本文へ移動

マイナンバー制度及び国と地方のデジタル基盤抜本改善ワーキンググループ(第4回)

概要

  • 日時:令和4年(2022年)5月13日(金)13時から14時30分まで
  • 場所:オンライン開催
  • 議事次第:
    1. 開会
    2. 議事
      1. 利用者目線の行政サービス実現に向けたトータルデザインとマイナンバー法改正の検討について
    3. 閉会

資料

参考資料

議事録

日時

令和4年(2022年)5月13日(金)13時00分から14時30分まで

場所

オンライン会議

出席者

  • 牧島かれん(デジタル大臣)
  • 赤石浩一(デジタル審議官)
  • 安宅和人(慶應義塾大学環境情報学部教授/ヤフー株式会社CSO)※当日は所用によりご欠席
  • 太田直樹(株式会社New Stories代表取締役)
  • 齋藤洋平(フューチャー株式会社取締役CTO)※当日は所用によりご欠席
  • 庄司昌彦(武蔵大学社会学部教授)
  • 森信茂樹(東京財団政策研究所研究主幹)
  • 浅沼尚(デジタル監)
  • 江崎浩(デジタル庁CA)
  • 水島壮太(デジタル庁CPO)
  • 冨安泰一郎(デジタル庁統括官)
  • 楠正憲(デジタル庁統括官)
  • 吉川浩民(総務省自治行政局長)
  • 上原哲太郎(立命館大学情報理工学部教授)
  • 大谷和子(株式会社日本総合研究所執行役員法務部長)
  • 後藤省二(株式会社地域情報化研究所代表取締役社長)
  • 宍戸常寿(東京大学大学院法学政治学研究科教授)
  • 菅原晶子(経済同友会常務理事・政策統括)

議事録

木村参事官: 定刻となりましたので、ただいまから第4回「マイナンバー制度及び国と地方のデジタル基盤抜本改善ワーキンググループ」を開催させていただきます。

お忙しい中、御参加いただきまして、誠にありがとうございます。
冒頭に事務局からお知らせいたします。

本日の会議は、オンラインにて一般公開する形で開催しております。報道関係者も含めまして、オンラインで傍聴されておりますので、その旨、御報告させていただきます。

本ワーキンググループの構成員、特別構成員の方は、音声は発言時のみオン、それ以外のオンラインで傍聴される皆様におかれましては、画面をオフ、音声をミュートにしていただければと思います。毎回のお願いでございますが、よろしくお願いいたします。

本日は、有識者の構成員、関係省庁のオブザーバーの方々にも出席いただいております。また、牧島デジタル大臣でございますが、途中から出席させていただく予定でございます。公務の関係で遅れての参加となります。

それでは、早速ではございますが、議事に入らせていただきます。

まず、デジタル庁の楠統括官より御説明の後、委員の皆様から御意見をいただきたいと思っております。それでは、早速でございますが、楠統括官、資料の御説明をお願いいたします。

楠統括官: 承知いたしました。

では、利用者目線の行政サービスの実現に向けたトータルデザインとマイナンバー法の検討について、資料に基づいて御説明をさせていただきます。

まず「トータルデザイン」の検討方針についてということになりますけれども、3ページ目を御覧いただきまして、昨年末の閣議決定から、スマートフォンで60秒で手続を完結させる、7日間で新しいサービスを立ち上げられる、これを民間並みのコストで実現していく、そして、今後の将来像の検討に当たっては、利用者目線を徹底していく、こういったことのために、共通機能のコンポーネント化、システムの疎結合化、機能の重複等を避けながら、柔軟性・連携性の高いアーキテクチャを実現していくということを方針として打ち出しているところでございます。

今後の検討につきましては、今、三段階で考えておりまして、まず第一段階として、自治体が保有する情報活用に係る仕組みの検討、第二、第三段階として、本人を介した官民の情報活用と、また、行政機関間のバックオフィス連携に係る今後の方針、この順番で御説明をさせていただきたいと思います。

続いて、7ページ目、これは前回御提示させていただきましたけれども、先進事例として、例えば北見市では、データを活用することでもって「漏れない・書かない・回されない」というような総合的な窓口というものを実現していると。このために、きちんとフロントサービス側で住民情報を使って、漏れない・書かないといったことを実現する。この仕組みを支えるものとして、部署間で手続に関する業務委任、業務フローを整理している。また、共通DBでもって、各課が持っている住民情報を活用できるとしているという事例がございます。

今後、自治体が保有する情報の活用については、例えば自治体の中で持っている住民本人や世帯など、当該住民がプッシュ型のサービスを受ける際に必要とする情報をきちんと活用できるようにしていく。そのために必要な住民情報を、サービス提供の際に、自治体システムから即時に取得できる機能、これが必要となってまいります。

また、これをマイナポータルだけではなくて、民間サービス等も含めた多様な主体がフロントサービスを担えるように、APIの整備をはじめとして拡張性を持たせるということを考えております。

こちらは二段階で考えておりまして、基幹業務システムの統一・標準化前でも、申請管理システムの導入等を通じて実装を可能にしていく。また、令和4年度以降、ガバメントクラウド上で実証等を行って、この技術的検証を行い、令和5年度以降に、この技術的検証の結果を踏まえて、自治体が当該機能を先行実証できる環境を御提供していくという順番を考えております。

これも第3回のワーキングで御提案しておりましたけれども、これまでたらい回しや、それぞれの手続を個別に完結をしていく必要があったというものを、今後は、最初の入口のところできちんと必要な手続を漏れなく御案内をして、入力を必要最低限とし、一連の手続をまとめて完了できる、これを60秒で実現するということを目指してまいりたいと考えております。

これを実際に実現するための、公共サービスメッシュに係る今後の検討の話をさせていただきます。

これまでの情報活用は、基本的には左側の青い部分にありますような、行政機関間のバックオフィス連携ということによって、行政事務の効率化を行うというところでございました。

今後、本人を介した官民の情報活用で実現をしていくことでございますけれども、自治体をはじめとして、各機関が保有する住民の情報を、ほかの行政機関や民間に対する手続で、住民自らが活用するという仕組みが考えられると考えております。これは紙であれば当たり前に、住民票であれ納税証明書であれ、できていることというのが、デジタルでは現時点では実現できていない。デジタルにおいても、こういった証明書をデジタルデータで取得をして、官だけではなくて民も含めた様々な手続において活用をできるようにしていく。そうすることで手間を抜本的に解消して、スマホだけで簡単かつ迅速な手続が可能となる、これを「すべてに通底する新しい考え方」として位置づけるということを考えております。

具体的なイメージとなりますけれども、例えば、転職の際に社会保険関係の手続を含めて、同じような情報を十何種類の書類に記入をする必要がある。また、元の勤務先から証明書類を取得して紙で提出するという必要がございますけれども、これを、自らに関する情報を本人がデジタルデータで転職元に請求をして、転職先に提出するということで、手続をデジタルで完了させるといったことが可能にできるのではないか。そうすることによって、これまで1時間以上かけて書類をそろえ、さらに大量の似たような家族構成をはじめとした記入をしていたというところを、デジタルでシンプルに完結できると考えております。

こういったことも含めまして、これからの情報活用においては、本人を介して自らの情報をデジタルで活用できるということを明確に位置づけて、より国民の利便性の向上に資する情報活用を実現できるのではないか。これができることによって、個々の制度の見直しに先行して利用できるようにして、利用者である国民目線での手続の簡素化といったことが可能になると考えております。

こういった場合に留意すべき論点といたしましては、この情報管理における官民の役割分担、また、使用する識別子、本人を介した場合に手元で改ざん等が行えないように、きちんと真正性を担保するための方法、また、不本意な形で勝手に情報が提出されることがないように、トレーサビリティーの確保をはじめとして、これは確実に本人の意思に基づいたデータ連携というものを担保する仕組みということを考えていく必要がございます。

