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平大臣記者会見(令和6年11月29日)

平デジタル大臣記者会見要旨

(令和6年11月29日(金)12時07分から12時34分まで 於:オンライン)

1. 発言要旨

サイバー安全保障分野での対応能力の向上に向けた有識者会議のとりまとめについてであります。サイバー安全保障担当大臣として、サイバー安全保障分野での対応能力の向上に向けた有識者会議のとりまとめについて報告させていただきます。
本日、サイバー安全保障分野での対応能力の向上に向けた有識者会議第4回会合を開催いたしました。委員の皆様により提言をとりまとめていただきました。まずはご多用の中、精力的にご議論いただき、素晴らしい提言をまとめていただいた委員の皆様に心から感謝を申し上げたいと思います。
我が国のサイバー対応能力の向上は、現在の安全保障環境を鑑みると、ますます急を要する課題であります。この提言を踏まえ、可能な限り早期に法案をお示しできるよう、検討をさらに加速してまいりたいと考えております。
なお、提言の内容や本日の議論の模様については、後ほど事務方よりブリーフィングが行われるので、この場で詳細を申し上げることは割愛をさせていただきます。

薬局での紹介キャンペーンについて、厚生労働省と連携し、本日、11月29日(金)から順次、全国の薬局などで、これからの医療の受け方を紹介するキャンペーンを実施するので報告いたします。
今回のキャンペーンでは、薬局などの待合スペースに小型モニター等を載せたワゴンを設置し、マイナ保険証の利用登録をされていない方に向けて、マイナ保険証のメリットや、薬局などでの利用登録のやり方、資格確認書の活用について、動画やチラシで周知・広報するとともに、薬局の薬剤師や店員の方々にご協力いただき、その場で、顔認証付きカードリーダーを用いたマイナ保険証の利用登録のサポート、また、プッシュ型で資格確認書が交付され、これまでどおりの医療が受けられることの周知・広報を行う予定になっています。
まずは、先行3百店舗で実施し、年内に2千5百店舗まで拡大する予定であります。
今後も様々な機会を通じて、マイナ保険証を始め、マイナンバーカード利用のメリットや、不安払拭に向けて広報を進めてまいりたいと考えております。

地方のアナログ規制見直しへの支援強化について報告をさせていただきます。
昨今、テクノロジーの進展のスピードは目覚ましいところ、その価値を様々な分野で最大限活用するために、古い規制を見直す必要があります。テクノロジーの進展と合わせてレギュレーションの環境を整備していくことが必要不可欠であります。
こうした観点から、デジタル庁では、人の目や書面での対応を求める、いわゆるアナログ規制の見直しについて取り組んでまいりました。その結果、国の法令については、見直しが必要とされたアナログ規制8,164件のうち7,835件、96%の見直しが完了し、本年9月に発表させていただいたところであります。
また、デジタル庁では、アナログ規制の見直しに活用できる新たな技術の情報を、テクノロジーマップや技術カタログとして整備しているところであります。こうしたツールを自治体等への積極的な発信等を通じて新技術の活用を促し、制度の見直しと技術の実装の好循環につなげるとともに、スタートアップを含む産業界の活性化を図ってまいりたいと考えています。
こうした国の取組に加えて、人口減少が特に地方で著しい中、限られた人的リソースの下でも地域の機能を維持・強化するためには、地方のデジタル化が不可欠であります。地方の現場におけるアナログ規制の多くが、国の法令等ではなく条例等に基づいているということもあり、地方でこそアナログ規制の見直しを積極的に取り組む必要があると考えております。
こうした考えの下、デジタル庁としては、今回の経済対策を機に、新たに、各地方公共団体固有の課題等に寄り添った個別型支援を開始することといたしました。
個別型支援では、団体ごとに担当のデジタル庁職員を設定し、現地訪問も行いながら、継続的かつ密接な相談・支援体制の構築、個別説明会等を行うなど、さらに、条例等におけるアナログ規制の洗い出し作業への支援なども検討しているところであります。
現在、個別型支援を希望する地方公共団体を募集中であります。各団体におかれましては、デジタル庁からの支援を最大限活用し、アナログ規制の見直しに積極的に取り組み、各地域におけるデジタル実装を強力に進めていただきたいと思っております。

