河野大臣記者会見(令和6年8月30日)
河野デジタル大臣記者会見要旨
(令和6年8月30日(金)10時25分から10時54分まで 於:オンライン)
1. 発言要旨
デジタル庁の令和7年度予算概算要求・機構定員要求についてお知らせします。
予算の概算要求については、約5,960億円、前年度比約1,000億増えています。内訳としては、政府情報システムを一括計上する経費として5,790億円、デジタル庁の施策を実施するための経費として13億円、人件費を始めとした運営経費が158億円となっております。
具体的には、GSSやガバメントクラウドに関する経費、マイナンバーカードの利便性の向上・利活用シーンの拡大を推進する経費など、「デジタル社会の実現に向けた重点計画」に基づく施策を推進するために必要な予算を中心に盛り込んでおります。
このほかに、予算編成過程において検討するいわゆる事項要求として、国・地方デジタル共通基盤の整備・運用経費、デジタル庁の体制強化に必要な経費(増員など)、これを要求しております。
機構定員は、官房機能の充実強化に必要な機構、ガバメントクラウドの整備や地方公共団体の基幹業務システムの統一・標準化に引き続き取り組むための定員、デジタル行財政改革の観点から国・地方のデジタル共通基盤を整備・運用していくために必要になる定員を要求しています。
デジタル庁としては、各府省と連携しながら、目指すべきデジタル社会が実現できるよう、必要な予算、機構・定員をしっかり確保してまいりたいと思っております。
行政事業レビューに使うレビューシートの公表のための「行政事業レビュー見える化サイト」を開設いたしました。また、令和6年度の行政事業レビューシートの公表もしてまいります。
行政事業レビューについては、行政事業レビューシートを予算編成過程において活用し、基金を含む全ての予算事業について、EBPMを推進するために、システムによる見える化を充実しようとレビューシートシステム(RSシステム)を開発してまいりました。
各府省に対して、システムを活用して行政事業レビューシートや基金シートを作成してもらっておりましたが、行政事業レビュー見える化サイトを本日30日(金)に開設したところです。
これから、各府省において作成してきた令和6年度の行政事業レビューシートを来週2日(月)までに掲載していただくこととしております。また、令和6年度の基金シートも9月17日(火)までに公表することにしております。
このサイトでは、一つひとつの事業の概要であったり、KPIであったり、あるいは支出先、こういう情報を全てデータベース化しました。利用者の皆さんの関心に応じて、各府省横断的な検索あるいは様々な分析を容易にすることができるようになっております。それぞれの事業に予算事業IDを付番いたしましたので、シート上の情報と一体的に管理して、予算事業の経年比較もこれから可能になってまいります。
是非多くの方にご利用いただいて、国の予算事業をしっかり多方面から目を入れていただいて、良いもの悪いものをしっかり問題提起していただきたいと思っております。
あわせまして、情報システム経費の「見える化」もいたします。
デジタル庁においては、従来から情報システムの経費・費用対効果の見える化を検討してきておりまして、今年6月の重点計画で取組を進めることを閣議決定いたしました。
その取組の一環として、令和2年度から令和4年度までの全てのシステムの決算額と、令和5年度の経費が10億円以上のもの、令和7年度の新規のシステム、これに関する行政事業レビューシートを本日(30日(金))公表いたします。
デジタル化を進めることによる利便性の向上、あるいは行政の効率化等の成果を見える化するという、この取組を継続的に発展させて、情報システム経費についての説明責任もしっかり果たしていきたいと思います。
デジタル庁は、明後日9月1日(日)で、設置から丸3年が経ちまして、新しい4年目に突入することになります。デジタル庁は、設置からの3年間、デジタル社会の実現に向けた取組を着実に進めてきたと申し上げてよいかと思います。
