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デジタル田園都市国家構想実現に向けた地域幸福度(Well-Being)指標の活用促進に関する検討会(第5回)

概要

  • 日時:2024年3月25日(月)14時00分から16時00分まで
  • 場所:オンライン開催
  • 議事次第:
    1. 開会
    2. 議事
      1. 地方公共団体における地域幸福度(Well-Being)指標の取組状況
        • 兵庫県加古川市
      2. 地域幸福度(Well-Being)指標の活用と分析について
        1-1. 地域幸福度(Well-Being)指標 OASIS研修1Day研修・キャラバン等
        1-2. 地域幸福度(Well-Being)指標 主観指標と客観指標の相関分析
        2-1. 地方公共団体における地域幸福度(Well-Being)指標活用推進について
      3. リファレンスロジックツリーについて
    3. 意見交換

資料

参考資料

議事録

司会(名倉): それでは定刻になりましたので、只今より、第5回デジタル田園都市国家構想実現に向けた地域幸福度指標の活用促進に関する検討会を開催いたします。どうぞよろしくお願いいたします。

本日、採択団体の皆様も傍聴頂いておりますが、発表者以外の採択団体の皆様は、傍聴のみとなりますので、音声が入らないようにご注意をお願いいたします。発表団体の自治体の皆様は、カメラとマイクをオフにして頂きますようお願いいたします。

はい、それではですね、只今より始めますが、統括官の村上の方が今離席しておりますので、挨拶の方は割愛させて頂きまして、早速ではございますが、これより議事進行の方をですね、座長であります慶應義塾大学の前野先生にお願いしたいと思います。前野様、よろしくお願いいたします。

前野座長: はい、ご紹介頂きました慶應義塾大学の前野です。

今日は、地方自治体からの発表、それから指標についての発表がありますので、よろしくお願いいたします。時間は16時までですね。

それでは早速ですが、「地方公共団体における地域幸福度(Well-Being)指標の取組状況」と題しまして、兵庫県の加古川市様から発表いただけますでしょうか。

加古川市: はい、それでは資料のほう共有させていただきます。しばらくお待ちください。

(p.1)それでは早速ですけれども、加古川市におけるWell-Beingの向上を目指す取組ということで、加古川市政策企画課の藤田よりご紹介・ご説明をさせていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

(p.2)令和4年の12月にも、当時の取組についてということで、ご紹介をさせていただいたようですので、本日につきましては、それ以降からこれまでの取組と、これからの取組に分けて、ご説明をさせていただきたいと思います。

(p.3)こちらのスライドは本市の簡単な紹介となりますので、また後ほどご覧いただければ幸いです。

(p.4)はい、こちらは加古川市の総合計画の表紙と写真となっております。そもそも我々加古川市のほうでLWC指標導入の取組を進めてきた理由についてなんですけれども、加古川市の令和3年度から8年度までの総合計画におきまして、将来の都市像を「幸せを実感できるまち」と掲げております。そういったことから、市民の幸福感の向上に取り組むときに、定性的な幸福度の達成度合いをどのように測定していくのかということが課題となっておりました。

(p.5)幸福を構成する要素というものは様々で、公共が関与できる要素が、どれだけ幸福に影響するのかを測定できるLWC指標のお話を伺い、本市が目指すまちづくり、そして施策展開の手法として、必要性を感じ、導入に至ったというのがきっかけとなっております。

(p.6)ここからがWell-Being向上に向けた取組となりますが、まず取組の一つ目としまして、市役所全体の理解の促進・共通認識を図ることが必要と考えました。

そこで、令和5年の2月に、南雲様にもご協力いただきまして、基礎的な内容を含めた研修を市長・副市長を含め、部次長や課長など、幹部職員約80名に対して実施をいたしました。これは、まず経営層が理解を深めていくことが必要であるという考えから行ったものであります。この研修会の実施によりまして、本市の姿勢を改めて共有する場になったものと考えておりますし、以降の取組についても、比較的にスムーズに理解を得て進めていけたためと感じております。

(p.7)次に取組の二つ目といたしまして、地域幸福度調査の結果を施策立案につなげるステップとして、より実務レベルの手法を習得するために、今年度からスマートシティ・インスティテュート様が展開されておりますOASIS研修を実施したところです。

受講者につきましては、次のスライドで示しておりますが、幸福度等と結びつきが強いとされた施策・分野を所管する部署から、施策立案の決定権のある課長を指名して実施をいたしました。

研修ではスマートシティ・インスティテュート様が公表されているオープンデータをもとに、グループディスカッションをしながら、施策立案を検討する様々なステージをさらに深めて、学ぶことが出来たと感じております。

(p.8)三つ目の取組ですが、令和4年度は毎年度実施しております市民意識調査に、地域幸福度の項目を加えて調査をいたしました。そして、幸福と関係の深い分野を確認するために、市民意識調査で測定しております各施策の満足度と幸福度の相関分析を試みました。その結果、幸福度と関係のある分野・生活の満足度と関係のある分野をスライドのとおり、分類することが出来ました。一つ前のスライドのOASIS研修の受講生の選定につきましては、この結果から行ったものです。

(p.9)また、令和5年度にバージョンアップされたスマートシティ・インスティテュート様の分析ツールからは、市民の幸福感と相関のある分野を確認しました。この結果は、令和6年度の施政方針の中で市長が明言をしております。施政方針の抜粋をスライドに表しております。

この中で一例を挙げますと、本市では、音楽のまちを掲げまして、取組を強化しようとしていた中で、効果がなかなか見えにくい分野でありますので、文化・芸術と幸福感との相関を確認出来たということは、取組を裏づける結果となりました。

3月議会の会派代表質問においても、Well-Beingの向上に向けた取組が議論されるなど、対外的にも注目されてきております。

(p.10)最後のスライドにつきましては、これからの取組についてでございます。

まず一つ目としましては、令和6年度に二回目のOASIS研修の実施を予定しております。今年度の一回目は決定権のある課長級を対象といたしましたが、二回目は施策立案の中心を担う係長級を対象にすることを現在考えているところです。

研修受講者を増やすことで、施策立案における様々なステージでの議論を高いレベルで均衡化していく、ということが重要と考えて、こういった取組を進めていきたいと考えております。

次に、本市では、現在の前の総合計画の初年度となります平成28年度から毎年度、市民意識調査を実施してまいりました。令和4年・5年度の2年間につきましては、従来の市民意識調査に、Well-Being関連の設問を追加しまして、一体で調査を行ってきました。

ただ、令和6年度につきましては別々に実施していくことを考えております。これはそれぞれ単独の調査とすることで、より精緻な調査結果を得るためということと、それぞれの調査目的を明確にしたいという考えからです。市民意識調査は総合計画の進行管理として、総合的なまちづくりのために、地域幸福度調査はより市民一人一人にスポットを当てた施策立案のために、として位置づけまして、それぞれの結果を活用していきたいと考えております。この目的の明確化を受けまして、地域幸福度調査は夏ごろに実施しまして、その調査結果を次年度の予算に反映できる仕組みを構築していきたいと考えております。

最後に、スライドでは、「調査分析結果を活用した仕組を構築」と記載しておりますが、我々の施策立案における運営の仕組としまして、施策展開プランという仕組を持っておりますが、その中にOASIS研修のプロセスをどのように溶け込ましていくかが課題であると考えております。例えば、各施策が抱える大きな課題に介入すべき事業の立案に限りまして、集中的にOASIS研修のプロセスを活用するというようなこと等、効率的に効果を出せる手法を検討していきたいと考えております。そういった仕組として構築する前にまずは、現状の施策展開プランにおける議論を高いレベルに均衡化することを目指していきたいと考えております。

少し早口でしたが、加古川市の取組につきまして説明を終わらせていただきます。

どうもありがとうございました。

前野座長: はい、ご清聴どうもありがとう、ご発表どうもありがとうございました。
はい、ご質問などございますか。

この後内容も盛りだくさんなんで、もしよろしければ、また後でもご質問を受けることにして、次いきましょうか。

次は、「地域幸福度(Well-Being)指標OASIS研修1Day研修・キャラバン等」。この次もですかね、これ南雲さんと井上さんでしたっけ。

司会(名倉): (1)が南雲先生になります。

前野座長: では、一つ目、南雲先生よろしくお願いします。

南雲委員: はい、承知いたしました。では始めたいと思います。

(資料3ー1p.2)まずですね、一本目、研修関連ということです。これ前回の検討会で提言した最後のページなんですけれども、政策立案能力を高めるために、研修とか、それから各自治体独自のですね、いわゆるセカンドレイヤーと言われるような、地域固有のアンケート項目とかKPIをつくっていくということ、それから民間のより積極的な参加というのがキーになるだろう、ということでご提言を申し上げた次第です。そこからどうなってきているかということをお話したいと思います。

(p.3)この図を見ていただきますと、これ三軸、立方体だと思っていただければいいと思いますけども、①ローカル指導者の育成、これが今、加古川市のご発表もありましたけれども、高みに当たるところですね。それから②、横方向が、広がりにあたるところ、色んな人に参加していただくと。③が深見、奥行きと言ってもいいかなと思いますけども、ローカル固有のものをちゃんとキャプチャーできるようにすることと。この質と量と、両方とも成長をするためにということで、いろいろと取組を進めてきているということです。

(p.4)OASIS研修、去年の5月から実はスタートしているのですけども、今日現在で、OASIS研修の修了者が100名というところまで来ています。受講者は、自治体と民間企業です。現在進行中のところ、それから先ほど加古川市のように二回目に入るところ、これからやるところというところで、今年の12月までに、私一人でやった場合でも200名を超える人数が卒業すると思います。で、OASISの卒業生はもう先生をやれる能力を持っているところに至っているので、実際に、本当にやられる方が何人出てくるかどうかは別にして、先生が増えるとこのカーブが、もっと高くなっていくことで、200人どころか、300人とか400人という人数にいくかなと思います。いずれにしても、研修は6ヶ月かかるので、階段状に上がっていく形になります。