国家公務員制度担当大臣として、給与関係閣僚会議及び閣議について報告させていただきます。
本日、第2回給与関係閣僚会議が開催され、国家公務員の給与について、人事院勧告どおり改定することなどについて決定いたしました。
また、その後の閣議において、公務員の給与改定の取扱方針について決定したところであります。
その概要としましては、一般職の国家公務員の給与については、8月8日(木)の人事院勧告どおり、月例給は、人材確保の観点から若年層に特に重点を置いた上で、全ての職員の俸給月額を引き上げる。ボーナスは、0.10月分引き上げることを内容とする改定を行うこととしました。
特別職の国家公務員の給与については、官職の職務と責任に応じ、かつ、一般職の官職との均衡、特別職の官職相互の均衡等を考慮して定めることが適切といった観点から、一般職の給与改定の趣旨に沿って改定を行います。
なお、国会議員から任命された内閣総理大臣等の俸給月額及び期末手当については、令和5年法改正時の国会審議における様々な議論を踏まえるとともに、より国民から幅広い理解を得ることが重要との観点から、現下の諸情勢に鑑み、当分の間、据え置くこととするものになっております。
また、閣僚等の給与について、従来から実施している総理3割、大臣・副大臣等2割、政務官1割の返納及び令和5年法改正による給与の増額分に相当する額の返納を継続することとしています。
また、給与関係閣僚会議において、私から、国家公務員の育児時間制度について、子の年齢に応じた柔軟な働き方の実現のため、人事院の意見の申出どおり国家公務員育児休業法の改正により拡充することが適当である旨、発言いたしました。
詳細につきましては、内閣官房内閣人事局にお問い合わせいただきたいと思います。

2. 質疑応答

(問)12月2日(月)から現行の健康保険証の新規発行が停止されますが、現在、どれくらいの医療機関や薬局がマイナ保険証に対応しているのでしょうか。

(答)現行の健康保険証は、ICチップも顔写真も入っていないため、悪用されることがあり得ると考えています。具体的には、なりすまし受診を防ぐということ、それに加えて、今後、医療DXを進めていく中で、本人同意のもと、医療情報を他人に閲覧されることなく、安全に共有していくためには十分ではないといった課題が現行の健康保険証にはあると考えております。具体的な健康保険証の不正利用の状況などについては、所管である厚生労働省にお尋ねいただきたいと思います。医療機関・薬局におけるマイナ保険証への対応は、医師の方が高齢であるなど、一部の例外を除きマイナ保険証で対応することが求められています。その対応の割合は、厚生労働省によると令和6年8月末時点で、医療機関では約97%、薬局では約98%となっています。また、マイナ保険証のメリットですが、マイナ保険証は、本人同意のもと、医療情報を安全に共有し、質の高い医療を効率的に提供していく医療DXの基盤となるものですので、できるだけ多くの皆様にお使いいただければと思っております。そのメリットを具体的に申し上げると、マイナ保険証で過去の薬剤情報を確認することができるので、重複投薬の防止や薬の副作用の確認などがあります。さらには、リアルタイムの薬剤情報の共有も電子処方箋の導入が今急速に進んでおりますので、既に全国の薬局の約5割で導入済みです。今後、その割合は増えていくと思われます。こうした薬局では、マイナ保険証で来客した際、直近の薬の飲み合わせや重複投薬をシステム的にチェックすることで、紙のお薬手帳より正確に確認し、安心安全な薬の提供につなげることができると思っております。また、待合時間の短縮等の試算を把握しておりませんが、入院などによる高額な窓口負担については、手続なしで限度を超える部分が免除されます。資格情報の自動転記、レセプトの返戻防止など、医療保険事務の効率化にもつながっています。保険証に加えて、よく子供の医療費などの受給者証や診察券のところが指摘がありますが、これも一体化に向けて今鋭意取り組んでいるところでございます。時間とともに各自治体に拡大していくということです。今年度中は都道府県と1,741市区町村のうち183の自治体で取組が進められているところであります。また、ご承知のとおり、本年12月2日(月)以降も発行済みの保険証は、その有効期限の間、最長1年間利用できます。また、マイナ保険証を保有しない方には、申請によらず資格確認書を発行することとしておりますので、全ての方に安心して確実に保険診療を受けていただけるよう、不安払拭に向けて着実に進めてまいりたいと思っております。

