本文へ移動

デジタル臨時行政調査会作業部会(第11回)

概要

  • 日時:令和4年(2022年)5月20日(金)14時30分から17時まで
  • 場所:オンライン開催
  • 議事次第:
    1. 開会
    2. 議事
      1. 経済界要望を踏まえた行政手続などのデジタル完結に向けて
      2. 法制事務のデジタル化検討チームでの検討結果
      3. デジタル原則に照らした規制の一括見直しプランについて
      4. 意見交換
    3. 閉会

資料

関連情報

議事録等

日時

令和4年(2022年)5月20日(金)14時30分から17時まで

場所

オンライン会議

出席者

座長

  • 小林史明  デジタル副大臣

構成員

  • 安念潤司(弁護士 中央大学大学院法務研究科 教授)
  • 稲谷龍彦(京都大学大学院法学研究科 教授)
  • 上野山勝也(株式会社 PKSHA Technology 代表取締役)
  • 落合孝文(弁護士 渥美坂井法律事務所・外国法共同事業)
  • 根本勝則(日本経済団体連合会 専務理事)
  • 増島雅和(弁護士 森・濱田松本法律事務所)

議事録

事務局(松田): お時間となりましたので、第11回「デジタル臨時行政調査会作業部会」を開会します。よろしくお願い申し上げます。

本日の構成員の皆様のご出席ですが、稲谷構成員、上野山構成員、落合構成員におかれましては、所用により途中からご出席とお聞きしています。菅原構成員におかれましては、所用によりご欠席されています。
経済界要望関連の議事については、ヒアリングを予定していまして、自工会を含めて関係団体様の発表を予定しています。

早速ですが、これより本日の議事に入ります。以降の議事進行については、安念副座長にお願いできればと思います。

安念先生、よろしくお願いします。

安念副座長: 第11回作業部会にご参集を賜りましてありがとうございます。

今回の議事は3つありまして、1つ目が「経済界要望を踏まえた行政手続などのデジタル完結に向けて」、2つ目は「法制事務のデジタル化検討チームでの検討結果」、3つ目が「デジタル原則に照らした規制の一括見直しプランについて」、この3点です。

まずは、「経済界要望を踏まえた行政手続などのデジタル完結に向けて」についてですが、こちらは議事進行を担当の須賀参事官にお願いしたいと存じます。

参事官、どうぞよろしくお願いします。

事務局(須賀): 経済界要望に関しましては、デジタル原則に適合しない規制の洗い出しを事務局で一生懸命進めるのと同時に、政府で把握しきれない規制を悉皆的に把握するために経済界にも大いにご協力いただいており、昨年度末から大規模なアンケートを実施し、3月末の臨調の時点では1,600件のご要望をいただいているとご報告いたしました。その後、4月に経団連さんからより包括的なご提言をいただきまして、その案件も含め根拠法令を全て事務局で精査しまして、現在、計24団体から1,900件の要望をいただいている状態になっています。

これらについては、一つ一つが非常に貴重なご要望ですので、デジタル原則やテーマに基づいてなるべく丁寧に類型化をした上で、こういった対応ができるのではないかという先行事例を構築できた類型から、各府省庁にも自主点検にご協力いただいて、同様の規制があれば一括的に見直しをしていく、これまでの先行7項目と同じような展開を考えていまして、1,900件の経済界要望のうち主なものについては、見直しの方針を令和4年末までに決定、公表したいと考えています。

本日は、その中で、先んじて先行事例を構築できそうな類型ということで5つほどご報告いたします。

まず、4月20日の作業部会で、構成員から、カスタマージャーニーが見えないというご指摘もいただきましたので、モビリティ分野を事例に取りまして、モビリティの分野でユーザー目線でこういったことを実現していきたい、そのときに行政手続はこういったところで足を引っ張っているので何とかしてほしいというようなお話をぜひ自工会さんからしていただきたいと思っています。

続きまして、行政手続に関しては、ルールだけ外しても、結局使いにくいシステムがありますとオンライン利用率は上がっていかないということがこれまでの取組で判明していますので、システムの見直しをしっかりとデジタル庁が音頭を取って進めていくといことで、デジタル庁の藤本CTOから見直しの方針をプレゼンしていただく予定にしています。

その上で、各省が抱えているルールの見直しも進めていくということで、申請書面の交付や通知については前回ご報告したもののアップデートですが、データの保存形式をルールで決めているもの、官報を慣習で紙媒体が原本であるとしているものについての電子化といったテーマを今日はご報告したいと思います。

まず、「モビリティ分野におけるデジタル原則の徹底とその先のビジョン」です。デジタル臨調が受領している経済界要望を自動車というキーワードで整理しますと、自動車の開発から製造、廃車までのライフサイクル全般にわたりまして、行政手続に限らず、共通データベースを整備してほしいなど、全体で242件のご要望をいただいています。このうち、自工会さんからいただいているご要望が大半を占めますので、早速ですが、日本自動車工業会様を代表しまして、トヨタ自動車株式会社国内販売事業本部副本部長の山下様より、ご説明いただきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。

山下副本部長: 本日は、自工会として推進している内容に関してご説明いたします。「モビリティ分野におけるデジタル原則の徹底とその先のビジョン」という形でお話しいたします。

まず、自工会におきましては、デジタルタスクフォースというものが立ち上がっています。これは2022年1月から活動を開始しています。その中で、国のほうでマイナンバーカードと運転免許証の一体化というものが動き出しますので、そこに合わせて、我々業界としてもDXというものに関して前向きに捉えていければと思っています。

その中で、今回5つの提言を検討しています。1番目が、今回主にお話しする内容になりますが、自動車の購入から廃車までの必要な公的手続のデジタル化、そして、2番目、モビリティデータの連携による、非常時/災害時等における適切な有事対応の実行、3番目、車体データと利用者データをひもづけることで、カーボンニュートラルをはじめとする社会課題への対応を推進できればと。さらに、4番目としまして、オープンなデータ連携の仕組み。これによって、いろいろな業界の方々、産業とつながっていくということも検討しています。最終的には、我々自工会としましては、5番目にあります、誰一人取り残されない、全ての人が移動に困らないモビリティ社会を検討していければと考えています。

その中で、今回のデジタルタスクフォースという我々のチームのほうで推進しているものとしまして、冒頭申し上げましたマイナンバーカードと免許証により、ヒト軸でのいろいろなプロセスが見えるようになってきますので、販売から中古車において、お客様や国民の方々が利用する間のものをしっかりデジタルにおいてつないで、車の状況、そして、誰にとっても効率的で負担なく、喜びを感じられるモビリティ社会をどのように実現できるだろうかということに注視して進めていければと思っています。

行政側のデータやマイナンバーというトラストアンカー的なものをつないで、準公共分野のデータとさらには民間のデータとつないでいければと考えています。

自工会からは、実は202の規制改革の要望を提出しています。開発、製造から、販売、利用、もろもろありますが、中でも、今回はこのマイナンバー軸という形で幾つかの提案をできればと思います。

マイナンバーカードと運転免許証というものがひもづくことにおきまして、ヒト軸での整理ができるのではないかと考えています。車両のIDとヒトのIDをつなぐことにおきましてそれぞれ利用形態に応じて活用方法はお客様、利用者の方に応じて違いますが、利便性の高いモビリティ社会の構築をしていければと考えています。

その中で、少し模式図化したものですが、トラストアンカー的にマイナンバーカード、免許証というものが認証として認められれば、モビリティ関連の諸手続のデジタル化、そしてモビリティ産業の社会インフラとしての貢献、及び今後はその先に他産業との連携という形が広がっていくのではないかと考えています。

特に、最終的には、ヒト軸というところで考えた場合は、サービスまで考えて、どのような形で皆さんにとってうれしいもの、喜びを感じられるようなものになるだろうか、ここを最終的にゴールとして検討しています。本日は、その中で、提言①に関してフォーカスしてご説明できればと思います。

実は、車の購入時や買い換え時にこのような紙の手続があります。これは販売店さんや車両の種類によって内容は違いますが、多かれ少なかれ皆さんも購入時にこのような形で署名されていると思うのですが、もちろん購入の手続上、必要なものもあれば、保険とか、ファイナンス的な割賦の申請などもろもろありますが紙がベースになっているものが残っているのが現状です。もちろん電子署名などもありますが、紙の手続が残っていることは一つの形としてどうしても販売店及びお客様側にも負荷がかかるものとなっています。

この辺は国交省様が提供されるOSSのような仕組みもあります。これは、自動車を保有するための多くの手続をできるだけ簡便化させようという形で、インターネット上で手数料も含めた納付ができるような仕組みにつなぐとか、そのようなものもあります。

ただ、課題としましては、こちらにサービス対象外の車両、軽自動車とか二輪車が入っていないことや一部サービスの対象外だったり、場合によると一部の地域で活用できないとか、そのようなばらつきがあります。さらに、デジタルの手続とアナログの手続が混在しているところが一つの課題となっています。

我々のほうで、asis、tobeとして、整理をしたものですが、現状は、購入者、事業者、行政みたいな形で、それぞれ現状の規制とか、あるいは証書も含めて負荷を余儀なくされているところはあります。

期待する効果としましては、例えばマイナンバーカードやデジタル化によりつながる形が取れれば、こういうものが一元化して管理できる。あるいは、お客様も1回の申請が通れば、そこにおいてつないでいくことができるという形で利便性が増してきます。ということで、期待する効果とのギャップを埋めるものとしてデジタル化を検討していきたいと考えています。

実は、こうした手続きはOSS導入後でも車の購入あるいは買い換えというところで考えた場合、車庫証明等の書類を出すとか、左下にある通り、この車をどのような形で登録していますかという標章的なものをつけたり、それらをもらいに行ったり、こうした手続が入るという状況です。

これを少し模式化すると、手続とか照会/更新はそれぞれシステムがあるのですが、その間にアナログ的な要素が入ってしまうというような状況です。最終的には、これを出願し、登録し、それを最後標章等の物をいただくという形があるので、この辺をできるだけ完全デジタル化という形で推進できればと考えています。

これが、一つは納税手続や、車の保管場所に関して、車を乗り換えるときにまた同じような手続が必要なのかといった観点や、あるいは、2台目を購入するときにまた同じような手続をするのかということも含めまして、これらをつなぐもののベースとして、マイナンバー起点でのデータ連携ができればと考えています。

こちらは例えばいろいろなことで法的な観点での制約というわけではないのですが、今まではそういう形がスタンダードでしたが、今後、デジタル化を推進する上では、この辺も見据えながら変えていくということをしなければならないものとして幾つか記載をいたしました。

今回、構造改革のためのデジタル原則①~⑤ということで、我々のほうももう一度整理をしますと、このような案件に関しましても、先ほど申し上げましたA、B、C、Dの諸手続に関するデジタル化ということも含めまして、購入時あるいは買い換え時一つとってもこのような状況で、いろいろなものが出てきます。これらをこのデジタル原則にのっとりながら、我々日本自動車工業会としても、マイナンバーカード、免許証というものを起点に新しいものにできないかと考えている次第です。

こちらは購入から廃車までに必要な公的手続のデジタル化という形で、今後検討していただけないかという形で記載したものとなります。

2のマイナンバー起点のデータ連携は、さらにいろいろな規制が出てくると思います。ヒトのデータとつなぐというところも含めまして、個人情報保護の問題も十分分かった上で、どこまでのデータをどうつないでいくかということ。今後は、これはできるだけ生活者側に主体性、主権が移っていく中に、どのような形で進めていけばいいかということも含めて、いろいろな形で議論をできればと思っています。

今回は、まず①という部分で、一丁目一番地的に、公的な手続を含めた諸手続のデジタル化という形でお話をいたしました。同じように、自工会としましては、②、③、④、⑤というような提言も含めて検討しています。こちらにおきましても、いろいろな形で規制、ルールというものも一緒に見直しするタイミングが出てくると思いますので、具体化に向けて継続的に議論できればと思っています。

最後になりますが、「モビリティビジョン2050」とありますが、我々自工会としましては、モビリティを活用した新たな価値創造・課題解決という形で、こちらにある5つのテーマを持ち、活動していきたいと考えています。デジタル、データということを通しまして、最終的にはヒト・モノ・コト全てが自由に移動できる社会を目指していければと思っています。

少し駆け足になりましたが、ご説明は以上になります。ありがとうございます。

事務局(須賀): 山下様、どうもありがとうございました。

では、早速ですが、今いただいたご説明について、ご意見、ご質問等がございましたら、構成員の皆様、よろしくお願いします。

安念副座長: 中央大学の安念と申します。山下さん、どうもありがとうございました。大変野心的なお取組で、こんなことを考えているのだなと思って感心して伺っていました。やや技術的な問題ですが、お示しいただいたスライドの最後のほうにある「データ連携により目指す社会像」というところで、一番下にある①からまずは頑張ろうというのは当たり前ですが、②の「モビリティデータの連携による非常時/災害時等における適切な有事対応の実行」とあって、これは恐らく近々物すごく重要なテーマになってくるだろうと思うのですが、自工会さんで考えていらっしゃる具体的なデータ連携とか、あるいはその実行というか、具体的にどういう使い方をするのかということで、何かイメージがあったら、ちょっとだけでもいいから教えていただけませんか。

山下副本部長: ありがとうございます。

我々のほうでは、②におきましては、自工会全体としまして、まず非常時/災害時というものは、今、ハイブリッドをはじめとする電池を積んでいる車もあります。こちらを電源として有効活用できる。これは今でもやっていますが、今、その車はどこにあってどういう稼働状態になっているか分からないままということで、なかなかサポートがしづらい状況になっています。こういうこともデータに応じて、電源車的な活用をするということで、給配電という仕組みをうまく使いながら連携をしていくということが一つ災害時のものとしてあると思います。