(p.5)どんなものが最終的に市長宛に発表されるのかというイメージをお伝えしようと思います。直近終わった、東広島市でいうと、こういう形ですね。20ページぐらい作る中の4ページぐらい持ってきていますけども、ロジックツリーで分解をした後に、内閣府で求められているロジックモデルを書き上げていくと。これに表れていませんけど、インパクトがどこまで出るかを測っています。これは、事例でいうと、転居してきた専業主婦という事例ですね。女性の活躍の場が意外となかったというところを、もっと力を入れたいという、自治体の政策の提案という形で、面白いのは、右下のアンケートフォームを見ていただくと、「母親(妻)は幸せだと思いますか」という質問があったりとかですね、KPIでは「母親が幸せそうだと思う子どもの割合」とか、「妻が幸せそうだと思う夫の割合」ですね、妻が自己実現するために何ができるのという点に重きを置いて、非常にヒットしていた提案でした。

(p.6)その次が鎌倉市ですけども、ここも子育ての女性というところにヒートが当たったものですけども、様々な時間創出のための施策を打っていこうというのが、ロジックモデルのアクティビティのところに出ています。お金の使い方を変えていくということで、子育ての世代に厚く支援を受けた人は、恩返しという形で、次の世代にまた戻ってきて、歳をとってからでもその地域のためにいろいろと貢献してくれるだろうということで、これマズローの図が出ていますけど、一番上の自己超越っていうところまで行って、もう1回ぐるっと帰ってくるっていうんですね。これ、内田先生がいらっしゃったら、本当は今日見ていただきたかったんですけれども、幸せが循環するっていうモデルを自ら言葉にされたという、こんなアイデアが出てきています。

(p.7)その他ですね、一日だけの研修も色々やっていまして、これは1DAYセミナーと言い、これはデジタル庁さんが主催で、私も一緒にやらせていただいたものです。浜松、横浜、会津若松、それから兵庫県の神戸市でやったものです。参加者の97%が非常に役に立ったという結論が出ているということで、導入としては非常にインパクトがあったかなと思っています。

(p.8)続いて、ちょっと似ていますけど、キャラバンと言われているものがあります。先ほどの1DAYは、一か所に様々な自治体の人が集まるというタイプのうち研修でしたけども、キャラバンは、一つの自治体で、その市の市民や企業が集まるという地域に特化した形の丸一日研修です。小田原、前橋、それから別府、東広島で、これは地元主催という形でやってきました。公共政策だけじゃなくて、ビジネスをどうやってつくったらいいのかというような観点も含めて非常に盛り上がりのあった、腹落ち感の醸成には役に立った研修でした。

(p.9)その他、いろんな1DAYものがありましてですね。これ代表的なものだけ出していますけども、アジア・スマートシティー会議、これは横浜市主催のスマートシティ会議ですけども、若年層の幸福度が低いというところに着眼をして、横浜市立大学の医学部の先生やベネッセの方と幸福度を上げていく議論をやった。

それからデッカイギですね、これは行政職員向けの、比較的デジタルガバメント側の議論ですけど、ここでは、OASISの卒業生が自律的にボランティアでワークショップをやられました。

それから日本ガス協会さん、人口減少しているという中で、ガス業界としても地域と共存していくためにどうやったらいいのかということを考える場ということで、富山県知事と一緒に、お話をさせていただきましたけども、地域のWell-Beingがテーマでした。

最後は産総研さんということで、団地のコミュニティ再生というのをWell-Beingの観点から何をすべきなのかということを考えていくというものです。
(p.10)三番目の深みですけども、前橋市は独自のアンケートとして、時間貧困、特に女性の時間がないというところにヒートを当てた、追加のアンケートをとっています。これは公開していますので、お時間があるときにダッシュボードで見ていただければと思います。横浜市は若年層、鎌倉市は循環社会とサーキュラーエコノミーということで、テーマ別で追加設問をやっています。こういう試みが積み上がっていくと、様々なまちの特性を捉えるというところに視座が上がっていくのかなと思います。

(p.11)そのあとですね、アウトプット、アウトカムまでいきませんけれども、加古川市は、年次施策の具体化という事例でしたが、浜松市では基本計画、10年ものの事例が出てきました。

(p.12)それから会津若松でいうと、まち・ひと・しごと創生総合戦略ということで、これは4年ものですね、の中にこの地域幸福度指標が使われるところに来ているということです。

(p.13)OASIS研修も今までいろいろやってきましたけども、もう一段上のレベルをつくって欲しいというご依頼をいただいていまして、マスターレベルのものを始めました。それから、業界を変えて、民間企業へのビジネス、それから市民向けシビックというものを来年度は導入していくという形でやっています。ビジネスに関して言うと、鎌倉市を中心とした官民研究会で一応PoCが終わったという段階なので、これから展開モードに入っているというところに来ています。

(p.14)はい、これがひとつ目の資料は終わりです。

(資料3―2p.1)ふたつ目は、主観と客観指標がどのくらい相関があるのだろうかいうテーマでですね。

(p.2)これは第三回の検討会のときに話題になったもので、意外と相関はないという数字を出してしまったものですから、ちょっと皆さんを心配させてしまったので、今回は少しディープダイブをやっています。

結果からいうと、120のKPIのうちの73%に、相関性、相関係数0.4以上が何らかの形で確認が出来ています。残りの27%はどういう状況なのかということについてもご説明したいと思います。

(p.3)前回、第三回でお見せしたのはこれですね。左側を見ていただきますと、横軸に24のカテゴリーの平均値、縦軸に主観の24の平均値という形で、主観と客観のそれぞれ平均同士を都市ごとに突合させて、散布図をとって相関を計ってみたら0.3だったと。右側は都道府県で0.4だった、ということで、意外とないんじゃないのか、ということでした。

(p.4)今回は、都道府県ではなく、市区町村レベルというより細かいレベルで、カテゴリーごとに見ていった場合ですが、このような形になりました。移動・交通は0.9相関係数があって、それがずっと右側に向けて相関係数が下がっていくわけですけども、大体デジタル生活ぐらいのとこまで0.4以上にあるという形になります。これは、今のKPIそのものを突合したときにこれだけの相関があるということですね。

(p.5)このベン図でいうと、ベン図の左側にあります43KPI、36%ということです。残りはセグメント分けをすると、セグメントごとに相関がとれるケースがあるということで、年齢・性別・地方ブロックでとってみたときに出てくるものを合わせると、73%に相関がとれていると。残り23は相関性がほぼないということですけども、この説明をしたいと思います。

(p.6)まず、このロジックツリーの右側を見ていただくと、8つのKPIはいかなる測り方、言い方を変えると政策介入をやってもあまり反応しないということが分かってきました。人口密度系と1施設あたりの生徒数系ですね。これを除いた、120のKPIで見た場合に、左側のツリーですね、全人口単位体そのものでぴたっと相関がとれるものと、セグメントで割ったもので相関がとれるのとが見えてきます。

それ以外のものは、潜在的に相関があるのですが、今のKPIと質問の組合せだとうまくいかないという類いのですね。例えば、自己効力感。

(p.5)先ほどの図で見ていただくと、一番右側になっていますけども、自分が何かできるんじゃないかという主観の設問に対して、客観は投票率なのですね。これ内田先生と悩んで、今これしかないという形で、この組合せにしていますけども、日本においては、この組み合わせは必ずしもあまり機能的ではないといわざるを得ないようです。

(p.6)それから、そのすぐ右に相関性に関わらず重要、いわゆる災害や犯罪というものは、しょっちゅう起こるものではないので、政策的には極めて重要だけれども、人の短期的な認知からは落ちこぼれてしまう、このようなものがあるっていうことが分かってきました。

赤く点で囲んだものについては、これからも使い続けていくことが重要かなというふうに思っています。

(p.7)より細かくしたものはこんな形であります。ちょっと見にくいので、後でお時間があるときにじっくり見ていただければと思いますけども。例えば左を見ていただきますと、医療・福祉の分野の縦軸方向に「医療が充実していると思いますか」というクエスチョン、横軸方向に客観のKPIと。この中で色がついて「現」って書いてあるのは、今までのKPIで全人口レベルで相関が0.4以上あったと。

その次、人口あたり国民健康保険者医療費は「地」と書いてありますが、これは地域レベルでは相関係数が0.4点以上あったという意味です。すぐ右の隣見ていただきますと、福祉施設徒歩圏人口カバー率、これはオレンジ色で、「年」と「地」と書いてますけど、これは年齢セグメントと地域ブロックセグメントの二つで相関があったという形ですね。

(p.8)こうやって見ていくとですね、相関があるものないもの色々あるわけですけども、
(p.9)意外と、この自然関連ので言うと、これは前、広尾先生がですね、ご指摘されたものですけども、自然景観指数、それから「自慢できる自然景観がある」というのには、必ずしも相関がとれない、いわゆるバイアスに落ちてしまうんですね。

それから真ん中の一番下の事故、それから右下のところの犯罪、これなんかもそういうとこに落っこちてしまうという形です。太田直樹先生に、非常に重要な指標としてご指摘頂いた、景観資本も、なかなか認知されないとの戦いが残っているというふうに思います。

(p.10)こんな形ですね。ちょっと見ていっていただければと思いますけども。

(p.12)少しセグメントの例だけご説明して、終わりたいと思います。

年代、年齢別セグメントですね、地域との関係が重視されるセグメントは、年齢セグメントどこなんだろうと。今までは、比較的古くからその土地住んでいる、居住年数20年以上というところがですね、町にいろんな愛着があったりですね、コミュニティ活動に参加する率が高いというふうに認識しておりましたけども、意外と30代40代が非常に反応してるということで、子育て世代は地域とのつながりに非常に意義を感じているっていうのが、データから新しく出てきた面白い点かなと思います。