マイナンバーカードにつきましては、国民の4人に3人が保有していただいておりまして、デジタル庁としては、マイナンバーカードを保有するメリットを実感いただけるよう、利便性の拡大を推し進めています。具体的には、救急隊が搬送される方の情報を、マイナンバーカードを使っていち早く把握することで、救急活動を迅速化・円滑化できるようになりました。今、実証実験が各地で広がってきております。マイナポータルを利用することで、確定申告、引越手続、パスポート申請など、多種多様な行政手続をオンライン化することができるようになりました。乳幼児健診・妊婦健診、予防接種について、マイナポータルで事前に問診票・予診票を入力し、マイナンバーカードを当日利用することで、いちいち同じことを何度も紙に書かなくて済むようになりました。国家資格につきましても、資格証明や関連手続をオンライン化いたしました。避難所の入所手続などの防災の利用、これもカードリーダーの調達手続が進んでいるところです。避難所の入所手続、情報の一元的な把握など、災害時により効果を発揮できるようになると思います。また、チケットの不正転売を始めとしたエンターテイメントでの利用もこれから進んでまいります。本人確認作業をカードのICチップを利用して券面より確実に行うような対面確認アプリ、あるいはオンラインではデジタル認証アプリをリリースしております。来年の春には、このマイナンバーカードの機能をiPhoneに搭載し、Android・iPhoneでのスマホ搭載が進んでいきます。
また、マイナンバーカード以外にも、自治体の情報システムの標準化・ガバクラ移行を推進し、アナログ規制の見直しも進めてまいりました。政府情報システムへGSSの導入も進んでおります。書かないワンストップ窓口などの自治体窓口DX SaaSも推進してまいりました。給付支援サービスを提供し、利用してくださっている自治体も増えてきています。また、DFFTの推進を始めとする諸外国との連携もじわじわと広がってきているところです。
デジタル化を推進するための基盤を着実に整えてまいりました。国民の皆様に安心してデジタル化による便利さを実感していただけるよう、引き続き進めてまいりたいと思います。
今日(30日(金))13時半から、浅沼デジタル監にデジタル庁がこの1年間に実施した取組あるいは今後の方向性について詳細に発表していただきます。発表内容は、デジタル庁のウェブサイトにも掲載しますので、是非大勢の皆様にご覧いただきたいと思っております。
デジタルで利便性を向上する一環として、本日、8月30日(金)から、出生届のオンライン提出を可能といたしました。
これまで、出生届をオンライン提出するためには、出生証明書にお医者さんの電子署名を付けていただくことが必要でしたが、法務省が本日付施行の省令改正をしていただきましたので、電子署名が無くてもオンライン提出ができるようになっております。
これを受けまして、マイナポータルに機能を追加して、今日から出生届のオンライン提出が可能となりました。具体的には、生まれた赤ちゃんの親御さんが、マイナポータル上で出生届の必要事項を入力すると同時に、出生証明書の画像を添付していただくことで、親の本籍地の自治体に、オンラインで提出することができます。
出生証明書につきましては、今は、出生証明書の画像の添付がワンクッション入りますが、今後、医療機関から直接自治体に出生証明書の電子データを送信できるようにしていく予定になっております。
出生届は、出生日から14日以内に提出する必要がありますが、マイナポータルのオンライン届出を活用することによって、出産直後に市区町村の窓口まで書類を持参しなくても、スマートフォンなどから提出できるようになりました。負担の軽減につながると思っております。
このオンライン提出は、デジタル庁としてマイナポータルに標準様式を準備しておりますので、全ての自治体が、始めようと思えば簡単に今日から始められるようになっております。デジタル庁もしっかりそれを支援してまいります。既に、福島県郡山市、富山県高岡市、宮崎県都城市などでは、開始が予定されていると聞いております。全国1,741の市区町村、是非早急に対応をお願いしたいと思っております。
7月31日に、岸田総理が今年度もDigi田(デジでん)甲子園を開催する旨発表いただいております。今日から、第4回となりますDigi田甲子園について、専用サイトを公開して応募を受け付けます。
地方自治体、民間企業・団体など様々な方を対象に、本日8月30日(金)から10月27日(日)までの間、デジタルの活用により、地域の個別課題を実際に解決し、住民の利便性を向上させ、豊かさも向上させ、地域の産業振興につながっているような取組を広く募集いたします。
