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デジタル庁新型インフルエンザ等対応業務継続計画

計画の概要

デジタル庁新型インフルエンザ等対応業務継続計画は、新型インフルエンザ等(新型インフルエンザ等対策特別措置法(平成24年法律第31号)第2条第1号の「新型インフルエンザ等」をいう。)発生時においても、想定される社会・経済の状況を踏まえ、デジタル庁がその機能を維持し必要な業務を継続するために講ずべき措置をあらかじめ定めることを目的としています。
詳細は資料をご確認ください。

第1章 基本的な考え方

1-1 目的

新型インフルエンザは、毎年流行を繰り返してきたインフルエンザウイルスとウイルスの抗原性が大きく異なる新型のウイルスが出現することにより、およそ10年から40年の周期で発生している。今般の新型コロナウイルス感染症においても見られたとおり、ほとんどの人が新型のウイルスに対する免疫を獲得していないため、世界的な大流行(パンデミック)となり、大きな健康被害とこれに伴う社会的影響をもたらすことが懸念されている。また、未知の感染症である新感染症の中でその感染力の強さから新型インフルエンザと同様に社会的影響が大きいものが発生する可能性がある。このため、発生時においては、感染拡大を可能な限り抑制し、国民の生命及び健康を保護するとともに、国民生活及び国民経済に及ぼす影響を最小となるようにすることが必要である。
デジタル庁においては、新型インフルエンザ等(新型インフルエンザ等対策特別措置法(平成24年法律第31号。以下「特措法」という。)第2条第1号の「新型インフルエンザ等」をいう。以下同じ。)の発生時においても、新型インフルエンザ等対策に関する業務を実施するほか、国としての意思決定機能を維持し、最低限の国民生活の維持等に必要な業務を円滑に継続することが必要であるとともに、地方公共団体等、国民への情報提供や支援を混乱することなく適切に行うことが求められる。
デジタル庁新型インフルエンザ等対応業務継続計画(以下「本計画」という。)は、新型インフルエンザ等発生時においても、想定される社会・経済の状況を踏まえ、デジタル庁がその機能を維持し必要な業務を継続するために講ずべき措置をあらかじめ定めることを目的とする。

1-2 背景

デジタル庁においては、首都直下地震を想定した「デジタル庁業務継続計画」を策定しているが、地震災害と新型インフルエンザでは、被害の態様やそれを踏まえた対応が相当異なることから、平成26年3月に策定された「新型インフルエンザ等対応中央省庁業務継続ガイドライン」を踏まえ、本計画を策定することとする。

1-3 実施体制

1-3-1 平常時の体制

デジタル庁は、新型インフルエンザ等の発生に備え、新型インフルエンザ等に関する関係省庁対策会議等に参画し、関係府省と一体となった取組及び情報交換等を行うとともに、本計画に基づき、新型インフルエンザ等対策を総合的に推進することとする。
また、本計画の内容について庁内で意思統一を図るとともに、新型インフルエンザ等の発生に伴う事態に適切かつ迅速に対応するため、デジタル大臣を本部長とするデジタル庁新型インフルエンザ等対策本部(以下「デジタル庁対策本部」という。)を設置する体制を整備するものとする。なお、デジタル庁対策本部の構成、会議、事務局その他必要な事項については、別紙に定めるところによる。

1-3-2 新型インフルエンザ等発生時の体制

新型インフルエンザ等が発生した場合、特措法第15条第1項に基づき新型インフルエンザ等対策本部(以下「政府対策本部」という。)が設置され、基本的対処方針の決定等が行われる。また、内閣官房には、内閣官房副長官補(内政)を長とする新型インフルエンザ等対策本部事務局(以下「政府対策本部事務局」という。)が組織され、各種対策の調整等が行われる。
デジタル庁においては、政府対策本部事務局と緊密な連携を図りつつ、デジタル庁対策本部を開催して速やかに本計画の発動を決定する。各部局(デジタル庁組織令(令和3年政令第192号)に規定する統括官を長とする組織の単位をいう。以下同じ。)は、あらかじめ定める人員体制等により、本計画に基づき、一部の業務を縮小して、必要な業務を遂行する。
なお、本計画に基づく業務遂行に際しては、新型インフルエンザ等の発生段階に応じ、職場における感染対策や継続すべき業務内容を変更するなど、実際の状況に応じて弾力的な運用を行うものとする。