本人の意思を適切に踏まえた情報活用であることの担保、また、本人を介して情報活用・連携を可能とする情報の範囲、本人の意思があっても連携を不可とすべき場合等も考えられると認識をしております。

次のページは、前回のワーキンググループで、何を識別子とするかにおいて、マイナンバーをカジュアルに使うことに関しては疑問があるといった御意見や、行政だけではなくて民間が主体となってサービスを提供すべきだけれども、情報を扱うことができる事業者の規律が必要であると。また、透明性が非常に重要だと。コントローラビリティを確保するということが非常に重要であるというような御指摘もいただいております。

民間との連携の観点から、主要な論点といたしまして、個人がサービスを組み合わせて柔軟に利用できるようにしていく必要がある。民間が保有する本人の情報も連携して活用できるといいのではないか。また、多様な情報をデジタルで迅速に提供することが可能となれば、今後発生する様々な給付や、災害対応をはじめとした突発的な事態における強靱な対応、デジタルセーフティーネットとしての機能強化にもつながるのではないかと考えております。

下のポンチ絵で、民間サービスとの連携において、きちんと行政システムが必要とする共通機能をうまく活用していきながら、多様なUIが実現できる。

また、民間が持っている情報も、一連のフレームワークの中で、デジタルでのやり取りや手続に利用できるようにしていくことによって、これまで紙でしかできなかったことを実現していく。

続いて、主要な論点の2つ目といたしまして、本人を介した官民の情報活用で用いる識別子についてですけれども、同一人の情報ということをきちんと担保して本人自らに提供する仕組み、そのために本人を一意に特定する識別子が必要であるわけですけれども、あわせてプライバシーの確保もしっかりとやっていく必要がある。

例えば昨年9月に、Building blocks for identity management via mobile devicesという、いわゆるISOで、スマートフォンを使ってID管理をするときの品質の標準が、先般、標準化されている中において、こういった識別子の要件に関しまして、必要な範囲にきちんと利用が限られること、また、それぞれのドメインで異なる識別子を使う、あるいはきちんとユーザーによって管理されるというようなところをしっかりと要件として定めている例もありますので、この辺は国際的な議論を踏まえてしっかりと見ていく必要があると思います。

次いで、行政機関間の情報連携についてですけれども、この下の図にございますように、青いところに関しても、これからより一層きちんとデータ連携を、事務に必要な範囲で国民一人一人の正確かつ最新の情報を参照できるようにしていく、手続において必要な添付書類を削減したり、また、今後、様々なシステムをデジタル庁がリプレースしていく場合に、このときの基本設計や取扱いをどうしていくかというところも含めて、この青字の行政機関間の情報連携も広げつつ、そこの中で、行政の発行した証明書をほかの手続に利用するというようなところもしっかりとやってまいりたいと考えております。

めくっていただきまして、既にこの自治体システムの統一・標準化を踏まえつつ、自治体内の情報活用と一貫した設計でもって機関間のデータ連携も行っていくということが考えられるのではないか。ここにおいて実現すべき要素として、これまでのデータの照会・提供だけではなくて、プッシュ型での通知や更新もできるようにしていくと。この庁内連携、団体間連携、民間との対外接続において、一貫した設計で実現をしていき、この仕様を、現状ですとデータ標準、年に一度変えるのに相当な時間を要していますけれども、項目の追加・削除も柔軟にできるような仕様としていく。

また、関係属性が、現時点で、情報提供ネットワークでも住基ネットでもなかなか扱いづらいところがありますけれども、この関係属性、人と人との関係を扱えることによって、世帯や代理といったことをしっかりと伝えるようにしていき、また、リアルタイムでのシステム間のAPI連携、これを柔軟かつ簡素な構成でもってクラウド上で実現していくというようなことを考えております。

例えば、のイメージですけれども、これまでは口座情報を変えた場合も、それぞれの機関において、変えましたよということを申請していかないと、なかなか更新が反映されなかったわけですけれども、必要な範囲において手続をすることなく、情報の更新を完了としていく。また、変更が生じた際に、即座に把握・保有している情報をアップデートできるようにしていくことによって、例えば定期的に全件照会するみたいな事務をなくしていくということが可能になると考えております。

では、これはどういった対象に関して、制度としてこの情報連携を行っていけるかというところで、現行制度における利用をしっかりと徹底していくと同時に、これまで主に社会保障・税・災害対策というようなことでマイナンバーを利用してきたわけですけれども、これを拡大し得るか、その場合にどういった原則でもってやることができるかというところで、幾つかのパターンを例示しております。

例えば、個人に関する属性情報の登録・更新等を必要とする事務を幅広くやっていく。例えば自動車登録や不動産登記といった、様々な個人の識別を要する台帳があるわけですけれども、これらでも幅広く使うというようなことは考えられます。一方で、手続の主体、例えば在留する外国人や在外邦人といった、この対象に関して手続の効率化の効果があるというような絞り方も考えられますし、あるいは、手続の性格、例えば国家資格の証明といった目的に対して、デジタル化の効果が考えられるというようなものについて、マイナンバーの利用を認めていく。様々な考え方があり得るのではないかと考えております。

例えば法律上の趣旨として本来使えそうなものに関しても、例えば年金の手続のうち、iDeCoに関してはまだあまりマイナンバーは利用されていなかったり、また、災害の際の弔慰金に関する手続においても、まだ使われていないのですけれども、こういった、やればできるというか、法律上の趣旨としては、認められているけれども、使われていないところをしっかりとカバーしていくというところもあり得ます。

また、現状ですと、マイナンバーができる前からある様々な台帳に関して、氏名と住所等でもって個人を識別しているわけですけれども、例えば自動車登録や不動産登記、商業法人登記などでは、これは結局、氏名と住所で識別をしていることによって、引っ越し等を行ってしまうとリンクが途切れてしまう。こういった住所変更登記を皆様タイムリーに行っていただければいいのですけれども、現実には登記に費用もかかるということで、なかなか更新されないままになっているような例もありますので、こういったところをマイナンバーで管理できると、手続の簡素化に加えて、住所変更登記をはじめとした個々の情報の変更手続を不要にできるのではないか。結果としてベースレジストリの信頼性を高めていけるというような考え方もあり得ると思います。

また、次のページにありますように、例えば、在留邦人などの人たちが手続をするときにマイナンバーを使えるというような整理も考えられるのではないか。そうすることで、添付書類削減をはじめとした手続の簡素化等が実現できる。

3番目といたしまして、これは最初の、一昨年の閣議決定のときにも議論がありましたけれども、国家資格をはじめとして、こういったユースケースごとにマイナンバーを利用できるようにしていくというような考え方もあり得ると。

最終的に、このトータルデザインを通じて、誰一人取り残されないデジタル化をどのように実現をしていくか。このデジタルセーフティーネットの一層の強化という観点で、きちんと自治体が、機動的に、お知らせを始めとしてスピーディーに提供をしていく、お困りの方に対して手を差し伸べていくというところがベースになってまいりますし、また、今、なかなか紙が廃せていない様々な書類を集めて、官民でそれぞれ授受したり個別に書いているといった、この本人を介した手続というところにおいて利便性を上げていくことによって、サービス提供の裾野も非常に広がっていく。

また、最終的に、やはり本当に困っている方は、御自身で手続がなかなかできないような方もいっぱいいらっしゃるわけですけれども、代理をはじめとしたことがこれまで窓口でしかできなかったことをデジタルでやっていくことによって、誰もがサービスの恩恵を受けられるというようなこともあるかと思います。

最後に、今後のスケジュールになりますけれども、フロントサイドでの活用に関しましては、令和4年度中に、きちんとガバメントクラウド上でプロトタイピングや技術検証を行う。また、ほかの機関が保有する官民の情報活用というところも、今年度いっぱいかけて必要な法令等に係る検討を行ってまいります。

バックオフィス連携に関しましても、右の青字にありますように、これらのプロト、技術検証を踏まえて、一貫した設計となるように検討し、特に番号法改正を含む必要な法令に係る検討を行って、令和5年に法案を提出するというスケジュールで進めてまいります。令和7年度中をめどに、法整備に基づく制度の施行を行って、法令に基づくシステム等の整備を順次行っていくというような日程を考えております。