Digi田甲子園の開催を通じて、国民の皆様に、様々なデジタル技術が地域の課題解決に貢献している様子を実感していただき、全国どこでも、誰もが快適に暮らせる社会の実現に一層努めてまいりたいと思います。全国の皆様からの積極的なご応募を期待したいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
2. 質疑応答
(問)行政事業レビューについて、問題提起をしてほしいとご発言されました。学術的など様々な活用方法あると思いますが、具体的にどのような活用方法を想定されていますか。また、このようなサイトができることで、住民が自分に身近な事業を調べたりして政治への関心も高まるかと思いますが、そういった面での効果についてはどのように考えてらっしゃいますか。
(答)これまで、レビューシート・基金シートはエクセルで作成していただきました。トータル5,000以上のシートを各府省庁のホームページなどで公表してきましたが、やはり見にくかったり、検索しづらかったりということで、改善の余地があると考えてきました。今回、一元的にシステムで入力したデータを公表しますので、役所の壁を越えて似たような事業を閲覧・検索することが簡単になります。また、キーワードでこうしたシートをあらゆる役所の分を引き出すこともできるようになります。また、それぞれのシートに予算事業IDの番号を振っておりますので、予算事業の経年で比較することもできるようになりました。多くの皆様に見ていただいて、これは効果が出ている、あるいはこれは無駄じゃないか、そういう議論を積極的にやっていただくことで、無駄な予算というものが淘汰され、効果が出ているものについては、更にその効果を大きく発現させるためにどうしたらいいかという議論もできるようになると思います。予算の賢い使い方を強力に後押しできると期待しております。政府の中の行政事業レビューだけでなく、多くの研究者であったり一般の皆様であったりが、国の予算事業、何をやっているのか、どういう効果が出ているのかを見ていただく、あるいは学生さんの様々なレポート・研究にも使っていただけるのではないかと期待しています。
(問)台風10号の対応について、デジタル庁は現場を所管しているわけではありませんが、被害拡大の備えとしてどのような体制をとっていくのか、何か指示されていることがあるか、お願いします。
(答)今回の台風については、既に様々な被害が出ているようでございます。心よりお見舞いを申し上げたいと思います。是非皆様には安全の確保を最優先に行動していただきたいと思います。デジタル庁は、様々なシステムを運用しておりますが、現時点で特段のシステム障害といった報告は入ってきておりません。デジタル庁の運用する情報システムについては、安定運用に向けて状況監視、障害発生時の連絡対応体制を整備してきているところでございますので、今回の台風についても引き続き万全の体制で対応していきたいと思っております。防災の日に関連して、来週の月曜日(9月2日)、デジタル庁内で防災訓練を予定しておりましたが、それは中止し、災害対応に庁を挙げて備えていく予定にしております。また、防災DXの観点から、デジタル庁としても防災DX官民共創協議会などとも連携して、自治体に協力できることは迅速に対応してまいりたいと思っております。
(問)総裁選でも防災・危機管理を一つの柱に据えていらっしゃいますが、総裁選への対応と公務のバランスをどのように図っていくのか、お聞かせいただけますでしょうか。
(答)9月2日(月)に政策発表を予定しておりましたが、それを延期することとしたいと思います。デジタル庁で今政府の情報システムの監視をしっかりやっておりますので、デジタル庁のその体制を維持し、必要があれば私もすぐにデジタル庁に登庁できるような体制を組んでいきたいと思います。
(問)デジタル庁が間もなく4年目を迎えることについて、デジタル大臣として2年間を務め、取り組まれた政策をどのように評価しているのか、また、デジタル庁の職員の方々の取組についての受け止め等をお願いします。
