河野大臣記者会見(令和6年9月3日)
河野デジタル大臣記者会見要旨
(令和6年9月3日(火)10時32分から10時50分まで 於:オンライン)
1. 発言要旨
自治体情報システムにおける文字の標準化の取組についてお知らせします。
現在、自治体では、2025年度末までの基幹業務システムの標準化に向けて、それぞれの自治体で使っている外字を行政事務標準文字に特定(同定)していく作業を進めていただいているところです。
デジタル庁としても自治体の取組を支援するために、自治体による外字の特定(同定)作業を支援するツールを開発して、今年4月から自治体にご利用いただいているところです。
この支援ツールにつきましては、2025年度末までに各自治体が順次活用していくということを見込んで、一月当たり100自治体をサポート体制の上限としておりました。実際に支援を開始したところ、自治体の作業スケジュールが重複したりするものも多く、100自治体を超えてもツールを利用できるようにしてほしいというご要望が自治体から出てまいりましたので、今月(9月)からこの同定ツールを利用できる上限を月当たり200自治体まで引き上げることといたしました。積極的にご活用いただきたいと思っております。
デジタル庁として、この文字の標準化に向けて、現場の声を踏まえながら、引き続き積極的に自治体を支援していきたいと思っております。
2. 質疑応答
(問)現行の健康保険証を廃止することについて、厚生労働省が先般意見募集を行い、5万3,028件の意見が提出され、「現行の保険証は継続すべき」「マイナカードへの一体化に反対」との意見が大多数だったようです。一方、マイナ保険証の7月の利用率は11.3%にとどまっております。国民・医療現場の懸念・不安に向き合い、任意のマイナ保険証と現行の健康保険証を併存させるなど、国民に選択肢を残すお考えについてお伺いいたします。
(答)マイナンバー保険証は、医療の質の向上につながるということで、一人でも多くの皆様にマイナンバーカード保険証をご利用いただきたいと思っております。マイナンバーカード保険証を進める上で、全ての方に安心して保険診療を受けていただける環境整備も重要ですので、マイナンバーカード保険証をお持ちでない方には資格確認書をお出しして、どなたでも保険診療を引き続き安心して受けていただけるようにしております。デジタルとアナログの併用期間を更に設けて、最大1年間現行の保険証は使用可能です。あるいは、例えばマイナンバーカード保険証が病院で読み取れなかった場合にも、保険診療ができるように、マイナンバーカード保険証を読み取れなかったから10割負担だというような病院が出ないように、しっかり使い方のルールを周知広報して、不安を払拭していきたいと思います。
(問)12月2日で健康保険証が使えなくなるという誤解が広がっており、マイナ保険証の推進キャンペーン等を通じて、正しい情報も含めて国民に十分周知されていないと受け止めていますので、是非資格確認書の広報もお願いしたい。また、マイナ保険証が使えなくなった場合に、厚生労働省で資格情報のお知らせを配布すると聞いていますので、それであれば健康保険証一枚を残した形で、使いたい方がマイナ保険証を使う方が大臣の進められているデジタル化が進むと思いますがいかがでしょうか。
(答)12月2日からマイナンバーカード保険証を基本とするシステムに移行する方針には変わりございません。最初は不安に思われる方もいらっしゃると思いますので、様々に不安を払拭できるような広報をしっかりやっていきたいと思います。
(問)今日大臣がXで更新された総裁選の公約について、デジタルセーフティネットは、所得に関わる情報、給与・扶養・所得など全てをリアルタイムで把握できる現状ではないため、それをできるようにして必要な支援を受けられるようにしたいという捉え方でよろしかったでしょうか。
(答)コロナ禍で支援を必要としている方に支援をお出ししようとしても、現状では、政府の持っている所得・収入の情報は、前の年の確定申告の情報しかありません。どなたが困難に直面しているかをリアルタイムで政府が把握することができませんので、例えば、給与等を支払った際、一本化された窓口にデジタルデータで情報を出していただければ、税務署・自治体・年金機構その他情報が必要なところに窓口機関から情報を共有していく。確定申告の際には、自動入力で年末調整が必要なく、また事業者は今様々なところに給与関係の書類を出さなければいけませんが、そうしたことが必要なくなるのと同時に、所得情報がリアルタイムで寄せられれば、それを名寄せすることで所得が急激に減った、そうした困難に直面している人を行政側で把握して、プッシュ型の支援を出すことができるようになります。コロナ禍での反省を踏まえて、必要な人に行政の方からリアルタイムでプッシュ型の支援ができるような仕組みを作っていきたいと思います。