最後に、こういった一連の検討を通じて、行政と住民のコミュニケーションを、これはきちんとデジタルでもって対話的に行えるようにしていく。また、デジタル弱者に対してきちんと、これまでであれば、最終的になかなか対面ではないと手を差し伸べられないケースが非常に多かったわけですけれども、デジタルにおいても、誰一人取り残されない世界をつくっていくと。簡単に自分が利用可能なサービスを知ることができて、スマホ上での意思表示で申請を完結する。これらを行っていくときに行政職員の負担を軽減する。また、国だけではなく、民間の多様な主体が、UIやUXを提案して、民間が持っているデータもうまく活用しながら、より便利なサービスを実現していくということができればと考えております。

ありがとうございました。

木村参事官: 楠統括官、御説明いただき、ありがとうございました。

ページの後ろのほうに、参考資料として、海外の共通番号制度というものを委託調査した報告書を抜粋したものを載せさせていただいております。デジタル庁のホームページにも概要等を掲載しておりますので、御参考にしていただければ幸いでございます。

それでは、牧島大臣は入られましたでしょうか。

牧島大臣: はい。遅くなりまして申し訳ありません。

木村参事官: とんでもございません。

いきなりで恐縮でございますけれども、大臣のほうから御挨拶をいただければと思います。よろしくお願いします。

牧島大臣: ありがとうございます。

衆議院の本会議がありまして、副大臣ともども今から参加をさせていただいております。よろしくお願いいたします。

第4回マイナンバー制度及び国と地方のデジタル基盤抜本改善ワーキンググループ、本日も有識者の先生方にお集まりいただいております。ありがとうございます。

これまで本ワーキンググループでは、国・自治体・民間を通じたシステムのトータルデザインの考えから、スマホで60秒で手続が完結の実現に向けた情報活用の進め方などを御議論いただいてまいりました。申請情報のプレ表示や手続案内など、行政手続をする住民の方々の利便性を高めるために、行政機関が保有する自らや世帯の情報を活用する仕組みを共通機能としてデジタル庁が整備するようにすべきといったような御意見や、また、国民視点での本人を介した情報活用の場合における留意点なども御意見をいただいたところです。

また、マイナンバーの利用とその情報連携の拡大の関連では、自治体からの提案なども踏まえた上で、マイナンバーの税・社会保障・災害の3分野における利活用の徹底、外国人などを含む社会の多様性実現のための基盤としてのマイナンバーの利活用、そして、資格証明などのデジタル化を進めていくこと、こうした御意見もいただいております。

これらの御意見を踏まえ、国民視点でいかに利便性が向上する形を実装できるか、より一層検討を具体化していくことが重要だと考えております。

本日、既にこちらからもいろいろ御説明をさせていただいたところではありますが、これまでの議論で出た主な論点を踏まえて、今後の検討方針や基本的な考え方などを示させていただいて、引き続き、皆様に、住民又は自治体職員、双方にとって利便性の高いサービス実現に向けて必要な法制度・システムの両方の観点で御議論をいただければと思います。

このタイミングで、アップデートを予定している重点計画でお示しするこのトータルデザインやマイナンバー制度の利活用に関する方向性について意見等をいただければと思っております。

その上で、次回以降、実現に向けた具体的な法制度・システムとの環境整備に関する議論へと移ってまいりたいと存じますので、本日も忌憚のない御意見をよろしくお願い申し上げます。

私からは以上です。

木村参事官: 牧島大臣、ありがとうございました。

それでは、資料の内容を含めまして、構成員、特別構成員の方から御意見をいただければと思います。私から指名をさせていただきますので、御発言のある方は挙手機能をお使いいただきまして、その旨をお知らせいただければと思います。よろしくお願いします。

では、上原先生、お願いいたします。

上原特別構成員: 上原でございます。

私のほうからは、今日いただいた資料の中から何件か、以前から申し上げていることも含めて、もう一度指摘しておきたいと思います。

まず、最初に前回も意見しまして、17ページのところでも識別子として何を使うのかという点について申し上げているのですが、この話は、トータルデザイン、特に自治体から情報を取り出したり、官民連携で使うという面において、非常にキーになるところですので、ここはしっかりした議論が必要であろうと思っております。

私は、基本的な意見としては、最後のほうに参考資料としてつけていただきましたけれども、そもそも住基ネットのとき、そしてマイナンバーが決まるときに、各国の制度などと比較しながらまとめておいたほうがいいのかというのを十分議論してきた上で、今のマイナンバーという制度ができていることを踏まえて、今後、拡大するときには、拡大することによって何が起こるのかということを皆さんに御理解いただいた上で広げなくてはいけないと考えております。

特に、楠統括官のほうから、途中で御説明がございましたけれども、国際規格のほうでも、いわゆる用語整理などが行われた結果、いわゆる機関番号みたいなものが分かれていて、また、いわゆるPseudonymというような仮設の番号などをうまく使うことによって、プライバシーインパクトを軽減しつつ、情報連携を行うような仕組みのような大きなフレームワークの議論があります。この時代になってから新たにシステムをつくろうというときには、この意見も踏まえるべきことであって、マイナンバー制度の利用拡大というときに、マイナンバー制度ではなく、マイナンバーの利用拡大というようにすぐになってしまいがちなところは、少し考えながら進めていくべきだと思います。

実際には、今あるJPKIのシリアルナンバーで何とかなってしまうようなところもあるかと思いますし、あるいは情報連携が本当に即時連携できるのであれば、IDというものに対してどれだけこだわらなくてはいけないのかというところもあるかと思いますので、ここはよくデザインしていただければなと思います。

特に民間との連携に当たって、マイナンバーを、今でも、いわゆる特定個人情報の管理という意味で、非常に民間にご負担をおかけしている中で、活用自体でいえば、民間のほうに御負担をおかけすることが増えてしまう。また、そうかといって、国民に対して、今までちゃんと守っていきますよといって説明していた前提を少し崩しかねないような議論になるというのを危惧しているところだけ、最初に御指摘しておきたいと思います。

それから、もう一つなのですけれども、こちら、自治体のほうの立場から申し上げておきたいのですが、ここの場だけでは議論は終わるわけではないと思うのですけれども、自治体と国が連携するときに、特に自治体の保有している情報を活用しますよというシステムをデザインしたときに、そのデータのオーナーシップが、システムがつながったことによって勝手に移動するようなイメージを持たれないようにすることが大事なのではないかと思っています。

特にデジタル庁が、いわゆるガバメントクラウドで提供しようとしているシステムの中に、これは自治体の側で使うようになるわけですけれども、使った時点で、データの所有権まで国に渡すというように理解されると、自治体側としても、簡単にガバメントクラウドのシステムを使いにくくなってしまうという面があります。

もちろん、法の立てつけ上そうなっても構わないようなものもあるのかもしれませんが、一般論としては、やはり自治体のシステムは、自治体の中で今まで持っていて、オーナーシップも含めて持っていたものを、その処理のシステムだけを国からお借りするというような、オーナーシップとプロセッサの切り分けというものをしっかりした上で進めていただくのが適当ではないかと思っておりますので、そこも資料の中にあまりはっきりと入ってなかったので、進めるに当たって整理していただけるとありがたいと思いました。

あと、細かいお話ですけれども、自治体側から言いますと、22ページのほうにございました「実現すべき要素」で、行政機関間の情報連携で、リアルタイム性を確保するために、現状ある中間サーバーをバイパスしてダイレクトにやりましょうということが書かれていたのですけれども、これは自治体のバリエーション、つまり規模の差として、自治体というのは横浜から青ヶ島村まで1万以上、規模の差があり、それぞれがこういうデータを持っているという性質から言いますと、ある程度の規模以下のところは、24時間365日、自分のところのデータが提供できるようなサーバーを持てと言われても無理だという面があるかなと思います。

