「モビリティ・ロードマップ」のありかたに関する研究会(第1回)
概要
- 日時:2023年5月31日(水)10時00分から12時30分まで
- 場所:東京ガーデンテラス紀尾井町4階 紀尾井カンファレンス セミナールームA(オンライン併用)
- 議事次第:
- 開会
- 本研究会の進め方について
- ご発表、討議
- 「モビリティ・ロードマップ」とSIP「スマートモビリティプラットフォーム」(石田座長)
- 「乗合バスを持続可能な公共交通に 2020年代に官民で実現すべき公共交通財政改革」(BOLDLY株式会社 代表取締役兼CEO 佐治友基様)
- 「MaaS の社会実装の視点からみた官民・事業者間のデータ連携とその意義について」(日高構成員)
- 閉会
会議動画
会議の様子はYouTube(デジタル庁公式チャンネル)にて公開しています。
資料
- 資料1:議事次第(PDF/387KB)
- 資料2:構成員名簿(PDF/332KB)
- 資料3:「モビリティ・ロードマップ」のありかたに関する研究会の設置について(PDF/322KB)
- 資料4:事務局説明資料(PDF/7,153KB)
- 資料5:「モビリティ・ロードマップ」とSIP「スマートモビリティプラットフォーム」(石田座長 ご発表資料)(PDF/5,200KB)
- 資料6:「乗合バスを持続可能な公共交通に 2020年代に官民で実現すべき公共交通財政改革」(BOLDLY株式会社 代表取締役兼CEO佐治友基様 ご発表資料)(PDF/76,181KB)
- 資料7:「MaaSの社会実装の視点からみた官民・事業者間のデータ連携とその意義について」(日高構成員 ご発表資料)(PDF/2,855KB)
- 議事録(PDF/2,535KB)
議事録
鈴木企画官: お時間になりましたので、始めさせていただければと思います。
デジタル庁国民向けサービスグループモビリティ班の鈴木と申します。本日はよろしくお願いいたします。
第1回「モビリティ・ロードマップ」のありかたに関する研究会を開催させていただければと思います。本研究会はライブ配信を実施しております。また、終了後には、デジタル庁ウェブサイトにおいて録画の公開が行われますことをご承知おきいただければと思います。
それでは、始めにデジタル庁国民向けサービスグループ統括官の村上より一言ご挨拶を申し上げます。よろしくお願いします。
村上統括官: これまでも一部の皆さんにご協力いただいており、官民ITS構想・ロードマップをやってきまして、まさに走らせるということを実現するための制度、技術開発ということは、レベル4まで含めて、もう実現の目途が立ったと、現に国交省にもいろいろな形で投資していただいて、いよいよレベル4ということで、永平寺町の参ろーどもいよいよかということになってございますが、今回焦点としたいと思いますのは事業として継続するための制度と技術開発でございます。
単純に言えば、今の多くの自動走行車両購入に、例えば1台5、6000万かかる、かつ運用もサービスの基本的な言い値で言えば、年間4、5000万円かかるかもしれない、こういう状況では地方の公共交通として自治体が持てるわけがないというような状況でございます。
そういう意味では、技術としては走るようになりましたが、事業としては継続が難しいのではないか。せっかく今回、デジタルライフライン全国総合整備計画と伴走して一緒にやろうと言うことを今計画しているわけでございますけれども、あちらで100か所を2027年に実現したとしても、その3年後に3か所しか残っていませんでしたでは話にならないだろうというところに向けて必要な政策アジェンダの整理をしようではないか。
2つ目でございます。各省の検討・取り組みをうまく折り合わせていくのが、今後検討してきます、このロードマップの役割でございます。なにも各省の検討と重複してやろうということは考えてございません。むしろ各省がいろいろな検討や技術開発をするタイミングを合わせる、横で同期を図る、場合によっては検討をお願いする、足らざるものがあれば、自分たちで検討するというようなところが官民ITS構想・ロードマップ時代と変わらず、当時は内閣官房IT室、今デジタル庁でこのロードマップを各省にご協力をいただいて、やらせていただく理由であるというふうに考えてございます。
そうは言いながら、この研究会で、ロードマップ自身を今後検討し立ち上げていくためにどのような論点があるのかということを4回ほど、いろいろな方からご意見をいただいて、まずは論点をコレクションするのが、この研究会の仕事でございます。
それを踏まえて正式に、デジタル全総の方の検討フレームと同期をさせながら、検討会を立ち上げていくということで考えてございますが、仮説として、例えば3つほど視点を出してございます。
今回、自助、共助、公助と3つ縦に割り振ったというところと、フォーカスを特にITSの時は基本的には車両の問題だったわけですが、やはりローカルのモビリティを考えると、サービス・ロボットやドローンを区別して考えるとか、それぞれが別の事業者が立つとかということで、事業が続きそうな未来が考えにくいという意味で、やはりモビリティサービスはモビリティサービスということで考える必要があるだろうということで仮説の名称もモビリティ・ロードマップというふうに3×3に目を広げてございます。
例えば自助の面で言いますと、正直モビリティサービスだけで事業として単黒を目指すのは、需要密度が下がる中で現実的に難しいと思います。
ただ、例えば、4回目で、三豊市さんにご説明いただく予定ですが、日曜日に運休しているコミュニティバスを運行した時の赤字幅の拡大よりも、高齢者の出入りを促すことによる、在宅死亡率の上がる部分と、それに伴う医療費削減効果のほうが実は大きいのではないかというのは数字で出ていまして、こういったソーシャルインパクトも含めたクロスセクショナルな視点からモビリティサービスの存否を決めないと公共的社会選択を誤りかねない時代になっている。
これが人口減少下でも我々が考えなければいけないことではないか。単体赤字とソーシャルインパクトという乱暴なまとめ方をしましたけれども、自助のフェーズでみても、やはりその社会的インパクトということも含めて事業を設計する必要があるだろう。
それから2番目はもうプロの皆さんには釈迦に説法で、とりあえず今日ちょっと書かせていただきましたが、やはり車両同士の協調制御であるとか、環境側がどこまでやって車両側がどこまでやるのかと。
これはもう技術的にはいろいろなオプションがありますし、いずれのオプションもそれなりに実現可能性はもはや官民ITS構想・ロードマップの時代に見えているということだと思いますが、逆にこれを事業にしようと思いますと、やはりどの事業のどの組み合わせのオプションを取るにしても、それなりにスケーラビリティが出てこないと誰も投資に踏み切りません。
やはりこれでいこうと、例えばデジタルツインはこれでいこうと決めていただかないと、金があったら実証はするけど、誰も事業にはしないという状態になりますので、やはりいろいろな意味での協調レイヤーについてのデファクトフォーマットを決める時期に来ているだろうと言うことでございます。
例えば、公助では社会的責任の問題を仮に取り上げていますけれども、やはりこれも極論すれば、道交法上の純粋道路と軌道法上の軌道とでは、例えば僕が線路の上に寝転がった時に轢いた責任を誰が取るのかという責任処理の仕方が全く違います。
恐らく、自動走行車両、アナログと併存するから難しいと思いますが、現実的には石田先生から話があると思いますが、細街路を通すか、それともある程度専用道的な設えを整えた上で、そこを走らせるかといったやはり環境側がある程度こういう整備をするのに対して、それを前提に社会的責任をどういう風に設計していくのかとか、環境の無い所でも、それでも俺は自分でやりたいという人は、では従来のルールで行ってくれとか、おそらくそういう環境側と社会的責任の分配についても、組み合わせを前提に議論して行かないと、自動走行車両だから社会的責任はこう変わると言っても、おそらく答えが出ないのではないかという予感をしています。
このような、複数の異なるセクターの問題を同時に解決していかないと技術としては走らせることができても、事業としてはリスクが高すぎてサービサーが出てこないということになるのではないかというのが、基本的な眼差しでございます。
それぞれにいろいろな省庁の方のご検討や要素を取り入れていかなければならないと思いますが、まずこの研究会では、その検討の順番や関係性よりも落ちている論点を拾うというところで、いろいろなご意見をいただければと思ってございます。
そういう意味で、議論自身も公開しておりますし、各省も皆さんオブザーバーで入っていただいてございますので、ぜひ忌憚のない意見をぶつけていただければと思います。
私から以上でございます。
鈴木企画官: ありがとうございました。それでは早速ですが、ここから先の議事進行は座長をお願いしております、筑波大学の石田先生にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
石田座長: おはようございます。筑波大学の石田でございます。
昨年度は、かなりの方が「デジタル交通社会のありかたに関する研究会」で、ご協力いただきましてありがとうございました。それなりにいい物ができたと思いますが、あちこちで話しを伺っておりますと、ふわふわとしていてよくわからないというご批評をいただくことを、私自身、かなり経験してまいりました。そういう中で、村上統括官からございますように、今回、河野大臣が官民ITS構想・ロードマップというのをモビリティ・ロードマップと名称変更して再起動をするという発言をデジタル田園都市国家構想実現会議でおっしゃって、本当に決意があらわれていると思いまして、今回はまた皆様のご協力を得まして邁進してまいりたいと思います。
政府全体として、今年度末くらいにデジタルライフライン全国総合整備計画というものを閣議決定することになっておりまして、その中で自動運転モビリティが非常に大きな役割を占めております。
SIPでも第三期のスマートモビリティプラットフォームの構築が始まります。私はそのプログラムディレクターを仰せつかっておりまして、世の中の動きは確実にそちらの方向に向いておりますので、皆さんのお力添えを得て頑張って参りたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
まず挨拶が長くなりましたけれども、これから議事次第に沿って進めてまいりたいと思います。はじめに議題2の本研究会の進め方について、事務局よりご説明ください。お願いします。
鈴木企画官: 事務局の方からご説明をさせていただきたいと思います。初めに資料4で経緯を簡単にご説明したいと思います。
まず、2ページからは、これまでの官民ITS構想・ロードマップの振り返りでございます。2014年から毎年ロードマップを更新してきて、2021年まで続いてきたということでございます。そして、2022年に「デジタルを活用した交通社会の未来2022」ということで作成しました。取り組み成果を右側に載せてございます。
昨年の振り返りということでございます。問題意識として、社会実装に向けて需要サイドの課題を一体的に検討するとか、車両以外の部分の周囲の社会システム全体の課題を捉えていくということで検討をしていただいてございます。
昨年の研究会は4回ほど昨年の春に開催させていただき、石田先生に取りまとめいただいたということでございます。
今後の進め方で、需要サイドの方をしっかり見ながらやらなければいけないということと、供給サイドの方も自動運転に加えて道路空間とかモビリティサービス・MaaSとかドローンとか空飛ぶ車とか、モビリティ分野の協調領域へあらたにスコープを広げたということでございます。
「サービス設計にあたっての11の視点」ということで、目指す先は各地域で決めるとか、「暮らし目線」で目指す先を考えるとか、モビリティ単体でビジネスモデルを考えないとか、大きな方向性というものを示していただいてございます。
今後の取組方向性ということで、先ほど石田先生からお話がございました、3月31日のデジタル田園都市国家構想実現会議で、河野デジタル大臣からご説明いただいた内容でございまして、単なる実証ではなくて、社会実装につながっていくように、モビリティ・ロードマップとして再起動していくということを示していただいてございます。
デジタルライフライン全国総合整備計画のご紹介でございます。基本コンセプトとして、「点から線・面へ」「実証から実装へ」ということで、自動運転車サービスが何か所かという数字も示されております。
デジタルライフライン全国総合整備計画のスケジュールで、2023年度末を目指していくということで、モビリティ・ロードマップも、こういったところに合わせながらやっていきたいと考えてございます。
続いて参考事例ということで、冒頭で村上からご説明申し上げた内容です。自助、共助、公助ということで、議論の参考になりそうな資料を少しご紹介させていただければと思います。
自助ということで、事業モデルとか個別システムに関する参考資料を付けさせていただいております。
BOLDLY様が茨城県境町のレポートでご紹介されていたものでございますけれども、持続可能なビジネスモデル構築には運賃だけというビジネスモデルでは厳しいというところを示されているものでございます。
茨城県境町の取り組みで、利用者側がシングルサインオンすることで、自動運転に加えてドローンなど様々なサービスを、モードを意識しないで受けられるというサービスでございます。こういった先進的なことを、デジタル田園都市国家構想の交付金を使いながらやっておられるというご紹介でございます。
富山県の朝日町の事例でございまして、マイカーでの乗合サービスという先進的な事をやられながら、健康教室とか自然体験教室とか、人が動くような需要を作り出して、更にポイント制度を入れながら全体として需要を作り出すモビリティサービスを作っているというものでございます。
香川県三豊市の事例で、単なるお金の収益ではなく、社会的インパクトという視点で、どういう形でKPI設定しているかということで、この研究会の後半の方でお話をお聞きできればと思っております。
共助についてで、協調制御・共通のアーキテクチャに関わるところでございます。
自律移動ロボットに関するアーキテクチャの検討ということで、全体の検討を進め、共助のありかたを含めて検討しているというものでございます。
4次元時空間IDということで、3次元の空間と時間軸も含めたユニバーサルなIDを検討しているというものでございます。