1-4 業務継続計画の基本方針

新型インフルエンザ等が発生した場合、国民生活及び国民経済に及ぼす影響が最小となるようにするため、デジタル庁における新型インフルエンザ等対策に関する業務や最低限の国民生活の維持等に必要な業務を中断することなく、適切な意思決定に基づき継続することが求められる。
一方、新型インフルエンザ等発生時には、多くの職員が本人のり患や家族の看病等のため休暇を取得する可能性があり、また、感染者と濃厚接触した職員についても外出自粛を要請され、出勤出来なくなる可能性がある。さらに、新型インフルエンザ等の感染拡大時には、業務に必要な物資やサービスの確保が困難になる可能性がある。
本計画は、職員の生命・健康を守りつつ、必要な業務を継続するために、職場における感染対策を徹底するとともに、業務の絞り込みを行い、真に必要な業務に資源を集中させることを基本として策定する。

1-5 被害状況等の想定

政府行動計画(特措法第6条第1項に基づき、政府が定める新型インフルエンザ対策の実施に関する計画をいう。以下同じ。)においては、現時点における科学的知見や過去に世界で大流行したインフルエンザのデータを参考に、一つの例として次のように想定されている(なお、新型コロナウイルス感染症に関するデータの事後的な検証等に基づき、必要に応じて見直しを行う。)。

  • 全人口の25%が新型インフルエンザにり患すると想定した場合、医療機関を受診する患者数は、約1,300万人から約2,500万人と推計。
  • 入院患者数及び死亡者数については、この推計の上限値である約2,500万人を基に、過去に世界で大流行したインフルエンザのデータを使用し、アジアインフルエンザ等のデータを参考に中等度を致命率0.53%、スペインインフルエンザのデータを参考に重度を致命率2.0%として、中等度の場合では、入院患者数の上限は約53万人、死亡者数の上限は約17万人となり、重度の場合では、入院患者数の上限は約200万人、死亡者数の上限は約64万人となると推計。
  • 全人口の25%がり患し、流行が各地域で約8週間続くという仮定の下での入院患者の発生分布の試算を行ったところ、中等度の場合、1日当たりの最大入院患者数は10.1万人(流行発生から5週目)と推計され、重度の場合、1日当たりの最大入院患者数は39.9万人と推計。
  • また、新型インフルエンザ等による社会への影響の想定には多くの議論があるが、過去に世界で大流行したインフルエンザのデータ等を参考とした場合、以下のような影響が一つの例として想定されている。
  • 国民の25%が、各地域ごとに流行期間(約8週間)の中でピークを作りながら順次り患する。り患者は1週間から10日間程度り患し、欠勤。り患した従業員の大部分は、一定の欠勤期間後、治癒し(免疫を得て)、職場に復帰する。
  • ピーク時(約2週間)に従業員が発症して欠勤する割合は、多く見積もって5%程度と考えられるが、従業員自身のり患のほか、むしろ家族の世話、看護等(学校・保育施設等の臨時休業や、一部の福祉サービスの縮小、家庭での療養などによる)のため、出勤が困難となる者、不安により出勤しない者がいることを見込み、ピーク時(約2週間)には従業員の最大40%程度が欠勤するケースが想定される。

本計画は、これら被害状況等の想定に基づき策定するものであるが、新型インフルエンザ等の流行規模や被害の程度は、出現した新型インフルエンザ等の病原性や感染力等に左右されるものであり、現時点で予測することは難しいことから、実際には、被害の状況や事態の進行に応じて柔軟に対応するものとする。

第2章 新型インフルエンザ等発生時における業務継続

2-1 業務継続の基本方針

2-1-1 デジタル庁に求められる役割

デジタル庁においては、国民の生命及び健康を保護し、並びに国民生活及び国民経済に及ぼす影響が最小となるようにするため、適切な意思決定に基づき、政府行動計画等で取り組むこととされている業務であって、新型インフルエンザ等の発生により新たに発生し、又は業務量が増加するもの(以下「強化・拡充業務」という。)を優先的に実施するとともに、最低限の国民生活の維持等に必要な業務であって、一定期間、縮小・中断することにより国民生活、経済活動や国家の基本的機能に重大な影響を与えることから、国内感染期であっても業務量を大幅に縮小することが困難なもの(以下「一般継続業務」という。)を継続することが求められる。

