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デジタル臨時行政調査会(第5回)

概要

  • 日時:令和4年(2022年)10月27日(木)11時35分から12時05分
  • 場所:総理大臣官邸4階大会議室
  • 議事次第
    1. 開会
    2. 議事
      1. デジタル原則に照らした規制の一括見直しの進捗と取組の加速化について
      2. デジタル人材を含む民間人材の採用円滑化について
      3. 意見交換
    3. 閉会

資料

議事録等

日時

令和4年(2022年)10月27日(木)11時35分から12時05分まで

場所

総理大臣官邸4階 大会議室

出席構成員

会長

  • 岸田文雄(内閣総理大臣)

副会長

  • 河野太郎(デジタル大臣)
  • 松野博一(内閣官房長官)

構成員

  • 鈴木 俊一(財務大臣)
  • 岡田直樹( 内閣府特命担当大臣(規制改革)行政改革担当大臣
  • 大槻奈那(名古屋商科大学ビジネススクール教授 ピクテ・ジャパン シニア・フェロー)
  • 金丸恭文(フューチャー株式会社代表取締役会長兼社長)
  • 宍戸常寿(東京大学大学院法学政治学研究科教授)
  • 髙島宗一郎(福岡市長)
  • 綱川明美(株式会社ビースポーク代表取締役社長)
  • 十倉雅和(日本経済団体連合会会長)
  • 南場 智子(株式会社ディー・エヌ・エー代表取締役会長)
  • 村井 純(慶應義塾大学教授)

関係大臣等

  • 川本裕子(人事院総裁)

概要

大串デジタル副大臣: ただいまから第5回「デジタル臨時行政調査会」を開催いたします。
皆様方におかれましては、ご多忙の中、ご参加いただき、誠にありがとうございます。司会進行を務めますデジタル副大臣の大串でございます。よろしくお願いいたします。
本日、金丸構成員、髙島構成員にはオンラインでご参加いただいております。また、総務大臣、経済産業大臣はご欠席です。

それでは、議事に入ります。デジタル原則に照らした規制の一括見直しの進捗と取組の加速化について、河野デジタル大臣よりご説明をお願いいたします。

河野デジタル大臣: 資料の1ページ目をお願いいたします。岸田総理とご相談をしまして3つの点から取組を加速してまいります。

1点目、アナログ規制の点検・見直しについて、当初3年間を予定しておりましたが、2024年6月までの2年間に前倒しをして実施をいたします。

2点目、岡田規制改革担当大臣とともに規制所管大臣をお招きして、「2+1」で見直しの議論を鋭意進めていきます。

3点目、この臨時国会に提出予定の法案につきましても、いわゆるデジタル法制局を立ち上げて、ここできちんと確認し、デジタル原則に違反しているものは差し戻しということをやっていきたいと思っております。

また、今回の全国旅行支援のように、政府の企画・提供する給付金又はクーポンといったサービスが紙を前提として設計されてしまうというようなことがございますので、次からこうしたものもデジタルで全部やっていきたいと思っております。

2ページ目、7項目のアナログ規制、それから、フロッピーディスクなどの記録媒体を指定する規制が合わせて法令約9,000条項ございますが、このうち99%について見直しの方針を確定いたしました。残り1%についても見直し方針を確定し、全ての条項につきまして、年末に2年間でどう見直しをするかという工程表を策定して公表いたします。7項目のアナログ規制に該当する告示、通知、通達がさらに3,000条項が洗い出されましたので、これについても速やかな見直しをしてまいります。

3ページ目、1と2につきまして、目視、監査、定期検査では、見直しにより常時あるいは遠隔での監視技術、AIなどを活用して安全性、効率性を向上させてまいります。

3の常駐・専任につきまして、見直しによりテレワーク、複数事業所の兼任を可能として、安全性のレベルは維持をしながら人手不足の解消に貢献をしていきたいと思っております。

4の講習、掲示、閲覧につきまして、見直しにより、いつでもどこでも必要な情報を確認できるように利便性を向上してまいりたいと思っております。

4ページ目、見直しに活用可能なデジタル技術を整理したテクノロジーマップと、企業のデジタル技術を掲載した技術カタログを作成し公表してまいります。

第1弾として、オンライン講習におけるカンニングの検知あるいは席を離れてしまった検知といった不正受験対策について、9月末から、企業に製品・サービスの提案を求めております。既にいろいろお寄せいただいておりますので、取りまとめの上、速やかに試行版を公表したいと思います。

