マイナンバー制度及び国と地方のデジタル基盤抜本改善ワーキンググループ(第7回)
概要
- 日時:令和4年(2022年)11月29日(火)17時30分から18時30分まで
- 場所:オンライン開催
- 議事次第:
- 開会
- 議事
- マイナンバー法の改正事項について
- 閉会
資料
参考資料
議事録
日時
令和4年(2022年)11月29日(火)17時30分から18時36分まで
場所
オンライン会議
出席者
- 河野太郎(デジタル大臣)※欠席
- 赤石浩一(デジタル審議官)
- 安宅和人(慶應義塾大学環境情報学部教授/ヤフー株式会社CSO)
- 太田直樹(株式会社New Stories代表取締役)
- 齋藤洋平(フューチャー株式会社取締役CTO)
- 庄司昌彦(武蔵大学社会学部教授)
- 森信茂樹(東京財団政策研究所研究主幹)
- 浅沼尚(デジタル監)※欠席
- 本丸達也(デジタル庁 CA)
- 水島壮太(デジタル庁 CPO)
- 冨安泰一郎(デジタル庁統括官)
- 楠正憲(デジタル庁統括官)
- 吉川浩民(総務省自治行政局長)
- 上原哲太郎(立命館大学情報理工学部教授)
- 大谷和子(株式会社日本総合研究所執行役員法務部長)
- 後藤省二(株式会社地域情報化研究所代表取締役社長)
- 宍戸常寿(東京大学大学院法学政治学研究科教授) ※欠席
- 菅原晶子(経済同友会常務理事・政策統括)
議事録
木村参事事官: 定刻となりましたので、ただいまから、第7回「マイナンバー制度及び国と地方のデジタル基盤抜本改善ワーキング・グループ」を開催いたします。
お忙しい中ご参加いただきまして、誠にありがとうございます。
デジタル庁参事官の木村が今回も司会を務めさせていただきます。よろしくお願いいたします。
今回もオンラインにて報道関係者も含めまして一般公開する形で開催しております。既にオンラインで傍聴していただいておりますので、その旨をご報告いたします。
本ワーキング・グループの構成員、特別構成員は画面をオンにしていただきまして、音声は発言時のみオンにしていただければと思います。それ以外のオンラインで傍聴される皆様におかれては、画面をオフ、音声をミュートにしていただければと思います。
本日は、有識者の構成員や関係省庁のオブザーバーの方々に出席いただいております。なお、河野デジタル大臣は政務により本日はご欠席となります。申し訳ございません。
河野大臣よりご挨拶を頂戴しておりますので、私のほうより代読させていただきます。
本日は、ご多忙の中、第7回「マイナンバー制度及び国と地方のデジタル基盤抜本改善ワーキング・グループ」に参加していただき、感謝申し上げます。
前回は、マイナンバーの利用拡大のために、行政機関間の情報連携が新規に必要になった場合に、より速やかに情報連携が開始できるよう、情報連携に関して制度面、システム面からご検討いただきました。その中で、迅速な情報連携を可能とするために、法律の規定の在り方を見直すことが必要というご意見や、その際に、ガバナンスの確保が必要といったご意見があったと聞いております。
デジタル庁や関係府省庁において、これまでのご議論を踏まえ、2023年の通常国会で提出を予定しているマイナンバー法改正案等について検討してきました。本日は、法改正案等の概要について提示させていただきます。ご忌憚のない意見をいただければ幸いです。有識者の皆様からいただいたご意見を踏まえ、法案提出に向けて進めてまいります。
以上でございます。
それでは、早速でございますけれども、議事に入らせていただきます。
まず、楠統括官より資料についてご説明させていただき、構成員、特別構成員の方よりご意見をいただきたく存じます。
では、楠統括官、よろしくお願いいたします。
楠統括官: よろしくお願いします。今日はこれまでの議論を踏まえて、マイナンバー法の改正事項について、現時点で検討しているものを説明させていただきます。
本日、マイナンバー法等の一部改正についてということに加えて、後半、特に自治体の独自利用事務の情報連携に関しての範囲拡大について、この2点についてご説明をさせていただきます。
かねて今年の6月の重点計画におきまして、来年の次期通常国会にマイナンバー法の改正を提出すると計画していたところでございます。
マイナンバー法の一部改正の概要についてでございます。主に左側がマイナンバーの利用拡大、右側がマイナンバーカードの利用拡大という話になりますけれども、それぞれにつきまして、個別にご説明をさせていただきます。
まず、マイナンバーの利用範囲の拡大に関しましては、既に社保税分野に関しては、国家資格等について管理にマイナンバーを利用できるよう措置してきておりましたけれども、これを社保税以外の資格にも拡大をしていくことと、加えて、自動車登録でありますとか、在留外国人の行政手続、その他について順番にご説明をしてまいります。
まず、国家資格等につきましては、これは社保税資格で既に行っているように、これまで添付書類等をそれぞれの資格管理者に対して提出していたところ、マイナポータルでもって添付書類を省略して手続等が行えるということや、あるいは死亡届の提出が不要となるということを検討しております。
具体的な資格についてでございますけれども、これは行政書士、司法試験、教員等をはじめとして、社保税に限らない様々な分野において、ここにあるような資格について、いわゆるマイナンバーを使っての資格の管理を検討しております。これはまだ若干調整の途中でございますので、今後、増減等の可能性はあるところですけれども、こういった資格に関して、マイナンバーを新たに利用できないかということを検討しているところでございます。
加えて、自動車登録の事務について、これまでもいわゆる住民票コードを利用して実現しておったところもございますけれども、皆様、住民票コードをご存じでない、あるいはなかなか覚えていないという場合が多くて、実際には住民票の写しを取得してMOTAS等に登録をしていたのが一般的だったと思うのですけれども、今後、マイナンバーカードを利用して申請していただき、マイナンバーを授受することによって、住基ネットを利用して簡単に住所を照会できるようにする。こうすることで住所変更等の手続のときの添付書類の省略が可能となるものでございます。
