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デジタル臨時行政調査会作業部会(第14回)

概要

  • 日時:令和4年(2022年)9月28日(水)10時30分から12時00分まで
  • 場所:オンライン開催
  • 議事次第:
    1. 開会
    2. 議事
      1. テクノロジーベースの規制改革推進委員会の開催及び技術カタログの先行整備について
      2. 臨時国会提出予定法案に係るデジタル原則適合性確認等プロセスの試行実施について
      3. 「目視」、「実地監査」及び「定期検査・点検」に関する法令見直しの現状について
      4. 意見交換
    3. 閉会

資料

議事録等

日時

令和4年(2022年)9月28日(水)10時00分から11時40分まで

場所

オンライン開催

出席者

座長

  • 大串正樹 デジタル副大臣

構成員

  • 安念潤司(弁護士 中央大学大学院法務研究科 教授)
  • 稲谷龍彦(京都大学大学院法学研究科 教授)
  • 岩村有広(日本経済団体連合会 常務理事)
  • 上野山勝也(株式会社PKSHA Technology 代表取締役)
  • 落合孝文(弁護士 渥美坂井法律事務所・外国法共同事業)
  • 増島雅和(弁護士 森・濱田松本法律事務所 )

議事録

事務局(三村): 時間となりましたので、第14回「デジタル臨時行政調査会作業部会」を開会いたします。
今回も構成員の皆様にはオンラインでご参加いただいております。

本日の皆様の出席状況についてですが、菅原構成員におかれましては、所用によりご欠席されると伺っております。

早速でございますが、これより本日の議事に入らせていただきたいと存じます。

以降の議事進行につきましては、安念副座長にお願いしたいと存じます。安念副座長、お願いいたします。

安念副座長: どうもありがとうございます。おはようございます。安念です。本日もどうぞよろしくお願いいたします。

それでは、議事に入ります。

第14回の議事は3項目ございます。第1「テクノロジーベースの規制改革推進委員会の開催及び技術カタログの先行整備について」、第2「臨時国会提出予定法案に係るデジタル原則適合性確認等プロセスの試行実施について」、第3「『目視』『実地監査』及び『定期検査・点検』に関する法令見直しの現状について」、以上3点です。

それでは、第1の「テクノロジーベースの規制改革推進委員会の開催及び技術カタログの先行整備について」、須賀参事官よりご説明をお願いいたします。

事務局(須賀): おはようございます。

早速でございますけれども、資料を共有させていただきます。

こちらは第12回の作業部会において「テクノロジーマップ策定のための技術検証評価ワーキンググループ(仮称)」とご説明させていただいたものですが、今般、関係者との議論を経まして、正式に委員会の名前が「テクノロジーベースの規制改革推進委員会」ということで決定いたしまして、このたび、その設置についてご説明させていただければと思っております。

開催趣旨や検討事項については別途、別紙1、2でお示ししていますが、横断的な規制の見直しに活用可能なテクノロジー、技術というものを国内・海外の状況を踏まえて横断的に調査していく。そして、ある特定の規制分野に活用することを突破口にして、それをどこまで応用して広げていけるのかというスケールの議論をしっかりと整理していく。その際の課題についても整理し、規制の在り方そのものに対してのフィードバックもしていく。それから、テクノロジーマップやカタログが必要だというご議論をこちらでもずっとしていただいてきましたが、そもそもその仕様やどなたにどういった形で使っていただくのが適切なのかといったことについてもご議論いただくことを予定しております。

次のページに委員会の構成員の皆様のリストを載せております。座長はデジ庁のチーフアーキテクトもお務めいただいています江崎浩先生にお願いしたいと思っておりまして、そのほか、左側が構成員の皆様で、安全やセキュリティーに関するご知見のある方とイノベーションサイドのご知見がおありの方、それから物理の世界にお詳しい方とサイバーの世界の詳しい方というバランスを意識したメンバーになっているかと思います。

右側にはオブザーバー機関ということで、各省が設置されていらっしゃいます研究開発法人の皆様にもご参加いただいて、一緒に勉強していく、情報共有もさせていただくという形、それから規制をお持ちの当局の皆様にも議論を聞いていただくという形でやってまいりたいなと思いますし、この話についてずっと政府内で投資をしてこられた内閣府の科学技術イノベーション推進事務局にも入っていただく形で進めていきたいと思っております。

次のページは、今後変わるかもしれませんが、今、委員会のゴールとして想定しておりますのが、まずデジタル原則に適合しない規制や行政サービスの見直しを加速化するために、先端技術の活用事例、いわゆるベストプラクティスについての知識ベースを官民で共創していく。同類型の規制への横断的な活用と官民による調達を促進していく。技術利用を想定したリスクの再評価を通じまして、規制の在り方がそもそもこれでよかったのかという見直しを不断にかけていく。そして、国民生活を多様なリスクから最も効果的に守りながら、他方でここは今後さらなる技術開発が求められるということで、技術開発目標も提示をすることによってグローバルな市場創出や展開にもつなげていく、といったことを目指していく場になればと思っております。

