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デジタル臨時行政調査会作業部会(第4回)

概要

  • 日時:令和4年(2022年)3月10日(木)16時から18時まで
  • 場所:オンライン開催
  • 議事次第:
    1. 開会
    2. 議事
      1. 目視規制について関係省庁からヒアリング
      2. 意見交換
    3. 閉会

資料

関連情報

議事録等

日時

令和4年(2022年)3月10日(木)16時から18時まで

場所

オンライン会議

出席者

座長

  • 小林史明  デジタル副大臣

構成員

  • 安念潤司(弁護士 中央大学大学院法務研究科 教授)
  • 稲谷龍彦 (京都大学大学院法学研究科 教授)
  • 上野山勝也(株式会社 PKSHA Technology 代表取締役)
  • 落合孝文(弁護士 渥美坂井法律事務所・外国法共同事業)
  • 根本勝則 (日本経済団体連合会 専務理事)
  • 増島雅和(弁護士 森・濱田松本法律事務所)

議事録

事務局(松田): 皆様、お集まりいただきありがとうございます。時間となりましたので、第4回「デジタル臨時行政調査会作業部会」を開催させていただきます。本日はよろしくお願いいたします。

今日も、構成員、参加者の方々はオンラインでご参加いただいております。なお、本日は、菅原委員はご欠席、落合委員におかれましては途中からのご参加ということで聞いております。

まず、本作業部会の座長であります小林デジタル副大臣から、開催に先立ちまして一言ご挨拶いただければと思います。よろしくお願いします。

小林デジタル副大臣: 構成員、事務局の皆さん、今日はよろしくお願いします。
国交省の皆さんも入っているのですが、先に構成員向けのご挨拶をさせていただきます。

今日から約2週間、立て続けに各省庁と作業部会を4回開催して、見直し方針を集中して議論をしていきたいと思っています。

今日は特に目視規制について、国交省、環境省、総務省から、デジタル技術を活用して規制制度を横断的に見直せないかということで課題や論点をお聞きして、議論を進めたいと考えています。

作業部会としても、前回ヒアリングをしたテクノロジー企業の技術や、先行的に見直した、特に国交省さんの素晴らしい事例も踏まえて、良い解決策を提案できないか、一緒に見直しの方向性を整理していきたいと思っています。

大事なのは、我々この作業部会で、私も含め構成員の皆さんも、各省庁に一方的に見直しを迫るのではなく、どうしたらお互いに抱えている課題や背景の問題を解決できるのか知恵を出し合うということをしたいと思っています。最終的には各省庁が自律的に自分たちのルールを見直すという機運をつくることにつなげることが重要なポイントであり、常に我々はその点を意識して各省庁と議論していきたいと思いますので、ご協力をよろしくお願いします。

このことを皆さんに共有した上で、国交省の皆さんにまずはメッセージを送らせていただきます。
今日は、国交省の皆さん、お忙しい中、ご参加いただいてありがとうございます。先般、大変すばらしい先行的な取組、技術カタログも勉強させていただいて、これこそ今回の臨調の横断改革の見本だと思わせていただきました。ぜひこれからもアドバイスをいただけたらと思っていますし、一緒に先頭を走って、この国の仕様を根本から見直す、今回はそんな取組になると思っていまして、全省庁を巻き込むリーダーになって一緒に走っていただけたらというのが一番のお願いです。

我々は、新しい技術を使って、目視をなるべく別の手段で行うことを可能にしたいということで今日議論しますが、皆さん自身も、さすがにこれだけ世の中が変わった中で、そろそろ見直したほうがいいと思っているものもたくさんあると思っています。

ただ、その中には、世の中への説明や安全性の担保など、簡単に乗り越えづらいものもあると思っていますので、その辺りをぜひ本音でお話いただいて、どのようなサポートが我々からできれば乗り越えられるのか、例えば予算面や、細かいところだと、この文言を直すために個別に法改正をするのは大変ということは絶対にあると思いますので、今回、一括法でというご提案もしていますけれども、本音ベースでいろいろ共有していただいて、一緒に乗り越えられるところを見つけていけたらと思っております。

これが一緒に乗り越えられれば、国交省の中でやっている様々な施策も、もっと世の中にインパクトが出やすい、効果が出やすいものに一緒にできるのではないかなと思っていますので、ぜひ今日はよろしくお願いいたします。

事務局(松田): ありがとうございました。それでは、これより本日の議事に入らせていただきます。以下の議事進行につきましては、安念副座長にお願いできればと思います。

安念副座長: 副座長の安念です。よろしくお願いいたします。
今日、第4回の議事は4つあります。前半は、1.インフラの点検・巡視、2.建築物等の中間・完了検査における目視規制について。後半は、3.廃棄物の処理及び保管施設への搬入物、4.固定資産の実地調査における目視規制について。この4項目についてヒアリングをさせていただくことを予定しております。

早速、ヒアリングを開始させていただこうと思いますが、今回の作業部会では、各省庁の発表時の議事進行については、これまで各省庁と直接やり取りをしてきた髙松参事官にお願いしたいと存じます。

事務局(髙松): 目視規制の点検作業を担当しております参事官の髙松です。よろしくお願いします。

本日、4つの規制について議論をさせていただきますが、それぞれの役所が都度入れ替わる形で参加します。各回において重ねて各省に伝達をさせていただく場面もありますので、ご了承いただければと存じます。

早速ですが、1点目はインフラの点検・巡視における目視規制です。これについては、これまでに道路の維持管理における先行的な取組を見てきましたが、そのほかのインフラについても同様の横展開をすることができないか、また、様々なタイプのインフラがある中で留意が必要な点は何かといった点が論点になろうかと思います。

また、先般お示しした目視規制の3類型のうち、一定の基準への適合性を判定します点検といった行為と、監視的な行為を行う巡視、この2つの類型の規制が含まれています。

冒頭、お二方よりご説明いただきます。初めに、国土交通省水管理・国土保全局河川環境課長の内藤正彦様より、河川・ダムに係る点検・巡視についてご説明をお願いします。

国土交通省水管理・国土保全局: 河川環境課長をしております内藤です。早速、河川・ダムの管理についてお示ししたいと思います。まず、河川・ダムの巡視・点検については、河川法にそれをやることについての義務化を書いていまして、政令の中で、技術的基準と書いていますが、適切な時期に適切な方法もしくは必要な措置を行うということを規定して、省令におきまして法令点検の対象施設や記録の保持というところを記載しています。

その具体の方法については、資料の一番下にピンクで囲みを書いています。堤防等河川管理施設及び河道の点検・評価要領がありまして、実際にはいろいろな新しい技術を現場でも導入を始めているのですが、この要領については「点検は目視点検を基本とし」という書きぶりを残したままであったということです。

さらに、参考資料に具体の例示はしていましたが、この日本語による例示のみではなかなかイメージが湧かなかったりするということもあるので、その点についても改善の余地があるというご指摘であったと思っています。

2ページをお願いします。まず、河川における巡視・点検の現状ということで、巡視というのは、上にその代表的な写真を3つ載せていますが、河川管理施設や河川そのものの状況確認ということで、施設の概括的な状況と同時に、河川空間の不法占用とか河川空間への不法投棄、外来種の繁茂とか水質汚濁の状況みたいなものを包括的に日常的に把握することを目的にしています。基本は視覚的に把握するというのが大半ですが、一部、臭気による把握みたいなこともあるので、それ全体を含めて人による点検がこれまで主であったということです。

2つ目に、点検については、下に写真を3つ載せています。下の段の一番左側が堤防の点検の様子です。堤防は、土の堤防を一部コンクリートブロックで覆ったり、ここにあるように芝で植生により被覆をするという形で、ある意味ハイブリッドな構造物になっています。延長を書き漏らしていましたが、この堤防が全国で国及び都道府県管理の全体で5万6000キロあるというのが現状です。

真ん中に、水門とか樋門の状況を示しています。このようなコンクリート構造物が河川に排水したり、河川からの水を取り込んだりするために存在する、こんな施設があります。

下の段の一番右側にあるのは、排水機場、排水ポンプ場という言い方をしていますが、洪水のときに支川とか水路から、もしくは下水道で集まった水などを河川に排水するための排水機場ということで、これらの施設があります。

ダムを加えてこれらの施設は、同じく国及び都道府県全体で約2万4000施設あるという状況です。
3ページをお願いします。このように、非常に長延長のインフラ、もしくは多数のインフラを巡視・点検していく必要があるということで、河川の取組においても最新の技術をうまく活用していくことを進めています。

左側に書いてあるとおり、今は維持管理という断面だけですが、同じようなデータは、堤防の整備とか、河川を掘削して治水上の機能を上げるような河川整備にも用いますし、様々な検討で用いるということで、三次元化したデータを保有して、それを共通に使っていくということにしていますが、今日は維持管理の視点でご説明をさせていただきたいと思います。

実際に、左側の2段目にありますように、UAVなどを活用した画像を活用することも既に始めていますし、その下、河川の場合、堤防や河川の中は非常に複雑な形をしていますので、これをレーザースキャナーによって三次元でデータを押さえるということもこれまで取り組んできています。

このデータの取得というところは大分できてきていますが、それをうまく使うというところはこれからの課題ということで、右側の少し薄いグレーの囲みのところを見ていただきますと、従来は横断測量もしくは平面測量という形で図化したものを扱っていましたが、今は、そこに絵でお示ししていますとおり、三次元の点群データから起こしたデータを活用することにしています。

これにより、グレーの囲みの下の段の左側にありますが、まず、河川の中にたまった土砂の堆積の状況をそのデータを使って算出する。これにより川の閉塞の状況が直ちに分かるので、必要であれば掘削をして洪水に備えるということになります。

また、その右側には堤防の上に色で図化したものがあります。先ほど申し上げたとおり、堤防は土堤防を基本にコンクリートで被覆したり、もしくは芝を張って表面被覆をしているものですので、その変状を捉えることは目視点検にも重要な視点なのですが、これを2回の時期の差分を取ることで、差分の大きいところをここで言えば暖色系で表示することによって、膨らんでいる状態、もしくはへこんでいる状態を捉えることにより、一時的なそういう診断をしていくということで、とりあえずこの差分を捉えるというところぐらいまでは実用化しているところです。これをさらに点検そのものに活用していくというのが今後備えられる、必要とされる技術です。

これらの技術をうまく活用するという視点で、次の4ページになります。いろいろな技術の組合せが必要だということで、右側の縦列を見ていただきますと、具体的には革新的河川技術プロジェクトという形で、危機管理型水位計と書いていますが、洪水時だけの把握に特化した水位計とか、全天候、天候が悪いときにも飛べるドローンとか、陸上部・水中部のレーザースキャナーを積んだドローン、こんなものを開発するということで、ドローンそのものの技術とセンサーの技術を、真ん中に書いていますとおり、要素技術を持つ企業が集まる機会を役所の側でセットすることで、相互が意見交換しながら共同の研究開発が進むという取組を進めてきました。