5ページ目、地方の規制につきまして、髙島福岡市長が条例のアナログ規制を洗い出したところ、9割以上が国の規制によるものであったという報告がございますので、まず、国のアナログ規制を見直します。また、地方自治体の条例の点検見直しをお願いするため、見直しの体制や手順、福岡市などを含めた先進的な取組事例を紹介した地方自治体向けのマニュアルの第1.0版を公表いたします。これは過去に、押印見直しをしたときの押印見直しマニュアルのようなものを想定しております。

加えて、国・地方の連携により、保育の認定に必要な就労証明書のデジタル完結など国民や事業者へのサービスの改善を進めていきたいと思っております。

7ページ目、年末には工程表を確定し、一括的な法改正の在り方を具体化し、横断的な技術検証に必要な支援も用意いたします。次期通常国会の法案につきましても、各府省と協力の上、いわゆるデジタル法制局でデジタル原則への適合性をきちんと確認をしてまいります。

国・地方の手続について、規制、システムの両面からデジタルでの完結の取組を目指してまいりたいと思います。
私からは以上です。ありがとうございました。

大串デジタル副大臣: ありがとうございます。
次に、デジタル人材を含め民間人材の採用円滑化について、本日ご出席いただいております川本人事院総裁よりご発言をいただきたいと存じます。川本総裁、お願いいたします。

川本人事院総裁: 人事院総裁の川本裕子でございます。
本日はこの場をお借りいたしまして、デジタル時代にふさわしい霞が関への転換に向けた民間人材の採用円滑化の取組の進捗状況についてご報告いたします。

資料を配付させていただいています。
デジタル人材を含む民間人材の採用円滑化のためには、各府省において必要な人材をタイムリーかつスピーディーに採用できること、そして、専門性と民間での経験や業績などを適切に評価した給与処遇を行うことが重要です。そのため、人事院として各府省をサポートする様々な取組を実行してまいりました。

第1に、高度デジタル人材の特定任期付職員としての採用を始め、各府省限りで採用できる任期付職員の範囲をさらに拡大しました。

第2に、給与について、現行制度上可能な柔軟な取扱いを明文化して各府省に通知するとともに、デジタル庁が高度デジタル人材を特定任期付職員として採用する際の給与をデジタル庁限りで決定できるようにしました。

第3に、制度運用の利便性を高めるため、各府省が採用志望者に採用後の給与水準を事前に提示する際の計算を支援するツールを提供したり、各府省からの相談にワンストップで対応する民間人材採用サポートデスクを設置しました。

この秋以降も官民人事交流制度のさらなる活用に向けた交流基準の見直しや柔軟な働き方を可能とするフレックスタイム制の柔軟化、特定任期付職員の業績手当を各府省限りで支給可能にする措置など制度の見直しを実行してまいります。

各府省においては、ぜひこうした仕組みを活用して、民間人材の円滑な採用につなげていただきたいと考えております。今後とも河野デジタル大臣をはじめ皆様と連携、協力を図りながら民間人材の採用円滑化に取り組んでまいります。
以上でございます。

大串デジタル副大臣: ありがとうございます。
続いて、河野国家公務員制度担当大臣及びデジタル大臣、お願いいたします。

河野デジタル大臣: 人事院総裁からご説明いただきました民間人材の採用円滑化につきましては、かねてからお願いをしておりました手続の簡素化に加え、民間人材採用サポートデスクの設置といった新たな取組を進めていただいておりまして感謝申し上げたいと思います。

こうした取組に加えまして、採用後のサポートを充実させることなどにより、霞が関全体の民間人材のさらなる活用をしっかり進めてまいりたいと思っております。また、デジタル人材を含めた必要な民間人材を確保できるよう、来年度の人件費予算の配分方針において、民間人材を含めた人員の機動的柔軟な確保ができるように留意する旨を明記したところでありまして、引き続き柔軟な人員配置の実現に向けて取り組んでまいります。

これに合わせて、内閣人事局では公務部門で活躍された民間人材が民間に戻る際に、国家公務員法の再就職規制に抵触しない形で転職ができるよう気をつけるべきポイントを分かりやすくお示しをするリーフレットを、デジタル庁の協力を得ながら作成公表いたしましたので、ぜひ活用していただきますようお願いをしたいと思います。

