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「モビリティ・ロードマップ」のありかたに関する研究会(第4回)

概要

  • 日時:2023年7月12日(水)10時00分から12時30分まで
  • 場所:東京ガーデンテラス紀尾井町4階 紀尾井カンファレンス セミナールームA(オンライン併用)
  • 議事次第:
    1. 開会
    2. ご発表、討議
      • 「「交通と他分野との関連性について」~ 行政目線からのロジック化・データ化の試み ~」(香川県三豊市政策部地域戦略課 近藤様)
      • 「インフラ視点でのモビリティについて」(岡本構成員)
      • 「日本自動車工業会の自動運転レベル4社会実装に向けた三位一体の取り組み」(波多野構成員)
    3. 閉会

会議動画

会議の様子はYouTube(デジタル庁公式チャンネル)にて公開しています。

資料

議事録

麻山参事官: おはようございます。7月から鈴木の業務を引き継ぎまして参事官で参りました麻山と申します。これから皆様にお世話になるかと思いますが、よろしくお願いいたします。

定刻になりましたので、ただいまから第4回「『モビリティ・ロードマップ』のありかたに関する研究会」を開催いたします。

統括官の村上は少し遅れておりますので、本来ご挨拶をさしあげるところでしたが、参り次第、ご挨拶させていただきたいと思います。

また、ご挨拶もさせていただきましたけれども、次長の蓮井が今回より、この研究会も担当することになりましたので、ご紹介をさせていただきます。

本研究会ですけれども、ライブ配信を実施しております。また、終了後はデジタル庁のウェブサイトで録画の公開が行われますので、その旨、ご承知おきいただければと思います。

それでは、石田座長からご挨拶をよろしくお願いいたします。

石田座長: おはようございます。

4回目になりまして、お忙しい中、本当に毎回ご参加いただきまして、かつ、いろいろな議論をしていただきまして、ありがとうございます。

今日も3人の方から話題提供をいただきまして、12時半までみっちり議論してまいりたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。早速始めたいと思います。

ご参加の皆様は、Teamsのチャットで質疑やご意見を発表中でも構いませんので好きなタイミングでご投稿いただければと思いますので、よろしくお願いいたします。

早速、議題2の「ご発表、討議」に移ってまいりたいと思います。香川県三豊市の近藤様よりご発表をお願いいたします。

近藤様: よろしくお願いいたします。

私のほうからは、三豊市の取組ということで、「交通と他分野との関連性について~行政目線からのロジック化・データ化の試み~」ということで、昨年度から少し取組を始めたことについてご紹介をさせていだきたいと思います。よろしくお願いします。

まず、香川県三豊市の概要を説明させていただきます。

三豊市につきましては、平成18年1月に7つの町が対等合併して発足した町でございます。四国香川県の西部に位置しまして、香川県では2番目となる222平方キロメートルを有しており、左下の紫雲出山というところなのですけれども、海外メディアに取り上げられた桜の名所、右下の父母ヶ浜というところにつきましては、5年前からSNSで人気が急上昇し、今では年間50万人が訪れる県を代表する観光スポットとなっております。そういったのどかな田園地帯を有する自然豊かな町でございます。

人口の推移につきましてですが、全国平均より高い高齢化率、出生率も年々低下しておりまして、人口減少も合併から16年で約1万2,000人が減少したということでございまして、合併前の1つの町がなくなるぐらいのインパクトがございます。人口減少の対策は喫緊の課題となっております。

そんな三豊市は合併以来、中心市街地がない町でございました。ならば、中心市街地をあえてつくらず、コンパクトシティ化しない多極分散型ネットワークのまちづくりということを進めてまいりました。

自由に移動したい、住み慣れた町で暮らし続けたい、そんな市民の思いに対しまして、それぞれの拠点間を様々な交通ネットワークでつないでいくという将来のあるべき姿の実現に向けて、様々な取組を行っております。

令和3年度に公共交通計画を策定いたしまして、「行きたいときに 行きたいところへ 行けるまちづくり」という理念を掲げまして、本格的なまちづくりと交通という観点で、将来に向けた検討を開始しておるところでございます。

これは市内の公共交通の現状を図示しましたが、まずJRは2路線ございます。駅が全てで6つございまして、有人離島2つを有しておりますので、そこに航路が1つございます。民間のバス会社は全て撤退。

(資料投影不備につき、中断)

人口推移につきましては、先ほど申し上げました出生率が低下しておりまして、16年で約1万2,000人が減少しているというところでございます。

平成の大合併にできた町でございますので、中心市街地がない町ということで、それならばコンパクトシティ化せずに、多極分散型ネットワークの町を目指そうということで、取組を進めてまいりました。

先ほど言いました住み慣れた町でずっと幸せに暮らし続けたいという市民の思い、自分の思いのままに行動したいという市民の思いがそれぞれありますので、その拠点間を様々な交通ネットワークでつないでいくという将来のあるべき姿の実現に向けて様々な取組を行っております。

市の将来を支える交通のコンセプトにつきましては、公共交通計画に定めて、政策を進めております。

公共交通の現状ということで、JR予讃線、土讃線ということで2路線、有人離島で1つ航路がございます。民間の路線バスは全て撤退いたしましたが、三豊市のコミュニティバス12路線を運行しております。タクシー会社は全部で7営業所ございます。

これが三豊市のコミュニティバスの路線図、東京メトロのような路線図ということで、一見充実したようには見えるのですが、地図に落とし込んでみますと、広い三豊市の中において路線バスでカバーできている範囲は限られているということがお分かりいただけると思います。実際、私の自宅からもバス停まで約1キロ離れていまして、車を手放すとどこにも行けないという状態がございます。

市内タクシー事業者も7営業所ありますけれども、どこも小規模で、ドライバーも高齢化しているということで、市民も十分な供給はできていないということでございます。

これは三豊市の特徴、田舎というか、地方独特でございますが、車が前提ということと、田舎独特のタクシーは贅沢ということで、まだなかなか高齢者はタクシー利用が進んでいない、コミュニティバスにもなかなか乗っていただけないということで、市民の移動課題はまだまだ顕著であるということが分かっております。

では、今後どうしていくのかというところにつきましては、そういったJRであったりタクシー事業者であったりという自助のサービスと、我々コミュニティバスといったところの間をつなぐきめ細やかな地域の移動課題への対応が必要だと。それを共助のサービスでやっていくのだというところの考えが必要になってくるということで考えております。

半分から上でございますが、この大前提というところがございました。今までは人口増加、市場が拡大していた時代につきましては、それぞれ行政サービス、地域の民間サービスも充実しておりましたが、これからは左下の地域のサービスがどんどん減ってくる。大企業とか三豊市の行政サービスも、サービスとしてはなかなか維持しづらくなってくるというところで、地域の住民の安心・安全な暮らしが非常に脅かされている、このままでは不安になってくるというところで、右下のその間を先ほど申しました地域の共助によるサービスということで対応したいということでございます。

「まちの移動の課題の解決」というところで、これが昨年度ベーシックインフラ事業で行った2つの交通移動に関する取組でございます。

これまでは交通の取組と言いましたら、交通事業単体で赤字、黒字というところ、費用対効果、効率化を追求しながら、何人が利用したのかというところが取組の成果でございましたが、我々につきましてはここで見方、考え方を変えることといたしました。ベーシックインフラ事業の中でやったのは、移動サービスを他の分野の観点でその効果を図ることができるのではないかという考え方で、昨年度、2つの事業を実施したということでございます。

サービスを提供いただけた事業者は、これも地域の共助、民間の共助でつくり上げた暮らしの交通株式会社というところでございます。全国でも展開しているmobiアプリサービスを使いまして、エリア限定とはなりますが、市内で定額乗り放題のサービス、オンデマンド乗り合い交通サービスを提供していただいております。

暮らしの交通社はもともと教育分野の移動に関して課題を感じていた代表者と地域内外の13社の共同出資によりまして、まさに共助の取組で立ち上がった会社でございます。市の課題解決へのアプローチも同時に行っていただいております。

移動サービスを学生に提供すればどんな効果があるのかというところもデータを取りながら確認したところ、昨年度につきましては実証期間が短期的でございましたので、教育効果は小さかったところでございます。ただ、保護者へのアンケートを実施しまして、送迎に対する課題も捉えることができましたし、今後、教育側で目的をつくってあげるという課題についても対策を取っていきたいと思っております。

続きまして、高齢者です。健康と移動の関連性というところの効果測定を行いました。先ほどのmobiを使用して実施をしたかったのですけれども、デジタルデバイドというところの課題がありまして、実際はタクシーを利用していただき、実証を行ったというところでございます。

具体的にどうサービスを使うと体を動かす機会が増えるのか、データを取ってみると、実際に増えることが分かりました。真ん中の表にありますように、17名の実証参加者につきまして、1日平均1,100歩増加していたということがデータとして取れました。歩数が増えると医療削減効果があるという学術論文もあるように、これらをつなげて考えると、中長期的には、実際に医療費削減効果があるのではないかということが確認できたところでございます。ここまでが昨年実際にやってみて分かったことでございます。

では、三豊ベーシックインフラの今後の発展性でございます。

ベーシックインフラ事業では2つの仕組みをつくりました。

1つは分野にまたがった複数の主体の効果、組合せ効果、評価データを連携する仕組みをつくったところが1つでございます。

2つ目は右側、基盤を使いながら、どういう組合せにより事業化していくかというところをサポートする仕組みをつくったということでございます。

1つ目の発展性というところでございますが、こちらにつきましては1事業だけでなく地域全体で複数の事業者のデータを見たときに、交通サービスが充足しているかどうか、改善する余地があるかどうかということをきちんとデータを測りながら、データから見ていくことで既存サービスの改善や効率化につながり、地域全体の最適化が図れることになります。

続きまして、2つ目の発展性というところでございますが、移動以外の分野との掛け合わせの仕方、組合せを考えていくということが発展性の方向性としてございます。どうしても人口が少ない、人口密度が小さな地方では、交通事業単体では事業としては成立し難いことが分かっております。それでは、他分野との連携、異業種間との共創、共助の取組で生み出される移動サービスにおける多付加価値、価値を多くできるかどうかということがこれからのサービス維持の存続ポイントと言えるとも思っております。

そして、さらにこの先どういうふうにしていきたいかというところをご説明します。

一番上のデータ連携の活用によりまして、移動サービスの効率化、地域全体の最適化が図られ、移動サービスは充実化・活発化してまいります。

その下、移動の活発化により他分野との連携で波及効果を生み出せるということも分かっていますので、これもデータで効果を図っていける。ここまでは先ほどご説明したとおりでございます。

そして、そのさらに先に3番、移動が充実すれば市民の日常生活が充実する、移住者の増加につながるということがまず期待ができます。これも十分なソーシャルインパクトにつながってまいります。

その横の他のサービスへの波及効果を生み出せる共助による移動の取組については、域内・域外を問わず事業を一緒にやりたい、その事業に投資したい、応援したいといった企業が増えることにつながってくるのではないかということが考えられます。

5番目、そういった投資がされて地域全体に経済波及効果が生まれれば、地域としての経済力が高まり、また一番上の①にある移動サービスに対して投資する余力が生まれ、さらなるサービスの連携による多付加価値や既存サービスの充実が達成できるのではないかといった好循環が生まれることをさらに期待しておるということを見据えております。

最後、ソーシャルインパクトの可視化への取組でございます。

それぞれ今までやってきた取組とその結果を表す効果を可視化したものでございます。我々はこれをロジックツリーと呼んでおります。昨年度、交付金事業の中でウェルビーイングの効果測定、検証を行う際に、三豊市が独自で作成したものでございます。それぞれの取組と結果が現れる効果には因果関係があると思っておりまして、例えばツリーの一番端の左側の交通インフラというところの赤囲みなのですが、その取組を実施した場合にまず現れる効果、そのすぐ右のBという欄にございますが、住民の生活の変化につながるということでございます。移動・交流が生まれることで、つながりの増加、役割の増加につながり、それがさらに隣の住民の状態の変化につながる。認知症予防やフレイル予防につながり、最終的にD、一番右の市民のウェルビーイングの向上、行政としての医療費の低下、介護給付の低下といった行政インパクトにつながってくる。これらを実際にデータを取りながら、本当にこういう因果関係になっているのかということについて、これからまさに検証を進めていきたい、取組を進めていきたいと考えております。

検証が進みましてデータがどんどん取得できれば、一番右の行政インパクトに基づいて、一番左の取組にどれだけ市のリソースを投下するかを判断できるようにしていきたい。財政状況も悪い中、投資的経費がなかなか組めない中で、しっかりとした根拠を持って財政としても支援できる体制が取れるということでございます。これが三豊市の交通分野におけるEBPMだと考えております。

今、申し上げた考え方がなかなか分かりにくいところがございますので、取組が長期的にどういったインパクトを見据えているのか、市民の理解も醸成するためにビジュアル化をしたものでございます。

さらに各領域、緑が健康、ピンクが教育、黄色が産業といった3つの柱から、それぞれの取組が長期的に最終的に真ん中にある三豊の豊かな暮らしにどうつながるかというところをビジュアル化したものでございます。

そのような未来マップに基づきまして、それぞれの取組、その効果を検証していくアプローチをやり始めておりまして、今、まさに申し上げました行政へのソーシャルインパクトを見据えた中で、これから共助の取組を移動サービスも含めて支援していきたいと考えております。

以上で、簡単でございますが三豊市の取組についてのご紹介を終了いたします。ありがとうございます。

石田座長: ありがとうございました。

今、村上さんが到着されましたので、ご挨拶いただきまして、その後、皆様方と議論してまいりたいと思いますので、引き続きよろしくお願いをいたします。ありがとうございました。

では、お願いします。

村上統括官: 簡単に一言。今の話はぜひ紹介をしたかったですし、この後、インフラシェアの話、それぞれ少しずつ関係しそうなピースを紹介させていただいています。

今日は最後に取りあえず主立ったポイントはどんなマッピングになるのか、1枚別途紙を用意しています。あと場合によっては最終回、各省にいろいろご説明いただくことになったら、はみ出すのではないかという恐れが出てきまして、皆さんとご相談ですが、せっかく温まってきて議論が闊達になっておりますので、場合によっては取りまとめだけで1回追加することを考えております。この場はコンセンサスというよりも、いろいろ意見を出していただいて、論点を膨らませていく場でございますので、その辺は石田座長ともよく相談をさせていただいた上で、最終的に皆さんにご案内ということを前提に、時間の中でどんどん言いたいことを言っていただければと思いますので、今日もよろしくお願いいたします。

石田座長: ありがとうございました。

それでは、議論の時間でございます。ウェブでご参加の方も手挙げ機能を使っていただきたりしながらお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