その中で、自律移動モビリティの協調運行に向けた検討に関して、デジタル庁でも実証実験を検討しているところでございます。
共助についてで、ハードインフラ・制度に関する参考資料です。
自動車中心の道路をどう考えていくのかということで、海外の事例として歩車共存とか歩行者優先という事例や自転車を活用した事例でございます。昨年の「デジタルを活用した交通社会の未来2022」で示させていただいたものです。
自動運転の実証実験・実運行中にどのようなトラブルがあったかという視点で、示させていただいているものでございます。接触や、自動運行から手動に切り替わるところで、トラブルが起きたなどの例が出てきております。
軌道敷内におけるルールで、日本の路面電車において専用レーンがあると、基本的には軌道の車両優先というルールがあるという事例でございます。
アメリカのミシガン州の事例で、自動運転車専用レーンをデトロイトとアナーバーの間に整備して、自動運転車を活用できるようなインフラ整備を進めているという事例でございます。
駆け足になりましたが、事例については以上でございます。
資料3の方に戻っていただきまして、2ページ目の (3)で、この検討をどのように今後進めていくかについてご説明します。①にありますように、本研究会での検討を通じて、今後整理が必要と思われる論点をいろいろ出していただいて、今後検討を深めるべき事項とかロードマップ化すべき事項についての整理を、この研究会で是非お願いできればと思っております。
②で、デジタル社会推進会議の下、正式な検討の場を作って、ロードマップの素案を策定していくような検討を実施し、その中に今回整理をした論点もいろいろと打ち込んでいくということを考えているところでございます。
③で、こういった論点については、デジタルライフラインの検討にも反映させていただくことを考えてございますし、④で、今後の検討、デジタルライフライン全国総合整備実現会議における検討、SIPでの検討、その他政府や民間でいろいろな検討がなされていくものを連携しながら、最終的にモビリティ分野に関する全体のロードマップということで、モビリティ・ロードマップ2024を年度末に向けてまとめたいと考えてございます。
以上でございます。
石田座長: ありがとうございます。
本日は私を含めて3人ご発表をして頂いて、それを受けて議論をしていきます。特に結論を出すということではなく、あちこちに投げかけるための論点をきちんと論理立てて整理していくという作業でございます。たぶん議論が盛り上がると思いますので、本日も12時半まで予定していただいておりますけれども、延長してしまう可能性もございますので、申し訳ございませんけれども了承していただければと思います。ご参加される方はTeamsのチャットで質疑やご意見を発表中でも構いませんので、好きなタイミングでご投稿いただければと思います。
まず私から報告させていただきます。
モビリティを考える意味というのは、生死にモビリティは大事だし、生きがいにもモビリティは大事で、それを取り巻く環境が大きく変わっている。いろいろな技術開発が進んでいると同時に、高齢化とか地方の疲弊は進んでいて、本当に時間との戦いになっているということをやはりしっかり捉えていく必要があるだろうと思います。
そういう中で、このモビリティ・ロードマップへの期待ということで、再起動するということでございます。名前が変わる元の官民ITS構想・ロードマップというのは毎年閣僚級で決定されており、その位置づけは我々が感知するところではありませんけれども、それにふさわしい内容を目指して頑張りたいと思っておりますし、SIPで大きな成果を挙げられた一期、二期の自動運転は、官民ITS構想・ロードマップと共同の推進会議体を開催されていて、連携してやっていたという事実もございますので、見習える部分は見習いたいと思ってございます。
そういう中で、本日は宣伝を兼ねて、スマートモビリティプラットフォームの構築の話を若干させて頂ければと思います。人・モノ・サービスという視点から、公共交通手段のみならず、自家用車も含めて、あるいはインフラも含めて、プラットフォームとして捉えて、どう実装していくかということを考えてございます。
デジタルですから、データサイエンスは必要なので、そこは東大の越塚先生、あるいは交通サービス、特に公共交通を中心にやっておられる中村先生、自動車との関係ということで、自工会の樋山さん、スタートアップというのは大事ですのでWiller Transportの村瀬さんにお手伝いをしていただいておりまして、経産省、国交省、総務省、警察庁と、当然、デジタル庁とで、モビリティと健康というのは非常に大きな関係がありますので、厚労省にもぜひご参加くださいということでお願いしてございます。
そういう中で、このスマートモビリティのわれわれの考え方は、これまでもスマートモビリティをたくさんやりましたけれども、やはり自動運転を中心に早い車も大きい車も考えているけれども、高齢化であればやはり人の幸せが大事ということで、どちらかというと、人中心とか低速とか、近所で毎日の暮らしをどうするかということを中心に考えてございます。
中村先生がまとめられた公共交通、あるいは地域交通のリデザインという報告書の中で、これまではどちらかというと、幹枝に重点が置かれていたけれども、実際の価値を生み出しているのは、葉っぱで光合成しているわけですから、葉っぱまでどう考えるかというアプローチであり、それを支えているのがジャパンモビリティデータスペース。
今、データプラットフォームとかたくさんありますけれども、データスペースという言い方が一番大きいそうで、そこを目指して頑張っていこうという立てつけにしてございます。
それを実現するのに、3つのサブテーマと19の技術課題を選定しており、この中にも当然関係するものがあろうかと思います。
7ページの左の青い部分は、現況もそうですし、制度もそうですし、人の気持ちがどうなって、そういうことを見通したうえで、どこに弱点があって、戦略として攻める方向はどちらかというのを見据えようということでございます。
真ん中が、技術開発要素が強いところでありますけれども、具体的な技術要素を追求していくという部分で、単に動くものだけではなくて、街とか道路のありかた、あるいは制度やデータ、自動運転をどう考えていくのかというところで、我々のところでは自動運転の社会システム化という言葉で代用してございます。
右側は、そういう技術要素の出口戦略をどう考えかであり、去年もたくさん議論させていただきましたけれども、信頼と実利に伴う、データコミュニティ、モビリティコミュニティ、ビジネスコミュニティなどのコミュニティ形成のありかた、あるいは地域コミュニティということも含んで、それをどうするかということ、あるいは大きな枠組みの規定するマーケットのデザインのありかたも、頑張って追求しようということで考えてございます。
私の個人的な意見が非常に大きいですけれども、この中で是非取り組みたいことは、安全快適で愉快な生活道路をぜひ実現したいと思っておりますし、あるいは一部始まっております、中心地の賑わい道路もやろうと。総じて、いろいろな人が頑張っているけれども、小さな道路の大改善がかなり遅れているのではないかと思っております。
公共交通のリデザインも非常に大事なことですけれども、よく見てみると地域にはモビリティ資源がいっぱいあるけれど、それが必ずしも使えてない。それはいろいろなところに問題があり、最大活用するためにはどういうことを考えたらいいかということも大事なテーマだと思っておりますし、人の移動も大事ですけれど、それに劣らないほど大事なのが物流の話でございまして、これは本当に危機的状況を迎えておりますので、その辺にチャレンジしたいと思ってございます。
それを実現するための基盤としてのデータスペースや社会実験を繰り返して実装していくという手法をとっておりますけれども、実験はやるけど、なかなか実装に至らない、いろいろなところで、実験に至るまでで疲れ果ててしまって、実験さえうまくいけばいいみたいな事が多々ございます。
そういうことを軽減するために、デジタルツイン上にデジタルサンドボックスを作ることやコミュニティの形成を図っていくことも大事と思っております。
本日、特に強調させていただきたいのは、交通安全と日常生活空間のリデザインということでございます。釈迦に説法だと思いますけれども、先進国G7の中で日本が唯一、死亡事故の半分以上が歩行中、自転車乗車中でございます。このような国は他にはございません。例えばアメリカは、交通死亡事故の中で歩行中、自転車乗車中の割合が20%ぐらい。
もう一つ特筆すべき特徴は、高齢者の占める比率が高いことです。最近は、高齢者の交通事故というと、加害者が多いですけれども、実際は高齢者で被害者になることも多いということでございますで、そのような事故が身近な道路で起こっていると想像されるけれども、それを裏付けるデータ整備が充分ではなく、データ整備するべき状況がございます。
安全性の問題が解決されて、その先の快適な楽しい道路を目指すけれども、なかなか遠いと思ってございます。地域モビリティ資源の最大活用・リデザインは、先ほど申しましたけれど、末端への配慮がこれまで欠けており、幹枝を中心に、そこが解決してからだが、それまで待っている余裕がなくなってきていると、地域の疲弊はそこまで進んでいるとも思います。
そういうところで、製造技術とか自動運転技術の活用とかコミュニティづくりをちゃんと考えようということ、また、これはあまり書いていないですけれども、物流システムも本当に危機的状況ということで、注力してやっていきたいと思います。そのためにモビリティデータスペースやコミュニティ形成技術が必要基盤でございまして、この辺についてもまたいろいろ教えていただければと思います。
残りの部分では、生活道路の安全性について、データを示して説明させていただければと思います。
交通事故の状況です。先ほど申し上げたことでございます。車両交通事故全体は減っているけれども、幹線道路に特に顕著で、生活道路はあまり減っていないという15ページの右上のグラフはちょっと強調しておきたいと思います。高齢者の死亡事故が多いこともそうです。
実際、インフラはどうなっているかということですけれど、右側の写真は、小学校の前の道路で、小学生は横断歩道を渡っていますけれども、今の道路法上でいうと全面車道になっております。しかもこの道路の規制速度は60キロでございます。なぜかについては後ほど申し上げます。嘘と思うでしょう。
インフラはどうかというと上がつくばの写真で、下が土浦の空中写真です。つくばは計画都市のため、道路がどこにあるか分かりますけれども、土浦はわからない。これほど小さな道路が網の目のように張り巡らされているというのが、日本の道路の特徴でございます。
外国と比べるとどうかというと、自由が丘とロンドンのノッチングゲートという高級住宅地とパリのデファンスという新興住宅地です。これも道路の形や大きさは一目瞭然でございます。空中写真の分析をして頂きますと、下が住宅地域で先ほどお見せした写真のところですけれども、自由が丘はブロックの平均面積が非常に小さく、道路面積率も小さいけれども、道路延長密度すなわち一平方キロに道路の総延長がいくらあるかというところで群を抜いて多い。要するに、細い道路がたくさんある。
こういうところの安全な生活道路の構成の考え方は、ヨーロッパの町と同じではありえないと思っていて、日本スタイルをどう展開していくかということが非常に大事でございます。
ところが、ヨーロッパのほうが「道路空間を人間のものに」ということでは進んでございまして、ニューヨークのタイムズスクエアを中心に、いろいろなところで歩行者空間化したSadik-Kahnさんが日本で講演された時に使われたものでありますけれども、彼女の主張は、道路空間とは地域において最大の公共のオープンスペースであると。公園よりはるかに大きい面積で、そこを自動車に占領させておくのはおかしいのではないかということです。
ニューヨークは自動車の分担率が35%なのに、道路空間の7割~8割を自動車が使っているのはおかしくないのかと。東京は16%でしょうと。東京の人はなぜ怒らないのかということを日本で講演して帰られました。
それを示したのが上の写真でございまして、自動車はあれだけいる、バスであればあれだけで済む、自転車でもこれだけで済む。そういう意味で手段の転換とか交通システムも考えていかねばならない。また、これは自動車を1人で運転するのと、Uberと自動運転では全く状況は変わらないということをこれからどう考えていくかということは非常に大事な我々の責務と思ってございます。
そういうことを受けて、アメリカで交通手段に順序づけし、歩行者が一番偉く、その次が自転車で、公共交通、物流、タクシー、相乗りがあって一番下が自動車ということがもう全米の土地で、かなりこういうものをもとに交通計画が立てられてございます。
ところが口で言うのは簡単で、実際は難しいのですけれども、20年ぐらい前にドイツ中心に遊びの道というのが始まりまして、子供さんがサッカーをしているのです。これがヨーロッパ中にあっという間に広がって、私も全部で20か所ぐらい見たことがありますけれども、残念ながら子供が遊んでいる姿を見たことがなかった。
事程左様に大変なことだと思うけれども、4年前にフランスに行った時にストラスブールで、小学校の前で子供がサッカーをしている姿を見て素晴らしいと思いました。ストラスブールの街づくりは30年ぐらいかかっていますけれども、30年根気強くやればできるのではないかとも思いますし、こういう風景は去年の9月にフランスに行った人に聞くと、さらに広がっているそうでございます。こういうことを目指したいなと思ってございます。
先ほど衝撃的な写真をお見せしましたけれども、どうなっているかということでございまして、この絵が一番いいと思うのですが、世田谷区で速度規制がどうなっているか、あるいはその中でゾーン30がどうなっているか、あるいはそれぞれでどういう形態の事故が起こっているかという警察がお持ちのデータと道路管理者がお持ちのデータを1枚の図面に落としたものです。
こういうことが実はできておらず、やってみて結構簡単にできて、なぜこういうことをしてくれなかったかと思っているのですけれども、特徴的なことを申し上げますと、左の端の方の赤い点がたくさん連なった道路が、事故が多いということを示している道路で、環七です。道路上に色がついているのは、速度規制があるという道路でございまして、赤が30キロ、環七は60キロでございまして、法定速度ですね、色が付いておりません。驚くべき事に環七のすぐそばにある先程お見せした写真にあらわれるような路地みたいな道路も白です。