加えて、働き方の柔軟性の向上のためにはデジタルツールの導入が有効です。内閣人事局とデジタル庁が連携をして、省庁を超えたチャットツールの導入やファイルの共同編集といったデジタル庁や経済産業省で行われている先進事例や効果的な使い方を各省にご紹介をしておりまして、引き続き導入の検討を呼びかけていきたいと思っております。

また、デジタル大臣として申し上げますと、デジタル大臣として外部人材採用の円滑についてデジタル庁において率先して取り組んでまいります。また、採用した後に能力を十分に発揮していただくための組織文化づくりについても注力をしていきたいと思っております。

こうした多様な組織をつくっていく中で、デジタル庁で働いた方々が民間企業や自治体、各省に戻り、デジタル庁で培った能力を発揮していただくことや、逆に、役所を離れて民間で経験を積んだ官僚の皆さんが再びデジタル庁で国の仕事をやっていただくことを通じて、デジタル人材のリボルビングドアをしっかりと実現をしてまいりたいと思っております。

人材育成につきましては、デジタル庁ではジョブ型の人事制度を志向しておりますが、それぞれのジョブに合ったスキルを整理して、それぞれに応じた研修の機会の提供を検討しているところであります。引き続き、人事院、内閣人事局と連携をして取組を進めてまいりたいと思います。よろしくお願いいたします。

大串デジタル副大臣: ありがとうございます。
ここからご出席の皆様にご意見等をいただきたいと思います。
まず、岡田内閣府特命担当大臣・行政改革担当大臣、お願いいたします。

岡田内閣府特命担当大臣:(規制改革)・行政改革担当大臣規制改革と行政改革の担当大臣、岡田直樹でございます。今回から構成員となりました。何とぞよろしくお願い申し上げます。

社会全体のデジタル化が進む中で、規制改革、行政改革においてもデジタルの視点は不可欠でございます。デジタル臨時行政調査会とはしっかり連携をさせていただきたいと存じます。

規制改革については、規制改革推進会議において、本日の会議にもご出席いただいている大槻奈那委員を新議長に選出いただき、地方創生の観点も踏まえながら、今まで日本の課題や弱みとされてきた部分を成長のエンジンに変えていくための議論を開始したところでございます。まずは年内に中間取りまとめを行っていただきます。それに向けて会議での議論が円滑かつ効果的に進むよう、私もしっかりと取り組んでまいる覚悟でございます。

また、今回の経済対策では、岸田総理から、規制改革も含め効果的な対策を取りまとめていくようご指示がありました。このご指示を踏まえ、グリーンやヘルスケア分野などの規制緩和を盛り込むべく取り組んでまいります。

行政改革については、霞が関の職員が安易な前例踏襲や課題の先送りに陥ることなく、社会の複雑化や環境変化に機動的、柔軟に対応できるようにしていくことが重要であります。来月開催する今年の秋のレビューを起点としてEBPMの手法を各省に幅広く普及させていくとともに、EBPMの専門家の派遣など、各府省への支援を充実させてまいります。引き続き、デジタル臨時行政調査会と連携しながら、規制改革、行政改革の取組を集中的に進めてまいる所存であります。

なお、地方公共団体のアナログ規制の見直しとデジタルの実装は、地域の課題解決や魅力向上にもつながることから、デジタル田園都市国家構想交付金の活用による後押しを考えてまいりたいと思います。
以上です。

大串デジタル副大臣: ありがとうございます。
続いて、新たに規制改革推進会議議長にご就任され、デジタル臨時行政調査会構成員にもご就任されました大槻構成員、お願いいたします。

大槻構成員: ありがとうございます。規制改革推進会議議長として初めて参加させていただきます大槻と申します。よろしくお願いいたします。

先ほど岡田大臣からもありましたが、近日取りまとめられる経済対策には、規制改革を盛り込むということで心強く思っております。ただ、私、金融市場に身を置くものとして、円安でこれだけ日本が安くなっているにもかかわらず、海外からの投資意欲が依然限定的であるということにやや不安を感じざるを得ません。経済は、我々が将来世代に残せる資産でもあり、お手元の資料4でもお示しさせていただいていますが、日本の付加価値向上に向け、それぞれの要素に関わる規制改革、これが何としても必要であると考えております。