その対象としたのが、先ほど右側でご説明したものでして、今回はその第5弾ということで、一番下にあります、画像解析技術による異常箇所自動抽出というものに今取り組んでいるところです。

次に5ページをお願いいたします。代表的なものをご紹介しますと、最初に申し上げた、左側が危機管理型水位計ということで、洪水だけを測れる。要するに、河川の水位観測は、発電とか上水道の利用、農水の利用などに関わる平常時の水位も重要ですし、洪水時の堤防を越えるか越えないかというような水位も両方必要です。ですので、通常は低水時から高水時まで全体を連続的に測れる場所を選定して機器を設置しています。ただ、この場合、非常に万能な機器になりますのでコストが高いということです。

それと、洪水時にどこから水が溢れるのかという情報は、やはり限られた箇所の水位だけでは把握できないということで、洪水時だけを把握する水位計を開発して、通信もそのときだけするとか、洪水のときだけ稼働するということで、電池や通信の技術を、従来光ファイバーで常設でつないでいたようなものを、通信も含めて考えるということで、コストは1か所当たり100万円程度ということで、従来に比べると10分の1ぐらいのコストで整備するということで、国のみならず都道府県での整備が進んだということもあります。

中ほどには全天候型ドローンということで、河川はどうしても洪水のときは低気圧の影響を受けていますので、風の強い中、多少の雨が降る中でも稼働できるようにということで全天候型ドローンもやっています。

一番右は、レーザースキャナーを使って把握してきたということですが、従来、航空機に搭載した大がかりのレーザースキャナーで年1回もしくは数年に1回データを取るということでしたが、これがドローンに搭載されることになりますと稼働の頻度を上げられる。また、グリーンレーザーを用いると、従来、陸上部のみで評価するしかなかった赤色レーザーと違って、水中部についても同時にスキャニングができるということで、グリーンレーザーを搭載したドローン。かつて、グリーンレーザースキャナーは航空機に搭載するのが精いっぱいという大きなものでしたが、ドローンに積めるようになったので、これを実際に積んで、もちろん大がかりな調査は航空測量も行いますが、週1回とか月1回の把握にはこういうものも活用していくということで今取り組んで、この辺は実用化がなされております。

6ページに進みまして、画像解析です。先ほど、ドローンなどを活用して三次元のデータの取得というところまでは、特に国の管理区間においてはかなりできるようになってきましたが、それを人の目による巡視に代わって、下に例示しておりますが、洪水などでたまった土砂がどんな状況になっているのかとか、堤防の形状、今度は下の段の右のところに書いていますとおり、ごみの投棄、何もなかったところに突起したものが形成されていれば、それがごみであるか、土砂の不法投棄なのか、その一時的な診断にまずAIを使って把握し、必要な箇所についてのみ人による調査を行う。そこまでいずれ持っていきたいということで、まさに今これを進めているところです。

ダムにおいては、次の7ページです。コンクリート構造物については、道路でご紹介があった技術とほぼ同じですので、河川だから別の技術が要るということではありません。ダムについても、水中ではなくて普通にある堤体部分については道路の技術と同じような方法で取得が可能です。

ダムにおいて特殊なのは、貯水池の中を調べなければいけないということで、ダム堤体を貯水池の中であっても調べる。そこのところはオリジナルな技術が必要であろうということで、水中の画像の取得のためのロボットを実際に活用し始めています。これも平成31年2月にマニュアルを整備しまして、国の管理するダム、水機構が管理するダムなどではこれを普通に活用し始めているということですが、これを都道府県が管理するダム全体にも普及をしていくことが必要になっているということです。

今、お話ししたような流れをお示ししますと、次の8ページです。
河川法で点検を必ずするということを法制化したのが平成25年ですが、それ以降、人によってやらざるを得ないと考えていたものを、人によらずにやる方法、そして、技術が優れた技術力の高い人間でなければ評価ができないということではなくて、できるだけ汎用的に点検ができるようにということで、これまでお話ししたような技術を順次導入してきています。

具体的に、先ほど申し上げた航空レーザーによる三次元点群測量、もちろんこれはドローンにおいても活用できますが、これは平成30年。水中の先ほど申し上げたロボットを活用した点検についても、31年に実用化してきておるところです。

最初に申し上げた要領については、もう既にやってはいたのですが、要領の本文自身を見直すということをしていませんでしたので、それについては見直しをしていくということで、上の段の赤い囲みになります。

同時に、そこで活用してきたこれまでのマニュアルなんかに掲載してきている具体の技術、これから搭載可能な技術について、今年度、先行する道路の事例などを参考にカタログ化をして、具体的に目視に代わってこれらが使えるということと、使える技術はこういうものでということで、個別のマニュアルもありますが、全体を一覧できるカタログもつくっていきたいということです。

そして、先ほど申し上げました画像解析の巡視については、最初のガイドラインを4年3月につくりまして、まず直轄で試行的に取組を始めています。ですので、画像解析についても、まだ今はテストケースですが、いずれ普遍的な利用になるようにということで、カタログに追加できるような作業を引き続き続けていきたいという状況です。河川・ダムについては以上です。

事務局(髙松): ありがとうございました。続きまして、都市局公園緑地・景観課緑地環境室長の鹿野央様、及び公園緑地事業調整官の舟久保敏様より、都市公園・市民緑地に係る点検・巡視についてご説明をお願いいたします。

国土交通省都市局: 国土交通省の公園緑地・景観課緑地環境室長の鹿野です。それでは説明を始めさせていただきます。「都市公園等の巡視・点検について」です。

1ページ目、まず、制度の概要ということで、都市公園と市民緑地はどういったものかということをご説明させていただきます。
都市公園は全国で11万か所ということで、非常に数が多い施設です。この中で、巡視・点検については、施設の老朽化による事故防止等安全確保の取組のさらなる徹底を図る観点から、基準を設けているものです。

同様に、市民緑地は、下のほうに※で書いていますが、基本的には公共団体が管理するものではなく、民間事業者とNPO法人とかが空き地を地域住民の利用に供する緑地として、いわゆる公園に準ずるような形で設置しているもので、全国に10か所程度ということで、これを一つの都市公園と市民緑地という形でそうした基準を設けているということです。

該当条文ということで、都市公園法の施行令第10条、下のほうで囲っていますが、市民緑地は都市公園に準じた形ですので、基本的には都市公園と一つの形で、括弧書きでお示ししていますが、基本的には都市公園の中で説明させていただければ、1番目のところに書いていますが、都市公園は適切な時期に巡視を行いということで記載されているところです。また、二ということで、都市公園の点検は、構造等を勘案して、適切な時期に目視その他適切な方法で行うということ。

それと、下のほうになりますけれども、施行規則第3条の2においてはその頻度、1年に1回行うということを法令上定めているところです。

2ページ目をご覧ください。現在の状況は、今お話をした点検については、国がいろいろな安全に関する指針を設けています。右側に都市公園施設ということで、青いところをご覧いただければと思いますが、遊具、プール、昇降機、これはエレベーターになるわけですが、その他公園施設ということで、公園の中身は様々な施設があるということで、5ページ目に参考資料としてつけさせていただいておりますが、これは非常に専門的になるのですが、例えば植栽とか芝生についても一応公園施設ということで扱っています。また、休養施設ということでベンチであるとか、お話ししたような遊戯施設、ぶらんことか滑り台といったもの。それ以外に、運動施設ということで野球場であるとか、図書館であるとか、様々な施設が複合的に入ってきているというのが公園の形態になっているというものです。

2ページ目に戻ります。そういった中で、右側のところに書いていますが、その中で5つほど、公園の中では指針をつくらせていただいています。赤書きで改訂の時期を書いていますけれども、1つは遊具ということで、やはり子供が遊ぶということもありますので、これに関しては「都市公園における遊具の安全確保に関する指針」、プールに関しては、これは他省庁、文科省さんとかも含めて安全基準をつくらせていただきましたが、「プールの安全標準指針」、一番右側になりますけれども、その他の施設ということで、「公園施設の安全点検に係る指針」、下の一番右側の黄色の部分ですが、やはり公園といえば樹木がメインになってきますので、「都市公園の樹木の点検・診断に関する指針」というもの。それと、グレーのところで書いています、公園施設全般を長寿命化するということで、そういった計画策定の指針をつくらせていただいているところです。

左側の青い部分はそうした指針の中の記載例(抜粋)ですけれども、大きいところでは、一つは日常点検をしっかりやる。この中で、「主として巡視などにより」ということで、見て確認をするということで書かせていただいています。

②のところで定期点検。これは、いわゆる日常点検とは違って、一定期間ごとに直接目視、打診、または用具を使用して、日常点検より詳細な点検を行うということで規定を置かせていただいているところです。

都市公園の場合は、ほとんど公共団体が設置しているものになりますので、必要な点検を実施する中で、右側のほうになりますが、公共団体の職員が自ら行っているもの、または委託等によって民間事業者が行っているものなどに分かれてこようかと思います。

写真でお示ししているのは横浜市さんの例示ですけれども、現地で即応しなければならない。例えば、雨が降っているので排水が不良だというときには、行って、その場で直接の作業というか、立入りを禁止するとか、右側の写真ですけれども、遊具が危険であればすぐに囲って、使えないようにしなければならないというような即応的な作業が出てくる場合がかなりあるということです。

3ページ目です。これは先行的な取組ということで、国で行っている公園、直轄公園と言っていますけれども、国営公園のほうで実施している、AIを使った、樹木が腐っている部分を予見する技術とか、ドローンを使って管理を軽減させるということを取り組んでいる。これは試験的に行っている事例です。

4ページ目です。都市公園等の巡視・点検におけるデジタル技術の導入については、業務の効率化、また高度化の観点からも推進していく必要があるだろうと我々も認識しているところです。

ただ、その一方で、技術の汎用に当たっては幾つかまだ課題があるだろうと思っています。先ほどもお話ししたように、公園の施設というのは多種多様、公園ごとにかなりオーダーメードになっているということもあるので、そうした観点。また、先ほどお話ししたように、公園の特徴である樹木とか植栽についてはどういったものを見ていくか。いわゆる育てていくという観点も必要になってくるということもあるので、そういった課題。あと、公園ですので、子供が直接触ったり、そういった施設があるので、より丁寧な点検が必要になってくるだろうということで、先ほど言ったような点検の状況に応じては即時の対応が求められている。

それと、多くの公共団体さんが非常に予算が厳しい中でいろいろやっているということもあるので、導入に当たっては予算とかコストとか人材など、地域の実情に対応していく必要があるだろうと考えていす。