速度規制がされていない道路で速度規制をするには都道府県の公安委員会で、いちいち決める必要がありますし、それを実行するためには速度規制の標識を立てる必要がある。警察はもう大変頑張っておられますけれども、そこに至るためにはなかなか人手もお金もないということでほったらかしになっているというのが実情でございます。
こういうことを、データを元にさらにどう進めていくかということを、SIPでちゃんとやろうと思っておりまして、道路交通の大変革期と書いてございますけれども、今の自動運転、CASE、自動車産業にとって百年に一度の大変革だと言われておりますけれども、道路空間を人間の手に取り戻そうというのは実は2000年以上前のローマの道では分離によって安全性と効率化を確保していて、それがずっと人類の歴史でしたが、そこへの大きな挑戦でございます。
そういう中でのモビリティ・ロードマップは何をすべきかということを本当に皆さんと一緒に考えて参りたいということで、プレゼンを終了させていただきます。
議論のほどよろしくお願いいたします。ウェブでご参加の委員の皆さんも含めてどうぞご自由に質問とかご意見いただければありがたいと思っております。いかがでしょうか。
では日高さんお願いします。
日高構成員: 石田先生ご発表ありがとうございました。大変勉強になりました。
ちょっと今話を聞いていて思ったのと、やはりこの検討会の中で非常に意義深いと思ったのが、さっきの自動運転も一つのテクノロジーだと思いますし、それをどう使うかというのが大切なお話であったかなと思っていて、ちょっと改めて難しさを感じたところ、やはり道路をどうするかという話とか、あと自動車、自動運転産業としてどうするかと考えると、やはり量が多いほうがいいが、そうするとたくさんの自動運転車を細い道で走らせるのかというところで、道路の安全とか石田先生がおっしゃられた愉快な道路というのとまた背反する要素もあって、テクノロジーをちゃんと理解しつつ、総合的に道路の話、町の話、経済の話、産業の話というのを全部包括的にやらなければいけない。
しかもそれを人口が減少したり、人が少なくなったりというちょっと経済的に難しい状況でというのはものすごく意義深いし、難しい話だろうなと思いました。
スマートシティの方もたまに勉強して読んだときに、やはり海外でも1つの専門家が全部やるというより、1人の専門家が複数のMBAをとって建築をやってという、修士を何個か取って、そういう職業に就くというやり方と、あと専門家たちがうまく知見を共有できるような、大学の中のコミュニティとか、やはり分野連携みたいなものをうまく機能させる必要があるだろうと改めて思いまして、私もMaaSばかりではなくて、そういういろいろなことを勉強しなければいけないと思いました。
やはりデータがあると、パリとか海外に比べて何の数字が違うからこうなっているのか、事故率と道路と自動車とか速度の話というところで、客観的に見られるので、専門家ではなくても、この数字を下げていけばいい、上げていけばいいというのがあるので、改めてそういうところは学びが深かったと思いまして、コメントではありますが、以上でございます。
石田座長: ありがとうございます。他いかがでしょうか。どうぞ川端さんお願いします。
川端構成員: 私もこちらのお話大変勉強になるなと、多面的なお話が聞けるので、非常に勉強になると、やはり多面的に取り組んでいかないと解決に行かないと言うか、成果が出しにくいなと思いますね。
先生がおっしゃっていた遊びの道路に私も2004年ぐらいに取材で行って、遊びの道路にするためにはどういうふうに住民の合意を得るのかという話を聞いた時に、字が書ければ、そこに住んでいる子は子供でも投票ができるというお話を聞いて。その時に、成果がすぐに出なくても別にいいという話をしていて、子供たちが大人になった時に自分の子供に使わせるぐらいではないと浸透しないと思っているということをおっしゃっていました。
その住民の人は、まず10年から20年ぐらいで、いわゆる教育というのは意外と比較的短期で成果が出やすいと思うので、今の若い人たちにとって良い街を作って、その人達が大人になった時に子育てとか暮らしやすいという街づくりがあった上で、そこに適したモビリティはいったい何だろうというふうに見ないと、道路インフラとかの育成というのは、やはりデジタルと違ってあっという間にはできないと思います。
そういうお話になったときに必ずデジタルの方がすごい速度でデジタルの話をされますけれども、同時にフィジカルなプラットフォームもやっていかないといけなくて、そちらは最低5年、場合によっては10年、15年、20年という形で、石田先生が専門分野だと思いますが、想定が多分20年、四半世紀は先でやっていかなければいけないということだと思います。
実際、フランスやドイツなど3か所ぐらいを取材した時に、やはりどこも、ヨーロッパの場合100を4で区切るので四半世紀という言い方をしていましたけれども、25年単位で考えて、道路インフラとか社会インフラとかソーシャルアクセプタンスも1世代かかるという考え方でやっているので、3つの視点の中の単体赤字とソーシャルインパクトは非常に重要で、ソーシャルインパクトを考えて長期目線でやった上で、単体で赤字が出る、黒字が出るという話よりも、トータルで見るのがこの会議体として、特に政府がやることとしては、大きなことかと思いました。
石田座長: ありがとうございます。須田先生お願いします。
須田構成員: 東大の須田でございます。石田先生、どうもありがとうございます。石田先生とは昨日から国交省の会議とか色々なところでお話させていただいていますが、本日は非常に有益なお話を聞かせて頂き、ありがとうございます。
お話を伺って、まさにゾーン30とかをきちんとしなければいけないという話は同感ですし、私も道を歩いていて、歩行者の方が多いのに、どうも歩行者よりも車のほうが優先されているというような場所がたくさんあって、日頃から矛盾を感じるところがあります。
一方で私は自動車の方の、国交省のASVの検討もやっていて、自動運転までいかなくても、いわゆる安全運転支援自動車において、インフラ協調とかをやって速度を一定以上出せないようにしましょうという仕組みを導入しましょうということを考えているわけで、やはりデジタルを使って、いわゆる車車間通信、路車間通信をうまく活用すれば、この細街路では絶対スピードが出ませんというようなことが出来るのではないかとずっと思っている。
したがって、ぜひそういう話にうまくこの場が展開できればいいのではないかと思いました。以上でございます。
石田座長: ありがとうございます。去年と比べてノリが悪いような。はい、岡本さんお願いいたします。
岡本構成員: 東電パワーグリッドの岡本でございます。ありがとうございます。今の先生の話を聞きまして、非常に勉強になりましたのと、あとやはりこの道路という空間を人間中心に立て直すということなのだと思って非常に共感しております。
私もインフラの専門ですけど、今できている道路というのは、ある意味では非常に良く整備されているともいえるし、今から作り直すわけにはいかないので、今あるものを制度とテクノロジーでどう人間中心に立て直すのかという問題になっていると思いまして、これは非常にチャレンジングですけれども、重要な取り組みだと思いまして、大変感銘を受けております。
あと、ついでに申し上げると、私どもの電気のネットワークも非常に密度が高くできているが、先生の今日の話を聞いて、私どものネットワークで道路に沿って作られているから、それはそうだなというのが改めて感じた次第でございます。
今後ともよろしくお願いいたします。どうもありがとうございました。
石田座長: ありがとうございました。村松さん、どうぞ。
村松構成員: ご発表ありがとうございました。ぜひ賑わいのある道路を作っていければという中で、冒頭で村上統括官からもあった通り、ビジネスとしてやっていくというのが一番重要かと思っています。
結局、言い方が悪いかもしれませんが、各企業様がビジネスになると考えれば、投資が促され産業も伸びるかと思います。どのように投資を呼び込むかというと、産業としての参入障壁を下げる、つまりは社会基盤や共有可能なデータ等をあらかじめ整備しておくことが大事かと考えます。
私の専門はロボット分野ですが、それらの整備含めて、屋外も屋内も一気通貫でプラットフォームを作ることに貢献できればと思っていますので、よろしくお願いいたします。以上です。
石田座長: ありがとうございます。
村上統括官: すみません、佐治さんのプレゼンの終わった頃に失礼させていただくのですが、一言だけ。
地域、公共交通だけにフォーカスするわけでありませんが、実は一番切実なのはそちら側かと思っていまして、国交省さんも資料を出されていますけれども、大型モールが15万人ぐらいで、大きなスーパーが7、8万人ぐらいで、スポーツクラブでだいたい人口4万人で、複数科目のある病院でだいたい1万人で、診療所だと600人からあるが、人口が減るごとに暮らしを支えるインフラサービスとかが欠けていく。
ただ、まだこういう分析が出ていないけれども、モビリティの提供形態に応じて、やはり見ておりますと、人口6、7万人ぐらいのところからも、バスやタクシーは悲鳴を上げ始めていて、コミュニティバス等が入ってくるのだけれども、それぞれが赤字のまま人数が減ることによって苦しんでいて、地方創生9年やってきますと多分モビリティが最初になくなって、人がそこに住むのを諦めるというパターンが一番多くて、最後の1軒まで頑張っているのが電気というので、それはそれでなんとかの一軒家という番組を見て社長さんになるという冗談を聞いたことがありますけれども、そういう状況でございますので、ぜひ、最初に崩れないモビリティサービスをどう作るかという視点がどこかに入っているとよいという事と、石田先生が積極的に出していただいた、できるだけデータで議論をできるとよいということで、事業規模やその場所の想定に応じても議論することが変わる面はあろうかと思いますが、そんな視点も置きながら、お話を聞いていただけると、次の採算の話がまさに補助金があればできるけど、その次が続かないという話にもなってくると思いますので、ちょっと私途中で失礼いたしますが、ぜひ引き続き精力的にご検討いただければと思います。本日はどうもありがとうございます。
石田座長: 少しだけ追加で、発言をお許しいただきたいのですけれども、子供さんの通学時の安全問題というのは非常に大きな問題でございまして、いろいろなところで精力的にやっておられますけれども、現地でお母さん方と話をいたしますと、やはりここに歩道を付けてほしいという意見が圧倒的ですけれども、先ほどお見せしたような狭い道路で歩道など付けられないので、それは今、岡本さんがおっしゃったとおりでありますけれども、今あるものをITの力を使ってどう活用していくか、安全に作り変えていくか、物理的には作り変えないけれども、機能をどう変えていくかということだと思います。
それは公共交通にも通ずるものがあって、今、いろいろなモビリティの試験があるのだけれども、例えば貨物車に人が乗せられないのはもったいないと思います。現実にスイスがそういうことをやっているわけで、あるいはここの企業と契約すると、一般の人は乗せてもらえない。この街と契約すると隣の町の人は乗せてもらえないというような無駄なことがありますので、そういうことも踏まえてどう使い倒して行くかと、そこにおけるデジタルの役割が非常に大きいと思いますので、そういうことを中心の視点に持っていきたいと思っております。
次にスタンバイされている佐治さんからプレゼンをいただきたいと思います。お願いします。
佐治様: はい、よろしくお願いいたします。早速、画面共有をさせていただきます。こちらですけども、現在リアルタイムで監視をしている茨城県境町の様子になります。地元住民の方が運行スタッフとして就職しており、これから自動運転を開始し、そして地域住民の方が日常的に病院とかスーパーに行くのに活用していただいているという状況でございます。ちょっと今走ってないので、先にプレゼンの方を始めたいと思います。
自動運転バスの、社会実装に向けた様々な論点の洗い出しというところで、当社からのプレゼンをさせていただきたいと思います。当社は車屋さんではなくて、遠隔監視プラットフォームIT事業者でございます。当社は交通事業者向け、地域の事業者が自動運転をコントロールしていくという時代に向けたシステムを作っておりまして、そのAPI、システムをいろいろな事業者が利用できるように公開しております。
これまで、世界各国で活用されており、例えば自動運転バスでは、これまで30種類と接続をしてまいりました。国内メーカーではトヨタさんとかベンチャー企業もいらっしゃいます。そういった方々の車両が一つのシステムで遠隔監視が出来るという形になっております。
ただ、こういうシステムというのは、自動運転バスが普及した後でしか、儲からないです。そこで、自動運転が役に立つという事例をお見せしよういうことで、全国で自動運転バスのデモを行ってまいりました。
そうすると、もうデモではなく、車両を自治体や企業が購入し地域で車両を保有することで、自動運転バスを実用化したいという地域が現れております。当社の中では4地域で実用化を達成いたしましたが、地域の乗客、市民から見る我々の立ち位置としては、それまで地域で運行していたバス事業者が手動運転バスと自動運転バスを混在させて運営しているというような形に見えますので、BOLDLYという会社は黒子で地域住民から見えていないです。
ただ、そのバス会社から地域の要望を聞いてメーカーに伝えたり、あるいはその足りない技術があれば、もっと遡ってサプライヤーや大学と研究をして、それらをメーカーに取り入れて、地域で運用可能な形にして、それをパッケージにして渡すと言うようなことをやっております。
例えば、境町では、それほど多くの人が乗らないから、むしろ小型バスの台数を増やして、その分、便数を増やしたいというふうに言われたので、こういった車両はどうですかと、EVの小型のバスがありますよと。この車両を調達して、さらにそれを地域で運行管理できるシステムを提供しますと、そうすると例えるのであれば、携帯電話を買ってきたみたいな状態になりますので、皆さんメールアドレスとかクレジットカードの設定をするみたいな初期設定がありますけど、自動運転バスの初期設定というと、3Dマップを作るとか、そのマップ上にバス停とかルートをプログラミングするということがございます。