これまでも我々は様々取り組んでまいりましたが、当面の具体的な課題といたしましては、下段のほうにございますSaMDプログラムの医療機器の審査や調剤業務等における過度なゼロリスク思考の検証、労働時間管理手法の見直し、兼業・副業の促進、ひいては労働移動の円滑化に資するデジタル技術の活用、そして、不要な場所規制の見直し等で、効率化を阻む規制や合理性が低い規制の抜本的な見直しに取り組んでまいりたいと思っております。

ご存じのとおり規制改革の歴史は30年にもわたるということで、正直、岩盤度合いというのが高まっている印象を持っております。ここから先の改革の実現には、僭越ながら、総理をはじめ力強い政治の覚悟とリーダーシップが不可欠だと感じております。デジタル臨時行政調査会と連携し、規制改革を高い熱量でもって推進してまいりたいと思いますので、何とぞよろしくお願いいたします。

大串デジタル副大臣: ありがとうございます。
そのほか、ご発言のある方は挙手をお願いいたします。時間の都合上、簡潔にお願いいたしたいと思います。
宍戸構成員、お願いします。

宍戸構成員: 東京大学の宍戸でございます。
私からは資料6によりまして簡潔に、法学の観点からこの間の取組に対して意見を申し上げたいと思います。

まず、第1に、アナログ規制の点検・見直しが作業部会を中心に非常に迅速に進んでいるということに大変敬意を表したいと思います。その結果は、河野大臣がご説明いただいた資料2の2ページですが、一定の見直しをして、デジタル化できないものがあるのではないかということでございますけれども、これについても安易に残すということなく、所管省庁において理由を明示公表する、あるいはデジタル社会で本当に必要な規定なのかということ自体の見直しにつなげていっていただきたいと思います。

2点目は、資料2の5ページですが、地方公共団体における取組でございます。
アナログ規制の点検・見直しを地方公共団体でやっていただくときに、自治体が住民や企業との板挟みにならないよう、国自身も住民に対して責任を持って積極的な啓発を行っていっていただく。また、先進的な自治体の取組が他の自治体に横展開されたり、しかも、それを今度は縦に、国の規制そのものの見直しにつながるように吸い上げていっていただく。できれば、こういったデジタル臨調などの場でそういった流れをつくっていっていただきたいと思っております。

3点目は、本日、人事院総裁がご出席されていますが、人事院による民間人材の採用円滑の取組について申し上げたいと思います。

各府省庁において採用等が柔軟化され、それを人事院において後押しされているということでございますけれども、それによって起きた課題あるいは各府省の改善を霞が関全体の取組につなげていくという意味で、人事院が果たされる役割は非常に大きいと思いますので、これを全体を各府省から吸い上げて把握して、新たな公務員制度の提案をぜひやっていただければと思っております。
私から以上でございます。

大串デジタル副大臣: ありがとうございます。
村井構成員、お願いします。

村井構成員: まず、リボルビングドアで官民の人材流通ができるというのがデジタル庁を中心に進んでいることは大変重要だと思うのですけれども、アメリカをはじめリボルビングドアのメカニズムが社会で定着している国を見ていると、やはりその人たちが非常にかっこいいのです。プロモートされていて、そのことがよく分かっていて、それで我々が大学から卒業生を出していくことにつながります。今、役人になるとこういう道があるのだというような認識を、学生をはじめ国民があまり持てていないというのが現状ですので、少し良い例をプロモートしたり、これからの取組で高い評価が出たということが、きちんとみんなに伝わるようにしていただくとよいのではないかと思いました。

もう一つは、地方公共団体の問題です。
先ほどのご説明でも色々と地方公共団体でのベストプラクティスがあり、ベストプラクティスを横展開する際はいつでもそうなるのですけれども、横展開にはかなりコストがかかります。したがって、この横展開で日本全国がよくなるというための施策というのを準備する必要があるのかなと思います。つまり、良い例があって国が支援して、それがうまくいっているからさらに横展開をするというのは、そう簡単ではないので、国と一緒にやるべきだと思います。