(p.13)それから地域ブロックで見てみると、雇用関係でいうと、関東とそれから四国は、非常に反応が出てくると、後は出にくいというところで、地域特性が出ているので、これは深く調べてみないと分かりませんけども、何らかの意味合いが、後ろにあるんだろうというふうに思います。

(p.14)その他ですね、一番上well-beingの総合指標と主観との関係も同じように、24のカテゴリー別に相関係数の高いのから並べてみると、こんなのになるっていう参考資料ですけども、これが幸福度ですね、あなたは0から10の尺度でどのぐらい幸せですかというところとの関係。

(p.15)それから生活満足度というと、こういう感じ。やっぱり生活満足度の方が相関が高いですね。

(p.16)それから内田先生の協調的幸福も比較的、生活満足度と近い形で、こんなのが出てるという形になってきています。

(p.2)あとは、アタッチメントなので、見ておいていただければと思いますが、最終的な結論のとこですけども、このサマリーページの一番下のブレットポイントを見ていただくと、今、50問という設問数、それでも多いと言う方もいらっしゃるので、これをより増やしにくいというのは難しいということかと思います。

それから客観のKPIは、デジタル庁さんにご協力いただきまして、全省庁集まって、もうこれ以上ないんじゃないかというところまで知恵を出したというプロセスを経てますけども、そういう二つの組合せでできたものが現状の指標群ですね。これは、相関性に関するこの地域幸福度(Well-Being)指標の製品性能と考えるのが妥当かなと思います。

このような分析を踏まえると、いろいろな形で、データには主観客観の間で補完があるんだということと、地域特性とかコンテキストをやっぱり理解しないと、データの意味が読み取れないということがわかってきます。その意味でいうと、現場の実践力を開発しながら、うまくデータを使える知恵を現場で持つというところが非常に大切かなというような結論を持っています。

私からは以上でございます。ありがとうございました。

前野座長: はい、ありがとうございました。

それでは引き続きまして、②ですね。地方公共団体が、まあここに出ているものですね。お願いします。

鈴木(デジタル庁): デジタル庁でございます。

それでは資料に基づきまして、説明させていただきます。指標の活用推進についてでございます。

(p.2)まず、前回の振り返りになりますけれども、前回、指標の認知度の向上について、ワークショップの展開に加えて、認知度の把握・フォローが必要ではないかということで、委員の先生方からご意見頂戴したところでございます。

またロジックツリーについて、大きく3点、ご意見頂戴したと認識しております。一つ目が、投入型の施策からマネジメント型の施策への転換が幸福感を高めるところに繋がるといった可能性があるのではないかというところです。そういった実施方法の転換につながるロジックツリーにしていくためには、まずは自治体主導で作成していくということが良いだろうが、その後、産官学の連携につなげていくためにも、発信も必要であろうというところが1点目。

2点目でございますが、最終インパクトの部分の進化がポイントになると、ファイナンスにも、ファイナンスをつなげていくためには、普及に好事例をしっかりと生み出して、発信していくことが重要というのが2点目。

3点目でございますが、自治体での活用を進めていくためには、伴走していく体制が必要だろうと、こういった3点頂いたと認識しております。
これを踏まえまして本日ご説明をさせていただきますが、それ以外にも今回の論点といたしましては、ワークショップの実施支援であるとか、指標を扱える人材の育成、複数団体に跨るエリアへの対応であるとか、提供データの改善、このあたりのご意見も頂戴できれば幸いです。

(p.3)都道府県別のWell-Being指標活用団体の数字でございますけれども、3月21日現在で、全体で76団体の活用を把握出来ているところでございます。これ以外にもあるのかもしれませんが、今、数字としては、こういったところでございます。一番最多が、静岡県の6件となっております。

(p.4)指標の活用状況の調査を行いました、その結果について概要をご説明させていただきます。これは前回いただきました認知度と普及の部分の点でございます。

先ほど申し上げたとおり、自治体での活用は76団体でございますが、まだ76団体に留まっている状況と認識しております。指標の円滑な活用の支援、及び全地方自治体へ指標活用を推進をするためには、サイトのサービスについて改善が必要という認識がございまして、調査研究を行いました。

その際、デジ田交付金の採択団体、タイプⅠとタイプX(マイナンバーカード利用横展開事例創出型)の団体に調査をいたしましたが、それでも認知度が低かったこと、また、業務負担等が参入障壁となっていることが明らかとなりました。

まず、認知度につきましては、アンケート対象者全899団体に調査をいたしましたが、回答数584団体から頂戴しており、グラフの左下でございますが、デジ田交付金の採択団体でも、認知については50%を切っているというような状況でございました。

隣の円グラフでございますが、デジタル庁がお示ししている、この結果を、全国調査の結果を見たことがないという団体が、更に減って、デジ田交付金の採択を受けていても、指標の確認をしたことがないという状況だということが、この調査で分かったところでございます。

普及についてでございますが、右ページの棒グラフをご覧いただければと思いますが、地域幸福度(Well-Being)指標の調査結果を活用した取組を実施していない(検討していない)理由といたしまして、「活用方法が分からない」ということに加えまして、「活用したいが、通常業務が忙しくて手が回らない」が111件、「調査や分析に係る費用が確保できない」79件ということでした。

一部の団体からヒアリングをしたところ、やはりアンケートの配布や集計・分析によって、一定程度の事務負担があるということと、外部委託による費用発生が負担であると。また、住民側の問題として、問いの数を、160問から50問に減らしているものの、まだこれでも設問数が多いということで、回答する市民にとって負担が大きいということでございます。

その他といたしまして、幸福度指標が、調査活用について、まだ現段階では、知見が蓄積される段階というふうに考えている、という回答もあり、いわゆる様子見をしている団体も多いのかなというところが調査から分かったところでございます。

(p.5)これを踏まえまして、地域幸福度(Well-Being)指標サイトの充実化を図りたいと考えております。

自治体が指標を計測するために、今後公開するサイトに、アンケートの機能を追加いたしまして、令和6年秋ごろを目途にリリースをしたいと考えております。アンケート機能では、情報のセキュリティや適切な権限管理を行いまして、安心安全な仕組みのもと、アンケートを実施することにより、自治体や回答する住民の負担軽減、また一人一票の真正性・公平性の実現を目指したいと考えております。

Well-being指標の主観アンケートになりますので、50問、5件法と11件法が混じっている形になりますが、こちらのアンケートをサイト上からとれるような形にしたいと考えております。どの団体でも共通の部分については、アンケート機能を共通サービスとして提供することによりまして、負担軽減を図りたいと考えております。

具体的に、自治体の皆様にお聞きをしますと、取り回しが容易なウェブ調査を実施したいのだけれども、ウェブ調査にする設問数が多いと、回収率が低下するであるとか、郵送調査だと、データのパンチ作業の工数が多く非常に負担である。ウェブの場合は、回収率を上げるためにインセンティブをどのようにするのがいいのか、というようなお悩みもあると聞いております。

また、多くの自治体が、郵送とウェブを併用してアンケートを実施しているという状況でございますけれども、この場合、重複回答のリスクを排除する仕組みに苦慮しているところもあり、今回このシステムをつくることにより、なるべく重複回答が防げるような、匿名性を担保した形で、アンケートを一人一票にできるような形で進めて参りたいと考えております。

主な機能といたしましては、自治体向けにはアンケートの作成機能、また独自設問が設定できるようなカスタマイズ機能、またアンケートの配布・管理・回答状況の管理、アンケート結果のダウンロード・アップロード等ができるような機能を考えております。回答者の皆様に向けては、アンケートの回答、また50問と質問が多いということで、一時状態保存できるような形にしたいと考えております。

またデジタル認証アプリを活用した本人確認をして、こちらについては属性情報のみ保持する形として匿名性を担保して、一人一票の真正性を確保すると考えております。

画面の右側でございますが、UI・UXのイメージですが、利用者の皆様の様々な利用環境を考慮しまして、マルチデバイス対応にしていきたいと思います。

図にかいてあるとおり、簡単な分析も表示できるような形で自治体の皆様の補助になればと考えているところです。

スケジュールでございますが、左下にあるとおり、夏頃にβ版を公開いたしまして、幾つかの団体様にご協力いただきながらテストをして、10月頃に本格的にリリースをして参りたいと考えております。

詳細は公開前に、改めてご説明のほうをさせていただきたいと考えています。

(p.6)続きまして、活用促進・認知度向上に向けた取組でございますが、更なる活用推進と認知度向上に向けて、令和6年度の取組を進めて参りたいと考えております。

標準アンケート50問につきましては、令和6年度も、全国アンケート調査を実施いたします。

また、自治体の職員を対象としたオンラインのワークショップ、自治体の指標活用を実地で支援・指導するためのファシリテーターの育成と派遣体制の構築もして参ります。

また、この後の議題になりますが、リファレンスロジックツリー(案)を作成し、ロジックツリーの活用ガイドラインの公開も進めて参ります。

本年度から行っております自治体の皆様からの相談窓口の運営も引き続き行いまして、こちらにつきましては、デジ田交付金の採択の有無にかかわらず、どなたからもお問合せ対応して参りたいと考えております。

具体的にファシリテーターの育成・派遣事業でございますが、こちらは養成講座を開催した後、派遣するための派遣制度も構築して、各団体の要望に、今まで南雲先生がお一人で回っていただいておりましたが、多くのファシリテーターを育成して、各地で活躍していただければと考えております。

また活用の好事例の紹介ということで、なかなかユースケースがないと様子を見ている団体も多い中、新たに構築するサイトに、活用方法を多く載せることで、活用方法が分からない団体や検討している団体にも情報提供して参りたいと考えております。

(p.9)今、話の中に出て参りましたが、指標の新サイトを3月29日にオープンする予定でございます。

また、デジタル庁のウェブサイトでございますが、これまで地域幸福度(Well-Being)指標については、デジタル田園都市国家構想国家構想のページに入っておりましたが、情報も増えてまいりましたので、別ページとして設定しております。またお時間あるときにご覧いただければと思います。

