平大臣記者会見(令和7年1月7日)
平デジタル大臣記者会見要旨
(令和7年1月7日(火)10時25分から10時38分まで 於:オンライン)
1. 発言要旨
1月9日(木)に愛媛県宇和島市で開催するAIアイデアソンに参加するため、宇和島市に出張いたします。併せて、宇和島市内のデジタル関係の取組を視察させていただく予定です。
宇和島市で開催する今回のAIアイデアソンは、昨年11月に、東京都と連携して実施しました、AIアイデア・ハッカソンに続く第2弾としての位置付けであります。
AIアイデアソン・ハッカソンは、業務上の課題についてAIを活用して生産性改善に繋がるアイデアを出し、専門家がそのアイデアを実現するためのプロトタイプ開発などを行うものであります。
昨年11月に実施した第1弾では、行政職員から持ち込まれた様々な課題に対するAI活用のアイデアと、エンジニアの技術力や熱意によって、わずか5時間の間に問合せ対応や資料作成支援などに関する38個のプロトタイプが作成されました。現在は、作成されたプロトタイプについて、デジタル庁での順次実装を目指して安全性などの検証を重ねているところです。
宇和島市で実施する第2弾の特徴は、2030年の自治体業務フローを創るAIアイデアソンということで、目先の業務ではなく5年先10年先を見据えて、部署横断的な自治体の業務改善や地域課題の解決を実現する生成AIの活用案についてワークショップで議論する予定です。AIを活用して業務のやり方やフローを変え、将来的に人口減少していく中でも行政サービスのクオリティを維持・向上することに繋がるアイデアが出てくることを期待しております。
また、宇和島市では、AIを活用した養殖経営DXの取組を行っており、その現状や課題について確認したいと考えております。
2. 質疑応答
(問)年末年始にかけて銀行や航空会社など、重要インフラのサイバー攻撃が相次ぎましたが受け止めをお願いします。また、石破首相は昨年末のインタビューで、能動的サイバー防御の関連法案について1月24日(金)開会予定の通常国会に提出するとし、早期の成立を図るとの意気込みを語っていますが、こちらについての受け止めもお願いします。
(答)昨年12月26日(木)にJALに対するサイバー攻撃があり、一部のフライトが欠航するなどしたほか、その後、年始にかけて金融機関、通信事業者、航空運送事業者等にもサイバー攻撃が行われ、一部のサービスに支障が出るなどの影響が生じたものと承知しております。NISCをはじめとする関係省庁においては、相互に協力し、状況の迅速かつ正確な把握のための情報収集を行うとともに、必要に応じ重要インフラ事業者等に対する注意喚起等を実施しています。今後とも、サイバー空間の状況把握のため、脅威動向に応じた対策については、広報啓発等を行うことにより、適切なサイバーセキュリティ対策を推進していきたいと思っております。また、能動的サイバー防御の関連法案については、石破総理が通常国会で提出する、早期の成立を図るとした報道があったことは承知しています。年末年始に発生した重要インフラのサイバー攻撃への対応をはじめ、我が国のサイバー対応能力向上はますます急を要する課題と認識しておりますので、担当大臣としては早期の法案提出に向け、今現在最大限の努力をしているところであります。
(問)大臣として今年1年どのような年にしていきたいかという抱負と、デジタル庁以外にも様々な所管があるが、特に今年重視したい政策や課題等をお聞かせください。
(答)年頭所感は、デジタル庁ウェブで昨日公開させていただきました。まず、マイナンバーカードの利用シーンの拡大に取り組んでいきたいと思います。マイナ保険証が広く活用されるようにということとあわせて、今年は免許証との連携、Appleのスマートフォン(iPhone)搭載も始まります。マイナンバーカードの機能、また、その利便性を広く実感していただける1年にしていきたいと思っております。