導入スケジュールということで、まずはどういったデジタル技術があるかをいろいろと探っていく必要があるということで、新技術の把握等と書いています。それがいろいろな公園に当てはめられるのかということで、そういった技術の検証。そういったことを含めて、最終的には技術指針へ反映ということをやれればと思っています。

基本的には、そういう意味では、我々の今の段階はまだフェーズ1ということで、フェーズ2を目指していくということになろうかと思いますが、今ある技術の中ですぐ使えるものがあれば、当然、一部の施設においてはフェーズ3というものもやっていけるだろうと思っています。

そういうことで、道路さんとか河川さんに比べると、非常に小さな施設から大きい公園もありまして、その中にある施設が様々ということで、なかなか一つの形ということができないのですが、我々とすれば、業務の効率化とか高度化という観点からは積極的に推進して必要があるだろうと思っていまして、取り組めるところからは取り組んでいきたいと思っています。以上になります。

事務局(髙松): これら2件につきまして、質疑応答をさせていただきたいと思います。ご意見、ご質問等がありましたらお願いいたします。安念先生、お願いいたします。

安念副座長: 副座長の安念と申します。ご指摘のとおり、確かに都市公園は比較的狭いところにいろいろなものがあることが多いだろうから、完全に自動化するのは難しいだろうとは思うのですが、例えばその中でも、主として樹木や芝生、あるいは池などから成っている自然に近い公園と、それからスターバックスがあります、映画館がありますという非常に人工的なものがあると思うのですが、前者については何とかフェーズ3、完全自動化を目指せるような技術開発の目処はありますか。

国土交通省都市局: まず、植物を主体としたということで、植物というのは育てていく一方、老朽化で樹木の枝が折れたり、やはり事故にもつながるので、そういったものを今の形でいくと触ったり、叩いたりという形で判断しているということがありますので、できればデジタル技術を使ってそういった部分の省力化は取り組んでいきたいと思っています。

一方、まずそういった技術があるのか、ないのかというところから、探していかなければいけないということで、こういう技術があるよということがすぐあれば、逆に我々としても積極的に入れていきたいという気持ちがあるのですが、そういったところをまず調べる時間と、そういったものが本当に使えるのかどうかという検証も含めて若干の時間はいただきたいなと、もちろん予算も含めてになるのですけれども、そういったところが我々としては課題というか、取り入れたい一方でそういった課題もあるということです。

安念副座長: 若干の時間がいかほどであるかは事務的に詰めていただかなければなりませんね。ありがとうございました。

事務局(髙松): 稲谷先生、お願いします。

稲谷構成員: 京都大学の稲谷です。今日は大変詳しいご報告をありがとうございました。国交省の取組は非常に先進的で前向きだなということが分かって、とても勉強になりました。

私の方からは、先ほどの安念先生のお話と少し関係する点が一つと、もう一つは全体に関わるようなコメントをさせていただければと思います。

公園の管理のお話を伺っていて一つ思ったのは、例えばシミュレーションのようなことができるかという点です。そもそも、クラウド公園台帳というものがどういうものなのかにも関心がありますけれども、公園に置かれているものや、その素材が把握できるようになると、デジタルツインをつくっていく際に、公園のデジタルツインにはそうした情報が入力されて、シミュレーションができるようになるのか、例えば、この遊具がそろそろ危なくなってくるといった情報が得られるのか。もしそうだとすると、管理がやりやすくなって、巡視に必要なコストが下げられるのではないかと思いましたので、その点についてはどのようにお考えなのか、またどのように取り組まれていくのかをお尋ねしたいというのが一つです。

もう一つは全体に関わることですけれども、カタログ化をすごく進められていて、河川についても横展開をしていくとか、様々な技術の展開ということまで考えておられるということだったので、それを一歩進めるような形についてコメントさせていただければと思います。特に今回の場合だと地方公共団体さんもかなり関わってくる話なので、予算措置が問題となるという話もあったと思うのですけれども、その点に関して、アンカーテナンシーのような方法は取れないのかなと感じました。つまり、コアになりそうな技術がある程度分かってきて、どんどん横展開していくことが必要だとすると、どんどん採用していって使える範囲を増やし、または使える人も増やしていくということをやらなければいけないと思うのですね。

前回のヒアリングの中で企業さんが結構言われていたことの中には、市場がなくてなかなか実装に踏み切れないという話もあったと思うのですね。その結果として、なかなか技術が社会に定着できない。そうすると、もし、アンカーテナンシーのようなやり方を導入すると、地方公共団体さんとか官公庁さんはある程度計画的に調達するという話になりますので、自らコミットメントしてDX化を進めていくという話が片方で生じますし、そこに予算がつくという話になるとコミットすることにインセンティブがつくということになると思います。反対に事業者さんから見ると、市場がなかなか拡大しないのでなかなか転換できなくて、またデータがなかなか蓄積しないという話があるのだとすると、そちらも解決できることになる。

つまり、進めておられるカタログ化のような話のさらに一歩先になるのかもしれませんが、そういったやり方も視野に入れていただくと、それは国交省だけでというよりはデジタル庁を中心に国全体でやるということになるのだと思いますが、今行われている取組がさらに加速化していって非常に実りのあるものになるのかなと思いました。こちらがもう一点になります。
私のほうからは以上です。

国土交通省都市局: 公園緑地・景観課の鹿野です。
まず、公園の方から、1点目のご質問というか、シミュレーションの関係のお話ですが、類型化して予測していくというのはたちまちには難しいかなとは率直に思います。

というのは、公園というのは小さいものから非常に大きいもの、それと先ほどお話しさせていただいたように、公園の施設も様々ということで、そこに一律というか、シミュレーション的に予想技術というものがうまくはまるのかというところは、正直言って、AIがどこまで進化するかというところもあるのだと思いますが、たちまちには困難かなと。

そういったところも含めて、今、公園に応用できるというか、公園に取り入れられる技術はどういうものがあるのかというところは、先ほど若干の時間というお話をさせていただきましたけれども、やはりいろいろ調べていきたいなとは思っております。そういう中で、いろいろ取り組めるものをと。

あと、一部の施設においては、これぐらいの年数とか、こういう使い方をしているということがある程度入力してやれば、ある程度の年数とか、そういったところであらかじめ予防的に施設を交換していくといったことは考えられようかと思いますけれども、今の先生がご指摘のシミュレーションでというのは一律にはなかなか難しいかなというのが率直な感想になろうかと思います。

2番目のカタログ化の話も今の話と同様でして、我々、まだどういった技術を公園の中に入れていけるかというところはまだ手探りの状況ですので、すぐにカタログ化といって、さらにその先の話ということは、将来的には当然検討していかなければいけない状況だとは思いますけれども、今の状況で公園の単体だけでやるというのは難しいかなというのが率直なところです。以上です。

事務局(髙松): それから、先ほどアンカーテナンシーの件につきましては、予算の関係とか調達の関係を含めてどういったことができるかというような検討が必要になろうかと思いますが、デジタル庁としても今後に向けて検討していきたいと考えております。

稲谷構成員: ありがとうございました。

事務局(髙松): 上野山先生、お願いします。

上野山構成員: 上野山です。いろいろな技術検証を既にされているということで、技術的なコメントはもうちょっと後段でお話しできればと思うのですけれども、一個ご質問です。

点検といって定式化して捉えると、何かしらの画像をインプットして、そこから何かしらの分類をする。技術でやろうとするとそういうことをやるわけですけれども、これは確率推論というか、パターン認識というか、何が言いたいかというと、精度的には原理的に100にならないという技術特性を基本的には持っているものですので、規制改革における文脈の論点として大事かなと思っていますのは、現状、人がやっている点検というものの評価といいますか、カバー範囲、頻度、あるいは質みたいな、こっち側をある程度記録しておく必要があると思っていまして、それと比較して良いよねみたいな話をしないと、完璧を求めてやると、完璧な技術というのはありませんというのが答えなのだとすると、現状の点検プロセスをどのように記録して、評価しているところがあるのかということをお伺いしたいなと思っています。特に、頻度とかカバー範囲だけでなく、質みたいなところを含めて、私は前回出ていなかったので既にご回答になっているかもしれないのですけれども、そこをご質問させていただければと思います。

国土交通省水管理・国土保全局: 点検の頻度としますと、まず国管理の河川については、出水期である6月を迎える前に一定の機能を具備していることを確認するということで、出水期前までにやる点検。そして、台風期の前、8月、9月の時期にやる点検。8月、9月にやるというのは、やはり梅雨期で洪水が起きていたりするので、一つの比較的大きな洪水を受けた直後に、それによる変状はないかという点検。また、地震動によっても変状が生じますので、例えば震度5ないし6という地震を受けた後にも、施設の変状がないかという点検をするということで、最低年1回ではありますが、そういう状況に応じて国は点検しています。

県の場合は、点検という目線では、やはり出水期前に備えて、かなり時期を広範に取って、秋から春までに何とか1回は点検する、そんな頻度でやっているというのが一つです。

あと、確認する中身といいますのは、多くの場合、人がやる場合も目視で確認した事項を写真、画像で押さえて、それを記録するということでありました。従来はそれを紙の台帳的なものでやっていたのを、今は先ほどのベースとなる点群データのあるような立体の図表上に座標を落として、関連する写真はそこに掲載しておくような形で類型化はできていますが、分析の結果はまだ人によるテキストを組み合わせてやっている。そんな状況です。

あと、写真上、載っているとおり、現地によって変状が起こっている幅とか、堤防で言えば土に亀裂を生じている、その亀裂の幅、長さ、そんなものを記録する。

施設の関係は、コンクリート構造物ですと道路なんかの点検と共通なので、特別に河川だからということではないかもしれませんが、クラックの大きさの把握みたいなことになっていくかと思います。以上です。

小林デジタル副大臣: そういう意味では、今の上野山構成員の質問に対する河川の皆さんの答えを踏まえると、目で見えているのと大体同じように画像的に確認できればオーケーとしているという理解で良いですか。

国土交通省水管理・国土保全局: 基本は、最終的には目で見るということです。
唯一あるのは、植生がかぶっていることがあって、上空から把握した映像では実は見られなくて、手で草をよけて把握するみたいな、そういう副次的なサポートは要るのですけれども、最後は目によって長さを計測するとか幅を確認するということなので、最後は映像ということは変わりないと思います。

小林デジタル副大臣: 先ほどの三次元点群データによる方法ですと、人が断片的に見ていくよりも、間違いなく全体を把握して判断ができるようになっているので、人が行うよりもプラスの効果が出ているという評価もできるのではないかと、お聞きしていました。
お聞きしたいのは、用意していただいた4ページ目の資料、革新的河川技術プロジェクトは基本的には1年ごとのサイクルで回しているという理解で良いですか。