次のページは、委員会の構成員から事前にこういったことが論点になるのではないかといただいたものを幾つか載せております。マップやカタログを1回作って終わりではなくて、実際に使っていただくためにどういったインセンティブ、環境をつくっていくのかが重要ではないか。そのときにどのように規制にフックをかけるのかということを非常に賢く設計する必要があるのではないか。マップやカタログの更新を官主導でずっと低い頻度で続けるよりは、民主体で自動生成され、どんどんコントリビュートが自動でなされてエコシステムとして発展していくようなものを目指すべきではないか。技術カタログは、事業者様からするとメリットばかりが記載されるきれいなものになってしまう可能性がありますけれども、何ができないのかということのほうが活用する側からすれば大事なので、そういったことがしっかり聞けるような形になっているべきではないか。

それから、テクノロジーを導入することによって規制の本来の趣旨に立ち返って、その在り方を見直すというフィードバックがかかることがあり得るのではないか。例えばデジタル化によって講習が容易に行えるようになれば、資格の有効期間を無期限としていたものを短縮して更新頻度を高めるといったことも検討可能になってくるのではないかというご意見もいただいております。

また、デジタル技術が現場で実際に使われるようにするためのインセンティブ設計というのもしっかり検討するべきということ。現在のアナログな取組で必ずしも100%の精度が実現できているわけではない、例えばカンニングを100%防げているわけではないということを前提に、デジタル技術を使った場合に100%の精度をそのときだけ求めるというよりは、どこまでが許容範囲なのかということについて指針や開発目標をしっかり示すことも含め、踏み込んだ議論をしていくべきだというご指摘をいただいております。

このカタログは来年、予算が確保できてから各省さんと連携してというふうに考えていたのですが、河野大臣から着任早々に技術カタログの先行整備を考えるべきではないかという指示がありまして、その取組を進めておりますので、ここからご紹介させていただきます。

カタログの現在の基本的な位置づけとしましては、先行事例を参照する限りにおきましては、国が個別の技術を認可・認証する門番として立ちはだかるというものは想定していない。最終的には技術を利用する方が責任を持っていただくということですし、当局の確認を挟んでいただくことを前提に、まずはその技術採用の効率を上げるための参考資料として作っていくというのが今の設定になっております。

カタログ整備にあたり、現在どういったテクノロジーがあるかということの公募ぐらいはすぐに開始できるだろうということで、第1弾といたしまして、対面講習のデジタル完結を実現するための技術について、技術公募を今月末をめどに行いまして、来月をめどに試行版として取りまとめることを検討しております。さらにその後も、例えば構造物の亀裂や錆といった劣化具合をリアルタイムでモニタリング・検出するような技術などについても順次募集をかけてみたいなと思っています。

ここから先は対面講習について、もう公募のフォームも少し作り始めておりますので、そちらのご紹介でございます。講習の前後のプロセスも含めまして、申込みや費用の支払い、講習後の技術を習得したかどうかの確認テスト、修了書の交付といった一連のプロセスのデジタル完結を行うためのテクノロジーを、広く公募をかけてみたいと思っております。今月中に公募を開始し、デジ庁のホームページにフォームを上げまして受け付けたいと思っております。

講習はちょうど私たちも先行7項目として取り組んでいるものでございまして、いつまでも手続がアナログで煩雑だよねということでたくさんの規制がリストアップされているものでございます。

その中でも国家試験を所管している各当局の皆様に伺いますと、成り済ましやカンニング、講習の間の離席、内職、居眠りといったものについて、いい加減にやるわけにいかないのだということでたくさんの課題意識をいただいておりまして、この中でどういう課題がどういった制度、テクノロジーで解決できるのかということをぜひ公募をかけて理解していきたいと思っております。

次のページは次の課題として考えているものです。構造物のセンシングに関しまして、いろいろな非破壊検査があり、リアルタイムのモニタリング技術、センシング技術があるということで、そういったもので今どこまで何ができているのかということをユースケースも併せて募集をしてみたいというのが次の案として考えていることでございます。

こういったカタログの公募をかけ、出していただいた技術を見ながら、同時並行でこの委員会においてこのカタログの整備対象とするテクノロジー分野をどういった単位で考えて、どういう順番で整備していけばいいのかとか、カタログは標準化して比較可能な形にすることが付加価値なわけですけれども、このカタログの掲載項目をどういった粒度のものにしていくべきなのかとか、公募をかけてみて反省点があればそれを次回の公募では直していくとか、カタログも公表してみてこんなのでは全然使えないということであればそのフォーマットを見直していくということも含めて、具体的な検討の材料にしていきたいなと思っております。