これをガバメントクラウドが解決するのかもしれませんけれども、今、中間サーバーは、そういう24時間365日の維持が難しいということを踏まえて、開発システムによせるという決定でつくられたような面もあるかと思いますので、まず、中間サーバーをなくすことありきというのではなく、もしかしかしたら自治体の規模によって、どちらかに参照しにいくみたいな、あるいは中間サーバーをバックアップとして利用するというようなデザインもあり得るのではないかと考えました。

あと、最後に申し上げたいのは、この話がずっと進む中で、自治体側が一番心配だというのはスケジュール感です。2025年というのが大きなスケジュール感になっておりますけれども、こちらは、ついていくのが大変な自治体があるというのは事実ですので、ここの部分についても、2025年までに何をやるかということ早めに決めさせていただいた上で、ちょっとしんどいものがあるというスケジュールの中で、見直すべきところは見直ししていただきたいと思っているところです。

以上です。

木村参事官: ありがとうございます。
識別子についてしっかりした議論が必要という御指摘と、データオーナーシップが自治体なのか、それとも国にあると誤解されないのかといった新たな御懸念、御指摘があり、自治体目線での御指摘もあったと思います。ありがとうございました。

それでは、続きまして、森信先生、よろしくお願いいたします。

森信構成員: 今回の御説明のペーパーの中に、デジタルセーフティーネットということが書かれたことは、大変すばらしいと評価しております。一昨年のマイナWGとりまとめにはこのように書かれています。「増加するフリーランス等の契約情報のマイナポータルへの登録や、収入情報をプラットフォーマー経由で入手する仕組みについても併せて検討する」ということが書いてありまして、皆様方にお話しするのもおかしいのですけれども、この具体的なイメージとしては、このギグワーカーたちの働きなどにおいて生じるトラブルに絡むものを、契約をマイナポータルに登録させることによって、明確化していくことになることも含まれている。さらには、コロナのいろいろな給付金の設計の話も、含めたお話なのです。この辺りをもう少し具体的なイメージがあるような感じで説明して、今後進めていってもらいたいなというのが、大きな私のコメントです。

もう少し具体的に話をさせていただきますと、今年から、さとふるとか、そういったプラットフォーマーとマイナポータルの連携が可能になった、これは本人同意、本人の意思に基づいてということなのですが、今後は、例えばフリーランスの場合は、先ほど言いましたように発注主とフリーランスとの関係、それから、フードデリバリーサービスの配達人のような仲介型プラットフォーム経由で働く場合には、その働く人とプラットフォーマーとの間で、本人のマイナポータル経由で、本人の意思に基づいて、自分の収入情報を得られるような情報連携を進めていくと、その収入情報あるいは所得情報といろいろな給付金などのセーフティーネットの連携が可能になると思います。

コロナ禍で様々な給付金が支給されておりますが、国・自治体が、困窮者、低所得者の世帯とか、そういったものを判断して、あらかじめ登録された口座に申請なく給付できる、プッシュ型給付が、より精緻で効果的に可能になるのではないかと。

こういった分野にデジタル庁が関与していくということになりますと、デジタル庁が、各省の政策づくりに関与していく、政策官庁としての地位を高めていくのではないかと思っております。

将来的には、民間家計簿アプリと連携して、デジタル家計簿のようなものをつくれば、みんなが、毎日、国民の方が使うようになりますので、さらにカードの取得が進んでいくのではないかとは思っています。

もう一つ、今の点に関連してなのですが、このプッシュ型という言葉について一言だけ申し上げたいと思います。

このプッシュ型の行政ということでしょうか、この用語の意味合いは、極めて多様だというように考えます。例えば、先ほど御説明があった8ページにプッシュ型という言葉が出てきているのですが、この中身は、プレ表示あるいは行政からのお知らせ、自動入力、そういったイメージなのですが、一方で御承知のように、本年春に講じられました、子ども一人当たり5万円の低所得の子育て世帯に対する特別給付金、これについては岸田総理が何回もプッシュ型でとおっしゃっています。これはどんなものかというと、現行、児童手当等を申請により受給している低所得者世帯には、申請は不要で、その口座に給付をされるわけですね。だから、プッシュ型といっても、プレ表示のような段階から、全く申請なしでお金が振り込まれるという段階まで、非常に大きな違いがあるということで、今後、「プッシュ型」という言葉がある意味ではキーワードになると思いますので、もう少し丁寧に使い分けることが必要ではないかと思います。

というのは、プッシュ型を進める上では、個人情報の問題だけではなく、行政機関の守秘義務の問題がどうしても伴ってくると思うのです。税務情報を何で福祉部門のほうに自動的に渡すんだということで、この辺は一つ一つ議論して、法令で解除をしていく必要があると思っておりますので、このプッシュ型という、これからキーワードになるようなところを、もう少し突き詰めてた議論をする必要があるのではないかなと思いました。

いずれにしても、デジタルセーフティーネットという言葉が、この中に三角形の図まで描かれて、フォローアップされていることは大変喜ばしいことだと私は思います。

以上です。

木村参事官: 森信先生、ありがとうございます。
デジタルセーフティーネットの具体的イメージについても御提案いただき、プッシュ型サービス、もうちょっと言葉の使い方というのも注意すべきだということも御指摘いただきました。ありがとうございます。

それでは、続きまして、太田先生、よろしくお願いいたします。

太田構成員: 発言の機会をありがとうございます。

大きく3点あるのですけれども、1点目は森信委員と近いところがあるのですが、今回のまとめ方は、このワーキングの前身のほうが、結構ばらばらの施策が多かったのですけれども、最初にトータルデザインの考え方、利用者目線ということがしっかり述べられているので、とてもいいと思っているのですが、その部分の利用者目線が、もう少し整理されるといいかなと思っていまして、大きく2つの種類があるのかなと思っています。

1つは、森信委員もおっしゃった、セーフティーネットが必要な状態、これは子育てもありますし、シニアの方もありますし、ギグワーカーみたいなこともありますし、あと、今回のコロナ禍のような国難みたいな状況もあると思うのです。多くの場合は給付金という形で政策が打たれるという状況と、もう一つはライフイベントですね。転職、転居、結婚等、これはかなり性質が違うと思うのです。

前者はやはり非常に緊急度が高いですし、対象の人数も1000万、場合によっては1億人という大きさにもなると。後者についてはやはり数百万人なのですよ。ですから、緊急性と人数が全然違うので、そこを同じように、利用者のためということで、法制度の改正とか、システム投資をするというのは、考え方としては混乱しやすいと思うので、どういう利用シーンなのか、ユースケースと言ってもいいですけれども、それによって変わってくるのかなと思いますし、特に何でやるのですかというところで言うと、前者がやはりセーフティーネットですね。やはり1000万人、数千万に対して迅速に、効率よく対応するというところを前面に出したほうがいいのかなと思いますので、そこは分けることを提案します。

2点目です。

重点計画の大きな考え方で、民間並みのコストということがあるのですが、これは大変いいと思います。ただ、あまりデータが示されていないので、ぜひ夏ぐらいまでに基礎的なデータを出していただければと思うのです。

今回、バック側のデータを交換する仕組みですけれども、情報提供ネットワークシステムに、長らく、1件情報をやり取りするのに、数千円以上かかると。これは計算すると簡単に分かるのです。年間の件数で年間運用コストを割れば数千円になっていると。数千円をかけてデータを交換するというのはあり得ないので、今数十円になっているのですけれども、その辺のコストをちゃんと出していただきたいと思いますし、あと、今日取り上げていないフロント側ですね。マイナポータル、これは残念ながら今でも数千円以上、例えば子育てワンストップとかにかかっていると。これは分かったらそんなことに使う国民はいないので、やはり、その辺の数字までちゃんと出していただいて、特に、今日は議論していませんけれども、フロント側でマイナポータルについては、現実的に民間並みのコストを達成するような利用率ですね。これを本当に達成できるのかと。それを達成させようとすると、今の利用率は、例えば子育てワンストップは数パーセントですよ。ですけれども、達成するには、2割、3割の人が使うようにならないと駄目だと思うので、そこの現実感というのを出していただいて、それが難しければ、先ほど楠さんがおっしゃったように、APIをちゃんと介して、民間のほうは子育てのアプリがいっぱいありますよね。数十万人以上使っている。そういうところとの連携も含めて、ちゃんと民間並みのコストで回していけるという例を書いていただきたいなと。コストの検討ですね。これをぜひやっていただきたいというのが2点目であります。

