こどもに関する情報・データ連携 副大臣プロジェクトチーム(第5回)
概要
- 日時:令和4年(2022年)12月20日(火)11時00分から11時30分まで
- 場所:オンライン開催
- 議事次第:
- 開会
- 議事
- こどもに関する各種データの連携による支援実証事業の実証経過報告及び実証事業ガイドラインの改訂について
- 実証事業に関する令和4年度補正予算について
- 意見交換
- 閉会
会議動画
会議の様子はYouTube(デジタル庁公式チャンネル)にて公開しています。
資料
- 議事次第(PDF/58KB)
- 資料1:こどもに関する各種データの連携による支援実証事業の実証経過報告及び実証事業ガイドラインの改訂について(PDF/1,817KB)
- 資料2:潜在的に支援が必要なこどもをアウトリーチ支援につなげるための情報・データ連携に係る実証事業(令和4年度補正予算)(PDF/123KB)
- 議事概要(PDF/886KB)
参考資料
- 参考資料1:こどもに関する情報・データ連携 副大臣プロジェクトチームの開催について(一部改正)(PDF/122KB)
- 参考資料2:実証事業ガイドライン(こどもに関する各種データの連携にかかる留意点等)(PDF/2,427KB)
- 参考資料3:こどもに関する情報・データ連携に関するデジタル庁の予算について(PDF/153KB)
関連政策
議事概要
日時
令和4年(2022年)12月20日(火)11時00分から11時30分まで
場所
オンライン会議
出席者
- 大串正樹(デジタル副大臣)
- 和田義明(内閣府副大臣)
- 伊佐進一(厚生労働副大臣)
- 簗和生(文部科学副大臣)
- ほか関係省庁(デジタル庁、内閣官房、内閣府、個人情報保護委員会事務局、厚生労働省、文部科学省)の担当官
議事概要
(1)こどもに関する各種データの連携による支援実証事業の実証経過報告及び実証事業ガイドラインの改訂について
資料1に基づきデジタル庁より、実証事業の経過報告及び実証事業ガイドラインの改訂について以下のような説明があった。
- 改めて、副大臣プロジェクトチームでは教育、保育、福祉、医療等のデータを分野を超えて連携し、潜在的に支援の必要なこどもや家庭を見つけ出し、そのニーズに応じたプッシュ型(アウトリーチ型)の支援に活用できるよう進めてきたもの。
- 6月に論点整理を示したが、それ以降2点を進めている。1点目は実証事業の実施、2点目は6月に公表した実証事業ガイドラインについての改訂である。
- 1点目、実証事業については地方公共団体の教育、保育、福祉、医療等の情報を連携させて潜在的に支援が必要なこどもや家庭を見つけるためにデータ連携の手法を検証している。連携を通じて支援が必要な家庭が発見できた場合、プッシュ型(アウトリーチ型)の支援につなげていくもので、戸田市、昭島市、加賀市等の7団体で実証事業を進めているところ。
- 実証事業においてはいくつかの課題が上がってきている。主要な課題のうち、連携すべきデータ項目、改正個人情報保護法施行への対応をまず検討した。
- 1点目、連携すべきデータ項目については、潜在的に支援の必要なこどもや家庭をデータ連携で見つける場合に、どういったデータが必要かという課題。これについては実証事業で試行しており、ガイドラインの改訂の中で対応したいと考えている。
- 2点目は改正個人情報保護法施行への対応について。令和5年4月より改正個人情報保護法が施行されるため、新しい法令のもとで今まで実施している事業を継続するために、どのような対応が必要かということを、今回のガイドラインの改訂を踏まえ地方公共団体に対応していただきたいと考えている。
- そのほかにも適切な連携方式については、例えば学術研究で二次利用をする場合、どう対応をすべきかといったことがある。名寄せについてはデータ連携開始前に様々なシステムにおいて同一の個人をどう識別しているかという問題であり、作業が必要になる場合がある。またデータ欠損については利用したいデータの一部が収集できない問題や、分析のサンプルサイズについてはサンプルが小さく、なかなか分析が難しいという問題もあった。
- システムで担う機能の範囲についてはシステムによる判定結果をどのように表示し、どのように活用していくかという課題であり、事業効果の検証についてはデータ連携を行い、プッシュ型(アウトリーチ型)支援に繋げるにあたり、どのようにすれば効果検証ができるのか、一定の運用期間がないと検証を行えないのではないかといった課題がある。
- 先ほど申し上げたとおり、連携すべきデータ項目及び改正個人情報保護法施行への対応については本日お示ししたガイドラインの中で対応を考えており、それ以外の課題については令和5年3月までに改めてガイドラインの改訂を検討していることから、その中で対応してまいりたい。