それから、カタログの掲載技術に関しても、トラストの担保の方策、すなわち、誰がお墨つきを与えるのか、どこまで誰がチェックするのか、一切チェックしないでいいのかということの議論。それから、これを利用したときの責任ですね、本来の性能が出せなかった、あるいは例えば成り済ましが実際に起きてしまったというときに誰がどう責任を負うのかということについても整理しておくべきだということで論点認識をしております。

私からは以上でございます。

安念副座長: ありがとうございました。

それでは、ただいまいただいたご説明についてご意見、ご質問等がございましたら、どうぞご発言ください。

稲谷先生、どうぞ。

稲谷構成員: 京都大学の稲谷でございます。大変意欲的な取組のご紹介をありがとうございます。お伺いしていて、これでいよいよ本格的に進んでいくのが具体的にイメージできて、大変わくわくいたしました。

私からは何点かコメントさせていただきたいのですけれども、まず民主導で進めていくほうがいいのではないかというご意見については、私も同意いたします。その際に、スライドの中にもありましたけれども、民主導で進めていくためのコンタクトポイントが必要だという話がきっとあると思うのですね。これまでいろいろなところで、デジタル化関係の講演や研究会をやった後に、企業さんの方からいただくお話として、やってみたい、出してみたいというアイデアは実際あって、デジタル化に向けて提案したいのだけれども、コンタクトポイントがよく分からないというご意見をいただくことが多かったのですね。その辺が整理されてくると、民主導で進めていく上での障害が1つなくなるのだろうなという気がしますので、そこはぜひ整理していただけるとありがたいかなと思いました。

それから、リスクの許容度を考えていくという議論はかなり重要なポイントだと私は思っていて、便利な技術だけれども、これを使ってしまった場合に、今までのやり方をしていれば法的責任が問われなかったのに、やってしまったために責任が問われるという形になると困るという、萎縮効果みたいなものがあるのではないかと私は考えています。

つまり、カタログに載っているものをちゃんと使ったにもかかわらず、何かが起きたときに結局責任を問われてしまうという形になると非常に困ると思いますので、その辺りのうまい整理の仕方もちょっと視野に入れながら一緒にやられていくと、そういった問題はクリアできるのだろうなと思いますので、ぜひその点については、もし踏み込まれるのであればうまく何か議論の座組みみたいなものを考えながらやられるとうまくいくのだろうなと思います。

最後に、今の負のインセンティブをどう減らすかという話なのですけれども、正のインセンティブというのは考えられると思っていまして、非破壊検査の話というのはたしかこの作業部会の中でもいろいろ紹介があって、市場が小さいので価格が下げられなくて商品化するのが難しいという話があったと思いますので、カタログに載ると、例えば将来的にアンカーテナンシーの対象になりうるといったような、正のインセンティブとセットで組み合わせていってあげるというのも、社会実装を進めていく上で大事な話になるのではないかと思います。

ただ、そうすると、ここはどうしても認証の問題やさっきのリスク許容度の問題とも密接に関係しますが、認証も民主導でやるとすると、官が最後まで責任を持つのは難しいと思いますので、民主導でやっていくとすると第三者認証みたいなやり方にどうしてもなってくると思います。ただその場合には、そのときに大きな企業のモラルハザードみたいなものが起きない仕組みというのも同時に考えておく必要があって、そこができると全体としてうまくいくのだろうと思います。

いろいろばらばらと申し上げましたし、恐らく既にカバーされているお話だとは思いますが、全体として今申し上げたような点に配慮されると、恐らくもっと迅速に前に進んでいくような話になるのではないかなと、お伺いしながらこのように思ったところです。

私からは以上です。

安念副座長: ありがとうございました。次の順序でご発言をお願いいたします。岩村、上野山、落合、増島各先生の順番でお願いします。まずは岩村さんからお願いします。

岩村構成員: ありがとうございます。

河野大臣のリーダーシップによって、マップやカタログの提供に前倒しで着手されることを心より歓迎したいと思っています。

経団連としても、明後日の9月30日にデジタル臨調事務局による説明会を開催する予定です。結構関心が高いようで、今日時点で300弱ぐらい参加者が見込まれているということです。スタートアップも含め多数参加されるようですので、ぜひよろしくお願いします。

先行整備を進めることで利便性を実感できるような成功体験は非常に重要です。今後、先生方から様々なご指摘があるかと思いますが、実際やってみて改善していく点も出てくると思います。そういったところを含め、よろしくお願いします。

