平大臣記者会見(令和7年2月7日)
平デジタル大臣記者会見要旨
(令和7年2月7日(金)8時35分から8時47分まで 於:参議院・本会議場中庭側)
1. 発言要旨
まずDeepSeek等の生成AIの業務利用に関する注意喚起についてお知らせいたします。昨日2月6日、各省庁等に対して「DeepSeek等の生成AIの業務利用に関する注意喚起」を行いましたので、お知らせしたいと思います。
政府端末における生成AIの業務利用に際しては、要機密情報を扱う場合は、定型約款等への同意のみで利用可能となる外部サービスの利用はできない、要機密情報を扱わない場合も、各省庁等でリスクを十分踏まえ、利用の可否を判断するとともに、必要な措置についてNISC及びデジタル庁に助言を求めることとなっており、今回の注意喚起は、これらの対応を改めて徹底するものであります。
詳細については、NISC又はデジタル庁の事務方にお尋ねください。
続きまして、サイバー安全保障担当大臣として、本日の閣議において「重要電子計算機に対する不正な行為による被害の防止に関する法律案」、いわゆる「サイバー対処能力強化法案」と、同法の施行に伴う整備法案について閣議決定をしましたので、お知らせいたします。
まず、「サイバー対処能力強化法案」は、国家及び国民の安全等の観点から重要な電子計算機に対するサイバー攻撃による被害の防止のため、令和4年12月の国家安全保障戦略と、昨年11月の有識者会議の提言を踏まえ、基幹インフラ事業者によるサイバー攻撃のインシデント報告等、また、攻撃の実態を把握するための通信情報の利用、政府による情報の整理分析結果の官民への提供、通信情報の利用に関する審査、検査等を行う独立機関の設置等について定めることを内容とするものであります。
次に「整備法案」は、重大な危害を防止するための警察官又は自衛官によるアクセス・無害化の措置に関する関係法律の規定を整備するとともに、サイバーセキュリティ基本法その他の改正を行うものです。
これにより、国家安全保障戦略に定めた「サイバー安全保障分野での対応能力を欧米主要国と同等以上に向上させる」ことに向けた制度や体制の整備に一定の目途がつくものと考えています。
政府としては、国会審議に丁寧に対応し、両法案の早期成立に努めてまいります。
2. 質疑応答
(問)ACD法案の閣議決定について、自民党内からは一刻も早く整備しないと日本人の暮らしが危ないという声も上がっているが、見解をお聞かせください。
(答)昨年末、飛行機や金融機関、また通信事業者など重要インフラ事業者に対するサイバー攻撃があり、皆さんもかなりご不便を感じたり、身近にそういった脅威を感じていらっしゃるだろうと思います。世界を見ても国家を背景としたサイバー攻撃と思われる事象がかなり多く見られますし、また、その攻撃の仕方も進化しているということもあり、この法律はできるだけ速やかに成立させた上で、実際にサイバーセキュリティの能力を高める実行段階に入っていくべきだろうと私自身も思っております。
(問)同じく能動的サイバー防御導入の法案についてお伺いします。野党側から、憲法で保証する通信の秘密との整合性が図られているのか厳しくチェックするというような発言も出ています。国民からしても、この法案が導入されることでどういうことが行われるのかが分かりづらいところもあり、国会審議の中でそういった懸念の声に対して、大臣としてどのように答えていくお考えか、お聞かせください。
(答)両法案は、今国会に提出しますが、できるだけ早く成立させてサイバーセキュリティの能力を高めていく必要があるというのは今申し上げたとおりであります。能動的サイバー防御における、分析する通信情報の範囲に関しては、昨年11月に有識者会議からいただいた提言において、重大サイバー攻撃対策のために個人のコミュニケーションの本質的な内容は特に分析する必要はない、また、メールの中身を逐一すべて見るようなことは重大サイバー攻撃の対策として適当ではないという考え方が有識者会議で示されています。また、通信情報の取得、及び情報処理のプロセス全体の規律を定め、これを遵守させるために独立機関の監督が重要である旨が示されています。これは先進国でも共通の考え方であります。こういったことも踏まえて、今般閣議決定した法案は、これらの先ほど言った提言などを踏まえたもので、憲法に定められた通信の秘密との整合性は図られているものと認識しております。国民の皆さんには、何か通話が聞き取られるのではないかや、メールの中身が見られるのではないかというように心配される方もいらっしゃると思いますが、そういったコミュニケーションの本質的なものは一切見ないし、見る必要もないという考え方に立っております。見るのは専らソフトウェアであったり、コマンドであったり、IPアドレス、要はアルファベットと数字の文字列とかそういうものですので、その辺も含めて全体の仕組みや、具体的にどういうことをやるのかというのは、丁寧に説明してご理解いただけるように努めていきたいと思っております。