また、経済成長の文脈では、データドリブンエコノミーになっていく中で、個人情報保護は3年ごとの見直しということになっておりますが、情報の活用、データの活用のところが日本は法整備が足りないという認識を私自身は持っておりますので、これはデジタル行財政改革の部署に、今年の中頃を目途に、データ戦略、こういったものの方向性をまとめるよう指示し、今その会議体が動き出したところですので、データの利活用も広く経済界や国民の皆さんに、なるほどこうやってデータは利活用すればいいのか、といった方向性はしっかり示していきたいと思っております。また、AIの進化が今年少し読みにくいと思うんです。一昨年ChatGPTが出てきましたが、おそらく今年は、×ロボティクスのような話にもなりますし、また、汎用型人工知能(AGI)が早い人によると年内に実現するのではないかという人もいますし、こういったAGIの動向、さらにはスーパーインテリジェンスも今議論されています。まずは私の立場からすると、行政改革の担当大臣でもあり、デジタルの担当大臣でもあり、AIに関する競争力強化と安全性確保に向けた取組を進めることになっておりますので、先程申し上げたAIアイデア・ハッカソンなどを通じて、これは行政においては大変効果がありますので、様々な分野でのAIの実装、こういったものをしっかり進めていくことによって、ああ、なるほど、政府でもこのように実装されているのかということで、民間事業者の皆さんにもご活用いただけるようにしていきたいと思っています。また、地方創生2.0の文脈では、伊東良孝担当大臣でありますが、デジタル大臣としては、ブロックチェーンの活用、いわゆるNFTやDAOを活用して地方創生2.0に貢献していきたいと思っていますし、一番新しい動きは、いよいよ先程AI×ロボティクスという話をしましたが、いよいよAI×Web3.0といった議論も世界的には巻き起こっていますので、こういった最新のトレンドは私の方でキャッチして、政府全体の政策に生かせるように情報を提供していきたいと考えております。
(問)昨年末のAI戦略会議で、石破首相から新たな法案の国会への早期提出を目指すといった趣旨の発言がありました。AIに関して、政府による調達利用ガイドラインの整備を行うといった説明もありましたが、デジタル庁としてどのように関わっていくのか、またAI法整備の必要性について、お考えをお聞かせください。
(答)AIの法整備については、担当が城内実大臣になっておりますので、城内大臣と協力して進めていきたいと思います。私は、総理指示は、AIの競争力強化と安全性の確保について、担当大臣と協力して取り組むよう指示をいただいておりますので、総理指示のとおりやっていきたいと思います。AIの法案については、城内大臣ですが、私の問題意識は、自民党のAIプロジェクトチームの時にも申し上げた、世界一AIフレンドリーな日本国家を目指していく、ということです。それはヨーロッパのようにAIで包括的な規制をハードローでやるということではなくて、できるだけ既存の法律、もしくはガイドラインで対応すると。これからいわゆる巨大なファウンデーションモデル、最先端のAIがどのように進化するかわからない、その進化次第では国民生活、社会生活、また様々なリスクを生み出す可能性がありますので、そこはしっかりとハードローで規制すべきというのが、私がAIのプロジェクトチーム、自民党で出したホワイトペーパーです。私の考え自体は変わっていません。その上で申し上げると、本当にAIの進化が激しく、去年、一昨年とは少し議論が変わっていて、おそらくシナリオが4つほどあって、専門家も意見が分かれるといったことになっていますので、そういったいくつかのAIの進化のシナリオを、政府なりローメーカーがしっかり認識した上で、どれだけアジャイルに規制のデザインができるかというところにかかっているだろうと思いますので、その辺はアンテナを高くしてやっていきたいと思います。デジタル庁、またデジタル大臣としての取組は、先程申し上げたAIアイデアソン・ハッカソンなどを通じて、AIの実装をまずデジタル庁から、もしくは政府からやっていくということと、あとは調達のガイドライン、これはデジタル庁として本年春を目途に、政府の調達利活用のガイドラインを整備していきたいと考えております。
(以上)