(問)薬局等でのキャンペーンについて説明がありましたが、12月2日(月)以降も現行の健康保険証が使えるということが現場では全然伝わってないので、患者さんが戸惑ってしまっている。不安払拭のために、まずは、現行の健康保険証が12月2日(月)以降も使えるという事実を説明することが先決だと思うが、それを広報する予定があるかどうか。

(答)マイナ保険証しか使えないという広報は一切しておりませんので、そこは誤解がないようにお願いしたいと思います。先日、クリニックと薬局を視察してきましたが、やはり、よくデジタルが分からない、いわゆる保険証とマイナンバーカードを紐付ける場合、スマホを使わなければいけないんじゃないか、パソコンを使わなければいけないんじゃないか、役所に行ってどこに聞いたらいいのか分からない、といった声は私自身も選挙区で聞いておりました。今回、ご承知のとおり薬局にある端末そのもので非常に簡単に紐付けができるということもありますので、紐付けをどうしていいか分からないという方には、この薬局のキャンペーンは大変有効だろうと思っています。その上で、キャンペーンそのものはそれだけを告知しているわけではなく、不安の方に寄り添うような形で、全般的に告知させていただいています。

(問)マイナンバーカードの発行が増え、サービスも拡充しているかと思いますが、一方で、利用拡大や民間の活用などは道半ばのように思います。現状のマイナンバーカードの評価と課題について、大臣の所感をお聞かせください。

(答)マイナンバーカードは、保有枚数が9,400万件を超えてきましたので、最も普及した本人確認ツールになっています。私が内閣府副大臣で新型コロナウイルス感染症の対応をしていた時は、確か普及が13%くらいだと思いますので、非常にメジャーになってきているという認識を持っています。また、ここまでメジャーになってきましたので、いろいろ活用し、例えば、ネット証券やネットバンキングなど、本人確認でマイナンバーカードを活用すると、いわゆるサイバー空間でやりとりが完結する世界では、マイナンバーカードが急速に普及し始めたと思います。体験した方は、その利便性を実感されているのではないかと思います。また、行政においても、いわゆる、行かない窓口、書かない窓口なども普及しているところですので、特に災害時などで大変厳しい環境の中で役所に並ぶということをせずに、いろいろな手続ができることにもなりました。これは今後、どの日本の地域で発災するか分からないということもあり、防災部局を含めてしっかり告知していきたいと思います。さらに、今、実証実験をやっている、いわゆる外で倒れて救急車が来たときに、救急隊員がマイナンバーカードに搭載されているマイナ保険証を確認して、アレルギーや治療歴などを確認し、適切な治療ができるということで、まさに命が助かったり、後遺症が減ったりなど、そういうことも考えられます。さらに、Netflixのドラマで地面師が大変話題になりましたが、その一番の問題はなりすましであり、作中ではマイナンバーカードの偽造が取り上げられていました。実際には、対面のマイナンバーカードの確認アプリをデジタル庁が作っておりますので、例えばマイナンバーカードで本人確認すると、作中にあるようなところは完全に見破れるということもありますので、今後活用はどんどん進んでいくだろうと思っております。

(問)課題やマイナス面、もう少しこの辺はしっかりやっていかなければいけないという点があればお願いします。

(答)課題でいうと、やはりUI/UXだと思います。スマホを使いこなしている人から見ればすごく便利ですが、ガラケーしか使っていない人から見ると少しハードルが高いといったところもあります。紐付けと言っても、どこでどう紐付ければいいのかという声もあり、そういったことは、先ほど申し上げた、例えば薬局の端末で簡単に紐付ができるなど。あとは今後、スマホ搭載されていくとか、マイナンバーカードそのものが、例えばこれはWeb3.0のブロックチェーンの技術ですが、そのものでチャージして支払うというようなユーザー体験ができるようにということもありますので、この辺は丁寧にやっていくということと、テクノロジー含めUI/UXを改善して、誰もが意識せずに使えるようにしていくというところが課題だろうと思っています。

(問)能動的サイバー防御について、本日行われた有識者会議で政府への提言がまとめられました。改めて、この能動的サイバー防御を導入する意義について、大臣はどのように考えているか。また、通信の秘密との関係で今後、整合性をどのようにとっていくのかが一つ課題になっていくと思います。この辺の今後の課題について、大臣のご所見をお伺いします。