加えて、在留外国人に関する事務についてでございます。これは特に更新等の手続において、これまでであれば行政機関から課税証明書等を取得して在留申請を行っていたわけですけれども、今後はマイナンバーをご提供いただくことで、入管庁が行政機関に対して情報照会を行うという形での添付書類の削減ができるというものでございます。
そのほかの事務におけるマイナンバーの利用範囲の拡大でございますけれども、いわゆる内閣官房、人事院、防衛省等におきましては、国家公務員の諸手当に関するもの、また、内閣府の災害弔慰金関係、また、総務省の恩給や議員年金に関する事務、そのほか、国交省の船員関連の事務等でマイナンバーの利用範囲を拡大することを検討しております。
加えまして、ずっと議論のありました、より迅速な情報連携に向けた法令の規定の見直しについてでございます。これまで法改正並びにシステム更改等で2年近くの時間がかかっておったわけですけれども、一つは別表2を見直して下位法令でもって規定をすることによって情報連携を可能とし、迅速化を図るということ。加えまして、別表1に関しては、従前どおり法律の中に規定をしますけれども、この中で法定されている事務に準ずる事務であれば、マイナンバーの利用を可能としていく。
例えば生活保護というのは日本人向けの生活保護は法令で規定されておりますけれども、在日外国人向けの生活保護というのは条例で規定しておりまして、転入者の前年度所得等を確認する場合、これまで不都合がございましたけれども、これを準ずる事務ということで読めるようにすることによって、情報連携をきちんと利用できるようにしていくというような趣旨でございます。
別表第1についても、これまでの議論の中でもう少し大くくりに書けないか等の議論もあったのですけれども、別表第1に関しましては、新たに利用範囲を広げた場合に、国民の皆様にマイナンバーの提出を求めるといった負担を伴うものでございますので、これは引き続き法定することが適当ではないかということで、引き続き別表を維持していくと考えております。
また、別表2が下位法令に落ちた場合でも、基本的には別表第1で既に規定されている事務並びに準ずる事務の範囲での情報連携となってまいりますので、一定の規律は働くと考えておりますし、また、これまでもガバナンス確保の観点から事後監視等の議論もございましたけれども、ここもしっかりと政府として報告していく等の方法でもって、適切にガバナンスをどうやって働かせていくかということを検討していく必要があるかと考えております。
加えまして、公金受取口座の登録促進ということで、既にマイナポータル経由で二千数百万人の方々に公金受取口座を登録いただいているところでございますけれども、なかなか高齢の方等も含めて、スマートフォンで登録していただいたりということも簡単ではない方も多くいらっしゃる中で、既に国として様々な振込先の口座というものを登録されている例がございます。そういった場合に郵便でもって、もし、ご異議がある場合には返信をしてくださいという形で郵便物を送付して、一定の期間、特にご異議がなかった方に関しては、これを登録していくというような仕組みを入れることによって、行政機関等経由での登録の特例制度ということで、公金受取口座の登録促進を図れないかということを考えております。
また、2024年から在外邦人に関しましてもマイナンバーと戸籍が連携することでもって、国外に転出をしたときに引き続きマイナンバーカードが利用できるようになっておりますけれども、新規に発行を受ける場合ですとか、あるいは5年、10年の節目で更新をしていくというタイミングで一時帰国をして、本籍地市町村でもってカードの交付を受ける必要がございました。これを本籍地市町村だけではなくて、在外公館でカードの交付を受けられるようにするということで、国外転出者のカード取得等の負担を大幅に軽減するといった仕組みを考えております。
また、券面の一部見直しでございますけれども、一昨年のマイナワーキングにおいて、戸籍にもきちんと振り仮名を登録していくという話が議論としてございましたけれども、今後、そういった形で振り仮名を公証していくときに、この公証した振り仮名につきまして、マイナンバーカードの漢字の横のところに振り仮名の表記を行っていく。併せまして、国外でマイナンバーカードを提示されたときにアルファベット表記が欲しい、また、西暦での生年月日の表記が欲しいといったご意見をいただいておりますことから、希望する方に対して氏名のローマ字表記並びに西暦の生年月日をマイナンバーカードの追記欄に記載できるようにするという券面の見直しを検討しております。
続けて、自治体の独自利用事務の情報連携の範囲拡大についてでございます。前回ご紹介させていただいたところでございますけれども、例えば秋田市の結婚新生活支援事業のような例で、自治体の独自施策で広い意味で社会保障に入ってくるような内容と思われます。こういったときに、自治体独自事務であるがゆえに番号法上の別表に記載がなく、なかなか情報連携できないといった例がございました。この結婚新生活支援の場合には、例えばご夫婦で秋田市にお住まいになる場合に、ご夫婦のどちらかがほかの自治体から転入してくるというようなケースが結構あるわけですけれども、その場合に、所得制限等の確認でほかの転出元の団体に対して情報連携が必要となってくるわけでございます。
こういった地公体の独自利用事務、別表に掲げる事務に準ずるかどうか、必ずしも明確でない場合においても、保護委が認める場合であれば、情報連携を行うことができるという方向で個人情報保護委員会規則の改正の検討を行っております。
これはマイナンバー法そのものではないですけれども、情報連携の拡大ということで共通性があるのでご説明をさせていただきました。
以上となります。
木村参事官: 楠統括官、ありがとうございました。