甲田さん、お願いします。

甲田構成員: 近藤様、ありがとうございました。

全国で地域コミュニティーづくりに取り組んでおります株式会社AsMamaの甲田と申します。

質問がございまして、まず今回の取組、7地域集中型にしなかったというところは非常に面白いなと思っていたのですが、高齢化が進む三豊市で、高齢者の方々はタクシーチケットのほうをお配りになったということだったと思うのですけれども、どのような申込みのされ方をして補助を出されたのか。補助がなかったら多分使われていないと思うので、その部分をどういうふうにして外出しされたのかというところが1点目です。

今回、mobiを使ってサービスの実証のほうをやられたと思うのですけれども、対象になられる高齢者の方と子供の方々の人数を合わせると3万人ぐらいいらっしゃるかと思うのですが、どれぐらいの方々が利用されると見込んで、実際どれぐらいの方が利用されたのか。仮説と検証の段階でのずれがあったのか、なかったのかみたいなところを教えていただきたいなというのが2点目です。

3点目、今回の目的は教育を取り入れることによって、例えばデータ連携等々が単純に移動だけだと赤字になることが確実なので、多領域の産業を組み込んだ事業展開というところが出口になるかと思うのですが、そこの部分が浸透しなかったというふうにおっしゃったと思うのですけれども、浸透しなかったと考えられる要因、教育のところがしっかりと住民の方々に伝わりきらなかった要因をどのように考えられているのかというところを教えていただきたいと思います。

以上です。

石田座長: お答えいただけますでしょうか。

近藤様: ありがとうございます。

まず、1点目の7地域にまたがるという、タクシーチケットの補助というところでございます。これは昨年度、ベーシックインフラ事業の中で、委託事業としまして7営業所に枠を設定しまして、上限といいますか、7地域で何人ずつというところで、地域分野、広域的にそれぞれどういった移動ニーズがあるかというところもありましたので、そこをベーシックインフラ事業の交付金を活用して、その財源の中でタクシー事業者と交渉しながら、そこから高齢者の移動というところを図っていったというところでございます。

それと、mobiの対象の教育の浸透がしなかったというところにつきまして、高齢者、子供の数ということで3万人ということでございますが、これにつきましては仮説というところもそこまで設定をしていたわけではございませんので、まずはこのmobiという対象エリアが、今、我々の中での2つの町の地域が限定されておりますので、その中で教育に関した移動がどれだけ効果があるかというところのエリアの中での設定をまずやってみて、それがどうなるかというところを検証したかったというところでございます。

資料にも書いておりますが、浸透しなかった1つの理由としましては、地域における教育コンテンツ、教育のための移動するための目的というところの提供がなかなかなかったのではないかというところも1つございますので、そういった部分を今後、取組を広げていきたいのだというところがございました。

甲田さん、最後の質問をもう一回お願いできますでしょうか。

甲田構成員: 今回、mobiを導入したときの利用見込み数と実際の差異です。

近藤様: この地域での1日当たりどれぐらい利用があるのかというところの想定はあったのですけれども、利用者についての見込みの仮説と実際の差異というところについてはすみません、詳細な数字についてすぐの回答ができかねます。

甲田構成員: ありがとうございます。

ちなみにmobiの利用者は無料で利用されたのでしょうか。

近藤様: それは期間中無料で利用いただきました。

甲田構成員: ありがとうございます。

石田座長: いかがでしょうか。

齊藤さん、お願いいたします。

齊藤構成員: IPAの齊藤です。どうも発表ありがとうございました。

ちょっと確認したいのですが、先ほど人口減少の話がありましたが、地域の課題はそういう意味で言ったら子供の教育や健康みたいな話もあるのですが、基本的にはそういう社会インフラとして考えたところのトータルコストを全体として下げる話と、いわゆる価値を上げる話の2つあります。今回の公助の話で、mobiを使ってやっておられる話が、ある意味では今の事業者、トータル合わせてみるとどのぐらいコストがかかるかが分かるはずです。従業員というか、車を運転する人もいて、インフラの運用・保守もあって、そこを例えば維持させていったときに、いわゆる利用者からの収入に対して、そのコストというのがちょっとかかり過ぎているから成立しない話があるので、まずそういう意味では、トータルでコストを下げるような話があるのではないかと思います。今の計画の中で、例えばバスとか、タクシーとか、いろいろな話をされていましたけれども、全体の社会コストを下げるために何か施策を展開されているような部分はどこかにあるのですか。

先ほどコンパクトシティ的な話をちょっとされたので、インフラそのものを集中化しながら、何かまとめながら、その運用しているコストを下げていって、社会生活に必要なインフラのコストがトータルとして下がるというオペレーションをどこかで考えておられるのかどうかというのを伺いたいです。

近藤様: ありがとうございます。

今後につきましては、そういった移動サービスというところも含めて、サービスの提供についてはサブスクリプション化を想定しているところでございます。行政のコストにつきましてはなかなか下がっていかないというところがございますので、そういったトータルのコスト削減というところにつきましては、一気に改善していくというのは、これだけ広範囲な三豊市の中では厳しいところがございます。そういった意味で、移動も含めた様々なインフラサービスの提供は一本化し、サブスクリプション化する中で、市民負担及びサービス運用コストを軽減していくようなイメージは持ってございます。

齊藤構成員: サジェスチョンですけれども、基本的には今のデマンドサイドである国民、住民の生活が、例えばモビリティの移動であればどこにどう移動をしているのかというのを把握することも必要です。いわゆる人口動態もありますので、将来何年たったら今の人たちがどれぐらい年を取って、子供たちも大きくなって、またちょっと利用環境が変わるはずで、そういう動態がどう変わるか、実際のデータを取りながら、次のインフラを準備している事業者も含めて、トータルで住民の生活を支えるインフラがどういう形になったらいいのかというのを想定しながら、インフラのコストを下げていく。

さっきサブスクリプションの話がありましたけれども、いろいろなデータを活用しながら最適にサービスをしていくと、見える化ができるようになり、今の無駄が省けるというところがターゲットに入っているはずです。その辺をちゃんとやられていくともうちょっと先が見えるのではないかなと思いますので、ぜひ頑張ってください。

石田座長: ありがとうございました。

ITS Japanの山本さんが手を挙げておれます。お願いします。

山本構成員: 私は、ラストワンマイル、ファーストワンマイルに関して、タクシー乗り合いのオンデマンドに関して2つのご質問です。

1つ目は、三豊市さんは最後のスライドにもあったとおり、きれいなウユニ塩湖みたいなすごく人を呼び寄せるところがあったと思うのですけれども、外から入ってくる方々、いわゆる観光客への足、特にファーストワンマイル、ラストワンマイルみたいなところというのは何か考えられているのでしょうかというのが1つです。

あともう1つ、オンデマンド乗り合い、先ほど近藤さんからもありましたけれども、やはり乗り合わせるのは結構大変で、ルートを決めると柔軟性がなくなって、タクシーもどんどん運転手がいなくてというところで、そこで共助ということであればコミュニティーのカーシェアリングとか、あとは自家用有償の旅客輸送とか、このようなところを検討したことはないのでしょうか。

この2つをお伺いしたいです。

近藤様: ありがとうございます。

まず1つ目の観光客の足、ラストワンマイル、ファーストワンマイルというところのご質問につきましては、まさにこれが三豊市の課題となっております。三豊市の行政サービスとしてはなかなかそこを提供してはいないです。コミュニティバスも日曜日が運休でございますので、観光客が来るような日曜日につきましては、行政サービスは提供できていない。

ただ、先ほど申し上げましたウユニ塩湖のような父母ヶ浜というところと、そういった部分が発展してきて50万人観光客が増えてきたというところで、今回、mobiだけではなくて、民間の共助によります民間サービス、移動の二次交通というところにつきましてはサービスが何個か出てきたところでございますので、これからそういった取組は増えていくのだろうなとは考えております。

もう一方の質問として、乗り合わせがなかなか大変であるというところで、自家用有償であるとか、そういったところを考えていないのかというご質問でございますが、もちろん今、共助の取組で民間だけでやっていただいているところをご紹介しましたが、行政としましても、他方で過疎化、なかなか民間の共助だけでも行きにくい部分や分野というところにつきましては、我々、自家用有償運送でタクシー事業者との連携というところを含めて、過疎地域での乗合タクシーの実証も他方では進めておりますので、そういった部分で、交通の場所とか対象者によって最適な移動が何なのかというところは今まさに実証を同時並行で行っているところでございます。

以上です。

山本構成員: ありがとうございました。

石田座長: 他にいかがでしょうか。

秋本さん、岡本さんの順番でお願いします。

秋本構成員代理: ご説明ありがとうございました。日本無人機運行管理コンソーシアムの秋本と申します。鈴木委員の代理で出ております。

私、実は香川県丸亀市出身で、妻が三豊ですので、両方の町を見ていると、香川県はそもそも一家に1台車ではなくて、1人1台車を持つという文化の地域だと思います。そういう中で今回、移動手段のなくなったご高齢の方、そういう方にモビリティを提供して、健康増進していくと。質を上げることによって町の負担を減らす、これは恐らく負担が減っていくことによって、利益というか増収になるかどうか分かりませんけれども、そのほかにまたさらにモビリティのほうに回していただいて、どこかでサーキュレイトして、これ以上いくら突っ込んでも駄目なところは出てくると思うのですけれども、そういう中で高齢者の方のモビリティにより、どこかでいい形ができればいいかなと思っています。非常に期待しております。

あと、先ほどから出ています教育のことですけれども、域内で提供できる教育の質を上げていかなければいけないかなと思います。特に丸亀に行くと塾がいっぱいあって、高津へ行くとあまり塾がないという構図になって、皆さん電車で丸亀のほうへ行ってしまうのではないかなと思っておりますので、ぜひ教育の質、コンテンツ、そういうのを上げていくということも域内でこれから検討されたほうがいいのかなと思っています。

とにかく期待しておりますので、ぜひ頑張ってください。ありがとうございました。

石田座長: 続いて岡本さん、お願いできますか。

岡本構成員: 東京電力パワーグリッドの岡本でございます。

ご説明大変ありがとうございました。非常に面白い取組で、大変参考になりました。

私、細かいのですけれども、高齢者の方にチケットを配って、タクシーに皆さんが乗るようにとされたと思うのですけれども、お話を聞き漏らしたかもしれないですが、データを取ろうと思うと、お年寄りの方が皆さんスマホのアプリで呼んでいただくと、そのスマホで移動の履歴も分かるし、あるいは何歩歩いたかみたいなものも全部スマホで分かるのではないかと思うのですけれども、ただ、一方で、高齢者の方はスマホを持つのが大変で、私も自分の母親にスマホを持たせるところがデジタル化のスタートだと思って、家族で頑張りましたけれども、一応成功はしたのですが、なかなか大変だなというのもありまして、その辺はどういうふうに取り組んでおられるのかなと。

あともう1つ、自分の親を見ていると思うのですけれども、元気なお年寄りに触れ合って、その人の話を聞くともうちょっと頑張らなければと思うみたいなのですが、そういうお年寄り同士の触れ合いというか、そういったところで何か工夫されているところがあるのかどうかみたいな、本質と違ってしまっていて申し訳ないのですけれども、教えていただければと思いましたので、よろしくお願いいたします。

石田座長: 近藤さん、お願いできますでしょうか。

近藤様: ありがとうございます。

確かに我々もそれは課題でございまして、先ほどの実証の説明の中で17名の参加者というところがございます。実はそこはもっと増やしたかったのです。17名ではなくて50名であるとか、もっと予算的には確保したかったというところがございますが、今まさにおっしゃっていただいたスマホとか、今回我々はウェアラブル端末、腕に巻いて自動的に歩数だとか血圧だとかそういったところのデータを取得していくというところがございますが、その説明会までは来てくれるのですけれども、ウェアラブル端末を貸与するというところに関しては、監視されているのではないかとか、いろいろなデータを取得されるのではないかというところで、そこで大分離脱者が出たというところがございますので、そういったところを理解、把握していただいた17名の方が実証に参加していただいたというところでございますので、まだまだデジタルデバイドといいますか、そういった部分に対してのハードルというのは高いかなと。高齢者のデータ取得もしっかりしていくためには、説明であったり、地域の全体のデジタルリテラシーの向上というのは他方でしていかなければいけないかなというところでございます。

元気なお年寄りをどう担保していくかというところでございますが、これは他方でいろいろ取組があるのですが、高齢者同士の取組を競争させてあげるというような部分、私は今日何歩歩いたとか、私はどうだったというところをデータで見せてあげながら、可視化してあげて、そういった取組で、健康ポイントというところの取組を見せてあげて、今日はあなたが一番で、今月はあなたが一番という取組をしていこうかなというところでございます。

岡本構成員: どうもありがとうございます。

今の話を聞くと、なかなか高齢の方は壁もあると思うのですけれども、口コミというか、誰かが使って非常に便利になっているとか、元気にやっているというのが分かると、また周りのお年寄りも使ってみようかと思われるのかなと思いましたので、ぜひ広げていっていただけるといいなと思いましたので、どうもありがとうございます。

石田座長: 須田委員、お願いいたします。

須田構成員: 東京大学の須田でございます。

ご説明ありがとうございました。大変興味深くお話を伺いました。

足がないというか免許がない高校生以下と高齢者を対象にした多極分散型まちづくりの中で実践すると、非常にいろいろなところで模範になるような取組ではないかなと思ったのでちょっとお伺いしたいのですけれども、多極分散型ということで、どういうOD間があるのかちょっと興味を持ちました。特に高校生とか、どういう移動なのか、あとその距離です。ラストワンマイルというと、さきほども1.5キロとかそんな近い距離というようなイメージですけれども、多極分散だと相当な距離になるのではないかという感じもするのですが、そこら辺の実態をちょっと教えていただければなと思います。いかがでしょうか。よろしくお願いします。

近藤様: ありがとうございます。

距離につきまして、住民の生活、移動、それぞれいろいろモードがございます。高齢者であったら通院、買物といったところで、基本的には域内なので、7町ございますので、最寄りのかかりつけ医や最寄りのスーパーに行くということで、あまりODというか移動距離はないのですけれども、たまには域外を、市をまたいでコミュニティバスも活用していただきながら、相当な距離を移動されているというところも一部データでは分かっております。

運転免許を持たない高校生は、基本的には高校への通学なのですけれども、域内の学校につきましては3校ございます。それ以外の市外の学校に当然行っているというところもございますので、距離的には相当な移動距離がそれぞれあるというところは我々としてもつかんでいるところでございます。

須田構成員: 結構な距離を移動されるということですね。

近藤様: 先ほど申し上げましたように中心市街地はないので、そこに集中するというわけではなくて、それぞれの拠点というところで、いろいろ移動距離というのは長くなっていると感じております。