私からの説明は以上でございます。

前野座長: はい、ありがとうございました。

それではこの(2)について、ご質問はございますでしょうか。ありましたら、お願いいたします。

関委員: 関です。よろしいでしょうか。

前野座長: はい、お願いします。

関委員: ありがとうございます。

SaaSでアンケートシステム提供するっていうのは、非常にデジタル庁らしいアプローチで、いいなと思ったんですけど、技術的に一人一票の仕組みをどうやってつくるのかっていうところに、ちょっと本題とちょっとずれてしまうかもしれないですけど、非常に興味があります。

あと、もう1個、そのファシリテーター育成派遣っていうのはやるべきだなと思うんですけど、結構、実際に自治体職員を育成して、他の自治体を手伝えるようにしていくようなイメージなのか、それともファシリテーターというのは、民間の人もやれたりするのか、その辺の、どういう人がやるのかっていうイメージがお伺いできると思いました。

前野座長: はい、ご回答お願いします。

鈴木(デジタル庁): デジタル庁でございます。

まず技術的な部分でございますが、今まだデジタル認証署名アプリ班と対応のほうをどのようにするべきかというところ、後は個人情報保護担当とも、その辺り詰めておりますので、明確なところをこの場で申し上げられないのですが、また、そういった技術的な部分をクリアして、一人一票の真正性を保つ形を検討して参りたいと考えております。

ファシリテーターの育成・派遣については、公の方だけでなく、民間の皆様にもご参加いただいて、ぜひ裾野を広げていければと考えております。

以上でございます。

関委員: ありがとうございます。

結構、その自治体職員が他の自治体のサポートをするって、最近窓口DXなんかでやっていますけど、結構、そもそも他の自治体の面倒を何でみるんだみたいなところがあって、なかなか時間をつくるのが難しいっていうところもあったりするので、うまく外に出られるようにするその仕組みの部分もぜひ考えていただければ。

後、このオンラインだけに絞ってしまうと、多分、そのバイアスが気になるところかなと思うんですけれども。そういうツールにアクセス出来ない人の回答は得られないじゃないかという反応が来そうな気もするんですけれども、そこはどうお考えでしょうか。

鈴木(デジタル庁): はい、ありがとうございます。

実際に自治体でも、現在郵送とウェブを併用しているところも多いので、IDを振り出すなりして、両方ができるような形でシステムからアンケート票も印刷できるような形で進めて参りたいと考えております。

関委員: 印刷にも対応するということですね。

鈴木(デジタル庁): はい。

関委員: はい、ありがとうございます。

前野座長: はい、ありがとうございます。

他にはご質問・ご意見などございますでしょうか。

小泉委員: 今の件じゃなくて、その前の南雲さんのご説明でもいいんですか。

前野座長: はい、もちろんです。

小泉委員: はい、ありがとうございます。

分析をし直したら、だいぶ先が見えてきたって、すごく良かったなというふうに思っております。それで、この統計分析をやる、続けていくとですね、要は客観指標のところから、主観的幸福感のところまでの繋がり、若しくは、客観指標で、若しくは、主観的幸福感を説明するっていうことにチャレンジしてみてもいいのではないかと、ちょっと思うのですが、それはやられていますかね。

南雲委員: 客観から直接、あなたはどのくらい幸福ですかという、一番上位のものを説明してみようという試みですよね。

小泉委員: そうそうそうそう。

南雲委員: これ一回やったんですけど、そんなに相関性がでないんですね。これは、前野先生も同じ経験を確かされていらっしゃって、それでやっぱり主観を一回因子に分けてから客観と組み合わせたほうが分かりやすいのではないかというトライを、今までやったっていうところなんです。

小泉委員: 分かりました。

であれば、あれなんで。ただ、これ私も同じような研究を他のところでやったのですが、やっぱり今までの政策指標としてのインプットから、こう、若しくは、政策的なツールとしてインプットできるものから出てくる具体的なアウトプットですよね、それが恐らく、客観指標の多くに入ってるんだと思うんですよね。それだと、もしかするとですね、いわゆる幸福感のような、人々の本当の生活からにじみ出てくるような部分をちゃんと評価出来ないのかもしれないっていうふうにもちょっと思ってるんですね。

それどういうことかって言うと、その政策自体が例えば、今までの、例えば、主観指標と客観指標の相関が比較高かった、例えば公共交通のね、交通サービスの話とかあったじゃないですか。確かにそれそうなんですね。それは分かりやすく、例えばバス停増やすとか、鉄道駅つくるとかそういう話ですよね、分かりやすく言うと。若しくはその、それらのレベルを上げるとかそういう話だと思うんですが、それはすごい分かりやすいですが、でも、大事なのは、例えば公園と主観的な評価と、それから幸福感の話がうまく繋がっていくかっていうと、何か公園を量的に整備すればいいって話じゃないかもしれないってことなんすよね。分かりやすく言うと。

だから、そのサービスの質みたいなものをどうやって評価するかみたいなところがむしろ問われ始めていて、いい政策の転換点に来てるんじゃないかと思うんですよね。だから、この、いわゆるインプット的なところの客観指標がうまく主観的幸福感を説明出来ないとか、それのパスがね、うまく描けないっていうのは、ある意味、これデジタル時代のまさに、これからの自治体政策を捉え直すすごくいいきっかけになってるんじゃないかと思っていて。どうやって質的なものに転換すればいいかっていうことを少しトライアルしたりとか、若しくは質的な観点からインプットを変えてみたりとか、若しくはそのインプットを評価する指標ですね、客観指標のとり方自体を変えてみたら、随分分かりやすくなるよ、みたいなことがあるかもしれないなとはちょっと思っていて、是非そういうブラッシュアップっていうですかね、をしていただきたいと。その辺り、ここに学系の先生方もたくさんいるので、学系の先生方のネットワークで、ぜひ新しいチャレンジとしてやってみたほうがいいような領域かなと、ちょっと思っていましたので、あわせてコメントさせていただきました。

南雲委員: はい、ありがとうございます。

まさに小泉先生の仰っているとおりだというふうに認識をしていまして、今までどちらというと、量を測るような客観指標が先にオープンKPIから作られてきていて、それとはまた別に、ポジティブ心理学に代表されるような心理学系の測り方が出てきていて、今、その接合点のところで、真価が今問われているという意味で、すごくいいところにいるんだろうと思います。

主観と客観をうまく組み合わせると、幸福感のパスが見えそうだなと思ってるのは公共空間や、教育機会の豊かさのところです。それ以外に、もうちょっとでいける類のものと、どちらかと言うと主観のバイアスで落ちてしまうようなケースが見えてきました。

後は、設計段階で一時期、そうかもしれないと思ったのは、主観のアンケートは頭で思ったこと、客観は比較的その箱があるか、ないかみたいな、存在の数を数えているみたいなこと。間に、人間の行動っていうのがあって、行動パターンみたいのが認識できると、ちょうど三段階ロケットみたいな形でつながっていく可能性があるかなという思いを巡らしたことがあるんですね。

今は、設問数が増え過ぎないようにしつつ、データの品ぞろえがよくないところを改善しつつ、アイデアを絞っていくっていうか、そんな、今、中二階的なところに立っているということです。

小泉委員: ご指摘のとおりだと思っていて、例えば、客観、自治体ごとに見ていったときに、基礎自治体レベルを見たときに、客観指標と何か、主観的評価のところがあまりうまく繋がっていないとか、そこからさらに、幸福感とかがが繋がっていないっていうところこそ、実は政策のつくり方とかを変えなければいけないっていうところかもしれないっていう、むしろそういうヒントを、逆のヒントを得られるんじゃないかなという気はちょっとしていて。さっきも公園の話を例にとりましたけども、まさに南雲さんが仰られたとおり、公園ただ作っているだけだと維持管理費がかかる一方で、皆使ってなかったら、資材になっちゃってるわけですよね。

そこは皆が使えるようなとか、皆が来るような、やっぱソフトの取組をそこにしなければいけないんじゃないかみたいなところが、行動分析とかをかませると、分かってきたりとか、もうちょっとこう、少なくとも、なぜそうなってしまうのかみたいなところをフォローアップの調査とかをかましていくと、より有効な政策に近づくことができるっていうような、何かそういう使い方もできるのかなっていう感じをちょっとしております。

はい、引き続きよろしくお願いいたします。

南雲委員: ありがとうございます。

前野座長: はい、ありがとうございます。

今のご質問に関連して、まさにその政策の転換のためにロジックツリーというストーリーを描いていくことによってその関係性を見ていこうという試みが実は(3)番にしてありますので、そちらを先にお話いただいて、更に深まるご質問を各先生方からいただくといいかと思います。よろしいでしょうか。

それでは、(3)番、リファレンスロジックツリーについてお願いします。

村上統括官: 村上からやらせて頂きます。

(p.2)1枚めくっていただいて、以前見ていただいたスライドが2枚続きますが、Well-Beingの指標で、ちょっと前段のところの補足も含めて言えば、70以上の自治体が実際に分析をしてくれているということについて一定の手応えは感じています。

ただ、途中、アンケートを見ていただいたとおり、恐らく200くらいの自治体が更にやってもいいけどやり方がわからない予備軍というのがいますので、これに今、ファシリやコーディネートできる人の人材育成という話が紹介ありましたけれど、一巡した実数が今200名くらい出てきていますので、これがもう一巡くらいその200名に対してやると、その中から何人か教えられる人が出てくるのではないかという形で、まずWell-Being指標の分析を通じてどこからその政策の分野の手がかりをつかんでいこうかという、「課題と合意」と書いている部分、これを2年目3年目というべきなのか、進めていきたい。

それと同時に、今日ご相談するのは、分野が分かるとか、ここが弱いというのは分かる。けれども、どの施策を強化すればいいのですかというところにつなげる部分のツールが足りないのではないかということで、今回ご提案するのはロジックツリーの案でございます。