それから、災害で言いますと、これもいろいろな議論で出てきますが、ここは通れる道だよ、通れない道だよというように、いろいろな形で可視化しながらご提供していますが、さらにここは今は災害の指定の道路なので住人のこの方しか通れないなど、この登録だけが通れるとか、いろいろなものでデータの連携に応じて、ご本人、利用者の方がどのような状況になりながら利用できるかというものが見えてくると思います。

こういった利用者側がどの状況でどう使わなければいけないかという主体性の部分をちゃんと持ってこないと、どうしても行政側なりメーカー側だけの意向だけだと進まない部分があるので、そういうことをコネクテッドなどのデータも含めて有効的に活用できるような検討ができればなと認識しています。

安念副座長: どうもありがとうございます。

例えば、電源として自動車を使うというのは、今後、非常に有力な使い方になると思うのですが、災害時において電源としての自動車を最適に配置するにはどうしたらいいかというような研究はある程度進んでいるものなのでしょうか。

山下副本部長: 私の知る限りでは、一部検討なさっているところもあります。それから、今、販売店さん、これは一部トヨタの話になりますが、災害協定なんかにおきまして、都道府県単位、市町村単位で結ばせていただいているものもあります。そういうときに、ディーラー側にある車として、どういう状況で電源を担える車がありますよということを登録して、必要なときに必要な台数を出す準備を災害時に対応していくとか、そういうような小さな試みはスタートしています。

ただ、残念ながら、データが全部つながっている状況ではないので、それが俯瞰的に可視化できる環境にまで至っていないという状況でして、いざ動きやすい環境をつくるためにも、データでつなぐというデジタル化が早急に必要になってくるかなと認識しています。

安念副座長: ありがとうございました。取りあえず、大変勉強になりました。

山本氏: 自工会ですが、もしよければ一つ追加で補足させていただけますでしょうか。自工会で次世代モビリティ委員会の委員長をしています山本です。トヨタ自動車でもありますが、今、カーメーカーさん、これは乗用車、商用車メーカーさん、各社、車のつながる化というのをどんどん推進されています。データを収集して、格納して、それを利活用するために必要なセンターを構築するというのも各社で進められています。

ところが、各社単位でこういう整備するものですから、横の連携が非常にできにくいという環境があります。具体的に言いますと、トヨタの車のデータを例えばホンダさんが見ようと思っても見られない。もしくは、仮にデータを開示したとしても、データの中に決めたルールが違うものですから、ホンダさんが見ても何を意味するか理解ができないという状況がありますので、自動車工業会の中では、まずカーメーカー、それも乗用車と商用車を含めて、データ連携ができるような標準のインターフェース、もしくはAPIをしっかりつくっていこう。それから、各社が構築していこうとしているデータセンターも、横の連携をできるようにしていこう。そうすると、個社のプライベートとしてつくったデータがパブリックのデータに利活用することができます。

その一つの応用例としてハザードマップがあげられます。どこの道が通れないかというのはもちろんですが、どの辺りに例えばゲリラ豪雨が起こっているかとか、どの道がもうすぐ冠水するぞとか、そういう災害予防とか予知みたいなところにもつなげていけるようなデータ活用をまずは一例として取り組んでいきましょうと。

その次に、充電環境みたいなものを社会の中で構築するために、例えばHEMSとの連携をどうしましょうかとか、そうすると、家と車の情報連携が必要になりますので、この辺りのルールづくりも行く行くはやっていきたいなと、こんな動きが今始まっています。

以上です。

安念副座長: 今伺っていて、私が実は言いかねていたのだが、一番心配していることで、自動車業界さんだけでなくて、日本はどこの業界でも、それぞれの個社の方々がみんな愛社精神がとても旺盛でいらっしゃるので、どうしても情報は抱え込もうという姿勢がまず来る。それはそれでしようがないし、いいところもあるわけですので、ここはデジ庁のような役所が頑張らないと、横の連携を業界だけに任せておくことはできないだろうと思うのです。

災害対策もそうなのですが、私は電力に関心があるのですが、再エネの主力電源化をするには、車を蓄電池として使うということをやらないと、とてもじゃないができない。蓄電池というのは大変高いし、まだ実用性がないので、車を使っていかなければいけないのです。これは個社の壁をぶち抜いて横の連携ができないととても使えませんので、その観点からも、災害対応もそうだし、もっと電源と考えた場合にも非常に必要なので、業界だけではなくて、官庁、須賀さんにぜひ頑張っていただきたいと強く感じた次第です。

事務局(須賀): 横連携のためには真ん中で旗を振る人が重要で、自工会さんがそういう取組を率先してくださっているのは大変心強いですし、役所の側でもタッグを組んでしっかりやっていくということだと思います。

続きまして、挙手をいただいています増島構成員、お願いします。

増島構成員: ありがとうございました。

ヒトのIDと車両のIDの突合についてですが、これは起点はヒトになるのですが、ヒトが車両のIDとつなげたいかどうか、また、どの車両とつなげるかというのは個人が選べるという仕組みで大丈夫ですか。

山下副本部長: ご質問ありがとうございます。

車の場合はどなたが乗るかというところがポイントになりますので、幸い免許証と一つになるということであれば、一つの考え方ですが、例えばキーというものをきっかけにつなぐというようなものがどうできるかという状況だと思います。

ですので、この車は今は須賀さんが運転している車です、所有はご主人様かもしれませんみたいな状況で、誰が乗っているかということと所有者が必ずしも一致するわけではないので、この辺を具体的につなげるような仕組みはどうなるのかということも、今すぐ何かアーキテクチャーがあるわけではないのですが、今後検討していければなと思っています。

これは、例えば商用とか、法人とか、サブスクモデルというものが出てきていますが、そのときの所有は取りあえず法人が購入して皆さんにという場合もありますので、そういうところの突合をどのようにしていくかという形です。

ただ、起点は、ご指摘いただきましたようにヒト起点で、車のほうにどうつないでいくかということを検討していければなと思っています。

増島構成員: ちょっとご質問の趣旨が正しく伝わらなかったと思うのですが、所有者というか、まず、運転者と車両をつなげるという発想ですよね。ここはよろしいですか。

山下副本部長: はい。

増島構成員: その接続は義務ですかと聞きました。自己主権型かどうかという話をしています。

山下副本部長: そういう意味ですと、データを取るという意味が前提にあれば、義務ではなく、本人の意思があればぜひそうしたいと考えています。

ただ、例えばどうしても私は車の状況はお伝えしたくないよということであれば、逆に言うと、必要なデータは多分いろいろな情報があると思いますが、車を維持する上で、整備的なものも含めて安心・安全上で取るデータは取らせてください、これはご了解いただけますかという形でご確認いただき、それ以外の例えばカーボンニュートラルを含め課題解決のためにご利用しますか、といったことに対してや、そこから先は共有したくないということであれば、オン・オフみたいなものがここの選択の中で出てくるのかなと認識しています。

そういう意味だと、ヒト側の自己主権性をベースにしながら、ご本人の意思でつないでいくということを検討していこうと思っています。

増島構成員: 一応意思があるという感じかな。もちろん、つながらないと保険が高くなるよとか、そういう形でのナッジは全然構わないかなと思うのですが、つながないとそもそも動かないみたいな、こういうアーキテクチャーによる強制というのはなかなか受け入れられない。産業界側からするとデータが取れるという話ですが、個人から見なければ駄目ですので、その辺はどういうふうに構成を考えられるのかなという部分がクリティカルに重要かなと思った次第です。

山下副本部長: ご指摘ありがとうございます。

事務局(須賀): ありがとうございます。
時間の関係で、先に上野山構成員からコメントをいただければと思います。

上野山構成員: ありがとうございます。

まさに5ページのところの設計が非常に重要だなと思っており、これをn対nでつなぐということにするのか、一旦、この車両はこの人が保有しているという話プラス、利用という2段階にするのかというような、まさにここはベースレジストリのデータベース構造設計そのものになってくると思っていますので、ここに関してどのような考え方なのかというのをもう一段お伺いしたいと思っています。

例えば車両のIDで申し上げると、車番というユニークIDが存在していて、これはある種携帯の電話よりも変わりづらい特性がありますというところも含めて、ここの考え方を教えていただければと思います。

もう少しご質問を足しますと、このベースレジストリをつくっていくにおいて、当然これは旗振りをしかるべき方々がやっていかなければいけないことであると思うのですが、現状のソフトウエア、既存のソフトウエア、何かしらのソフトウエアを基盤、あるいはそこから疎結合につないでみたいな、くさびになる現存するデータベースはどこら辺を活用すべきかみたいな、もしご意見等々があれば教えていただきたいと思っています。

以上です。

山下副本部長: ご質問ありがとうございます。

実は今、ご指摘いただいたようなことを喧々諤々議論している最中です。経産省の方にDADCの皆さんもご紹介いただきながら、どのような形が理想形であるべきか、どうしなければならないかという話をいたします。

一つの考え方としましては、今後の話かもしれませんが、マイナンバーカードもスマホに入るという状況でいきますと、お手元にあるスマホ起点でのつなぎ方みたいなことをベースに考えるのがいいのか。

ただ、そうなってくると、今ご指摘いただいたようなことが全て満たされていくのかということもありますし、都度、認証者が乗っていくのか、だったら、今までのキーのほうが楽ではないかというところもあります。

さらに、それぞれの車、メーカーさんでIDでもつないでということではやっていますが、そういうものがある前提でつなぐということを検討していったらいいのかというような状況も含めて、今ちょうどその整理をしているという状況で、メーカーへ、こういう方向です、こういうアーキテクチャーを検討していますというのはまだ言えている段階ではありません。それが正直なステータスです。

上野山構成員: 了解です。設計図のところは精査中ということで、ぜひ今後固めていくといいなと思いました。

あと、現存するデータベースでここのデータは鍵ですみたいなところがもしあれば。なければ大丈夫なのですが、後段の質問のところになります。

山下副本部長: これというものがあるわけではないです。ただ、一つにまとめるというわけではなく、それぞれにあるものをどうつなぐかという構想では検討しています。

ですから、何かをベースにそこを軸にしてということで検討しているわけではなく、どうつないでいくかということも含めて実証的な、分散的にどうつないでいくかということも含めていろいろなことでトライアルに着手をしているという段階です。

ですので、ご指摘をいただいた点が我々にとっても今後の課題となっていますので、そういうことも含めてアドバイスをいただけるような機会があればと思っています。

上野山構成員: 了解しました。ありがとうございます。

事務局(須賀): 稲谷構成員、お願いします。

稲谷構成員: ありがとうございます。今日は遅れての参加ということで、既にご説明があったとすると大変恐縮ですが、もう少し確認したいと思ったのは、これは活用していく上では、地方公共団体さんとかも巻き込んでいってやっていくことが必要になるのだろうなと思いますが、現状、こういったことについて、地方公共団体さんは前向きに一緒にやろうよという感じになっているのか、それとも、何かもっと共通基盤をつくるために働きかけていかなければいけないような状況なのかという辺りをお聞かせ願えればと思いました。

山下副本部長: このプロジェクトが立ち上がったのは2022年1月ですから、まだ構想段階という話で、自工会内で、先ほど山本のほうから話がありましたが、各社でこれをやらなければいけないという意識が合ってきたという段階です。ですので、どこかと組みながらトライアルという話は、事務方レベルではいろいろ検討はしていますし、ご相談もしてはいるのですが、公式的に動いているものはありません。ですので、これを今後やりながらということです。

実は、地方公共団体というところがありましたが、税金というところでいくと、自動車税も都道府県に納税するものもあれば、市町村単位に納税するもの、軽自動車などはそうですが、このようなものが出てきますので、諸手続という意味でも、こういう分け方も含めて在り方とともに、あるべき姿をどうつくっていくかということでいくと、少し丁寧にいろいろな形でご相談をする必要があるかなと認識しています。

一方で、災害時とか、そういうところではデータをつなぐということ、例えば緊急時、事故を起こしたときみたいなことは非常に重要になってきていますので、これは個別に検討を始めたりしているという状況で、まだこういうものでどこかと組んでということで成立しているものはありません。

稲谷構成員: ありがとうございます。

データの連携基盤をつくっていくということになると、今までご議論があったように、個社さんのサイロを越えるという問題もありますが、今まさにおっしゃったように、地方公共団体が複層的になっていて、複雑な関係性等をうまくつないでいきながらやるというのも大変なタスクになるかなと思いますし、その辺りにインセンティブをどうつくっていくかというのは、デジタル庁さんも含めて中心的に進めていかれる課題かなと思ったところですので、どうぞよろしくお願いします。ありがとうございました。

山下副本部長: ありがとうございます。

事務局(須賀): ありがとうございます。
先ほど根本構成員が挙手いただいていたかなと思いましたが、よろしいでしょうか。

根本構成員: 時間の関係もありますので、結構です。ただ、モビリティに限らず、もっと広く利活用をする方策を考えていただくため、特に④に留意をということ、また、電力系については、ほかの分野で相当大きな規制改革が必要、というのが感想です。

以上です。

事務局(須賀): どうもありがとうございました。
では、ちょうど時間になりましたので、1点目のパートを終了したいと思います。日本自動車工業会の皆様、山下様、どうもありがとうございました。では、2点目以降は、質疑応答をまとめて最後にさせていただけたらと思います。

まず、別紙2に沿いまして、デジタル庁の藤本CTOから、「行政手続のデジタル原則適合に向けたシステム面からのアプローチ」ということでお話をいただきたいと思います。

藤本CTO、お願いします。

藤本CTO: 僕もついにこういうところでお話をするようになったのだとしみじみするわけですが、今日はデジタル原則適合ということで、もちろん法改正というところがすごく大事なのですが、それだけでは所与のゴールに十分でないかもねというところで、それを実装するシステムをどうしていくかみたいなところのアプローチも大事だよねという話をいただきまして、もともとデジタル庁としてそういうところを考えていかなきゃというところは当然あったわけですが、その辺を併せてどういう方向でやっていこうかというところを今日は簡単にお話ししようと思います。