須田構成員: 分かりました。ありがとうございます。

石田座長: ほかにいかがですか。どうぞ。

村上統括官: ありがとうございます。

需要を読み切るというのを1つのテーマにどうかと思っていまして、例えば極端な例を言います。三豊市さんの資料にも食料出荷予定というのをたまたま書いてあったので、風が吹けば桶屋みたいな例ですけれども、岡山県に漂流岡山という地域商社がいまして、小さな農家を束ねて出荷しているのですが、地元のイオンさんとかがそこに委ねている。ただ、ポイントはそこだけではなくて、漂流岡山さんは何をやっているかというと、データに基づいて、計画生産をしない農家の人たちに、最初からイオンの需要を逆に読み取って、そこからバックキャストして、いつどれくらい作付をするかというのを指導していまして、それをエクセルの表でやって、自分の軽トラで運んでいるのです。そこが泣かせるのですけれど、実はそこの軽トラを自分でない人が本当は運んでくれたらというのと、そのビジネスモデルを欲しいのだけれども、第二、第三の漂流岡山と、それに付き従っていくことのできる農家という組合せはもうちょっとないのかといって、今、実はJAが興味を持っているという状態になっています。

だから、多分上流まで読み切らないと、要は漂流岡山のケースも、ちゃんとしたデータに基づいて、稼働率を考えた農業をやらない体質の農家にそこを教えているというところが本当のあんこで、その結果、分かりやすく今は軽トラで必死に運んでいて、倉庫レスでやっているから利益が出ているというモデルではないのかというような類いの話を、ソーシャルインパクトという形かどうかはあれなのですけれども、クロスセクショナルに少し欲張って上流まで見ると、実は放置されている中途半端な潜在需要がすごくあるのかなと。

やはりどうしても交通から見ていると、まだ一応免許を持っているのだけれども返すか返さないか迷っている人、でも、これもどうやってデータで持ってくるかはなかなか難しいのですけれども、そうであるとか、あと社福の施設との送り迎えとか切り出しやすいところもあるのですけれども、よく見ていると、むしろ中途半端なところにこそヒントがある。

例えば三豊市の例ですと、恐らくGATEの泊まっている人とかを調べるといいのではないかと思うのですけれども、せっかく操業循環が出てきた新しいプロジェクトが出てきているのですが、その人たちの最大の悩みは何かというと、バイト代よりホテル代のほうが高くつく可能性が高いと。しかも、一々そこまで車を転がして来るのかというときに、公共交通があればちょっと行ってもいいのになとか、ちょうど週1とか月1くらいその地域に通うようになった頃は、毎回レンタカーをしていると高くつくので、本当は公共交通があればいいのにとかという人たちの足がなくて、それが何となく遠のかせるとか、この研究会の中で直接やることかどうか分からないですけれども、もうちょっと上流まで遡って丁寧に見ていくと、実は結構データで読み取れるとか、いつどこで移動需要が発生するか読めるのではないかと。

それを自動走行車両系にシフトすれば、なおさら今度は稼働率の考え方が恐らく変わってきて、別に定期運行をしているところの稼働率を上げるという発想は要らなくて、最初から10時から13時は使うやつはいないというのであれば、そのままそこに置いておいて充電すればいいわけで、そういうタイムシフトではないですけれども、そこに合わせて、最初から分かっていればそこで稼働させるというふうに考えていくと、またちょっと違った見え方、バス事業者さんやタクシー事業者さんとは違う見え方がしてくるのではないかなと思うものですから、今度は逆にそれを交通事業者側が全部やるのは無理なので、そうすると三豊市さんの取組みたいな形で、逆に誰かそういう需要を集めてくれる仕組みをデータでつくれないのかという話になってくるときに、ウェルビーイングでのソーシャルインパクト計測というのはいい発見の切り口になっているのではないかなというのが、三豊市さんにお話をお願いした自分の問題意識ですので、そのような需要データの掘り起こし、もしくはそれを一体誰にやらせて、誰とコラボすれば交通需要はうまく設計できるのかみたいな視点を付け加えられたらありがたいなと思いました。

以上です。

石田座長: 今の村上さんのお話しですけれども、なかなか難しいなというのも正直なところでもございます。その辺でもアイデア、あるいはそれに使えるようなデータはどんどん整備されてきつつあると思うのです。ですから、それをどう使うかというところでございまして、でも、実際に動く人を、人も荷主さんもそうですけれども、そういうサービスがないので気がつかないというところもありますので、その辺を含めた需要の発掘、掘り起こしが本当に大事だなと思います。

そのことを実感していただくためには、口コミ、これだけよかったよみたいな話とともに、三豊市さんでも目指されているデータのプラットフォーム、25ページのようなものが本当に実装できて、需要がスケールされて、ちゃんとEBPMに使えるような形になってくださることを共に歩んでいければなと思っておりますので、今日をご縁にまたよろしくお願いをいたしたいと思います。ありがとうございます。

近藤様: ありがとうございました。

村上統括官: 朝日町の「ノッカル」のケースで見たのは、一個だけ新しい需要を計画的につくってしまう。あそこの場合、みんまなびという、木工のおじさんのところに子供たちを運んで木工教室を教えてもらって、その代わり子供が携帯の使い方を教えて帰ってくるから、共に教育、共教育というものなのですけれども、それよりも市民カーサービスみたいなもの、運行管理者はタクシー管理会社がやっていらっしゃるのですけれども、あれがシンボリックに市民に見えたら、悪いのだけれども健康増進教室も運んでくれないかというふうに手を挙げるやつが出てきて、それでまたドライバーの数が増えて、女子高生や男子高生、子育てで部活のない日に手伝ってもらうのに使いませんかといって、蓋を開けてみたら黒東タクシーさんから見たら既存のタクシー需要を食っていなかったというのが落ちだったのですけれども、そういうふうに分かりやすいことを一個つくると、そういうサービスがあるとか、受け入れる気になる人がいるというのがそもそも見えていない。どうせ今、タクシーを頼んでも無理だよねみたいな、公共のバスも無理だよねみたいな、そこで諦めてしまっている感じがあるので、何かそこはやり方があるのかなと、僕も研究してみようと思います。

石田座長: mobiをやっておられるWILLERの村瀬さんがおっしゃっていたのですが、シンガポールでやったときに、教育関連なのですけれども、習い事とかお稽古事の需要が結構あって、そこでかなり収益構造がいいよみたいな話もされていました。そういう小さな話の積み重ねは、実は大事なのだなということを伺いましたので、公教育だけではなくて、いろいろな教育とか市民の習い事とかいっぱいありますので、その辺もぜひ視野に入れていくべきかと思いました。

では、お一人目の三豊市の近藤様に関しての議論はこれぐらいにさせていただきまして、次は「インフラ視点でのモビリティについて」ということで、岡本さんからご報告をお願いしたいと思います。

岡本構成員: それでは、資料5を使ってご説明させていただきます。

よろしくお願いいたします。

今日お話ししたいことは3点ございます。インフラの全体の在り方を考える中で、電力アセットが意外に使えるのではないかというお話をまずさせていただいて、次に、もう1つは、我々のほうから見ると実はモビリティの事業は非常にシナジーがあるということがありまして、そのお話をさせていただいて、最後ですけれども、カーボンニュートラルということにつなげていきたいと思っているのですが、人間中心にインフラをどういうふうに活用していくのかと考えないといけないので、結局お客様の行動変容がいるということになりますので、それをどうやって生み出していくのか、そういう仕掛けをどう考えるかというお話をさせていただきたいと思います。

ここはもう今さらということなので、左側の人口ボーナス期から人口オーナス期ということになっていますので、共助・シェアリングが重要というのはもう皆様共有にされていることだと思います。

電力アセットというのはどういうものがあるかということなのですけれども、弊社の例ですと、送電鉄塔が5万基と電柱が600万基あって、無電柱化している地域では、逆に道路の脇にお弁当箱みたいなものがあるのをご覧いただいていると思うのですが、配電地上機器と言っているのが大体5万基あって、それから光ファイバーが10万キロあって、あと拠点になっている変電所とか事務所が弊社だけで1,700か所ある。ですから、全国で言うともっと多いということであります。

こういったものが現状どんなふうに使われているかということで言いますと、例えば左側でいくと電柱とかというのは5Gの基地局として使えるとか、あるいは防犯カメラの置き場所になるとか、地上機器というのは5Gの電波を発信する場所としても使えるし、デジタルサイネージで使ってみようというのもやっています。あと、変電所というのは、いろいろな通信機器あるいはサーバーといったようなもの、コロケーションもできるといったようなことで、いろいろお使いいただけるのではないかと考えていますので、モビリティという意味で路側のインフラとなり得るものがあるのではないかということでございます。
モビリティということで、自動運転のレベル4ということを考えてみると、車両のセンサーだけではなかなか大変だろうと考えると、例えばこの絵にありますように交差点の出会い頭みたいなことを考えると、そこの絵にありますように、両方の道路が見渡せる場所に例えば電柱があって、そこにセンサーをつけていって、それと通信し合うということで、安全ということであったり、あるいは自動運転を実現するのに使えるのではないかといったような協調というイメージが1つあると思います。

もう今さらというところですが、自動運転は当然、縦軸に書いている不特定ルートを走るのか、特定ルートを走るのか、あるいは私有地の中を走るのかということと、完全に無人にするのか、あるいは有人の補助にするのかといろいろレベルがあって、それぞれユースケースがある中でリクワイアメントは変わってくるのですけれども、それなりに路側のインフラというのはそれぞれのシーンに当てはまるところがありそうだなと思っています。
自動運転支援を実際、実証でやっていただいている例ということでいくつかお話ししたいのですけれども、これは弊社のエリア内なのですが、静岡県沼津市で、自動運転のバスの転回する場所があるのですけれども、そこにセンサーとかカメラとか通信機器を右側の写真にあるような電柱を設置し、スマートポールという形にしまして、交差点の監視を実施しまして、歩行者と車両の接近情報をバスに提供するといったようなことを静岡県と一緒にやっています。

こちらは関西電力さんの事例なのですけれども、三田市です。こちらもバスの運転手さんの支援をさせていただくという形で、飛び出しの通知ですとかいろいろなものを、左下にあるのですけれども、スマートポールのセンサー情報が非常に有効に活用できるということで、安全につながるといった取組がございます。

こちらは豊田市の取組なのですけれども、信号のない交差点に、いわゆるスマートポールを使って、いろいろここにセンサー、カメラ、通信機器、あとLEDの表示盤を取り付けまして、この新しいスマートポールで交差点の監視をされるといったようなことも取組があって、これは豊田市なのでトヨタさん中心でやられていると思うのですけれども、こういった対策もあって、3つ事例を申し上げましたが、スマートポールは非常にうまく使えるのではないかと考えています。

路側のインフラということで、もうちょっと一般的に考えてみますと、まず無人での自動運転というのが一番レベルの高いところだと思うのですが、路線バスというのはある決まった場所を走るということもあって、そういったものもあるし、あるいは有人の車両の運転支援といったようなユースケースもあって、いろいろ使えるなというところが総じて言えると思っています。

あと、交差点というポイントが非常に重要なところになるので、そこに何があるのかと。電柱がある場合もあるし、通信事業者さんの電信柱がある場合もあるし、信号がある場合も、街路灯がある場合も、いろいろな既設のインフラがあるので、できればあるものを手っ取り早く使う、なければスマートボールをつくるというのがいいのではないのかなと。いろいろありものをうまく使うということを考えて、また、そこに一定の共通した仕様でセンサーとか利用できる仕掛けをつくっていかないと、電信柱と電柱はそれぞれ違う仕様でこれをやると全く駄目なものですから、こういったことを規格化・統一化していくことが大事かなと思います。

交差点ということが非常に大事だと考えたときに、交差点の提供する機能というか、これは今後のモビリティワーキングでぜひご議論いただきたい点だと思っているのですけれども、例えば考えてみますと、右側にあるように、交差点のところにスポットの避難所であるとか、自動運転バスの誘導ということがあったり、安全アプリということになったり、その他もろもろここの機能をどういうふうに盛り込むかを考えてみるというのは非常に大事かなと考えていますので、ぜひご議論いただきたいなと思っております。

ここで話を転じまして、送配電事業者から見たモビリティということでお話しさせていただきます。

まず、地域の自動運転バス事業単独では成り立たないということなのですけれども、右側にあるように、あるべき姿は様々な価値の掛け合わせだという中で、いろいろある中で、私どもはエネルギー事業者ですのでエリアの脱炭素化をぜひ重ねたいと思っていまして、ここに着目してお話をさせていただきたいと思います。

ポイントになるのは、これからお話ししますけれども、EVというのは走る蓄電池になっているものですから、走るバッテリーとして地域の再エネを地産地消するというのが基本的なコンセプトになると思っています。

これが概念図をまとめています。まず、3つのネットワークをデジタルで融合していくということが基本的な考え方で、これによっていわゆる共創というものの土台をつくるということがあるかなと。

左側がいわゆるモビリティネットワークで、ここをEVバスやEVの乗合タクシーみたいなものが走ると。そこに急速充電とか、いろいろな充電のポイントとか、カーシェアリングのスタンドもこの中で出てくるのですけれども、充電インフラに来たEVというのは実は走る蓄電池で、下側の電力ネットワークで見ると、走る、移動する電源として、今度は電力ネットワークの中を動いているのと同じことになります。

右上のほうは、お客様のお宅を考えてみると、実は宅内というのはスマートメーターがあって、分電盤があって、あと太陽光とか、お湯を沸かす装置とか、こんなものがあって、宅内にEVをとめられる場合は、EVの充電器が宅内にあるという形になっていまして、右側にも情報のチャネルがあって、ここからいろいろなお客様に関わるデータが取れますし、モビリティネットワークもそうだし、電力ネットワークもそうなのですけれども、結局ここの交点になるところが非常に重要になると思っていますので、データをうまく重ねていく、この3つのネットワークをできるだけ融合してみるといったことが大事かなと思っています。

EVにシフトしていったときの脱炭素効果、弊社の場合は3,600台の業務車両がありますので、これをシフトした場合の想定効果を仮に試算しています。ただ、この試算は再生可能エネルギーを使った場合ということでお示ししていますので、その場合、それなりの効果が見込めるということが言えるということと、あと再生可能エネルギーを使うということなので、今、再生可能エネルギーの余剰問題みたいなものが出てしまって、電力需給と合わないということがあるのですけれども、できるだけ合うタイミングで充電するということになるので、再エネを増やすということにも役に立つと思っています。

実際に2050年のシミュレーションを昔やったもので、今やるとまたいろいろ想定が変わると思うのですけれども、一例でご覧いただきたいのですが、これは2050年の全国の需給をシミュレーションしまして、1週間分の電気をお使いになるパターンで、すごい量の太陽光と風力を入れていまして、見ていただくと分かるのですけれども、日曜日と土曜日は電気はあまりお使いにならなくて、これは暑い夏の1週間なので、平日、月曜日から金曜日まですごくお使いになる、そんなことになるのですけれども、風力と太陽光だけ、あとベース電源で原子力みたいなものを追加していますが、需要と合わないので、ここをどうやって調整するかということになるのですけれども、このシミュレーションでは、EVが仮に4,000万台入ったとして、その30%は電力のグリッドにつながっているので使えるのではないかと仮定してやってみると、太陽光の電気が発電するときと発電しないときがあるのですけれども、かなりそこで充放電をさせることで吸収できるのではないかと考えています。