ご説明さしあげた資料の内容に関連して、構成員、特別構成員の方よりご意見をいただきたく存じます。私から指名させさせていただきますので、毎度恐縮ですけれども、ご発言のある方は挙手機能でその旨をお知らせください。また、大変恐れ入りますが、手短に3分程度でご発言いただければと思います。よろしくお願いいたします。
それでは、大谷先生、よろしくお願いします。
大谷特別構成員: 大谷でございます。ご説明どうもありがとうございました。
特に法令改正の点について確認をさせていただければと思っております。資料では11ページの辺りだったと思いますけれども、別表第1は、これまでどおり目的を明確にした上で、別表第2については下位法令に規定するということです。確かに別表第2の記述内容というのは詳細すぎてかえって分かりにくく、場合によってはエラーの発生も懸念されるところですし、柔軟性においても不十分な点があると思いますので、そこの部分について手を入れるというのは当然必要なことだと認識しています。しかし、別表第2というのは、見た方にとって、例えば地方自治体や立法担当者において、情報照会者と情報提供者のセットを簡便に理解することができるツールにもなっているかと思います。
また、情報連携、情報提供が適切に行われたかどうかというのを検証する上でも、この別表第2の照会者と提供者のセットというのは、それなりに意味を持っていたと思いますけれども、今後、照会者と提供者のセットをどういった下位法令に規定し、どのようにこれまでのガバナンスが劣化しないような形で、これを運営していくことになるのか、事務局サイドで各方面と検討を重ねていらっしゃると思いますので、その一端をご紹介いただければと思います。よろしくお願いいたします。
以上です。
木村参事官: 続きまして、太田先生、よろしくお願いいたします。
太田構成員: 太田です。もう内容的には結構固まってきていると思うので、この法改正をやることのアウトプットとアウトカムもちゃんと伝わるようにしたらいいかなと思います。まず、今、映していただいている11ページについて言うと、右側のほうにアウトプットとしてこの法改正をすると、左側にある法改正で1年、システム改修で1年という合計2年というのが、どれぐらい短くなるかというのは端的に示したほうがよくて、多分システム改修は短くならないので、法改正ですけれども、それをきちんと述べたほうがいいと思います。
結果として、そのアウトカムとしては情報連携がより早くできるようになると思いますので、今、情報連携は多分月何百万件とやっていると思いますけれども、それがもっと早く、どんどん情報連携していくというアウトカムが、この資料の中でなくてもいいのですけれども、常にちゃんと示されている状態にしていくことが、何でこういう法改正をしているのかということの根本になると思いますので、ぜひお願いしたいところです。
それから、7ページもアウトプットとしては、要は何人が使っている資格なのかというのは、昔の資料にありましたけれども、関心があるところです。例えば理容師は100万人以上ですし、美容師もたしか50万から100万人だったと思います。その辺が伝わるようにつくったほうがいいと思いますし、そうやってつくると、例えばなぜ危険物取扱者が入っていないのかといったところ、あれは100万人以上だったと思いますけれども、気になってくるので、ここはアウトプットとして、どれぐらいの人が、これも改正によって利便性が便利になるのかというのをきちんと伝えたほうがいいのかなと思っています。
最後ですけれども、プロセスも大事だと思うので、その前の5ページのところも、僕は補佐官をやっていたときは、たしかマイナンバーの利用範囲は税と社会保障と災害の3つみたいな説明を何度も受けたような記憶があるのです。下に小さく書いてある社会保障・税番号大綱(2011年)、これは結構大事な方針だと思うのですけれども、ここに利用範囲についてどう書いてあるのか、このことをどのようにプロセスとして検討したのかということも分かりやすく書かないと、何かよく分からない間に利用範囲を広げたように伝わらないように、プロセスとしてどういう観点で広がったのかというのはちゃんと記録として残るようにしたほうがいいかなと思います。
以上です。
木村参事官: 後藤先生、お願いいたします。
後藤特別構成員: 後藤でございます。ありがとうございます。
ご説明いただいた資料に関して、特にマイナンバーの活用と番号法別表の位置づけ、あるいは自治体の独自利用に関して意見を申し上げたいと思います。
まず、現行の番号法の別表の1については、その整理として3つの分野、つまり社会保障と税と災害対応の分野の活用ということが整理されている。法定事務以外にも自治体が独自利用する場合にも、これら3分野に該当するものという形での整理がされていると思います。今回議論されている対象の中には、この3分野に当てはまらない、当てはまりにくいものについての取扱いがいろいろと提起をされていると思いました。特に自治体においては、様々に住民の皆さんの生活と密接した事務を行っているという組織の性格上、そういうものは多々あろうかと思います。そういう意味で、もう一度、位置づけの整理・分類を、この3つの分野に当てはまらないものについて、概念拡張するような方向で議論・検討されてはいかがかと思っております。
なお番号制度の制度設計において、国民の皆さんの懸念もいろいろあった中で、それらに配慮しながら、当時マイナンバーを使えば簡単・便利になることは分かっていても慎重な検討を行ってきたことが経緯としてあったと理解をしておりますが、そのことを考えると、今回の検討においても、便利になるから、ということだけで拡大するのではなくて、具体的な分野・場面において、それぞれ番号の利用の必要性を示し、利用について国民の皆様の理解を得ることが不可欠だと思っております。
そのことを前提としつつ、具体的な整理として法令に根拠があるもののうち、社会保障等3分野以外の事務の位置づけを別表の1及び2の拡張として例示的に整理し、あるいは自治体の独自事務についても3分野以外の事務について準用するような整理をするということで、概念を明確にしていただけたらと思いました。