企業がメリットを実感し、情報の提供が増えて選択肢の幅が広がることによって、一層活用が増えていくと思いますので、こういった取組を皮切りにモメンタムが一層加速することを期待しております。

以上です。

上野山構成員: 上野山です。ありがとうございます。

方向感を含めてぜひ進めていただきたいなと思っています。メンバーの方々も技術系に詳しい方がたくさん入られているので、あまり大きく私からメッセージはないのですけれども、ぜひ進めるときにここら辺を押さえておいていただけるといいのではないかなと思うことを2から3個お伝えできればと思います。

1個目は、技術カタログの活用の出口みたいなものをまずクイックインを設定されていると思うのですけれども、これをいかに多段階的なアウトカムに成長していくようなデザインをするかの設計が大切ですよねという話です。

2個目は、この技術カタログみたいなものが人が賑わい人が集まるようにするか、つまり技術カタログの前を人通りが多い場所にいかにするかというところがやはり重要なのではないかなと思います。多く使われれば勝手に改善されていくと思いますので、民が自らコンテンツを上げるというのもあれば、官庁側が見ざるを得ない何かを仕掛けておくみたいなところ含めてというところ。

最後はさらに各論で恐縮ですけれども、技術カタログの項目の一つに技術の課金スキームというか、お金の話を入れてもいいのではないかなと個人的には思っていまして、結局普及するかどうかはこれが売り切り型なのか、サブスクなのか、実はそれがフック商材になっていて、SIやカスタマイズみたいになっていくのかというのは結構重要なので、ぜひ会議体の中でお金の話をどこまで入れるのかというのをぜひ議論いただきたいなと思いました。

以上です。

安念副座長: ありがとうございました。

それでは、落合先生。

落合構成員: ありがとうございます。非常に前倒しになったことも含めて、河野大臣のリーダーシップもそうですし、よいメンバーを集めていただいた須賀さんのご尽力も非常にすばらしいなと思います。

その上で、さらにどういう形で発展していく可能性があるかですが、先ほど上野山さんがおっしゃられた内容をもう少し見ていこうと思います。例えばデジタル原則の中でいいますと、今のところ原則の1や2の項目に取り組んでいることが多い部分があります。デジタル原則とひもづけをする規制改革の対象が、今後、作業部会や親会のほうで次第に発展していくことがあると思いますので、そういった内容をひもづけしていく作用が重要だろうと思っております。

また、技術自体について申し上げます。1つ紹介してもよろしいでしょうか。

安念副座長: お願いします。

落合構成員: 例えばDADCで本人確認のガイドラインを検討したものがございます。これは公表されているものになります。こういった報告の中で、例えば本人確認の手法などもいわゆるEKYCと言ってしまいますと、いろいろ入ることがありますが、段階分けといいますか、確認できる強度が分類できることがあることが分かる部分があります。これは技術テーマごとに、こういう記述があればそのまま使っていいよというだけで終わる事項もあれば、適切にレベル分けして、用途や関連する規制の内容との関係で、どの程度まで対応するべきか場合分けをしたほうよいこともあるかもしれません。少なくとも本人確認については、こういうものが相当する手法ということで、今日来られている中ではデジタル庁の吉田様のご指導もいただきながら検討していたものではあります。テーマごとだと思うのですけれども、必要がある場合にはぜひ検討していただくといいかなと思っております。

また、実際に技術を使うときに、技術だけで解決できる部分と運用による部分があるかと思います。例えば国家戦略特区で、つくば市のオンライン投票の議論を行っております。技術、すなわち電子台帳側でできることと運用でできることがあり、脅迫されているか分かるかという点は、単純に技術だけではなく運用で対応する話になる部分があります。実際には運用と合わせることも、最終的な実装においては出てくると思いますので、まずは技術自体がないということで、技術自体をまとめていくことでいいと思いますが、その次には運用もどのような形で行えば良いかも分かると、採用していただく側も使っていただきやすいことになると思います。

上野山さんがおっしゃられた、費用がどうなるかという部分も、使っていただく側にとって大事なポイントになると思います。既存の取組ですと、法制局というか、調達のほうで議論されていたデジタルマーケットプレイスのようにしていくときに、どのような方tになるといいかを考えて、テクノロジーマップとデジタルマーケットプレイスとをうまく連続していくような形で、よい取り組みにもなっていくといいと思っております。

いろいろ多くなりましたが、以上でございます。

安念副座長: ありがとうございました。

それでは、増島先生、お願いします。

増島構成員: ありがとうございます。

今回、つくっていただいた委員会の方々に全体をご評価いただいて採用いただくという流れになると思いますけれども、稲谷先生におっしゃっていただいたとおり、結構これはインセンティブ、ディスインセンティブを絡めた割と精緻な提案を事務局として一定していかないといけないのかなという感じがしているのです。なんせデジタルで自動的にいろいろしましょうという話をしているので、ルールでどうにかしましょうという話とちょっと違う部分が結構あると思って、事務局の場に出していただく提案は割とインセンティブ、ディスインセンティブでここのところに法の執行が来てみたいなことをちゃんとデザインしていかないといけないのかなという感じがしています。