弊社の中で今、揚水発電というストレージがあるのですけれども、それに比べてさらに1桁上のストレージになるものですから、ぜひこういったことができるようになると、再生可能エネルギーも入りますし、脱炭素化にも役立つと考えています。

EVの充放電のタイミング、そんなに簡単にできるのかということもあるとは思いますが、太陽光の発電が大きくなるのが9時から16時の間になってくるので、できるだけここに合わせて充電をしていただいて、別の時間帯には放電するということもできればいいし、放電しないまでも、できるだけあまり使わないでいただくというのがいいのですけれども、これをやろうと思うと、結局ある種、行動変容みたいなことも必要ですし、ただ、EVバスみたいなものだと割と運行の時間は決まっているので、昼間のここに当て込んでいくということが十分可能かなみたいなことも考えています。

こういったことを考える上で、このマップは弊社の現状でネットワークの混雑状況をグラフにしたものなのですけれども、赤くなっているのは既にネットワークに混雑が発生している時間帯が多いものです。見ていただくと、北関東とか太平洋沿いが赤くなっているのですけれども、何故かというとここに太陽光がすごくいっぱい入っているということで、太陽光発電の電気が地域のほうから逆流してくるのですけれども、その逆流する電気の流れで混雑が起きているということでございますので、重ねていくとすると、こういう混雑が起きているところでモビリティによる需給の集約化は、我々の視点で見ると非常に効果が高い。ですから、割と地域の課題としてモビリティの課題を解決したいというところがうまく重なると、まずそこでいろいろやったらいいのではないかというのが着眼点としては出ると思います。

これはご参考で、こういったことを将来、ブロックチェーンなり分散型の取引で自動的にできるようにするのではないのかと思って、左側の絵は昔、本に書いたのですけれども、MOBIは今日の話と混同しそうでいけないのですが、Mobility Open Blockchain Initiativeというグローバルなイニシアチブがあって、そこではいわゆるモビリティに関わる分散型のいろいろな情報の取引、例えばビークルIDの標準化を進めていたり、今だとバッテリーパスポートという問題が出てくるので、履歴とかをどういうふうに残すかというと、やはりブロックチェーンを使うのが非常にいいのではないかということがあって、グローバルではMOBIというのはかなり活動しているようで、こういったものがあるのであれば、こういうものを使っていくというのも手っ取り早くて、そうすると左側に私が適当に描いた絵も実は簡単に実装できたりするのかなみたいなことも思ったりしています。

最後、人との関係ということで、結局、行動変容につながらなければいけないということがあって、モビリティと人の行動を結びつけて行動変容を促すということで、効果的にEVも活用していただいて、脱炭素も促進できると仮にすると、お客様だったり、地域だったり、あと私どものようなインフラ事業者だったり、いろいろなところから見て三方よしみたいになるのではないかということを狙っていくといいのではないかと思っていまして、そのためにEV化だけではなくて、人流情報のデータ取得とか、情報発信とか、この後申し上げるような、その結果としてうまくにぎわいをつくっていくみたいな仕掛けをつくっていく必要があるのかなと思っています。

この絵にも描いていますけれども、人が集まる場所を起点にEVバスを移動させるというようなこととか、あと昼にバスをうまく充電して太陽光の電気をうまく使うとか、地域の周遊の手段として充電情報とか走行ログが取得可能なEVの利用をリコメンドしていって、夕方には今度、EVバスで最終地点に移動みたいな、このようなことが仮にできると非常に三方よしになるという事例で書いてございます。あと、人流とデータ取得についても多機能ポール等が使えるのではないかということを考えています。

ここも今後またぜひご議論いただきたいと思っているポイントですけれども、にぎわいをつくるということだと、道端カフェとかマルシェみたいな仕掛けで、ここに各種EVモビリティの集中化をやっていく、左側の絵にあるようなイメージです。こういったようなものをつくっていって、人が集まって、EVモビリティも集まって、そこにEVステーションとか多機能ポールの設置の必要性とか成立性が高まっていく。これというのは、こういうものが集まってくると、有事の際には皆さんここに集まるとバッテリーもあって、情報発信基地でもあるので、非常にレジリエンスにも役に立つのではないか。要するににぎわい広場をつくって、そこをモビリティのハブとすると。逆に、モビリティのハブだから人も集まるということを考えたらどうかと思いました。

地域の脱炭素化への貢献ということですけれども、右上に描いたさっきの絵と、実際にここの地域あるいはその近傍にある太陽光発電で発生する電気の需給を合わせて総合的に連携することで、できるだけ需給のマッチングみたいなことにつながっていくと非常にいいのかなと思っています。

最後、まとめのところですけれども、ちょっと長くなりましたが、人口減少に入っていますので、ビジネスやインフラの在り方として、官民や各種産業の共助とかシェアリングが必要だというのは我々も本当にそのとおりだと思っていますし、電力設備を路側のインフラとしてうまくご活用いただけることで、自動運転といったものが近づくのではないかと思っております。

あと、私どもから見ると、地域のカーボンニュートラル化を進めたいのですけれども、公共交通は、自動運転を使ったときに実はEVが入ること自体が再生可能エネルギーを入りやすくして、結果としてカーボンニュートラルにつながるという効果が見込まれるので、ぜひそういう使い方を狙っていきたいと思っています。

最後のポイントは、そうは言っても結局これはお客様の行動というところが起点になりますので、そこにモビリティも重ねて、電力需給データも連携して、行動変容を促す。小田原市で、観光客の方のゲーミフィケーションみたいなことも使って行動変容を促すような実験も一緒にやらせていただいていますけれども、そのようなことをやりながら地域の脱炭素化をコストとして捉えるのではなくて、価値を生み出すという方向でやっていけたらいいのではないかなと思っております。

私からは以上でございます。

石田座長: ありがとうございました。

それでは、ディスカッションしてまいりたいと思います。

須田先生からどうぞ。

須田構成員: 東大の須田です。どうもご説明ありがとうございました。

非常に心強いお話をいただきまして、ありがとうございます。実は我々、「RoAD to the L4」という経産省、国交省のプロジェクトで、まさにインフラ協調というものを今、柏の葉の自動運転バスに導入しようと、そんなことで今、やっている最中なので、これをまさにどういうふうなエコシステムをつくるかといろいろ議論しているので、これに東京電力さんも入ってくれれば非常にありがたいなと思った次第です。

そういうことで2つほどご質問とコメントなのですけれども、1つは電力会社のアセットを利用できるということですけれども、具体的には電柱を活用できるということでよろしいのでしょうか。それとももう少し具体的にセンサーとか、そこら辺までも何か検討していただけるのかどうかとか、そのような話が1つ。

あともう1つ、EVということで、こちらについても実は柏の葉で今度、道路に非接触給電のコイルを埋め込むというプロジェクトが実はこの前、国交省で採択されて、実際に交差点のところに今度コイルを埋めていくというような話も今、動いているのです。充電スタンドだけではなくて、結構いろいろな形でEVと電力というのがつながっていくという話もあるのではないかなと思うので、そこら辺についてはどういうご見解を持っていらっしゃるのかなということをお伺いしたいと思います。

よろしくお願いします。

岡本構成員: 先生、ありがとうございます。ぜひ、柏の葉もご一緒させていただけるとありがたいと思います。

今、電柱の活用については、一定の制約はあるのですけれども、その中でとにかくできるだけ有効に使っていただきたいと思っています。課題となるのは、いろいろなものをやみくもにつけていくと、結局電柱のスペースが限られているので、どういうふうにうまくできるだけ価値の高い方法で使っていただけるかみたいなことを考えていまして、例えば今、5Gというユースケースを考えているのですけれども、あれはキャリアさんの数だけ無線機とかアンテナをつけると場所がなくなるので、そういうものは全部シェアすることにして、変電所側にどちらかというとベースバンドユニットみたいなものを集約しておいて、そこでどの携帯会社さんの電波でも吹けるようにシェアしようということを考えていまして、うまい具合に電柱にできるだけ1本当たりの価値を上げられるように、シェアするものはシェアするようにというのを今、考えておりまして、ただ、基本的にはとにかくできるだけうまく活用していただきたいですし、またそれをうまく集約しながら活用していただけるようになると非常にいいなと思っています。

あと、道路の非接触給電の話がございましたけれども、これもケース・バイ・ケースで、道路の中にいろいろなものが埋まっているという場所もありますが、例えば私どもも先ほどお見せした地上機器みたいなものがある地中化されているところとかも電線はありますし、とにかく電気自体は道路に沿って必ずありますので、それをどういうふうにそこに持っていくかということになりますので、ケース・バイ・ケースではあるのですけれども、こういったものもうまく使っていただけると非常にいいのかなと思っております。
以上でございます。

石田座長: 今の電柱の占用に関してお伺いしたいのですが、占用の許可条件は厳しいではないですか。いっぱいつけると結構ややこしいことになるということもあるのですか。

岡本構成員: まず、もともとは電気事業用ということがあって、例えばある一定の重量を超えられないとか、ただ、今ですと空いているところに、もともと割と多いのはケーブルテレビの会社さんのケーブルを乗せたり、あと光ファイバーがあったり、昔はいわゆる有線だったりとか、ある範囲においてある一定の基準というか制約を満たせば、そこは使っていただくということにはなっているのです。

ただ、その結果、皆様が電柱を街で見かけると、やみくもにいっぱい乗っかっているというようなことも現実にはあって、うまく使うとすると、うまく整理していったほうがいいのかなとは思っていますので、その辺のルール整備みたいなものが今、どうなっているか、私も必ずしも明るくないのですけれども、そういったものもこれからは必要になるのではないかなと思います。

石田座長: 村松さん、お願いします。

村松構成員: ご発表いただき、ありがとうございました。ロボフレ機構の村松と申します。

2点コメントです。私たちも同じコンセプトを持って進めさせていただいていると思っています。具体的に言うと、先ほどのお話の中で、インフラ整備によってモビリティのシェアリングを加速するというのお話があったかと思いますが、私たちも同様のことを屋内で進めさせていただいております。ロボットフレンドリーという単語を元々経産省さんがご発言いただいたところから始まっていますが、まさに環境側を変えることによって、ロボットの導入をしやすくしようという取り組みになります。先ほど発表にもあったところですが、電柱にカメラをつけたりセンサーをつけたりすることによって、自動運転がもっと容易に導入できるようになり、ユーザーさんの導入コスト削減に繋げられることになろうかと考えます。

また最後お話しいただいたモビリティハブの部分、一部、半屋内みたいなところも関連してくるのかと思っていまして、ぜひ連携させていただけばと思っています。1つだけ派生するというか細かい話になってしまうのですが、私たちは充電器をかなり課題に思っています。ロボットメーカーさんによって充電器の仕様が違っており、こういったハブ機能をつくらせていただこうと思うと多種多様な充電器が横に10個並んでしまうことになります。これはA社さん、B社さん、C社さんのような形は現実ではないというところで、うまくそこを規格化とか協調領域化できると皆さんがウィン・ウィンにできるのかなと思っていますので、引き続き何とぞよろしくお願いいたします。

ありがとうございました。

岡本構成員: ありがとうございます。

ロボットの話と屋外というかモビリティの話というのは移動する空間がどこかというだけなので、結局同じ問題になるのだろうなと伺っていて思いまして、そういう面では非常に共通部分が多くなるので、ぜひ私どもも勉強させていただきたいなと思いました。

そうすると結局、充電をどうするのかという問題になるので、そこもいろいろなものがあるとうまくいかないということもおっしゃるとおりなので、どういうふうにそろえていくのかとか、あとは小型のバッテリーとかということも、モビリティも小型のものであればある程度標準化したバッテリーということが非常に有力ではないかと思っていまして、乗用車では乗用車の設計に合わせてバッテリーが非常にカスタマイズされた形になっていて、あれの標準化はなかなか難しそうなのですけれども、これから出てくる小型モビリティでは、二輪メーカーさんがもう既に4社、バッテリーの仕様を共通化されているので、あれは別に二輪車だけではなくていろいろなものに使えるし、1個ではなくて2個使う人は2個使うとか、今度そういったものを街の中に充電ステーションみたいに置いておくと、今度はそこのエネルギーマネジメントにも使えるみたいなことがあるので、充電器の使用ということと、あと特に小型モビリティということだとバッテリーの使用ということも合わせていったほうがいいのかなというようなことを考えております。

ぜひいろいろ私どももまた勉強させていただきたいと思います。ありがとうございます。

石田座長: ありがとうございます。

日高さん、手を挙げられていますのでお願いします。

日高構成員: MaaS Tech Japanの日高です。オンラインから失礼いたします。

岡本様のご発表、ありがとうございました。

今、ご発表をお伺いしまして、22ページ、23ページ、モビリティと人の接続とかモビリティハブ、MaaSをずっとやっている観点からすると非常に有益な取組だなと思いましたし、また、いろいろ拡張した活用というのは、先ほどは発表資料なので詳細までは記載がなかったかもしれませんが、様々活用が予想されるなと思いました。

我々も今、デマンド交通をいろいろな地域で実装しながらも、先ほどの多極分散型であると、稼働率を上げようとしたりユーザーのニーズを満たそうとすると台数が足りなくなったりとか、一方で、道路工事があるとそこに停留できない、もしくはそこの道路が通行できないというので、デマンド側の対応がものすごく必要となってきて、ルーティンが変わってしまったりというところも、細かいですけれどもかなりそういうところでコストもかかってくるというところがあります。

あと、モビリティハブに関しては、デマンドだけで広域な交通を維持することができない。先ほどもありましたけれども、ある程度幹線交通みたいなものとデマンドをうまく組み合わせるとなるとモビリティハブが必要で、それをモビリティ事業者だけではできないことを考えると、こういうモビリティハブの構想のところにMaaSとか総合交通体系の中でどう整理するかというところ、非常に重要だなと思いましたので、ぜひロードマップの検討の中でも、こういうものがいろいろなものとどう接続するのかというところが議論及びロードマップの中に記載されるとよいなと思いました。

あわせて、電力との組合せについては、交通データのクロスセクター効果という形で外の効果を出しますけれども、ここの検討会はもっと広い視座で見ているかなと思いまして、地方部を中心とした社会インフラのトータルの費用、あと限界費用をどう低減させるかというところに大きく貢献するものではないかなと思っております。そのようなモデルとしてこういうものをどうやって当てはめていくかというところもありますし、私は今日これから九州のほうに出張で行く関係で現地へお伺いできなかったのですけれども、今、九州はご存じのとおり豪雨災害で、道路インフラでBRT化のところも道路が陥没してというところもあって、災害が起こると基本的に電力、あと移動インフラというところがありますので、災害時の話もそうですし、災害が復旧するまでライフラインが途絶えてしまうというときに、このような基盤を使って、復旧まで数時間であればもちろんいいですけれども、工事が関わるとなると数か月とか、下手をすると1年、2年とかかるケースもあるので、そういうところの生活基盤をどう維持するかというところも災害の多い日本の中では非常に重要な観点かなと思ってお伺いしました。