(答)この2年間で、様々なデジタル分野の進展があったのではないかと思っております。行政手続でしたり国家資格の証明その他の手続であったり、オンライン化も着実に進んでまいりました。行かない市役所、書かないワンストップ窓口というのを掲げてまいりましたが、全国的にこの書かない窓口も評価され、進みつつあると思っております。マイナポータルを利用することで、確定申告や引越手続など、今まで面倒なことがかなり便利にできるようになるのではないかと思っておりますし、チケットの不正転売の防止を始め、民間での利用というものを進めていきたいと思っております。デジタル庁は、これで丸3年となりますが、霞が関の出身者、自治体出身の方、民間企業から来てくださっている方、段々とデジタル庁なりの文化というのができつつあります。システムの内製も、今回の券面読取アプリのようないろいろなものができてきておりますので、こうした内製を、必要なものについて内製しながら、アジャイルにデジタル化を前に進めていくということをこれからも進めていきたいと思います。
(問)政策発表の延期について、政府の情報システムの監視をされているということですが、今回の台風でシステム不備が起きたときに備えて、そういう台風に備えてという意味でよろしかったでしょうか。
(答)台風は極めて速度も遅く、2日まで影響が残ると思いますので、そういう意味で政策発表は延期させていただきたいと思っております。
(問)出生届のオンライン化について、今後、医療機関から直接電子データを送信できるようにされるということですが、こちらのスケジュール感の目途はありますでしょうか。
(答)今回は、出生証明書の画像を添付してオンライン提出していただきますが、2026年度に向けてマイナポータルと法務省の戸籍情報連携システムの連携を進めて、親御さんはマイナポータルで出生届の入力提出のみを行い、出生証明書は医療機関から直接自治体に電子データで送信できるようにする予定です。電子データで送信できるようにすれば、自治体で情報を手入力することも必要なくなりますので、そうなると自治体の職員の負担、ご両親それぞれ負担を軽減できると期待しております。
(問)この仕組みは先行的に利用されている自治体があるということですけれども、市町村が利用するかどうかは、その市町村ごとの任意という理解でよろしかったでしょうか。
(答)市町村の任意ですが、窓口までお出かけいただかずに、スマホなどで提出ができるようになりますので、これは是非対応をお願いしたいと思っております。もう既にマイナポータル上に標準様式を準備しておりますので、自治体も業務フローをしっかり確認をしていただく必要がありますが、手を挙げていただく自治体は今日から手を挙げていただけますので、是非対応をお願いしたいと思います。
(問)マイナンバーカードの強制取得の問題についてご見解をお伺いします。大企業や企業グループの健康保険組合で被保険者である従業員や家族に対して、マイナンバーカードの取得やマイナ保険証の利用登録を強制する事例が保団連にも多数報告されています。健保組合が強制的に健康保険証を回収した事例も報告されております。厚生労働省にも報告済みです。大臣は、マイナンバーカードは強制していないと会見等で述べられておりますが、マイナンバーカード、マイナ保険証が実質的に強制されていることについてのご認識と実質的に強制とならないように是正するお考えがあるかについて見解をお伺いします。
(答)従来から申し上げておりますように、マイナ保険証は任意で強制ではありません。誤解を招くような発言は慎んでいただきたいと思います。マイナ保険証は医療の質の向上につながるものですから、一人でも多くの皆様にマイナ保険証をご利用いただきたいと思っております。加入者がマイナ保険証を利用できる状況にあることを確認した上で、加入者による自主的な返納であれば、それは全く問題ございません。健保組合が自主的な返納をお願いしている例があるというのは聞いておりますが、自主的な返納については全く問題がございません。厚生労働省においても、マイナ保険証の利用登録を強制する、あるいは健康保険証を強制的に回収するという事例は確認できていないということですので、特に問題がないと思っております。
(問)医療機関でマイナ保険証を利用されて、カードリーダーが使えない医療機関で利用されたという事例が2件ありまして、その際に従業員の方が大企業の健康保険組合に所属されていて、保険証を回収されてしまいましたと言っており、それで止むなく医療機関窓口では資格確認ができず10割負担いただくような事例が実際に起こっていますので、大臣のご認識のとおり徹底されるように是非デジタル庁としても厚生労働省としても指導・徹底をお願いしたいと思いますので、見解をお願いいたします。
(答)マイナンバーカードで資格確認ができないからすぐ10割負担になるということではないと思いますので、その医療機関がわかれば、その医療機関の対応について厚生労働省から確認をしてもらいたいと思います。
(以上)