2-1-2 業務継続の基本方針

デジタル庁が、上記の役割を十分に果たすためには、職員の生命や健康を確保するとともに、必要な業務を継続するために万全の対策を講じることが必要である。
このため、強化・拡充業務及び一般継続業務(以下「発生時継続業務」という。)を優先的に実施及び継続できるよう、必要な人員、物資、情報入手体制、相互連携体制等を確保するものとする。特に人員については、状況に応じて、次の考え方により、発生時継続業務以外の業務を一時的に大幅に縮小又は中断し、その要員を発生時継続業務に従事する職員が欠けた場合の代替要員として確保するものとする。

  • 発生時継続業務以外の業務のうち、感染拡大につながるおそれのある業務については、極力中断する。
  • 特に不特定多数の者が集まる場を設定する業務(説明会、審議会等)については、インターネットや電子メールの活用など代替手段を検討し、それが困難な場合には、中止又は延期する。
  • 発生時継続業務を適切に実施・継続するため、職場における感染対策を徹底し、交代制勤務など感染リスクを低減させるための勤務体制を工夫する。
  • 感染リスクが高いものの、やむを得ず継続することが求められる業務については、より感染リスクの低い実施方法への変更等を検討する。

2-2 業務の仕分け

2-2-1 強化・拡充業務

政府行動計画等で取り組むこととされている業務であって、新型インフルエンザ等の発生により新たに発生し、又は業務量が増加するものであり、デジタル庁においては、以下のものが考えられる。

  • 新型インフルエンザ等発生時の社会・経済の混乱防止、地方公共団体等に対する支援等の業務
  • 新型インフルエンザ等対策に関する情報収集・分析、連絡調整
  • 感染対策業務(マスク、消毒液の配布・補填、感染媒介の懸念がある箇所の消毒、訪問者の入館規制、面談場所の制限等)
  • 広報関係業務
  • 新型インフルエンザ等発生時における緊急の法令の改正等に関する業務
2-2-2 一般継続業務

最低限の国民生活の維持等に必要な業務であって、一定期間の業務縮小・中断によって、国民生活、経済活動や国家の基本的機能に重大な影響を与えることから、国内感染期であっても業務量を大幅に縮小することが困難なものであり、デジタル庁においては、以下のものが考えられる。

  • 発生時継続業務を継続するための環境を維持するための業務(物品購入、規約、安全・衛生、庁舎管理の対応等)
  • 予算関連業務等(予算・決算、税制、組織・定員、会計検査への対応等)
  • 国会関連業務(質問・資料要求への対応等)
  • デジタル庁が所管するシステムの保守・運営
    なお、一般継続業務であっても、国内感染期の行政需要の低下により、一定期間の休止や業務量縮小したりすることが可能なものがあり得ることから、業務内容や作業手順を精査し、より少ない人員により短時間で効率的に実施するための工夫を行う。
2-2-3 発生時継続業務以外の業務(縮小・中断業務)

縮小業務(中長期的な施策の検討に関する業務や新型インフルエンザ等の流行により社会及び経済が停滞する中で需要が減少すると見込まれる業務)・中断業務(延期したとしても国民生活に直ちに影響を与えるおそれが少ない業務)については、状況に応じて、発生時から段階的に業務を縮小し、国内感染期には可能な限り中断することとする。なお、各部局においては、あらかじめその場合の縮小・中断の手順や国民及び関係者への周知方法を検討するものとする。

第3章 人員、物資等の確保

3-1 指揮命令系統の確保

新型インフルエンザ等発生時に、業務上の意思決定者である幹部がり患する場合も想定し、意思決定の停滞を防ぐため、各部局等においては、発生時継続業務に携わる幹部については、感染リスクを極力抑えるような対策を講じるとともに、当該幹部がり患し、職務執行が困難となった場合の代行者を確保するとともに、幹部と代行者が同時にり患しないよう、交代で勤務する等の措置を講ずる。