ご発表について非常に私も勉強になりましたので、引き続き我々も勉強させていただければと思います。

以上です。

岡本構成員: ありがとうございます。

ずっとMaaSに取り組んでおられる日高さんにそう言っていただけると、我々のやっていることも少しお役に立てるのかなと思って大変ありがたく思いましたので、ぜひいろいろご一緒させていただければなと思います。よろしくお願いいたします。

石田座長: では、越塚先生と甲田さんの順でお願いします。

越塚構成員: 越塚です。

どうも発表ありがとうございました。

お聞きしていて、インフラのレベルで考えていくと、いろいろシェアリングしたり、ユニファイしていくやり方がいろいろな場面であるのだなというのと、いろいろな取組があるのだなというのを大変興味深く拝聴させていただきましたが、こういうシェアリングは、今日ご紹介いただくと、こんなにいろいろできるのだなという夢も感じると同時に、ただ、このところモビリティ関係とかこういうのでこういうシェアリングの話を朝から晩までずっと聞いていると、シェアリングは発散しているなと思って、例えばn個の要素があってシェアリングすると、一個一個やってしまうとnの階乗個のシェアリングができるのです。だから、シェアリングのパターンがあまりに多過ぎて、本当はn個あったら2分のnにしないといけないのだけれども、実際はnの階乗個に向かっているような気がして、これだとシェアリングの意味がトータルとして、一個一個見ると確かにシェアリングなのだけれども、全体で見ると組合せ爆発しているだけなのではないかなという印象をすごく感じてしまいました。

例えば11ページ目の路側インフラで、確かにこうやって書かれると、地面の上はいろいろなものが建っているのだと思って、僕が言うことは非現実的なのでできないのだと思うのですけれども、多分地上に建っているものは1種類にしたほうがいいですね。普通、小学生だったらそう思いますよね。僕らは大人だからいろいろなことをやってしまいますけれども、小学生だったら1本同じものにしますよね。そこに信号もついていれば、電気もついていれば、みんなそうしますけれども、ますます種類が増えてしまうような気がして、ただ、それをやろうと思うと相当のところ、それの中でもある程度今はどこかまで踏み込んでいかないときっといけなくて、それがどの辺の落としどころが適正なのかとかはよく考えなければいけないのかなと思いました。

それはあと15ページ目のところは非常に感じまして、確かに今、ここで重要なネットワークに電力のパワーのネットワークと通信のネットワークと今度、モビリティのネットワークがあって、今まではパワーと通信というのはスマートグリッドという形で、この2者の連携というのはいろいろしようとしていて、通信とモビリティのほうはMaaSという形で行われようとしていて、今度、EVの世界が出てくると電力とモビリティがというので、最終的にこの3つを組み合わせてやっていかなければいけないといったときに、3つごとにモビリティはモビリティのほうで鉄道とかバスとかもう大きな事業体があり、電力のほうも大きな事業体がありという中で、これがまた組合せ爆発してもしようがないと思いまして、質問にもならず感想でしかないのですけれども、これはそういう意味では国の役割なのだと思いますけれども、規制とか業界のデマケも含めて、相当これをやらないと単に組合せ爆発だけして終わるのではないかなという懸念を非常に強く持って、そこを何とかしないといけないなと思いました。

以上です。

岡本構成員: 先生、ありがとうございます。

確かにおっしゃる側面は出てくるので、であるからこそ、この「モビリティ・ロードマップ」を国等にまとめていただくというのが非常に大事かなと思っています。

あと、12ページはどちらかというと交差点に置くべき機能みたいなものを①から⑧に並べて、それを既存のインフラの上にマッピングするとすごくやみくもにあるみたいに見えているのは確かなのですけれども、実際は進めていくと要らないものは間引いていってしまうということに結局なるのだと思っているので、そういう意味では、どちらかというと機能をできるだけ少ないインフラで実現するということを考えた上で、いわゆるここにもモビリティワーキングでご議論いただきたいと書いたのですけれども、そういうご議論をいただいて、できるだけすっきりする形になればいいのかなと思いました。

どうもありがとうございます。

石田座長: 甲田さん。

甲田構成員: 非常に面白い講義、ありがとうございました。

全国にインフラのプラットフォームを既に持たれていらっしゃる会社様だからこそ、実用化されれば非常に新しいモビリティの在り方だとかインフラの在り方というところで可能性はあるなと思いながら、生活者視点からいくつか質問させていただきたいなと思いました。

6ページにある、いわゆる人口減少下における安全走行、自動運転車両による安全走行みたいなところなのですけれども、先ほど村松委員や越塚委員がおっしゃった多様性の共通化みたいなところに近しいところなのですが、たくさんの自動運転車両が走り始めたときに、センサーを受信できる車両側を統一していこうとしているのか、自動車の受信の多様性にインフラ側が多様化しようとしているのか、その辺をどのように考えているのかというところを教えていただければなというところと、恐らく自動運転車両側も、センサーを受信して、例えば自動で止まるぐらいまでの制御装置がついたものと、単純にアプリで情報を受け取る程度みたいなものと、差異が生まれてくると思うのです。そうなったときに、事故が起こらないことの前提ではありますが、万一事故が起こったときに、この制御機能というか安全の情報の通信の在り方というのは、better to haveのものなのか、must to haveのものなのか、どういう位置づけにしていくかというところで恐らく実装のされ方のスピード感が違ってくるのだろうなというところが6ページについて思ったところです。

次、14ページの地域のこれをどう持続可能なサービスにしていくかといったときに、今、車両整備と路線インフラの支出の負担が重たくて、これをEV化することによって実用化していこうみたいなお話があったかと思うのですけれども、そもそも今、EVではないことによって自動運転が進まないという割合がどれぐらいあるのか。EV化することによってこれが事業化される、いわゆるコストパフォーマンスがどれぐらい上がるのかというところが分かれば、分かる範囲で教えていただきたいなという思うところと、あるべき姿のto beのところ、これがEV化されることによって、支出と収入がある程度バランスが取れたところで物すごく大きな事業収益が見込めるわけではないと思うので、自動運転バス事業に関しては、あくまでもそれでも民間の負担、民間の主導でやっていくべきだとお考えなのか、ここは公共の負担でやっていくべきだと資金のところが書かれているのですけれども、ここをうまくハイブリッドの合弁みたいな感じにすることが望ましいと考えられているのか、何かお考えがあれば教えてください。

岡本構成員: ありがとうございます。

まず、最後のほうからお答えしたほうがいいかなと思います。

資金提供については、特定のことを考えるのは難しくて、14ページにあるようなハイブリッドに結局なると思っている。ただ、そのときにどれだけバリューを上げてコストを下げられるかということにもよると思うのですけれども、基本的にはハイブリッドということだろうと思います。

それから、遡っていくと、自動運転とEV化の関係で私、定量的なものを持ち合わせていなくて、非常に感覚的にお答えするので正確ではないかもしれないですけれども、私は電気技術者なので、制御対象としてのモーターは非常に制御性能がよくて、非常に精度がよくてレスポンスもいいので、普通に自動化しようと思うと、内燃機関よりは多分はるかにいいだろうと。すみません、機械屋さんの人がいるとすごく怒られると思いますけれども、制御技術者とか電気技術者として考えると、インバーターを使えばモーターを制御できるのですけれども、制御対象としてはすごく精度よく、レスポンスもいいし、トルクも出るしということで、非常に制御しやすいので、そういう感覚でいくとはるかに自動運転には向いているだろうと思います。ただ、定量的なものを今、持ち合わせていないので、申し訳ありません。

あと、6ページのところはおっしゃったとおりで、ユースケースによってアプリケーションのための通信のスペックは全部違ってくると思いますし、衝突を防ぐとかということになってくるとかなり低遅延の通信になってくるし、あるいはそこにかなり安全性を依存するのだとすると、その通信自体が止まっていてはいけないみたいなものもあるし、あるいは渋滞情報をお互いに車両の情報を集めて、この辺は渋滞しているというのをお知らせしてほしいという程度であればかなりゆっくりとした通信で、場合によると止まっていても別にいいよねみたいなものがあるので、本当にユースケースごとに必要になる通信のスペックが遅延に対するものであったり、あと信頼度に対するレベルが大分違ってくるので、そこは同じモビリティのための通信と言っても全然違うものになると思いますので、そういった整理は確かにおっしゃるとおり必要だなと思います。

最初の多様性ということだと、私もモビリティ側の通信ということについてあまり詳しくないのであれなのですけれども、多分いくつかの標準みたいなものがあると思っていて、やみくもにたくさんモビリティごとに何かあるものではないと思っていて、いくつかのパターンに集約されていると思いますので、そこに合わせて路側インフラ側から提供するということも、どうしても統一してくれというところまではないと思うのですけれども、やみくもにたくさんあるとそれは対応できないという、そんな感じなのではないかなと思っています。

石田座長: 齊藤さん、お願いします。

齊藤構成員: 岡本さん、どうもありがとうございます。

デジタルライフラインは今、自動運転の話があって、東京電力はドローンを鉄塔点検で利用するみたいな話がありますが、本命はやはりこれだと思うのです。先ほどモビリティのインフラのような話がありましたが、実態としてはそこで使う物流とかバスとかタクシー、自家用車、そこで多分デマンドに対してどういう動かし方があるという話がローカルでもそれぞれの地域ごとにあって、恐らくそこのEVを活用した世界に例えば電力インフラはどのような投資をして、EVを使ってどういうふうにエネルギーマネジメントするのか、というような話が将来的には必須です。2050年までにはカーボンニュートラルという話であれば、今のグリーンイノベーションは実現しなければいけないです。もう始めなければ間に合わないのです。だから、EVがなくても次のインフラを考える時代にもう入っていると思っているので、ぜひ今のデジタルライフラインでモビリティを加えた自動運転の先の話というのは、今度、いわゆるGI(グリーンイノベーション)に向けてどういうモビリティと電力インフラを考えたらいいか。それも全体ではなくて、各地域の各事業者に対して例えばデマンドレスポンスのような、そういういわゆるビジネスとしてナビゲーションしていくようなものを設けたらいいかというのを検討していきたいというのが、私の思っているイメージなのです。だから、よろしくお願いします。

先ほど越塚さんからシェアリングをやると無限の組合せがあるみたいな話があったので一言、コメントをしておくと、そのために我々DADCがいて、アーキテクチャを投資する、システムの総合運用をやっていくという話で、シェアリングがいくつあっても総合連携できるような形にしているので、そういう心配はないようにしていきたいと考えています。ぜひアーキテクチャを統一するみたいな話を越塚さんにもいろいろPRしていただきたいなと思いますので、よろしくお願いします。

岡本構成員: ありがとうございます。

まさにおっしゃったとおりで、私もアーキテクチャは齊藤さんのほうでやられているので大丈夫ですと答えるのを忘れていたのを今、思い出しましたけれども、結局そういうことなのです。アーキテクチャから入らないといけないということと、ドローンの件も宣伝をしていただいてありがとうございます。今日はドローンの話までは入れられなかったのですけれども、アーリーハーベストでも、弊社の設備も活用したドローンについても見ていただいていて、当面はまずはインフラの点検をいかに効率的にやるか。我々の作業員もどんどん減っていますので、そこをやって、それはインフラ事業者同士で組んでいける話です。ただ、おっしゃるとおり2024年問題もあって、物流が結局一番必要とするモビリティの自動運転という、ドローンのというところがあると思っていますので、できるだけそこに向けてしっかり我々もやっていきたいし、そこにエネルギーマネジメントを掛け合わせるということをやると思っていまして、齊藤様から今、お話があったとおりで、ゆっくりしている場合ではないのと、ただ、ネタとしてはもう大分出そろってきたと思っているので、ここからスピードが上がるのではないかというか、上げなければいけないのではないかと思っていますので、ぜひよろしくご指導いただきたいと思います。
お願いいたします。

石田座長: どうぞ。

村上統括官: 東電さんには大分お付き合いをいただいていて、後ろにいる若い子とかは随分この間、1年半以上、一緒に勉強してきてくれているのですけれども、2つあります。

バルセロナとか、実はイスラエルを見て僕、ああそういうことかと分かったのですけれども、いわゆるスマートシティが進んでいると言われているところは全部防犯インフラを使っています。逆に言うと、防犯インフラのインフラ償却コストがかからないから、その上にサービスが乗っかっていて、防犯インフラが届かないところになった瞬間にコスト回収ができなくなって、スマートシティのメニューはそこで止まる。バルセロナではよくスマートバスストップ、ゴミ収集、防犯何とか、あれは全部、警察系が握っている道路インフラで、根っこの最初の開発はイスラエルの4地域でやっているということが調べて分かり、警察庁さんも聞かれているのではないかと思うのですけれども、日本の場合、なかなかそういうわけにもいかないと思ったときに、実は日本のモデルは、電力だけかどうか分かりませんが、広域事業者が既に持っているインフラをそこに差し替えて使うというのが1つの戦略なのではないかと私は個人的に思っておりまして、代表して東電さんにいろいろお話ししていただいていますけれども、もし話が広がるようであれば、一般の方には電柱と電信柱はどこが違うか知っていると聞くと、大体子供たちは「ええっ」というところから始まる、根拠法が違うのだよという話なのです。

2点目は、越塚先生にもご指摘をいただいた発散系の話にどこにフックをかけるかという論理的な答えなのですけれども、2つありまして、1つはインフラシェアの意味なのですが、これは岡本副社長がそこまでコミットしているかどうかは別として、勝手に僕の思いを言うと、前段の理想を達成するためには、必要なアンテナだとか何だとかが極端な話、東電さんのバランスシートで持っていただいて、税制をつけるか何をつけるかは政策的に考えたらいいと思うのですけれども、それを安く貸していただくとか使わせていただくという、場所貸し業に止めるインフラシェアリングと、設備まで持ってしまってその上で使用させるというのと、ヨーロッパで通信のインフラシェアリングを勉強すると実は両タイプあるし、フランスなんかは割と明確に後者まで、放送まで含めて突っ込んでしまっているのですけれども、それをもう少し制度をきちんと整理して、その上で、電力会社として保有できる設備の範囲について、もし制度上疑義があれば、それも整理をした上で、できれば防犯設備を国が持って使わせしめているのと同じアナロジーに近い状態に持ち込んでしまえば、恐らく電力会社さんだけではなくて鉄道会社さんなども恐らく乗ってくると思うのです。

そうなってくると後段の論点で、あとは発散してくるものをどこかでまとめなければいけないというのが、例えばデジタルライフライン全国総合整備計画で言うと、スマートたこ足と言っていますけれども、あのキーワードはみんな実はフックがかかっているのだけれども、タコ足に何の機能を持っているのだろうというのはみんな興味津々だけれどもよく分からないと、例えばそこに集約できるものにフックをかけるかとか、同様に行動変容のところでも、さらっと過ぎましたけれども、僕はにぎわい広場は結構面白いと思っていまして、この間も友人の法事で寺からの帰り、上野駅の2階に広がって歩けるところがあるのですけれども、あんなところでも結構人はたまるのです。どこかに人のリアルのたまる部分と、それから設備的にもどこかたまる部分と、n対nを直接つないでしまうのではなくて、n対1対nの構図に持ち込むことというのを両面からやると、ひょっとすると採算性の取れるシェアリングポイントが見えてくるかもしれない。