(問)デジタルセーフティネットについて、政治が決めれば技術的にはすぐ可能なものなのか、法改正が必要になってくるのか、そして全員が確定申告するとなると行政側の事務負担は増えることになるのか、それぞれ教えてください。
(答)これは政府全体でやろうと決めれば、その方向に向けて動き出すことができますが、システムの改築が必要になりますのでシステムの開発期間はお許しをいただくことになろうかと思います。デジタルデータで送信をしていただいて、それにマイナンバーを付けていただければマイナンバーで名寄せをして、その人のマイナポータルに自動入力できるようなシステムの開発ができるようになるのではないかと思います。法律改正はもちろん必要になります。
(問)全員が確定申告するとなると、行政側は事務負担が増えることになりますでしょうか。
(答)特に事務負担が増えるとは思いません。デジタルで情報をいただければ自動入力することができます。所得の経費は自分で手入力が必要になりますが、そうした例外を除いて数字が出てきますので、確定申告される方はそれを見ていただいて、ボタンを押していただければ確定申告が終わります。行政側もマイナンバーで名寄せして確定申告をしていただければ、自動的に還付金あるいは税金を納めていただく額が決まりますので、むしろ紙がなくなる分、事務負担はその分は減っていくと思います。トータルでもそれほど事務負担が増えるとは思っておりません。また、企業側はいろいろなところへ書類を出さなければいけないものが必要なくなりますので、企業側は年末調整が要らなくなる分と合わせて、負担は大きく減るのではないかと思います。
(問)デジタルセーフティネットについて、そもそもこういうことがどうして今まで進まなかったのかお考えをお聞かせください。
(答)デジタル庁、財務省、国税庁、厚生労働省、年金機構、それから1,741の自治体に関わってくることになります。もっと言えば、ハローワークその他にも関わりが出るのかもしれません。政府全体でこっちの方向に行くぞという方針を決めて、そこに向かって進むという必要がありますので、これはやはり総理が旗を振る必要があるのだろうと思います。
(問)マイナ保険証のパブリックコメントが5万3,000と大変多いと思いますがコメントをお願いします。マイナ保険証の利用率は1割ということで、健康保険証の方が現場で支持されていると考えていますが、率直なご感想とご意見をお伺いしたいです。
(答)マイナ保険証を基本とした仕組みへの移行は、先の通常国会で決定されたもので、今回のパブリックコメントはその具体的なものを決めるためのものであるということをご理解いただきたいと思います。紙の保険証は、偽造・なりすましを防ぐことができません。また、医療の質の向上を紙の保険証だけで進めるということはできませんので、マイナ保険証への移行は必要になってくると思います。マイナ保険証を使ってもいいという方がアンケートでもかなり多くいらっしゃいますが、利用率がそこまで達していないというのは、病院の窓口で「紙の保険証」と言われて、マイナ保険証ではなく紙の保険証を出したという方が大勢いらっしゃいますので、各医療機関に、医療の質の向上をするための医療DXに対するご理解をしっかりいただいて、進めていく必要があると思います。
(問)マイナ保険証について、声かけは医療機関・薬局等でされており、それでもなお「使わない」もしくは「使ったけど使わなくなった」という実態があります。マイナ保険証について、メリットがない、使いづらいなど理由が必ずあるはずで、国民の現時点での認識や要望を真摯に受け止めていただいて、是非健康保険証と並存する形で再考していただきたいと思いますが、ご認識をお伺いしたいと思います。
(答)問題を認識してしっかりマイナ保険証を使っていただけるように改善していきたいと思います。
(問)総裁選について、前回の総裁選時は世論調査で総理にふさわしい人でトップでしたが、今回は順位を落としていらっしゃいますが、どのように原因を分析されてますか。
(答)マイナ保険証を始めとする改革を推進すると、今やっていることを変えてくださいということをお願いしなければいけませんので、「今困っていないのに何でこんなことをしなければいけないの」という声は当然出てくるだろうと思います。これは、ある面承知の上で改革をしていかなければこの国のためになりませんので、そこは承知の上で改革を進めております。ただ、総裁選挙ですので、きちんと政策を訴えながら、やはり今の日本、ゆでガエルにならないように、鍋から飛び出すためには、河野太郎が必要だと、多くの国民の皆様にそう思っていただけるように、しっかり訴えをしていきたいと思います。
(問)マイナンバーカードやマイナ保険証というのが環境整備に必要ということであれば、その義務化というのはどのように考えていらっしゃいますか。
(答)現時点では、マイナンバーカードは任意ですから、任意の中で、まずはしっかりメリットを周知していくということだろうと思います。
(以上)