特にこの議論はまさにこれからガバナンスイノベーションのところで法の執行の話をしていくと思いますけれども、あそこと密接に接続する部分という感じも非常にしておりますので、我々は作業部会という位置づけになっていると思いますけれど、この委員会に出すものの原案をつくるところで、我々もしっかりお役に立てるような形にしたほうがいいなと感じるところでした。

その意味では、初めに講習みたいなところからやっていただくのが非常にありがたくて、変な意味での影響が一番少ないかもしれないというところがあるので、ここで割と精緻な議論をやってみて、エラー率やカンニング率など、その辺をどういうふうにKPI的にやっていくのかみたいなのをぜひやってみて、実際に委員会に出してみると一体どんなリアクションがそこに来るのかみたいなのも我々にとっては実験みたいなところがありますので、やはり保守に倒れるのかみたいなことも含めてフィードバックを受けながら、うまい提案を事務局案として出せるようなところに我々も協力できるといいなと感じました。

ありがとうございます。

安念副座長: ありがとうございました。ほかにご発言はございませんか。

初めから心配してもしようがないのですが、技術は提供する人が誰かいるわけで、その提供された技術について実際にやってみると、カタログスペックどおりのパフォーマンスを示さなかったというのは十分あり得ることですが、そうした場合に、しかし、法的な責任を追及していくというスキームで果たしてよろしいのだろうか。

あるいは、どれくらいまでなら責任を負えますということを提供者自身が示すという仕組みがあり得るのか。全然何の知恵もないのですけれども、これは特に法律家の先生方にご協力をいただくのがいいと思います。いずれにせよあまりリジッドな仕組みを最初からつくってしまうと技術を提供する人がいなくなってしまうので、といってもあまりゆるゆるにするわけにもいかないから、そこら辺のあんばいがなかなか難しい。もちろん試行錯誤になると思いますが、考えておかなくてはならない問題だということを痛感いたしました。

ただ、あまりリーガルなポイントにだけ絞って議論をしてしまうのもまたちょっと融通が取れなくなるかなと思って、思案中で別に出口もないのですけれども、考えるべきことはいろいろあるなということは感じました。

増島構成員: SLAの問題は結構大きいですね。サービスレベルをどういうふうにするのか。それはデジタルの世界だと、まさにSLAを出して一定の性能をアグリーするわけですよ。そのアグリーをしたパフォーマンスが出なければ、補償する、もしくは代金は引くみたいな仕組みでITの領域で既にやっているので、それとどのぐらい違う必要があるのかなと個人的には思います。

このリスクはお互いに取れないですねとなれば、それは結局保険に転嫁するしかないということになってきますので、ここはITの領域でやっているそういうリスクの分担、もしくは分配のメカニズムを明確化してやれば、SLAのパーセンテージは信頼度がみんないろいろなので、それでどれを選びますかという話にしたら、それはそれで何か実現可能なのではないかという感じもするのです。

稲谷構成員: 民事責任の方はおっしゃるとおりで、当事者間で分配できる部分もかなりあると思うのですけれども、結構しんどいのが行政・刑事をどうするかという問題ではないかとも思っています。行政のほうは、どちらかというと、今回のお話とは距離感はある種近いというところがあると思いますので、テクノロジーマップにご協力いただく官庁の方にはいろいろご理解いただいた上での制度の運用ということをお願いしていくというスキームを作るという方向になるのかなと思います。

その上で、刑事をどうするかというのはちょっと別途念頭には置いたほうがよくて、刑事司法というのは、やはり普通の行政とは全然違うロジックで動いてしまうところがありますので、その辺りのコンタクトの仕方というのはあらかじめ念頭に置かれたほうがいいのではないかなというのはちょっと感じるところです。

落合構成員: 稲谷先生におっしゃっていただいた行政の点も、満たしているかどうか分からないとなると、失敗したときの民事、刑事の責任とは別のレベルで、そもそも会社の業法対応の業務設計上いいのかと採用事業者が考える可能性があります。責任の観点では増島先生がおっしゃっていただいたとおりですし、そもそも最初に一定の水準を満たしていて使い得るのかというエントリーのところに入れるのかというので、ガイダンスや認証をどこまで整備するかという点はあると思いますが、場合によってはサンドボックス的な手法によることもあると思います。それは本当にサンドボックスで行う場合と、電子署名のグレーゾーンのような形で行う場合とが考えられます。電子署名の関係では、いろいろな事業者がグレーゾーンを使っている例がありますが、制度の本来的な利用ではないのではないかという声も接します。実際に利用していただく場面まで考えると、いろいろな意味でのガイダンスや、実証、認証の枠組までをしっかり作っていくのは大事だろうと考えています。