現状、議論がデジタル庁としてもスタートしたぐらいなので、細かいところはこれからですが、大きな方向性でずれがないか確認できたり、あとはご意見をいただけるとうれしいですということで、5分、10分ほどお話しいたしますので、よろしくお願いします。

アプローチというのも、どこに行くのだというところがずれていると、おまえ、何をやっているのという話になるので、ゴール設定みたいなところがまず最初に大事かなと思っています。

あまり長々と書いてもあれなので短く書くと、一旦、事業者の皆様をターゲットにした行政手続の生産性を最大化しようと。デジタルはあくまで手段なので、目的としては生産性が最大化する。特に行政手続みたいなものは、それですごく何かが伸びるというより、ボトルネックにならない、事業者の皆様の発展をどう手助けできるかというところが大事なので、その生産性を上げようというのが大事かなと思っています。こういうゴール設定を僕らとしては考えていきたいと思っています。

細かいところで、ゴールがあったらどう図るのだというところは別途詰めていく必要があるのと、事業者向き合い以外でも、住民とか、あとは合間にあるところとか、手続といってもいろいろあるのですが、大きなお題目としてはこういうところでやっていきたいと思います。

2番目に行っていただいて、ゴールはいいのですが、それは具体的にどういう状態かというところをきっちり認識を合わせるのが次に大事になってくると思っています。これはまだまだ全然これからなのですが、皆様、本当にこうやって課題というか、改善の要望をいろいろいただくということは、当然こうあったらいいというのがあるから、何かしら今との差分があると感じるわけだと思うので、そういうところは行政が提供するシステムというところではあまりずれていないかなと思っていて、探しやすい、コストが低く手続できて、どういう状況が分かって、できるだけすぐ終わるみたいなところ。

あとは、細かいところでもう一段具体的なところでは、どうしても各府省でいろいろなサービスが出てくるのでポータルっぽくなるし、でも、これを必ずしも全部一から十まで行政が直で提供する必要はないかもしれなくて、ちゃんとAPIがあって、それが例えば民間事業者のサービスと連携してという形で、そういったところも含めてこういう状態が実現できるといいなということをやっていきます。

これは後述しますが、これだけだと、ビジョン設定というか、あるべき状態はこういうものだよねとコンセンサスを取るには全然足りないので、ここを詰めていくというのはまた別途やっていきたいと思いますというのが2つ目の話になります。

3つ目が現状と課題設定。先ほど言ったように、課題みたいなものは皆さんは重々お考えになっているところなので、あまり細々と書いてもあれですが、3つ大きくカテゴライズしてアプローチしていこうかなと思っています。
1個あるのは、本当に膨大な手続があったりするので、サービスとしてはもう既に結構いろいろなものがあります。e-Govが中心にはなろうかと思うのですが、マイナポータルのほうでも事業者向けのところが一部あったり、補助金だとj-Grants、農水のほうだと、今日はハタケヤマさんが参加されていますが、eMAFFがすごく進行しているし、個別に大きいシステムということで、年金とかハローワーク、特許などなど、結構いろいろなサービスがある状況で、こういったものをどうしていこうかというところが大きな課題としてあります。

2つ目が、いろいろなシステムがあるというところと関連するところでもあるのですが、プロセスの最適化がまだまだ全然これからだねと。これは、必然と言うと怒られますが、発生する結果として、一応電子化されている、できなくはないが、利用率が上がらないみたいな、そういうところに関連してくると思うのですが、こういった入力項目が平たく言えば面倒であるというところとか、どうしても、こういった申請や届出とかは添付データがあるのですが、この辺の扱いがまだまだ効率的にはならない。あと、申請したはいいが、どうなっているか分からない。結果、電子で申請するのはいいが、通知が郵送である。そういうことではないだろうみたいな話もあったりする。あとは、裏側の処理。これは速ければ速いにこしたことはないのですが、そういうところを最適化していくものをシステムとしてサポートしていく必要があるだろう。そういったところが2番目の大きなカテゴリーとしてあるかなと思っています。

3つ目が、そもそもの話で、電子申請をやっていこうというところで、まだ全部がサポートされているわけではないので、こういったところを既存のシステムでどう吸収できるか。

あと、これはちょっと細かい話になるかもしれないですが、どうしても法制度がメインにはなってくるのですが、そこにのっとらない申請とか届出とか何らかの申込みみたいなものは、これはこれで結構膨大な数が日々あったりするので、そういったところも可能なら同じような枠組みでサポートできるほうがお互いラッキーだよねというところはあったり、あとは最初は各省庁、国がメインになるのですが、当然、1,700以上の自治体においてもいろいろなものがあるので、そういったところをどうカバーしていくかというのが結構大きなポイントになる。この3つを大きな課題として見てやっていこうと思います。

4番目、あまり長々としゃべってもあれなので、最後のセクションとしては、ではどうしていこうかというところで、これも大きく3つアプローチの方向をまずはというところで挙げています。

入れ子というか、まず全てはここからだろうという話ですが、先ほどあった、どうあるべきか、どういったサービスになると、皆様はいろいろな課題を挙げていただいていますが、そういったものに対して十分な答えになるか。僕らとしても、こういったサービスであれば十分だろうと思えるかというビジョンをちゃんとつくる。ビジョンと言うと曖昧になると思うのですが、できるだけ具体的な、それはUI/UXのデザインもそうですし、簡単なプロトタイプとかまで含めて、そういったところでコンセンサスをつくっていくのが大事だなと思っています。

これに関してはデジタル庁で、国民の皆様、それこそ法人とかも含めて、どういったインターフェースでどういうサービスを提供していくといいのかという全体戦略をちゃんとつくっていこうという動きをこの数か月で本格的に始めています。

その中で、大きいところではまず住民向け、マイナポータルとかでいろいろやられているようなところをどうデザインしていくか、国全体の生産性をより上げるかというところと併せて、事業者についても同じような形でしっかり考えていこうというのを、デジタル臨調からのこの話がすごくいいきっかけだねというところで本腰を入れてやっていく形にしていきたいと思いますというので、おかげさまで具体的に今月ぐらいから動き始めることができるので、このコンテキストで全体のデザインをつくっていきたいと思っていますというのが1点目。

2つ目が、何かやるのはいいのですが、進んでいるのか進んでいないのかというのが分からないで、1年たってうまくいっているのか、いっていないのかというのを測れないと、そもそもやる意味があまりないので、そういったところを計測して、改善しているのかどうかというのが見られるような定義とか、あと、これに関しては令和3年の法改正に合わせて手続の棚卸しみたいなものを、皆様が6万2000件ぐらいエクセルにまとめていだたいて公開していただいているので、これをより更新しやすく、リアルタイム性を高める。あとは、その状況をある程度リアルタイムに見られるみたいなことをしていくことで、こういったところはできるかなと思っていますというのが2点目。我々は大変なのですが、やっていきたい。

3番目が、こうあったらいいよねというのを新しく考えるのはいいのですが、それはそれとして、既存のサービスが先ほど挙げたようなものがいっぱいありますし、あと、これから電子申請をしていかなければいけないということで、各省庁があっちこっちで新しくこういうのをつくらなければというのも走っていく。これについてもアプローチしていく必要があると思っていまして、これについては新しくつくるものに関しては、可能な限り既存のシステムでアラインできれば、それにこしたことはないので、そういったところをご相談しますのと、場合によっては、足りないところがあったら、将来に資する形で機能追加をして解決をすることによって、コストも下げられるし、うまくすればユーザビリティーにもなるかなというのが1点目。

2点目は、今あるサービス、例えばさっき挙がったe-Govみたいなところですが、なるべく早く将来のビジョンができれば、それに今の投資というのがそこからずれない形ですることによって負債を最小にすることができるので、そういったところはやっていきたいと思っています。

具体的には、機能面はもちろんですが、最終的に全部のシステムを一つに統合するのは現実的ではないと思うので、そういったところが連携できるようなAPIのフォーマット、シグネチャーはどうするか、データフォーマットは、お話を別途いただきましたが、GIF、GovernmentInteroperabilityFrameworkみたいなところの定義とかも進んでいるので、そういったものに合わせていきましょうみたいなところをガイドしていくということが結構大事かなと。

a、b、cを挙げていますが、この3つを意識して進めていきたいなと思っていますというのが大枠の説明になります。

スケジュールはまだまだ粗いものなので、ある程度オペレーションする形で、もうちょっと具体的なところが詰まったら、より細かいスケジュールを見て、進んでいるのか、ちゃんとできているのかみたいなところを、いい場だと思うので、ご報告することで、このカテゴリーでもちゃんと進捗できたりして、結果、皆様のお役に立てるといいなと思って頑張ってまいりたいと思いますので、皆様、よろしくお願いしますという感じです。

今日の段階では抽象度が高くて恐縮ですが、そのレベルでもこうしたほうがいいとか、これを考えているのかというのがあったら、ぜひご意見をいただければ幸いです。

一旦、以上となります。ありがとうございました。

事務局(須賀): 藤本CTO、どうもありがとうございました。

デジタル臨調からの急な働きかけ、お願いに応じて早速動いていただいて、本当にどうもありがとうございます。この後、幾つか発表した後でまとめて構成員からご意見を伺いたいと思います。

続きまして、ここから事務局より、書面・対面規制の見直し等、ルールの見直しについて幾つかご説明できればと思います。

まず、経済界要望をいっぱいいただきましたが、その中でも行政手続の書面とか対面の規制の見直しを求める内容が大半を占めていたことを踏まえまして、ルールや慣行の見直し、業務のDX、システム整備を一体的に推進していく必要があるということを前回4月の作業部会でもご報告いたしました。

今、藤本CTOからご説明いただいたように、ここはデジ庁が前に一歩出て、e-Gov等の共通情報システムを重点整備していただけるということになりましたので、地方自治体のシステムとの連携とか、交付・通知に関する機能の追加・拡張なども含めてこれから検討をいただいて、各府省庁でのオンライン対応を後押しする、乗っていただける船をご用意するということを考えています。

その上で、2つ目、利用者目線でUI/UXを改善しないと、結局、オンライン利用率は上がってまいりません。10万件以上あるような大規模な手続などについて、ヒアリングをしっかり行いまして、好事例の抽出を行い、ほかのシステムに対して、あるいは手続に対して先行事例としてお示ししていく。先行7項目と同じようなやり方を行政手続についても進め、API連携とかID共通化についても検討してまいりたいと思っています。

このようにシステム面でしっかり手を打った上で、全ての行政手続のデジタル原則適合に向けて、各府省庁において、ルール・慣行の見直し、業務のDXも一体的に進めていただくようにお願いをしていくことを考えています。
もともと規制室のほうで、書面・対面の行政手続について、原則令和7年までにオンライン化するという方針が既に決まっていますが、さらにエンド・ツー・エンドでデジタル完結ができるように、申請に加え交付など行政から民間に情報をお伝えする手続についても併せて見直しを推進していくことを考えています。

続きまして、データ保存形式規制というものがあります。厳密には、書面規制ではなくて、デジタルで提出することができるようになっているのですが、なぜかそれを物理媒体に格納して出すようにという規定が残っているものがあります。経済界から、複数の申請や届出等の行政手続について、フロッピーディスク、CD、DVDといった物理の記憶媒体に格納しての書類提出を求める規定がまだ残っているので、データの授受に媒体を要さないオンライン手続を可能としてほしいというご要望を複数件頂戴しています。

このうち幾つかの手続については、既に所管省庁でオンライン化を実現または計画されていましたので、そういったもの以外について各省と検討をしてまいりました。

この中で、先行事例となり得ると思ってご紹介いたしますが、環境省において、まず土壌汚染対策法などの手続について、「書面に代わって光ディスクによる手続を認める」という規定について、光ディスクによる手続に限定されているとの誤解を招かないように省令の規定を見直すという方針を打ち立てていただきました。

ルールをしっかり見直した上で、システム面に関しても、まずは、光ディスクに収めないとやり取りができないような大容量のデータでも、メールや授受システムの活用でオンラインで受け取れるように、各自治体にも推奨していただきます。さらに、オンライン申請システム、eMOEというものをご準備されているということなので、こちらのご準備が整い次第、システムの運用も令和6年度予定で開始ということをお考えいただいています。

この土壌汚染対策法等の先行事例がうまく成立しましたら、環境省全体でも同様の規定を洗い出して、順次オンライン化を進めていくというところまでおっしゃっていただいており、デジタル臨調としては、この環境省の先行的な取組を政府全体に広げていくというところで汗をかきたいなと思っています。

同様の規定がどのぐらいあるかということで、キーワードベースで検索すると2,300件引っかかるのですね。ただ、同一の規定の中に複数のワードが登場しているものだったり、行政手続の規制ではないものも相当数含まれていますので、こちらは事務局のほうでしっかりと精査をして、横展開をしてまいりたいと思っています。

以上がデータ保存形式規制の話でした。

最後に、電子官報の実現に向けてということでご説明をいたします。

経済界より、官報の原本は紙媒体とされていることが、いろいろな分野に波及効果を及ぼし、それによって、書面の廃止やデータの再利用ができていないので、電子官報を実現してほしいというご要望を頂戴しています。

本件については、そもそも官報の規定を見直すにはどなたに集まっていただくといいのかというところの特定から始まりまして、現在、やっと関係者が集まることができました。まずは、独立行政法人国立印刷局が配信されているインターネット版の官報、PDF版官報を紙に並んで官報として位置づけるために、内閣府と印刷局が中心となっていただき、これを内閣官房の内閣総務官室、財務省、私たちデジタル臨調事務局等の関係機関がしっかりと協力をして、今年末までにまずは課題の洗い出しを行って工程案を作成しましょうということで合意をしています。