これは論理的な答えはないので、最後決めて諮るしかないのですけれども、それはひょっとすると「モビリティ・ロードマップ」で議論すべき大きな論点の1つになるというか、そこで集約する先が見えると、設備投資的にも人の流し方的にもこうすればひょっとすると現実的に償却できる設備投資が見えてくるのではないかというポイントがあるのではないかと思っていまして、ぜひそういうシェアリングについてのことと、それからどこかにフックをかけるn対1対nの1という場所をみんなで探しませんかという問題提起をさせていただければと思います。

以上です。

石田座長: このモビリティハブは今、例えばさいたま市で、もうこういうことをやられているのです。結構マルシェとかキッチンカーなども来て、もうちょっとで採算に合うとかということから始まって、バス事業者がバスの営業所、車庫をこれからどう使うか。あまり人も行かないから、汚いところなのです。幹線バスはそこをターミナルにして、そこからAIデマンドで面的サービスをしたいのだけれども、乗り継ぎをなかなかしてくださらないので、どう魅力的にするか、そんなことも現実に始まろうとしていますので、そこの高度化みたいなことは非常に大事だなと思いました。それが1つ。

2番目です。12枚目のスライドなのですが、できればいいのだけれども、いくらかかるのかというのがあって、こういうのは多分スケールしないのではないか。ちょっと思い込みが激しいですけれども、どうコストをカットしていくかということと、こういう問題に対して安全性とか、街のにぎわいとか、あるいは便利性を追求するのでは、ヨーロッパの街とかアメリカの街はこういうものではないアプローチを取り始めて、それで結構成果を上げつつありますので、こういうのをどう位置づけるのかなということがよく分からないでいます。また教えてください。

3点目です。先ほどの三豊市の近藤さんのときにもありましたけれども、人の流れをどう把握するかということです。これは実は非常に大きな問題を含んでいるのではないかなと思っておりまして、今、そういうことで政府が取っているデータがあるわけです。人の流れのパーソントリップ調査とか、自動車の流れの道路交通センサスとか、大都市の公共交通とか、物流もやっているのですけれども、基本的に人の記憶に頼る調査手法なのです。何かというと、紙に書いてもらって、どこからどこへ行きましたかと。さすがに最近は紙は使わない例が増えてきているのですけれども、DXはどうしているのかと言ったら、ウェブ入力になっていますというぐらいの状況なのです。

いろいろなところでこれだけモバイルデータが出てきています。それは官だけではなくて民もそうですので、あるいはいろいろなモビリティサービスもそうですので、そういうのをどう集約化するかは非常に大きなテーマだと思っておりまして、それぐらいのきめ細かな粒度の高いデータが取れないと、逆に新たな問題とか課題とか需要とかはつかみ切れないのではないのかなと思いますし、先ほど言った今、紙でやっているデータは10年に一度とか5年に一度とか、いつの話みたいなことになってしまいますので、そういうことも大改革が要るのではないのかなと思っておりますので、よろしくお願いします。

越塚構成員: 質問したいのですけれども、こういうものを例えば本当に実現しようと思ったら究極的には東電さんがバスをやらなければいけないような気がするのです。今、規定上とか、そういう交通事業者自体をやっていいのでしょうか。例えばMaaSがあったときなどは、例えば通信事業者さんがサブスクをしていますと。そのサブスクと定期券というサブスクを一体化するビジネスは可能なのですかとか、それは多分難しいというので、最後のエンドユーザーのビジネスのところが融合しないと、例えばガスと電気というのは徴収するところはかなり融合しています。エネルギー間ではできるのですけれども、同じようなことをお客さんのところから支払いをするときに、交通の支払いと電力の支払い、電力の支払いと鉄道の支払いを一緒にできるのですかみたいなビジネスがあれば、経済原則からユニファイドしていくと思うのです。けれども、そこが全部縦で切られてしまっていて、事業関係上できませんと言われると絵で終わってしまうから、最後、そこがどこまで取り壊せるかというところのような気が私はしているのです。

村上統括官: 電気ではなくて通信はやっています。NTTファイナンスさんが各種料金回収代行もやっていますので、あれは料金の自由化が早かったので、そこまで先に行っているという状態だと思います。

電力の場合は、こちらのほうがお詳しいと思いますが、細かく精査しないと電力料金の範囲が及んでいるところと、そこと支出の紐づけのところはまだ厳しく見られていますので、簡単ではないとは思いますが、現行制度下でもオフバラして別会社で工夫してやればできることはあるのではないかという気はしますが、それよりもNTTファイナンスさんがそこまで大らかにやっているのだから、電力だってできるはずだろう、制度改革も込みで考えたらどうかという類いの話はあっていいのかなと思います。

齊藤構成員: ちょっと補足しておきますと、今、経産省で言っているデータ連携基盤とかいう話の延長線上に、公的なプラットフォームというのを準備しようとしているのです。これはどちらかというと公的にいろいろなデータを共有できる環境をつくろうと。みんなが見られるわけではなくて、それはある意味でサービスを連携する人たちしか見られないようにするのですが、1つのメーカーが個別に持つのではなくて、公的なプラットフォームを中間に置いて、いわゆるパブリックデータを扱えるようにしないと、今言ったような最適化というのはできないから、そういう領域を設けようという話をしています。

まだこれからの話ですが、それぞれの企業が持っているデータをどこかに並べられるようにしたり、揃えられるようにしていかないと、ある意味ではGAFAMのいろいろなプラットフォーム事業者が元々持っているデータをいわゆる日本の企業群が扱うようになれないのです。やはりそういうものが必要です。みんなGAFAM対抗と言うのだけれども、GAFAMのような企業をつくるのか、それともGAFAMがやっているようなサービスをみんなでつくるのかです。私は日本全体が例えばトータルで100兆円を超えるような時価総額を持っている企業群になるような公的なプラットフォームをつくるべきだという話をしていまして、そういう形でアーキテクチャを考えていくという話が1つ必要なので、今回のデジタルライフラインのいわゆる全体アーキテクチャのところではそういうものを進めたいし、車の情報も含めて、今のパブリックデータのところの個人情報に関わるところですが、これはデジタル庁のほうでリードしてもらわないと難しいです。

これが、逆に言ったら災害のときにもどう活用できるかです。災害時には、緊急対応で個人データが活用できるように切り替わると、救急対応などもすぐに対応できますので、その辺の話は経産省というよりはデジタル庁のマターとしてやっていただきたいという話です。よろしくお願いしたいと思います。

それと、ついでにさっき言いたかったことをもう1つ言っておきますと、さっきのn対1対nがあるではないですか。これはある意味ではモジュール構造ではないけれども、いわゆる分散的につくらないと結局、n対nでやると難しくて、モジュール構造化が要るのです。そうすると、nのところを1にしてまたnに戻すみたいな話というのは、1つはハブのような話もあるし、もう1つは基幹のラインみたいな、例えば高速道路はどちらかと言うと1の領域をみんなが共有するみたいな話になる。多分そういうモジュール構造を想定して構築する必要があります。モジュール化と言うとみんなものづくりのモジュールとかソフトのモジュールとかを想定されると思いますが、これからのインフラをモジュール構造で構築していくことで考えています。ある地域で1つつくったら、それが掛けるn倍、全国に展開できる形を今回の例えばデジタルライフラインのアーリーハーベストでつくり上げると、同じモデルを使ってそこをつなげばもうすぐに出来上がるというような構想をつくりたいと思っているのです。これもどちらかと言うとシステム的な話なので、恐らくデジタル庁の方たちが入らないと難しいのだと思います。よろしくお願いします。

石田座長: ありがとうございました。

これぐらいにしたいと思います。ありがとうございます。波多野さん、よろしくお願いします。

波多野構成員: ご紹介にあずかりました自工会の波多野でございます。

前回、自工会の山下が話させていただいたのはどちらかというと事業軸の話ですけれども、今日は、私が所属しているところが安全技術・政策委員会ということで、技術軸でのお話ということで、非常に盛り上がっているビジネス軸のディスカッションの中で水を差してしまうような話になってしまうかとは思いますけれども、少しお時間をいただきましてお話しさせていただければと思います。
自動運転に関わる制度整備というのは、非常に官民連携で順調に進めていただいておりまして、皆様ご存じのように、本年度4月には特定条件下で自動運転レベル4を運行できるという特定自動運行という形での道路交通法の改正及び法案基準に関する細目や道路運送法の改定も実施されまして、レベル4がサービスカーとして利用できるという、非常に国際的にもリーディングしている状況に今、日本はなっているということでございます。

そういった背景の中で、今、自動運転が交通社会の中で共存していくと。自動運転以外の車両であるとか、交通参加者皆さんとこの社会を共有していくという観点で、いま一度、今まで準備していただいていました自動運転に関する走行環境がどのように整備されてきたかというのを振り返ってみますと、先ほど申し上げた道路交通法をはじめとするあえて道路4法と言いますけれども、道路車両運送法、そして道路運送法、道路法とありますが、今まではどちらかというと左側にあります自動運転が、自分が頑張ってルールを守って安全を担保しますという考え方でルールが構築されてきたというのがほぼほぼかと思います。

一方、先ほど申し上げましたように、自動運転だけで交通社会を形成しているわけではありませんで、周辺交通参加者の皆さんと共にこの環境を共存していくという観点で言うと、真ん中に交通環境を置き、右側にそれを利用する「人」とあえて書いていますが、周辺の交通参加者ということで考えますと、まだまだいろいろ議論の余地があるのではないかと考えられるかなと思っています。

右側の上のほうに書いていますけれども、今、公共インフラの整備や周辺交通参加者による交通ルールの遵守などの共存ということが非常に重要な鍵になってくるかなという思いでおります。

先ほどのページにありましたまず交通環境で申し上げますと、自助の走行環境整備をさらに充実させていけるという事例で申し上げますと、安全を担保しようとすると、検証のシナリオと今、言っていますけれども、どんな形でテストをするかという項目が非常に爆発してしまうということがありまして、これを類型化し、シンプルにして、何を検証しなければいけないか、これを有限な範囲にとどめるということが社会実装にとっては非常に重要です。

次に、機能限界がどの程度のところにあって、だからほかに何が必要だというところをしっかり社会と共有できるような議論ができるプラットフォームみたいなものが必要ですし、想定外のことが起きたときに、ではどうするのだというような議論も今後必要になってきます。

加えて、共助という考え方で期待される部分で言うと、自動運転がなかなか難しいというのであれば、専用のエリアを考えるであるとか、先ほどの交差点の事例、東電さんの情報がありましたけれども、これの中で、周辺交通参加者や人と分離して走ってあげるというようなことでも十分に安全は向上するかなと思います。信号も歩車分離するであるとか、右折信号を個別につくるであるとか、そういったことも含めてデジタル活用して連携することも考えられますし、基本的には4ポツ目にあるように、歩行者や自転車が普通に交通ルールを守ってもらえれば、ほぼ安全は担保されるのですよというところをどうやって共有していくのかなといったベーシックなところも意外と効果的なのかなと思っています。

地域社会が交通環境を整備していく上でも、こういった何ができて何ができないのか、そして誰がサポートしていくのかといったところを明確にして、議論が共有できるような取組が自工会としても社会実装を目指す上で非常に今後大事になってくるのかなと考えております。

こういった背景を踏まえまして、自工会ではレベル4の社会実装に向けて、「人」「クルマ」「交通環境」を取り扱う三位一体の取組を今、始めております。安全性を最優先にした上で、自動運転をより広範に社会実装していくためには、「クルマ」中心から三位一体の取組ということに移っていく必要がありますし、そのために、それぞれに対する課題を抽出した上で、三位一体全体としてどのように取り組んでいくべきかというアクションプランも今、検討を進めておる状況でございます。イメージとしては、下段にあります絵のように、「人」「交通環境」「クルマ」それぞれが協調して、しっかりと安全を守っていくということが望ましいと考えております。

その上で、自工会に自動運転タスクフォースという検討グループをつくりまして、私がリーダーをさせていただいていますけれども、経産省様では7分類、レベル4の類型を示していただいていますが、その中で主にDとEという常用系が考えているいくつかのパターンを右下の図にありますように交通環境への安全対策の多い少ないと、それから事業エリアの広さ、限定性というところで、管理空間、分離空間、混在空間という3つの空間条件を置きまして、左に示しますようにそれぞれに事業形態の事例を仮置きして、この中で、この事例を基にどのような課題があるのかということを検討してまいりました。

非常に多岐にわたって課題があるわけですけれども、縦軸に大きな政策課題につながるようなもの、それから制度の課題、そして技術的な事業面の課題という課題のレベルを置き、横軸に人やクルマ、交通環境がどのような課題を持っているかということでマッピングしますと、見ていただいているような課題が抽出されたというのが今までの検討結果です。特に赤字で示したところは重要な、これからさらに議論を深めなければいけない部分で、これをさらに今、深掘りをしている最中です。

この深掘りをする上で、実際なぜこの課題が出てきたのだっけというようなところをなるべく共有しやすくするために、次のページ以降、どのような形で自動運転が形づくられていくのかというクルマ、人、インフラの役割分担のイメージというイラストでこれを示させていただいています。

最初、移動サービスを設計しようとするときには、予見困難や回避困難なリスクを含めた上で、やりたいエリアが左側にあるグレーで示しているように広くあります。実際に自動運転の技術がそこまで十分にマジョリティーが上がっていない場合は、やりたいエリアよりも自動運転ができる範囲はちょっと狭くなっています。ソラマメみたいな形になっています。

これを実際に社会実装を目指していこうとすると2通りのパターンがあって、エリアをどんどん狭くしていって、ソラマメの中に押し込んでいくというような形にするアプローチ、それでもはみ出ているところはインフラで対応し、人のルールも例えば教育したり、例えばスマートシティの中でルールを新たにつくったりというようなことで、インフラと人が協調して、希望のエリアではないけれども、ある程度少ない中で三位一体でカバーして安全を担保するというパターンが上段です。

下段は、もともとサービスエリアを絶対に縮小したくないという場合は、何とか頑張って自動運転のシステムが自律して対応できるエリアを増やしていくことを最初に考えると思うのですけれども、それでもこのソラマメが十分に広がらない場合は、ここにインフラのカバー範囲を追加し、人のルールも周知するということをやります。ただ、この場合は、場合によってはちょっとグレーのカバーし切れていない部分が残ってしまうかもしれません。グレーの部分を今後どう扱っていくかというのが、このビジネスといいますか移動サービスを提供しようとするときに大きな課題になってくるだろうということが言えます。