3点目なのですけれども、これも夏までにぜひ議論をしたいなと思っているのですが、マイナンバーカードのところを、あまり検討していないのです。これが、今週デジタル社会構想実現会議の議論がありましたけれども、その中でも、例えば、JPKIの更新が5回目の誕生日ですけれども、やはり対面で本人確認しなくてはいけないので、私も行きましたけれども、役場まで行かなくてはいけないと。これが、保険証とひもづく、あるいは免許証とひもづくみたいな話になっていくと、本当に、毎年対象者というのは1000万人ぐらいいるので、1000万人がJPKIの更新のために、家の近くの役場に行かなくてはいけないのかという辺りは問題だと思いますので、その辺の使い勝手というのを本当にどうしていくのかというところは、ぜひ切り出してカードのところを検討いただければなと思います。

以上です。

木村参事官: 太田先生、ありがとうございました。

利用者目線といったときの利用者をどう考えるか、もうちょっと具体的に、1000万人、数千万人の規模を考えるのか、それより少ないのかというものを念頭に置きながら、という御指摘、ありがとうございます。

また、マイナポータルやマイナンバーカード、フロントサービスのほうについても、数字を基に、検討していく必要があるということだと思います。ありがとうございました。

それでは、続きまして、途中退席の方もいらっしゃいますので、順番前後しますけれども、大谷先生、よろしくお願いいたします。

大谷特別構成員: 日本総研の大谷でございます。順番を変えていただきまして、どうもありがとうございます。

今回、事務局から御説明をいただきまして、既に様々な委員の先生からの御指摘があったところですので、重複のない点だけ御説明したいと思います。

まず、16ページの辺りですけれども、入力の簡素化ということで、プレ表示が可能となるような仕組みを御検討いただいていること、直ちに利便性を実感できることだと思いますので、ぜひそれが実現するように願いたいと思っておりますけれども、やはり留意点があるかと思います。

行政サービスのその事務の内容によって、個人にとって自分についての情報というものの範囲というのが、やはり異なってくると思います。例えば配偶者についての情報が自分の情報に含まれるのか、子どもの情報はどうなのかというようなことを、事務の種類によって、あと、それが求められる場面によっても異なってくると思いますので、その辺りの整理をきめ細かにやっておくということを、あらかじめお願いしたいと思っております。

具体的には、DVの場合などで、家族であっても住所を知らせてはならない場合というのは、現在、行政の担当者の御努力によって、それが起こらないように対応していただいていますけれども、担当者に過大な負担がなく、プライバシーが保護できる仕組みというのをセットで検討しておくことが必要だと思います。

次に、既に御意見も出ているところでもありますけれども、2025年までのスケジュールでございますけれども、プロトタイプを今年度中に構築されてから、恐らく、実際、それを適用していく上で、様々な補正が入ってくるものだと考えております。そうしますと、それを順次、対応可能な自治体から入れていただくとしても、かなりの御負担が出てくるということが見えてまいりますので、プロトタイプで実装される標準的な指標というのはどこまでカバーされるのか、早期にその計画を示していただけると、自治体の方にとってはやりやすくなるのではないかと思います。

それから、3つ目でございますけれども、32ページに示していた「これからの行政サービス(イメージ)」でございます。インクルーシブな行政サービスの在り方というのを分かりやすく示していただいたもので、非常に共感を持って拝見したものです。特にサービスの処理状況がリアルタイムで分かるというようなものは、デジタルの特性を生かしたものだと思いますので、それは、ぜひ実現したい、実現に期待をかけたいことだと思っております。

ただ、全体を見てまいりますと、スマホに情報の授受をするということで、デバイスへの依存というのがやはり気になる形ではないかなと思います。この絵の中に書くか書かないかは別として、災害時などで、デバイスを紛失されても行政サービスが止まらない仕組みというのは、持続可能性のある仕組みとして御検討いただく必要があると思います。

私からは以上でございます。お先に失礼いたしました。

木村参事官: ありがとうございます。

プレ表示の際にも気をつけるべき点があるという御指摘をいただきました。また、自治体職員にスケジュール感を早期に示して、負担のないようにということ、それから、デバイスへの依存については、災害の際にはどうするのか、こういうことも留意すべきだろうという御指摘だったと思います。

大谷先生、ありがとうございました。

では、続きまして、順番変わりますけれども、宍戸先生もお時間があると聞いておりますので、先に御発言をいただければと思います。よろしくお願いいたします。

宍戸特別構成員: 東京大学の宍戸でございます。発言順を変えていただきまして、申し訳ございません。

私からも3点申し上げたいと思います。

第1は、これまでも委員の先生方から御発言がありました、利用者目線を徹底するときに、本当の意味で検討を徹底して、要するに利用者が何をしなければいけないのか、何をしなくていいのかという観点から、サービスであったり、後ろのシステムについて分類、整理をすると有用なのではないかと、お話を伺いながら思っていたところでございます。

具体的に申しますと、しばしば権力的作用がそうであるわけですけれども、利用者といいますか、国民の知らないところで全て物事が終わっているというタイプの行政もありますし、それから、一切何もしないのだけれども、知ろうと思えば、自分についてこういうことが起きていたんだということが分かる。これは、ふと気がついて銀行口座を見たらお金が増えていたということもあり得ることを含めてですけれども、そういうことがある。

それから、3つ目には、自分が最後一手間かける必要がある。承認をするボタンを押すなり、最後は何らかの手続を一旦取らなくてはいけないものがある。それから、最後には、自分からそういう手続をやるのだな、やらなければいけないのだなということを、最初に知った上で、自分がアクションを起こさなければいけないものがある。大きく、プロセスで言うと4つぐらい、単純化したときに類型があるのだろうと思いますけれども、このトータルデザインによって何がなくなってくるのか、逆に、何について、利用者目線で国民は知ることができて、利便性が向上するのかということを、少し整理されるといいのかなと思います。

意識しないでという部分について言うと、自分が知ろうと思えば知れる、自分についてこういうステータスなのかなということがよく知られるというなことを、エストニアの例でよく言われたと思いますけれども、そういった面もありますし、それから、この場で議論されてきたような、自分から情報を探すと、こういう給付の仕組みがあるということを知らなくても、プッシュ型で、ここに申請するのはどうですかと言ってもらえる。あるいは、自分がボタンを押さなくても、最初からお金が振り込まれるようになるということもあって、プッシュ型という言葉の意味にレンジがあり、これは先ほど太田先生がおっしゃったことと同じなのですけれども、そういった点を少し整理してやっていくということが必要なのではないかと思います。

言い換えますと、ものの手続によっては、いかにデジタル完結といっても、やはり本人がよく考えて、本人が自分で考えて申請するという部分が必要な行政手続の類型も恐らくあるだろうと思いますし、本人の知らない中で完結するということが、ある程度求められる行政の分野、ただ、事後的にはそれを知り得るということを、デジタルで拡大していく分野というのが、当然あるだろうと思います。

突き詰めますと、この辺は、実はUI/UXのお話と非常に密接に連動しているお話だと思いますので、そういった点を、ぜひ今後の具体的な検討において御留意いただくといいのかなと思いました。これが1点目でございます。