- 現在実証事業を行い、ガイドラインを策定したところだが、令和5年度以降引き続き検討すべき課題については、令和5年度にこども家庭庁が新たに設立されることから、こども家庭庁のもとでデータ項目の更なる検証や、各種団体とのデータ連携等、さらに取組を進めていただきたいと考えている。
- ガイドラインの改訂については、6月に7団体で実証事業を開始するにあたり、留意すべき事項をガイドラインの第1版としてお出ししたところ。今回、12月においては「利用データ項目」の選定、個人情報の取扱い等、改正個人情報保護法への対応についてガイドラインを改訂しようと考えている。今後は先ほど申し上げた分析や業務手順に関わる部分について令和5年3月までに再度改訂を検討している。これによって、現在取り組んでいる7団体や実証事業によらずに同様の取組をされている自治体等においても、令和5年4月以降も事業を継続していただけるようにしたい。
- また令和5年度以降は、全国で展開するためのガイドライン策定も目指すこととしている。
- 先ほど申し上げた「利用データ項目」の選定についてはガイドライン第3章において、個人情報の取扱い等についてはガイドライン第5章に追記した。その他の項目については今後追記予定である。
- 「利用データ項目」の選定については、利用データ項目をどのように選定したのかについて調査をする必要がある。例として実証事業として取組を行った先行事例の結果や、学術論文等を元に選定する等して実施いただく。
- 続いて個人情報の取扱い等については、まず個人情報の利用目的を特定することが必要。新たに取得した個人情報については、利用目的を特定して活用すること、一方で既に取得している個人情報については、臨時的に利用する場合は目的外利用として相当な理由等を整理する必要があり、こうした内容についてガイドラインに記載している。
- 最後に、ガイドラインを踏まえ、実証事業や実証事業によらずに同様の取組をされている自治体においてどのような対応をしなければならないのかを改めて整理した。地方公共団体が対応・検討すべき主な事項として6点あげている。
① 個人情報の利用目的の特定として、特に新たに保有、利用する情報については利用目的を特定する必要があり、それを各自治体内において内部整理をしていただくということ。
② 個人情報の目的外利用の整理については、既に保有している個人情報については目的外としての整理が必要になるため、臨時的であること、相当の理由があること等について整理をしていただくということ。
③ 安全管理措置については、個人情報を扱う担当課室の特定等の組織的安全管理措置、研究の実施等の人的安全管理措置等を実施する必要があるということ。
④ 個人情報ファイル簿については、①②を踏まえた上で、個人情報ファイル簿を作成していただく必要があること。
⑤ 住民への周知については、利用目的の公表や住民説明の検討をする必要があること。
⑥ プライバシー保護等も含めたデータガバナンス体制の構築についても実施の必要があること。
等を整理した。上記のような対応を行うことで、引き続きの事業実施や新たに事業を実施いただけるということである。
(2)実証事業に関する令和4年度補正予算について
資料2に基づき内閣官房こども家庭庁設立準備室より、実証事業に関する令和4年度補正予算について説明があった
- 令和4年度補正予算として潜在的に支援が必要なこどもをアウトリーチ支援につなげるための情報・データ連携に係る実証事業として12億円を計上している。
- デジタル庁から説明があったが、令和5年度以降の課題としていくつか挙げられているものがある。例えば民間団体と市町村や都道府県との連携の検討やその場合の留意点についての整理等が今後必要になると考えている。
- 今デジタル庁を中心に関係府省庁が連携し行っている実証事業をさらに深化させ、見えてきた課題を受け継ぎつつ、さらに挙げたような民間団体との連携、また連携させたデータで早期発見されたこどもや家庭に具体的にどのような支援を届けるかという点も含め、補正予算を使用し実証事業を実施してまいりたい。
- ゆくゆくは全国展開が可能となるような材料集めや実証を実施し、本取組を発展させてまいりたい。
(3)意見交換
和田内閣府副大臣
- 令和4年度補正予算に計上した実証事業については、デジタル庁における取組を踏まえ、これをさらに充実させていけるよう取り組んでまいりたい。
- またこどもに関する各種データ連携事業においては現在、地方自治体において条例等に基づいてそれぞれ取り組んでいるところであり、令和5年4月以降は改正個人情報保護法に照らして取り組んでいくことになる。