さらに、中長期的な課題として、PDFでの官報というのはデータの再利用が非常に難しいし、検索性もないものですので、電子官報の在り方としてデータの再利用が行えるようなデータ形式を入れていけないかということも併せて検討しましょうということにしています。

別紙3の参考資料として、「諸外国の法制事務のデジタル化に関する事例の調査(中間報告)」というものもご提供していますが、この中に出てくるように、諸外国では、例えばデンマークでは2008年、ドイツでは2012年に既に紙の官報は廃止されて、電子版の官報一本に絞られています。そういった事例を見ても、簡単な話なのではないかと思われるかもしれませんが、たくさん論点があるのですということでここに書かせていただいています。

まず、官報というふうに法令に書かれているときに、そこにインターネット版の官報が概念として含まれてよいのかどうかということの確認をする必要があります。そのときに、紙の官報を廃止して電子版のみにするとなると、立法措置が必要な可能性が高いのではないかという論点や、あるいは、紙と電子を併存させる場合に、電子のほうも原本性を持たせるということになりますと、これはどういった法的な意味があるのか、立法措置が必要なのかといった論点もあります。

それから、官報を利用する制度として、官報は法令の公布に使われているだけではないわけですが、そういった官報を利用している各制度がそもそも紙以外の官報の形式を許容しているのかということをしっかり確認をしなければならないというご指摘もあり、内閣府さんと印刷局さんのリーダーシップで、各省庁に官報を利用する各制度の利用状況を悉皆的に調査していただくということで、このほど発出される予定になっています。そういったこともしっかり調べた上で、PDF版の官報も官報と位置づけをしていく。さらに、その後に、ただ紙のものをPDFにしただけではないような形の電子官報の在り方も論点として検討していきたいと思っています。

次のページは参考情報ですが、法令の公布は官報をもってするという規定がかつてあったのですが、今は次官会議了解という形になっており、約660の法令が官報で公布、公告、公示をするということで利用しています。

さらに、インターネット版の官報は、現時点で政府の中の扱いは紙の官報の付属物ということが国会答弁でなされており、これを変えにいかなければならないということになりそうです。

以上、駆け足になりましたが、事務局のほうからご報告をいたしました。構成員の皆様、ここまでのご説明についてご意見、ご質問がございましたら、ぜひいただけたらと思います。

稲谷さん、お願いします。

稲谷構成員: 私は2つほど気になっているというか、難しい論点だなと前から思っているところで、どうなされていくイメージなのかということをお伺いしたいと思っているところがあるのですが、1つは、原本というのがどういうものなのかに関わる問題です。つまり、将来的にデータ自体が原本になってくることを考えると、かなり厄介な問題になりうるのかもしれませんが、そのままでは人に読める状態でないものも原本になる可能性が理論上出てくるわけですね。今までだと、紙とか媒体になっているものが原本だから、この人が読める状態が原本だと言えばよかったものが、そうではないという話がどこかで出てくる可能性があるような気がしていて、そういったところが中長期的にはきっと大変なのだろうなと思っています。ただ、同時に、環境省さんが光学ディスクみたいなものではなくて、まさにデータで完結させることを進めておられるという話だったと思うので、実務的にはこういうやり方をするとうまくいくのだろうという点についても、既にある程度見えているのかなという気もするので、この辺りについて今後どういう感じで進めていかれるのかなみたいなイメージがあれば、是非お伺いしたいというのが一点目です。

もう一点は、これは質問というかお願いみたいな話になるのですが、自分の体験した話で、それが今回のテーマなのかどうかは必ずしも分からないのですが、データを結合して一気にデジタルで完結していくという話になったときに、さっきの自工会さんの話のときも申し上げたのですが、地方公共団体ごとの連携を進めていく仕組みがないと、ワンストップサービスというのはしんどいのだなというのを感じたことがありました。

具体的に言うと、私はワクチンの3回目と2回目の間で引っ越しをしたのですね。そして、3回目の接種券は前の地方公共団体から来ました。マイナンバーで本人が特定できて、しかもアプリによって2回接種していることも分かって、さらに新しい地方公共団体でもwebで接種の申仕込みまでできたわけです。つまり、できますよといわれて現場に行ったら、まだ新しい地方公共団体から接種券が届いていないから、駄目ですと言われた。ワクチンが余っていて、本人は特定できていて、2回目まで終わっていて、3回目の接種ももうできる状態になっていて、引っ越しのデータも行っているのに、紙の接種権がないから打てませんというわけです。個人的に、なぜこういうことになってしまうのだろうというのをすごく考え込んでしまいました。一体何が理由で、このようになってしまうのかというのが私は分からなかったのです。

目的から言ったら、もう打ってしまえばおしまいで、本人に打ったということについて確認を取れるような仕組みさえあればそれで良い気がするわけです。つまり、住民目線から見たときに、地方公共団体の規制や手続の意味がよく分からなくなる事態が、結構生じているのではないかと思うのですね。特に、今回引っ越ししてそれがすごく明確になったというか、地方公共団体をまたぐだけでこれだけ国と共同で進める事業が複雑になるならば、地方公共団体間の連携はかなり本腰を入れてやっていかないと、きっと何かデジタル化の妨げが生じるのだろうなというのを実感として思っているので、ぜひその辺りも仕掛けをうまく考えていただければというところです。

事務局(須賀): ありがとうございます。

私からご回答いたしますと、デジタル臨調の法制事務のデジタル化検討チームでも同じような議論をしていただいているのですが、原本、デジタル正本がそもそも一体どういう形式だったら成立するのかという整理が必要になってくると思います。これは検討チームでむしろ先行的に議論いただいて、フィードバックしていくという順番になるのかなと思っています。

それから、お引っ越しで被害に遭われたということで、大変申し訳ございません。この論点はそれこそ小林座長はずっとおっしゃっていて、地方自治の本旨と全然関係ないところで皆さんにご迷惑をかけているということについては、しっかりと国が前に出て交通整理をしていかなければいけない、役割を果たしていかなければいけないということだと思っています。

今、藤本CTOからご説明をいただいたe-Govのようなシステムをしっかりつくっていきますと、自治体の業務で使いたいデータというのを、皆様のインターフェースとしては同じものでデータとしていただいて、それを各自治体で使いやすいように使っていただくということが実現していくのではないかと思っています。

経済界要望としても、地方自治体ごとに申請や届出の様式が異なるのはやめてほしいというご指摘をたくさんいただいており、事例や法令も例示していただいているので、これは大きな論点として認識していますし、先ほど自工会さんのプレゼンでもそういった話があったと思います。まずはシステムで解決できることはしていただきつつ、ルールの面でも課題があれば解決していくという両構えで、大きな論点として今後しっかり対応していきたいなと思っています。

稲谷構成員: ありがとうございます。ぜひお願いします。
個人の何回も使うようなデータ、何回もいろいろなところで提出を求められるデータみたいなものは、むしろ一元的に管理をして、必要なときにアクセスできるみたいな形があるような気もしますし、そういったことも視野に入れながら、それはきっと二次利用については法改正も必要になるのかもしれませんが、そういった辺りもうまく組み合わせて、一番効率的な状態を実現できるように一緒にやっていけたらと思いますので、ぜひ今後ともよろしくお願いします。

事務局(須賀): ありがとうございます。
増島先生、お願いします。

増島構成員: ありがとうございました。

藤本CTOに初めてお出ましいただきまして、非常に面白いお話をいっぱい聞かせていただいたのですが、一つ教えていただきたいと思ったのが、全体のプロジェクトの中で、官民連携というか、民間の人たちの力をどういうふうにレバレッジして全体を速くしていくのか、加速させていくのかみたいな部分はどういうふうになっているのかなという部分が知りたくて、今、存在しているシステム、結局、UIの部分だと思うのですね。サービスのレイヤーは民間がやると思うので。そうすると、UIの部分でいろいろなものが出てきて、どれとどれを接続するというのも、民間側がいろいろくっつけて、これは便利だみたいなものをばんばんやっていくのでしょうという話になっていくイメージがある。

そうすると、どれとどれをどういうふうに接続していったらいいのか、接続しやすいよねみたいな話のときと、APIをどういうふうに切るのかとか、そういう議論がいろいろ発生してくるし、APIを切ってこうやっていくということは、民間の事業者とのある意味コミュニティーみたいな、AWSとか、ああいう人たちがやっているような、ああいうのが必要になっていくのかなみたいなイメージが少しあったのですが、この辺は今考えられているものについてご示唆いただけますでしょうか。

藤本CTO: こういうときに僣越ながらみたいな気持ちになるのだなということが分かりましたが、民間の力をいかに活用するかみたいな抽象的な話だと幾つかアプローチがあるかなと思っていて、まず取っかかりというところだと、直接のお答えではないのですが、僕自身もそうなのですが、デジタル庁自身にそれなりの数の民間の人がいるので、そこは数百人のオーダーでいるので、そういった人をインターフェースにすると言うと言い方はあれですが、そこで一つやりやすくなるところをやる。そこはあまり大きい話ではなくて、本筋ではないですが、そういったところをきっかけにしたいなと思っています。

2つ目で、e-Govのほうでも、実は既にほどほどの数、APIを開放して民間と連携だとか、つながっているところはあるのですが、まだ認知度とか使いやすさ、あるいは広さみたいなところは足りていないねと。

この辺はやっていこうと思うと、もう一個は、個人的に多分大事になってくるのは認証の部分かなとは思っていまして、あくまで個人の一意見ですが、そちらはそちらでしっかりやっていきたい。

そうすると、先ほどの最初のお話でもありましたが、例えばマイナンバーカードで認証して、IDの番号をどうするかは別として、それをトラストアンカーにした認証サービスみたいなのが一つしっかりあると、それを使う事業者さんはすごく増やすことができる。そうすると、そこを引っかかりにしてコミュニティーというか、つながっていただいている事業者さんが増える。そうすると、そういったところの方々にAPIの宣伝とかマーケティングもしやすくなるので、おっしゃっていただいているところでもあるかなと思うのですが、いいものをつくるだけでは足りなくて、そこにコミュニティーというか、そこを使ってやろうとか、あと、どうしてもその辺の仕組みが多少難しい、面倒くさい、ハードルが高く見えるので、そこを下げるみたいなところに関しては、僕も会社のほうではそういうプラットフォームとかをやっていたので、会社だとデベロッパーリレーションズみたいな、民間から来ている人をうまく活用することが大事だねと。

その議論も、視点としてはありがたいことに行政官の方も持たれているので、やることに対するハードルはないので、政治的ハードルはあまりないかなと思うので、できそうかなみたいなイメージを今持っています。

増島構成員: ありがとうございます。

リードとライトの話で言ったときに、申請は、データベースに書き込みに行くものも民間側でできる仕組みになっていると便利、デジタル完結の世界が近づくと思う半面、セキュリティの観点からここまで開けるかという話もあるのではないか、様々な議論がなされているように推察するのですが、その辺はどんな話をされているのですか。

藤本CTO: ライトの部分もケースとしては幾つかあって、そこはどうしても開けっ広げに誰でもオーケーみたいにやると何が起こるか分からないみたいな感じになるので、ほどほどの審査を経てみたいな形になったり、それこそJPKIの公的認証基盤を使う事業者さんも実はいる。結構な、100社とかあるのですが、まだ認知自体は低い。

あと、技術的に、信頼はあるが、実装のコストが高いのでやってもらえないみたいなところがあるので、そこに関しては内製で物をつくるエンジニアみたいな人もちょっとずつ増えてきたので、そこはハードルを下げる、SEKというか、サンプルみたいなものはつくってみたいなのはまだ考えている段階ですが、やれるといいなと思っています。

増島構成員: ありがとうございました。とてもわくわくする話を聞かせていただきました。

事務局(須賀): ありがとうございます。

根本構成員、いかがでしょうか。

根本構成員: ありがとうございます。藤本さんへの応援演説が大宗です。

最初の説明において、事業者による生産性云々というところは極めて重要です。本当は全体としての生産性向上ですが、この事業者による視点は極めて重要です。官庁のいろいろな行政手続は、恐らく官庁サイドの効率性、あるいは官庁各部局の効率性を最優先に考えた制度設計になっています。それを抜本的に転換する宣言と受け止め、非常に心強く感じました。ぜひ貫徹していただきたいと思います。

その際、一部資料にもありましたが、行政の中で何が起こっているのかが外から見えるように、ぜひ可視化していただきたい。資料の中にも一部言及がありましたが、ぜひそこはやっていただきたいと思います。実はオンライン化をやめてしまった細かい手続もいろいろあります。そういうところができていないと端から端までのデジタル完結はできない、という問題がいろいろありますので、そこはぜひとも頑張っていただきたい。

あと、稲谷先生のご発言に関連して、地方自治体ごとの問題に対し、行政サービスIDを何回か提起しているかと思います。一部自治体で使われているサービスがすべからく使えるように、あるいは使わせるように何とかできないものだろうか。既に体系もできており、全体の効率が相当上がるのは分かっているのに、これが使えないのはなぜだろうか、と思っています。

あと2点だけ。官報については、国会答弁を変えれば事足ります。紙が原本ですという法制度は、先ほどの資料のどこにも書かれていません。答弁を変えるのがとても大変であることは百も承知で申し上げますが、デジタルファーストに転換する法律に基づく以上、そのように対応いただけるとうれしく思います。

一つ深刻な問題があります。前回会合で質疑は行われませんでしたが、農地データの公開に関する問題が提起されました。私はその後事務局の方と議論し、「公開のレベルを下げることには絶対に反対である」旨申し上げました。不動産登記その他、公開されているベースレジストリをどこまで公開するか、といった話に関連してしまうので、一つだけで処理できる問題ではないということを課題提起いたしました。既に公開されている個人情報を公開しないようにする意思決定だけはやめていただきたいと思います。誰が見られるようにするかという問題は処理できると思いますが、公開そのものをやめてしまうという方向の議論になっているような気がしましたので、あえてここで申し上げました。ありがとうございます。