3-2 人員の確保

各部局においては、発生時継続業務の遂行に必要となる人員を確保するための計画をあらかじめ策定する。
当該計画においては、学校・保育施設等の臨時休業や介護サービスの不足により家族の都合で出勤困難となる可能性のある職員や発生時継続業務の遂行のために必要となる専門知識・特殊技能等を有するなど代替が困難な職員を具体的に把握し、職員の欠勤率を40%と想定する一方、強化・拡充業務について業務量が増加しても全体が機能するように策定する。
その際、通勤時や勤務時の感染機会を低減するため、時差出勤や自転車・徒歩等による出勤について検討を行う。

3-3 物資・サービスの確保

庁舎管理や警備、清掃・消毒業務、各種設備の点検・修理、消耗品の供給等、新型インフルエンザ等発生時においても継続して確保することが必要な物資・サービスについて、提供事業者に対し、事業継続に向けた協力を要請する。当該事業者自体の事業継続が困難と判断される場合を想定し、あらかじめその代替策を検討する。また、業務継続に必要な物資については計画的に備蓄を進める。

3-4 情報システムの維持

新型インフルエンザ等発生時においては、海外からの情報収集、国民や事業者、関係機関などへの情報発信が重要となるため、情報システムの維持は不可欠であることから、デジタル庁が自ら利用する情報システムはもとより、デジタル庁が運用する他の全ての情報システムの整備及び管理にも万全を期し、感染拡大によるオペレータ、受託事業者の庁舎内常駐者、機器の故障が発生した場合のメンテナンスサービスなどの不足等も想定して措置を講ずる。

第4章 感染対策の徹底

新型インフルエンザ等の感染経路は、現段階で特定することはできないものの、飛沫感染及び接触感染が主な感染経路であると推測されていることから、デジタル庁においては、飛沫感染及び接触感染を想定した感染防止対策を確実に講ずる。

4-1 職場での感染対策

参事官(総務担当)及び各部局においては、庁舎内における感染対策について、適切に実行できるよう、感染対策実施責任者、感染対策業務に従事する職員等をあらかじめ明確にする。
なお、基本的な感染対策としては、以下の事項が考えられる。

  1. 咳エチケット
  2. マスク着用
  3. 手洗い
  4. 対人距離の保持
  5. 清掃・消毒
1. 咳エチケット

風邪などで咳やくしゃみがでる時に、他人にうつさないためのエチケット。感染者がウイルスを含んだ飛沫を排出して周囲の人に感染させないように、咳エチケットを徹底することが重要である。

  • 方法
    • 咳やくしゃみの際は、ティッシュなどで口と鼻を被い、他の人から顔をそむけ、できる限り1から2メートル以上離れる。 ティッシュなどがない場合は、口を前腕部(袖口)で押さえて、極力飛沫が拡散しないようにする。前腕部で押さえるのは、他の場所に触れることが少ないため、接触感染の機会を低減することができるからである。呼吸器系分泌物(鼻汁・痰など)を含んだティッシュは、すぐにゴミ箱に捨てる。
    • 咳やくしゃみをする際に押さえた手や腕は、その後直ちに洗うべきであるが、接触感染の原因にならないよう、手を洗う前に不必要に周囲に触れないよう注意する。手を洗う場所がないことに備えて、携行できる速乾性擦式消毒用アルコール製剤を用意しておくことが推奨される。
    • 咳をしている人にマスクの着用を積極的に促す。マスクを適切に着用することによって、飛沫の拡散を防ぐことができる。
2. マスク着用

患者はマスクを着用することで他者への感染を減らすことができる。他者からの感染を防ぐ目的では、手洗い等との組み合わせにより一定の予防効果があったとする報告もあるが、インフルエンザの予防効果に関する賛否が分かれており、科学的根拠は未だ確立されていない。

  • 方法
    • マスクは表面に病原体が付着する可能性があるため、原則使い捨てとし(1日1枚程度)、捨てる場所や捨て方にも注意して、他の人が触れないようにする。
    • 新型インフルエンザ発生時に職場で使用するマスクとしては、不織布製マスクの使用が推奨される。
    • 不織布製マスクには、製品の呼称として家庭用と医療用(サージカルマスク)に分類されるが、新型インフルエンザ流行時の日常生活における使用においては、家庭用と医療用はほぼ同様の効果があると考えられる。
    • N95マスク(防じんマスクDS2)のような密閉性の高いマスクは、日常生活での着用は想定されないが、新型インフルエンザの患者に接する可能性の高い医療従事者等に対して勧められている。これらのマスクは、正しく着用できない場合は効果が十分に発揮されないため、あらかじめ着用の教育・訓練が必要となる。
3. 手洗い