増島構成員: 稲谷先生のポイントなのですけれども、行政のほうはまさに一言で言うと前体制の小林副大臣もやっていた行政無謬性みたいなものとの調整をどういうふうに克服するかということなので、うまくいかない方法を学ぶというのをどういうふうに行政サイクルの中でつくっているかということだと思うのですよ。

なので、行政はコントロールが一定程度可能で、行政の人たちのモチベーションは結局怒られたくないとか、立っていられないみたいな状態を避けたいというところが一番大きいということでありますので、そうすると、ここはこの仕組みをやっていってうまくいかなかったときの振る舞いがガイダンスになっていれば、こんなふうに振る舞っていれば立っていられないということが起こらないというところがセキュアーされていれば行政官は何とかなるのだろうという感じがします。

それとの関係でいくと、実は刑事のほうもある程度そこでコントロールが可能なのではないかという感じがしています。司法行政というのがどういう形で行政のところと接続するかというと、行政で巻き取れないものが司法を起動するみたいな感じになっていて、例えば金融の領域だと、無免許で銀行をやってしまいましたとか、保険をやってしまいましたみたいな話になっていると、行政のほうでまずこういうアプローチをして、こういうふうにします、これでどうにもならないときに警察に告発しますみたいなプロセスがこう書いてあったりする。そのプロセスを見ている司法行政的な人たちというのは、彼ら自身も何かを積極的にやらなくてはいけないというモチベーションというよりは、まだ行政的な配慮があるような動きを基本的にはするはずで、巨悪を眠らせない系のものはちょっとまた別の動きをするのかもしれませんが、それ以外については意外とコントローラブルなのではないかという感じを受けています。

なので、ここは特に行政に向けた文章の出し方と、そこを刑事につないでいくところのガイダンスというのをきれいに出していくことで一定のコントロールができるのではないかなという感じが少なくとも金融行政を見ているとしていました。

安念副座長: ありがとうございました。異様にローヤーの濃度の高い構成になっているのは意味があったのだなという気がします。

増島構成員: 事務局はそのほうがいいかもしれないですね。

安念副座長: 今の点はいずれも重要なことをご指摘いただいたので、すぐに解決しようと思わないことにしましょう。とにかくこれは走りながら考えるしかないから、まずは先行試行をしていただいて、その中でまたいろいろ論点も出てくるだろうし、ローヤーの先生方のご協力を仰がなければいけない局面も出てくると思いますので、その都度その都度考えていくことにいたしましょう。本当にいい議論をしていただいてありがとうございました。

それでは、次に移らせていただいて、第2の議題です。「臨時国会提出予定法案に係るデジタル原則適合性確認等プロセスの試行実施について」、須賀参事官からお願いいたします。

事務局(須賀): ありがとうございます。

続きまして、「デジタル法制局機能」と呼んでいたものの試行実施も始めておりますので、ご報告をさせていただきます。

次のページからはしばらく過去の議論の振り返りでございますので、飛ばさせていただいて、こういった先行7項目のチェックをするのに加え、4ページ、今回河野大臣からもおっしゃっていただきましたが、フロッピーディスクをいまだに提出媒体、記録媒体として指定しているようなものが1,900条項もあったということで、こちらも先行7項目に加えてすぐにチェックをしていくということで方針を決めております。これをもともとは各省庁に指針をお示しして自己チェックをしていただくとともに、法制局に法案が提出されたときに、予備審査の前に私たちのほうでチェックをさせていただいて、その後、執行調整のプロセスも制度化して、システムをどう組んでいくかといったところに議論をしっかり反映させていくという3段階を考えていたわけです。

次のページで、河野大臣からご着任早々に、今、デジ臨でアナログ規定を見直しているけれども、例えばこの秋に招集される臨時国会でそれらに逆行するような条項が入った法案が出てくることは避けなければいけないので、デジタル法制局をデジ臨の中に設置して、この秋の臨時国会提出予定法案からしっかり見ていきたいというご指示がありまして、もともとは2024年、令和6年の常会提出法律案の中から試行的に幾つか実施するというふうにかなり先のこととして予定していたものを前倒しまして、次期臨時国会の提出法案からチェックを始めております。