藤本CTO: ありがとうございます。頑張ります。

事務局(須賀): 前半は藤本さんへのエールでした。CTOに入っていただいたことでこの議論が急に立体的になって、乗る先の船が見えてきました。私たちも、電子化してくださいとだけ言って、行き先がないというのも非常に無責任だなと思っていたものですから、大変ありがたく思っています。

官報については、答弁を変えるだけといいつつ、法的な整理の論点が山積しているのですが、頑張ってまいりたいと思います。

それから、農地対象のことも既に話をいただいていますが、ご趣旨は承りました。ありがとうございます。

では、落合構成員、お願いします。

落合構成員: ありがとうございます。

最初に、CTOにぜひ頑張って取組を進めていただきたいと思っており、ここまでご整理いただいたことに感謝を申し上げたいと思います。また、お伺いしたいこととしましては、規制改革の観点で見ているとよく出てくるのが、一つ一つのプロセスが適切にデジタル化されておらず、その手前の場合が多いということです。それに対しては今ご整理いただいたような形でかなり進んでいくと思いました。一方で、デジタル化を進めてもワンスオンリーではないので、いろいろな手続をそれぞればらばらに対応せざるをえず、あまり利便性の実感をされていないと思っています。ほとんどの場合では、そもそもUI/UXが悪いのでどうしようもないこともあると思いますが、UI/UXがよくなっても、よくなった実感をしてもらえるかが心配になることが結構あると思います。

そのときに、システム自体の問題というよりかは、縦割りでやられていることによる問題も出てきやすいと感じております。このようなワンスオンリーといいますか、複数の分野でつなげていくときにどうされていくのかを伺いたいと思います。それに関連して、規制改革推進会議のデジタル基盤ワーキングで議論していると、各省庁で何々システムをつくります。警察庁は何々システムをつくります、法務省はこれについてこれこれシステムをつくります、●●省はあのシステムをつくりますと、時期は全部ばらばらですといったことをやられていることがあります。

一つ一つのシステムの中身については、こうできればとは言えると思いますが、複数のシステムについてはどのように整合を取っていけるのか、という辺りで工夫されていることがあれば教えていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

藤本CTO: ありがとうございます。

2ついただいて、まず最初のほうで、結構いろいろなアプローチの方法はあるかなと思ってはいるのですが、おまえ、志が低いよと言われそうなところもありつつ、何にせよ、紙ではなくなる、機械で読み書きができる状況にしてあるというのが、僕は個人的には何より大事だなと思っていて、それも細かく見るといろいろあるのですが、最初のラインとしては、例えば書くところが3つあろうが、4つあろうが、機械でやるのだったらコピペすれば済むじゃないですか。あるいは、そこを自動で入力する、何かラッパーを書くこともできますし、それが複数になったら、それを自動でもう一個同じところを複数に登録しますよみたいなこともできますし、何より大事なのは少なくともそれができる、計算機で読み書きができる状況にまずは何しろ持っていくというのが最初のアプローチとしては大事だなと思って、そこで止まったらいいとか、そういう話では全然ないのですが、まずそこまで行くというのが結構大事だなと思っています。

そこまで行ったら、あとはこことここがずれているので、こう最適化しましょうねみたいな次の話に重なってくると思うのですが、ここで実現するに当たって一番大事なのは、とにかく計算機で読み書きできる状況にする。入力するのが人間なのか、あるいは別の計算機なのかは別として、そこをやっていくことで、UI/UXは当然あるのですが、それができる基盤ができてくるので、個人的にはまずそこを目指していきたいなと思っていますというのが1点。

2番目の話は、僕は会社のほうでも共通部門みたいなものをやっており、例えば世界中の共通部門的な、デジタル庁もそういう側面は結構強いなと思っていまして、中央から、こういうのをやるのでみんな使ってねみたいな、そうすると、デジタル庁がどうとかではなく、本当に一般論として、例えばグループ会社があって、中央に部署があって、この仕組みを使ってねというと、各事業者とか事業子会社のほうは、僕らはこっちのほうが最適なのでこれを使いますみたいなのは世界中で発生し続けている問題で、これは本質的に絶対に発生するし、ゼロにはできないものだなという現実を見据えてスタートするのが大事だなと思っています。

これはガバナンスのモデルが幾つかあって、ケースによって最適解が異なるというのがあるのですが、整理している方向としては、そんなに数は多くないのです、絶対に勝手にやってくれるなみたいなラインを引くというのは一つ大事で、そういったものに関しては何らかのガバナンスという形で、これは絶対に中央でやってくださいねと。その代わり責任はこっちで持ちますよと。それ以外のものに関しては、間のパターンとしては、今つくったものがあるかもしれない、あるいはすごく特殊な事例で、例えば機密性が全然ほかのところとは違うので勝手にやるのは難しいみたいなものがあるとすると、それはいいかもしれないのですが、僕の観点で言えば、システムの構成、あるいはインターフェースとして、ここは絶対に守ってくださいねという幾つかの、システムは別でもいいのですが、そろえる要件をお願いするというところ。

最後は、全部、例えば100%どうこうするというと、一生ゴールにたどり着かないので、例えばそのうちの3%とか5%とか、極論それぞれ、そういうのが残ってもしようがないというところは、さっき言ったとおり、これは一回そろっても、その後、常に発生し続ける可能性があるので、要件とかも変わり続けるので、そこは多少はそういうものだと思いつつやっていくと、おまえ、志が本当に低いなとか思われるかもしれるのですが、僕の思うところというか、ソフトウエアとかこういうシステムをつくるときは、完璧でなくてもいいから1%でも2%でもよくしていく、それを続けることが何より大事だと思っているので、昨日より今日、今日より明日、ちょっとずつシステムがよくなっていくというのを続ける。それは、いきなり100%なくてもいいですが、そこを続ける。そのために、まず一歩目に何をやるか、その積み重ねを止めずにやっていくことで、最終的には、いきなりすごいものをつくるよりもいいものにたどり着くかなと思っています。

べらべらとあっちこっちに行ってしゃべりましたが、何となく伝わるとうれしいなと思ってしゃべってみました。

落合構成員: はい、十分に伝えて頂いたと思います。

今のご説明を踏まえてコメントをしてもよろしいでしょうか。

事務局(須賀): すみません。時間なのでちょっと改めて。

藤本CTO: すみません。長々としゃべってしまいました。もしよろしければチャットのコメントとかでもいただけるとうれしいです。

事務局(須賀): 皆さん、もしよろしければ、追加のコメントはチャットにお寄せいただくか、事務局にお寄せいただけましたら幸いです。

それでは、これまでの議事全体を通じまして、最後に安念先生からまとめのご意見をいただきまして、議事進行もお返ししたいと思います。

安念副座長: 参事官、どうもありがとうございました。

皆さん、プレゼン、それから質疑応答を例によって活発にいただいてありがとうございます。藤本CTOのような方が今や政府高官であるとなると、日本も捨てたものではないのではないかと私は思い返しつつあります。

CTOがおっしゃったように、私はある種の概念設計というのは物すごく重要なのだろうと思うのですね。特に、日本人は製品や設備についての概念設計はやるのですが、制度の概念設計というのは得意とは言えない。それをやらないと、話が細かくなってきたときに何のためにやっているのかが分からなくなってくる。その振り返りをするためにも、やはり概念設計が非常に重要だと思います。

それから、地方公共団体の話が繰り返し出てきましたが、結局、これはありものはありもので、言葉は悪いですが、だましだまし当面は使っていくしかないというのは、これはこれで私は現実だと思うのです。そうなると、APIで連携するしかないというのは誰も言うことなのですが、それはどういうAPIをつくるのか、これもある種の概念設計をしなければならないと思いました。

それから、自工会さんの話を聞いて私はつくづく思ったのですが、新しいものをつくるときは拡張性というものを初めから考えておかないと、つくり込み過ぎて全然応用が利かないものになってしまう可能性があるなと思いました。拡張性というのは初めから考えておかないと、投資が無駄になってしまう可能性が十分あると思いました。それが痛感した点です。いずれも課題として新しいことはなくて、今まで実行できなかっただけなのだと思います。

最後、官報ですが、もちろん根本さんのおっしゃるように、私も国会の答弁を変えればいい、つまり、閣議決定を変えればいいだけの話だと思います。集団的自衛権の行使でさえ閣議決定でできるようになったのですから、これを官報と思おうというのはできるに決まっているじゃないですか。

以上です。
それでは須賀参事官より「法制事務のデジタル化検討チームでの検討結果」について、事務局の松田参事官より「デジタル原則に照らした規制の一括見直しプランについて」、続けてご説明をお願いしたいと存じます。よろしくお願いします。

事務局(須賀): 引き続き、よろしくお願いします。

法制事務のデジタル化検討チームでの検討結果について簡単にご報告いたします。

問題意識としては2つありまして、まず、今、デジタル臨調で行っているようなデジタル原則適合性の確認を政府の中で恒常的に、自律的に、効率的に行うプロセスをどう設計していったらいいかということ。もう一つが、法令の国民からのアクセシビリティーを改善するということを考えたときに、まず法令のデジタル正本をしっかり提供していく必要があるのではなないか。この2つです。

1つ目の法制事務のデジタル化、デジタル原則適合性の確認のプロセス設計ですが、3つの段階を考えています。1つめ、まず各府省庁で自律的にデジタル原則の適合性をチェックしていただけるように、具体的な指針をデジタル庁のほうで策定し、それを公の会議体で議論をして決めていくということをしたい。

2つめ、新規の法案を立案する場合に、デジタル庁が責任を持って主体的に、これは法制局の予備審査前を想定していますが、デジタル原則の適合性を確認する。省令以下は、パブコメ前、政策が決め切られる前に各府省で主体的に確認をしていただく。既存の法令に関しても、今回、一回見直しをして終わりではなくて、テクノロジーマップを用いて、技術の進展に合わせた見直しとか、今回経済界からもいただいたようなご要望をベースに見直していくといったこともデジタル庁が主体となって点検していくということを、今後の確認プロセスとしてしっかり確立をして、政府の中にインストールしていきたいと思っています。

3つめ、法令をつくって終わりではなくて、その後、執行をする段階において調整のプロセス、各府省が執行に向けてシステムとか手続フロー、体制をどう組んでいくかということを事前にしっかり集まって意識合わせをするようなプロセスを設計し、制度化していく。この3つの段階で取り組んでまいりたいと思っています。

それから、法令データのデジタル正本に関しては、先ほどの電子官報の論点にも関連する話ですが、基本的には各府省が同一の法令のデータベースをいじって法案を仕上げていく、そのデータの吐き出し方は別途切り離して議論ができるようにしていく、という方向性です。実際に各府省の法制事務において、どういった改正手法が必要なのかということのまずは調査・検討を行っていく。

それから、法令のデジタル正本が常に参照できる環境を構築するために、既にあるe-LAWSの機能拡充を抜本的に行っていきたいと思っています。

以上が私どもからのご説明でして、工程表としては、この2つの論点について、それぞれ令和7年度の集中改革期間が終わるまでに順次進めてまいりたいと思っています。

以上です。

事務局(松田): 続きまして、デジタル原則に照らした規制の一括見直しプランの内容について、概括的なご説明をできればと思います。事前に見ていただいている部分もあると思いますが、ポイントに絞ってお話をいたします。

前回の作業部会で骨子をご議論いただいて、そこに各省と調整しながら肉づけをしていっているという形になります。

「背景」のところになりますが、これは何のためにやるのかというところで、経済成長の話、人手不足への対応の話といったところ、あと、行革等々を含めた一体的なことを議論する。この場でまさにそれをやっていくということを書かせていただいています。

2ポツのところで、今回の全体の前提ということでデジタル原則を改めて記載をしており、これが昨年の12月に決定したということで、我々はこれを言い続けて浸透させていくためにも、これはしっかりこの文書に入れています。

「一括見直しプランの位置づけと基本的な方針」というところですが、アナログ規制の見直しのアプローチとか、地方への波及とか、テクノロジー企業の活用といったところ。今、須賀参事官からご説明しましたが、法制事務のデジタル化に向けた、未来に向けた取組といったところ。あと、デジタル時代にふさわしい政府への転換、これは行革的なところも含めて書いているところです。

集中改革期間の3年間というところで、これはいつからいつまでだという議論がいろいろありましたが、今回これを明確に令和4年7月から令和7年6月までの3年間でこれを全て実行していくということで、その3年間でスピード感を持って集中的に取り組むということにしています。

目指す効果というところです。これについては、過去のデジ臨でも使わせていただいているような行政手続のコストとか、AI等の導入が進めばといったところ、さらに判こがなくなったときにクラウド型電子契約サービスの市場規模が伸びたといったところも言及しながら、そうしたところを目指していくということ。さらに、現場の人手不足の話です。日本全体で2050年には約1億人という予想もある中で、2000万人以上の人口が減るという中で、生産年齢人口も減る中でどうやって安全・安心なサービスを守っていくのか、よくしていくのかというところも記載をしています。第4のところで、行政の在り方の変革にもつながるというところで、行政がより合理的なやり方で対応していく。さらに、リアルタイムにデータを把握することによって、EBPMの浸透・定着と連動しながら行政の在り方も変えていくということを書いています。

(5)の「アジャイル型の見直しアプローチ」ということで、今回の見直し自体もアジャイルに進めていくということで、テクノロジーの変化等々に応じて柔軟に進めていくということを書いています。

次のところはコラム的になっていますが、【デジタル臨調の取組の3つの特徴】ということで、これは我々、今回、ご議論いただいてまとめていることを、対外的にも分かりやすいラインとして、かつ、我々が3年間進めていく上でも大事な考えとして3つ書いています。