(p.3)次のページですけれど、官民で共有すべき社会的課題の特定・共有が出来たら必要な施策や住民行動の特定・共有が出来ないか、というところで取組の2とありますが、リファレンスロジックツリーを提供して、これを活用した施策のレベルや住民行動のレベルでの分析研修というのをやれないだろうかと。

また、今日の主題ではないのでまた後刻ご報告しますが、実は健康増進教室に参加したとか、公共交通に乗ったとか、市民の行動のポイントの付与を通じて捕捉できるアプリというのを今つくろうとしていまして、これができるとどういう施策をやったかだけではなく、リアルタイムにその施策に誰が何人どう活動しているかというのが見えるようになってきますので、これとロジックツリーを重ね合わせることで当該分野における施策とその施策が具体的にどの程度アウトプットを上げているのかというのが見えるようになるのではないかということでございまして、まずはWell-Beingの指標の活用の分析自体の方を2周目、3周目と進めていきたいと思っていますけれども、同時に取組の2の方の1年度目ということを来年度やってみたいと思っているところであります。

(p.4)そこで医療をサンプルに、どういうものかというのを試作中のものをご紹介をさせていただきます。

(p.5)井上先生を初めとして何人か白坂先生等のチームに大変ご協力をいただいて試作しているものでございます。

最終的には各省にも見せた上で、デジ田交付金のType2/3を取った団体にはこれを参考に作業をしてごらんという宿題を投げる前提で作業しています。

リファレンスロジックツリーと書いているのは、別に政策ロジックがこれ一つとは限らないので、あくまでも参照する一つのモデルですという趣旨で、最初標準とも言っていたのですが、標準というとこれが標準的政策かという話になってしまうので、今のところリファレンスロジックツリーと書いています。

第1水準から第5水準とありますが、1から3までと4から5まででちょっと性格も作業の仕方も違う建て付けに試作をしてみました。

第5水準のところの右側から見ていくと、これはもう完全に個別事業名でいいです。ちょっとまだそこが特定出来ないか、完全に個別事業名にするとどの自治体の施策を持ってきたのかがばれてしまうので、そうは言っても若干抽象化されていますが、例えばこの絵自体が医療・介護環境の改善ということでございますので、医療・介護分野である市町村が取り組んでいる施策を右側に並べてみるというイメージでございます。

それに対して第4水準の部分が、よく政策評価とか、今でもEBPMとしてやっていると思いますが、各施策のダイレクトのアウトプットに想定するものが第4水準のところに入ってくるかと考えています。この辺はどちらかというと客観指標が取りやすい分野でもあり、もちろん主観指標も活用できますけれども、例えば真ん中か5つ目くらいで手続のデジタル化の推進というのは、何手続がオンラインでできるかというのは明らかにとれますが、それがWell-Beingとか主観的幸せにとってだから何なのというくらいのバランス感覚に第4水準くらいはなるのかと思ってございます。

この2つはどちらかというと各自治体がやっている施策とその施策のダイレクトのアウトプットということになりますので、自治体側で作業をしていただくし、いろんなバリエーションのものが出てくるという理解です。

それに対して第3水準に飛ぶと何が起きるかというと、アウトカム的なものになってまいります。ちょっと1、2、3セットにしますと、分野全体は医療・介護の関係と、本当は医療・介護費用の削減と書きたかったのですが、医療・介護費の削減と書くと何か今の医療・介護費用が高いみたいじゃないかという議論があったものですからそれはやめるかということになったのですが、多分Well-Being指標の分析を通じてここを何とかしたいという項目と粒の大きさ、粒度でヒットするのは第2水準あたりではないかと想定をしています。

この医療・介護の政策分野の中でも医療サービス、介護サービス、健康、3つくらいの大きな政策分野とゴールがあるとすると、それを達成するためにどういうことが必要かを論理的に一段ブレークダウンすると、従事者がいないと駄目だとか、生産性、業務効率が上がらないと駄目だとか、特定の疾病・認知症等のケアの充実などといった、このくらいのレベルのものが並んでくると。

例えば、特定の疾病・認知症のケアという命題を仮にアウトカムベースで挙げるとすると、実はそれに構成する要素としては施設整備の話もあれば、在宅ケアがどれくらい支援機能として強化出来ているかといった話もあれば、ちょっとデジタル化に結びつけてもよくなかったとか、あとちょっと線を切ってしまっていますけれども、認知症のケアとかということでいうと、線を引こうと思えば実は市民が気軽に集える公共的空間とか公共交通とかというのも関係してくるのかもしれません。実は、この第4水準から第3水準に飛ぶところに多分かなり個別の施策横断的なインパクトというのが重ね合わせないと出てこないかと思っています。

実は、このロジックツリーのもう一つの特徴は、市町村の部局横断的に政策インパクトをちゃんと見ようということであります。

恐らく、第4、第5については社会福祉部の中とか教育委員会の中とか、場合によっては何とか部の何とか課の中とか、というくらいの縦割りの中に収まりうるのだと思いますが、例えばよくあるのは、健康増進教室という施策をやっています。直接のアウトプットは健康増進活動への参加率です。そのアウトカムで健康な人が何人ですかといきなり行くのですけれども、第4水準までは別にそれでいいのですが、健康増進教室をやったからといってそこに通う足がなければもともとドライバーズライセンスを返す必要のない元気な高齢者しか集まってこないかもしれないし、しかも元気な高齢者が集まって健康増進教室で運動してくれても家で塩分たっぷりの食事をしていたら生活習慣病は治らないと。多分、多くの役所のアウトカムというのが、各部局に想定でアウトカムを立てるのですけれど、本当は部局横断的にいろんな施策のアウトカムを積み上げないと本来のアウトカムになっていないのでしょう、という施策間の相関関係を追求する必要があるのではないかと思います。

第3と第2の間がそれと同様にきれいに部局横断なのかは、ちょっと第3、第4の間にも同じような溝があるかもしれませんが、さらに第3水準的レベルで出てくるアウトカムに対して政策のゴールとして我が町の医療サービスの充実はどう思いますかと。我が町は介護に優しい町ですかと、我が町は健康に熱心にちゃんと取り組んでますかといったようなことになりますと、医療部局、介護部局、例えばモビリティの担当、それから生きがいづくりや、社会人教育、いろんな部局の施策がさらに跨ってこないと政策のゴールは出てこないという形になっているのかと思います。

実は、ここはある程度リファレンスロジックを見てもらって、その上で第4、第5のところに自分の町の施策を貼り付けてみると、逆にこのようにきれいに全部並ばなくて、我が町が全然この分野そもそも施策がないという町もありますでしょうし、ここはやっているけどここはやっていないというのが見えるケースもあるでしょうし、ある程度、第1から第3はむしろこのリファレンスロジックツリーを見て、その下にぶら下がるものを探してくださいと。もちろんどうしてもないけど重要というのがあれば、ユニークな項目を第3でも、もちろん第4でも足していただいてもいいですと。

こういう形のフレームをお見せをして、Well-Beingの分析の結果、出てくる第1もしくは第2水準での改善要望に対して施策がどのように張り付いているのかということを検証するという作業を1回やってみましょうと、こういう建て付けになっています。

(p.6)次のページ以下はまだちょっと参考ですけれども、それぞれのボックスに対してこういう指標があるのではないですかというのも、もうちょっと詰めた上でですが、第1水準で言えばこんなもの、(p.7)第2水準で言えば各項目はこんなものがあるのではないか、(p.8から9)第3水準で言えばこんなものがあるのではないかと、これも併せてリファレンスロジックツリーに付けて、こんなことを図ったらどうですかということを申し上げたらどうかと考えています。

基本的には、LWCIの中でアンケートの質問50問に入っているもの、それから既にサイトで客観指標として公表しているものから選んでおりますが、ちょっと中には足りなくて、公開されている統計データからこんなものも使えるのではないかというのを独自に足していただいている項目も入っています。

このようにロジックツリーとロジックツリーボックスそれぞれの指標案というのをつけて、実際にもう一周Well-Beingの指標の分析やったあとのような自治体の皆さんにどこか一つでもいいから分野を選んでやってみませんかということを進めてみたいと思います。

まだ指標はついていませんが、試作品としてはこの医療・介護に加えてあと二つ、子育て、未就学児ですけれども、子育ての部分が母子の健康、就労と子育ての両立、子育て環境、第3水準で見れば、妊産婦の健康ケア、子供の健康ケア、保育の機会と質の充足、母親の、お父さんも含めてですけど、労働環境、経済的負担、課題を抱える子育てへの対応、安心して子育てできるか、親が抱える不安の低減、多様な学びと地域の個性、このように並べていますけれども、(p.11)次のページが最後ですけれども、モビリティ、モビリティでもモビリティ自体の生産性向上、モビリティへのアクセスの向上、モビリティとまちづくりという三つくらいの切り口に対してそれぞれ第3水準のようなものを並べてみた、こんな状態であります。

今日はこういう考え方のリファレンスロジックツリーをして、やや使い方に慣れている進んだ自治体にやってみていただこうという試みについて、どう思われるかということのご意見をいただきたいと思っていますが、最後にちょっとだけこの使い方の要注意というか、弱点だと思っている部分を先に告白をした上で先生方にコメントをいただければと思っております。

このモビリティのままで説明をすれば、恐らく第4水準、第5水準は、どちらかというと第4水準のところは客観指標がリードしてくれるのかと思っておりますが、第2水準、第3水準はどちらかといえば主観指標の満足度を上げていくこと自体のほうが客観指標よりも大事なゴールなのかと思っていますが、本当にそんなにきれいに行くかというのは、実は貼り付けてみるとどちらにも主観も客観もついてきますので、なかなかまだきれいに整理しきれていませんというのが1番目です。

それから2番目です。実はこのようにロジックツリーの案を描いてみられているのは、取上げたテーマがモビリティや子育てや医療・介護といったやや客観的に政策を取上げやすい分野だからじゃないかという指摘があります。