付け加えて、いわゆる3条委員会である個人情報保護委員会の役割については、制度の適切な運営に向けて、これを監視し、是正措置を命令し、あるいは状況を国会に説明をするというようなことが役割だろうと思っております。そういう意味で言いますと、市区町村の個別・特有事務の追加等について、委員会の規則において行うということには、少し違和感を感じております。番号法を所管するデジタル庁の規則で、ということが望ましいのかなと思いました。
2点目でございます。マイナンバーカードの券面の関係で14ページのところですけれども、この辺りは大変大きな問題であろうかと思っております。特に戸籍において振り仮名をどういう形でつけるのか、あるいは国民の方にどのように確認をするのかということについての内容を私は存じ上げませんのでよく分からないのですが、このことについて、どこかできちんとご説明をいただきたいと思います。
その上で、カードがこれだけ普及しておりますので、券面に振り仮名を記載するということになりますと、カードへの追記の手続に、市区町村に相当数の方が殺到されるということを私は懸念しております。この点、ぜひスケジュール感とか、具体的に自治体との協議等も念入りにやっていただけたら、住民の皆さんの負担の軽減にもつながることですし、自治体の混乱も避けられると思います。
最後に、公金受取口座の登録促進でございます。これは通知をして返答がなければ登録するというのは、いかがなものかという感が致しますが、この点については、他の構成員の皆様からのご意見等も頂戴したいと思います。その上で、登録だけではなく、口座の変更などの事務が自治体現場では多く発生しています。このような変更等に関わる部分についても検討の対象に入れられてはいかがかと思いました。
以上でございます。
木村参事官: ありがとうございました。
それでは、楠統括官、お願いします。
楠統括官: 最初の大谷先生からの別表2を今後どのように規律していくのかということでございますけれども、下位法令といったときに、省令でやる場合などがあるわけですけれども、これはきちんと関係する府省の中で適切な協議が行われる必要があります。
一方で、政令とした場合の事務量等も含めて、変更に係る期間がそれなりに変わってくるところもございますので、今後、満たすべき要件を明確にしながら、関係省庁としっかりと連携して、どういった下位法令で決めていくのが適切であるかということを議論してまいりたいと考えております。
続けて、太田先生からあったお話でございますけれども、アウトプット、アウトカムを分かりやすくというはおっしゃるとおりでございます。例えば関係する資格を持っている方がどのぐらいいらっしゃるのかということも、今後、政策広報の中でしっかりと取り組んでまいりたいと思います。
また、これまで2年かかっていたところがどのぐらい短くなるのかというのは、事務のやり方にもよるので、なかなか一概に示すことは難しい部分ではございますけれども、数か月ぐらいに、半分以下に短縮できるのではないかと思っておりまして、ここに関しては前回まで全体アーキテクチャの議論もさせていただいておりましたけれども、いわゆる公共サービスメッシュの検討等も含めて、システム全体をどのようにアジャイルに触れるものにしていくかということも関係してくるかと考えております。
併せてプロセスに関しても、これまで、マイナンバー法自体、数度の改正をしておりますので、その中で、どう利用範囲を拡大してきたかということも、きちんと記録として残るような形でしっかりと広報して参りたい。
最後、後藤先生からマイナンバーの活用と別表の位置づけ、特にこの新しく追加する事務の整理についてご意見がありました。基本的には国民の利便性向上及び行政の効率化ということで位置づけているところではございますけれども、どういった説明の仕方をすると、より広く理解を得られるかということは、ご指導をいただきながら考えてまいりたい。
特にコロナ禍にあって、デジタルなのにこんなこともできないのかと、一方でいろいろ言われているところもございますので、ある程度デジタルで完結をして、様々な行政手続というのは間違いなく円滑に進むということがITで当たり前にできるようになっているのではないか、それをきちんと政府としてやっているのかというところの様々なご意見も踏まえながら、きちんとご理解を得られるようにしてまいりたいと考えております。
加えて、振り仮名をどのように窓口で確認をしていくのかというご懸念がございました。これは別途、法務省で様々な検討が行われているところですので、本日、ここで私どもからご説明することは難しいのですけれども、自治体の窓口がこのことで混雑することがないようであるべきだと思いますし、しっかりと丁寧に自治体とのコミュニケーションを取っていくことが必要だと考えております。
最後に、この口座の変更事務が自治体でかなり多くあって、登録だけではなくて、変更に関してもしっかりと検討すべきというご意見をいただきまして、これは口座の変更に限らず、引っ越しワントップをはじめとして、様々な更新の手続をどうやってデジタル化していくかということは大きな課題でございますけれども、ワンストップサービスをはじめ、もろもろの検討が別途走っているところでもございますので、今回のオプトアウトとは別の形で、より効率的な方法を模索してまいりたいと考えております。
以上です。
木村参事官: ありがとうございました。
続きまして、菅原先生、お願いいたします。
菅原特別構成員: まず、利用拡大のところについてコメントさせていただきます。
まず、国家資格ですが、全体で300強ぐらいあると思いますので、それぞれの利用状況などを踏まえて、速やかに利用できるように更なる拡大をしていくべきだと思います。