また、市民から見ると、市区町村の窓口がデジタル化されているか、ここのところが一番効いてくると思うのです。したがいまして、このためのチェックをして、あるいは市民からよく聞いて、何が残された課題かを洗い出すというアクションをしていただきたいと思います。
以上です。

大串デジタル副大臣: 南場構成員、お願いします。

南場構成員: まず、アナログ的規制の点検・見直しが前倒しで実施されているということは大歓迎です。それから、大きな話としては、民間人の柔軟な登用に向けた取組に加えまして、公務員が民間に転職すること、及びまた官庁に出戻ることを歓迎する旨、大臣の口から言っていただけたことは非常に大きいと思います。日本の経済の活性化に向けては、人材の流動性が非常に大きな課題ですので、そこを国がしっかり自らをもって示していくということは重要です。ぜひこの実績を示していただきたいなと思います。

各論ですけれども、スタートアップを推進する立場から発言しますが、テクノロジーマップ、デジタル技術カタログについて、この整備も早速取り組んでいただいていますが、スタートアップの技術を含めて、必要なものが掲載され、それが実際に使われるようになることが重要で、そのために特に気をつけていただきたいこと、1つは告知です。

スタートアップは政府の動きにはアンテナを張っていないことが多いので、ぜひデジタル庁がピッチイベントやJVCAを通してなど、とにかく徹底的に周知をする、こういう取組があることを周知しないと、やはり経団連企業からの提案だけが多くなってしまうことになります。スタートアップを促進するという国家的なアジェンダに即した運営をするためにも告知は重要です。

次は登録のプロセス、これが煩雑ですと、大企業の事務方のような体制を持っていないスタートアップは参加しにくい。このプロセスを簡素にしていただきたい。

3点目は、登録される基準についてです。これも政府調達の基準にありがちな、営業年数とか資本金とか実績とか、そういったことで排除するということを決してやらずに、スタートアップにもチャンスを与える技術カタログにするようにしていただきたいです。

そして、これをクリアした上で、内容については使い勝手に関するユーザーの声が積み上がるなど、有益な技術情報が適宜更新されていくダイナミズムがあるものにして、使いやすくなるようにしてもらいたい。

あとは、今回のデジタル技術カタログについては、デジタル庁で別途検討が進んでいるSaaSに特化した新たな政府調達の仕組みのDMPと仕組みが非常に類似しています。ぜひ、DMPにおいても今回申し上げたことに留意していただきたいですし、一度の手続で両方に登録することが可能であるとか、そういった連携も検討していただきたいと思います。
以上です。

大串デジタル副大臣: ありがとうございます。
オンラインでご参加いただいております金丸構成員、お願いいたします。

金丸構成員: ありがとうございます。
まず、デジタル臨調事務局が献身的で粘り強い取組により、わずか1年の間に9,000条項もアナログ規制の見直しにめどをつけられた成果と、その裏にある各省の協力と膨大な努力に敬意を表します。

また、河野大臣のリーダーシップの下、私も以前から重要と考えていたデジタル法制局機能が早くも実装され、今後日本において、デジタル原則に反する法案は成立しない環境が整ったこと、テクノロジーマップが整備されて技術指導の対話が進むことも大いに歓迎いたします。

デジタル臨調が一気にこれだけの成果を出すと、これで一段落となりがちですが、改革はまだ道半ばです。総理には、現場のやる気を鼓舞していただきながら、ぜひ引き続きデジタル臨調の取組を強力にリードしていただきたいと思います。

最近、健康保険証の話が盛り上がっていますが、マイナンバー及びマイナンバーカードの利活用を推進するには、まだまだ制度的にもシステムにも課題が多いと思われますので、別途ペーパーも用意させていただきました。ご一読いただき、ご対応をお願いできればと思います。
以上です。

大串デジタル副大臣: ありがとうございます。
続いて、オンライン参加の髙島構成員、お願いいたします。

髙島構成員: 福岡市長の髙島です。よろしくお願いいたします。
まず、アナログ的規制なのですが、およそ9,000条項の見直しを前倒しで実施をされるということ。これは最近発表されたマイナンバーカードと健康保険証の一体化も含めて、このスピード感は本当にすばらしいと地方から賛辞を贈りたいと思います。やはり利便の実感ということはすごく大事だと思っています。