ここまでを大体1、2週間でBOLDLYは地域で行って、さらに運行は地域の人達ができるようにと人材を育成します。遠隔監視者、それから車内のオペレータ、そして地域でメンテナンスができるようにということで、自動車工場の方々の教育をすると、そういった形で、当社は地域公共交通をDXする触媒みたいに働いて、地域経済を盛り上げるといったことがミッションとなっております。
ここで自動運転バスがどのぐらいその社会に受け入れられるかと、その可能性を示したいと思います。我が社が鳥取県八頭町という町で実験をやった時に、自動運転走行ルート上に、住民たちが垂れ幕を掲げて、もうとにかくありがとうと。これは自動運転バスがないと生きて行けませんということの裏返しと理解しています。非常に頼りにされています。
では、自動運転を実用化した境町ではどうかと言いますと、今、2年6ヶ月経って無事故で運行していますが、1万7千人ぐらいの方々が生活に必要な移動手段として乗車頂いております。実際に乗った皆さん笑顔ですし、老若男女が使ってくれているというのがよく分かります。
そして例えば、子供が夏休みの自由研究をしたりだとか、あるいはお母さんたちが、乗ってみて楽しかったという想いをインスタグラムで呟いたりとかしています。また、自動運転バスを応援したいですとか、ケーキを焼いたので食べてくださいみたいな差し入れもあったりして、非常に愛されながら運行をしております。
3年前、自動運転バスが運行し始めた頃に年長さんだった子たちが、昨年は小学生に入学しましたとお母さんたちから我々に写真を送ってくれました。そして今年はもう3年目になりますので、2年生になりましたということで、もうこの子たちの身長がバスの窓まで届くぐらいになって、我々も感無量です。
この子供達にとって自動運転バスは最早、生活の一部で当たり前の存在です。公園に行くために、バスの中で待ち合わせるということもあり、まさに自動運転バスは生活の一部になっています。
では自動運転バスは技術として完璧なのかといわれると、そんなことはありません。この自動運転バス車両は、まだまだ課題もあります。しかし、政府があれこれ言わずとも地域が、採用するかしないか考えて、安全面に何か問題があるなら、その対策も地域で考えて、地域主体で責任をとっていこうという考え方で、このバスは3年間運行されております。
それぞれの地域事情というのが異なりますので、自動運転バスを導入する際には、一律の資金スキームや技術を適用しなさいという押しつけではなく、地域が導入を判断し、そして地域が責任を持って運用し育むものであり、それをサポートするのが中央政府の役割であるという原則があると思っております。
これをうまくやっているのが今の警察庁や国交省であり、非常にサポーティブに対応くださっております。例えば地域実装する為の補助事業として、昨年度6億円計上されて、今年度43億円計上されています。
これらを地域に配って、まずはやってみて、地域それぞれのやり方を作っていきましょうと。その上で、2025年に50地域、2030年に100地域やりますという計画がもう示されております。100地域でやっていくことで個別解が溜まって、それらを元にガイドラインとか法律が出来ていくという仕組みだと考えています。
一言で言うと、インターネットと一緒だと思います。中央政府が「こうやりなさい」というトップダウンで押しつけるのではなくて、もう事例がどんどん出来ていくと、それを元にルール化して行くという形で、その地域社会にとっての個別解、最適解といったものをスピーディーに積み上げていく時代だというふうに考えております。
ここで実装請負人としてのBOLDLYの立場ですが、こういった補助事業では、石田先生ご指摘のとおり、これを受託した事業者は実証実験で終わってしまうといった現状があります。
例えば、令和3年度では9地域において実証実験で行われておりましたが、BOLDLYが採択された3地域以外の地域は運行がストップしています。実用化されない理由は、ゴール設定の違いだと私は考えています。実験というと一般的には東京の事業者が地域にきて、とりあえず走らせるだけで帰ってしまい地域に何も残らない。ところが我々は、地域で運営可能な状態を作るのがゴールとなっています。
どういうことをやっているかというと、例えば自動運転をやるのに、何台やりたいですか、どういう形式で購入したいですか、そして何年やりたいですか、こうした条件を決めると、もう予算が出るわけです。
この予算をどう使うかが問題なのですが、例えば、茨城県境町では3台の自動運転で5億円かかっていますが、この予算でやる仕事リストがこちらです。左から計画立案。例えば運行計画の作成、調査、それから準備。詳しくは行政手続きで運輸局への書類提出、あるいは車両を使った準備として、マップの作成、プログラミング、そして車両を持ち込んで試験走行して実導入。また地域の人材を育てたりとか、故障した時のためにメンテナンスのサポートをしたり、保険に加入したり、こういったことやっています。地域にひととおり建て付けを行うわけです。
その中で初めは全部地域でやってくれと言ってもできないわけですから、この黄色い部分をBOLDLYがやります。でも徐々に2回目、3回目からは、自動運転バスのルートを延長する際の自治体調整は地域交通事業者にやっていただく、さらに書類提出もその地域交通事業者にやっていただくと。あるいはこういった技術的な部分は、地域のベンダーにお願いするなど、仕事を教え込んでいくことによって、黄色い面積を減らしていきます。
つまり、その地元の交通事業者とかパートナー企業、こういったところが仕事として受けるようになっていって、そうすると境町の場合、5.2億円予算のうち、半分ぐらいは地域の仕事として実装されて、彼らの雇用にもつながります。そういった形になると、我々がいなくても回っていきますし、地域の中で循環するビジネスモデルになっていくということです。
では、そのビジネスモデルなのですが、使うお金に関しては今、5.2億円と申し上げましたが、1年間1億円だというふうに考えてください。これが町から市民に配られた資料のコピーなのですが、9000万円使いましたとあります。今、2年経ちましたので、約2億円使ったということです。
では境町では、どれだけ経済効果があったかというと13億円あったと言われています。これはすごい数字だと思うのですけども、その内訳は、色々ございます。自動運転バスが非常にメディアで報道されて、境町自身も有名になったり、引っ越ししてくる人が増えたり、あるいはふるさと納税で応援したいという人が増えたり。そうやってキャッシュインとして現金が入ってきている。ものすごい効果があります。1年間1億円ですから、1.3億円とか集まってくると、持続可能になるわけですね。
さらに、今はどんどん医療とか福祉とか環境とか観光とか、様々な交通以外の事業においても、デジタル田園都市国家とか地方創生交付金とか申請して行く際に、役場の中では、我々は教育だけど、教育だけじゃなくて、自動運転と教育を掛け合わせて、小学生たちのIT教育をやってみようなど、役場の中が自動運転によって一段上の目線に立って政策を考えられているのだと思います。
愛知県においてマイナンバーカードと自動運転の連携といったテーマで採択されました。そういう形で街はどんどん加速度的に良くなっていて、境町では3台で運行していたところ、今年度追加で5台を購入するということになっています。バス事業は運転手不足でダイヤを減らし、それで不便になるため乗る人が更に減って、そして便数を更に減らすという負のサイクルの公共交通と思われがちなのですが、自動運転は逆で、走れば走るほど話題になり、新たな機会を呼び込み、そのお金で更に台数を増やすというプラスのサイクルになっています。
こういった横に動くエレベーターとして境町は運賃0円というのを掲げております。運賃取らなくても大丈夫なのかと聞かれるのですが、確かに交通セクターとしては赤字になってしまいます。しかし、そういった取り組みは全国でやられています。例えば岡山県とか熊本市でも運賃無料Dayというのをやって手動のバスを無料にしたら、例えばお買いもの客が増えて、地域経済が潤い1日で5億円の経済効果があったというレポートも出ております。
そもそも運賃というのは必要なのかと思うその前に考えなければいけないのは、そもそも移動する権利というのは、基本的な人権の一部であるということです。ある街において、道路がこうなります、人が集まっている場所がこうなります、あるいはみんなが乗りたいバス停を列挙するとこのぐらいありますと。そうするとそこには、自動運転バス、手動運転バスを何台走らせ、費用がいくらかかるというのはある程度自動的に計算ができてしまうわけです。
つまり、その公共交通にかけるべき必要なコストというのは、街の規模とか、未来像によって算出可能であると。現在、交通にかけているコストと、本来かけたいコストというのは差分があるのだと思います。今はその現在かかっているコストに対して、運賃で回収しており、回収しきれなかった部分のみ国が補填しますという構造になっています。赤字補填型の、その補助金が交通事業者に対しては支給されていますが、本来は移動できる権利を守るために必要な予算を補填していくべきなのだと思います。
例えば、フランスの公共交通の赤字補填は日本と大きく違っています。その予算の付け方というのは、大きく変わってもいいのだと。そういう実例もあるわけです。実際にその公共交通の補助金と、上が補助金なのですけど、下が運賃収入なのですけれども、その運賃収入というのは人口が減少していけば、確かに減ってしまう。よって、補助金というのも増えていく傾向にあると。
国の補助金を県に付け替えることによって、一瞬こう減ったように見せることができるかもしれないのですが、交通全体としての補助金は増えていっています。これを徐々に増やして行くのではなく、この2010年代というのは、かなりやりくりして廃線・減便して、黒字化した様に見せてきた時代なわけですが、これから地方創生の時代ですから、まちづくりのために、しっかりと負担すると、それを2020年代からはしっかりとやる必要があると考えています。
そうすることで、初めて必要な便数が確保され、移動の総量が増えることによって、交通の運賃収入の方も健全化してくるという動きが見られるようになってきます。その動きの中でEVや自動運転車を買う、車両の更新を行うというのが、本来の健全な姿なのですが、どこかで発想の転換をしないと、そういう投資に対する効果といったところが現れてこないだろうというふうに思っています。
地域ではどんどん赤字路線が増えている中で、ドル箱路線の部分もあり、ここは運賃を取ってもいいと思います。赤字路線を運賃だけで維持するというのは、ちょっと無理がある。でも赤字幅を減らすことができるスキームがあれば、そこは継続するべきだと思います。本来かかっている、今かかっているコストが赤い矢印aだとすると、何かその経営を改善して、bまでコストが減りましたとなれば、その運賃収入部分だけではそれは賄い切れない赤字なんだとなります。全体の赤字幅として減ったのだというその努力部分を、やはりどんどん評価して地域全体の経営改善をしていくといった必要があります。
今、申し上げたのはその本来かけるべきコストです。実際の費用を比較したときに、その削減といったところ、ここを今後も日本においては赤字を垂れ流して、どんどん地方公共交通を維持していかなければいけないけど、赤字垂れ流し、運行減らした部分というのは、これは費用対効果だというように見なくてはいけない。
もうひとつは、交通セクター以外の波及効果に関しても交通の効果であると見なくてはいけない。減らした分とあと波及効果で増やした分、この絶対値で持って自動運転やMaaSの事業の効果といったものを図っていかなければいけない。そういう発想の転換が必要になっています。この事例とし、横に動くエレベーターということで、エレベーターに100円200円払って乗った方って今までいないと思うのですが、縦に動くものは無料なのに、なぜ横に動くものは有料なのかと言う考えです。
羽田空港の近くにある羽田イノベーションシティーという場所では、家賃とか共益費の中に自動運転、横に動くエレベーターの費用もビルトインされています。だから、乗客から運賃をもらわずとも、未来永劫、維持管理ができます。そういうビジネスモデルというのは、すでに達成されております。羽田イノベーションシティーにおいて夜間無人走行をやっていますが、今後、レベル4を申請していきます。
さらに、こちらの三重県のVISONという場所なのですけども、新型車両を先日走らせました。VISONの中には、もうレベル4の専用道路まで確保されていて、こういったところでは無人輸送もすぐ達成可能なわけです。ここでも同様に入居している施設やお店が、この乗り物があることによって潤うため、運賃を共益費で賄うという仕組みを始めています。それを今度は町単位でやりましょうということです。
境町は運賃無料で、今も自動運転を2年半運行しているわけですが、地域交通事業者に対して我々がどういった役割を期待しているのか、社会全体をどういうふうに変えていきたいかという話もさせていただきたいと思います。
自動運転バスをBOLDLYが全国で運営運行したいわけではないのです。全国にこれまで地域交通を支えてきた交通事業者がもう何百社といらっしゃいますから、彼らが進化し、自動運転を使いこなす社会が実現すれば良いのです。ですので、主役は地域交通事業者と彼らが自動運転バスの中と外を見守って、危なくないか、異常がないか、そういったことを考えているわけです。
遠隔監視システムのその中で、例えば車内の安全はどうやって見ているのか。自動運転バス自体が安全であるとは知っていても、実は車内では乗客が突然立ち上がって歩いてみたりとか、子供たちが騒いだりとか、いろいろなことが発生します。我々はそれをAIで状況を監視して、何かあったら今ピロピロっと音がなりましたけども、遠隔管理者に知らせてくれるというような安全安心な見守りシステムを作っています。
例えば、自動運転バスが時間になったら出発して行きますと言うだけではダメです。こうやって今立ち上がって歩いて降りますと言う人に対して、時間になったから発車しますではなくて、みんなが降りて、そして新たに乗って来る人がちゃんと座ったことを確認して、自動運転バスは走っている。そういったことをやっています。ですので、一人で遠隔管理して5台とか10台見守れる世界になると、その人手不足の手動運転バス業界の効率が上がると言うわけです。