それから、民間活用拡大という意味では、まだまだくみ取り方が浅い気がしております。私ども民間の経済団体などがもっと具体的提案をしなければいけないのですが、国家公務員、国会議員の活用の一覧などが出ていますが、民間がどう活用できるかというところに踏み込む検討がより重要になっていくと思います。
そうした意味で、先ほど外国人の方の生活保護のサービスの関係や給付金の話がありましたが、以前も議論していました在留カードとマイナンバーカードの一体化は緊急に取り扱うべきものだと思っています。
これは実行計画の中では令和7年となっておりますが、先般、政府で外国人受入政策について、特定技能や技能実習に関する制度の見直しの有識者会議が立ち上がるなど政府内での動きが出てきておりますので、外国の方々の多文化共生社会の基盤整備という意味でも、マイナンバーカードと在留カードの一体化というのは重要なインフラであり、不可欠なため加速化が重要です。
最後に、先ほど法改正の話で、別表1、別表2のご説明もいただきました。前回会合の議論の後で法制局等々と調整していただいたのだと思いますが、別表1はハードルが高いのかなと思いました。国会できちんと審議・報告しガバナンスを担保することは、特定個人情報等を扱うので重要だと思いますが、今のやり方でデジタル社会で様々な利用拡大をしていくときに、果たして迅速性という意味で対応しきれるのかというところを若干懸念しています。
まずはこの法律を通して、実態と合わせたPDCAを回していくことが必要だと思いますので、こうした仕組みでどの程度うまくワークするかというところをチェックしていく必要があると思います。デジタル社会において、規制・制度は事後チェックを強め、事前では可能な限りフリーにしていくほうが迅速な対応ができると思います。そうした観点を今後も引き続き持ちながら、新しい法改正の流れを見守っていきたいと思います。
木村参事官: 続きまして、上原先生、お願いいたします。
上原特別構成員: 立命館大学の上原です。私は先ほどの菅原さんの意見とは少し違う視点から申し上げたいと思います。同じく利用範囲の拡大についてでございます。
私は何度かこちらでも申し上げましたけれども、やはり何度聞いても話が難しいというか、混濁しているように感じるのはマイナンバーという番号制度、つまり悉皆性を持つ番号を全員につけます、しかも変更不能性が高い番号をつけたということと、これを本人を事務の上で特定するために使うということに関する議論というのは、そもそも住民基本台帳ネットワークをつくったときからいろいろ議論されてきた流れがあって、その結果、3分野に限りましょうというようなところになった。
これは世界的ないわゆる国民ID制度というのから言いますと、セクトラルモデルに少し近いのかな、でも、ちょっと違うのかなみたいな、不思議なモデルではあるのですけれども、そういうところに落ち着いたのだと理解しています。これの利用範囲をどんどん拡大していきましょうというのは、いわゆるフラットモデルと呼ばれるものにだんだん近づいていくのだろうと思っており、これの利便性とリスクというものは、いろいろなところで語られているところなのだろうと思いますので、その拡大に当たっては、もちろん別表1という縛りがあるにしても、国民に対する説明が必要なのだろう。なぜ以前は3分野に限っていたのに、今回は広げることになったのかというところは説明する必要があるのだろうなと思っております。
特に私が少し気になっておりますのは、国民にいわゆる番号をつけていくということ自体は住民票コードというのがあり、また、JPKIの上でシリアル番号をつけますというのがあり、これはそれぞれ管理が違ったり、あと、揮発性や永続性が少し違ったりする性質が違う番号を組み合わせて使っているわけです。本人の特定という目的であれば、JPKIでも足るところ、あえてマイナンバーを使うのは、別のデータベースに対して、特に住基ネットなどを介して、住民票コードを介して住所など住基側の情報を取りにいくときには必要になるという必要性は理解するのですけれども、本当にその仕組みでやるのですかというのは、仕組み上の問題として少し議論をしたほうがいいのではないかと感じております。
何度も申し上げますが、マイナンバーカードを使って本人を特定するJPKIの仕組みと、いわゆる変更が非常に難しいマイナンバーを使って本人を特定するのに関して、もともとの議論は分かれていたはずだと思っていますので、そこを踏まえた制度の設計と説明を続けていただきたいと思います。特に別表1という縛りが今あるのは一つの歯止めにはなっているかと思いますけれども、なぜ歯止めが必要なのかというのは、幾つか懸念があった名寄せリスクですとか、いわゆる国民の情報が全て一元管理されるのではないかというリスクに対する答えだったということは忘れないでいただきたいなと思います。
以上です。
木村参事官: ありがとうございました。
それでは、ここで楠統括官からコメントをお願いいたします。
楠統括官: 利用拡大の話、菅原先生から民間利用をもっと考えてはどうかというご指摘をいただきましたけれども、これは番号というよりもカードの利用に関しましては、ようやく普及率が過半を超えてまいりまして、マイナンバーカードを持っていることを前提としたサービス等を民間が考えやすい環境も整いつつあるところと考えておりますので、民間でのマイナンバーカード活用の拡大というところは、本日の直接マイナンバー法の改正に結びつく範囲に限らず、前広に検討してまいりたいと考えております。
特に在留カードの一体化のお話をされておりましたけれども、こちらに関しては重点計画でも既に触れているところでもございますし、当然政府として取り組んでいく前提でやっておりまして、ただ、今回のマイナンバー法の改正に束ねる、束ねないということは様々な事情を総合的に踏まえて決めていくことになろうかと考えております。
引き続き別表1が残った中で、迅速性の点で対応しきれるかということは、これからまさにアウトカムとしてお見せしていかなければならないところだと思いますけれども、この点に関しては制度の問題だけではなくて、アーキテクチャも含めてシステム全体として、どれだけ柔軟性を高めてゆけるかということとセットとなってまいりますので、しっかりと世の中のニーズに対応した迅速性を持ったインフラにしてまいりたいと考えております。