- 地方自治体が改正個人情報保護法との関係でいわば既存不適格になり、これまでの取組ができなくなるようなことにならないよう、デジタル庁においては実証事業に参加する7団体以外の団体に対しても、早期に分かりやすく、必要な対応について説明をする機会を設けるなど、丁寧なご対応をいただきたいと思うところ、よろしくお願いいたしたい。
伊佐厚生労働副大臣
- 今般、実証事業等を通じ、検証を踏まえて実証事業ガイドラインの改訂を取りまとめられたデジタル庁の皆様に感謝と敬意を申し上げる。
- データ項目の考え方やデータ連携を実現するための個人情報の取扱いについてまとめられたということだが、今後の取組についても引き続き協力をしてまいりたい。
- 他方、厚生労働省としても支援が必要なこどもや家庭に必要な支援を届けていく取組が非常に重要と認識しており、最近の取組としては令和4年度第2次補正予算において、支援が手薄な0歳から2歳までの低年齢期に焦点を当てて、妊娠時から出産・子育てまで一貫した伴走型相談支援の充実を図るとともに、経済的支援を一体として実施する「出産・子育て応援交付金」を創設し、継続的に実施するとしたところ。
- 伴走型支援におけるデジタルの活用については、こども家庭庁設立準備室に設置されたこども政策DX推進チームにおいて検討が進められていくものと考えているが、厚生労働省としてもこの事業の円滑なスタートに努めるとともに同チームと連携して取り組んでまいりたい。
- また、児童虐待の発生時の対応体制の強化も重要な課題である。12月15日に策定した、児童相談所等の体制強化のための「新たな児童虐待防止対策体制総合強化プラン」に基づき、引き続き児童相談所で虐待対応にあたる職員である児童福祉司の増員等の体制強化に取り組んでいく。
- さらに、児童相談所における一時保護の判断にあたり、AIを活用した緊急性の判断に資するツールの開発を行っているところであり、デジタル技術を活用しながら児童虐待防止対策に取り組んでまいりたい。
- 今後のこども政策については来年4月よりこども家庭庁を司令塔として推進されるものと考えているが、厚生労働省においても引き続き連携協力し、こども政策に取り組んでまいりたい。
簗文部科学副大臣
- こどもに関する各種データの連携による支援実証事業ガイドラインの改訂に向け、副大臣プロジェクトチームでの議論を進めることができ、デジタル庁をはじめ関係府省庁の皆様に改めて感謝申し上げる。
- 支援が必要なこどもを早期に発見し、適切に支援ができるようにするためには、本実証事業を着実に実施し、検証された課題に関係府省庁が一体となって取り組むことが不可欠であると考えている。
- 文部科学省においてもプッシュ型の支援によって、一人ひとりにきめ細かな支援が行き届くような体制を地方公共団体において整備できるよう、第4回会議で取りまとめられた論点整理を受け、スクールソーシャルワーカー等の配置充実に向けた取り組みを進めているところ。
- さらにこどもに関する情報・データ連携について、教育の分野での取り組みを推進するため、引き続き教育データの標準化を進めていく。
- また、議題となったこどもに関する各種データの連携による支援実証事業ガイドラインに関連するが、文部科学省においても教育委員会や学校が安心してデータを活用できるようにするための個人情報等の留意点について、年度内に教育委員会や学校等に対してお示しができるよう作業を進めているところ。
- 引き続き関係府省庁と連携してこども基本法の理念が確実に実現できるよう、全力を尽くしてまいりたい。
大串デジタル副大臣
- この副大臣プロジェクトチームが6月に取りまとめた論点整理を踏まえ、7団体において実証事業を行っているが、本日はその進捗状況をご報告させていただいた。
- また、この実証事業を進める中で、共通して見出された課題や留意事項を実証事業ガイドラインの改訂版に盛り込んだところ。
- 既に皆様ご承知とは思うが、懸念払拭のため改めて繰り返すと、副大臣プロジェクトチームにて議論しているこどものデータ連携の取組は、国による一元管理をするものではなく、あくまで自治体内の部局間でのデータ連携を行う取組である。
- また、データ連携にあたって、個人情報の適正な取扱いを確保することは大前提であり、今回改訂したガイドラインは令和5年4月に全面施行される改正個人情報保護法に沿ったものでもある。
- この認識のもと、実証事業団体や、先行して取り組んでいただいている自治体などが安全安心に取り組めるよう、今後も必要に応じてガイドラインを更新していくとともに周知等も行ってまいりたい。
- 支援が必要なこどもや家庭に適切な支援が行き渡る社会を実現するため、引き続き関係府省庁が連携しながら取組を進められるよう御協力をお願い申し上げたい。
以上