書の作成を放棄したのではないか、という声がありまして、これについて大臣からコメントをいただくことは可能でしょうか。
(答)誤解だと思います。標準準拠システムの間の連携につきましては、標準仕様書を出していますが、このデータの持ち方の具体的な部分はこれまでも競争領域として、それぞれの事業者に委ねてきております。その方針は以前から何ら変わったことはありません。6月26日の検討会では、2025年度末までの円滑なシステム移行を達成するためにどうするかというご意見を伺って、データ連携に関する課題は、事業者それぞれの経験や知見を生かして、これまでどおり事業者間で協議して解決するという方針をそのまま継続するということをお示しいたしました。現段階でデジタル庁が詳細な連携仕様などを示すと、開発に手戻りが生じるなどの意見が一部からも出されております。最終的に揉め事があったり、うまく調整ができないという場合には、デジタル庁が前に出て調整するということで、それについても特に変わりはございません。
(問)そもそも事業者間の利害関係が異なるような、事業者同士で調整が難しいので国が仕様書を策定したり方針を示したりするという認識をしていたのですけれど、今後の事業者間協議でその辺の調整がつかない場合は、デジタル庁がやはり方針を出されるということも残しているという理解でよろしいでしょうか。
(答)デジタル庁がそういう場合は間に入ってコミットするということで、今までもそう申し上げてきておりますので、6月26日で何か変わったことがあるとは思っておりません。
(問)関連して、標準書の詳細化については、令和8年度以降にデジタル庁で検討されるということですが、そうしますと7年度末で一旦移行したものについて、8年度以降で手戻りが発生して開発のし直しや移行が発生するかと思います。令和7年度以降の具体的なスケジュールや計画はまだ出ていないかと思いますが、公表予定はございますでしょうか。
(答)今までと何か変わったということはありません。
データ連携の話について、2025年度末は事業者間で持ち方の協議はしてくださいということをお願いしております。それ以降、その次の2020年代末に向けてどうするかというときに、今、事業者間で協議をしてくださいと言っている部分を見直す余地がその次の段階ではあるかどうかということは検討しますよ、ということです。2025年度末の標準化対応について、何か今までと方針が変わったということはありません。
(問)ライドシェアについて、35度以上ということについて、雨量の場合は前日24時間前に分かった時点では解放されるということがありましたが、基本的なルールはこれに沿った形に近いものでしょうか。
(答)正確には国土交通省の発表を見ていただきたいと思いますが、35度以上の酷暑が予報された場合には、雨天時と同じようにライドシェアを拡大するということが今日国土交通省から発表されると承知しております。
(問)今週29日に行われた規制改革推進会議でのライドシェアのご発言について、タクシーが実際には空車にもかかわらず迎車中と表示して、アプリの配車依頼にすぐ対応できるようにしてマッチング率を引き上げようとする動きがあると聞く、見せかけのマッチング率を作るというようなご指摘があったかと思いますが、実際にマッチング率が利用状況を測る重要な指標となる中で、こういった実態と異なる数字が導かれる可能性がある行為についてどう対応していくのか、お考えがあったら教えていただきたい。
(答)アプリを使ったマッチング率が仮に上がってきたとしても、全ての方がそれでタクシーを利用されているわけではありません。電話予約をされていたりあるいは駅などでお待ちいただいていたり、あるいは流しを捕まえてという方もいらっしゃいます。そういう時に、マッチング率だけが上がって、例えば駅で待っていてもタクシーが来ない、電話予約をしても予約ができないということがあっては、足不足が解消されたとは言えませんので、全方位的に状況は確認していかなければいけないと思っております。
(問)公金受取口座について、これまで何度も通知されてきたと思うのですけれども、それでも11万人ぐらい残っているということで、今後も何か起こって変更を促す時に課題なのかなと思うのですけれども、周知のやり方や対応について、何か改善を考えることはありますでしょうか。