2点目は、言うまでもなく、ここでの議論は、ただただ利用者の利便性を向上させるだけではなくて、行政サービスの機能を高める、質・量を増やしていく、とりわけ、資源が減少していく中で、地方公共団体が非常に厳しくなってくる行政サービスが、例えばしていただけるようになる。さらには、先ほどお話がありました多様性のある、これまで手が届かなかったような人、手が届かなかったニーズに対してきめ細やかなサービスができるようにする、そういうための議論の側面があり、本人起点でデータが使える、いろいろなサービスが便利になるという部分と、行政サービスの機能を高める部分があるというのは、かなりの部分一致する部分もありますけれども、同時にそこがずれてくるときがある。ずれてきて、しかし、今後の行政として、これが必要なものであるというところをしっかり確保するという点も、やはり正面から訴えていくべきものなのではないかと思います。

それは、中には、給付よりは、どちらかと言えば権力的な作用に関わる部分、あるいは国として正確性を担保して、社会のインフラとして供給する部分、資格の問題とか公証の問題は、そういったところがあるのだろうと思います。

また、そうでない部分については、これも先ほど来お話がありましたように、行政が、言わば民間と同じような形でサービスで提供していく部分、あるいは民間にやっていただくということで済む部分が、場所により、サービスによりあり得るでしょうし、そういったところの切り分けが、このお話の中で、より全体像が見えてくると、安心感が出てくるのではないかと思っております。

最後、3点目でございます。

デジタルセーフティーネットという概念を、正面から打ち出していくということは、私も非常に重要な観点だろうと思っております。この際に留意すべき点は、特に②の論点、③の論点について、既に事務局において16ページ、24ページでまとめていただいておりますので、それは今後、丁寧に御検討いただければいいのかなと思います。

とりわけ、デジタルではなくアナログのセーフティーネットの話に引きつけて議論してしまうと、おまえは法律家だからとお叱りを受けるかもしれませんけれども、やはりセーフティーネットということを考えるときには、デジタルを使いたくても使えない人も含めてのセーフティーネットであるだろうと思います。

そうしますと、デジタルセーフティーネットというのは、広い意味で、サイバーフィジカルが融合したCPSにおけるセーフティーネットの基盤としてデジタルセーフティーネットがあるんだと。言い換えますと、そのセーフティーネットが稼働して、人々が貧困であるとか、いろいろな非常に困った事態にある、災害にあるときを救うというときには、デジタルだけでうまくいく場合もありますけれども、最後、デジタルを基盤として使って、地方公共団体の行政職員もあるでしょうし、NPOもおありになったり、いろいろな方がいると思うのですが、最後、人がそれを使って、それでセーフティーネットを新たに実現するというイメージで、私はデジタルセーフティーネットという言葉は使っていただきたいと思います。

そうやって考えますと、完全にデジタル完結するとは限らない、むしろ、それを人間が使うことによって、困っている人との間に、基盤と人間が挟まることによって、これが稼働するんだということであるとしますと、それはサービス等が増える、それは繰り返しになりますが、民間の方もいるということで、やはりデータの安全管理の問題、セキュリティーの問題、人的な安全管理も含めてでございますけれども、そこをどうやってしっかりやっていくかということを含めて、このデジタルセーフティーネットの御議論はしていただくというのが必要ではないかと思っております。

全体として、今回の取りまとめは、非常にいい方向性を打ち出していただいていると思いますので、今、私もいろいろ申し上げましたけれども、様々な御意見を踏まえて、引き続き御検討いただければと思っております。

私からは以上でございます。

木村参事官: 宍戸先生、ありがとうございます。

利用者が何をしなければいけないのか、何をしなくてもいいのかという視点で整理をしていくべきであろうという御意見をいただきました。

また、デジタルセーフティーネットといったときにデジタル庁としても、誰一人取り残されないということを掲げておりますので、そういった視点もちゃんと大切にしながら検討を進めていきたいなと思っております。

それでは、次に移らせていただきまして、後藤先生、よろしいでしょうか。

後藤特別構成員: 地域情報化研究所の後藤です。よろしくお願いいたします。

既に構成員の先生方から御発言のあった部分もありますが、若干触れながら、御質問・御意見を申し上げたいと思います。

まず、最初は、資料の8ページ目から9ページ目辺りのところで、自治体が保有する情報活用についてというところでございますが、当該住民の方がプッシュ型のサービス等を受ける際に活用できるようにするということで、これは非常にすばらしいことなのですけれども、もう少し具体的に、どのようなユースケースを想定されているのかということを御説明いただくと、より分かりやすくなるのかなと思います。そのことで、また国民の皆さんの理解が深まる、あるいは自治体の関係者の議論も深まると考えました。

2点目でございます。官民の情報活用における識別子での問題。

これは、冒頭、上原先生も的確に御指摘をいただいたと思います。全くそのとおりだと思っております。私の頭で理解できるような形で申し上げるとすると、具体的に、何をどのような形で識別子として利用するのかということを例示的に御説明いただけると、これは確定でなくてもいいのですけれども、例えば、ということで御説明いただけると、これも国民の皆さんあるいは自治体の関係者も理解がしやすくなるのかと。この19ページの説明ではなかなか理解が難しいかなという気がしました。

3点目、情報連携のところでございます。

これも冒頭、上原先生が御指摘いただいたとおりでございますが、私も自治体の世界に長くおりましたので、情報連携の仕組みについて、特に現行の中間サーバー等を介在させずにリアルタイムで行うということにすると、相当の量や件数の情報の通知、提供を行うということになりまして、データ交換を行う仕組みシステムとしては、非常に大きな負荷がかかる。こういう仕組みを具体的にどのように実現するのかということについても、ある程度の見通しを持って説明をしていただくことが大切だと思っております。

次は、マイナンバーの利用分野の拡大ということでございます。

これは、これまでの会議の中で各構成員の方々からもいろいろ御指摘がございましたが、現行のマイナンバー制度は、今の状態に至るまでに様々な議論があったということは皆様御存じのとおりであります。それらの前提に立った上で、個別の事務の業務ごとに、具体的に必要性の有無について当てはめて、丁寧に整理を行うことが必要だろうと思います。

一方で、これまでの紙を前提とした行政制度の中で行われていた事務の中には、適切なマイナンバーの利用を行うということで、あるいはデジタル化を行うということで、不要となる事務や手続、あるいは届け出もあるのではないか。例えば、年金受給者の現況届などは現になくなって、非常に軽減されたところもございます。試行的にしろ、一度そういうものを洗い出して、検討項目に加える、あるいはメリットを具体化することも重要ではないかと思っております。

それから、4点目でございます。

これも上原先生が御指摘されたところなのですが、トータルデザインの実装スケジュール、大谷先生もおっしゃいましたが、このスケジュールのところが自治体現場にいた経験のある者から見ますと非常にこれは難しいスケジュールだなと感じているところでございます。いわゆるプロトタイプのシステムとして、国民の方々に将来像を見せるということは大変重要だと、そのことを否定するものではございませんがプロトタイプのシステムというのはあくまでも実験的なシステムであり、言わばゴールではなくて中間点ということですので、そういう意味では重要性はそれほど大きくはないと思っております。実際に、全国レベルで実用に耐えるようなシステムをつくること、恐らく、それは一定の時間が必要であることを重ねて指摘をしておきたいと思います。それらを含めての全体スケジュールということをお示しいただければということでございます。

特に自治体は、2025年に向けて業務システムの標準化ということに取り組んでいくということで、今、皆さん具体的な対応に苦慮しながら、手探りで進めているところもございます。そういう意味ではトータルデザインの実装に向けたスケジュールの設定に当たっては、自治体現場の負担にも十分考慮をしていただく必要があるかと思います。そういう意味では、スケジュールありきではなくてシステムの標準化・共通化を含め、全体的に実現可能なスケジュールを組み立てていただくと、そのことで国民の皆さんもよく理解した上で問題なく受入れをすることができる。自治体も、また、その用意のための取組を進めることができると思っておりまして、この辺りのことを大変懸念しているということでございます。

