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第3回サービスデザイン関連ガイドライン改訂に係る検討会

概要

  • 日時:令和7年(2025年)1月21日(火)10時00分から12時00分まで
  • 場所:オンライン会議
  • 議事次第:
    1. 対象ガイドラインの説明
    2. 意見収集
    3. 閉会挨拶

資料

参考資料

  • 参考資料:「サービスデザイン関連ガイドラインの検討状況について」※構成員限り

出席者一覧

構成員(50音順/敬称略)

  • 赤坂 文弥(産業技術総合研究所 ⼈間拡張研究センター主任研究員)
  • 安藤 昌也(千葉⼯業⼤学 先進⼯学部知能メディア⼯学科/先進⼯学研究科知能メディア⼯学専攻教授)
  • 伊藤 芳浩(NPO法⼈インフォメーションギャップバスター 理事⻑)
  • 宇田 哲也(富⼠通株式会社 デザインセンター⻑)
  • 大井 美喜江(三菱電機株式会社 統合デザイン研究所)
  • 早乙女 真由美(ソニーグループ株式会社 品質マネジメント部UX/HCD推進グループ)
  • 田中 友美子(NTTコミュニケーションズ株式会社 イノベーションセンター(KOEL) Head of ExperienceDesign)
  • 長谷川 敦士(武蔵野美術大学造形構想学部 教授、株式会社コンセント 代表取締役)
  • 平沢 尚毅(⼩樽商科⼤学 社会情報学科教授)
  • 福住 伸一(特定国⽴研究開発法⼈理化学研究所 ⾰新知能統合研究センター副チームリーダー)
  • 山本 伶(フリー株式会社)

デジタル庁(事務局)

技術検討会議 サービスデザインタスクフォース

議事概要

構成員からの主な意見(要約)

1. 開催趣旨のご説明(質疑応答)