国土交通省水管理・国土保全局: 基本は複数年、2年ないし3年ということになると思います。

小林デジタル副大臣: やはり長期で見ているのですね。分かりました。ありがとうございます。
公園の皆さんが技術を確認しながらどのような方法で乗り越えられるのかということを考えると、恐らく同じことをするのがベストなのだろうと思われたので、どれぐらいの期間かということが目安になるかなと思ったので、ぜひそこをうまく横展開していただいて、予算が足りなければ一緒に頑張りましょうということだと思います。

逆に、河川局の皆さんも、予算を増やすともっとたくさんできるということであれば、ぜひまた教えていただきたいと思います。ありがとうございました。

事務局(髙松): 河川局の皆さん、その辺りもまた情報をいただければと思います。根本先生、いかがでしょうか。

根本構成員: ありがとうございます。点検動作については今のご説明を伺って理解したのですが、それをどういう形で記録され、データベース化されるのかという、蓄積についても教えていただけるとありがたいと思いました。要するに、管理台帳はどういうふうになっているのかという問題です。

国土交通省水管理・国土保全局: イメージですが、3ページのところに書いておりますとおり、ベースとなる情報を三次元河川管内図という形で、先ほどレーザースキャナーで撮ったデータがその基盤になりますが、それをベースに、河川の距離表と三次元の図表が一体となったベースとなる河川管内図をデジタル化して持つようにし始めました。これは進行形です。

従来は、紙ベースで、距離表という河川の何・何キロ地点の川側なのか、市街地側なのかみたいなことを記録したものを先ほど撮った写真と一緒に保持することで、どこに変状が起こっているのか、次の点検の際にはそういう変状の厳しいところから点検をしていくという形で、紙ベースでやっていたところです。

ですので、今は、順次、三次元のデータの上に写真とテキストの情報が残っておりますので、GPSを持ちながら行けば、どの地点に確認したいものがあるのかというのは、別の人間が仮に行ったとしてもそれを把握することができるという状況です。
河川のいわゆる手慣れた職員のみならず、これを委託したとしても、その情報は同じく活用できますので、今のところはまさに移行の作業を進めているという状況です。

根本構成員: ありがとうございます。公園のほうは当然まだ紙ですよね。

国土交通省都市局: 公園緑地・景観課の舟久保です。お話しいただいたとおり、都市公園法令の中において、点検した記録については保存するとなっていますけれども、方法については、特にデジタル技術がまだそれほど進んでいるというわけではない中で、紙で書いてあるものは紙で書いたものが保存されているということになりますし、少し先進的なものとしては、国営公園で紹介させていただいたような、電子データとして保存されているということになっています。

ただ、再現性ということについては、紙だとなかなか完全一致させるのも難しいのかなと思っていまして、私たちがつくっている指針の中では、やはり点検者の経験則に頼るところが大きいので、客観的な点検を行うためにきちんとした点検記録書は残してくださいとは言っていますけれども、そこにはまだまだ今の段階では限界があって、そこはまさに課題だと思いますし、こういった新技術を導入したときにはそういうことが解決されるように行っていくというのが適当と考えています。以上です。

事務局(髙松): ありがとうございました。本日皆様からいただきましたご意見を踏まえまして追加的なご検討をお願いする場合もありますので、各省の皆様におかれてはご協力をお願いします。

それでは、1点目のパートを終了します。今後のフェーズの目指すタイミング等につきましては前向きに考えていただいているということで、3月末に向けてセットさせていただきたいと考えていますので、よろしくお願いします。国土交通省の皆様、ありがとうございました。

続きまして、2点目、建築物等の中間・完了検査における目視規制になります。恐縮ですが、説明に入る前に、副大臣から一言よろしいでしょうか。

小林デジタル副大臣: 住宅局の皆さん、よろしくお願いします。大変お忙しい中、ご協力ありがとうございます。

我々としては、この会議体を非公開で行っているのは、本音ベースでご相談したいという意味がありまして、実際に、世の中が変わってきて、そろそろ見直したほうが良いといったところもあるが、そうは言っても安全性を説明できなければいけない、今の技術で良いのかなど、様々な課題や背景があるのだと思っています。その辺りを本音ベースで教えていただきながら、どうしたら効率化できるかというところ、業界でも人手不足の問題を抱えていらっしゃると思いますので、よろしくお願いします。

事務局(髙松): ありがとうございました。この規制については、住宅、マンション、ビル、鉄塔など、もろもろの建物について行われている検査です。

検査の目的とか現場の実情を踏まえつつ、どのような形で技術代替を進めていくことができるか、こういった点が論点になろうかと思います。
では、住宅局建築指導課長の深井敦夫様より、ご説明をお願いいたします。

国土交通省住宅局: ありがとうございます。国土交通省住宅局建築指導課長の深井です。
最初に、今回、完了検査、中間検査、法律の目的ということで、関係の条文を抜粋して記載しています。さらに、方法については、指針を告示で定めています。

以上を少し整理して申し上げますと、規制の趣旨ですが、建築基準法です。建物の敷地、構造、設備、用途に関する安全上の最低基準を定め、人命とか市街地環境の保護を図るということを目的にしていまして、一個一個の建物が法令に定める基準に適合していることを担保するために、まずは工事着手前に設計図書の適合性を確認し、最後は全体工事の完了後に完了検査、そして、一部のものについては中間段階でも検査を行うという制度になっています。

経緯としては、完了検査については、下にあるように、法制定当時、昭和25年からです。平成7年の阪神・淡路大震災の状況も踏まえ、11年から施工不良による被害も多かったということで、検査体制の充実を図るために、建築確認検査の民間開放、指定確認検査機関と呼んでいますが、民間検査機関制度の創設を行い、体制の充実を図りつつ、中間検査制度も設けています。

さらに、平成19年には、その2年ほど前の姉歯事件も踏まえて、確認検査の厳格化、あるいは中間検査については一部マンションについて義務づけをするというような経緯をたどっています。

今回テーマになっておりますのは右側のほうで、計画段階で一旦確認をしますが、実際に施工されたものがその基準に適合しているのかどうかということについて、完了検査は全ての建物について行います。中間検査については、一定の建物が対象になっていまして、公共団体の建築主事あるいは先ほど申し上げた指定確認検査機関、民間機関ですが、そこの資格者、確認検査員が検査をすることになっていまして、基準と一言で申し上げておりますが、建築基準関係規定について、下にあります構造、防火、設備、あるいは集団規定の関係等々、様々な基準に適合しているかどうかの検査を行うということです。

実情ですが、件数でご紹介しますと、完了検査は全ての建物が対象になっていますので、年間50万件。この中には戸建て住宅から超高層ビルまで、用途的にも住宅から事務所、商業施設、あるいはホテル、旅館とか、様々なものが含まれます。その大部分、9割方は、先ほど申し上げた民間の検査機関が行っているという状況です。中間検査につきましては4割ぐらいが対象になっていまして、これもほとんどが民間の検査機関によって行われているということです。

では、誰がどういうふうに検査しているのかということですけれども、先ほど来申し上げていますように、建築主事ないしは民間機関の有資格者の確認検査員が検査を行います。それぞれの建物について建築基準に適合しているかどうかということを検査するということでして、中心は現地での目視が実態ですが、それに測定機器を使ったり、書面等を使ったりということも組み合わせて実施しています。

例えば下の表で、ごく一部ですけれども、建物の中にあるいろいろな部屋とか部位ごとに、基準に適合しているのかどうか、寸法とか、きちんと非常時に動くのかどうかといったような観点で検査をしていまして、物によりますが、ごく小さなものですと相対的には短い時間で済みますが、大規模なビルになってきますと複数の人で複数日かけて検査をするという実情になっています。

あと、公共団体によってやり方を上乗せしているということは特にありません。
それから、先行事例と言えるかどうかですが、今、検査員の話を申し上げましたけれども、実態上は現場に申請者側、事業者側の立会いがあって、その場での指摘等に対応しているというのが実態です。

事業者さんから、そうした立会いについて遠隔でできないかといったご要望もいただいたこともあって、現場では責任者はいないのだけれども、補助員の方がカメラとかで写して遠隔でつないで対応するというやり方でどこまでできるのかといったことを別途検証しているところです。本日の話題とは直接は関係ないかもしれません。

現状のフェーズと論点の整理です。現状は、事務局さんのほうともご相談しましたけれども、遠隔で良いと明確に書いているわけではないということがございますので、フェーズ1-②という整理をさせていただいています。

次に論点ですけれども、フェーズを進めるための論点ということで、これも事務局さんとご相談して、議論のために用意させていただいております。

一つは、事務局のほうにご要望があったような話を聞いていますけれども、例えば現場の検査員の方が高いところ、人力では上がりにくいとか、そういうところの確認のためにドローンを飛ばして確認するということができないかという話もあったように聞いています。

この点については、下のほうの2つ目の○にありますように、我々としては必ずしもいろいろな機器の使用を否定しているわけではないと思っておりますので、いろいろな技術が出てくれば、測定方法は、原始的にはメジャーを当てたりするということだと思いますけれども、それをレーザーポインターで代替することも当然行われてきているという話を聞いておりますし、例えばドローンを飛ばすということもあり得るのかなと思っています。こういうやり方でもいいですよということをどういうふうに現場の方に伝えていくかというのは、課題としては残っているのかなという気はしております。

2つ目、これも検査側のほうから事務局さんのほうに要望があった話だと聞いています。今は、有資格者の検査員が責任を持って検査をしますので、検査員の方が必ず現地に行っているというのが実態としてあります。これは、検査員の方は離れた場所にいて、現場に補助員だけを配置して、映像や音声を遠隔でつなぎながら検査をすることができないかという話です。

現場の補助員を介して遠隔でテレビ電話等で見ていくということについては、可能性としては考えられるのかなとは思っております。ただ、留意点としては、検査で見落としがあった場合には、当然、基準不適合、違反建築物ということになりますので、責任者である検査員の処分ということになりますし、一方で、さらに違反が見逃されて不適合建築物が出てしまうと、実際には建物を使う人の被害につながってしまうということ。火災時の安全性に問題が生じるとか、あるいは事故につながるといったことも懸念されますし、周辺への被害も懸念されるところです。

一方で、さらに先ほどの立会い側のリモートの関係の中で、確認側、検査側のほうからも話を聞いたりしておりますけれども、こういうことをやろうとすると、現地の補助員に、どこをどう映せとか、ここを測れとか、測ったところをクローズアップしろとか、そういう指示を一々行わないといけないだろう。設備なんかについては、非常時にしか動かないものですから、どうやって動かすかということも確認していかなければいけないということになりますので、検査者が自分で直接検査するよりも時間がかかるのではないかということが言われております。特に、それが大きな建物になればなるほど適合させないといけない基準も多くなってきますので、規模も大きくなればかなり時間がかかるということになろうかなと思っています。