外出からの帰宅後、不特定多数の者が触るような場所を触れた後、頻回に手洗いを実施することで、本人及び周囲への接触感染の予防につながる。流水と石鹸による手洗いは、付着したウイルスを除去し、感染リスクを下げる。また、60から80%の濃度のアルコール製剤に触れることによって、ウイルスは死滅する。

  • 方法
    • 感染者が触れる可能性の高い場所の清掃・消毒や患者がいた場所等の清掃・消毒をした際、手袋を外した後に手洗い又は手指衛生を実施する。
    • 手洗いは、流水と石鹸を用いて15秒以上行うことが望ましい。洗った後は水分を十分に拭き取ることが重要である。速乾性擦式消毒用アルコール製剤(アルコールが60から80%程度含まれている消毒薬)は、アルコールが完全に揮発するまで両手を擦り合わせる。
4. 対人距離の保持

感染者から適切な距離を保つことによって、感染リスクを大幅に低下させることができる。逆に、人が社会活動を行うことで、感染リスクが高まると言える(通常、飛沫はある程度の重さがあるため、発した人から1から2メートル以内に落下する。つまり2メートル以上離れている場合は感染するリスクは低下する)。
患者の入室制限やマスク着用、障壁の設置等も対人距離の保持と同様に感染リスクを低下させるためのものであり、状況に応じて対策を講じることが必要である。

  • 方法
    • 感染者の2メートル以内に近づかないことが基本となる。
5. 清掃・消毒

感染者が咳やくしゃみを手で押さえた後や鼻水を手でぬぐった後に、机、ドアノブ、スイッチなどを触れると、その場所にウイルスが付着する。ウイルスの種類や状態にもよるが、飛沫に含まれるウイルスは、その場所である程度感染力を保ち続けると考えられるが、清掃・消毒を行うことにより、ウイルスを含む飛沫を除去することができる。

  • 方法
    • 通常の清掃に加えて、水と洗剤を用いて、特に人がよく触れる、ドアノブ、スイッチ、階段の手すり、エレベーターの押しボタン、トイレの流水レバー、便座等庁舎共用部分については原則、庁舎管理担当が、各課室内の机、テーブル、椅子等については原則、作業班員(各部局の庶務担当者等。以下同じ。)が、拭き取り清掃する。頻度については、どの程度、患者が触れる可能性があるかによって検討するが、最低1日1回は行うことが望ましい。
    • 発症者の周辺や触れた場所、壁、床、利用した車などは、消毒剤による拭き取り清掃を行う。その際作業者は、必要に応じて市販の不織布製マスクや手袋を着用して消毒を行う。作業後は、流水・石鹸又は速乾性擦式消毒用アルコール製剤により手を洗う。清掃・消毒時に使用した作業着は洗濯、ブラシ、雑巾は、水で洗い、触れないようにする。
    • 消毒剤については、インフルエンザウイルスには次亜塩素酸ナトリウム(※1)、イソプロパノールや消毒用エタノール(※2)などが有効である。消毒剤の噴霧は、不完全な消毒、ウイルスの舞い上がりの可能性、消毒実施者の健康被害につながる危険性もあるため、実施するべきではない。
      ※1:次亜塩素酸ナトリウムは、原液を希釈し、0.02から0.1w/v%(200から1,000ppm)の溶液、例えば塩素系漂白剤等を用いる。消毒液に浸したタオル、雑巾等による拭き取り消毒を行う、あるいは該当部分を消毒液に直接浸す。
      ※2:イソプロパノール又は消毒用エタノール
      70v/v%イソプロパノール又は消毒用エタノールを十分に浸したタオル、ペーパータオル又は脱脂綿等を用いて拭き取り消毒を行う。