例えば、第1水準に自己肯定感の高いまちづくりというのを置いたら、第2水準に何が来て、第3水準どうなんだというところは、ちょっと作業はしてみようと思っていますが、なかなか描くのが大変そうであります。

そういう意味では、ちょっとこのロジックツリーの議論自体がそもそもやや客観指標に強い分野にやや偏ったアプローチである可能性がございまして、本当に市民の主観的な幸せの向上ということがこのロジックツリーの取組だけでうまく政策全体のPDCAサイクルに取り込めるかというと、恐らく一定の限界があるんだろうという議論を事前にも頂戴をしています。この点をどう考えるかというのも論点かと思います。

ただ、ちょっと今の点に関連して一個だけ補足をいたしますと、例えば三重県の多気町の清和地区というところと、それから某中核人口30万くらいの都市の街中とで、保育園や買物に対する公共交通のアクセスビリティを調べたところ、両方ほぼ同じアクセシビリティ、同じくらい利用できる公共交通の頻度があるにもかかわらず、多気町のほうは満足度がすごく高くて、中核市のほうは満足度が低いという結果が出ました。

要するにタクシーの待ち時間は5分ならいいのか30分ならいいのか、30分待っても満足だという町もあれば5分でもイライラするという町もあるというように、同じ客観指標が出て、モビリティみたいな分野でもなお、主観的な満足度に対してずれが出るというケースはあるということを確認をしていますので、そのようなこともどう考えるかというのはよく議論をしていったらいいかと思っています。

最後に、そういう意味でちょっと全体的に客観指標寄りな施策ではあろうかと思いますが、先ほども申し上げたとおり、自己肯定感の高い地域づくり、これを第1水準のところに置いてみてどういうロジックツリーが描けるか、逆に言えばそれが描けないということは、逆に現実に今の公共政策の中でなかなかそれが政策として認知されていないか、打つ手が実際にないということでもあるのではないかと思いますので、その辺を、ちょっと今年度すぐローンチするのは難しいかもしれませんけれども、来年度、研究もしくは議論をする調査テーマとしては大事にしていきたいと思ってございます。

沢山いろいろ喋って申し訳ございませんでした。

以上でございますが、もしよければ井上先生、実際に作業していただいたのは井上さん以下数名の識者の皆さんなので、ぜひ感想でも結構ですし、補足でも結構ですし、何かご説明できることがあればいただけたらと思います。

以上です。

井上委員: はい、村上さん、ありがとうございます。

しっかり全体をお話いただいたので私から補足というわけではないですけれども、3点ほどあります。

一つは、ロジックツリーと一旦書いていますけれども、いわゆるロジックのツリー構造になってるわけではなくて、要は論理展開されてはいるのですけれども、要素還元したものではないということです。

むしろ、これはストーリーとして語るという部分が大きい図になっているかと思っています。

なので、ファイナンスの分野ですと価値創造ストーリーというのを描かれたりしますけれども、それに似たような位置づけになるのかと思いながら作業をしていました。

実際にこれを作成されるときには、官民学とか連携して入っていただくとそれぞれのステークホルダーの共感といったものも呼ぶこともできるかもしれません。

なので、市役所の方が単独で描くというのももちろんあるかと思うのですけれども、複数のステークホルダーとみんなでこのロジックツリー、リファレンスロジックツリーを描いていく、線を描いていく、こういうプロセスも大事にできるんじゃないかと思っています。

あと、最後に一つ申し上げるとすれば、現時点での指標のご提案というところでは、全部の項目に主観指標がぴったり当てはまるものとかがLWCI指標とかにあるわけではないので、このあたりについてはぜひ皆さんからどういう主観的な指標が当てはまりそうだとか、活用出来そうだとか、こういうものがあれば、ご意見いただければと思っております。

私からは以上です。

前野座長: はい、ありがとうございました。それでは、説明が全て終わりましたので、あとは自由にご意見をいただければと思います。先生方いかがでしょうか。

南雲委員: ロジックツリーのレファレンスですが、整理学的にこういう形で整理することは、企業経営においては普通のやり方です。戦略の分解や経営品質の管理のときに当たり前にやるやり方なので、それが「まち」という単位で起こっていると考えることが出来ます。但し、幾つか難点というか乗り越えなければならない点があると思います。

その1点目は、やり方を教える家庭教師が必要だということです。自治体の方だけでは、相当とっつきにくいという印象があると思います。アンケートをとるだけでも大変、しかもその使い方がわからない。その上に、もう1つツールが増えたという認識になっていって、やり方がわからない、時間もないので、思うように進まないということになってしまいます。そこをどうファシリテートするのかという問題が出てきます。私も昔、同じようなことをシックスシグマのブラックベルトという資格を取得してやってたんですけども、相当訓練をしていないと、粒々の認識が出来ません。これは、いわゆる単なるファシリテーターでは出来ない類いのものです。どうやって先生役を輩出するのか、そのコストは誰がみるのかということが、現実問題として残っている。

2つ目として、村上さんも認識されてましたが、基本的に、経済合理性のほうに向きやすい類いの構造なんです。だから、ファイナンスにつなげるために客観指標をツリー化するという作業には、ぴたっとはまってくるのだけど、主観的幸福感に寄せていくためには、もう少し何か知恵がないと、「まあ、いいや」という感じ、つまり「言われたから、深く考えずに、とりあえずやる」という感じになるのではないかという心配があって、そのあたりは、逆に幸福学の先生方のご意見をまずはしっかりお聞きしないといけないと思っています。

前野座長: はい、ありがとうございます。私からも一言。私は、Well-Beingとイノベーションの研究者なのでその立場から申し上げると、小泉先生がおっしゃったように従来の政策では出来ないところ、例えば公園を作るのではなくて、どう公園を使うかという発想の転換が必要ですよね。新しい創造性を発揮して、しかも自治体ごとの特徴を考えて、公共と住民、産官学民でワークショップなどを通じて、自由にブレインストーミングして、アイデアを出し合って、その中から、何かきっかけが見えてくる、そういうやり方によってこそ、日本から、何か世界になかった新しい政策が出ていく、そういう新しい元気の出るやり方こそがふさわしいと思います。

イノベーションのファシリテーターというのも、普通のファシリテーターとは違って相当習熟したファシリテーターでなきゃいけないわけで、南雲さんのおっしゃるとおりなんですけど、そこをぜひ、自治体の方はどうやればいいのか、さっぱりわからない、とおっしゃるかもしれないけども、そこを乗り越えることが非常に重要かつ今回のプログラムの面白いところだと思っています。まさにデジタルを利用して、幸せな世界をつくっていくためには、一つ産みの苦しみはあるけれども、そこを超えると何か新しいものが見えてくるに違いない。

イメージ出来ますよね。公園をただ作るだけじゃなくて、公園にどんな遊具を作れば人が来るのか、とか、どんな木を植えるかなど、発想は無限にあるんですよね。そこをどうやるかという話じゃないかなと思います。

笹尾委員: 東京大学の笹尾です。ロジックツリーは非常に重要ですが、各自治体で作っていくとなるとかなりの負荷がかかるというのは、私も内閣府の指標づくりに参加させていただいたときに非常に実感したところであります。そういう意味でいかに自治体が使いやすくするように負荷を減らしていくかという点が重要になってくると考えます。

特に、アウトカムのところにどういう指標をつくっていくかが難しいと思います。アウトプットの項目は、施策ごとに決まってくるような内容になってくると思うんですけれども、アウトカムの指標については、分野ごとにどの自治体でも共通して使える指標も出来てくるのかなと思いますので、いろんな専門家の方としっかり議論しながら、レファレンスをたくさんつくっていくという作業に力を入れていくとよいのではないかと思います。

もう1点、別の話で、特にアウトカムの主観的なその評価をしていくときに、行動的な指標をとっていくといいんじゃないかという議論があったと思いますが、満足度とか施策の質を聞くときに、そのサービスを実際に体験、使用している人の評価と、サービス自体をまだ使っていない人の評価は、大分違っていて、例えば、新しいモビリティを導入したときに、そのモビリティを使ってみて、満足度が少し上がりましたという人と、体験まで行き着かない人がいると思うんですね。そういう属性の人たちを分けて評価していかないと、どういうふうに改善したらいいのかという議論につながりにくいのかなと思っています。主観の評価を調べる上では対象となる施策・サービスを使ってる人か、使ってない人かを分けて考える必要があると思います。以上です。

前野座長: はい、ありがとうございます。石川先生お願いします。

石川委員: ありがとうございます。まず今回のこのロジックツリーは、本当に革新的で、それゆえにまだまだ克服しなければならない課題があるということだと思います。同時にこれが出来たら本当にすごいことになるなという予感を感じました。

そのうえでなんですが、このロジックツリーをやればやるほど、どんどんディテール、細かいところに目が行きがちなんですが、やはり、少し引いてみたときにコアとなるコンポーネントは何なのか、そこについて何かしら指針を出してもいいのかなと思います。

例えば主観的Well-Beingでいくと、3月20日にWorldHappinessReportが出ました。あれは主観的Well-Beingの国別のランキングが出てるわけですが、そこでは、なぜ国ごとにこんなに主観的Well-Beingが違うんだという、コアのコンポーネントを6つ示してるんですね。健康寿命であったり、GDPであったり、つながりであったりということなんですが、さらに重要なのが、この6つの要因で国ごとの主観的Well-Beingの違いを何%まで説明出来ますということを限界も含めて示している。その意図としては、基本的にはこの主観的Well-Beingが国ごとにこんなに違っているが、6つの要因にアプローチすることで、どこに差があるのか、どうすれば主観的Well-Beingが高まるのか、ということを示しています。