(問)能動的サイバー防御法案の閣議決定について、法案では、政府が通信情報を取得・分析する際に対象を機械的情報に限定し、メールの中身など通信の本質的な中身を除外すると規定していますが、憲法が定める通信の秘密への配慮と、効果的なサイバー防御対策との両立を図る上で、こうした制度のあり方をどう考えるか。また、官民連携の強化に向けて、民間企業の理解と協力をどう得ていくのか。制度を監督する独立機関、中立公正な運営をどう担保していくのか。お考えを伺いたい。
(答)まず、通信の秘密に関しては先ほど申し上げたとおりで、そういったコミュニケーションの本質には関わらない情報を機械的に分別して、仕分けして、分析する、それ以外は即廃棄するという形でしっかり通信の秘密が守られるようにしてまいりたいと思っております。その全体のプロセスを含めて独立性の高い、いわゆる三条委員会を組織して、それを監視する。必要があれば調査し、勧告するという仕組みを作るということであります。また、国会の報告なども想定しているところです。重要インフラ事業者につきましては、おそらく民間の側でもこういったサイバー攻撃に対する関心は高まってきていると思いますので、これWin-Winでなければなかなか協力も得られないと思いますので、その辺の仕組みをしっかり作り込んでありますので、事業者の皆さんともよくコミュニケーションを取って、協力を得られるようにしてまいりたいと思っております。
(問)本日の読売新聞朝刊に、読売新聞と講談社による書店振興に関する提言が掲載されました。大臣のご所感とデジタル庁として今後書店活性化に向けていかに対応されるかを教えてください。
(答)すみません、詳細にはまだ見ていないですが、読売新聞でそういったキャンペーンを張られていることは承知しています。デジタル大臣として私は何でもデジタルであればいいとは思ってなくて、アナログの価値を最大化するためのデジタル化やDXというのは大事だというのは、場面場面でお話していると思います。書店については、やはりネットだと絞り込んできたり、AIで自動的にレコメンドされる。でも書店は主体的に、偶然、セレンディピティみたいな、幸運な偶然みたいなものもあったりして、アナログの価値というのはデジタル化が進んでも色褪せるものではないと思っておりますので、書店の活性化については、本来の価値を見極めていただいて、最大化するということだと思います。専ら、経産省かと思いますので、齋藤前大臣が力を入れていたことは承知していますので、デジタル庁として何ができるかは、またデジタル庁内で議論したいと思います。
(問)アクティブ・サイバー・ディフェンスについて。日本側が諸外国に対して無害化措置をすることについて、先制攻撃にあたるのかどうかという議論がありますが、大臣、政府としての見解をお願いします。
(答)先般の有識者会議でも専門家からご提案があり、いわゆる日本でいうところの緊急避難、necessityと英語で言うらしいですが、緊急状態ということですが、それによる違法性の訴却ということが提案されています。そういった国際法理を活用することで十分国際的にも理解が得られるだろうと思っています。
(問)無害化する基準と合わせて今後検討されていくと思うのですが、改めて、法整備のスピード感の必要性という点について、どのようにお考えでしょうか。
(答)やるべきかどうかというのは、まさに非常に重大な被害が起きる可能性がある、それ以外に方法がない、危機が差し迫っているなどいろいろな条件がありますので、その辺を厳格に判断し、事前に第三者委員会の承認を得て行うことになります。ですから、第三者委員会の方でもある程度そういった承認プロセスが入っていくということだと思います。緊急性については、やはり国際情勢を見れば、また、日本でもいろいろな被害が起きていますので、できるだけ早く法案を成立させ、法案に沿って体制を整備していきたいと思っております。
(以上)