例えば、去年、この臨調の中で、引っ越しをして転入してきた方への3回目のワクチン接種券の送付について問題提起をさせていただいて、マイナンバー利用の同意なしで接種券を送ることができると法的な整理をしていただいたのですが、福岡市でいくと、その後、転入者およそ9万人に接種券をプッシュで送ることができたのです。これは、もしその判断がなければ、対象者一人一人、全部確認をしなければいけなかったということが全国で発生していたと考えると、非常に大きな成果だったと思っています。

それから、デジタル化の恩恵を社会全体に広げていくには、自治体が条例などを見直しやすくすることも重要ですので、マニュアルの整備など本当にありがとうございます。地方の取組の加速化のためにも、今後のアップデートに当たっては、実績を踏まえた具体例の充実をお願いいたします。

それから、地方への後押しの意味でも、以前申し上げた、市民に身近な引っ越し手続に関する法令の見直し、それから、特定公的給付の受領の意思確認を不要とすることなどもできるだけ早期に実現をしていただければと思います。

ちなみに、先ほど人材のリボルビングドアの話がありましたけれども、福岡市も、市役所を辞めて、スタートアップに就職をして、そして3年後に帰ってきた職員がとてもいい働きをしています。福岡市では、退職金の算定の期間を通算できる制度を導入しているので、安心して外に飛び出して行けるように後押しもしていると。実績も上がっています。地方でもこうした取組をしています。
以上です。

大串デジタル副大臣: ありがとうございます。
大変恐縮でございますが、終了時間が迫っておりまして、残りのご発言につきましては後日議事録に掲載いたしますので、発言内容を事務局までご連絡いただけますでしょうか。よろしくお願いいたします。

それでは、これまでの議論を踏まえまして、河野デジタル大臣からご発言をお願いいたします。

河野デジタル大臣: 構成員の皆様におかれましては、大変積極的なご発言をいただきましてありがとうございました。

約9,000条項のうち99%の見直し方針の確定、おかげさまでできるようになりました。残りの条項を含めた全てについて年末に見直しの工程表の確定をしっかりさせてまいりたいと思います。

また、先ほど申し上げました第1弾のテクノロジーマップ、技術カタログ、それから地方のアナログ規制の見直しマニュアルにつきましては、しっかりと地方自治体あるいは事業者の方々がより使いやすいツールとなるように更新をしていきたいと思っております。

また、健康保険証を廃止しまして、マイナンバーカードに一体化するなど、マイナンバーカードの利用促進とマイナンバーを用いた情報連携の拡大をしっかり進め、国・地方の手続のデジタル完結に向けた基盤としていきたいと思っております。

引き続き、アナログ規制の一掃を最大限加速化してまいりたいと思っておりますので、皆様のお力添えをどうぞよろしくお願いいたします。いろいろありがとうございます。

大串デジタル副大臣: ありがとうございます。
最後に、岸田総理から締めくくりのご発言をいただきたいと思います。総理、お願いいたします。

岸田内閣総理大臣: 本日もデジタル臨調にご協力いただきまして、誠にありがとうございます。
今回、アナログ規制9,000条項の見直し方針が確定できました。法改正も含めた2年間の改革の工程表の取りまとめ、規制改革に活用できるテクノロジーの整理を加速させます。

また、いわゆるデジタル法制局による新規法案の確認は、デジタル改革の要です。通常国会提出予定の法案についても、確認を徹底いたします。

国民の皆さんがデジタル改革の効果を実感するためには、地方公共団体におけるアナログ規制の点検・見直し、そして、規制のみならず行政サービスなども含めたデジタル化が不可欠です。意欲的な自治体の取組の徹底的な支援、国民や事業者から見て特に必要性が高い分野を中心に、国・地方の手続等のデジタル完結に向けた取組を進めてまいります。

これらの取組を政府一丸となって進めるため、河野大臣、岡田大臣、寺田大臣を筆頭に、関係閣僚が連携して進めてください。

あわせて、各府省は、今回、人事院や内閣人事局が示した民間人材の採用円滑化策を積極的に活用し、官民のリボルビングドアの実現などさらなる改革も進めてください。デジタル庁は、そのためのモデルとなるとともに、採用支援や組織文化づくりなど各府省をサポートし、改革を先導してください。
以上です。