この点については、こういった課題は何とか解決できないかなと思っておりまして、審査側・申請側のニーズも踏まえつつ、適用できる範囲がどうやったらうまくいくのかということを考えていければと思っています。

もう一点、完全に自動化できるかということですけれども、この点につきましては○の1つ目、2つ目は先ほど来申し上げているような課題です。最後は人命にも被害が及ぶ可能性があるということを考えながら検討しなければいけないということ。3つ目の○にあるように、現地検査と同様の精度でできるのか。いろいろな建物について効率的にできるのか。そもそも映像やデータが本物かどうか、その建物のものかどうか。さらに、実際には検査した段階で不適合部分があるというケースもまあまああるとは聞いています。是正が必要な場合に、どういうふうに指摘をするかということ。さらに、個々の建築物ごとに設計は千差万別で、適用される基準もそれによっていろいろであります。さらに、基準自体も我々も時々刻々と合理化の見直しをしていますし、公共団体によって条例で基準を上乗せしていたり、既存の建物の場合には過去の基準との当てはめといったことも必要になってきますので、そうした判定が自動化できるようなAI技術というのは今のところ見当たらないのかなと思っています。

最後にまとめです。したがいまして、先ほど来申し上げているような課題はあるものの、進めてフェーズ2を目指したいと思っています。
②のところでは、繰り返しになりますけれども、フェーズ3のほうは、検査の自動化・無人化については今のところ技術的に実現性について分からないという状況ですので、我々としては最初の段落の最後のほうにございますように、審査側・申請側のニーズも踏まえて、どういう場合に適用できて、どうやればうまくいくのかということについて、来年度から本格的に検討を始めて、現場の意見も聞きながら検討の方向性を整理して、さらにその翌年度ぐらいに実際の実証実験をかなりやらないといけないと思っておりますので、そういったものを行った後にフェーズ2に移行していければと思っています。これができれば、③にございますように、検査時間と比べて移動時間が長いようなケースの検査の効率化は、全体で見ればかなり期待できるのではないかと思っております。

事務局(髙松): ありがとうございました。ご質問、ご意見等がございましたらお願いいたします。上野山先生、お願いいたします。

上野山構成員: 論点①から③という形で、非常に具体的にまとめていただいてありがとうございます。その3つの論点を深めるための技術観点からのフレームワークをご参考までに共有させていただければと思います。

まず、前提として、点検という行為は、冷めた目で見ると、スリーステップの情報処理を人がやっているということだと思っています。ステップ1はまず何かしら観察をするということで、データを脳に入れていく。ステップ2は、それがまずいかどうかというのを推論して、ある種クラス分類する、判断する。ステップ3が、対処したり、介入するということだと思うのです。それを技術的に自動化できるかというときに、非常にややこしいのがステップ1の部分でして、ここが技術難易度から類型化できるかなと思っています。

レベルで言うと大きく3~4段階ぐらいかなと思っていまして、レベル0、こういう点検ではないと思うのですけれども、遠くから撮像すればいいみたいなタイプのもの、これはただの画像認識問題なので、分解能が届けば、人よりも高確度にできますねというのは、それはそうなのですけれども、実際の点検業務は恐らくレベル1、近づいて撮像する必要があるケース。これは何がレベル0と違うかというと、撮像主体自体が自律的に動く必要がある。これは技術的難易度が一個上がりますというところです。

レベル2というのは、対象物を観察して、その結果によって撮像角度を変えるみたいなこと。人というのはそういうことをやっているのだと思っていまして、ここはまあまあ難しいです。最後がレベル3というところで、何かしらを観察した後に、アクチュエーターというか、人が物を動かして確認するとか、たたいて音を聞くとか、対象物を相互作用するとなると、またさらに難易度が上がってくると思います。 点検業務といっても、今の観点で類型化していくと、ここの部分はできて、この部分はできないみたいなところが色分けしていけるかなと思っています。先ほど、遠隔かどうかみたいな話がありましたけれども、今の観点の精度の問題に帰着するのかなと思っています。ちょっとご参考までに。以上です。

国土交通省住宅局: ありがとうございます。実際にも、かなり近寄って見ないといけないとか、ミリ単位で寸法を測らないといけないとか、あるいは見えにくいので現場ではかなり見方を工夫するとか、そういった実態もありますし、普段動かない物を動かさなければいけないというような場面もありますので、ご指摘も踏まえながら、どういう技術活用ができるのかというのは引き続き検討していきたいと思います。ありがとうございます。

事務局(髙松): ありがとうございます。続きまして、根本先生、いかがでしょうか。

根本構成員: ありがとうございます。
コメントが2点ございます。検査の見落とし云々のお話を2か所でご指摘いただきました。実はほかの分野でもよく出てくるお話ですが、見落とし云々は自動化とかデジタル化如何には依存しないお話です。人間がやったときの見落としとどう違うのか、ほかの分野でもよく議論になってきておりましたので、これを論点に挙げるのは、今回は控えたほうがいいかなという気がしております。これが第一のコメントです。

それから、せっかくの数十万件の検査データ、今回の件とは別ですけれども、都市のデジタルツイン化のお話も別途考えているところがありますので、こういうものの全体像を一つのデータベースに落とし込んでいくようなことも、デジタル庁側で考えてほしいなというのが、第二のコメントです。以上です。

事務局(髙松): ありがとうございました。

国土交通省住宅局: ありがとうございます。現場の方のお話を聞いていますと、生の目で見てざっと見られるものと、カメラですと一々動かさないといけないといった制約があるような話も現実には聞いていまして、そこら辺をごっちゃにしたような表現になっているのかもしれません。ありがとうございます。

デジタル化のデジタルツインというデータベースの話について言いますと、現時点では、点検ではなくて、法定に適合しているかどうかという基準の適合性のチェックというのがこちらの趣旨ですので、今、デジタルを使わない、目視でやっている場合には、特段データとか写真を蓄積するという仕組みになっておりませんので、今の根本先生のご指摘については、制度自体、保存しないといけないのかどうなのかというところも含めて多分議論になろうかと思っております。以上です。

根本構成員: その意味も含めて、今回の件とはちょっと関係ないかもしれないということでした。すみません。

事務局(髙松): ありがとうございました。稲谷先生、いかがでしょうか。

稲谷構成員: 私も、実は根本先生の2点目のお話と少し関係があるので、関係ないのではないかと言われるかもしれないのですけれども、コストがかかるのは大きめの建築物だったとお伺いしているので、片方でBIMが規格化されていくという話と、もう一方で、建機も今後どんどんセンサーを積んで自動化していくような話になるとするならば、BIMに従って建築しているときに建機から取得したデータをうまく使うことによって、中間の確認の精度を上げていくとか、変えていくとか、あるいは完成したものについても、建機の動きとかセンサーなどを利用しながら、建つように建っていますねという形で確認していくという方法もあるのかなと思いました。しかも、この分野は相乗効果が期待できるところでもあるように思います。つまり、確認の効率化と、BIMというデータを通じてですけれども、自律移動ロボットの活用、そういう両方の相乗効果が期待できるような分野かなと思いましたので、今回のお話そのものと関係するかどうかは分かりませんが、ぜひ検討していただければありがたいなと思ったところです。ありがとうございます。

国土交通省住宅局: ご指摘ありがとうございます。
BIMについては、本日は話題でなかったので入れていませんが、別途研究が始まっているということで、これを設計から施工、維持管理まで一気通貫で使うということはまだまだなされていないという実情がありますので、これを有効活用して、設計や、さらには個々の建物の管理に有効活用できるように、どういうふうにやっていったらいいかということを民間のたくさんの人たちと一緒になって、研究、整理を進めているところです。

そういった中で、検査なんかにも例えば補助的に使って分かりやすくするということはあるのではないかという議論も出たりしていますので、いろいろな使い方はBIMの可能性としてはあろうかと思っていますので、そちらのBIMの技術開発のほうでまた検討していきたいと思います。ありがとうございます。

事務局(髙松): 続きまして、落合先生、いかがでしょうか。

落合構成員: ご説明ありがとうございます。また、前向きに取り組んでいただいておりまして、ありがとうございます。

何点かありまして、1つ目が、先ほど根本先生からお話がありました、どういう形になったら人と比べて見落としがなくなったような形になるかという話についてです。機械のほうが得意なところと人が得意なところもあると思いますので、今後、全体的に比較されたりすることがあると思いますが、人が見落としていたところを機械が見落とさないかという見方で言うと、機械のほうが負ける可能性が高いことがあると思うのですが、機会だけが見つけられることもあると思うので、全体の中で本当に見落としていないのかを、人が見落としたか、見落としていないかというのを前提にしないで比較していただけると良いかなと思います。その中で、全体としてどういう形でリスクを評価できたかで評価していただきたいと思います。まだ先のことも含まれるとは思うのですが、そういった視点も持っていただければというのがまず第1点です。

第2点が、目視のところを告示に書いていただいている点ですが、ご説明の中でドローンも使って良く、そういうこともやっていただくようにしていきたいというお話でした。これまで規制改革会議で議論していたときに、目視という言葉が書いてあると、現場の方がどうしても使いにくいとか、どうして良いか分からなくなって、戸惑って止まってしまうということがよく起こるというお話がありました。こういう場合に使っていいということをできれば告示自体のほうも分かるようにしていただくということで、既に使って良いという方向でお考えいただいていることが現場の方にも伝わりやすくなるかなと思いました。そういったこともお考えいただければというのが2つ目です。

第3点が、さっきのカタログというお話も、ほかの例えばトンネルや港湾のほうは既に進めていただいていて、技術的には一部共通する部分はあると思います。ぜひそちらの情報も参考にしていただきたいなと思います。部局間で連携するのも大変なこともあるということも承知していますので、デジタル庁のほうでサポートされるに当たっても、ぜひほかの部局の情報も集めていただいて、そういったものも提供しながらサポートを進めていただければと思います。

これは国交省さんというよりかは、お話をしながら進めていく場というところだと思うので、デジタル庁のご担当のほうでもそういう役割を担っていただけないかというものになります。以上です。

国土交通省住宅局: ご指摘ありがとうございます。我々も、いろいろな技術を進展に応じて活用していくということは大事だと思っています。一方で、人によるほうが効率的だという部分もかなりあるというのが現実だと思っていまして、人による検査、判断、目視と技術活用をどううまく組み合わせていくかというところを考えていければと思っています。

そういった中で、ご指摘いただいたように、説明の中でも少し申し上げたつもりですが、別にドローンを使うことを否定しているつもりはないのですが、例えばそういうものについて使って良いのだよということを現場の方にどうやって伝えたらいいのかというのは課題として考えていかないといけないなと思っています。そういった情報提供をどうするかということは考えなければいけないのかなと思っております。