次のページですけれども、そのためにまず各省にお示しする指針を書かなければいけないということで、指針の素案でまずはデジタル原則全体というよりは7項目プラスフロッピーに関してこういったチェックをしていきたいということを書かせていただいております。もともとお示ししていた工程表が上ですけれども、今回の前倒しをしたことが具体的にどこに反映されているかと申しますと、下の表になりまして、まず指針に関しては今年度中に素案を作りまして、来年審議会でご議論いただいた後、夏頃に策定をしようと思っていたものを、今、既に素案ということで策定いたしまして、各省にもお示しをし、臨時国会提出法案から新規法案についてチェックを私たちのほうでさせていただいております。この7項目プラスフロッピーに関連する規定はないかどうか、全体チェックをかけているということです。

今回、試行実施をした経験を踏まえまして、この後、各省とも法律を出すときというのは本当に分刻みといいますか、すごく精緻にスケジュールを組んでやっていますので、デジタル法制局機能によるチェックが足を引っ張らないようにうまくこのプロセスに溶け込んでいけるようにということで、見直しをかけながらやってまいりたいと思っております。

簡単ですが、以上です。

安念副座長: ありがとうございました。

それでは、ただいまいただいたご説明についてご意見、ご質問などがございましたら、どうぞご発言ください。どなたかいらっしゃいませんか。デジタル法制局というのはむしろサービスするのだという考えなのですかね。

事務局(須賀): デンマークにだけ事例があるのですが、デンマークはまさにサービスという発想で設計されていまして、こういうところをチェックしたほうがいいよとコンサルテーションしています。私たちもぜひそういったサービスの水準に到達したいなと思います。

安念副座長: 分かりました。

本当の法制局は答案の添削をやっている人たちなのかなと思うところがあるものですから、それとの違いははっきりしていただくといいなと思いました。

落合先生、すみません、お待たせしました。

落合構成員: ありがとうございます。ぜひお進めいただければと思いました。前倒しで進んでいくということで、これによって早くデジタル原則が実現していく可能性がより高まってきたと思います。

一つありますのが、チェックされていく中で、先ほどもそうだったですが、原則1や2を主に我々は議論している状況なのですが、3、4、5の視点はまだ詳細なガイダンスになる成果物を作っていない部分がありますので、現時点では直し切れない部分があるとは思います。問題意識自体をある程度持って見ていただくと、こういう部分はどうにかならないのか、という端緒は見つけていただける可能性があるとは思いますので、そういった部分はぜひ作業部会にも、こういうものがありましてということを報告していただけるといいように思っておりました。

それを作業部会のメンバーで検討して、また次の原則の詳細化であったり、もしくは1や2も作って進めてみたけれども、やはりこういう整理のほうがいいかもしれないということを、多く見直していただく中で気づくこともあり得、その見直しの進め方をまた修正することもあるべきだと思います。そういった意味でも気づかれた点はぜひ教えていただければと思いました。

以上です。

安念副座長: ありがとうございました。

それでは、増島先生、お願いいたします。

増島構成員: ありがとうございます。

これをサービス、コンサルテーションとしてやっていくというのはまさに目線をそろえていくという意味で、審査するという上から行かないというのはとても大事なポイントだと思っています。

その上で、順番としてはこんな感じでやったらどうですかという話をして法制局に行くみたいな流れに基本的にはなるということですか。

事務局(須賀): 法案をつくられている作業途中で、新旧ができた段階で見せていただいて、キーワード検索をかけまして、形式的に引っかかるというときに、具体的にその後の執行の段階でしっかりデジタル完結を許容する、あるいは優先させるような形で執行をお考えですかということを確認させていただいて、そうなっていればゴーですし、そうなっていないのであればそこはちょっと手を打っていただきたいというコミュニケーションをするという形で今はやっております。

増島構成員: なるほど。そうすると、基本的には法文を書くときに、何か一定の方法を頭の中に考えながら法文を書いて、それがこっちに来るみたいな流れになっているはずだという感じなのですね。

事務局(須賀): そうです。例えば立入検査時の身分証の携帯・提示など、いわゆる定型の条文が入っているものなどが残っていますので。

増島構成員: アズ・ア・サービスとしてこうやっていくときに、リソースはいろいろ難しいけれども、文言チェックでこれだとどうのというのはあまりサービスではないかもしれないというか、まさに法制局ではないかみたいなこともちょっとあるので、本当はどんな技術でやろうと思っていますみたいな話を議論できるような感じになっていたほうがいいと思いますし、カタログを作っていたりもするので、文言を見ていたりする人たちもこんな技術があってというのが少し頭にありながら話をしていくので、本格的でなくてもいいかもしれないですけれども、そういう実際の実装の技術みたいなものを各省庁とコミュニケーションしながら、こんなものをやるのだったらこういうふうな文言で入れていくといいですねみたいな、まさにサービスとしてやっていただくと本当にいいだろうなと感じたというのが一点。