最後に、様々、資料の中で言いますと大きく3点、①自治体が保有する情報の活用、②本人を介した官民の情報活用、③行政機関間の情報連携が示されているところですけれども、この辺りのより具体的な整理と案の提示ということも同時に進めていただくことによって、より理解が深まる。全体を通して整備をする上でも、ある程度各論の部分についても触れていくことが大変重要なことかと思っております。

一度に多くの新しい仕組みを入れるということ、多くの大きな変更を加えるということは、結果として様々な障害や支障を起こしたり、改修時間が延びたり、あるいは失敗をするということはしばしば散見されるところでございます。これは現実に、民間企業でも、あるいは金融機関等でも、また、外国でもしばしば起こっているわけです。こういうことにならないように考えることが必要です。

デジタルシステムというのは、その全容を可視化することが非常に難しい、容易ではないということがありますので、なお丁寧にしておくことも大事だろうと思っております。

私からは以上です。どうぞよろしくお願いいたします。

木村参事官: 後藤先生、ありがとうございました。

いろいろなシーンで、例えば自治体が保有する情報の活用におきましても、それから、識別子におきましても、もう少し具体的に例示をして議論したいということを御指摘いただき、自治体の負担についても配慮すべきということや、スケジュールも無理のないように、特に最後のところですけれども、システムの大きな変更の際には十分慎重に検討する必要があるだろうという御指摘だったと思っております。ありがとうございます。

それでは、続きまして、菅原先生、お願いいたします。

菅原特別構成員: ありがとうございます。

まず、今回のペーパーでは、国民サービスが中心の取組と、中央政府内、自治体内、また、自治体間などの共通機能開発などによる行政システムコストの削減、また、感染症や自然災害などの危機時の対応、という非常に重要な観点で整理し方向性を打ち出しており、賛同させていただきます。

まず、本人を介した官民の情報活用という部分では本人を介して、自らの情報をデジタル活用できることを基本的な考え方に据えたというところは、大きなポイントではないかと思います。

その上で、コメントをさせていただきますと、民間保有データの活用については、目的が今後の発生し得る給付とか災害対応という緊急事態対応、そのためのセーフティーネットということであるならば、公共性が高く、主体は行政になるはずなので、民間からソリューションを提案・提供してもらうという形で進めるのがよいのではないかと思います。例に挙げています、転職時の手続の簡素化などを図るのであれば、民間会社のイントラネットから行政の本人データを取得できるようにすると、ユーザーの使い勝手がよくなると思います。ただし、各民間会社としては、特に自社の利益になるわけではないので、システム改修などにおいてインセンティブの仕掛けが必要だと考えます。利用者には、一般の個人、社員だけではなく民間会社を含むという観点を持ちながら、民間会社のベネフィットをどれだけ訴求できるかが重要になってくると思います。

それから、民間サービスとの連携についてですが、民間が行政のデータを使ってサービスを設計する場合に、それぞれのサービスは民間会社が主体となるので、民間側がシステム改修を負担することは問題とはならないはずです。よって各民間会社に自由にサービス、アプリなどをつくっていただくという形式は問題ないと思いますが、行政機関が提供できるデータベースの項目をしっかりと明示していくことが必要です。民間のイノベーションに期待をするならば、オープンにするデータ項目は多いに越したことはないし、民間側もそれを使って、社会課題の解決や、それを通じたメリットがあると感じれば積極的に動くと思います。

それから、先ほどから御意見が出ている識別子の問題は非常に重要と思います。プライバシーインパクトなど、様々な課題や観点があると思います。その際、個人、ユーザー視点が重要なのは言うまでもなく、またマイナンバーを例えば使用することの是非については、個人にとって複数の識別子がよいと考えるのか、一方、現在の特定個人情報という縛りがある中で、マイナンバーの活用拡大ができるか様々な観点があるため、速やかに検討を進める必要があります。

それから「バックヤードでの情報連携を拡大しうる行政事務」というところですが、例としてiDeCoの手続や在留外国人とか在外邦人に関わる例が出ていますが、例えば日本に住んでいる外国人向け生活保護などを各地方公共団体が新たに条例を定めることなく、マイナンバーを活用ができる仕組みも重要です。

デジタルセーフティーネットについては画期的であり、ようやく実現できることに期待しています。これも国民から見てとても分かりやすい取組なので、早急に進めていただきたい。先ほど、森信先生からも御指摘がありましたが、例えば世帯をどう位置づけるか定義づけるかなど、ハード面だけではなく、ソフト面での仕組みの整備もデジタル庁のリーダーシップで早急に検討いただきたいと思います。同時に、長年、議論されてきた給付付き税額控除、これが欧米のように導入されると危機時の緊急対応に効果的であると思います。

最後に、今後のスケジュールがありますが、技術革新が激しい時代ではトライアンドエラー、走りながら考えることは良いと思いますが、ここでのポイントとしては、こうした実証実験などは効果検証しながら進めることが重要であり、その際に技術的検証の他、個人の視点ということを意識するのであれば、むしろ、国民のサービス利用率や満足度なども検証しながら進めていく必要があると思います。効果検証の仕組化とそのための体制を速やかにしていただきたいと思います。

以上でございます。ありがとうございました。

木村参事官: ありがとうございます。

お褒めいただいたところもありつつ、課題をいただいたところもあると思っておりますが、例えば民間との役割分担といいますか、どのように連携していけばいいのかというところを非常に具体的な御提案をいただきまして、ありがとうございます。また、利用率・満足度というところ、太田先生からも前回御発言いただいたと思いますけれども、その点もしっかりと留意していく必要があると思っております。

それでは庄司先生、よろしいでしょうか。

庄司構成員: 庄司です。よろしくお願いします。

大きく3点あります。

1つ目は、話題になっている識別子の話です。マイナンバーそのものを使うというのはあり得ないと思うのですけれども、やはりマイナンバーに期待されている部分が大きいのだろうとは思いました。ただ、例えば今、自治体においてマイナンバーを使うとなればネットワークを分離してとか、すごく慎重に、緊張感を持って扱っているわけでして、使い道を広げていくことになると、多分それに携わる方々にも、ものすごく厳格な管理とか、いろいろな制約を課すことになっていってしまうのではないかということも考えられると思うのです。したがって、賢く設計しないといけないのだろうなということです。シリアルの話などもありましたけれども、どこでどう本人確認をするのかということについては、賢く設計していかないと、マイナンバーを使う場所は増えたけれども、かえって不便になってしまうこともあり得るのではないかと思います。

それから2つ目は、これも幾つか出ているスケジュールのお話でありますけれども、2022年度末までにマイナンバーカードの普及とかオンライン手続の目標ということが設定されていますし、2025年度末までに自治体システムの統一・標準化という話があるわけで、皆様、それが頭の中で大きな部分を占めています。ただ実際にいろいろ無理が出てきているとか、現実やっていくと結構大変だということなども明らかになってきていて、そこにまた新しい話も出てきているということですから、もしかするとどこかのタイミングで現実的な線を示すとか、あるいは22年度末までにここまではやっておいてくださいねとか、25年度末までは例えば、私は計画ができていればいいのではないかと思いますけれども、そういった何かを示す必要が出てくるのだと思うのです。それを期限ぎりぎりまで引っ張ってしまうと、真面目に締切に間に合わせようと思って頑張る自治体が、はしごを外されるような形になってしまいますので、そういうことを考えるのであれば早い時期から現実的な線というのを考えていく必要があるのではないかと思います。

そして、3つ目ですけれども例えば、資料の24ページで利用徹底や拡大に向けた検討について整理されているところがあります。私はたしか前回だったと思うのですが、マイナンバー制度、税と社会保障と災害というように非常に分かりやすい目的が置かれていたわけです。今回24ページの整理だと、事務の特性、特徴で整理がされているのですけれども、何のためなのかというところが、これだと分かりにくいと思いました。

今日出てきたキーワードとして、デジタルセーフティーネットというのが、それに相当する第4の分野、第4の目的みたいになるのかなという気もしたのですけれども、ただこれは新しい用語なので、定義が曖昧で、何でもかんでもデジタルセーフティーネットということもできてしまいそうで、そうなるとすごくパターナリズム的で、余計なお世話かなという気もしたりはします。今後、そこは詰めていく必要があるのではないかと思います。