こんなアプローチをしていくのですけれども、そうしますとまず一番最初に課題となるのは、このソラマメの限界の界面はどうやって決めるのだっけというところです。ソラマメの中を交差に切って、演繹的、要するにトップダウンで検証していく、示していく、安全だと証明していくというやり方もあれば、ソラマメの中を実験的に、機能的にテストをして、安全の確認をしていって、塗り潰してどんどん色を濃くしていくというやり方もあります。いくつかやり方があるのですけれども、それぞれ利点と弱点がありまして、いずれにせよこのソラマメの範囲を明確にここまでできるということを第三者も含めて共有できないと、足りないから次という議論になかなかならない。

これは逆でもいいのですけれども、あらかじめインフラや人がカバーすることを前提に、システムをこの程度にするというアプローチも当然あっていいと思いますけれども、いずれにせよ、この界面というのがしっかり判断できるような取組が必要で、ルール上はこの界面をどこまで追求して、どうやって審査いただくのかというところがこれからまさに25年50か所に向けて詳細の議論が始まるところだと理解しています。

システムの限界を広げていくということで言うと、例えば走れるスピードを上げていく。それから、走れるエリア、地図を広げていく。それから、対応できるシーンも例えばAIを使って学習していくという広げ方もありますし、一方で、サービス化は遠隔監視というものがありますから、遠隔監視の力によって解決できるシーンを増やしていくというような形もありますけれども、いずれの場合もこの取組がしっかりガラス張りになって、実施している側だけではなくて、今後審査されるであろうとか利用される場合に何をやったかというのがしっかり分かるようにしていく、具体的にどこまでガラス張りにするのかというのも今後議論が必要だろうと考えています。

3つ目の課題としては、ソラマメを広げ、次はインフラや人とのコンビネーションを考えるわけですけれども、ここは先ほど東電さんからご案内があったITSポールのようなもの、これは我々はアクティブインフラと呼んでいますけれども、そういうもので対応できるものもあれば、例えばガードレールをつけるであるとか、単純に右折信号を新設するであるとか、専用レーンをつくるであるとか、そういったパッシブなインフラとの協調でも十分に安全性が担保できる場合もありますので、そのどちらかであるかという議論と、結局システムがここまでできるので、そこから先をインフラがしっかりサポートするのであるという共通理解のために、責任の分界点をしっかりとバトンタッチできる、そんな議論ができることが非常に重要だろうと考えております。

これは人においても同様で、例えばスマートシティのような、もしくはある程度の公園内でのサービスのような管理空間でお客様にルールを徹底してもらうという場合もそうですけれども、結局はルール守れなかった場合にどうするのかということも含めて、責任の取り方をどうしていくのかというところをしっかりと議論できることが全体としての安全を担保する上では非常に重要だろうと考えています。

言うならば、このソラマメというのは自動運転システムそのものですので、自動運転システムが対応できないところをほかの方策で対応してもらうということになるので、自動運転システムでも対応できないところの対応は結構難しいのではないかなというところがあって、本当に大丈夫ですよねというところも含めて、役割分担をしっかりできるような議論するためのフレームワークは非常に重要だろうと考えています。

最後、そうは言ってもどうしても取り切れないリスクの部分が残った場合は、いわゆる予見可能で回避可能なマトリックスの中で、特に右側の上の四角の象限、自動運転には回避困難だけれども何とか予見できるようなケースというのはどの程度リスクを低減させるのか。全体の中で例えば一生に一回出会うか出会わないかというような話なのか、毎週出会ってしまうという話なのか、どういったところに落ち着くのかという議論もした上で、受入れ可能な範囲で低減する。ゼロというのは論理としては不可能なので、社会にとって許容可能なレベルにリスクを低減するというところ、許容ラインを見極めていく、構築していくというのが最終的には非常に重要なのだろうと考えております。

最後、その議論が終わり、いよいよ社会実装された場合には、社会実装中に起き得るいろいろな事柄に対してもあらかじめ協議が必要です。実際、サービスをローンチするためにはどのような水準を満たせば受け入れられるのかという議論も当然そうですし、何らかのサービス不具合やサイバーセキュリティーなどのインシデントが発生した場合に、どのように対処していって、本来、実施側に責任があったのか、そもそももしかするとルール自体もしくは審査に課題がなかったのかみたいなところも含めて、包括的に将来起こり得る予想外のことに対して予習しておく、議論しておくことが非常に今後重要になってくるかなと考えております。

以上、かなり抽象的ではございますが、こんな議論をした上で、課題が今、申し上げた論点1から5、課題1から5にどのように関連してくるかというのを紐づけた表がこちらになりまして、これを今後、業界としても関係各所と協議をして、さらに理解を深めていきたいと考えております。

今日、三位一体の考え方ということで、「人」「クルマ」「交通環境」との連携が非常に重要だということと、これを社会実装するためにはまだまだ議論しなければいけないことが多いということを申し上げました。論点としては1から5までを示させていただいて、さらに具体化・詳細化というのは今、弊会内でも鋭意推進中でありまして、この具体性が固まり次第、関係先との協議を始めさせていただいて、社会実装に向けた有益な議論につなげたいと考えております。

発表は以上でございます。

石田座長: ありがとうございました。

非常に整理した形でご説明いただきまして助かります。ありがとうございました。

またディスカッションしてまいりたいと思いますが、どなたからでも結構です。

秋本さん、お願いします。

秋本構成員代理: ご説明ありがとうございました。

自動運転をしていく中で、私たちもドローンを飛ばす中で、安全を担保するためにいろいろなルール形成、技術開発、環境整備、そういうことをやっていかなければいけないということで、悩まれているということを理解させていただきました。

その中で、ドローンのほうでいつも皆さんに言っているのですけれども、なかなか聞いていただけないことがあって紹介させていただきます。

例えば昔、ドローンはこういうところで区域を使わせてくださいということで、航空局さんのほうに航空路誌のAIPというのがあるのですけれども、そちらのほうに例えば訓練区域とかいろいろ設定されているのです。そこにドローン区域を設定してください、そういう制度をつくっていただけませんかと言ったら、これは駄目と言われて、仕方ないので今、どうやっていけばいいのかというところで、基本的に操縦技量とドローンの安全性というか機体認証というもので第三者が上空を飛んでもいいよという機体の認証、それと操縦していいよというライセンス、そちらの制度ができて、今後どうやって飛ばしていくかという中で、インフラ側のほうも整備していく必要があるのではないかなと私は常に考えておりまして、国が制度を整備するのは航空法とかそういうところになるのですけれども、どこを飛ばしますかと言ったときに、例えば自治体の都市計画の中でここを飛びますよと。都市計画の中で県道、市道と同じように、空域のここを飛びますよという幹線道路みたいなものを空間に設定するということで、都市計画でそういうものを設定していくのが解の1つかなと思って皆さんにご提案しているのですけれども、なかなかそれは難しい。検討してみますというところもあるのですけれども、なかなかまだ進んでいないということです。

そういうのを設定していただくことによって、あと例えば道路を横断するところにも、例えば上をドローンが飛びますよという横断歩道と同じ標識をつくって、飛びますよというのを自治体側がきちんと住民に周知徹底することによって、そこは上を飛びますと、管理区域と同じですよということで、第三者上空に当たりませんということにすると普通にドローンが田舎のほうでも飛べる。航路といわゆる道路標識、そういうものを設定することは地方の仕事になるのかなと思っております。そういうのを同じように自動運転も、ここは自動運転のレベル何とかが通りますよという標識をつくるとか、そういうところも国が設定していくのがいいのか、自治体が設定していくのがいいのか分かりませんけれども、道路のそういう属性みたいなものを少しずつ増やしていくとか、そういうインフラ側の環境整備が今後、社会実装に必要になってくるかなと思っております。

以上でございます。

石田座長: お願いします。

齊藤構成員: 波多野さん、どうもありがとうございました。

この話を聞いていると、昔、設備にデジタルを導入したときに客が言っていた心配によく似ているのです。改めて今の時代、社会インフラにこういう考え方を織り込まなければいけないというのがよく分かって、これからシステム・オブ・システムズになって、誰がそこにいるか分からない、どういうシステムがあるか分からないという話が出てくるので、結構この議論は重要と思いました。

その中に1つあるのですけれども、車から見たときに、安全・安心を考えたらインフラに対する要求みたいな話は出るのではないかと。だから、本当に安全を考えるのであれば相互に要求して、こういうインフラにするという話があって、それに対して例えば認定・認証をやらないと、車の安全は保障できないという話があるのではないかということと、もう1つは、車同士が会話するような話があったほうがいいのでないかという話です。相互に車の中に自動運転用に、自分自身の自動運転以外に周りの車との例えば情報連携、アラームのような内容も含めて、そういう情報連携も考えていくような話がひょっとしたらあるのではないかなと感じたのですけれども、その辺はこういうところに含まれているのですか。

波多野構成員: 齊藤先生、ありがとうございます。

まず、1点目のインフラに対しての安全要求があるのではないかということで言うと、技術的には可能だと思います。簡単に言うと今、自動車の場合は自動車向けの機能安全という規格があります。ISOの26262という規格があるのですけれども、規格に沿って安全水準というのがありますので、最も厳しいのはASILレベル4というクラスがあるのですけれども、大体自動運転をやるとコアの部分はASIL4がついてしまうので、ASIL4をインフラに要求するということがもし可能であったら、システムの一部にできるとは思います。ただ、経験上、ASIL4をインフラに求めるというのはなかなか難しいのではないかなと今は想定しています。

あともう1つの課題は、インフラが特定システムのためだけにつくられていないということを考えると、そういった意味でも安全要求が果たして満たされるのか、要するにインフラ側に過度な要求になってしまい、現実的にはインフラが設計できないのではないかなというところも想定されるので、あまりその議論にはなっていない。

齊藤構成員: ETCをやったときに、某社の車載器はちょっと性能が悪くて、ある車のあるガラスだと反応が遅かったので、ETCの突入スピードは当初の設計値を下回る、40km/hrぐらいで突っ込んでも大丈夫なはずだったのだけれども、それでぶつかったことがあって、調べたのです。そうするとその組み合わせでは、やはりちゃんとできていなかった。もし本当にフル自動でやろうとすると、そういう要求に対してきちんと検証しないと危ないことが実際にはあるのです。

もしインフラでそこまでのものを要求しない、でも安全に対して何らかの関与をしてほしいというのであれば、もし失敗したケースで、例えば人がオペレーションする、リモートでもいいのだけれども、止まっても何とかできないとまずいので、恐らくはシステムと運用をどうしていくかということになります。一方で、完全自動にしても、あらゆる状況に対応して、フルオートにするという話であれば、インフラに対する要求もしなければいけないのだけれども、技術的な限界もあるので状況に応じて、あとは誰かが代替えしてそこを乗り切る話を想定しながら、逆にそんなことまでしなくてもいいよということで要求を整理して、トータルのオペレーションを設計することで解を見つけられることが多分あるのではないかなと感じました。

波多野構成員: まさにおっしゃるとおりだと思います。求める要求水準によってやり方が変わりますので、それに応じた要求レベルがあると思います。

例題としては不適切かもしれませんけれども、例えば現状存在する自動運転でインフラに近い情報として挙げられるのが、例えばGPSの電波です。GPSの電波を使って自分の位置を地図上のどこにあるかというのを測って位置決めするのですけれども、実はGPSだけだと全く技術的には位置決めできません。なので、利用はするのですけれども、複数の情報を組み合わせて精度を上げるというやり方でGPSの信号を使う、それによって自分の位置も分かっていくということになっていますので、そういうことに近い使い方であれば、インフラの情報も、もう既に存在する例えば先読み情報であるとか、信号情報であるとか、そういったものも完全に信頼し切るというわけではなくて、情報という形で加えて総合的に判断するというアプローチを使えば利用は可能だと思います。ただ、やはり肝心なのは、何かあったときに責任を負ってもらうというところまでまだ議論はできていないのかなと。

齊藤構成員: 多分あるポイント、ここは譲れないという部分と、それ以外のそういったシステムで対応していく話があるのでしょう。分かりました。

それと、先ほどのいわゆる社会的受容性とか、何かあったときに対応する話で、メーカーに全て責任を帰属させるのはまずいのではないかという話はありますね。それは今、いわゆる経産省でやっているアジャイルガバナンスで、例えば標準に対応して認定・認証を受けたのであれば、逆にそれはその企業の責任ではなくて全体としてカバーしなければいけない。当事者となる企業がある意味ではどんどん事故対応に入ってきて、いわゆる何がまずかったというのを言ってもらえるようにしないとまずいので、変な損害賠償を与えるのではなくて、とにかく情報を出してもらう。そうしないとシステムがすぐに直らないし、改善できない。そういうのを議論しているのです。だから、そういうアジャイルガバナンス的な話も加えて一緒に議論するといいのかなと感じました。

波多野構成員: ありがとうございます。

民事的な観点では、自動運転の世界はかなり整理されていると思うのですけれども、まだ刑法的な部分については一部課題があると思っていますので、そこはぜひ一緒に議論させていただきたいと思います。

石田座長: 山本さん、どうぞ。

時間が押していますので、簡潔にお願いできますか。

山本構成員: 分かりました。

ITS Japan、山本でございます。

6ページを見せていただけないでしょうか。三位一体です。私も車会社にお世話になっていたので非常になじみがあるのですけれども、6ページの次です。右下の混在空間、私は最近、アメリカ、中国等でロボットタクシー等を追っている調査をしていると、インフラとか環境関係なく自律だけで頑張ろうというような傾向がありますが、自工会さんのほうでは、この混在空間みたいなところも、かなりロボットタクシーみたいなこともいろいろ検討されているのか。そのときに三位一体、特に環境、路車協調みたいなこともいろいろ考えられているのか、この辺をお聞かせいただけないでしょうか。

波多野構成員: ありがとうございます。

基本的には左側の事業形態の事例でありますように、管理空間、分離空間、そして混在空間という3つのエリアでの事業形態を一応配慮して議論をさせていただいています。ただ、課題を検討していく中では、実はこの3つの空間は三位一体の考え方で言うとそれほど大きな違いがなくて、ある程度例えば混在空間であっても分離空間や管理空間で用意したインフラを利用しないというわけではないので、それは全く問題ないかなと考えております。逆に、混在だからこそ必要なルールメーキングというところは、まだ自工会の中でも明確に抽出されていないので、この3つをカバーしていけば何とか議論できるのではないかと考えています。

山本構成員: ただ、混在空間ですとインフラとかいろいろつけるコスト自体がナンセンスになってきますので、だからアメリカなんていうのは本当にロボタクシーみたいなものを自律でやっているのではないかなと思うので、その辺もぜひ今後議論させていただきたいと思います。

ありがとうございました。

石田座長: ちょっとお聞きしたいのですけれども、安全性の問題で、今も「こどもまんなか社会」で、子供は何をするか分からない。ヨーロッパの中には非常に特殊なところ、本当に小学校のそばとか、最高速度が10キロぐらいとか、あるいは5キロという例もあるのですが、そういうところでは、いかに子供が悪かろうがはねたほうが絶対に悪いというストリクト・ライアビリティという考え方を取っている国が結構増えてきているのですけれども、そういうことになると自動運転としてはどういう対処をするのですか。