なぜこんな話をしているかというと、先ほど南雲さんからも話がありましたが、多分自治体の人からすると、この主観的Well-Beingに対して、何が効いて、何が効かないのかという知見が欲しいと思うんですね。例えばこういう客観的指標は少なくとも今のところは主観的Well-Beingに効いてないんだ、いうようなところを含めて、全国を見たときに、コアとなるロジックのコンポーネント、要素が、例えばこの10個ですよと。ただこの10個だと、まだまだ説明出来ないところがあるから、オリジナルの部分では、何か皆さん試行錯誤していきましょう、というような。コア・コンポーネント+各自治体の独自の取り組みという形で作業が出来たらいいのかなと思いました。

また、先ほど村上さんからも出ましたけど、医療分野はロジックツリーをつくりやすいんですね。一方でつくりにくい分野というのもあるので、どの分野がつくりやすくて、どの分野がつくりにくいのか、ということも示してあげると、自治体の中でも、ではまずこの部署からやってみようかっていうことで、取り組みやすくなるのかなと思いました。

前野座長: はい、重要なコメントありがとうございます。

南雲委員: 今、石川さんのおっしゃったことは非常に大事な点だと思っていまして、要は魑魅魍魎としたツリーの分解に終始してしまうと、マクロ感とか全体感がみえなくなってしまう、これはこの方法論の持っている一つの癖だと思います。

SCI-Japanが実施しているOASIS研修の場合は、24ある幸福の因子のなかから、8つだけ選んでくださいという形で、強制的に8つに絞り込んでもらうというプロセスを敢えてやっています。その市にとって最も、個性を生かし、幸せに効いて因子をまず選んでみましょうとその理由を考えた上で、さらに、ペルソナ単位のロジックツリーに割っていって、その割った先で、ロジックモデルをつくって実行可能性を検証するっていうプロセスをあえてつくりました。マクロ感のところは極めて重要で、結局どんなまちを目指すのか、ビジョンがないままに微細に入っていくとのは避けたほうがよいと思います。

2番目に、石川さんが言っていた点でこれもとても重要な点で、World Happiness Reportの6つのファクターみたいに、この要素は常に考えたほうがいいよねという、日本の文化や日本人の幸福感を考えたときにコアになる、何か中心的なファクターというのがきっと浮かび上がってくるんだろうと思います。トップダウンで決めてしまっていいのかという問題はあるかもしれませんが、ボトムアップでやっていても、だいたい、いつもこうだよねというのが出てくるんじゃないかと思います。ちなみに、多くの自治体でOASIS研修をやっていると、やはり、医療健康系のテーマは鉄板で出てきます。あとモビリティもよく取り上げられます。だけど、やり尽くした感が結構あって、クリエイティビティはあんまり出てこないですね。意外にも多いなと思ってるのは、母親とか、子育てをしてるお母さんとかというテーマ。これまで手がついてなかったっていうことで、まだまだやるべきことがあるんだと気づくケースが多かったりします。

それと、最初にご発言いただいた加古川市は、文化・芸術が幸福感との相関が高いとことがわかり、市長のお考えで「音楽の街」という方向へかじ切りをされました。水道とか公園などハードなインフラの整備はいろいろやってきたけれども、そうじゃないところで今まで見えてなかったものが見えたっていうのがこの指標の面白かったところで、それが何かというと文化芸術だったということなんです。だから、石川さんの最後におっしゃってた書きやすいところと書きにくいところの、実は書きにくいところにこそ、もしかすると、本当の意味での幸せのかぎが眠っている可能性もあるっていうことは、少し、心にとめておいたほうがいいのかなと思います。

前野座長: はい、ありがとうございます。ほかの先生方いかがでしょうか。小泉さんどうぞ。

小泉委員: ありがとうございます。いや、正直なところ、すごく難しいなと思ってまして、多分、皆さん同じ印象なんじゃないかなと。みなさん、すごくコンストラクティブなコメントをされてましたけど、どうでしょう、こういうのをやるのがいいんですかね、と正直思っちゃいました。国として様々な事業制度があるじゃないですか。それを基礎自治体とか都道府県とかも使わざるを得ないような日本の社会的現状があるので、そういう事業メニューみたいなものがFIXされたような社会だと、このやり方でいいような気がします。だから特に重要な領域では、補助金を評価する際のアシスタントとして、こういうものを幾つか用意しておいて、それを参考にしながらやってもらうというのは確かにあるのかなとは思いました。

一方で、前野先生が言われたことにすごく共感するのですが、基礎自治体レベルで、ある種のイノベイティブな取り組みを生み出していかないと、もう日本の地域とか地方はうまく回らなくなるのが目に見えていて、南雲さんたちがやられてることには、それにインパクトを与えるかもしれないなという期待感を持っています。というのは、主観的幸福感というものを基軸に置いてみると、今までの量的な政策じゃうまくいかない、ということが、実はほかの政令市さんと一緒に検討してる取り組みにおいても出てきています。その結果、今までの政策のやり方をそもそも見直す必要がある、といった議論が出始めているんです。やっぱり、そういうところにインパクトを与えるような取り組みが必要なのかなと思っていて、それぞれの自治体に暮らしてる皆さんだとか、担当の方がいったい何を重視するのか、といった視点からこういうロジックツリーをつくってみることも必要かなと思いました。そのあたりのニュアンスをうまく伝えてあげるといいのかなと思いしました。

必要なんだろうけれども、これだけだとちょっと何かクリエイティブな未来が見えてこない、率直に言うとそういう印象です。

前野座長: ありがとうございます。先生方の議論をお聞きしてると、量的な政策と結びつけて、ここまでは出来ますよっていうのを明確にすることと、ここからはみんなで個性を生かしてイノベイティブにやりましょう、という2つの領域があって、前者だけにいく、幸せなんては測れなくて終わりです、となるし、逆にイノベイティブだけを追求すると、自治体にそんなこと言われても困りますっていうふうになる気がします。従来型の政策で出来ることと、それでは出来ないけど実はすごく新しくて面白いところ、この両方が見えやすい形で提示できるといいですし、逆に言うと、うまく提示しないと、自治体が誤解して従来型だけやってやった気になるとか、何か新しい方をやろうとして路頭に迷ってしまう。そういうことが起きないようにするのが非常に難しいのかなと思います。

関委員: すごくいい議論だなと思って聞いてました。私自身いろんな自治体のサポートをする中で、ここまでやれる自治体がどれぐらいあるかなと思いました。そもそも部署を超えた横断で議論するというのが自治体にとってはなかなか難しくて、これはDXのトランスフォーメーション側の難しさと通じていて、施策を横串しで切って、みんなであるべき姿を考えるということが非常に苦手なので、かなりトップダウンで、まず、横串しでチームつくるみたいに箱から変えないと経常的にやっていく業務にはならなそうだなと思います。とはいえ、スポットでやってみるっていうことであれば、できる部分もあると思うので、やはり、まずは簡易の研修のところからやっていくとして、多分これは、ファシリテーターの人たち、この伝道師となる人たちの熱量とか、何か、そういったところから、やっぱ広がっていくみたいな形で、かなり長期にやり続けないと火がつかない、あるいは火がついてもすぐ消えちゃう、ということになりそうだなと思います。やる気がある方々が頑張っても、その方が異動するとやらなくなっちゃう、という類いのものだなと思いました。

ちょっと視点を変えてみると、これは多分、市民と一緒にやるとすごくいいことなんだろうと思います。コード・フォー・ジャパンでもロジックモデルを作ることがありますが、作る行為自体に、とても意味があるし、学びになるし、やってよかったなと、参加した人達は思います。市民と一緒にまちのあるべき姿を考えていくためのツールみたいなそういう側面で、官民連携が広がっていくといった方向性もありなのかなと思います。

前野座長: はい、ありがとうございました。

村上統括官: ここで少しコメントしてもよろしいでしょうか。大きく2つあります。

1番目が、そもそもなぜ、こんなことを思いついたかという背景の説明なのですが、そのキーワードは、政策の自分事化、なんです。なぜ、急に自分事化って言い出したかというと、私はいつも庁内でニューサムの「未来政府」という本を読めと言っているのですが、実は今、岸田政権だけじゃなくて、先進国の政府はほぼ全て支持率が全滅しております。なぜかというと結局、行政サービスを与える側と与えられる側っていう二項対立のまま突っ込んでいくと、どういう政策を提案してもディスられる、という構図からもはや誰も抜けられなくなっている。これは多分、民間サービスでも同じようなことがあるんじゃないかなと思うのですが、ディスりをエンタメと生業にしている方が一定数いる以上、どんなにいいとか悪いとか言っても、追いかけてきますので。そのときに、例えばですが、普通の国民の皆さんは抽象的な議論をされると、マイナ保険証は良いのか悪いのか、よくわかりません、となってしまう。また誰かの解説を聞いても誰のことを信じていいのかわからないので、そこで思考停止となってしまいます。例えば、ちょっと例は違いますがAEDですね。AEDの取扱いに慣れている人のオープンデータを作って、近所で使う人がいたら、その1番近くにいる人に手伝いに行ってあげてくれませんかっていう取り組みをやりませんかというと、これほとんど反対されないんです。ところが、同じ職業プロフェッションのオープンデータの話でも、弁護士とか先生とか医者とか、同じように便利だから、地域ごとに職業のプロフェッションのオープンデータを作ろうとすると、これはだいたい反対されるんです。これは恐らく個人の方にとって自分事化できる大変身近な話に落ちないと、賛成できない。そうでない場合は、ディスりの波の中で取りあえず反対しておこうという形になって政策参画がどんどん遅れていく。一方で、非常に具体的な話に落ちると、それが市民の8割を巻き込まなくても5%ぐらいの市民が自分事化して、これはいいことだって言ってる話は、ディスられない。こういう構図に持ち込まないと、国に限らず地公体も、何をやっても「どうせろくなことじゃないでしょ」というところから抜け出せない。