あとは、そこで結構クリエイティブな文言みたいなものをある程度本当は考えるべき気がするのですね。今、文言をつくるときは、法制局対策で何とか法のここにこの文言があるみたいな話でつくるじゃないですか。でも、これでやっているといつまでたってもまともにならないのではないかという感じがしておりまして、そこを突破していくというのは結構大事なのではないかなという気がするのですね。

要するに、新たな表現の仕方をクリエイトしていかないと、あの条文にこの文言があるって、この条文にというのはそもそもこうアナログ前提で書いている条文じゃないかみたいな話になるので、これじゃいけないよという感じがしています。

なので、デジタル法制局の役割としては新しいデジタルに合った形での、デジタルファーストでの新しい法律文言を開発するみたいな目線感をぜひ持っていただいてやるというのは大事だと思いますし、そこがあると、例えば内閣法制局に行ってこれはどこにこんな文言があるのですかみたいな話になったときに、いやいやこれはデジタル法制局でデジ庁さんと開発したものですと言えば内閣法制局が通っていくみたいな絵にまで行きたいような気がするのですね。

そのためには、実はデジ庁さんはこれを内閣法制局の人たちと事前にいろいろ話して、我々はこのファンクションでこういうことをやっていきたいと思います、クリエイティブなの文言を開発するみたいなこともやっていこうと思いますけれども、そこはきちんと我々もコミットしますので、その前提でこれがないとか何とかという話にならないようにお願いします的なことを取っておくのは結構大事かなと思います。そうでないと、省庁がそれで倒れてしまうみたいな話になると結局駄目ではないかという話になるので、その辺をうまくやっていただきたいかなという感じがしました。

以上です。

安念副座長: ありがとうございました。僕も昔からどうして法文は例えば表とか例示をしないのだろうなとずっと不思議に思っていたのですよ。今ならいろいろなレイヤーをつくって条文をつくるということが簡単にデジタルでできるはずなので、そういうことはあっていいかなと本当に思うのですよ。共感いたしました。ありがとうございました。

それでは、この議題はよろしいでようか。どうもありがとうございました。

それでは、3つ目の議題に入ります。「『目視』『実地監査』及び『定期検査・点検』に関する法令見直しの現状について」です。これは渡邉参事官からご説明をお願いいたします。

【「目視」「実地監査」及び「定期検査・点検」に関する法令見直しの現状については非公開】

安念副座長: それでは、議事については以上とさせていただきます。

最後に恐縮ですが、大串副大臣より一言いただきたいと存じます。

大串座長: 皆様、今日は積極的なご発言をいただきまして、ありがとうございました。今日はテクノロジーマップに関する技術カタログの先行整備と有識者会議の設置について、そして臨時国会提出予定法案に係るデジタル原則適合性確認等プロセスの試行実施と、目視規制、実地規制、定期検査、定期点検に関する法令見直しの現状についてご議論いただいたところです。

テクノロジーマップについては有識者会議の立上げによって今後議論が本格化していくことになりますので、検討状況については作業部会の場でも随時報告いたしますので、ぜひ広い視点からご検討いただけますと幸いです。

また、デジタル原則適合性確認等プロセスについては一部先行的に取組を開始しておりますけれども、今日いただいたご意見を参考にしながら、今後もプロセスの充実に向けて引き続きのご指導をよろしくお願いいたします。

最後の法令の点検見直し作業については、今月30日までに各省庁が工程表の素案を作成して年末までに内容を確定することとされておりますので、今後、年末に向けて工程表の内容を精査する作業を進めていく中でこの作業部会においてヒアリング等を行うことも想定しておりますので、今後とも積極的にご議論いただきますようによろしくお願いいたします。

本日はありがとうございました。

安念副座長: 副大臣、どうもありがとうございました。

それでは、事務局より次回の作業部会の開催についてご説明をお願いいたします。

事務局(渡邉): 次回の作業部会の詳細につきましては事務局から追ってご連絡を差し上げますので、よろしくお願いいたします。

それから、本日の議事についてですが、最後の「『目視』『実地監査』及び『定期検査・点検』に関する法令見直しの現状」について、ご異議がないようでございましたら非公開とさせていただき、それ以外の部分につきましては後ほど議事録を作成して、皆様にご確認をいただいた上で公開させていただきたいと存じます。

また、本日の資料の取扱いについてですが、最初の「テクノロジーベースの規制改革推進委員会の開催及び技術カタログの先行整備」の参考資料の部分と、今申し上げました最後の議題の資料の2点を除く資料につきまして、デジタル臨時行政調査会のホームページに公開させていただきたいと存じます。

本日はご参加いただき、ありがとうございました。

安念副座長: どうもありがとうございました。

それでは、第14回の会議を閉会したいと思います。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。