境町の方見てみましょう。この車両は走っていますね。どこかの車両に人が乗っていればいいのですけど。今、こんな感じですね。乗客がいるわけですが、何も異常が起きてないですが、例えば強いブレーキがおきまして、ちょっとした揺れでも、ある程度強いブレーキだと検知して、この遠隔監視者に知らせがくるようになっています。この強いブレーキが来たら遠隔監視者は車内外の映像を確認して、お客さんが倒れていないかと、そういったところを確認して、この対応完了ボタンを押します。もし倒れていた場合は車中のスタッフは警察、病院と連絡して救助に努めます。そして遠隔監視者はダイヤが遅れる情報を自治体とか警察、あるいは交通事業者間で連携をして周知を図ったりします。つまり遠隔側と現場で、役割分担をしてやっていくわけです。
更に、自動運転バスがどういうところで、ブレーキを掛けるのか。そういったことを日々データでまとめています。日によっても、結構傾向が違うのですが、例えばこういうところはなぜブレーキがかかりやすいのだろうかと。実は現場にとっては簡単な話で道が狭いからです。自動運転バスが走っている時に対向車が、車線にはみ出てくると、それを検知してブレーキがかかりやすい。そういったところがあるのですが、ではブレーキがかかったときにも乗り心地がいいように、ここは少しゆっくり走ろうとか、対向車から自動運転バスが見えるようにミラーを設置しようとか、道路環境の改善にも使っていくことをやっております。こうやって自動運転をきっかけに、地域が自分の頭で考えて、どんどんどんどん産業を、アップデートしていると。
そしてこの一地域で、一人の遠隔監視者が見ている際に席をはずす場合もあります。そういった時に、実は1人で4地域を見ることもやっております。こちらです。茨城県境町の実際の遠隔監視センターですが、北海道、愛知県、それから羽田イノベーションシティーの自動運転バスも境町から見られるようになっております。現場の管理者がお昼休憩とかトイレ休憩に行く時に境町にちょっとバトンタッチしますと言って、ですね、お互いに引き継ぎながら監視している。
2030年時点で手動運転バスも元気に運行して欲しいのですが、現在6万台ある手動運転バスが、人手不足により多く見積もって5万台ぐらいになるのだと思います。そういった手動運転バスはできるだけ大動脈幹線交通を担い、人手をかけられない末端交通は自動運転バスを普及させると。それを監視する人材を育成して全国で働き手として、雇っていくと、そういった形の業界構造を作っていきたいと考えています。交通事業者に何のメリットがあるのかというと、今申し上げたとおりです。
運転が自動になっても人の役割というのは非常に重要です。そういった必要な人たちを地域で雇って、しっかりと増やして行きたいと思います。バス会社のドライバーが高齢化していますけれども、自動運転バスのスタッフは若い人がたくさん就職して地域のバス会社を若返らせています。また、女性の就職率でも、普通のドライバーよりも女性が4倍就職しています。ですので、地域をどんどん若返らせて、自動運転バスをアップデートして行きましょうという形になります。
子供たちを通じて自動運転バスについてもどんどん良くしているのですけど、自動運転の完璧ではない仕組みをみんなで勉強すると。人間の目と自動でまずどっちがどう違うのかと。どっちが優れているかじゃなくて、その差をちゃんと理解して、そういった形で子供が大人に自動運転バスは、こういうところすごいけど、ここは完璧じゃないと伝えてくれたりとかするのです。今ではハッピーセットとか、そういったもののおみやげにも自動運転バスがなる時代になったのですけれども、そういったところですね。どんどん子どもの教育を通じて、社会の理解を深めていきたい。
そしてちょっとまとめに入りますけれども、これまで社会情勢中心に話したのですが、技術とスキームの両輪議論へと言うことです。自動運転バスは車だけではなく、インフラの技術とかいろいろなものが必要になってきます。
このインフラについては、境町も信号だけは手動で通過しなくちゃいけないという現状がございます。この信号の技術ですけども、自動運転車と信号の連携の技術についてはいろいろなところで議論はされているのですが、その技術の話ばっかりなのです。
最も重要なのは、それをどの予算で実装するのかとか、誰が行うのか、責任はどうするのかというスキームの議論が未着手であること。まさにそういったところが今回テーマであるというふうに聞いております。
我々は、この国交省と警察庁がその技術の話が出て、スキームの話になると、どちらのボールでもないといったような形になってしまう。そこですね。今回、デジタル田園都市交付金を茨城県境町における3年間分の自動運転で付けていただき、その中で信号を実装する費用をいただきました。そういったものを活用して全国普及のためにはどういったスキームが必要かという議論を重ねていきたいというふうに考えております。以上になります。
石田座長: はい、ありがとうございました。ご質問とかご意見いただければと思います。いかがでしょうか。はい、では甲田さんお願いします。
甲田構成員: AsMamaの甲田です。ありがとうございました。実際、境町にも行って、自動運転を見せていただいたので、特に子供の通学とかは、先ほど石田先生の方からもお話がありましたとおり、本当に子供が歩ける場所がないみたいなところでも、こういった自動運転バスが走る事で、子供の通学の安心安全が確保できるみたいなところというのは非常に有効なのではないかというふうに思いました。
また、実際行ってみたらわかるのですけれども、すごく本当にデータ管理をしっかりされていたり、ちょっと人が前を通ろうとしたら、ちゃんとバスが止まったりですね。このバスには、なんか脳みそがついているのではないかと思うぐらい、きちんと安全管理ができているところも、やはりそこもデジタルを活用されているがゆえに、素晴らしいところだなというふうに思いました。
さて、佐治さんのお話の中で、すごく興味深かったなと思うのが、その人口動態とか、それからこう街マップみたいなものをきちんとデジタル化することによって、本当に必要な自動運転バスを走らせるところですね。そういったところが、きちんと分析できるというところが、非常におもしろくて、そういったところには積極的に国が介入して行くべきではないかというふうに思いました。
一方で行ってみればわかるのですけど、ものすごく速度が遅いのですね。やはり安全を確保されているからだと思うのですけれども、またラストワンマイル、例えば病院の入り口まで行って欲しいみたいなことが叶わなかったり、ここまで行って欲しいみたいなのが当然、公共交通だから敵わないわけです。あと、急いでほしいとかですね。
地方に行けばバスとか電車というのは、もはや人の生活を支えるのに足りてないぐらい1時間に1本あるかないかみたいなところも山ほどあるわけで。そういったところではですね。冒頭の話にもありましたとおり、ライドシェアというのが、やはり私はすごくこの自動運転と並行して、特にインフラ費用もかかる訳ではないので、積極的に取り入れていくべき取り組みではないかというふうに考えています。
実際、このライドシェア、例えば、この自動運転とライドシェアを地方の方に展開していこうというふうに思った場合に、自治体の中で地域の足を考えなければいけない自治体が、ライドシェアやっちゃおうぜみたいな事なんかがフレキシブルにできないというところが、やはりそのなんだろう。本当に人を中心に考えているのですか、道路というのは本当にこう公共空間なんですかというところをきちんと考えて、このエリアではきちんとライドシェアというのも、積極的に取り入れて、この住民の移動があるのであれば、積極的に自動運転バスを導入していこう。そういった所が非常に重要なのではないかなというふうに考えました。
最後に、行ってみればわかるのですけど、佐治さんがやはりその境町の住民の方とめちゃめちゃコミュニケーションを取られているのですね。これってBOLDLYさんではないところでもできることではなくて、住民の方々の安心感というところは、こうヒューマニティで得られてきたところというのもすごくあるので、その安心安全というのも、またデータを活用して国が主導して、発表して行くべきではないかなというふうに思いました。以上です。
石田座長: はい、ありがとうございます。ひととおりご質問とかご意見いただいて、後で佐治さんにお答え頂ければと思います。はい、山本さん、どうぞ。
山本構成員: はい。ITS Japan山本でございます。佐治さん、どうもありがとうございました。佐治さんが展開している自動運転、我々ITS Japanもかなりいろいろなところで体験させていただいています。
佐治さんのプレゼンの中で、非常に重要なのは、佐治さんのノウハウがどんどん共有されなければいけない。それがうまくいったことだけじゃなくて、うまくいってないこともですね。かなりいろいろなハードルあると思いますが。
例えば昨日、実際、BOLDLYさんのメンバーとお話させていただいた時に、この自動運転で、歩道を横切る時って、絶対一旦停止しなければいけない。誰もいなくても。これってどうなのでしょうか。もうセンサーがあるのだから10m15m、誰もいなかったら一旦停止しなくていいのではないかと、こういうようなところもそうですし、あと日立のBRTなんて言うのは、これも昨日ちょっと話題になったのですけれども、BRTとして自動運転を走らす、これは自動運転サービスを何十か所増やすには非常にいい方法論だと思うのですけど、BRTの方が踏切で止まるのですよね。これってどうなのでしょうか。こういうような本当に上手くいってないハードルなんか全部が全部とは言いませんが、重要なものはこのロードマップの中のPDCAを回して、何らかの形でこの課題を解決していく、というようなプロセスというのは、やはりロードマップの中になにか入れていた方がいいのではないかなと思います。
あと、ITS Japanは自治体の方と、いろいろお話をしています。例えば、高知県に行って公共交通体系とか、利用促進策とか費用の負担のあり方とか助けてくれって、ことでいきます。しかし、実際の方はちょっと失礼ですけど、自治体の方は他の自治体の方とあまりしゃべらないのです。ちょっと熊本でうまくやっているから、ちょっと助けてくれないって。熊本と一緒に富山ではどうやっているのですか、と。こういうような自治体間共有の仕組みも、ちょっとマネジメントプロセスになるのですけれども、ロードマップの中に入れた方がいいのではないかなと思います。
あと、最後に甲田さんが言われたですね。ライドシェア。私、本当にそう思います。地元の足だけじゃなくて、インバウンドの方も含めて。私、先週ポルトガルに行ってきたのですが、本当に安心ですね。いろいろなところを歩いても、最後Uberで行けばいいや、ただ全部の地域に導入ということじゃないのです。私の近くに住んでいるところはいわゆる観光地ですけど、こんなところに入れちゃいかんと。だけど、地方創生で地方に入れれば若者が副業で、そこのところで金も稼げるし、石田先生が言われた公助共助の中の地方のそのリソースの活用も、リソースは交通事業者だけじゃないと思うのです。ここはやはり今、地方公共交通会議で色々ありますけれども、ちょっと話すべきではないかなと思います。以上になります。
石田座長: はい、ありがとうございました。
佐治さんにちょっとお伺いしたいのですけれど、今日は境町の例を見せていただきましたけれど、やはり多分に先行者利益であると思うのですよね。これから広がっていくと、そういうのが薄れていく中で何が必要か、あるいはどのように展開しようとされているのかって、ちょっと教えていただければと思いましたがいかがでしょうか。
佐治様: ありがとうございます。甲田さん、ありがとうございます。自動運転バスの社会実装ですけども、私が地域に深く入り込んでいるというのは、境町は確かにそうでした。実用化するにあたって、もう1年ほどしっかり入り込みました。これはWILLERの村瀬さんから、やる気があるなら2年間はそこに住めという教えをいただいたので、それは叶わなかったのですが、それをやったことによって、かなり効果があったと思っております。
一方、BOLDLYの社員は、新入社員も含めて私がそのマインドを教えるだけで、各地に行って入り込んでというのをやって来てくれております。愛媛県の伊予市とか北海道上士幌町だとかですね。本当におじいちゃん、おばあちゃんのみならず、本当にママ友がいっぱい居るとかですね。そういう状態になっている社員がたくさんいて、3ヶ月、人を私に預けてくれれば、全員そういう風に育てる自信はあります。
ですので、これは別に他社に対して横展開ができるスキームだというふうに思っております。ゴール設定が違うだけですね。技術の検証を目的としてしまっているような、例えば大学とかですね。ベンチャー企業というのはあると思うのですけども、その人たちの目線を一個上げてあげる必要があるのかなと思っております。
あなたの会社の技術は本当に技術で終わってないですか。製品を作る気がありますか。サービスにして売る気がありますか。保証するつもりがありますか、というところですね。しっかりと議論をして、我々からノウハウを渡すことは、いくらでもできる状態になっております。実際に我々のところに研修に来て、それを学んで返っていたという事業者もいらっしゃいます。
次ですね、石田先生からのご指摘の先行者しか、潤わないのではないかと、そういったところはあるのですが、それはある種のちょっとバブルみたいなところがあると思っております。ただ、少なくとも今、上士幌町と愛知県日進市では昨年度の単年事業だったが、今年度もちゃんと自治体で予算化されて続いているかと申し上げますと、一つには交通セクターだけで考えるのではなく、地域住民にどういうメリットがあるか、総合的に判断しましょうという議論があります。
もう一つは、われわれは自動運転バスを売りつける前にすることが実はあります。例えば地域の様子を見て、この地域にはみかんがあるなとか、かつお節があるなと、それをピーアールしてふるさと納税に出しましょうと、ふるさと納税というのは、ただの一つの手段なのですけれども、そうすると地域に寄付金として税収が3億円とか5億円入ってくるのですね。
では、その集まってきた5億円で5000万円使って自動運転バスを運営しましょう。そしてでは残りの2500万円は医療に使いましょう。教育に使いましょう。それで自動運転バスを利用する人、お年寄りとか子供を元気にしましょうと、乗る人がいないと意味がないですから。さらに観光とか拠点整備にもお金を回しましょうと。2億5000万ありますから、そういったところとか、お店の開業支援だとかですね。そういった目的地も作っていきましょうと。自動運転バスを運営する方法を一緒に考えるわけです。
石田座長: はい、ありがとうございます。須田先生と越塚先生が手を挙げられておりますので、須田先生からお願いできますか?