事務局(髙松): ありがとうございます。最後、ご指摘いただいた点につきましては、デジタル庁の立場であればこそできることがあろうかと思いますので、政府内での情報の共有につきまして検討させていただきたいと思います。

国土交通省住宅局: 我々自身も情報収集には努力したいと思います。いろいろな意味で、現場の声なども聞きながら考えられればと思っています。

落合構成員: ありがとうございます。確かに現場の負荷がない形で、状況に応じて使える範囲を広げていければという形だと思いますので、ぜひよろしくお願いいたします。

事務局(髙松): では、時間も押しておりますので、2つ目のテーマにつきましてはここまでにさせていただきます。追加的なご意見、ご質問がありましたら、事務局までお寄せください。

また、本日いただきましたご意見を踏まえ、各省庁においては追加のご検討もお願いする場合もありますので、ご協力をお願いできればと思います。前向きにご検討いただいていると認識しておりまして、3月末に向けて、フェーズの段階、目指す方向性を詰めさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
住宅局の皆さん、ありがとうございました。ここで一度、安念先生にお返しさせていただきます。

安念副座長: 安念です。これから後半の議事でございます。髙松参事官、お願いいたします。

事務局(髙松): 髙松です。3点目ですが、廃棄物の処理及び保管施設への搬入物に係る目視規制となっています。副大臣、恐縮ですが、一言お願いします。

小林デジタル副大臣: 環境省の皆さん、本日はご協力いただきましてありがとうございます。日頃、事務局から様々なご相談をさせていただいていますが、この会議体をクローズで行っているのは、本音ベースでいろいろお話ができたらということでして、これから5年、10年で生産年齢人口も相当減ってしまうので、各業界も人手不足になっていきますし、一方で技術が進展している中、昔つくったルールで、今に合わせて少しでも変えられるものがあれば、ぜひどんどん進化をさせていければと思っています。

ただ、世の中に説明がつくか、稼働に当たって予算がないとなかなかうまくいかないなど、本音ベースで課題感も共有いただきながら、どうしたら一緒に乗り越えられるかという相談の場と思っていただいて、いろいろお話ができればと思っております。今日はよろしくお願いします。

環境省環境再生・資源循環局: よろしくお願いします。

事務局(髙松): ありがとうございました。
今回の規制につきましては、これまでのインフラとか建築物といった構造物を対象とする点検と異なりまして、産業廃棄物の処理の状況とか、取扱いによっては発熱・発火等のリスクがある物質についての保管設備への搬入の状況、こういったものが適正に行われているかどうかといったことを確認する点検となっております。
では、環境省環境再生・資源循環局廃棄物規制課長の神谷洋一様よりご説明いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

環境省環境再生・資源循環局: 環境省の神谷でございます。本日はお時間をいただきありがとうございます。よろしくお願いいたします。
廃棄物処理法については、目視という観点から2つの課題をご提示いただいておりまして、今日、その内容についてご説明したいと思います。

1つ目は、廃棄物の処理状況の実地確認というものでございます。これについては、まず法的根拠から申し上げますと、真ん中に「委託基準等の遵守」というのがありまして、廃棄物処理法に基づいて排出事業者が他人に廃棄物処理を委託する場合について、委託した産業廃棄物の処理の状況に関する確認を行い、発生から処分が終了するまでの一連の工程における処理が適正に行われるために必要な措置を講ずるように努めなければならないと。ここで言う確認が、目視をどの程度必要とするかというのが今回の主たる論点だと理解しております。

こういう考え方が出てきました背景ですけれども、実は廃棄物処理というのは、いろいろな形で低コストの処理に流れて不適正な処理が行われている歴史がずっとありまして、法制を強化してきたというのがあります。産業廃棄物の考え方も、基本的に事業者がその産業廃棄物を自ら処理しなければならないという大原則がある中で、委託をする場合もしっかりとこうした管理をしなさいということでこの規定が置いてある、そういう重みがあるということです。

それで、この確認の方法を具体化するチェックリストを平成29年6月につくっています。この中で今の考え方がいろいろ示されております。排出事業者の責任は、単に廃棄物の処理を他人に委託すれば終了するというものではないと。あるいは、実際の今回の確認を、施設を実地確認する方法や、他者が間接的に確認する方法などの措置を取れば免責されるというものではないと。

さらに、「趣旨」というところで、実際には処理業者とコミュニケーションを取りながら実地確認を行うことや、公開されている情報について不明な点や疑問点があった場合には処理業者に確認を求めることなど、実質的な確認が重要であると。こういう理念をいろいろ述べています。
なぜこういうところにこだわりがあるかという背景をもう一つ申し上げます。これは、排出事業者があずかり知らぬところで委託業者が悪いことをしましたという話が多々あります。

2つ例があります。1つが、平成28年に壱番屋というカレー屋さんが排出事業者となって、そこのカツを許可を持った産廃処理業者が勝手にもう一度流通経路に乗せて販売してしまったという大変な事案がありました。これも、許可業者に適正に委託をしたはずなのにというところで、こうした事案がなぜ防げなかったのかということが大変大きな問題になりました。

もう一つは、平成28年の事案ですけれども、解体で発生した廃棄物を多重の委託をした上に、最後、無許可の方が不法投棄をしてしまったということで、無許可業者への委託も多重の下請委託というのも、いずれも廃掃法に抵触する話ですが、こうしたところを何ら管理されずに実施されてしまったような不法投棄の事案も起こっていますということで、では、排出事業者の確認をチェックリストとしてちゃんと確認して運用していこうということが必要になってきたという背景がありました。

チェックリストですけれども、どんな項目を排出事業者は確認すべきかというのを時点ごとにまとめています。排出時の廃棄物の該当性というところから、保管時の保管基準の遵守、委託の要件です。引渡し前にそれを確認すること。さらに、マニフェストという管理票の交付が適正に行われるかの確認。その後、引渡し後の処理状況の確認というのが今回目視かどうかというところで主に議論になっているところだと思いますが、終了時にはマニフェストがちゃんと返ってきているかといったところを確認するということで、各段階でしっかり責任を持ちなさいというチェック項目を定めています。そういうのが法律の規制です。

この処理状況の確認が目視かどうかというところは、自治体によって運用に差があるのではないかという議論が一つあります。我々は、必ずしも目視で行うことを強制しているわけではないということがありまして、そのことは通知も行って実際に周知しています。昨年の関係課長会議の中でも、今と同様のご要望がありまして、現地確認の義務づけや指導している自治体におかれては、こうした手法が注意義務の履行として適切と認められる場合には柔軟な対応をお願いしますということで、オンラインの活用等についても柔軟にということを呼びかけているという実績があります。

次のページですけれども、あとはチェックリストの中でどこまで目視を義務づけているかという話です。ここの内容としましては、一つは優良産廃業者に委託している場合については、間接的な方法で確認することも考えられますとしています。あとは、公開されている情報について不明な点があった場合には回答を求めるなど、実質的に確認することが重要であるということです。

ここで優良産廃業者というのが出てきますけれども、適法な処分とか財務の透明性とか、そういう業務内容が良好な者で県に認められた方については、優遇策としてここの部分を緩和して、明示的に目視でなくていいというところを後押ししている施策として使っている部分がありまして、ここで業者の質によってそれが可能かどうかという差をつけるという考え方を導入しているというのが一つあります。

フェーズとの関係の検討ですけれども、現行のフェーズについては、チェックリストにおいて実地確認の例示があるということと、オンラインを許容していることを明示していないということで、まだフェーズ1-②の段階であると整理いただいております。

それで、今後の対応ですけれども、遠隔化できる確認項目・場合の明確化ということで、先ほどありました一連のチェックリスト、排出時から終了時までのリストの中で、例えば書類とか計器、業者からの聴取による確認といったものはオンラインで確認できる可能性があると思います。

ただ、処理状況の確認というのは、施設が環境保全上適切に稼働しているかというところを実際に現場で体感しないと感じられない情報の不足がどうしても出てくると思います。具体的に言えば、悪臭が発生しないかといった話ですが、これもあるので、これはオンライン化ありきでの検討については少し慎重に考えなければいけないのではないかと思っています。

それから、デジタル化による代替手段についての通知の発出でありますけれども、自治体の規制の現状とか検討等を踏まえて、どういった項目について出せるかというところを検討しまして、チェックリストの改正を念頭に作業していきたいと思っています。

スケジュールとしては、自治体の規制状況の調査を行い、ヒアリング等を通じて、遠隔化できる項目を拾い出し、来年度内に通知を出すという内容を考えています。

目指すフェーズですけれども、一連の工程を確認する方法として、項目によってはオンラインも活用できるというところを明示して、それを導入する。グループ会社が同時に同一事業者に委託する場合もオンラインを活用というのも要望事項にありましたけれども、上の話と連動して、それも可能になってくるということだと思っています。これが1点目です。

2点目は、固形燃料の目視検査という話です。廃棄物処理法の中で、ごみを固形化して燃料を製造する施設も許可の対象になっていまして、その施設の維持管理の基準を守って稼働しなければいけないという規定があります。右側に写真がありますけれども、可燃ごみを燃料に加工して、この燃料を発電等に使うということで、リサイクルの有効な手段として一般廃棄物でも産業廃棄物でも非常に多く導入されています。

この燃料は、非常に有望なものではありますけれども、燃えやすいものですから、発火とか加熱の防止というのが非常に大きな課題になっています。施行規則上の規定としては、ここにあるように目視確認をしましょうということになっていまして、目視により検査をし、著しく粉化していないことを確認し、記録することをそれぞれ関係施設について規定しています。

次のページですが、なぜ、著しく粉化していないという規定があるかというところが上の囲みのところです。粉状になった可燃物が水分や空気と触れ合って非常に反応しやすくなるということで、あるいは発酵なども起きやすくなるということで、そういったものがいずれも発熱、自然発火などにつながって、安全上の懸念を生じるということです。

基準としては、粉化度として「著しく粉化していないこと」というさっきの規定がありますけれども、具体的には、右側のフローにあるように、製造する施設、それを使って発電をする施設、焼却施設等において、搬入や搬出の各段階で目視の点検をして、著しい粉化がないかを確認するといった運用を行っています。

こうした経緯、著しい粉化を防ぐという話ですけれども、なぜ導入したかというのも、やはりこれもいろいろ不幸な事故がありました。一つの例としては三重県の企業庁の例で、固形燃料発電所というところで、一般廃棄物から作った固形燃料で発電を行う施設ですけれども、発熱、発火をして、その冷却作業などが難航しているうちに爆発事故が複数回起こりまして7人の死傷者が出てしまうという大変痛ましい事例がありました。