そういう課題を日々感じています。デジタル庁の施策はほぼ全部そうなんですが、オンライン資格確認とマイナ保険証のない医療のDXなんてあり得ないわけなんですが、その抽象論だけを幾らやっても「紙の保険証をなぜやめるのか」という議論に勝てないというのが現実です。具体的にマイナ保健証を持っていると何がいいのという、極めて具体的な話に落として、初めてみんながついてくる。超抽象と超ミクロとをセット販売しないとDXが進まない。これが、デジタル庁の中にいて日々猛烈に感じていることであります。そういう意味では、DXがあるからこそ個人に寄り添える政策がきめ細かくできるようになるという、別にデジタル化のためにこの話をしてるわけではありませんが、やはり政策評価のサイクルを回すときに、どれだけ自分事化ができる余地を生み出していくかっていうことが、政策を推進する当局にとっては、のっぴきならない課題になっております。そういう意味でも、このロジックツリーは作業の難しさというのはあるのですが、先生方のコメントで後半出ていたように、やはりこの作業を行政の中でやるのではなくて、官民みんなで考える。そして論理的に正しいツリーを作ることを目的とせずに、結果としてその作業が何かを生み出してくれれば良い。そういう背景もあって、どうしてもこういうものに引きつけられていくという背景がございます。

2点目は、みんなでつくることが大事なんですが、ちょっと悩ましいのは、こんな作業を地域の現場で本当にやれるかということ。正直やってみないとわからないのですが、第1水準から第3水準までは、こちらで標準形を作って、とにかくこれを前提に第4水準と第5水準を作ってみたらどうでしょう、という案内の仕方をしてみたら、どうかなと思ってます。

もちろん自分で、第1水準から第3水準を直す力のある方はどんどん直していただければいいんですが、かなり難しいと思いますので、標準だというから使ってみたけどこんなの使えない、という批判をいただくことも含めて、とにかくロジックツリーの第1水準から第3水準まではレファレンスという形で標準形をつくってしまい、それを自分のまちの施策に当てはめるという作業をするなかで何か気づきがありませんかと、いうようなやり方で、取り組んでみたらどうか。ただ第1水準から第3水準を固めてしまうということは、逆に言うと地域ごとの創意工夫の余地を奪っている可能性もあるので、何となく二律背反な感じはしますし、最初に申し上げたとおり、このアプローチは客観評価がしやすい分野でやりやすい、逆に主観的満足度にダイレクトに響くような自己肯定感のテーマを取り上げると、それこそ、現場ではとても無理、という話になるだろうと思いますので、そのあたりの使い方を間違えないようにする必要があると思います。

ツリーの作りやすさ、施策のやりやすさと客観的なインフラ整備に政策リソースを寄せすぎないように気をつける、というところのバランスを、よくよく気をつけながらやらないといけないと思います。私は政策の細かいところに神が宿ると思っていて、同じ補助金だとか、同じ実証事業でも、やり方がちょっと変わるだけで、全然違う効果が出てくるっていうケースを個人的には経験しています。補助金の名目や補助対象がどうしたとかっていうことよりも、細かい執行ルールで、補助対象経費だったり、収益が上がったときの取扱いだったり、そこで行政の担当者がブレーキを踏んじゃうのか、そこまではやってもいいよ、やってみようよと言うか、そういうことで同じ補助金でも全然効果が違うっていうことをたくさん経験してきてますので、言ってることは何か矛盾してるかもしれませんが、仮に第1水準から第3水準をこちらで固めたとしても、第4水準、第5水準の作業をやるなかで、細かいところでここが大事だということに気づく、そのきっかけになれば、いいのかなと思っています。いずれにせよ、来年度は、数自治体でやってみるというレベルの域を出ないとは思います。

小泉先生が1番ストレートに多くの人が感じる第一印象をストレートに語っていただいたと思いますが、ぜひ残りの時間も、ここ気をつけろとか、ここは大事とかアドバイスをいただければと思います。

前野座長: ありがとうございます。

小泉委員: 非常に素直に言わせていただいてすみません。今のお話を聞いて、だいぶん理解が深まったところがあります。確かに、第1、第2、第3水準のところをパターン化してみたっていうことですが、必ずしもこれに限らなくてもいいんだよという前提があるという話が一つと、領域によってはうまく当てはまらないようなケースもあると思うので、そこは要注意というところをうまく自治体に伝えながら進めていく必要があると思います。

いま村上さんが言われたように同じ施策でも、やり方によってかなり評価が違ってくるという点、ここは、これからの時代にとても大事なポイントになるんじゃないのかなと思ってお聞きしておりました。例えば、育児のところでいうと、第3水準のところに「保育の機会と質の充足」とか、「安心して子育てできるコミュニティづくり」とかがでています。ここは、結構大事なポイントだと思って拝見していたのですが、こういうところは、機械的に事業をやってたら、必ず達成できるとは限らないようなものですよね。第3水準と、第4、第5水準、すなわち具体的な施策とは、一応つながってはいるのですが、第5水準の具体的な施策をどうやるかによって、全く成果が異なってきてしまう、とういうことですよね。そういう部分をうまく自治体のみなさんに伝えながら、このアウトカムが達成できるような事業のあり方を考えましょう、というふうに、むしろ、現場をモチベートするようなツールとして使う、そういうところに可能性を感じました。

前野座長: はい、ありがとうございます。南雲さん、お願いします。

南雲委員: この手のツールを使うときのエグジット・ポイントというか、何をもってその価値とするのかというところは、しっかり決めておいたほうがいいと思います。OASIS研修だと8つの領域を選ぶ、すなわち、どういう領域でインパクトを出すのか、市民の皆さんに幸せに効くのか、ということを絞り込むところに軸があるんですね。これを細かく割っていく行為っていうのは、皆さん真面目なので、あれもこれもといくらでも足していっちゃうと思います。そうじゃなくて、絞り込む、すなわち、ここが大切ということを選びなさい、そのためのこれは、レファレンス、全てを網羅した一つの辞書みたいなものですと。この中で最も重要なものは何ですか、それを選ぶっていう方向に使うのであるとすれば、それはソーシャルインパクトというところに出口を見出せる可能性があると思います。その使い方の価値は何なのかということをしっかり伝えるということがポイントかなと思います。

前野座長: 非常に面白い、面白いという言い方が正しいかどうかわかりませんが、Well-Beingの研究者として、本当に私自身も解きたいテーマでして、あらゆるものはWell-Beingにつながるはずだと思うのですが、なかなかそこが出来ない。

これのテーマを公共の自治体という、全体の奉仕者のみなさんがやることでつなごうとしている。本当に難しい問題を解こうとしているですが、そのための非常に有益な議論が行われていると思います。私が思ったのは、一参加者としての無責任な発言ですけど、生成AIにつくらせると、結構、バーッとつないでくれるんじゃないですかね。

既存の常識になってることは、むしろ生成AIに作らせるのがいいような気がしました。
あくまで一参加者としての意見です。

前野座長: いろいろと良いご意見が出たので、少し早いですが、これで質疑応答の時間は終わりにしたいと思います。最後に座長としてひとこと申し上げます。

すでに途中でもかなり発言させていただいたのですが、本当に重要なことだと思います。

やはり、役所が部署の縦割りとか箱ものの整備とかの従来の発想を越えるということ、もちろん今までのことも重要なのですがそれに加えて、このWell-Beingという非常に主観的なものが入ることで、新しいやり方が必要になってくるという、この重要な萌芽期を、このデジタル庁という新しい部署が先導しているということに本当に意義があることだと感じています。

また私自身がおもしろかったのは、やはりWell-Beingというのは非常に抽象度が高くて、自分から一番遠い概念なのに、自分の幸せとなると、非常に自分事化できる概念なんですよね。

Well-Beingという概念をずーっと抽象化していくと、最終的には、あなたは幸せですか、と非常に直感的に答えられるものになる。とても不思議というか、面白い概念なのでこれを取り扱うのは実は難しいんですが、そこを関係者が努力して、まずは第一次案をつくっているってことに非常に意義があると思っています。非常に萌芽的なもので、関さんおっしゃってましたが、非常に長期的にやらなければならないと思うのですが、自治体も楽しみながら、ちょっとずつ積み重ねていって、だいぶんロジックツリーが豊かになってきたね。初年度は幾つを選んだけど、次はこっち選んでみようかみたいなそういう広がり感も出てくる可能性を感じました。産官学民金みんなの力を合わせて、是非とも成功させていきたいものだと志を新たにしました。皆さんどうもありがとうございました。それは最後に村上さん一言お願いします。

村上統括官: はい、今日も長時間ありがとうございました。また個別にお名前を出しませんでしたが、井上さん、佐竹さん、山崎さん、皆さん本当に作業していただきありがとうございました。今後ともよろしくお願いいたします。

締めの言葉ですが、一言余計なことを言わせていただくと、これを言うと政府の中でもめますので言わないのですが、大きくは「デジタル民主主義」という話が隠れたテーマにあると僕は思っています。

これはさすがにちょっと個人的意見に過ぎるので、各自治体の皆さんにお勧めするときは、もうちょっと機械的にこういうレファレンスがあるので、ぜひこういう作業をしてみませんか、使い方はこういうところに気をつけてくださいと、そういう言い方にとどめたいと思いますが、何か面白い結論や動きが出てきたら、先生方とぜひ、そのような視点の議論も含めてまた来年度も引き続きご指導、もしくは議論のシェアをお願いできればなと思っております。

前野先生におかれましては、毎回、座長として丁寧に回していただきまして本当にありがとうございます。本当に感謝しかございませんが、来年度もぜひこれに懲りずにお付き合い賜りますようよろしくお願いしまして、私のご挨拶とさせていただきます。

司会(名倉): はい、ありがとうございました。

皆様、本日は大変貴重なご意見をいただきましてありがとうございます。これをもちまして今年度の検討会の開催は終了とさせていただきます。村上からもありましたように時期や未定でございますが、次年度につきましても、引き続き開催させていただければと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。本日は、お忙しい中ご参加いただきましてありがとうございました。