(答)昨年、名古屋港がランサムウェアの攻撃で72時間機能停止になったことは記憶に新しいと思います。やはりいろいろな悪いことをする人たちがこの世界にはいるし、時として、それは国家を背景にした攻撃が疑われるような事例も増えてきたわけであります。その時代に対応して、日本も適切に法律を整備して、いわゆる防御力・対応力を高めていかなければいけないというのはまさに喫緊の課題、待ったなしだろうと思います。また、ロシアのウクライナに対する侵略戦争においても、サイバー空間でいろいろな工作をされたといったことも有識者から指摘されているところであります。ですので、こういった法律をしっかりつくって対応力を高めていくことが極めて重要だと思います。また、そうした意味で憲法の通信の秘密というご指摘がありましたが、今日の有識者会議でも、コミュニケーションを見る必要はないというくくりがありますので、通信の秘密とぶつかるのではないかという話になると、もしかしたら通話が聞かれるのか、SNSの会話の中身が見られるのか、というご不安を持つ方もいらっしゃると思いますが、今回の法律に関しては全くそういうことがありませんので、コミュニケーションに関わるところは一切モニタリングする法律ではありません。通信の機械的な記録のところを見るということですので、そういったことも丁寧に広報してまいりたいと思っています。

(問)昨日、オーストラリアの議会で、子供のSNS利用を禁止する法案が可決されました。デジタル大臣として、この法案についての所感と、国内での法整備の必要性についてお考えをお聞かせください。

(答)大臣になる前に、オーストラリア政府とはサイバーセキュリティに関して、大使館を中心にいろいろな意見交換をさせていただいたこともあります。選挙に対するSNSを活用した外国からの介入にオーストラリア政府は関心を持ち、対策をしてきたところだと思いますので、政府として、SNSの功罪は深く考察されているんだろうと思います。その上で、法案の詳細が分からないものですから、おそらくいろいろな条件がついた上で禁止となっているんだろうと思います。新聞報道によれば、16歳以下はやってはいけません、SNS禁止というような話も出ていますが、まず一つ感想としては、かなり思い切った政策的なオプションだと思いますので、オーストラリアのような、我々と価値観を共有している国がそういった政策的なオプションを導入するに至ったという議論の経緯をよく分析したいと思います。その上で、直ちにSNSを規制するかといえば、これは専ら総務省の議論になると思いますが、デジタル大臣の立場で感想の範囲でお話をすれば、すぐにSNS禁止ということにはならないと思いますが、繰り返しになりますが、オーストラリアの中身をよく見て、参考にできるところは日本国政府としても参考にすべきだと思っております。

(問)富山県が、マイナンバー紐付け誤りが新たに53件見つかったと公表しています。昨年のマイナンバー総点検で、富山県の紐付けミスは3件でした。総点検後に自主点検されたということで、率にすると17.6倍に広がっています。以前、長野県でも同様の調査があり、他の都道府県でもこういった点検をするとたくさん出てくるのではないかと不安になっています。他の自治体の調査も含めて公表すべきだと思いますが、ご見解をお伺いします。

(答)富山県の事例のお尋ねであります。これは、政府のマイナンバー総点検とあわせて、その後も自主点検も含めて、全体でこういう紐付けの誤りをなくしていくという取組であり、その一環として発見された。中身を見ると、まず申請者が記入するときに間違っていましたということと、更には役所側が登録をする際に間違っていましたということですから、私はこの事例を見れば、やはりデジタル化をしっかり進めていかなければいけないという思いを強くしたところであります。また、今ご指摘の全部調べた内容を公表すべきではないかということですが、先ほど申し上げた、いわゆる総点検と自主点検を組み合わせながら、こういった紐付けを常にチェックして誤りを直していくということは、人が介するとゼロにはなりませんので、不断に進めていかなければいけませんし、それに対するガイドラインも発出しているところであります。ですので、このガイドラインに基づいて自治体の皆さんには対応していただきたいと思いますし、自治体等の各紐付けの実施機関において、公表の要否を検討いただくということになっていますので、各自治体で対応いただくというのが基本姿勢であります。その基本姿勢に現時点で変わりはありません。

(問)富山の資料では、政府の総点検では精神医療を全く点検対象としていませんが、今回、精神医療の点検で増えたことから、政府の点検自体に不備があったと言わざるを得ません。不備を認めて、自主点検も含めてやっていくという決意をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

(答)今のご指摘を受けて、私自身ももう一度確認した上で、必要があることはデジタル庁としても対応したいと思います。

(以上)