それから、大牟田リサイクル発電所というところの事例でも、やはり温度上昇が起こって、白煙が確認され、これも窒素ガスの注入を行いながら燃料取り出しをするということで、大変長期にわたるオペレーションを余儀なくされたということです。

これを基に、技術的な検討会を開いて、先ほど出てまいりました維持管理基準が追加されたというのが平成16年、平成17年のことです。
現在、この規定がどう運用されているかというのが今回議論になりましたので、聞いたのが次のページです。目視によって著しい粉化を確認するという運用の一例としては、事前にふるい選別を行って、一定の粒度以下のものについてはあらかじめ除けて、それ以外のものを目視して保管設備のほうに移すということで、目視の負荷を下げる運用をしている施設の例もありました。

次のページ、今回の検討の方向性です。目視と規定しているのが現行です。検討課題としては、高精度カメラやドローンなどの活用は今の規定の中でも活用の余地はあるということですが、解釈等の明確化ができないかというのが課題と考えています。判断の精緻化や省人化については、AIで判断することなどをもって判断できれば省人化につながるということで、これも技術的検証を行う課題と考えています。

次のページですが、もう一つこの課題について提起されていた話として、「著しく粉化」と書いてあるのが定量的な基準にならないかという話です。定量化の話は、一律の定量化は難しいですねというのが実はこのガイドラインをつくった際の検討の結果で、既にガイドラインに書かれていますということでして、ちょっとご紹介したいと思います。

最初に出てくる話ですけれども、全体の中で粉化度の平均値2.6%という数字が施設平均としては出てくるけれども、これは管理状況によってどこで危険かというポイントは変わってくるということで、長期保管を行わずに速やかに利用することが徹底している施設であれば、20%を超えるようなところであっても別に危険とは言えない運用ができているところもありますと書かれています。

それから、粉化度を1~2%とすることがあるけれども、利用状況から見て必要がないと認められる場合はこの限りでないということもありまして、一律の粉化度を定量化するのは必ずしも合理的ではないということになるので、目安値は示しながらも、著しいがどこのラインになるかというのはその施設における燃料の性状とか管理状況を見て個別に判断すべきというのが現在のこのガイドラインの考え方です。

次のページですが、今後やっていく話ですけれども、一つは技術的検証ということで、粉化を高精度カメラ、プラスAIで、画像処理で評価することによって判断できるかどうかというところは、まず技術的な検証を行っていきたいと思っております。この画像をディープラーニングさせて、人間の目とどうかという検証をしていくイメージです。

もう一つは、制度的な検証ということで、維持管理に係る法的責任が当然事業者にかかってきます。廃棄物に多様性があるとか、自治体や事業者がどう考えるかといったところをしっかり押さえながら、目視以外の方法についての制度的対応や解釈の明確化というのを検討するということで、技術検証と制度検証を掛け合わせて、今年4年度の秋以降、これらを実施して答えを出していきたいと思っています。ちょっと長くなりましたが以上です。

事務局(髙松): ありがとうございました。今の点につきまして、ご質問、ご意見等がございましたらお願いします。安念先生、お願いします。

安念副座長: 中央大学の安念です。後半の粉化の問題ですけれども、少なくとも志としてはフェーズ3を目指されると私は伺ったのですが、そういう考え方でよろしいのかというのが一つです。

それから、施設を通じて一律に何%という値を決めるのはおかしいというのは、なるほどそうだなと思うのですが、そのこととフェーズ3にできるか、あるいはフェーズ2にできるかということとは直接の関係はないことであって、施設ごとに、あるいは状況ごとに決めるというのであれば、機械を使うときにパラメーターとして設定すれば良いだけだと思うのですが、この点はいかがでしょうか。

環境省環境再生・資源循環局: ありがとうございます。
AIの導入というのは視野にあります。全てを代替できるか、どういう形でどこまでの導入をするのかというところは検証してみないと分からないという部分がありますけれども、3の部分で、何らかの省力化に役立つような導入ができないかという観点では検討していきたいと思っています。
あと、数値化とAI化は別であるという話は、ご指摘のとおりだと思っております。この基準が著しい粉化という規定が曖昧であるということで、それがAIの導入とか自動化などの支障になっているのではないかということで、数値化もあるとより進むのではないかというご提案があったということでして、数値化がないとできないという前提で考える必要はないと我々も思っています。

安念副座長: ありがとうございました。

事務局(髙松): 続きまして、稲谷先生、いかがでしょうか。

稲谷構成員: ありがとうございます。私も実は安念先生とほぼ同じことを考えたところもありまして、少しだけ付け加えさせていただきますと、目で見て分かるものなのかというのがもともとよく分からなかったというか、目で見るだけではなくて、別のセンサーも組み合わせてやるとか、結局、危険を防ぎたいという目的を達成するのに、何が捕まえなければいけない指標なのかについても少し範囲を広げて検討されると、より良い方向に行くのかなと思ったというのが一点です。

もう一点は、制度的な対応の中で、これはどのような業者にお願いするのかというリスクの問題とか、業者が所在する位置とか、様々な問題があると思いますけれども、実験をしてみて進んでいくところがあると思いますので、なるべく萎縮しないような方向で進めていくというところを一緒にやっていただけると、非常に技術も進んでいくのかなと思ったところです。ありがとうございます。

環境省環境再生・資源循環局: ありがとうございます。ご指摘を踏まえて、安全確保という大目標を見失わないように、いろいろな技術を柔軟に取り入れられるように検討を進めたいと思っています。ありがとうございます。

事務局(髙松): 続きまして、落合先生、いかがでしょうか。

落合構成員: ありがとうございます。
私の方からは今の点とはまた違う点です。一つが委託の実地確認の点についてですが、確かにおっしゃっていただいたとおり、臭気は直接測定するのは難しい部分があるかなと思います。そこのところが必須である場合に直ちに今の技術でできないことはありうるかとも思います。

一方で、例えば水素を供給するときには、付臭義務の話があるのですが、諸外国であれば、それも例えば漏れ出ている空気の量を計測したり、センサーを張ったりすることによって、直接、臭気を測定しなくても代替的に安全を確保するような措置が検討されることもあると聞いております。確かに臭いでないとどうしても確認できないし、それの代替手段も思いつかないということもあるかもしれませんが、一方で、全てのものを代替しないにしても、代替できる部分はあるとも思います。そういう部分をできるだけ特定していっていただいて、できる範囲で実地を必須とする部分を限定していただくことをお考えいただけないでしょうかというのが一つ目です。

もう一つが、自治体の取組をどうやって後押しするかということです。最近、ローカルルールをどのように取り組んでいくかという話は、ほかの業法の関係でもかなり議論になっているところではあります。その中で、例えばモデルの条例をつくったりするような業法もありますし、通知などである程度、こういう形でやっていったらどうですかと示すこともありうるところです。もちろん最終的に条例制定権がある場合にそれを剥奪することはできないわけですが、そういったことが少しずつ行われている部分もあります。もちろんそこは分かっていただいた上で、できるところはということで説明会でお話しいただいたりはしていただいていると思います。それをもうちょっとだけ進めたような形で、できる限り自治体も後押しするような形で取り組んでいただけないかというのが2点目です。以上です。

環境省環境再生・資源循環局: ありがとうございます。
処理状況の確認ですけれども、部分的にでも緩和できないか、そういう視点もおっしゃるように大事だと思いますので、俎上にのせて検討していきたいと思います。

生活環境の保全を確保するという廃棄物処理施設の大きな目標は、まさに五感のあらゆることを動員して公害を起こさないということですので、全てはというところはどうしても防御線があるのですけれども、柔軟に考えられるところは考えたいと思っております。
それから、自治体の条例も、今ご指摘がありましたように、明らかに国策に反するような話であればまだしもという部分がありまして、条例制定権との関係で慎重になる部分はありますが、呼びかけがどういうふうに工夫できるかというのは、今のご指摘を踏まえて取り組んでまいりたいと思います。ありがとうございました。

落合構成員: ありがとうございます。ぜひよろしくお願いいたします。

事務局(髙松): ありがとうございました。追加のご質問等については事務局にお寄せいただければと思います。
また、本日いただいたご意見、ご指摘を踏まえて追加のご検討をお願いする場合もありますので、環境省の皆様にはご協力を引き続きお願いします。
これで3点目のパートを終了します。環境省の皆様、ありがとうございました。

小林デジタル副大臣: 環境省さん、ありがとうございました。引き続きよろしくお願いします。

事務局(髙松): 続きまして、4点目、固定資産の実地調査についてです。初めに、副大臣より、この取組の趣旨について一言いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

小林デジタル副大臣: 自治税務局の皆さん、お世話になります。ありがとうございます。
もう趣旨は十分伝わっていると思いますが、特に自治体は人手不足のところもありますので、昔は技術がなかったため目で見てということだったと思うのですが、新しい技術も出てきた中で、なるべく人手不足を解消しながら効果的な行政ができるようにということで、今日クローズにしているのは、本音ベースでいろいろお話しいただいて、どういうサポートを我々ができれば乗り越えられるのかという部分でもご相談できればと思っていますので、ぜひよろしくお願いします。

事務局(髙松): ありがとうございました。これまでの規制は点検とか巡視といったタイプの規制でしたが、本件はこれらと少し異なりまして、目視規制の3種類の類型の中で申し上げますと、実態とか動向など明確化する調査に該当するものと考えております。
実際には各自治体がこの規定に基づいて業務を執行しておりますので、このような構造にある中で、技術代替を図っていくためにどうすれば良いのかといったところが論点になってこようかと思います。

それでは、総務省自治税務局固定資産税課長の風早正毅様、及び同課固定資産鑑定官の横山繁様より、ご説明をお願いいたします。

総務省自治税務局: 固定資産課長の風早です。
資料の1ページ目をお開きいただければと思います。こちらは、ご示唆いただきました様式に基づきまして、固定資産税の実地調査についてご説明したものです。

1番目で、地方税の関係条文を記載しています。408条という部分です。

2番の趣旨ですけれども、本条が規定する、条文上は「実地調査」と書いていますが、これについては、ここにありますとおり固定資産の現況を知り得る程度に行われれば足りるとされておりまして、そもそも人が現場に赴き、書類や建物を目で確認することなどを求めているものではありません。つまり、自治体において、実情に応じて適正な手段で調査をしていただければという制度です。

その上で、先ほど副大臣からもありましたが、航空写真の技術が出てきたときに、平成5年の通知になりますが、改めてその趣旨も含めて、現況確認を現地に赴くことなく有効かつ効率的に進められるよう航空写真等を活用することについて、自治体に対し助言として通知を発出している状況です。

資料が前後して恐縮ですが、3ページ目をお開きいただければと思います。こちらにその通知を記載しています。平成5年の通知です。まず上段のところ、航空写真を活用することが有効かつ効率的なので、航空写真を活用した固定資産の現況調査が計画的に進められるよう、通知をしたものです。