須田構成員: はい、須田です。佐治さん、ありがとうございました。私もかなりいろいろなところで関係させていただきましたので、ちょっとご紹介いただけたらなという話をします。
境町ではインフラ協調ということで、信号連携を始められたと思うのですが、この協調について佐治さんとしてどういうものが理想的かとか、そういうようなお話を頂けると、この論点に上手くかみ合っていくのではないかなと思うので、そこら辺、課題とか要望とかあればお話しいただけると、いいのではないかなと思いました。以上です。
石田座長: はい、ありがとうございます。続いて越塚先生、お願いします。
越塚構成員: はい、越塚です。どうもありがとうございます。私、車をやっている交通屋ではなくて、デジタル屋なのですが、今ここまでの会議でもずっとデータということが重要だということとか色々出ておりますけども、どうもデータとかそういうデータ基盤とかそういう話だと、だいたい総論ではみんなやらなければいけないよね、大事だよねって話にはなるのですけど、では、いざ具体的に一個、一個考えてみると、では具体的に何だって言うと。さあ、みたいなところというのが、ありがちなところで、そこで一番、実際に運用されている佐治さんにお伺いしたいのが、今やられている中で、本当はもっとこういうデータがあるのに使えてなくて困っているとか、こういうことができたらいいのにという。逆にデータ側へのまさに現場からのご要望というか、そういうものがあったらお聞かせいただきたいなと思います。よろしくお願いします。
石田座長: 佐治さんどうぞ。
佐治様: まず須田先生、ありがとうございます。信号協調は今ある技術を2020年代はいろいろ実装して試すと、その中で技術によらず、どこが予算を負担すべきか、また、そういった責任分担とかのスキームの話を進めていければいいかなと思っております。今、2020年代はそういう時期だと。それで技術自体はどんどん、アップデートして行きますから。携帯電話も3G、4G、5Gと世代が変わっていきます。普及した後に振り返れば、その最初にいろいろ試行錯誤した時にかかったコストというのはもう誤差みたいなものですから、今はそれをまず勇気を持ってやる。標準化はその後だというぐらいの形で行くのがいいのかなと思っております。
次に、何か活用できていないようなデータとかあったらいいなというデータありますかという事ですが、当社かなり高精度なGPS情報を使いながら、実際にバスが何分遅れで運行したとか、そういう交通状況を反映しながらデータを生むロボットみたいなものなのですね。
あとそれによって、その自動運転バスがスムーズに通れなかったところはどこかと、路上駐車があったとか、道路工事があったとか、そういったところもフィードバックが実際にできますので、それを災害情報とか、道路整備の情報と紐づけていくということをやりたいと思っています。
また、自動運転バスをセッティングする時に、3Dマップをいちいち作らなければいけないのですけども、そういうデジタルインフラとなるようなデータはどんどん国が指導して整備して行くという形になると、後からメーカーがそれぞれ別々の規格で3Dマップを作るということもなく、既にあるデータを利用することによって、低コストで社会実装が進むと思っております。以上でございます。
石田座長: はい、どうもありがとうございました。いろいろな多様なロードマップに入れるべき点についての議論もいただきましたし、ありがとうございました。それでは次は日高さんにプレゼンをお願いして、また議論を進めてまいりたいと思います。お願いします。
日高構成員: MaaS Tech Japanの日高と申します。本日構成員として発表となりますので、弊社の紹介ではなく、構成員の一員としてMaaS業界についてのお話をさせていただければと思っております。
先ほどの議論の方でもありましたけれども、自動運転もありますし、甲田委員からもありましたライドシェア等々含めて、様々なモビリティサービスというのが、世の中で実装可能になっているという中で、MaaSというものがモビリティサービス自体というよりも、こちら、MaaS Allianceのホワイトペーパー、2017年にあった定義そのまま記載しておりますけれども、インテグレーションですね。The integration of various forms of transport servicesと、多様なモビリティサービスを統合していることだと。
統合した上でこれを、1つを選ぶというのもあると思いますし、人の移動というのが地域交通だけではなく、鉄道に乗ったり、バスに乗ったり、航空で海外に行ったりということがありますので、それをユーザーにとって1つにしていくこと、もしくは地域にとっても一帯の体験として見た中で、どうモビリティを当てはめるかというところも含まれるのだろうなと思っております。
本件、地域課題解決もそうですし、都市部、日本にとっても非常に重要な概念だというように思って活動しております。その中で、モビリティサービスを連携する、今日も色々な自動運転、ライドシェア、デマンド交通、今後色々出てくると思っておりますけれども、モビリティ毎、鉄道も含めてモビリティだと思っておりますが、このような鉄道とかバスとか航空に対して自動運転、自動運転もBOLDLYさんもやられていたような、ある程度低速できめ細やかに走るものと、ある程度大きなバスで数十人に乗れて時速30キロ・40キロ出るようなものですね。何キロ出してよいか?という規制の話もあると思いますけれども、いわゆる、大きくて速くてたくさん乗れるものと、少ない人数だけどキメ細かく動けるものというところは、町の特性とか街道の特性によって切り替えるものだろうなと思いますので、このモビリティのロードマップの中でもこういう車両としてという話と、そこを走る道路もそうですし、やはり産業としてそんなにたくさんそれで作れるのか?というところも含めてですね。モビリティサービスというものをきちんと整備して、これは概要でしかないですけれども、それによって地域がどれを選択するかということができると良いのだろうなと思っております。
その上でMobility as a Services、MaaSですね。それを、色々な交通事業者、これ交通になっておりますけれども、おそらくBOLDLYさんもやられているようなモビリティサービスを含めて、それらを、一旦デジタルのところですね。先ほど、委員からも指摘あった点、フィジカル連携について非常に重要だと思っておりますが、一旦デジタルの中で、このデータですとか、サービスですとか、オペレーションを統合していって、その中でユーザーにとって最適化、それは地域にとって最適化するというところかなと思っております。
概念として非常にそうだよなと、誰も否定することのない連携とか統合というところだと思うのですけれども、実際やってみると、様々やらなければいけないことがあるのと、中々すぐできない、というところですね。
それで、こちらのMaaSレベル、Chalmers工科大学の先生が書かれているMaaSレベルの中で、情報提供とか決済、これオペレーションや走行の話ではなくて、サービスのレイヤーの話にはなりますけれども、連携がない。単一のタクシーはタクシー、自動運転車両は自動運転車両で、鉄道といった分かれているものからの、情報提供。何時に走るのとか、遅れているのとか、乗るにはどうすればいいの?とか、決済ってどうするの?というところのレベルに応じてですね。情報提供がレベル1、予約とか決済がレベル2で統合された状態ですね。レベル3がサービスの方。一部、運行の調整とか含めた話かなと思っております。
日本の中だと独占禁止法がありますので、交通事業者間で勝手に調整というのは中々しにくいところでありますが、それの法改正というのもされていくと思っておりますので、レベル3のところ。4のところがインテグレーションポリシーと、それらの機能を使って、中々MaaSアプリだけはできないもののオペレーションの連携も含めて、その地域での政策課題を解決していくと。これグレーになっているのは、おそらく色々な意味あると思いますけど、4に至るまで結構大変なこともあるけれども、ただ政策を決めたから全部できるわけでもなく、テクノロジーがあればそれが実現するわけでもなく、やはりそこを目指して政策とテクノロジー一体となってやっていこう、というところかなと思っております。
そうなると連携も必要だし、やはり投資も必要だし、競争も必要だという所になると、やはり競争していく部分と、コラボレーション、共に創るという意味での共創の部分というのは、分ける必要があろうかと思っておりますし、デジタル庁さんの資料より引用させていただいておりますけれども、この共助の考え方の中でも、データ連携基盤というところは、1つ国としてやるべきだろうなということで記載されていて、私もそうだなと思っております。
特に、プラットフォーム的なものとか、モビリティサービス一般のところについては、やはり協調的に構築されるべきというのは、地域ごとにやっても中々マネタイズ、難しい投資を呼び込めないということもありますし、やはり事業者を超えてやらなければいけないとか、自治体の中で一自治体ではなく、複数自治体でいっせいのせ、でやらなければいけないこともあると思いますので、その部分は共助領域なのかなと思っています。
その事例としまして、例えばウィーンですね。オーストリアのウィーンだと、交通局さんの中でモビリティサービスのプラットフォームというのを、自治体で予算を出して、実際そこを担うのは民間の事業者ではあったりしますけれども、そういうものを使って、あらゆるモビリティサービスというところを一元化していくと。
それによってユーザーにとってバラバラにならないという話と、こちらちょっと発表資料を引用させていただいておりますが、それによって例えば徒歩比率で交通分担率と言われるような、この地域で自家用車が非常に多いとか、このくらい少ないというところを、自転車を増やすのか、自動運転の比率を増やすのか、もしくはコンパクトシティにして移動総量は減っても生活が維持できるようにしていくのかというところ。さっき石田先生からの発表でも様々なデータによる分析ございましたけれども、移動手段をどう選択されているか、ここが足りないから、今後重点的に取り組もうというところも含めて、こちらもデータがないと分からないです。調査すれば、カチカチ数えればわかるかもしれませんけれども、それが常時となっているか、自動運転車両を入れたらどうなるか、といったところがきちんとフィードバックされるというところも、こういう適切な政策をする際に重要なのだろうなと思っております。
こちら、ドバイのIPS会議2019の時にS’hailさんが発表されたもので、ユーザー向けにサービスを統合するところ以上に、地域の中で交通とかモビリティサービスが統合され、データ分析だけではなくオペレーションですね、カーシェアをどう使ってもらうかとか、レンタカーはどうか、ライドシェアを入れるならばその利用率がどうかというところを、それらのデータを統合した上で、サービスオペレーションも連結させていくことに非常に価値があると。もうこの氷山の一角が分かりやすいですけれども、MaaSと言うとMaaSアプリ、もちろん非常に重要でありますが、オペレーションの連携というところも非常に価値があると。それをMaaSと呼ぶかどうか、色々ありますけれども、そういう発表がなされたと思っております。
その中で、日本の中で、地域の課題解決もありますし、ちょっと協調的なというところの意味合いでの事例についてご紹介差し上げますが、こちら関西エリアで、関西の鉄道7社で共同で構築していこうということで、鉄道だけではなくて、今後二次交通、バスとか、ほかのモビリティも連携していかれると思いますけれども、このような事業者間で連携するようなケースもありますし、あと九州のエリアですと官民連携で全県ですね。九州、山口、沖縄の各県を含めた七県と、交通事業者が連携してやっていこうということで、よく官民連携が必要だということがありますけれども、実際その会議体をもって定期的にミーティングをして、実際にそこでお金を集めて、デジタルプラットフォーム構築しようというような取り組みで、交通だけではなくて観光ももちろん、もっとこのようなものあるだろうというのはあるかもしれませんが、これだけ多くの主体が連携して進めるということは、中々力のいるところでもありますので、こういう事例も、日本の中で取り組まれているというところもご紹介しております。
その中で、MaaSアプリコントローラの観点ということで、今回ロードマップの中に都市OSのようなものがどこまで含まれるかと言うところがありますけれども、私は自動運転の技術とか、インフラ協調のその地域ごとのフィジカルとデジタルの間の話もあれば、サービスレイヤーとかオペレーションレイヤーのデータ統合というところも、必ず関係するところなので、その議論の中に是非入れていただきたいなと思っております。
それを実現する上で、一地域の話も重要で、一つの地域の中で、データも自動運転もライドシェアも全部フルセットでできるようになったという一地域の話も、深堀は重要だと思いますが、特にデジタル調査の国全体の話になると思うので、日本全体でやろうとした時にどうなるかというところで、仮に記載をしております。
海外でスマートシティ都市OSとかMaaSというものがやられる時に、非常に面白いなと思っておりますが、それをすぐ日本に持ち込めるかといった時の、その課題感について2つ、この図でお示します。
一つはやはり交通事業の特徴というものです。これは公益として行政機関が主導権を持ってやりつつ、民間に委託するという話なのか、認可はするけれども、基本的に民間の事業性に任せて交通事業をやるというところとどっちが良いかという話は、民間で事業努力をしてやっていくというところは、素晴らしいなと思っていながら、海外とちょっと形式は違うというところと、あと少し数が多いというところですね。
地域ごとに競争政策が取られることにより、バスが1社しかないというところもありますけれども、複数社が競争しながら地域の構造を支えてきたというところで、鉄道で言うと、鉄道・バスもこれだけの面積の中にこれだけの事業者数があるというところは、少し変わっており、デジタルでつなぎ合わせるというところになると、公益的にやるところだと、こうやりなさい、で出来るかもしれませんけれども、民間事業でやっている中では、そこをどう制約するかという話。分離、異種、数のシステム観点で繋ぎ合わせるというところは、越塚先生も取り組まれていらっしゃると思うので、そこは後でコメントいただきたいですが、この難しさ、テクノロジーとスキームの話がある。地域で、誰が交通全体をマネジメントするのかと、これMaaSオペレータと勝手に書いておりますのでその言葉でなくても、地域ごとに鉄道とかバスとかがライドシェアとか、今あるモビリティと新しいモビリティをどう棲み分けるのかというのを、行政機関で考える。