1つが、「点の改革」のみならず「面の改革」もということで、まさに7項目、今議論していますが、面的に横断的に変えていくというところです。②が、個別の要望を受け取って、もちろん要望があることは大事なわけですが、それだけに対応するのではなくて、むしろテクノロジーで直せるところは全部直すのだよというテクノロジーベースの改革を進めていくということ。3つ目が、「現状の改革」だけでなくて、「未来の改革」もということで、これから出てくる新規立法についても積極的にいいものにしていくということを書いています。

3ポツのところ、本文に戻りまして、「アナログ規制の見直し」ということで、「法律、政令、省令への対応」ということで、5,000条項をまず法律、政令、省令というところ。

さらにその下に行っていただきまして、それらについてまず7項目を明示した上で、類型・Phaseについても整理する。ここで別紙とありますが、別紙のパワポをつけていまして、その中で、ご議論いただいた類型・Phaseについては、今回また改めて閣議決定のレベルでフィックスするということを考えています。

コラムのところに、先生方からいただいた意見を少し反映しまして、規制の横断見直しが実は量的な変化が最終的には質的な転換をもたらしているということも考えているということを書いています。
その下、<類型化とフェーズの考え方>というところで、7類型の考え方のエッセンスを書かせていただいています。まさに、類型とフェーズに分けて横断的に処理していくのであるということを書いているところであります。
あと、目視・実地監査についてはこういうことだということを書いています。これ以外の7項目全体についても別紙のパワポで全部示していっているということになります。

「7項目に関する法律、政令及び省令の点検の状況」というところでいます。これも後でご説明しますが、5,000について、今回、一旦全体としての方針を固めていく。ただ、その中に、今回見直しのフェーズまでこうだということが決まっているものと、技術的な課題等々、調整を含めてまだ検討が必要だということで、継続検討ということの2種類に大きく分けて検討をする。ただ、後者について、後でご説明しますが、9月までに継続検討も最終的な検討を終えて、全体を処理するということにできればと思っています。

「見直し工程表の提出・公表」というところで、それを踏まえて、最終的には9月末に、居残り組というとあれですが、継続検討のものを含めて各府省から最終的な見直しのものを出していただいて、12月末に全体の工程表を明らかにするということで進めたいと思います。

その間、9月に出していただいた後、作業部会でまたもんでいただく時間があるかなと思っていまして、各府省から出てきたものをしっかりもんで、整理して、最終的に12月に具体的な工程表を出していきたいと思っています。
「通知・通達等への対応」というところでありますが、通知・通達についても、別紙でも少し書いていますが、1万以上の課題があるというのが下作業で分かっていますので、これも同じようにリストを示し、各省とやり取りをして決めていくというのを、時間軸を決めて進めていきたいと思っています。

経済界からの要望についても1,900件いただいていますが、今日まさに議論したことも含めて、先行事例を構築できた類型から自主点検を進めつつ、一括的な見直しを行うということで、年末を目途に、どのような類型で見直しをしていくのかということ、その対象は何なのかということの方針を決定して、公表して進めていきたと思っています。

「先行事例の構築」のところで、今日ご議論いただいたことも含めてですが、官報の電子化、交付・通知の見直しのところ、また、本人確認の手法のデジタル活用、引っ越しに伴う住所変更手続の簡素化・効率化、モビリティ分野における行政手続等のデジタル化について、今後の方向感を少し書いています。あと、フロッピーディスクのデータ保存のところも書かせていただいています。

ⅲの「規制改革推進会議との連携」というところで、個別の課題をしっかり規制改革でこなすということと、そこで出てきたものも先行事例にしながら横展開をしていくというところで、しっかり連携していくということを書いています。

4ポツ、「規制の見直しアプローチ」というところで、1つは一括的な法令改正ということで、法改正を一括的に進めていくというところ。あと、政令・省令については、我々はできればモデル条項を整備して、各府省、同じような形で処理をしていただきたいと思っていまして、それも考えています。通知・通達等についても、同じような考え方です。

(2)の技術的検証を通じた見直しということで、技術的検証を進めるためのスキーム、具体的な予算をデジタル庁としても確保できるように求めていきたいと思います。これは基本的には各府省でしっかりしたものを使っていただくということのために、デジタル庁としても後押しするための予算措置等々も整備をしていきたいと思っています。

コラム的なところで、<現状維持バイアスがもたらすアナログ的手法の選好>というところで、よくよく留意しながら、デジタル的手法とアナログ的手法のどちらが優れているかを客観的・合理的にしっかり判定して、それを蓄積して、政府全体で使っていく、もしくは自治体でも使っていただく、こういうことが大事だろうということでインプットいただいたものを書いています。

その下に行っていただきまして、システムについても、今日、藤本CTOからもお話しいただきましたが、システムとしてどう取り込んで具体化していくのかというところも書いています。これはデジタル庁の一括計上された予算をどう配分していくのかという観点でも、ニーズのある手続のデジタル化というところについてはしっかり対応していくということも方向づけをしています。

5のところは、「地方公共団体における取組の支援」というところで、地公体に対するガイダンスの提供、自主的な取組の後押しといった、ご議論いただいたところを書いています。

「テクノロジーマップ/カタログの検討・整備」ということで、技術検証スキームとまさに表裏一体というか、そのためのものでありますが、テクノロジーマップを整備するということで、作業部会である種のたたき台をつくっていただきましたので、これをより具体化、精緻化、充実させていくということで進めたいと思っています。こうしたサイクルを数年かけて回しながら、テクノロジーマップ/カタログ、リストがどんどん充実して、みんなが使えるようなものにしていくということを記載しています。この下、テクノロジーマップ/カタログの少し具体化したところを書いています。

6のところは「法制事務のデジタル化に向けた取組」ということで、今、須賀さんからご説明した内容です。新規立法時の対応とか、それに対して具体的な指針をいつつくるか。令和6年常会の提出法案のうちから試行的に実施するといったところを書いています。

次のページが、「法令データのデジタル正本の提供体制の確立」というところで書いています。

7のところは行革の関係を少し書いていまして、「機動的で柔軟な政策形成・評価の在り方」。アジャイルガバナンスについての具体化といったところも、別のワーキングでの話ですが、これもインプットするということ。
あと、「政府におけるデジタル人材の確保・活用、デジタル技術を活用した職場環境整備等」といったところも記載をしているところになります。

続きまして、簡単に別紙ということで、パワポの6ページまで行っていただきまして、作業部会で議論しました類型とフェーズです。12ページを見ていただければと思いますが、それの詳細な考え方についても入れ込むことにしており、これに沿って全部見直しまでやるということを書いているところになります。

続きまして、21ページ、工程表です。まず5,000について、左上ですが、全体の規制の一括見直しプランでまとめるということで、5,000以外も含めてですが、まとめる。その中で、5,000については、方針確定条項と継続検討条項ということで、まず2種類あるかなと思っており、5,000のうち、方針確定を今回の規制の一括見直しプランと同時にできるものはもうそこでやろうとピン留めをしていって、これを工程に落としていく。継続検討条項というところについては、まだ技術的な検証とか各省の調整に少し時間がかかるものがありますが、これは9月までにそこについても工程表の素案を提出いただくということで、全体5,000を決めていきたいと思っています。その後、工程表の公表というところで、その間、作業部会でもんでいただいて、最終的にしっかりしたものにしていくということにできればなと思っています。

新規の点検条項というのが左上にありますが、実は大変誠実に対応いただいた省庁から、これもあるのではないかということで、我々が検索をし切れていなかったものとか、細かい話だと、準用規定でさらに孫準用とかしていると検索ではほとんど分からないみたいなものを各省で見ていただいたところが実は1,000程度ありまして、これも真面目に出していただいて、我々は大変ありがたいわけですが、これについても9月には方針を決めていきたいと思っています。

その下のところになりますが、一括的な法改正の検討というところで、これは取りまとまったものから、我々、3年間の集中改革期間に国会が3回ありますので、その中でできるだけ早めに出していくということで考えています。
あと、通知通達については、それだけで1万以上条項があるということが我々の下調べで分かっていますが、これはプランが決まった後、リストを具体的に各省がお示ししながら見直し方針を検討し、2023年には方針を検討し、改正をしていく。

さらに、下のところで少し点線書きがありますが、通知通達でさっさと直せるものは直してもらおうということで、12月までに直せるものはもう決めてもらって、直していくということも並行してできればと思っています。
経済界要望については、年末までに先行事例を構築して類型化したものを2023年、2024年で処理していくということ。

システムの整備については、中長期的なシステムの投資計画にも入れながら、関係者・ベンダーとシステム整備の検討をして、システムに落とし込んでいくというところ。

技術検証スキームの検討・実施も、夏の要求等々を使って具体化をして、第Ⅰ期、第Ⅱ期の技術検証を進めていく。

地方向けのマニュアルについても年内に出していくといったところを書いています。

法制事務のスケジュールは、先ほど須賀さんからもお話をしましたが、こちらにも入れており、最後のほうですが、34ページにも法制事務のデジタル化に向けた工程表というのを、こちらはいろいろな要素がありますので、先ほどの具体的な指針をつくっていくということ。

立法プロセスへの組み込みについては、R6年の常会提出法案のうちからトライアルで確認できるような詳細設計をこれからしていくということ等々を記載をしているところです。

最後に、これに最終的に別表というのを用意したいと思っていまして、一括見直しプランの別表になります。これは5,000について、現時点、この一括見直しプランと同時に方針確定したもの、作業部会でご議論いただいたものも含めて、各府省と相当やっており、これを具体的に記載する。どのフェーズからどのフェーズに移行するのかということ、見直しの実施時期等々について具体化する。

別表2が継続検討リストというところで、技術的な課題等々を含めて、まださらに検討が要るものについては、今回、一旦ここにピン留めをした上で、9月までに最終的な見直し、つまり、別表1のレベルに持っていきたいと考えています。

かつ、まだこれは我々の中で集計中ですが、今の状況をざっくり申し上げますと、5,000のうち、実はゴールデンウイーク前に一旦各府省とのやり取りの中で進んだものを集計したところ、ゴールデンウイーク前の時点で5,000少し分の1,500程度が1の方針確定リストに行けるものということになっていました。そういう意味では、重たい規制も含めて、かなり各府省、見直しのフェーズに合意してきているのはそれぐらいあったということになっています。
これはすごく内部の話ですが、その後、事務次官等会議でも各府省の進捗状況をお伝えして、さらに進めてほしいということをお話をしまして、その後、5月13日に閣僚懇談会で、この紙そのままを使って次官等会議で出したのでも、この紙をまいているわけではありませんが、閣僚懇の場でも牧島大臣から状況報告をし、しっかり進めていただいている省庁とまだ十分進んでいない省庁もいるということで報告をしまして、総理から、プランの取りまとめまでにできるだけしっかり物事を決めていくべきだということで、各大臣、しっかり各府省で具体的な成果が出るように進めてほしいという話をいただきまして、その後もずっとゴールデンウイーク中も調整しまして、今週時点だと、右上にありますが、1のほう、見直しの方針について合意できたものが2,900件来ているということになっています。

これはベースが、すごく細かい話ですが、右下が5,911になっていると思います。これは、集計中なものですから、実は共管している法律を延べでそのまま数えているので、それで5,000が5,900ぐらいになっています。そのベースで2,900ということになっていますので、単純に計算して割ると、5,000で計算すると2,500ぐらいまでは行っているのではないかということになりまして、それは今、さらに日々毎日調整していまして、できるだけ1のほうに持っていきたい。

ただ、もともと我々は立てつけで、3年間でこれを全部きれいにするという中で、3年間でという中で既にそこまでは見直しの方針が固まってきているという状況かと思います。それも含めて、全体を一回ピン留めをして、先ほどのプラン、スケジュールで対応を進めていきたいと思っています。

長くなりましたが、以上です。

安念副座長: どうもありがとうございました。

ただいま2つのご発表をいただきましたが、ご意見、ご質問等、どうぞご自由にお願いします。
稲谷先生、どうぞ。

稲谷構成員: ご説明ありがとうございました。

まず、先にぱっと気がついたというか、気になった点だけですが、一括見直しプランの別紙の「定期検査・点検」規制の見直しの基本的な考え方の類型のところで、「リスクベースによる見直しのアプローチが適当でない」というのが書いてあるのですが、これは誤解を招く気もしないでもなくて、例えば放射線量をどのぐらいからアウトにするかというのも、ある種のリスクベースで出来上がっている規制そのものだと思うのですね。なので、これだとリスクベースのアプローチそのものがよくないみたいに読めてしまうのと、実際、リスクベースアプローチでできた規制を所管されている官庁に、そのような趣旨に理解されてしまうと、不要な軋轢を生じてしまうような気もするので、書き方として、リスクベースに基づいてやっても変える必要がないとか、あるいは、ここを変えてしまうと、まさに放射線がそうだと思いますが、既に確立してこうだ、リスクベースに基づいてこうだとなっているものを変に動かしてしまうことになるので適当でないみたいな、そういうニュアンスが伝わるように書いていただいた方が望ましいように思います。リスクベースアプローチ自体が使えないというふうに変に受け止められてしまうと、恐らくリスクベースアプローチ自体は、規制もそうですが、リスクマネジメント全体の基本的な考え方として国際規格にもなっているので、そこから妙にずれてしまうような読まれ方をするともったいないかなと思ったので、すごく細かい話で恐縮ですが、今気づいたところとしてご指摘をできればと思いました。