下の「記」のところで2点ほどご紹介しますと、まず3のところで、自治体内の他の部局とも連携を図って、道路台帳とか地積図など既存の資料をできる限り有効に活用すること。また、4番のところでは、事務の合理化及び予算の効率的執行の観点から、複数の市町村で共同して航空写真の導入を行うことなどについても触れて助言をさせていただいているところです。

また1ページ目にお戻りいただければと思います。
3番、実情ですが、最近では9割を超える市町村で航空写真により効率的な調査が行われているところです。ざっと見たところ、残る1割弱の自治体は基本的に小規模な自治体でして、航空写真によらずとも、自治体の様々な行政活動の中で、どういった新しい建物が建ったとか土地の利用形態が変わったというところがそこまでしなくても分かるような、過疎団体とか離島関係の団体といったところと理解をしているところです。

4番、デジタル庁さんのほうで整理をしていただいた類型についてですけれども、フェーズ1-2となっています。先ほど申し上げたとおり、本条の規定は調査の方法を何ら自治体に対して規制しているものではないということを前提としまして、今のような航空写真を活用することが望ましい旨、通知で明確化しています。整理の中で事務的に、ここで例えば、我々としては仮にドローンを使われても航空機の一種だという整理をしていますが、ドローンとかAIということが明示的にこの通知にないというところがこの整理の理由とお聞きしています。
5番、今後の課題ですが、これは後ほどご説明することとも若干関連しますが、AI等の活用事例が増加するためには、やはりAIの精度の向上が必要なのかなと掲げさせていただいております。

それに関連して6番、目指すフェーズのところをご説明しますと、改めて申し上げるまでもないのですが、固定資産税は賦課課税ということで、課税庁である市町村が税額を決定して、それに基づいて納税者の皆さんに対して納税義務が発生するわけですので、当然のことながら、税額が間違っているとなると、国民の財産、国民の権利に多大な影響、ご迷惑をおかけすることになりますので、AI活用の際にも精度の確保は非常に大切だと考えています。

AI等の導入の可否については、技術の精度等を勘案して、あくまでも調査の実施主体である市町村が、面積とか規模、さらには固定資産の変動の度合い、頻度、こういったものを実情に応じて最も適切な方法を判断し、効率的に事務事業を執行していただくことが大事であるということで書かせていただいている次第です。

続きまして、2ページ目です。こちらも、事務局のほうからご示唆をいただいて、論点ということでして、今ご説明させていただいた1ページ目と若干重なる部分もありますが、簡単にご説明します。

まず1点目、法令の規定の関係です。「実地に調査」と規定していますが、人が現場に赴いて調査する必要はないということがもうはっきりしているものです。既に、航空写真等の活用による効率的な調査を通知で推進しています。

2点目、地方団体における調査方法の実態ですけれども、各団体それぞれ、規模等に応じて効率的な調査を実施し、9割を超える団体で航空写真等を活用しています。

3点目、先行事例の横展開というところですが、ドローンを活用している青森県横浜町の事例とか、撮影画像のAI解析とかクラウド活用の実証実験を行いました群馬県前橋市さんの事例などがあります。この件については、4ページ以降の資料に基づいて鑑定官のほうからご説明します。

総務省自治税務局: 鑑定官の横山です。資料の4ページ目です。これが航空写真AI解析クラウド実証と言われるものでして、この実証実験は総務省の令和2年度自治体AI共同開発推進事業として、前橋市ほか3市及び日本電気株式会社によって令和2年7月から令和3年2月まで実施されたものです。

事業内容としては、固定資産税事務で、航空写真データをAI解析することによって課税客体把握の業務効率化を目指すものです。
本事業によって、従来、人による航空写真の目視判読作業をAIによる異動識別に置き換えることによって、高精度かつ短期間で業務遂行が期待されるものです。

具体的な処理工程ですが、この資料の下の図をご覧ください。左側の「画像処理」と表記した青色の部分は、既存のソリューションを活用しまして、新旧の航空写真からAI解析が可能なデジタル画像データを作成いたします。このデータ処理によって、新旧の画像の色とか形状の変化を把握することが可能となります。

次の「対象領域抽出」と表記された部分です。このデジタル化された画像データを解析して、写っている画像の色や形状から、それが土地なのか、家屋なのか、道路なのかといったことをAIに認識させ、データを作成します。

次に、「入力データ作成」と表記された部分では、この認識データから異動があった、変更のあった土地や、家屋の情報をリストアップして、課税台帳データと突合するための差分データを作成します。

最終的には、「異動識別」と書かれている部分では、この差分データと課税台帳データを突合して、異動の有無をAIで判定をするという流れです。

こうした処理によって、家屋の新築とか滅失、または農地から駐車場に利用状況が変化した土地などを効率的に把握することができるというものです。

次のページは、この実証実験に参加した4市の担当課の感想です。精度の改善等が図られれば実務に十分活用できるのではないかという感想を持っておられるようです。

課題となっている精度の改善の部分ですが、下に幾つか入っておりますが、代表的なところを申し上げますと、家屋をビニールハウスと認識したり、道路の舗装部分を農地と認識するといった誤りがあった。特に、農地・雑種地は誤って認識するケースが多かったと聞いております。

この実証実験の代表団体である前橋市は、精度の向上が必要で、実務への導入にまだ至っていないということで、実証実験に参加したほかの自治体においても導入に至っていないと聞いているとのことです。

また、その他の市町村では、航空写真の撮影、新旧写真の比較検討、あとは異動があった家屋及び土地の状況の抽出作業を一括して民間企業に発注しているところもあります。その場合、受注企業のほうでAIを活用している例もあると聞いております。

次に、航空写真のドローン撮影です。本日は資料をご用意しておりませんが、先ほど申し上げた青森県横浜町のドローン撮影については、今回、航空写真撮影の委託業者が使用している撮影機材がドローンであったようでして、町としてドローン使用を求めたものではないということです。

また、幾つかの市にドローンの導入可否について聞き取りをしたところです。現在のドローンでは、航空法による150メートルの飛行高度制限があるため、市町村内全域を撮影することになると、従来の航空機撮影に比べて撮影枚数が非常に多くなるということでした。ドローンを活用する際は、地域状況とか様々な状況を踏まえた活用の仕方があるのではないかと考えています。説明は以上でございます。

事務局(髙松): ありがとうございました。落合先生、いかがでしょうか。

落合構成員: ご説明ありがとうございます。ご説明を伺って、平成5年に通知を出されていたということで驚きました。ほかの省庁でそのタイミングで航空写真と書かれていたことは、あまり聞いたことがありませんでしたので、そういう意味では非常に先進的に進めていただいていたのだなということを改めて知りました。

実際に、実証実験のほうも進めていただいて、さらに精度向上などにも取り組んでいただいているところと思います。この辺りの取組は、実験をしている自治体さんもそこまで手が回る自治体さんとそうでないところもあるのかなと思います。例えば今実施していない1割の自治体さんは小規模の自治体も多いのではないかという話もされていました。そういったところは人員が一般的には少なくて、ITや技術に詳しい人がいないので、そもそも利用しようと思っても、問題なのかどうかも何かよく分かっていないこともあろうかと思います。こういった取組の内容であったり、こういうところをこういうふうに点検していくといいですよ、というところを積極的にまとめて出していただけると良いのかなと思いました。

国交省さんとかは、そういう活用のガイドブックとか、事業者のリストなどもそうですし、いろいろ整備されて、利用が進んでいるような側面もあるようですので、ぜひそういった観点でもご検討いただけないかなと思いました。以上です。

総務省自治税務局: ありがとうございます。貴重なご意見をいただきました。ご指摘のとおり、あくまでも調査の方法について何ら規制はしていないのですけれども、自治体において、AIとか便利なやり方ができる、それを検討されるということは良いことですので、どういった形で自治体にお伝えすることができるか、あくまでももともと目視規制ということをしていないものですから、それを義務にするということはできないのですけれども、自治体のところでそういう活用をするに当たって、我々としてそういったことを適宜自治体にお伝えする方策については検討していきたいと考えています。

落合構成員: ありがとうございます。今、小林副大臣から、航空写真だけでなくて衛星とかもあるのではないかというご指摘がありましたが、画像の取り方もいろいろあると思いますので、その辺りも中立的になるように、通知の補充なども取り組んでいただければと思いますので、ぜひよろしくお願いいたします。

総務省自治税務局: ありがとうございます。

事務局(髙松): そのほか、よろしいでしょうか。では、恐縮ですが、追加的なご意見等がありましたら、事務局までお寄せください。
また、今回のご意見を踏まえまして追加のご検討を総務省の皆様にお願いすることもあろうかと思います。その際はご協力をお願いいたします。

これで4点目のパートを終了します。自治税務局の皆様、ありがとうございました。以上となります。進行を安念先生にお返しいたします。

安念副座長: 皆さん、お疲れさまでした。
副大臣から臭気のセンサーもあるというご指摘もいただいていて、かつ、航空写真のほかに衛星も使えるよねと、確かにスパイ衛星なんかは物すごい解像度だといいますから、そういうのはあるのかもしれないです。この点について、事務局のほうからそれぞれの所管省庁にお伝えいただきたいと存じます。ヒアリングについては、もう大分時間が過ぎましたので、以上とさせていただきます。
最後に、小林副大臣から、一言お願いいたします。

小林デジタル副大臣: 皆さん、ありがとうございました。
今回、前向きな省庁に来ていただいたので前向きに議論できたのだと思いますが、今後、難しいと言ってくる人たちにどういうコミュニケーションを取っていくのかということは、工夫をしながらやる必要があると思っておりますので、頑張っていきましょう。

寄り添いながら温めていきましょうということを共有し、コミュニケーションを取っていただいて、本当にありがとうございます。ぜひよろしくお願いします。

安念副座長: どうもありがとうございました。ご指摘のとおり、前回、今回と大変前向きな人々に来てもらったので、ここから先が心配だなというのは率直に言ってあるのですけれども、ほかのところでこんな前向きなことをやっていますよというのは一つの説得の材料になりますね。前向きなところから始めてよかったと思います。事務局より、次回の作業部会の開催についてご説明をお願いします。

事務局(髙松): 副大臣、先ほどのご指摘の点、承知いたしました。
次回の作業部会ですけれども、3月15日火曜日、午前10時より開催させていただきます。よろしくお願いします。
本日の議事については、公開になじまない内容はないものと存じますので、後ほど議事録を作成して、皆さんにご確認いただいた上で公開させていただきます。資料についても、特段のご異議がないようでしたら、全てデジタル臨調のホームページに公開させていただきます。本日はご参加いただき、誠にありがとうございました。