一応、そうだと思っていますけれども、そこに、ある民間事業者さんで新しい方が入ったら、では皆廃業すればいいのでしょうか?という話を、誰がどうステークホルダーを調整していくのかというのも、行政だと協調的に、とか、公益的な視点が必要であるし、民間だとある程度お金が儲からないと事業としてやっていけないという所。そこに補助を入れるかということも1つ策だとは思いますけれども、この事業利益と公益性というのをどう両立するかというのも、別にMaaSに関わらずモビリティを考える上では非常に重要なところ。都市OSを分けるもあるかなと思っております。
そこの、基本的にこの話だなと思っておりますが、システムの話ですね。先ほど、どのようなシステムがあればいいと思いますかということで質問もありましたけれども、やはりモビリティや交通といってもですね、ライドシェアもそう、デマンドもそうですし、鉄道とかバスに至っても、利用者が利用されている観点とか、あとGTFSとどう運行されるかというデータ自体も、まだまだ整備がされていないところがあると。いくら走っていても何時に来るかわからない、それが伝わらない、調べてもわからない、というところになると、中々そのモビリティサービスへのアクセシビリティが悪いと言う形になってしまうので、いいサービスなのであれば、それをみんなが知れる状態で、かつもちろん現金決済でも良いし、無料でもいいかもしれませんが、決済・予約というところも一元化された方が、それは利用者にとっては使いやすいだろうと。
あと地域の中でどれだけ使われていたのかというデータを、鉄道の改札から取るのか、ICカードから取るのか、スマートフォンの基地局から取るのか、タクシーなどそもそも出せるのか、ということを考えると、中々ここもデータが異なるという話もあり事業者も異なるのでかなり大変な作業だなと思っておりますし、弊社では、これをどうにか解決したいと思っておりますが。
その中で、先ほど協調領域、共創領域の話がありましたけど、これは私の個人的な意見として、このような設定ができないかというところでございます。例えば産業として見たときに、先ほど村松委員からも投資をどう呼び込むかというところで、ある程度事業性が見えないと、ずっと補助金しか出ないところには、スタートアップもそうですし、民間ではなかなか手を出しにくいと言うところで、そうすると、例えば共通要素が多くて、正直、誰がやってもあまり変わらない、差異が生まれにくい、かつインフラとして重用。例えば時刻表データは、誰が作っても時刻表データなので、それの整備はインフラ的で、それがあれば経路検索もできますし、サイネージを用意して自動運転が何時に走りますよとか、例えばですね。そのレイヤーについては、協調的にみんなで整備をしていって、我先にと争って事業で皆がバラバラになるものではなく、ここはもう協調領域として、国で一括にやるのか、どこかの事業者さんで一括にやっていこうと。分担でもいいと思いますが、そういう協調領域。これ我々MaaSの領域だと情報提供とかになると思います。おそらく自動運転ですとか、その色々なライドシェア基盤というもあるのではないかなと。
一方、多様性があったり、事業性が高かったり、もしくはイノベーションが必要だと、一回作って終わり、ではなく、順次改善が必要なところについては投資が回る必要があると思いますので、運営費を補助するだけではなくて、ある程度利益が出て、これに投資すれば儲かると。
そうするとスタートアップだとエクイティも調達できますし、銀行さんも保有してお金貸してくれるなど。その分は協調領域として残し、日本の民間での活性力、民間での努力が必要な部分を競争領域にするのが良いのではないかなと思っております。これ言うは易し、だと思いますが、是非この視点でモビリティ・ロードマップの中でも整理ができるといいな、という風に思っております。
それをさらに意訳した図ではありますけれども、ここも先程のとおりで、別の視点で見ると、甲田委員からもありましたとおり、民間と行政ですね。これBがビジネスです、民間事業者で。Gがガバメント、ローカル部分も含めて県庁・市役所といった行政で。Cが、コンシューマー、カスタマーのところで、図にするとこうなのですが、MaaSというのはB、いわゆる交通事業者さんが連携してやっていくというのもありますし、このGの人たち、地域の交通にとって事業者さんが連携して何かやろうという地域からBの連合に対して、というのもあるかなと思っております。
Bの下に、他の産業、他の事業者って入れているのが交通、元々民間の交通事業者さんも不動産収益の方が交通事業収入より高いというベースのところも非常に多いです。もちろんそうではない、運輸で儲かる路線を持っているところと、場所、不動産や交遊で儲かる事業モデルがありますけど、いわゆるコングロマリットな事業形態をとっているというのが、日本の民間の交通事業の、鉄道とか大手のバスの特徴だと思いますので、そこの構造で、左側で言うとGの人たちは公益的な価値、人が少ないとか、儲からないからやらないとなると税を徴収している上で、その地域の均衡ある発展をしなければいけないと言う中にモビリティがある。となると人が多い、少ないというよりも、色々な場所にきちんと人が生活できるという公益的な価値を担保しないと。
一方、民間になるとやはり事業収益というものが必要になるので、そこも公益的価値と事業収益、似ていますが、たまに180度別のベクトルを向くときがどうしてもあると。やはり、この議論を地方と都市部で分けて良い、ではなく、その議論をしっかりできると。バスに対する補償というスキームが公益的な価値のために事業収益を賄うと、さっきの佐治さんの話もそれに近いと思いますが、そのスキームだけなのか、もしくはただモビリティを同じ対象でやっているので、この観点をどうやれば解決できるのかというところは、チャレンジングでありながら必要かなと。
その中に相互の調整や最適化のためにデータ活用というところ、このデータを基に行政は、こういうところにお金出して、民間でも、こういうことが協調領域でやってもらえるから取り組もうというのは、産業構造も変えられると良いのではないかなと思っております。
まとめです。簡単にしますけれども、やはり、日本の地域の交通課題とか、産業創造のためには、我々MaaSと呼んでおりますけれども、モビリティ交通に対しての概念整理と、定義付けや、アクションへの落とし込みというのはさらに必要な段階だなというように思っております。
併せて、やはり交通で閉じると、なかなか実態と合わないと。事業収益の話が合わない時があるので、官民を含めて業界全体の俯瞰的な視点というところも必要かなと。さっき石田先生のお話で、私もMaaSとかモビリティサービスにばかり見てしまっているので、道路の話とか賑わいの話というのももちろん必要な話で、そこは必要だなと。
3つ目ですけど、そういった意味で、やはりやることと考えることというのは、特に自動運転と交通地域課題というものが合わさっている現状で言うと、まだまだ色々なことを考えなければいけないし、研究会でも実装されているとはいえ、まだまだ進化させなければいけないところで、データを整備しなければいけないところって必要なの?となって今の段階でロードマップ策定というのは本当に、大きな影響があるなと思っております。
4点目。民民連携とか官民共創という話はありますが、やはり財源の話とか予算権限の話とか、端々で途切れてしまうところもありますので、その隣だった県でどうするか、というところもありますし、民間同士で連合しすぎると、公共性の取引なのかというところも若干あり。まだライドシェア話もあると思いますので、その規制緩和とかルールメイキング、あと業界全体での合意形成も必要だろうなと思っております。
最後、そのあたり結構ややこしい話でありながら、先生の仰っていた論点がここで出されていると思いますので、協調的に行うというところの上に、伸ばすべき投資と。今もスタートアップ支援ということで、政府の皆さんもしていただいているので、事業成長のあるところを伸ばしていくような、政策的なものもそうですし、アーキテクチャというか構造ですね。システムだけでなく、事業としての構造についても議論できると良いだろうなという風に思っております。私からは以上となります。
石田座長: はい、ありがとうございました。今の日高さんのプレゼンに対してもご質問とかご意見、アイデア等ございましたらお願いしたいと思います。いかがでしょうか?はい、村松さんお願いします。
村松構成員: 日高さん発表ありがとうございました。すごく共感することばかりなのですが、受益者負担という表現もできるかと思っております。何かと言うと、純粋にその自動車に乗った人だけが、その費用負担するということではなくて、先ほど佐治様からの発表にもありましたが、「街全体の経済効果が実現されました」となったら、その受益者というのは市町村等になるかと思いますし、また自動運転車が走ることによりスーパーマーケットの売り上げが向上しました、飲食店の来客が増えました、となれば、その受益者はそれらの店舗になるかと思います。投影頂いている俯瞰図を見てですが、ステークホルダーをもっと具体的に可視化、増やしていって、可視化されたステークホルダーを含めて全体を巻き込んでいくと、全体としてビジネスができてきて、正のサイクルが回っていくのかなと思いました。ありがとうございました。
石田座長: はい、ありがとうございます。はい、川端さん、どうぞ。
川端構成員: 非常に移動を中心として、全体社会の、お金の流れも含めてだと思いますが、生活とか資金の流れを整理していただいて、非常に分かりやすくて良かったなと思っていました。
実は、多層構造で利益を作っていかなければいけないと思っていて、例えば皆さんがよく事例で、MaaSの場合はフィンランドのWhimとか、あとエストニアのMaaSとか取り上げられるのですが、実際行ってみるとWhimも入れてしまうと、結局乗り放題のものを選んだ人がタクシーばかり結局乗って個人移動になってしまう。
利便性が高いので、個人移動を使って結局CO2がたくさん出てしまうというような話が出たりとか、あとエストニアもガバメントよりで、都市税を課して都市部の人は全員住民票というか、いわゆる日本で言うマイナンバーカードで全部乗れるようにしていますが、結局それってお金のある人はやはり自家用車にシフトしてしまったりとかします。
そうすると、そのガバメントとか、公共性のある者がある程度基盤を担保するために税収を使うというのは非常に重要なのですが、それだけで担保しようと思うと、やはりその利便性で、お金のある人は資本で動いてしまうという構造があるので、資本で動く人と、その公共交通として担保しなければいけないところを、実は二重にお金の構造を作っていくと、いいかなという風に思っています。
例えばですけど、IKEAとかは割とこう、皆さん家具屋さんだと思っていますが、不動産事業者的に動いていて、荒野の土地のようなところを買って、IKEAがあるので人が来るというような形でcirculationを生んで、IKEAはそのIKEAに行く交通ぐらいは自分のところで担保しているのですね。
その結果、その周辺に家具を買うのは新婚さんだったりとか、お子さんがこれから増えるという家庭が来るので、消費がある程度活発な世代が集まるという前提で、IKEAの土地に店子を置いて家具屋さんですら置いてしまうというような構造にしています。
そうすると、公共性のある構造を作った他に、そういった事業性のある構造を上手く乗せるということで、人のcirculationを産むというところはやはり事業家の方が上手いので、その辺のバランスですね。どちらかの責任というよりは、公共性の担保する部分とか、例えば、この地域だと公共事業よりもその資本の方が、大きく入ってくるだろうという構造が作れるのであれば、公共のところを下支えに入れて、事業をどんどん誘致することもできる。
この地域に対しては、公共性というのはなかなか現状難しい、将来に向けて作っていこうという場合は、最初はガバメントのお金を大きくして、例えばそれを段々減らすような形、このタイミングでこういった資本を入れていこうとか、資本を誘致していこうという計画を立てて、全源泉的にこう減らしていくとかといった計画を立てる方が良いのではないかなという風に、たくさんの海外の事例を見ると思っていて。
特にイオンが進出して、イオンが無くなってしまうというようなところで、突然寂れるといったことが資本だけに頼っても起きますし、でもその場合では、何故イオンが撤退するかというと、イオンが撤退することを非難する前に、イオンの周辺の土地が例えば栄えても、実は不動産で、イオンがそのMaaSとかを担保してでもあまり儲からなくなってしまえば当然いなくなってしまって、突然circulationを稼いでいたプレイヤーがいなくなるといったことが発生するので。もう少しその辺は資本で動くところと公共で支えなければいけないところというのを、上手に組み合わせて行けると良いなという風に今日話を聞いて思いました。
石田座長: はい、ありがとうございます。越塚先生が手を挙げていただいていて、次に発言いただきたいのですけれど、今日参加いただいて、まだ発言のない構成員の方もおられますので、是非ご発言いただければと思いますので、お願いいたします。越塚先生、どうぞお願いします。
越塚構成員: すみません、ありがとうございます。お話しを伺っていて、大変共感するところが非常に多くて、冒頭村上さんの仰っていたところで、特に地方の方でモビリティ単体ではペイするのはなかなか難しい、トントンにしても難しいよねというところが、そもそもこの会の始まりだったかなと思うと、それで単体だと、そうやってペイするのは難しいと、話2つで、競争領域をやめて協調領域にしてしまうのかという話が1つと、もう1つは単体で行かないなら単体じゃなく組み合わせようという話で、他の事業と連携する、というところで、要は儲かるところと連携して、モビリティとしても成り立つという形にしようと。
おそらくこの二つのアプローチで多分MaaSやられてきた中で、どちらもすごく悩ましい中で現場をやられてきているのではないかなということで、逆に、お伺いしたいのですけれども。そうすると、これも先ほどのデータの例でもそうですが、こういった事業統合といった話も、総論そうだが、では各論によるとどうすれば良いのかといったところで、やはり現場でこれだけやられていて、このような統合したMaaSというのは、世の中的にはよくあると言われていますが、本来これは駄目で、本当はこの事業統合みたいなところとかサービスをくっつける時に、現場でやられて行けるところ、行けないところというのも現場感覚というのがあると思いますが、その辺肌感覚でお感じになられているところがあるとご教授いただければと思います。お願いいたします。
石田座長: はい、ありがとうございます。では甲田委員お願いします。