事務局(松田): ありがとうございます。これは大事なところだと思いますので、書きぶりを最後に調整・検討したいと思います。ありがとうございます。

稲谷構成員: すみません。よろしくお願いします。

安念副座長: では、その点はよろしくお願いすることにして、落合先生、どうぞ。

落合構成員: ありがとうございます。

私のほうからも何点かあります。一つが、今週の前の回の会議で、試験に関する話もあり、警察庁さんのお話もあったと思うのですが、共通部分になるような仕組みを作ること、独自に考えてもらわないようにする部分を作り、各省庁が重複するような取組方をされないようにしてもらうために、テクノロジーマップで具体的な課題解決のための技術自体を示していただいている部分もあると思います。デジタル庁自体で、この部分については、むしろ考えないでもらいたくないので、このセットで使ってくださいということがあると思います。既に整備できている部分はそのように共通利用ということになると思いますし、直近で具体的に整備する見通しを立てている部分については、ぜひ乗っかってくださいというものを、それもテクノロジーマップと併せてリスト化して出していただくことがあるように思います。そうすると、共通基盤の原則を徹底することにつながってくると思いますので、ぜひそういう部分を追加いただければと思いました。

もう一点ありますのが、全体として、先ほどCTOが議論をいただいていたときも、どういう形でワンスオンリーにするかという議論もしましたが、APIの接続や疎結合化は、システム設計に当たって、各省でぜひよく考えていただきたいということもあります。これは個別の改革でこういう型に入れて言いにくい部分はあると思うのですが、こういう設計で行ってもらいたい言うべきこともあると思います。規制の見直しのときにシステムの見直しが入ることも多いので、具体的なテーマとしては原則の1と2の対面や、アジャイルガバナンスを整備していたことが多いと思いますが、最近になって考えてみると、今申し上げたような共通基盤や、相互運用性を確保する取組は実は結構行っていて、それをまとめて提示することが大事ではないかと思いました。そういった部分も、実はもう内容としては成果はあるようにも思いますので、それを見られるようにしていくことが大事かと思いました。ぜひそういった点を加えていただくことをご検討いただればと思いました。

以上です。

安念副座長: 松田さん、いかがでしょうか。

事務局(松田): ありがとうございます。

実は、この会議が始まる前にシステムの側の会議をしていまして、今、落合先生が言っていただいたことをやろうという話をしていました。まさに、各府省の今後5年間、どういうシステム投資をするのかということを出してもらって、デジタル庁でそれを受け取ってやり取りをしていくというプロセスを今つくっているのですが、その中で、今までは各省に取りあえずつくってもらっていたという関係だったのですが、デジタル庁になったので、共通機能としてデジタル庁としてもこれをやるから、ほかのことを考えないでくれ、このように移行することとして出してほしいということを示していきたいと思っており、今、落合先生に言っていただいた、それをこっちのデジ臨のほうでも書いて、かつ、システムの計画の中にも具体化していければなと思いました。

そういう意味で、この資料のスケジュールの21ページ、ここの「システム整備方針の中長期計画に記載・公表」という中のやり取りを今議論していまして、そこで共通機能を徹底して使う、もしくは足りないものは共通機能として整備する努力をするということを書き込めば、デジタル庁のシステムの方針とも整合的になるかなと思いました。

加えて2つ目のところ、そもそも政府全体、もしくは自治体も含めた、いろいろなサービスを実現するためのある程度共通的なアーキテクチャーをどうやって設計し示していくのかという話が大事なのではないかという話も実はしており、そこにもかなりつながってくる話なのかなと思いましたので、どこまで具体的に表現できるかはありますが、まさにそれをつくっていかないと、それ自体がここで言う共通基盤をつくるための基盤になるのかなと思いましたので、そこはこちらの文書にも触れながら、システムのほうでもさらに具体化していければなと思います。

落合構成員: ありがとうございます。ぜひお願いします。

規制改革の議論をしているときも、個別にこういう疑念があるという話で反論されて、論点が混同されてしまうことがあります。そのピン留めという意味でも、共通でこれを行うことは政府で決めていますと言えると、割と議論しやすい場面があるようには感じています。規制改革の側にも大きくプラスがあると思いますので、ぜひよろしくお願いします。

事務局(松田): ありがとうございます。

それで、今、落合さんの話を聞きながら思いましたが、実は僕らの課題感の一つも、例えばマイナンバーカードなりを使った前提で、行政手続についてはどのレベルでどういう手段で本人確認をするべきかというガイドラインが実はあるのです。ただ、それが規制の対応になると、ないということになっていまして、今まで典型的な行政手続についてはそれを示しているのですが、マイナンバーカードの本人確認をしたら、ある種のeKYC的な世界でどこまでオーケーなのかというのが、規制の分野になると、今はないということになっていまして、今度つくっていかないといけないのかなということを思いました。

落合構成員: ありがとうございます。

技術面と、実務での実装のレベル感について段階をつけたものがあるといいと思います。これは少し前の回で根本先生も本人確認を議論された回があったと思いますが、そのときに出たイメージもそういう内容だと思います。技術プラスアルファで、事柄によっては段階をつけて、このレベルの話はこれであると落とし込めるような形で定型化できると、臨調の作業的としては、定型化いくというのが手法だと思いますので、非常にプラスになるパーツになると思っています。

事務局(松田): ありがとうございます。テクノロジーマップの概念を広げて考えていったほうがいいかなということかなと思いました。ありがとうございます。

安念副座長: 型にはめるとか乗ってくれというのは、言葉遣いは悪いかもしれないですが、それは霞が関さえまとめられなければ、とてもじゃないが、地方自治体に乗ってくれというのは難しいので、ここは本当にやらなければいけないですよね。つくづくそう思いました。ありがとうございます。

根本さん、お待たせしました。

根本構成員: 2~3点申し上げます。今ちょうど投影されている資料に関して申し上げると、集中改革期間中の3回の通常国会にそれぞれ対応する、とおっしゃっていただいたことを非常に心強く感じました。できるものからとにかくどんどんやっていく、ということでお願いします。

デジタル法制局の話に戻ります。確認プロセスの話があったような気がしますが、チェックする目が多ければ多いほどきちっとできます。語弊があるかもしれませんが、できる限り国民の目にさらす、そういう機会をつくっていただきたいと思います。なおかつ、法案なり規律が成立した後になって、それまで気づかなかった問題がいっぱい出てくるかと思いますので、それこそアジャイルに見直すような仕組みが入るとうれしいです。

それから、細かいかもしれませんが、点検状況に応じて作成される方針確定リスト等々が、ポジティブリスト形式になっていると思います。ポジリストでは絶対に漏れが出てしまいます。先ほど、各省から1,000プラスアルファの項目が出てきたとのご報告がありましたが、この後もずっと気づいたところはどんどんやりましょうねという枠組みにしておいていただけるとありがたいと思います。

また、今しがた落合先生がおっしゃった、マイナンバー系の本人確認のお話は、一部で神学論争的になりかねないところではありますが、どうしても紙の信仰とか、対面のほうがマイナンバーよりも本人確認性が高いのだという信仰があるようにしか見えないところも多少ありますので、ぜひそういうところを直していただければと思います。

加えまして、これは根源的な問題なのですが、一部の手続等々の話をしていると、今ある技術のデジタイゼーションに汲々として、デジタルトランスフォーメーションになっていないと感じるところがあります。「今ある規制は規制として、あるいは規律は規律として正しいという前提で、それを何とかデジタル化できないか」というのは、この時代の考え方としては違うと思います。そこについても今後の検討課題にしていただけるとありがたいと思います。

最後に時期尚早かもしれませんが、ポストデジタル臨調について、公の会議体を設置する話も早く進めておく必要があります。それがデジタル法制局ですということであれば、それはそれでよろしいかと思いますが、場合によってはデジタル庁さんのほうに新しい権限規定を追加しなければいけないかもしれませんし、そういう規律の問題、あるいはウオッチドッグの問題についても、早めにご議論をしていただけるとありがたいと思います。

以上です。

安念副座長: ありがとうございました。

最初の提案はデジタル法制局の話だったので、須賀さんからお答えいただくのがいいかな。

事務局(須賀): 根本構成員にはいつもご指導いただいてありがとうございます。

テクノロジーマップからアップデートするとか、デジ庁なり各府省でチェックするというだけでは完全にならないというのは私たちも痛感していますので、ご要望を国民、あるいは産業界から、今回は大規模アンケートをしていただきましたが、そういったある時点で定点的に観測するというだけではなく、随時受け取るということも含めて何らかの仕組みが必要だと思っていまして、ここはまだ議論ができていないところなので、検討チームのほうでしっかり一度議論をこなした上で、作業部会でもお諮りしたいと思います。

それから、公の会議体のほうも併せてお答えしますと、臨調がアドホックな存在であることから、政府の中にその機能を恒常化していくにはどうしたらいいかというのは、まさに検討チームの構成員の皆様にご議論いただいているところですので、しっかりと政府の中で準備をしまして、またご報告できたらと思います。

安念副座長: 松田さん、何か現時点でコメントがもしおありであればどうぞ。

事務局(松田): ポジリストのところは、抜け落ちたものも常に見直していくということは、何らか明記できればなと思います。

あと、これは根本構成員も含めてですが、法制局とのさっきの一括法的なところ、これは我々の現状の課題認識はしっかり構成員にもお伝えして、またいろいろご指導いただければと思うのですが、我々はできるだけこれを早く出したい。必要があれば何回かでも出したい。こういうことで覚悟を持っています。

他方、法制局的な議論からしますと、目視だったらまとめて必ず持ってこいとか、定期点検だったら同じ規律だからまとめて一回で持ってきてほしい、こういう議論がまず法制局的にはあります。

我々、特に定期検査等々になると、技術検証をしながらつくり込んでいくところもあると思っていまして、どういう時間軸で何が処理できるかというところが割と課題感を持ちながら整理をしています。

他方で、閲覧とか、こうしたことは、実はデジタル手続法をかなり拡張したり、強化したりするところでできる部分もありますし、もう少し十把一絡げにやりやすいところもあるのかなと思っていまして、パターンを分けてよく整理しながら、どの段階でどういうやり方ができるのかというのを調整していければなと思っていますので、またそれも進捗をご相談できればなと思います。

以上です。

安念副座長: ありがとうございました。

お手が挙がっている方が何人かいらっしゃいますが、私、挙手の順番を間違えているかもしれないので、もしそうであったらご容赦いただきたいのですが、上野山さん、増島先生、稲谷先生の順にご発言いただけますでしょうか。

上野山さん、どうぞお願いします。

上野山構成員: ありがとうございます。

私、間が抜けていたので、前のアジェンダとオーバーラップしたコメントになってしまうのですが、まず前提として、公表資料に関してのコメントは特に細かく私からはありませんで、コミュニケーションデザインの話だと思いますし、物を設計されてやられているということなので、進んでいくのを楽しみにしています。

この資料の中にも、システム整備を通じた見直しの話が記載されていると思っていまして、ここに関して、先ほどCTOのところの話と少しオーバーラップする話なのですが、各部署から本当に様々なシステム側の要求が集まってきているということだと思っていまして、何をつくるか、つくらないかという議論をまさにされているのかなと思っています。その中で、拘りと割り切りのバランスが重要で、この観点は拘らずに捨てる、という意思決定がなされる土壌があるかどうかが、とても重要だと思います。

例えば、セキュリティーレベルの話とかいろいろな話がありますが、何かしらの特定の部分をちょっと諦めさえすれば、実は2倍、3倍のスピードになるみたいなもの、拘りと割り切りのバランスを意思決定する場があるかという点です。大規模システムの開発においてはすごくよくある話で、そういう意味での何かしらを諦めるみたいな、それは何をつくる、つくらないというよりは、これはシステム共通の要求になっているケースが多いので、そういう、拘りと割り切りのバランスの議論がなされ、意思決定されるプロセスみたいなのが健全に回っていくみたいになっていると、すごくスピードが出てくると思います。まさにそういうところを重視しながら進められているのだと思うのですが、いま一度、そこがうまく進むといいなと思いながら、一個前の後半のアジェンダを聞いてコメントをしたというところです。

私からは以上になります。

安念副座長: ありがとうございました。

何か事務局側からコメントはありますか。

事務局(松田): ありがとうございます。

実は、今、上野山さんも言っていただいたことで、例えば既に動いているものがありまして、キャッシュレス法案がこの国会で成立をしたところです。今、並行して各府省から、デジ庁もそうなのですが、システムの予算要求が上がってきていまして、キャッシュレスに対応する仕組みをみんながそれぞれつくろうとしているという話があります。ただ、これをどこまで共通化したり、既存のものを使ったりというのを、予算要求で上がったものを見ながら、もしくはその前に各府省から相談があった情報を整理しながら、どういう形が一番いいのかという議論を今しているところであります。

それをまさにデジタル庁の中でどういうふうにガバナンスしていくのか。物によっては、必ずしも共通機能でないほうがいいものもコスト的にあるものですから、その辺をどうやっていくのか、トライアルが始まったところでありまして、ここのガバナンス、プロセスの設計をオンゴーイングでやっています。ただ、結構悩みながら、これはどうやってやったらいいんだっけというのを、庁のいろいろな議論をしながら固めていっているというのが実際のところかなと思います。

また、進め方について、いろいろなところでアドバイスやご知見をいただくとありがたいなと思います。

安念副座長: ありがとうございました。制度設計のガバナンスというものが問題になるのですね。

増島先生、お願いします。

増島構成員: ありがとうございます。

今回の一括見直しプランは、非常に包括的に書いていただきましてありがとうございます。コラムもあちこちにちりばめられていて、とてもいいかなと思っています。文脈にはまらないものを枠囲いでコラムにするというのはとてもいいアイデアだなと思いました。