(答)公金受取口座は、当初は同じ口座を重複して登録することができるようになっておりましたので、システム変更で重複登録はできないようにしましたので、今後そのような形の口座登録は発生いたしませんので、今、本人以外の登録をされている方は、一度9月上旬に抹消させていただきますので、改めて登録をお願いするということになると思っております。いろいろな自治体で公金受取口座を使った給付が動き始めておりますので、なるべくご本人名義の口座登録をしっかりやっていただけるように、改めて広報していきたいと思います。
(問)日本郵便と楽天モバイルがオンラインでのスマホ相談窓口を全国500の郵便局でスタートしたのですけれども、それに対する感想をお教えください。
(答)総務大臣にお聞きいただいた方がいいのではないかと思います。
(問)31日の量子科学技術研究開発機構での視察について、その時のぶら下がり等で、原発政策に関して、原発の再稼働を容認する考えを改めて示したかと思いますが、もともと大臣は脱原発が持論だったかと思いますが、その考えは転換されたのでしょうか。また、耐用年数が過ぎた原発は、速やかに廃炉として新増設やリプレイスは不要という考え方については現状いかがでしょうか。変わらないのでしょうか。
(答)2007年頃をピークに日本の電力需要はずっと右肩下がりでしたが、ここへ来てデータセンターの増加ですとか、生成AIの急速な進展で電力需要がかなり大幅に増えるという予測が出ております。再生可能エネルギーの導入を今の倍のペースにしたとしても、2050年、カーボンニュートラルを目指す時期で追いつかないという予測もあります。電力需要が日本経済の足を引っ張る、あるいは国民生活の足を引っ張るということがあってはいけませんので、需要がまだどれぐらい伸びるか、需要の幅も需要予測の幅も大きく差がありますので、それに対応できるような準備はしていかなければいけないと思います。今後、予測が収斂する中で、使える技術をメリットオーダーに応じて動かしていくということになるんだろうと思います。
(問)自治体の標準化について、データ連携についてデジタル庁が決められないということは、連携できないところもあると思いますが、ではなぜ2025年度末に何のために標準化を目指すのか、改めて説明いただけないでしょうか。
(答)ご質問の意図がよく分かりませんが、データ連携の部分、データの持ち方のところは、それぞれの事業者のこれまでの知見を生かして実施してくださいという競争領域に今までもしておりましたので、特に何か変更したということはございません。2025年度末までのシステム移行というのは、よほどの事情で後ろ倒しになる自治体はいくつかあると思いますが、そこについて何ら変わりはございません。
(問)データ連携はできないということですね、標準化しても。
(答)どのようにシステム内でデータを持つかというのは、これまでも事業者それぞれやってくださいということにしておりましたので、何か変わったということではありません。
(問)データ連携ができないという事態は想定していないということでしょうか。
(答)何か協議がうまくいかない、調整がうまくいかないときはデジタル庁がコミットして事業者間で進めていただくというのは、これまでもそういうようにしておりました。先ほど6月26日の検討会でという話がありましたが、特に検討会で何か変わったということでもございません。
(問)公金口座の誤登録について、誤登録の中身を紐解くと、子どもの公金口座に親の口座が紐付けられているような口座が一定数あったようにも聞いています。この要因として、未成年の銀行口座の開設がなかなかしにくいことがあるのかと思います。口座の作りやすさの改善を推奨するお考えがあるのか、もしくはその未成年の口座、公金口座の登録をすることにそもそも意味があるのかどうかも含めて、ご意見をお伺いします。
(答)様々に子育て支援やその他の給付を検討している自治体もあるようです。また、赤ちゃんの口座については、民間の金融機関がネット上でキャンペーンなどを行っているのは見たこともありますので、いろいろな金融機関・銀行で口座を作れると思いますので、是非ご本人名義の口座登録に変えていただきたいと思います。
(問)家族口座の件数について教えてください。
(答)今回の抹消登録の対象になる、まだ変更が行われていない方々は、7月10日の時点で11万7千人です。それから、かつてシステムで本人口座と判断していたものを、目視で見て家族口座と判断されたような事例が約7千件ございました。こちらについては、まず一度郵送した上で、10月以降に7千人については口座情報の抹消を予定しております。
(以上)