また、マイナンバー制度が始まった頃の社会的背景や状況を考えると、これは根っこには年金記録問題があったはずでして、行政の透明性をしっかり確保していくということが目的としてあったのではないかと思います。その意味で透明性を高めるためにも、マイナンバーは行政機関間の連携に使えます。同時にそれが進めば、効率化とか利便性向上も実現しますみたいな、そういう説明はどうだろうかなとも思ったりもします。

最後に、今回、一般の参加者もいらっしゃいますが、こういった議論を公開の場でやっていくのは非常によいことであると思います。

以上です。

木村参事官: ありがとうございます。

識別子について、かえって負担が大きくならないかといったことを含めて、賢く設計すべきだといった御意見等をいただきました。ありがとうございます。

一旦、これで先生方皆様に御意見をいただきましたので、もしよろしければ、楠統括官からコメント等あれば、いただければと思います。

楠統括官: 本日、様々な御指導、本当にありがとうございました。

識別子の議論も非常に活発にしていただいたところですけれども、振り返るとマイナンバーで、私自身はエンジニアとしては、本当は短い桁数の番号ではなくて、もっとプライバシーを高める方法があるのではないかという議論を当時しておったのですけれども、やはり紙で転記できるためには12桁の番号が要るのだと。デジタル化の進捗を鑑みて、紙がなくなるということはないのだから、しっかりと番号はどうしても簡単に打てるようでなければいけないというようなことを言われたりもしたというところが当時あったことを思い出しております。

デジタル化自体も大きく進展をしておりますし、またデジタルセーフティーネットの議論というのも今日活発にされていく中で、デジタル庁が旗印としている誰一人取り残されないデジタル化ということを、具体的にどうやって満たしていくのかというところとセットで考えていく。紙でやる以外の方法もあるわけですし、その中で技術的な選択肢というのは5年前、10年前と比べると大分増えてきているというような手応えはあります。

一方で、当然、行政としての一貫性も求められてくるところでもありますし、当分紙が残ることも間違いない中で、実際に回していけるやり方というのをしっかり考えていかなければならないところでもあります。これはやはりマイナンバー制度を始めたときに、国民の方々にお約束してきたことを踏まえて、きっちりとどういう要件を満たすべきか、というところを引き続きしっかりと御指導いただきながら、あるべき姿というものを模索してまいりたいと考えております。引き続き御指導をよろしくお願いいたします。

木村参事官: ありがとうございます。

それでは、少し時間がありますので、何かその他に御発言がございましたら。

太田先生、よろしくお願いいたします。

太田構成員: ありがとうございます。

何か研究会的にやったらいいかなと思うのが、今日いろいろ話題になっていたデジタルセーフティーネットというのは、代表的な話としては所得の状況をちゃんと捉えていないと駄目だと思うのですけれども、今、国が持っている所得の情報は基本的に古いではないですか。理想としては、月次でどれぐらい所得があって、今の時代というのは、すごく所得が変化するので、働き方とか今の環境を考えると。要は最新の所得の情報を取るには、民間のプラットフォーム事業者、例えば人事給与システムを提供しているような企業との連携みたいな話も含めて考えていかなくてはいけないので、そういうのは別に研究会みたいなものをつくってやったらいいのではないのですかと思うのが1つ。

あと、もう1つは、利用者目線というところの、これは研究会というよりも、もうちょっとデジタル庁としてインテリジェンスを持ったほうがいいかなと思うのですけれども。例えば2年前に経産省がキャッシュレス化推進の事業という、とてもいい事業をやっていましたけれども、あれは津脇さんがリーダーになって、いろいろちゃんと分析をしていて分かったのは、当初思っていたような地方ではキャッシュレスがあまり使われないとか、シニアとか女性の方は使わないという話ではなくて、結構等しく使っていたのです。都市も地方も、年齢にかかわらず性別にかかわらず。こういう基本的な事実というのは結構大事な話で、我々はともするとイメージで語ってしまうので、利用者の本当の実像というのは何なのだというのも、これだけ利用者というのが大事だという、非常にいい方針を打ち出していただいているので、もうちょっと中身の話をデジタル庁としては持っておいたほうがいいかなと思います。

以上です。

木村参事官: ありがとうございます。

もし小林副大臣等、御発言がございましたら。浅沼デジタル監も入られていると思いますが、デジタル監もよろしければ、御発言いただけますでしょうか。

浅沼デジタル監: いろいろ御意見をいただきまして、ありがとうございます。

特に利用者視点という観点で言いますと、いろいろデジタル社会構想会議のほうでも御意見をただきまして、やはりデータ、事実に基づいて、どういう形で今の状況をしっかり共有した上で、これから行っていく施策というものが実際どう具体的に効果を発揮しているかというところを、皆さん共有するということは非常に大事だと思っていますので、ぜひ、いろいろいただいた御意見を踏まえながら、このデータに基づいて、事実に基づいてといったところにつきましては、よりフォーカスして進めていければと思っています。ありがとうございます。

木村参事官: ありがとうございます。

では、ワーキンググループの主査を務めていただいています赤石審議官、お願いできますでしょうか。

赤石審議官: 赤石です。

今日はどうもありがとうございました。非常にいい議論ができて、4回やっているうちにだんだん方向性がまとまってきて、議論も焦点が絞られてきたような感じがします。特に識別子とか中間サーバーの話とか段取りやスケジュールの話とか。

それで、どなたかも言っていただきましたけれども、これは決め打ちでいくというよりは、国民に関するインテリジェンスをしっかり仕入れて、それを踏まえてやらないといけないし、それから自治体の状況も踏まえてやらなくてはいけない。この辺り我々は見えないところもあるので、引き続き情報をインプットしてもらいたいのと、あわせて、国際動向というのも極めて重要で、資料にもくっついているのですが、UnlinkabilityとかPseudonym、User bindingとか、幾つか原則を国際的に出している中で、我々として、この識別子をどう作っていくかというのは、いろいろな要因を絡めてしっかり考えていかなければいけないと思うのです。ぜひ、これからもインプットいただければと思います。

ちなみに、大臣からも御挨拶をいただきましたが、間もなくアップデートを予定しているデジタル社会の実現に関する重点計画、今日の議論を踏まえて、しっかりと続けていきたいと思います。引き続き御指導をよろしくお願いします。今日はありがとうございました。

木村参事官: ありがとうございました。

牧島大臣、もし一言ございましたらご発言いただけますでしょうか。

牧島大臣: ありがとうございます。

今日も大変密なお話をいただけたと思っております。デジタル庁のほうからもフィードバックさせていただいたとおり、今日いただいた提言を基に、新たな研究会を考えるのかというところも1つ宿題だなと私自身は思っております。

それから、プッシュ型とかセーフティーネットとかプライバシーとか、よく、このデジタル社会を語るときに使う表現ですけれども、それをどれだけちゃんと具体的に分かるものとして、お互いに齟齬がないようにするのかというところにつきましては、今日コメントしました浅沼デジタル監も専門領域の1つでもあろうかと思いますし、また先生方にもお知恵をいただきながら整理をしていきたいと思いました。ありがとうございました。

木村参事官: ありがとうございました。

本日の議事は以上となります。

事務連絡でございますけれども、本ワーキンググループの資料と議事録につきましては、デジタル庁のホームページにて公開させていただきます。議事録につきましては、事務局より構成員、特別構成員の皆様に内容の確認の御連絡をさせていただきますので、どうぞ御確認のほど、よろしくお願いいたします。また、この会議終了後、事務方から会議の概要等を改めて記者にブリーフィングさせていただく予定でございます。

次回日程につきましては、改めて事務局より皆様に御連絡させていただきます。

以上をもちまして、本日のワーキンググループを閉会とさせていただきます。お忙しい中、ありがとうございました。