今回のもので、本当に一番大事なのは、21ページのところにあるアジャイル型政策形成・評価の在り方ワーキングの中で言われているものですね。先ほど、デジタルトランスフォーメーションをされるのだという話を根本委員もおっしゃっていたのですが、結局、これは文化革命というか、文化改革をしなければいけないよという話、一事が万事という話で、ここができないと、どれもこれも芯を食ったような提案が出てこないみたいな話になるということだと思いますので、その辺を今回の提言はよく表現をしてくださっていると思います。個別の施策を技術的にどうするこうするというのは非常に大事なところでありますが、総論にこの提言をどういうふうに実現していくのかという点を記載し、今回やられるいろいろなプロセスはこの提言が具体化していくような形で動いていく、こういう構造になっていると理解をしています。両者が連携というか、良い感じにつながっているものなのですというのがまさに一丁目一番地の部分だと思うので、その辺が分かりやすく表現されるといいなと思った次第です。

以上です。

安念副座長: ありがとうございました。

ここは確かにいい感じで書かれている。私もそう思った。

増島構成員: これはすごいですね。何で無謬性が駄目なのかということをすごく端的に本質を突いて書いてあります。これができないとアジャイルにできないし、デジタルができないということになりますという話ですし、間違ってもいいのです、どんどん変えていけばいいじゃないですかという話にしないと、見直しプランができないのは明らかなのです。ここは本当に大事なポイントなので、ここにあるのは、ほかの検討部会でも検討していた内容に配慮しながらやるみたいな、そういうことよりは、むしろ我々の活動は、まさにこの精神に基づいてやっていくことによってこの提言の内容が実践されるのだみたいな、そういうことなのだろうと思いましたということです。

安念副座長: アジャイルさを実装するって、本当に文化革命になりますね。明らかにそうなる。おまえ、そんなことができるのかと言われると、厳しいな、全然自信がない。私も本当にそう思いましたね。

稲谷先生、お待たせしました。

稲谷構成員: 実は同じような話というか、デジタルトランスフォーメーションをデジタイゼーションで進めていく、そういう全体像の中で第一歩として位置づけていくという立てつけだと思いますので、例えば何回か前にもこれをその場でやるのかどうかという話はありましたが、例えば構造改革のためのデジタル原則とか、デジタル原則の点検の方向性の中で、大きな制度変革というか、霞が関の文化も変わるかもしれないですし、日本全体の在り方として変わっていく項目に関係するものもかなりあったように思うのですね。そういった点とこれが結びついていて、全体としてそっちに向かっていくみたいな、そういうイメージを持てるといいかなと思います。

つまり、原則の中で全く触れられていないものも残念ながらないわけではないと思うのですね。もちろん改革というのは、どうしてもどこからやっていくか、手をつけられるところから早くやらないと進まないという話なので、改革を続けていくということに意味がある、まさにそのとおりだと思うのですが、そういう話野中にもこれは今後も伸びていく話をまさに始めているのだというのがうまく伝わると、より一層迫力というか、まさにここが中心になってデジタル化を進めていくというイメージがきっと出ると思いますし、そことの関係でいくと、先ほどもちょっと出ていましたが、デジタル法制局の機能をどこまでのものとしてお考えになられているのかというところが、最後、すごく重要な気がしていて、つまり、こういった最初のアジャイルガバナンス原則とか構造改革のデジタル原則とか点検みたいなところまで全部含めて、最終的にそこが中心になってやっていくような組織を立ち上げていくのだという形になるのだという話があると、デジタルトランスフォーメーションの中心にこういった動きがあるのだということをうまく位置づけられるような気がしたので、そこの点を確認というか、どういう感じで今後やられていくイメージなのかというのを、お答えにくいかもしれないですが、お伺いできればと思ったところです。

安念副座長: 松田さん、何か。

事務局(松田): ありがとうございます。

今、お話をいろいろお聞きしながら私なりに思ったことで言うと、ここに書いてあるアジャイルがまさにガバナンス・イノベーションでいろいろ議論しました過去もありますが、アジャイルガバナンス、EBPMと言っている世界に、行政自体が変わっていくというところがあるべき姿だし、それによってスマートで、合理的で、迅速に何かができる国家をつくるみたいな話だと思いました。

他方で、今、各省と何百個、何十個の規制を一個一個見直していくと、原課とそれぞれの班でやり取りをして、まさに作業部会でやっていただきましたが、こんなテクノロジーがあるのかとか、ほかの省庁でやっているからできるというのを柔軟に捉えて考えていただき始めている人たちと、そこは違う理由もあってなかなか動いていないところと、EBPMとかアジャイルガバナンスは、コンセプトだけを言ってもなかなか動いていかない。一個一個どうやって見直すという議論をしながら、でも、そこの目指す先にはこういうふうになっていくからやっていこうよ、そっちのほうが絶対正しい方向だからということをコミュニケーション。まだ、我々は横断で、横の情報を流しながらテクノロジーベースで入れ込んでいるわけですが、もうちょっと先にはそういうふうになるからやっていこうよというところを併せて出していくといいのかなということを改めて思いました。

多分そういうことになるのではないかと我々の中で議論をして思っていたところを、今回の取りまとめでは、違うワーキングから上がってきたもの、それぞれ書いているのですが、先生方のご意見を聞いていると、まさに牧島大臣と小林副大臣、両方全部あるわけですが、それがまさに統合されていくというのをもうちょっと何らかのメッセージとして出せるといいのかなと思いました。

何ができるか考えてみたいと思いますし、こういうことを書けばいいのではないかというインプットがあれば、コラム的なことも含めて書きようがまだあると思いますので、ご相談できればと思います。

稲谷構成員: どうもありがとうございました。

安念副座長: かっこいい概念をかっこよく実現するのはできないんだよね。

落合先生、その次に副大臣、お願いします。

落合構成員: ありがとうございます。

先程コメントしたことがありましたが、この会議の中で一番重要なのは行革なのではないかとずっと思っております。その意味で7が入っているのが実は一番大事といいますか、7に比べると1~6まではもはや技術論なのかなという感じもいたします。この部分をさらに増やしていくことが、ここから2年間非常に大事ではないかと思います。
法令を見直す部分について書いていただいていますが、デジタルを使えるようになると、行政官のほうも、例えば法執行だったり、監督のプロセスを変えていけるようになるはずだと思います。しっかりと個別に監督できていないので事前規制に頼っているという議論はこの前もされていて、そこを事故の責任追及の在り方を含めて事後規制へということもあると思います。モニタリングや監督を積極的に行っていけるようにしていくほうに文化を変えていき、そういう取組をしたほうがより評価をされるということを強く出していけると、より前向きに役所の動きが変わっていき、自治体のほうまでそれで変わってほしいと思っています。そういった観点で、さらにデータを使うことによってこういう仕事ができるのではないかということもコラムなんかで書いていただいたりすると、前向きでプラスになることも増やせるのではないかと思いますので、ぜひご検討いただければと思いました。

安念副座長: 落合先生、ありがとうございました。

皆さんからいろいろサポーティブなご意見をいただいて、本当によかったです。

副大臣、お待たせしました。ご発言をいただけますか。

小林座長: 本当に皆さんありがとうございます。行革の部分を褒めていただいて、頑張った行革事務局のメンバーも本当に報われるのではないかと思っています。

松田さんが言ってくれましたが、もともと臨調はデジタル、規制、行革を一体でやるということで、規制改革のアナログ規制の見直しが先に出ていくのですが、本質は行政機構というこの国の大きな社会インフラを根本からつくり直すというところが本質だと思っていまして、その中には法令がもちろんあるわけだと思っています。

そのときに、自律的に自分たちのルールや慣習を見直していく行政組織をつくっていくことが最大の目標ではないかと思っていますので、そこを皆さんと語り続けられるといいかなと思うのですね。

どうしても、政策は部分的に出ていくじゃないですか。出ていくたびにそこに焦点が当たって、全体像とか全体パッケージがいつも見忘れられるということが必ず起こるので、常に全体パッケージのほうに目線を移し続けることも忘れずにやらなければいけないのだと思っています。

そういうわけで、この取りまとめもすばらしいものになったと思うのですが、皆さんの口も通じて世の中にコミュニケーションを図っていって、全体のゴールはそっちだよということが共有できると、迷わずに進んでいけるのではないかと思っていますので、引き続きよろしくお願いします。褒められてうれしいです。ありがとうございます。

安念副座長: ありがとうございました。
一通りご議論を尽くしたかと存じますが、よろしいでしょうか。

今日も闊達にご議論いただきましてありがとうございました。もちろんプレゼンターの皆さんも非常に力のこもったプレゼンテーションをいただいて、本当にありがとうございました。

皆さん、藤本さんに結構カルチャーショックを受けませんでしたか。僕は、悪いけど、あの人が最初に画像が出て、ゲームの背景の絵とかを描いているようなお兄さんなのかなと思って。

これはポジティブに言っているんですよ。このような方が要職に就かれたのだな、本当に日本も捨てたものではないなと私は本当に思いました。

藤本さん、本当にどうもありがとうございました。

藤本CTO: こちらこそ、頑張ります。皆様、ありがとうございます。

安念副座長: そこで、私、これは非常にショックなのですが、本日の作業部会をもって根本さんがご退任なのです。一言ご挨拶をいただきたく存じます。

根本構成員、いかがでしょうか。

根本構成員: 今日で私にとっては最後という通知ももらっているので、1分だけください。

まず、このデジ臨の立ち上げに当たって、小林座長をはじめご関係の方々に大変お世話になりました。私の念願でもありましたので、実際にこういう作業が始まったことについて大きな喜びを覚えています。

他方で、今日の時点で離脱しなければならないということで、めちゃくちゃ不完全燃焼です。安念先生の書生にでも使っていただけると、もうちょっと続けられるかなと思っていたのですが、残念ながらそういう状況ではないようです。

実際のところ、私自身ここ40年ぐらい、通信衛星の調達問題辺りから、恐らく官庁の皆さんが入省する前からこういう分野のお話をちょこちょことやってきました。この10年ぐらいはずっとSociety5.0ということで、行政・医療・教育という3つの大きなターゲットを中心的に見てきました。

行政に関しては今議論されているとおりですが、医療や教育については、私から申し上げるまでもなく、この2~3年ぐらいのコロナ禍で、ほとんど東京大空襲の後の東京みたいな、サイバー空間で大惨事が起こっているという状況でした。20年前にやったe-Japanが全く達成できずに今日になってしまったがために、その大惨事を招いてしまったということだろうと思います。それを何とかしたいと思って、このデジ臨を始めていただいたというところがありました。手段はリープフロッグ、カエル跳びをやるしかないということで、何とか一気呵成に3年間で皆様方に仕上げていただけたら、私も非常にうれしいというところがあります。

今後はデジタル臨調の外に立ちますが、外側から大きな応援旗を一生懸命振らせていただきますので、皆様、引き続き頑張っていただけたらと思います。

短い間でしたが、どうもありがとうございました。

安念副座長: 根本さん、どうもありがとうございました。心底寂しいです。

根本構成員: 書生にしてください。

安念副座長: こちらこそ。私が書生になります。

もう一回、副大臣にご発言をいただかなければならないのですが、よろしいですか。

小林座長: まずは、根本さん、本当にありがとうございます。もう3年前になるのですかね。いろいろな規制改革を当本部でやっているときに、10倍、100倍早くこの国の規制を変える方法はないですかねと根本さんに相談をしたときに、昔、実は臨調というのがありましてねというお話を教えていただいたときから、このデジタル臨調という構想をひらめきまして、ここに至って根本さんと一緒にすばらしいメンバーと最初のプランをつくることができたというのは本当に大きなことだなと思っています。

政治はずっと歴史を引き継いでいってやるものだと思っていますので、皆さんの思いをそれぞれ引き継ぎながら、しっかり結果を出して、後で振り返って、あのときこの国が大きく変わったと思っていただけるようにしっかり仕事をしていきたいと思っています。

そういう意味でいくと、実は今回のアジャイルワーキングの結果だったり、デジタル臨調の規制改革の取りまとめというのも、松田さんとか須賀さんと経産省にいらっしゃるときにまとめていたいろいろな取組がここに結実しているところもありまして、そういう意味で皆さんの英知がここに結集してとても大きな取組になっていると思っています。

そういうわけで、今回まとまってしっかり報告ができるように、もう一押し、次の臨調本番に向けて事務局一同頑張って刈り取っていきますので、構成員の皆さんには激しく応援のメッセージを各所で上げていただけたら大変ありがたいと思っています。日経の世論調査では、経済対策とか社会保障に対する期待値は30%を超えているのですが、規制改革への期待はなんと8%しかない。なぜか。個別案件には関心があるのですが、全体をよくする、その根っこにある部分の規制を見直さねばならぬというところにまだアジェンダがセットされていないというのが現実だと思っています。アジェンダセットをしない限り、大きな扉は開いていかないので、このアジェンダセットをみんなでいかにやるかというのはどこに立ってもできることですから、ぜひみんなで一緒に協力してやっていければと思っています。そうすれば、みんなの努力がより大きく花開くと思っていますので、引き続きご協力をよろしくお願いします。

今日もありがとうございました。

安念副座長: 副大臣、どうもありがとうございました。

根本さん、本当にありがとうございました。ますますのご活躍をお祈り申し上げます。

最後に、事務局より連絡をお願いします。

基本的には、今日はデジ臨の春の陣の取りまとめの最後の作業部会だと思っています。

なお、本日の議事については、公開になじまない内容はないと考えますので、後ほど議事録を作成し、皆様にご確認をいただいた上で公開したいと思います。

また、本日の資料の扱いについて、デジタル原則に照らした規制の一括見直しプラン、これはまだ今日いただいたものを含めて各省庁で調整をしていく段階ですので、デジ臨の親の会合の間までは公表になじまないということでご異議がないようでしたら、その間は当該部分は非公開としたいと考えています。その他の資料については、デジタル臨調のホームページにて公開するという取扱いにできればと思います。

本日はご参加いただきありがとうございました。

安念副座長: それでは、皆さん、第11回の会議を終わります。どうもありがとうございました。