4-2 発症者等への対応

  • 新型インフルエンザ様症状のある職員(※)は、病気休暇を取得するよう要請するとともに、併せて、外出自粛を徹底するよう要請する。
    ※「新型インフルエンザ様症状のある職員」の症状については、「38℃以上の発熱・咳、くしゃみ、肺炎等」が想定されるが、新型インフルエンザが実際に発生した場合、その症状については、厚生労働省が速やかに公表する。通常のインフルエンザとの区別がつきにくい可能性がある場合は、インフルエンザ様症状のある職員に対して、病気休暇の取得を要請する。また、症状を有しているにも関わらず病気休暇を取得せず、出勤しようとする職員に対しては、臨時の健康診断として医師の診察を受けさせることができる(人事院規則10-4第21条)。その診断結果により、病気休暇を取得して治療、療養に専念してもらうこととなる。(新型インフルエンザの患者又は新型インフルエンザのウイルスの保有者である場合には、人事院規則10ー4第24条第2項に基づく就業禁止もあり得る。)なお、併せて、外出自粛の徹底を要請する。
  • 濃厚接触者として感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(平成10年法律第114号。以下「感染症法」という。)第44条の3第2項の規定に基づき外出自粛等を要請された職員に対しては、特別休暇の取得を認めるとともに、外出自粛を徹底するよう要請する。
  • 庁舎内において発症者が発生した場合には、以下のとおりとする。
    • 発症者にマスクを着用させるとともに、発症者の状況に応じてマスクなど個人防護具を着用する。
    • 作業班員が海外発生期、国内発生早期であれば近隣の保健所に設置された帰国者・接触者相談センター(以下「センター」という。)に、国内感染期であれば最寄りの病院・診療所に連絡し、対応を確認する。
  • 作業班員は、発症者を医療機関又は保健所の搬送車等により、上記の機関から指示された医療機関に連れて行く。
  • 海外発生期、国内発生早期においては、同じ職場で勤務した者など、発症者と濃厚接触の可能性がある職員については、作業班員がセンターに連絡して、その指示に従うこととし、感染症法第44条の3第2項の規定に基づき外出自粛等を要請された職員に対しては、外出自粛要請の期間(最大7日間)について特別休暇が認められるため、当該職員に特別休暇を請求させる。

第5章 業務継続計画の実施

5-1 発動

国内で新型インフルエンザ等が発生した際は、政府対策本部事務局と緊密な連携を図りつつ、デジタル庁対策本部において本計画の発動を決定して、速やかにあらかじめ定めておいた人員体制等に移行する。
初期段階(海外発生期、国内発生早期)では、発生した新型インフルエンザ等が重篤な場合を想定して、発生時継続業務以外の業務については、必要に応じて縮小・中断する。

5-2 状況に応じた対応

本計画発動後は、事態の進展に応じ、本計画に沿って、人員体制等を変更する。その際、業務遂行上生じた問題等について、デジタル庁対策本部に情報を集約し、必要な調整を行う。

5-3 通常体制への復帰

政府対策本部が小康期に入ったことを宣言した場合、デジタル庁対策本部は、通常体制への移行を検討する。
なお、小康状態の後、第二波、第三波が到来する可能性があることから、感染対策を緩めることなく、第二波、第三波に備えた対応を検討する。

第6章 業務継続計画の維持・管理等

6-1 関係機関との連携

本計画について、業務遂行上関係のある府省庁、地方公共団体等との連携を確保し、積極的に調整を行う。

6-2 教育・訓練

参事官(総務担当)においては、本計画を有効に実施するため、全職員に対し周知徹底する。特に、発生時継続業務に従事する職員に対しては、発生時の対応について周知し、理解させるとともに、定期的に教育・訓練を行う。
また、庁舎内において発症者が発生した場合に対応する職員等、適切な個人防護策を講じる必要がある職員に対しては、綿密な教育・訓練を行う。

6-3 点検・改善

各部局等においては、本計画を有効に実施するため、人員体制等の計画について、人事情報等を反映し、継続的に更新する。
本計画については、新型インフルエンザ等に関する新しい知見が得られた場合、政府行動計画等に変更があった場合等には、適宜改正するものとする。

第7章 緊急事態宣言その他政府全体の方針への対応

本計画に限らず、特措法第32条第1項に基づく緊急事態宣言及び同法第31条の4第1項に基づくまん延防止等重点措置その他新型インフルエンザ等の感染拡大状況に応じて政府全体の方針が示された際には、これに従い、必要に応じて出勤の制限や業務の従事方法等について柔軟に見直しを行う。

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