続けて、上原先生から、いわゆるセクトラルモデルに近いものだったのがだんだんとフラットに近づいていくのかという点も含めて国民に対する説明が必要というご指摘をいただきまして、この点に関しては本当にきっちりとした説明をしていく必要があるとは思っております。
特に国によっては民間でも広く番号を利用できる国もある中で、我が国においては行政事務に限定して、その中でも別表1の中でしっかりと明に利用範囲を定めて、その中で民主主義のプロセスを経て決めているところでございますので、今後、実際に法案を国会に提出をしていく中でも、ここについては与野党の先生方から問われるところになってくると考えておりますので、ここに関してはしっかりと、より丁寧な説明をできるように私どもも考えてまいりますので、ぜひしっかりご指導いただければと考えております。
また、JPKIでも本人の特定という点では足りるのではないかというご指摘もいただいておりまして、これはまさに様々な手続がデジタル完結していくと、みんながカードを持って、そこでうまくマイナンバーカード前提でもろもろの識別をするというところもできるようになってくるのではないかと期待をしております。
一方でまだ、ひもづけの仕組みであったり管理の在り方等も含めてマイナンバーを使わないでうまく回していくためには、幾つか課題も技術的にもございますので、ここを一個一個丁寧に改善していきながら、よりプライバシーインパクトの低い仕組みを常に考え続けていく必要があると思いますし、特に民間との連携とかを考えていった場合に、よりプライバシーインパクトの小さな仕組みを考えていくことによって、APIの開放の範囲ですとか利用の範囲を変えていける部分だと思いますので、ここは今回の法改正に限らず、しっかりと取り組んでまいりたいと考えております。
木村参事官: ありがとうございます。
続きまして、庄司先生、お願いいたします。
庄司構成員: 私は12ページと14ページについて一言ずつ申し上げたいと思います。
まず、12ページの公金受取口座の登録促進についてです。これは受取口座の登録を促進したいというのはよく分かるのですが、進め方としては議論を呼びそうだなと思います。どちらかというと、勝手に登録されたみたいな印象を持たれないかということが気になります。事前に通知するとなっていますけれども、マイナンバーの通知カードなどが来ていたかわからないという人は幾らでもいるわけでして、私の身の周りにもいますので、通知して不同意の回答がなければ登録してしまうというのは、よくよく注意したほうがいいのではないかと、個人的にはやらないほうがいいのではないかなと思います。
これをやるときに、給付等を行う行政機関が口座情報を保有しているといってもそれが複数あったらどうするのでしょうか。私も給与受取口座とその他の口座などをいろいろ使い分けていたりしますので、そちらではなくてこちらにしたいといった要望を丁寧に聞く必要があるのではないかなと思います。口座登録を増やしたいということについては全く同意なのですけれども、やり方はすごく慎重にやったほうがいいのではないかなと思います。
次に、14ページの券面の一部見直しです。西暦の誕生日を記載する話をしているわけですが、よく考えてみると和暦の誕生日がすでに書いてあるわけです。さらによく見ると、その隣に西暦で有効期限が書いてあるわけです。だったら誕生日も西暦で統一したらどうかと思います。もちろんデジタルガバメント実行計画で二重表記することが決まっているのは分かった上で言っているのですけれども、利便性という意味では西暦にしてしまえば1つ作業が減るのではないかというのが感想です。
それから、希望する者に対し、というところが少し気になりました。希望する者に対し、マイナンバーカードにローマ字表記と西暦の生年月日を記載できるようにするのは、そのようにやりたい人はやるということですが、これは手間が複雑化することになるのではないか。全員記載するとしたほうが現場での混乱などが少ないのではないかと思います。まだ、大きな方針を論じている段階で、実際にカードへの記載をどう進めるかというところは詰めていないのかもしれないですけれども、実際に導入していくことを考えると、希望する者に対しではなくて、全部に入れてはどうかと思います。
以上です。
木村参事官: 続きまして、齋藤先生、よろしくお願いいたします。
齋藤構成員: 3点申し上げたいと思います。
まず1点目、11ページの情報連携の見直しの観点のところです。別表1、別表2の取扱いについてどのようにしていくかということで、別表1を法律に残したまま準ずる業務という形で一定の緩和をつくるということと、別表2は下位法令に落としてということだと思います。皆様からもいろいろなご指摘がありましたけれども、今回は提案というか、バックテストをしてみるといいのではないかなと思いました。
今回、コロナ禍の3年間の中でスピーディーな国民の人たちに対する支援ができたものとできなかったものがあると思うのですけれども、それが法律の観点でできなかったのか、システムアーキテクチャの観点でできなかったのか、この両点あると思うのです。この両面を今回改善していく上で、まず、この別表1の扱いと別表2の扱いにした上で、過去の様々な支援ですとか、そういった対応みたいなものがどこまでできるようになったのかということが一定あると、多分、国民の方から見ても、なるほどここまでやることによって、こういうことがもっとスピーディーになると、それは法律のところを改正するからこのようにスピーディーになる、一方で、システムアーキテクチャをこのように変えることによって、ここもこういう形できるみたいなことが分かりやすくなると思います。
過去3年なのか、5年なのかあれですけれども、バックテストという観点で評価をしてみることが非常に有効なのではないかなと思っています。