波多野構成員: 子供がいるところは走らないのが一番いいと思いますけれども、基本的には何がしかの形で、特に年齢が低い歩行者をガードしていく方策は必要になると思います。

石田座長: そのときに、これも社会通念とかアクセプタンスの問題だと思うのだけれども、骨を折ってしまったぐらいであればまあいいかみたいな、それぐらいの大らかさは考えられるのですか。

波多野構成員: 何とも申し上げづらいですけれども、まず最優先するのは人命に及ばないことだと思いますので、そこが守られることだと思います。ただ、そこに関しては、歩行者の急な飛び出しという課題は、別に自動運転だけが解決しなければいけない課題ではなくて、全ての交通参加者に共通の課題であって、これは実は自動運転由来で議論する必要はないのではないかとは思っています。

石田座長: ですから、日本でもストリクト・ライアビリティみたいな考え方が必要な空間はあり得ると思うのですけれども、そんなことと自動運転の関係性はどう考えるのかみたいなことが気になったものですから。

波多野構成員: 先ほど齊藤先生がおっしゃたように、人の場合は全ての結果の責任をそのドライバーが負うという構図になるのですけれども、自動運転の場合は人ではなくて機械なので、国内では結果の責任全てを負うという形を取れるのかという議論、これがまず先に来るかと思います。結果、善意の製造者、善意のサービス事業者がその責任を全て負わなければいけないということになってくると、なかなか社会実装の観点で言うと参入障壁と言わざるを得ないのかなとは思っています。

石田座長: 村上さん、そろそろ出ないといけないと思うで、もし何かありましたらお願いしたいと思います。出られてからまた議論があればやります。

村上統括官: 最後に一言だけ、1枚出してもらっていいですか。

波多野さん、どうもありがとうございました。多分相当難しい調整をした上で紙を出していただいているのだと思うので、ご高配に大変感謝いたします。

これそのものについて、あとは出ていなかった論点ということで言うと、最後どうしようもない保険制度の在り方というのが多分もう一個出てくると思いますので、それも視野に入れられればと思います。

1枚、今、お示しをしているのは、これが全部ということではございません。ただ、大きな骨格でぐるぐる回るのだと思うので、これを少しベースにしながら、足りていない論点をここに書き加えていきつつ、ベースのロジックを見える化をして、これは最終回のときに少し肉づけする形で、あれが足りない、これが足りない、こうではないか、ああではないかとやっていただければいいなということで、2回前ですが、先に1枚だけ出してみたというだけです。

ぐるっと回っていますのでどこから始めてもいいのですけれども、例えば自助の事業者というところで見ると、まず初期導入費用が重い。これはどうオフバランスしますかと。そのときに例えばジャストアイデアですけれども、電子計算機の初期のように、国か国策会社が買い上げたものを安くリースするといったような、何らかの形でのオフバランスする仕組みが入れられませんかと。それでもなおきっと赤字が多いので、今日お話もありましたが、クロスセクショナルに分析をしたソーシャルインパクトで、単純に交通事業としての収益だけでないところから見られる仕組みがありませんかと。

それの延長線上のところに、経済産業省 和泉さんの回にお話がありましたが、道路をきちんと階層化をした上で、それぞれについて需要を見ていきませんかというのが街の細街路として見た道路、街のメインストリートとして見た道路、街と街との間を結ぶ国道、高速道路と。別に分け方はどういう形でもいいのですけれども、人口が増えて道路の供給を急がなければいけないときは、国が整備して、足りないところを県が整備して、足りないところを市町村が整備して、さらに農道があったり林道があったりするという、どちらかというと需要を追いかけるための供給主体ということで管理主体が定義されてきたと思いますが、今や足りないではなく、どうメンテナンスし、どう高度化していくかということになると、それぞれの実需の需要から遡って投資の合理性を説明しなければいけないので、従前の管理主体とは別の整理学が要るだろうということでは、この辺もどう打ち出すかは取りまとめのときには結構議論が要るかなと思っていますし、そこにどういう需要を分析するかというのは、あまり理想論を言うと、需要がどこまでデータで読めるかという話はここについてくるかと思います。

それから、それでもなおというところで言うと、インフラシェアの話も出てきますけれども、道路側のほうの環境整備がどうかというのと、それから車両同士、ロボット同士の協調制御がどうかといったようなところでの協調制御の話があり、それを準パブリックということでないとすると、それを支えるための効率的なインフラ整備というところでインフラシェアリングがどう絡んでくるのかと。そこのところに隠し味として、今日の話で言えば、タコ足かにぎわい広場か分かりませんが、n対nをダイレクトに何十通りもつくるのではなくて、n対1対nのストラクチャーを人の流れからも設備の流れからもどこかに一言掛け合わせられると、ひょっとすると採算ラインが見えるという点があるのかもしれない。

それでもなお最終的には行動側とかルールの側でどうするかという話とか、今日、最後に波多野さんにお願いしたような話が当然最後の最後にはやはり出てきまして、それと同時に社会的責任体系ということについても恐らく考えていく必要があるのであろうと。これはジャストマッピングです。これで全部ということではありませんけれども、恐らくこのようなロジックの構成に足りる物、足りないものを引っ付けていきながら、これを最終的に膨らませたものがアジェンダリストになっていくと、モビリティワーキングを立ち上げるときに、どういうアジェンダで各省庁にいろいろな検討をお願いしていかなければいけないのかというネタ元ができるのではないかと、こんなふうに考えてマッピングしてみました。2回先に議論しようと思っていますので、ぜひご感想とかコメントとかを好きに最中にもいただければ、最終回にお示しするときには少し皆さんのお話を取り入れた形で、またご相談できるようにしたいと思います。

以上です。

石田座長: いかがでしょうか。もうちょっと波多野さんのプレゼンも含めて、あるいはこの取りまとめ案も含めて議論していきたいと思います。

どうぞ。

甲田構成員: ありがとうございます。一言だけ。

これまでの発表者様の中でも、既存リソースの活用みたいな話では大分発表者様の中でもあったと思うので、これからのモビリティ政策のフィールドにおける論点を考えるときに、モビリティのシェア、CtoCの例えばライドシェアであったりもそうですし、モビリティの車両に関するシェアもそうですし、そういったところの観点も、とにかく莫大に投資して、自動運転であったりドローンであったりという新規のところに行くだけではなくて、採算性だったりとか、今の社会に対するアジャストを考えたときに、そっちのほうもしっかり入れておいていただきたいなと思います。

石田座長: どうぞ。

須田構成員: 東大の須田です。

1つ、波多野さんの話で私、今回非常によかったというのがリスクのところです。アラープの考え方を表示していただいているということで、これはかなり現実的な議論ができるのではないかと思っていますので、それを期待しています。

そういうことからいくと、今いただいたこちらの資料について、事業性コストの話になっているのですけれども、安全とかリスクとか、そのような話も議論に入ってくるのかなと思いました。

以上です。

石田座長: 私を慮っているのではないとは思うのですけれども、道路が相当大きいですね。道路法は本当に古い公物管理法なので、どうしようもないので、ぜひ議論していただきたいのですけれども、道路だけではなくて、例えば道路運送法とか、鉄道事業法とか、さっき言ったけれどもデータ周りの話とか、本当に古い話ばかりなので、そこの辺は元気を出して議論していければなと思っております。

そういうふうにしないと、本当に我々が持っているいろいろな資源、価値を生み出すものを本当に駄目にしつつあって、これは本当にまずいねと思いますので、そこはアーキテクチャの話がやはり大事だと思いますので、頑張っていければなと思っております。

蓮井審議官: 経済産業省から参りました蓮井と申します。

先ほど、ちょっと言われていましたが、保険とかお金周りの話をここにどう絡ませるのかなというのはあるなと思っております。保険的にまさに機能する部分と、インフラで先ほどのどこまで莫大な投資ができるのかという意味での投資のストラクチャー、当然単なる補助金だと回らないわけで、前職は実は産業革新投資機構の担当もしておりましたので、そういう意味でエクイティー、さらにはデット構造を組み込むかというところでどういうふうにファイナンスをしていけるのかというところもあるなと。

あと、いくつかの資料でもあったのですが、金融との関係でいうと次点です。今必要なものと、将来的な効果を生み出すもの、最初の三豊市さんでもありましたけれども、ここですぐにはペイしないけれども、将来的にはどこかで回るかもねというのをどのように計測できるのかというところも1つのエビデンスがあり得ると思いますので、変な話、公会計みたいな話まで行ってしまうかなというところがちょっと気になるところではあるのですけれども、それも含めて次点とその対象となるようなものをどこまで区切れるのか。

あと、リスクの話というのは実は社会的な責任あるいは裏返し、先ほど石田先生がおっしゃったアクセプタンス、受容性です。以前、私はいわゆるレギュラトリーサンドボックスの企画立案に携わったことがございまして、そのときに当然、実証に参加する方の同意はあるわけですが、その周辺をどうするのだと。例えば似たような事業であったのはセグウェイの公道実証がございまして、これは全国で2か所しかできなくて、1か所はまさに今、スーパーシティになったつくば市で実証されており、もう一か所は二子玉川で実証したわけで、実証しても結局最終的にはどうしても安定性が十分ではないものですから、なかなかフライし切れず、今の電動キックボードのような形には至らなかったわけですけれども、あれをやるに当たってまさに周辺の住民にどう説明をするのかといったときに、看板でいいのか、ちゃんと説明会を開くのかとか、実証そのものに参加する人の周辺をどういうふうにするのかという社会的受容性というのが非常に議論なったというのを覚えております。

そう意味で1つだけ申し上げると、自工会さんのプレゼンの中でもありましたが、確かに自動走行では先ほどおっしゃったとおり、人がまさに介在しないところの責任問題をどうするか。実はもう数年前、自民党とかの中でもいろいろな議論が出ている論点でございますが、ただ、他方で1つ似ているなと思いますのは、まさに先ほどおっしゃった電動キックボードはだんだん事業が展開されていって、今、一定の速度以下であれば免許はなくてもいいよみたいな形で、ある意味相当進んでいるなと。ただ、ネットとかを見ますと結構それに対するご批判も強いところもありまして、この辺りは1つある意味ケーススタディーに足り得るのかなという気もちょっとしてございます。

この辺りも含めて社会的受容性の論点は非常に重要だと思っていますので、いろいろなことを申し上げましたけれども、非常に勉強になるので、今後ともよろしくお願いします。

以上です。

石田座長: ありがとうございました。

いかがでしょうか。

齊藤構成員: モビリティの話は、先ほどの岡本さんの話ではないけれども、グリーンイノベーションのモビリティの話があるのです。だから、本当はデジタル庁がやるモビリティワーキングというものを包含して、ばらばらに投資しているところが1つの論点として、次はどういう形にするのだというのが1つのベースになったらいいのではないかなと思うのです。多分そういうふうにしないと、ここでやる話と別でやる話がまた別々にできていきます。社会課題の解決、少子高齢化を迎えて、物流とか人流のクライシス、災害の激甚化対応のような話や、もう1つは先ほど石田座長もおっしゃったように、いろいろな省庁のデジタルトランスフォーメーションがありますが、そういうところを視野に入れてどうするかを1つの面として対応することが必要です。デジ庁トップでの対応ができていくと、全体の省庁をまとめるはずです。何か1つでも出来上がるのではないかなと思うので、そういうのを期待したいです。村上さん、よろしくお願いします。

石田座長: 説明を受けましたけれども、出来上がるモビリティワーキングはデジタル社会推進会議のお墨つきの会議ですので、まさにそういう司令塔機能を果たせるよう、我々もしっかりした議論をしないといけないと思いますし、あと、いろいろな方をどう巻き込んでいくかです。非常に大きな問題ですので、省庁はじめ産業界の人をどう巻き込んでいくかという座組も本当に大切だなと思います。引き続きよろしくお願いいたします。

どうぞ。

村上統括官: そういう意味でも、1つはステークを広げて議論する。逆に、いつもお決まりの二項対立みたいな場をつくってしまいますと、言った言わないとか、またこのメンバーかとかということになりますので、デジタル庁が出てくることで、それこそ甲田さんなんかにも頑張って去年からずっとやっていただいているのですけれども、思いっきり需要サイドとかいうところからも、農業は極端だとしても入れるということと、それから時間軸はロードマップの場合は最低でも5年くらいの時間軸を取る。その代わり、射程には比較的大胆な制度改革もアジェンダとしては逃げずに入れる。そこまで風呂敷を広げて本当にまとめ切れるのかというところはちょっと自信がないところもありますけれども、広げて長く取って、その代わり深く逃げずにやる。そのためのアジェンダを最初にキックオフを間違えると後からアジェンダの追加は結構難しいので、そういう意味では今が一番頭を使ってネタを放り込むとか、今日、1枚だけ見ていただいたロジックを、例えば全体として安全というバッファの変数がもっとあるだろうとか、あれをどう上手につくるかというのは意外と議論全体の力学を決めていくのかなと思うので、その辺はよく練って話を進めたいと思います。頑張りますので、よろしくお願いします。

石田座長: どうもありがとうございました。

お返しします。

麻山参事官: 皆様、本日は大変貴重なご意見をいただき、ありがとうございました。

今後のスケジュールなどをご紹介させていただきたいのですけれども、本日の議論でも、組合せ爆発を起こさないようにとか、そのために国のロードマップが非常に重要だというお話をいただきました。統括官からの挨拶にもありましたけれども、しっかりデジタル庁として取り組んでまいりたいのですが、なかなかそれをまとめようとすると5回ではかなり厳しいというのが実態でして、昨日も統括官と話をしていて、6回まで委員の皆様にお付き合いいただかないととてもではないけれども間に合わないということで、挨拶の中で既に取りまとめが次々回というふうな言葉も出てしまいましたけれども、そういうことで今後のスケジュールをご紹介させていただきたいと思います。

次回は7月24日月曜日ということで、今回同様に構成員もしくはゲストの皆様からご発表を予定しております。ただ、取りまとめをするときに、ちゃんと国としてもしっかり受け止めていかなければいけないということで、各省庁のほうからももともとご発表とかを予定していたのですけれども、単に説明という形だけではなくて、しっかり今の状況はどうなっているかということを少し長めにお話をさせていただくように調整していきたいと思います。その上で、今まで構成員の皆様、それからゲストの皆様からいろいろこうしたらいいのではないかという話をいただいているところと、マッチングというところまでは行きませんけれども、どうしたら前に進むかという議論ができれば一番いいのかなと。それを踏まえて、最終的な取りまとめということで第6回目という形が開けばなと思っておりまして、これから事務局のほうから日程調整を伺っていきたいなと思っております。引き続き、委員の皆様には追加で1回、ご協力いただくことになりますけれども、お付き合いいただければと思います。

本日はどうもありがとうございました。

ウェブでご参加の方も、こちらで終了いたしますので、どうもありがとうございました。