大串デジタル副大臣: 以上をもちまして、本日の「デジタル臨時行政調査会」を終了いたします。本日はご多忙の中、ご参加いただき誠にありがとうございました。

※会議終了後、事務局に提出のあった「発言要旨」は以下のとおり。

【提出者:綱川構成員】
アナログ的規制の点検見直しの前倒しをはじめとする、この会議で議論してきた様々な課題について、これまでに無いスピード感でご対応いただき大変心強く感じています。関係者の皆様のご尽力に心より敬意を表したいと思います。

今日は、こうした取り組みをより実効性の高いものにするため、現場の視点から一つご提案させていただきます。

デジタル田園都市国家構想の推進により、地方自治体におけるデジタル実装の動きが急拡大しています。これ自体は大変歓迎していますが、その一方で、私ども現場の関係者の間では「カスタマイズ文化」を危惧する声が上がっております。デジタル技術の実装は、民間の場合、既に開発されている標準的な製品を、微調整のみで導入するのが一般的です。

例えば、弊社が提供しているAIを活用したチャットボットも、企業様から独自のカスタマイズのご要望を頂いたのは過去7年間で2回のみです。なぜなら、標準的な製品をカスタマイズすることは開発費用だけでなくメンテナンス費用もかさばることを皆様よく理解されているからです。服もオーダーメードは高くなるのと同じことです。

一方で、デジタル実装がようやく本格化した段階のため止むをえないところですが、地方自治体の方々には、まだこの点がよく理解されていません。まちづくりを進める上で地域の個性を磨くことは非常に重要ですが、ツールであるデジタル技術の個性を磨くことは避ける必要があります。

例えば、弊社のチャットポッドでも、同時に15言語の自動化対応を要請されたことがあります。様々なニーズに応えたいという熱意は本当に素晴らしいのですが、残念ながら、税金の使い方として必ずしも効率的とは言えないかもしれません。何より、特に私どものような小規模なスタートアップには、個々の自治体様からのカスタマイズの調整に時間を費やすマンパワーが不足しています。こうした事を申し上げることへのご批判も頂くかもしれませんが、リソースが潤沢な大企業では問題がないのかもしれませんが、各自治体バラバラの仕様のままでは、ベンチャーにとってせっかくの成長の機会が阻害されてしまいます。

今後の政府のデジタル施策の推進にあたっては、こうした地方自治体のカスタマイズ文化の転換を意識して進めていただけると有り難いところです。

例えば、テクノロジーマップの整理のプロセスで、こうしたカスタマイズ文化の弊害を積極的に情報発信していただいた上で、デジタル田園都市国家構想推進交付金等を効率的に運用する観点から、カスタマイズなしでのデジタル実装を、効率性の高さを踏まえ、優先採択する等の取組が考えられるのではないでしょうか。

また、デジタル庁でコアとなる部品をオープンソースで提供することにより、大幅なコスト縮減に繋がっていることが我々の間でも話題になっていますが、さらに、デジタル実装の事例で定型化しているものについては、標準製品に対応した仕様書集を作成して提供すると、自治体の方も対応しやすいのではないでしょうか。例えば、公共工事の分野では国の作成する標準仕様書が自治体でも広く利用されていると聞きます。同じように、デジタル庁が中心となってデジタル版全国共通仕様書を作成していただけないでしょうか。

改めて関係者の皆様のご尽力に深くお礼を申し上げるとともに、引き続きこのスピード感で進めていただくことを期待しております。

【提出者:十倉構成員】
このたび、アナログ的規制の点検・見直しの2年間への前倒しを決断された、岸田総理、河野大臣の強力なリーダーシップに厚く御礼申し上げます。2024年には紙を1枚もはさまない、デジタル完結した社会が実現していることを強く期待しております。そのためにも、アナログ規制の撤廃だけでなく、デジタル社会にふさわしい構造改革に引き続き取り組んでいただきたいと思います。

今後、国・地方のデジタル完結の取り組みを加速する上で、マイナンバーを起点とするデータ連携が極めて有効です。とりわけ給付金の支給が遅れたコロナ禍の記憶が生々しく共有されている今こそ、マイナンバーを活用したデータ連携を通じて、国・地方の行政手続きを効率化し、社会全体のDXを加速する、またとない好機です。

岸田総理、河野大臣におかれましては、ユーザーである国民がマイナンバー活用の利便性を実感できる取組を進めていただきますよう、よろしくお願い申し上げます。

以上