あと、13ページのところですけれども、在外邦人のところの話で、これは一昨年のマイナWGの中でも確か議論があって、海外で生まれている日本人の方の扱いをどうするのだという話があったときに、いわゆるバーチャルな自治体みたいなものを設けて、そこにひもづけておくといいのではないかみたいな話があったと思います。今回、本籍地ということだと思いますので、日本で生まれて海外に出られた方という観点でいうと、これでカバーできるのかもしれませんけれども、そもそも海外で生まれている方々の扱いをどのようにしていくのかということも含めて、併せて一緒に考えられるといいのではないかなと思いました。
あと、14ページの券面のところです。率直に申し上げて、右側のこれからのイメージを見たときに、私は非常に残念だなという印象を持ちました。今回、振り仮名、読み仮名の法制化ですとか、あとは海外でも使えるアイデンティティという形でということは、これまでも議論があったと思うのですけれども、それ以外にも電子証明書の有効期限を手書きにするとか、裏側にマイナンバーが書いてあるとか、QRコードがあるだとか、それをケースで隠すとか、様々なことがまだまだ課題として非常に残っているカードだと思いますので、今回の法改正というタイミングではないのかもしれませんけれども、そこは抜本的な改善というか、見直しをお願いしたいなと思っております。
私からは以上です。
木村参事官: よろしくお願いします。
楠統括官: まず、庄司先生からご指摘のありました公金受取口座のオプトアウト登録がやや乱暴なのではないかと、特に複数それぞれ異なる口座を別の行政サービスで登録している場合等にどうするのかというご指摘がございました。ここは重要な点でして、自分が指定したものが上書きされるようなことはあってはならないし、あるいはそこが複数競合した場合の取扱いは慎重に考えていく必要があるように思います。
具体的に既に振り込んでいる口座がある行政サービスというのは、かなり限られてくるわけですけれども、それらを両方持っている可能性はどれぐらいあるのかとか、その場合に、どのような順序で登録すべきなのかということは、現に混乱を招かないやり方を考えていかなければならないと思っておりますし、また、そもそも住民の方をびっくりさせるような形であってはならないと思いますので、そうならないようにしっかりと考えてまいりたいと思います。
加えて、14ページ目の和暦の誕生日に関してです。ここも含めて券面に関しては齋藤先生からも同様に、これが将来のイメージなのかというようなご指摘もいただいたことですけれども、これは抜本的な見直しはどこかで考えなくてはならないと思っております。一方で、全国民の方に、まずは今年度持っていただくということを目指している中で、今回のマイナンバー法改正のタイミングでは難しいのですけれども、この点につきましては、例えばマイナンバーカードの有効期限というのは10年でございますので、最初に取られた方々が切り替わるようなタイミング等も含めて、適切な時期にしっかりともっと抜本的な検討が必要となってくるのではないかと考えております。
また、齋藤先生からありましたバックテストをしてみてはということは本当におっしゃるとおりでして、デジタル庁の発足そのものが、コロナ禍の当初に迅速に給付等ができなかったというところがスタート地点としてもございましたので、まさにこのコロナ禍の中で、もし、一連の制度改革が行われていれば円滑にできただろうかということは、常に胸に手を当てて考えているところでございます。
幸い特定公的給付をはじめとして、今回の法改正だけではなくて、前回のデジタル改革の改正等も含めて、コロナ禍のようなものが起きた場合に、まだ、システム等に関してはやっている途中のものもございますけれども、2025年以降にこういったことが起こったときに、かなり打ち取ることができるような改革というのは目下進めているところではございます。例えば次のこういった危機というのは必ずしもパンデミックに限らず、例えば地震とか、いろいろな脅威が考えられると思いますので、そういった様々な脅威に対して対応できるようにしていくという点では、コロナには対応できるようになりつつあるとしても、まだまだやるべきことはあると考えておりまして、今回のマイナンバー法改正における利用範囲の拡大等も、そういった検討の一環であると考えております。
また、在外邦人、特に海外で生まれた方の取扱いについてです。この点に関しては、まだ十分に詰まっていなくて、今回の法改正には盛り込むことが難しかったのですけれども、特に2024年以降、マイナンバーカードを在外邦人の方々が持たれたときに、どういったサービスを提供できるのかという点でも、非常に重要な課題だと認識しておりますので、今後、しっかりと取り組んでまいりたいと考えております。
木村参事官: お時間が迫っておりますけれども、安宅先生、お願いいたします。
安宅構成員: 安宅です。この4つの展開を広げるところについては、これでいいのだと思います。
ちょっと気になっているのは次へのロードマップというか、どう広がっていくのかというような話がもうちょっとクリアになっていたほうが嬉しいなと思うので、今回の法改正のさらに先の話なのですけれども、ここでしか言いづらいと思うので4つ、5つです。
一つは、再三複数の構成員の先生方からありましたけれども、個別の展開です。実際には是々非々だとは思うのですけれども、明快とは言いませんけれども、ある程度分かりやすいガイドラインが欲しいと思います。とりわけ利活用におけるある種のOBゾーンの明示化みたいなのが実は結構大事なのではないかとずっと思っていまして、これは楠さんが最も詳しい世界ですけれども、その人の脆弱性に関与するような部分、収入とか生活保護とか、身体的な不都合とか、宗教、出自、その他もろもろみたいなもの、こういったものは入らないというのは、多分、相当明快にあったほうがいいのではないかと思っているのが一つです。