甲田構成員: はい、一言だけ。これがビジネス規模として大きくしようと思うとすごく難しいのですが、例えば日本中に子供食堂が広がっていったように、もっと非営利活動法人だったり、さっきのライドシェアも1つですけれども、シェアリング的な発想だったり、そういったものを入れていくことによって、一から百までをある日突然解決しようとしないで、できるところから民間ベースでやって行く、というような考え方というのも、非常にあるのではないかなという風に思いました。
石田座長: 日高さん、レスポンスがありましたらお願いできればと思います。
日高構成員: 越塚先生のご指摘と甲田委員の話を両方含めて、上手く活かせるというところ。正直、もう我々もデータ基盤一生懸命作って可視化をして、そこからのアクションにもがき苦しんでいるところ。今、広島とか九州とかですね、塩原とか色々なところでやっていく中で、ひとつ、データのデジタルの部分は頑張って作れば良いかなと思うのですけれども、その先でどういう選択をするかというところが、なかなかまとめるのが難しいと。
利用者が減っている中で、何を残して、何を増やして行くかで、しかもそこに新しいモビリティもあって、その中で言うと、何かひとつ新しいモビリティをどうするかという話もあれば、既存の民間で行っている交通インフラが、今どういう状態で、今後どうなっていくと良いかと。
つまり、例えばバス事業で見ると、おそらくもう大型二種のドライバーというところの採用とか担い手とかが、そういった状況であればトラックの運転でもやろうかというところも含めて。で、かつ運賃も取れないのでその給料も上げられないという中で言うと、バスのドライバーというのが中々物理的に確保しづらいと。
例えばライドシェアでこの部分というのは担っていただこうかというところは、比較的誰も反対しないところかなと。一方で、収益をきちんと取って、バスの運転手さんにもきちんとお給料をもっとたくさんあげたいと、そうしないとできない、タクシーも含めてですね、というところに、ちょっと急にライドシェアがポンと入って利用者が減ってしまいますというところで、ライドシェアのところは共助の考え方で良いと思うのですけれども、地域を支えていた民間のところが、移動がせっかく束になっていたところが、Door to Doorでいけるとは言え、そちらの事業が崩れてしまうというところは、MaaSって一言で言うと、三文字ぐらいで言えるのですけど、結構そういう物が全部含んだ概念で、かなりややこしいなと思うのですが、ただこういう事業性評価をやるのだというのが一個作れれば、先ほど仰られたような新しいモビリティというのも地域によっては自家用車移動を賄うものとして必要だと思う。
石田座長: プレゼンの中でも強調されております、共創と協調というところですね。理由は簡単だと思いますけれど、やはり一つ一つ具体的に考えていかないと、話が絶対にかみ合わない。そういった中で、スピード感を持ってロードマップをどう作っていくのか、ものすごく難しい課題だと思っております。その辺についてもう少し追加で討議したい。
日高構成員: そうですね、石田先生の仰るとおり、MaaSの業界でMaaS Allianceさん、新しい事務局長の組織のビジョンの中で、ナレッジループという、どこかでループさせるというのを掲げられて、MaaSもそうですし、交通も含めて新しいモビリティが入るときにどういう合意形成をしないといけないか、そこに対して全体をどういう評価するか、というループを回していく上で、どれが良いかわからないけれど、少なくとも正しい色々な情報を基に判断がしやすくなる、正解にたどり着きやすくなる。
そのナレッジループを日本の中でもそうですし、海外とどうループしていくかも含めて、どのように地方自治体さんとか、これGとBでいうと国とかの方々にもそれを義務付けるにはどうしたらよいか、戦略コンサルに委託しても無理なので、そういうノウハウを共有化して、自治体の方とか地域の交通事業者さんの方もこのようなやり方があるのかとか、このようなものに沿って確かにエクセルで整理が行えるなどがやりやすくなると、それがデジタルでやれるところかなという風に思います。
石田座長: ありがとうございます。今仰ったこと、佐治さんが実践されている、まさにそのものだと非常に心強く思いました。須田先生、手を挙げてられます。ご発言をお願いします。
須田構成員: 日高さんありがとうございました。私もMaaSをうまく活用していきたいと思っておりますが、そういう観点からいくと、やはりモビリティで一番重要な話というのは安全ですね。MaaSによって、そういったところや、先ほども少し話が出ましたけど、CO2削減などに、かなり貢献するかと。このような仕組みをもう少し打ち出していくと色々なところで実践できるようになっていくのはないかなと、そのように思いました。そういう意味で、CO2が少ないルートを選択できるとか、などを取り入れていくと、社会的に受け入れられるストーリーになるのではないかなと思いました。以上です。
石田座長: ありがとうございます。波多野さん、少し前の、自動走行ビジネス検討会で、自動運転バブルもMaaSバブルもはじけてしまったと発言されており、感心したのですけれども、私は少し表現が違うのですが、弾けるほど膨れてないので。しぼんでいる、しぼみつつあるというのが正確かなと思っていて、その裏には、弾けてなければまた膨らませることができるだろう。そういうことに対して、自動運転なりMaaSというのが、どういうところに頑張っていけばいいのだろうか、というのが今日の、あるいはこの検討会の中心的な議論の一つになると思うのですけれども。
突然で申し訳ございませんけど、そういうことに対して、あるいは日高さんのMaaSの議論に対して、コメントありましたら是非伺いたいなと思い、名前を出してしまいました。
波多野構成員: ご指名ありがとうございます。私、今回自工会という立場で参加させていただいておりまして、特に自工会は今技術軸と事業軸と両面で連携いただいておりますが、私は今回、技術面で、今自工会がどのように、業界、産業界としてどのように議論させていただいているかをご議論させていただければということだと理解しております。
そういった意味で、技術面から近い将来、無人の移動サービスを社会実装していくということを考えるわけですけれども、やはり技術にはですね、限界というものがあって、特にシステム単独で、ヒトに頼らず自律自助の姿で実現しようとすると、そのためのルールというか、先ほど須田先生も安全という言葉を仰っておりましたけれども、安全に提供するためのルールメイキングというのは、昔で言うと官民ITS構想・ロードマップは2014年からですから、6、7年かけて整えていただいたということかと思います。
ただ、今日皆さん議論していただいている、地域公共交通も含めて、移動した、移動サービスを提供したい、エリア、範囲、シーンというものを考えると、まだまだ自律して解決できるかというと、それに対しては不足があるのだろうと。定性的には共有されていると思います。そうなりますと、足りない部分はもう自律の限界を超えてしまう可能性が高いので、共助であったり公助であったりという考え方、これをどのように当てはめて充足していくか、いわゆるサービスしたいエリアの中で、安心安全でいられるかという議論。そういったことはですね、共助・公助のルールメイキングで、ざっくり言ってしまうと乱暴ですけれども、まだまだこれからの議論があるのかな、という理解をしています。
移動を言いかえると、公共交通の環境を、自動運転だけではなく、交通参加者全てが共有していると考えると、自動運転だけに無理難題を押し付けられるとちょっと難しいなというところがあるので、是非全体としてどのように実現していくかというところ、自工会としても考えておりますので、共有させていただき議論を進めたいと思っております。
事業軸に関しては、私個人的にはお話しする立場にありませんので、差し控えますが、本当に石田先生が仰っていた、モビリティを社会と組み合わせて考えていくというところに関しては、非常に大切な論点と思っておりますので、我々としても関与していきたいと思いますが、自動車を提供してきた産業界の立場で一つお願い申し上げるとすれば、モビリティは単純に空間的なものではないと思っております。
モビリティというのは、空間と時間が掛け合わされたものと考えると、例えば60人の人を運ぶために、60台車両がその街を通るのですけれども、ずっと60台がここに留まっているというのはありませんので、そういった意味で、空間の利用の仕方というのは、もっと広がりがあるというか色々な考え方ができるのかなとも思っておりますので、是非そういった部分も技術的なところも含めて、議論に参加させていただければと思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。本日は私からは以上でございます。
石田座長: ありがとうございます。日高さんに質問ですが、九州と関西広域MaaSって非常に面白い、優位的な取り組みだと思うのですけれども、事業者のすそ野を広げていくということがすごく大事だと思っております。ところが、デジタルだの、アプリだの、データプラットフォームだのと言うと、エーッという人結構多いと思うのですが、そのようなすそ野を広げていく取組みって、九州とか関西で何か具体的にやられていることがありましたら、ちょっと教えていただきたいなと思っているのですが。
日高構成員: 関西の方で、コンソーシアムを作りながら、デジタルプラットフォームだけではないものの、デジタルプラットフォームって基本1個になるので同じ地域で複数バラバラに作って繋がらないよりは繋がった方がいい、参加者みんなで分担するので安くていいものが作れるだろうという、結構そこは単純というかシンプルな思考なのかなと。
その中で、デジタル庁様が取り組まれていると思いますけれども、やはり小さな、現状は赤字の状態の会社さんがデジタルプラットフォームを自前で作るというのは中々難しい。そこに民間事業者さんが売り込みに来るケースもあるかもしれませんが、中々払えないと。
そう考えると、ある程度地続きだったり、路線続きだったりというところで一緒にデジタルプラットフォーム、データ連携とかアプリとかというところは繋げていった方が、やはり交通とか人の影響を考えると、ネットワークが繋がっていれば繋がっているほど遠くに行けるというところのネットワーク効果、交通としての当たり前の効果が生まれるので、まずそういうところの趣旨であればできると。いたずらに広ければ良いというわけではないですけれども、主体者が多いときに活かされるというのもありますし、さっきのナレッジループというようなものも、小さなところでの課題解決を小さなところ同士で、大きな広域の話は広域のところでというように、そういうことができるといいのではないかなと私は思います。
石田座長: 関西の鉄道会社、そういう風な意識で持って色々なところ巻き込むことを上手くされている、こういう風に理解してよろしいですか。当事者ではないと思いますが。
日高構成員: 私の存じ上げている範囲では、組織を作って、鉄道会社さんがプラットフォームを作りつつ、その先の循環という形で、バスとか他の事業者さんとも一緒にやっていると。一つ、2025年の万博というのもありますし、そのレガシーでというところで、事業者さんが一緒にというところはニュースに載っていました。
石田座長: ありがとうございます。最後に全体の進め方等とかですね、何かご要望とかご意見ございましたらお願いしたいと思いますが。いかがでしょうか。どうぞ。
日高構成員: 1か所でいいので、1セットでやれるといい気がしておりまして、自動運転は自動運転でやることたくさんあるし、MaaSはMaaSでいっぱいあると。それを色々な地域でやりながらノウハウを結集させるというやり方もあると思うのですけれども。
まずモビリティサービスの中で言うと、時刻表データをちゃんと整備して、個社個社含めて、それをデマンド交通とか、コミュニティバスとかを含めて、もしかしたらそこに道路も、一か所に全部をやとうというわけではないですけれども、大体将来こうなるだろうな、というところまでを、全部揃えたような取り組みができると、それが成功例なのか、将来すごく進化してもいいと思いますけれども、末広くやらざるを得ない共創性の方でそういうものが国としては必要と思うのですけれども、どこか理想的な街でもいいですし、どこかの街でいいので、これが全部揃っていると未来のモビリティサービスとしては、一旦この年度まではここまでできていると。マイルストーンを作るためにそれを何か具体的に考えるといいなと思います。
石田座長: ありがとうございました。大事なポイントだと思います。最後に少しだけ私の感想を申し上げたいと思いますが、やはり皆様の意見に通底していたと思うものが、私の考えでもあるのですが、価値ってどう考えるのだ、ということをやはりちゃんと見せないといけない。
その上で、よく言われることですけど、ビジョンというものをどう作っていくか。この作り方というか、今日高さんが仰ったような、どこかできちんと作るということが大事だなと。それだけではない、一つのexampleとして作るということですね。そこに向けて、何をどういう形で進めていくかということなのですけれども。
時間軸の話が、それほど意識はされていませんでしたけど、相当な時間がかかるものの、そうはいっても待っていられないよとか、すぐにでもできるよっていうなところがあります。その辺やっぱり注意してやらなくてはいけないよね、という風に思いました。
それともう一つは範囲をどこまで考えていくのだと。クロスセクター効果で、私が思い出したのは、10年ぐらい前だったと思いますけれども、富山市の前の市長の森さんが、交通を整備することによって、高齢の方が外出するようになって医療費が確実に下がっている。あるいは、富山市って結構広いので、遠くから富山市の中心部に来ると公共交通の費用をすごく割引すると。
それによって中心部の賑わいができて、都市計画で地価が下がらずに、都市計画で固定資産税が上がって税収にも良いと。それも実証されたのですが、例えば国全体の建てつけの問題として、医療費予算が良いようだったし、中々すごいクロスセクターそのままに。改善していると思うのですけど。でもそういうことだけで、諦めるのではなくて、そういう風に世の中を動かしていくためのエビデンス。アウトカム指標のようなものと、時間軸と範囲重ね合わせながら、やっていかなくちゃならないのかなという風に思いました。
そういうことをでは、具体的にどういう風なアプローチ、どうスケールさせるかというところについて、今日色々なところでお話が出ましたので、誰がどこでどう取り込んでいくかということも大事なポイントとして、今日ご指摘いただいたのかなと思っておりまして。
短期間であと3回やらせていただきますけれども、引き続いて色々な議論をしていただければありがたいなという風に思いました。今日、時間コントロールであまり苦労しなかったので、もうちょっと苦労するように、是非活発に議論していただけるとありがたいなと思っておりますので、次回以降よろしくお願いいたします。