2つ目は、API云々の話が少し出ましたけれども、いまだにマイナンバーのコピーを出してくれというような話が大量にあって、番号だけ書いて送っていいところは総務省ぐらいです。僕はもう毎週何回かやるわけの分からない行事があるのですけれども、本来はAPIでたたいて住所、名前を包括していれば終わりという類いのものであって、全てあの類いの紙のやり取りがないような世界をつくるのは非常に重大だと思われ、それはさっさとやるだけで国民としてはウェルカムである。これは早期にロードマップに入れてしまったほうがいいのではないかなと思っています。
3つ目は、指標として生み出す変化を明快に置いておいたほうがいいのではないかと思っていまして、それは先ほど太田先生からあった話とつながっていると思います。IDやパスワードでログインできたで終わってもしょうがないというところ、それだけでも価値があるのですけれども、その結果、業務が自動化していって何らかの課題解決が起きるということだと思うので、その生み出す変化を評価指標として明確に置いておかないと、できましたで終わっていくという、これは本当にデジタル庁なのか、むしろ総務省の仕事なのではないかみたいなタイプの仕事が大量に出てくるので、そこを何か入れられないかなというのが気になっている部分です。なので、何らかの課題解決という意味で社会デザイン的な機能が欲しいとすごく思っていて、これはマイナのロードマップに何か入れておいたらいいのではないかなと思ったのが3つ目です。
4つ目は、事前説明でも聞いているし、毎度何回も同じことばかり言って申し訳ないのですけれども、単位を家・住所から切り離して生体認証でつなげていくのは、どうしても通らざるを得ないと私は思います。今、物すごくノマド化している社会であって、住所が決まっていないときの付番という特例みたいになっているのではなくて、基本的には住所と関係なく付番ができるように、人とひもづくような生体認証をセットとしたものにアップデートするのだと、多分10年たったところで抜本刷新の検討になるのだと思いますけれども、これはもう初めから問題視しているということは明示しておいたほうがいいのではないかというのが4つ目です。
最後は、僕はデジタル防災の関係者ということもあって若干ポジショントークチックに聞こえるかもしれないですけれども、いざ何か起きたとき、先ほど楠統括官からもありましたけれども、災害とかがあったときに、その人を助け出さなくてはいけないので、どこかに人が埋まっているのを助け出すときに、そこからつないでいるのでは間に合わないのです。災害事前の連携を進められるだけ進めておいて、通常は使えないけれども、そういうときだけ使えるみたいにしておくことが本来必要だと思います。
幕末のようにたった1年の間に南海トラフが2度起きている江戸直下地震みたいなことが本当に起きないとは言い切れないのです。この国にはたった2年で起きてしまったことがあるわけです。いつ来るか分からないということで、これは実は最速でやっておいたほうがいいと思われます。助けられるのに気づかなくて助けられないのを避けるためにも民間IDとマイナンバーを連携するのは、希望者はバンバン進めておいて、通常は使えないのだけれども、国や地方公共団体がそういうときだけは使えるようにしておくというのは、とても重要ではないかなと思っています。
一旦以上です。
木村参事官: 時間が来てしまいましたので、短くコメントをお願いします。
楠統括官: ロードマップ等のお話をいただきましたけれども、今回、法改正の内容に絞ってご説明をしておりまして、当然もっと大きなグランドデザインを考えなければならないところ、ここはまた来夏に向けて重点計画の見直し等もありますので、適切なタイミングでご議論いただけると大変ありがたいと考えております。
また、番号の利用範囲についても、どういったところはやるけれども、どういったところはやらないということは議論を深めていく中で、明にしていかなければならない部分だと思いますので、しっかりと言葉として表現できるようにしてまいりたいと思います。
また、家・住所から切り離せるかどうか、アイデンティティの問題はなかなか課題が多いところでございまして、これは納税の世界では既にふるさと納税みたいな寄附の仕組みも含めてありますけれども、最終的には、これは地方選挙の投票権等と結びついてまいりますので、番号法だけではなくて憲法レベルの非常に大きな話でございますので、しっかりと国民的な議論が深まっていくことが必要なのかなと思います。
防災に関しては、もともと当初から災害対策がマイナンバー法の利用範囲に入っているわけですけれども、これを踏まえて何をすべきかということは非常に重要な観点だと思いますので、今後、関連する府省等とも議論を積み重ねていく中で取り組むべきことがあれば、検討してまいりたいと考えております。
木村参事官: それでは、お時間が過ぎておりますので、ここで区切らせていただきます。
主査である赤石デジタル審議官、何かコメントはありますでしょうか。
赤石デジタル審議官: 赤石です。今日はありがとうございました。
皆さんのおっしゃること、いずれもごもっともで、本当はマイナンバー活用拡大について、ここで長期的なロードマップを示して具体的にこうするのだとか言いたいところなのですが、今日の国民の意識とあまり乖離すると、それはそれでまた問題があります。ただいろいろな制約の下で、できる限り広い範囲のことを進めていきたいと思っています。これは一里塚にすぎませんので、皆さんの意見を踏まえて、来年反映できないものも、これからも引き続きしっかりやっていきたいと思いますので、ご協力をお願いいたします。
以上です。
木村参事官: ありがとうございました。
本日の議事は以上となります。
本ワーキング・グループの資料と議事録につきましては、デジタル庁のホームページにて公開いたします。議事録については後日、事務局より皆様にご確認の連絡を差し上げますので、どうぞよろしくお願いいたします。
また、本日の会議終了後、事務局にて本会議に関して記者ブリーフィングを実施いたします。
以上をもちまして、本日の第7回マイナWGを閉会させていただきます。皆さん、どうもありがとうございました。