質疑なし。

2. ガイドラインに関するディスカッション

サービスデザイン関連ガイドラインの検討状況について(補足)に対する意見

※策定中の各文書についての発話が含まれます。

  • サービスデザインの枠組みの中での今回のガイドライン・ガイドブックの位置づけとして、送付資料の中で全体像の整理がまとまっていてわかりやすく整理されている。全体像の中でガイドラインとガイドブックの違い、NormativeとInformativeの違いを示せると良い。また、全体像はユーザー目線で各文書の利用シーン、目的等が分かる形で一覧にまとまっていると良い。
  • サービスデザインガイドライン群全体としてサービスデザインの範囲や位置づけ、何を目指すのかといったことが明文化されていると良い。
  • ガイドラインの分量が多いため、どこから読むべきか、自分の対応する案件で参照すべき箇所はどこか等が明確化されると良い。チェックリストは現場で重宝されると思う。
  • チェックリストについて、UIチェックリストは具体的だが、アクセシビリティチェックリストは簡易的な内容となっている。多くの人にとってチェックリストは最初に見る入り口になり、これだけやれば良いと受け取られかねないため、アクセシビリティチェックリストも簡易チェックと詳細チェックといった形にすると良い。
  • ユーザビリティガイドラインの利用品質目標の設定について、専門性がないと目標の設定は難しい。目標設定の考え方や注意点について補足があると良い。
  • ウェブコンテンツのデジタルアーカイブは公開されたURLのある時点での情報がどういった内容だったかを保てることが役割であり利点だと感じているため、いったん公開されたURLの永続性は原則として盛り込んでほしい。例えば、住民税の計算方法等の同じような情報が各自治体のウェブサイトに掲載されているが、中央省庁のサイトで一貫したURLとして提供し、各自治体からはそこへのリンクを繋ぐ方が、何が正しい情報か分かりやすくなり望ましい。
  • ダークパターンの具体例として本日の説明で個人情報の同意の例が挙げられていたが、それをドキュメントに例として紹介してほしい。何がダークパターンになりうるかという例があると良い。
  • 手話について、ウェブアクセシビリティ導入ガイドブックにおいても、参考情報として動画の音声部分に対する補足手段として手話があることは記載した方が良い。WCAGでは手話通訳・手話翻訳に関する当事者がいないため、誤解される面が非常に多い。今回を機にWCAGへも意見する予定。他の国よりも先進的な例となっており、ありがたく思う。
  • 動画に手話をつけることについて、手話通訳には専門技能が必要で、手話通訳センターにお願いをする等の方法しかないのが現状。実施に向けたハードルが高く、オプション的な状態だとやらないとなってしまうため、プライオリティを上げ、強い言葉で推進していく必要がある。
  • 調査の倫理的な点について、大学では倫理審査の圧力が強まっており、人間中心設計推進機構でも企業がデザインリサーチやユーザビリティテストを行う際に倫理審査が必要になる可能性が議論されている。デジタル庁のユーザーリサーチやユーザビリティテストにも倫理審査が求められる可能性があり、状況を注視する必要がある。
  • 倫理について、学術においても倫理審査があるべきだが、一方で、倫理審査の体制を整えることは企業でも難しい。審査については全てを対応必須とするのではなく、ある程度の基準で例外規定を設ける方法も考えられる。ガイドラインにうまく取り込めると良い。
  • 網羅的な知識体系についてAIをナレッジベースとして使うことで、属人的にならずミスが減らせる。デジタル庁のドキュメントは構造化がなされているため、AIに読み込ませロジックとして活用できると思っており、マシンリーダブルなガイドラインを検討しても良いと思う。
  • 表記やドキュメントの統一性等、AIを使って評価するのも良いかと思う。サービスデザインガイドラインとしては共通化が図られているが、他のドキュメントと比べての表記等も評価しても良い。
  • ガイドラインの表記、例えば段落の表記について、行間を開けるか、字下げとするか等、省庁が発信する文書については日本語を正しく表記してほしい。
  • 今期作成するガイドラインの範囲について、プロダクトデザインという用語を使うと、デザイン分野の人々が抱くイメージとの間にギャップが生じる可能性があり、用語の使い方を懸念している。
  • DS-67xの分類名の訳について注記があったほうが良い。DS-68xはコンテンツデザイン・コミュニケーションデザインという表記のため、その様な表記でも良いかと思う。
  • ウェブコンテンツガイドラインの適用対象について「見直す際に適用するものとする。」と記載されているが、見直すという表現は既にリリースされたものを改善するという印象を受けるため、誤解が生じないように言葉を補足して明確化する必要がある。
  • ユーザビリティガイドライン「1.2 背景と課題」に、「初期段階で多様な利用者の意見を収集すること」の記載を入れてほしい。これにより、システムやサービスの利用シナリオにおける具体的な課題や障壁を早期に把握でき、設計段階で解決策を取り入れることができるため、最終的にユーザビリティの向上につながる。
  • ユーザビリティガイドライン「4.1.2 リスク管理」について、関係者や利用者のフィードバックをどのように活用するかが曖昧なため、利用者との協力プロセスや、リスク評価に関する具体的なフローを補足した方が良い。
  • ユーザビリティガイドライン「3.2.5 達成の評価方法」の中で、「ユーザビリティテスト」や「ヒューリスティック評価」等の手法が挙げられているが、どのように実施するかの詳細が不足している。簡易な手順や参考文献のリンクを補足に入れたほうが良い。例えば、「専門家によるヒューリスティック評価の他、実際の利用者を含むユーザビリティテストを推奨します」など記載があると良い。
  • ユーザビリティ導入ガイドブック「1.2 背景と課題」にて、多様な利用者の意見を初期段階で収集する重要性を十分に強調して欲しい。初期段階で多様な意見を収集することで、後工程での修正によるコスト増やユーザビリティの欠陥を抑える効果があり、「5.1 多様性の確保(リプレゼンテーション)」にもつながると考える。
  • ユーザビリティ導入ガイドブック「2.1.2 利用者」について、利用者像が具体的だが、障害者や高齢者など、特別なニーズを持つ利用者への言及が不足している。インクルーシブデザインの観点から、多様な利用者を明確に想定できるようにした方が良い。
  • ユーザビリティ導入ガイドブック「5.1 多様性の確保(リプレゼンテーション)」の中で、「監査」と「社会的信頼の醸成」という表現が突然出てきて読者が必要性や意義を理解しづらいため、具体例を交えて補足説明を入れると良い。また、「リプレゼンテーション」という概念は提示されているが、それをどのように実現するかのイメージを読者が持ちづらいため、具体的な方法や例があると良い。
  • アクセシビリティチェックリストの「動画が含まれている場合」について、動画内の音声に手話をつけることを参考情報として記載してはどうか。WCAGでは手話対応はAAA基準とされているが、手話言語条例を制定している自治体が増えており、手話を取り入れる事例も広がっている。公共機関や自治体での活用を見据え、選択肢として追記することを検討してほしい。
  • ウェブアクセシビリティ広報向けガイドブックP.24の「可能であればリアルタイムに文字起こしの内容を修正する作業者を確保することを推奨します」について、現状ではやらないことがデフォルトになっているため、「可能であれば」ではなく、「実用性を考慮し、またやらなくてもよいといった誤解を招くことを防ぐため、できる限り」とした方が良い。
  • ウェブアクセシビリティ広報向けガイドブックP.15-16、20、24の「手話通訳」について、WCAGに倣って「手話」とした方が良い。手話通訳はその場で手話を表現するという意味であり、時間をかけて手話表現を準備する手話翻訳とは別の意味になる。ここでは両方の意味を含めたほうが良いため「手話」とするのが適切。
  • ウェブアクセシビリティ広報向けガイドブックP.25の末尾に、アーカイブ配信やレポート記事の作成にあたって、リアルタイムで提供された手話通訳や字幕をそのまま使用することを避ける旨追記が必要。
  • ウェブアクセシビリティ広報向けガイドブックP.29の手話対応に関する記載が不正確なため、修正が必要。WCAG2.0では区別が明確でないが、時間をかけて手話表現を準備する手話翻訳とその場で手話を表現する手話通訳を区別する必要がある。
  • ウェブアクセシビリティ広報向けガイドブックP.35手話に関する記載について、映像全体のコントラスト比や視認性の記載を追加する必要がある。
次年度に向けた期待
  • 来期以降の対象となっているサービスデザインについて、言葉の範囲が広いためデジタル庁としての位置づけを明確化し、ガイドラインに何を記載するかを具体化できると良い。
  • 来期対象となるサービスデザインガイドラインの中にデザイン原則のようなものが含まれると考えており、その中でどういったことを記載すると良いか検討したい。
  • ガイドラインの量が増えると必要な情報を見つけることが難しくなるため、各担当者がどの内容を参照する必要があるかの動線も重要であり、しっかり設計してほしい。各文書の読者が見えてくると言葉遣いや分量も現実味が出てくる。UIを作る実務担当者は図や例が多い方が受け取りやすい。読者に受け取ってもらうための仕掛けが追加できると実行率が上がると思う。
  • デジタル庁のデザインシステムやガイドブックは、行政だけでなく民間企業においても注目され、基準として参照されているため、各文書が公開されたら自社の研修等でも使用したい。
  • 現場で時間や予算が不足してガイドラインの内容を対応できないといったことが起きると思う。上手くプロジェクトを進めることや、どういった形で実践していくかといった点を含めて考えていけると良い。
  • ガイドライン活用の事例を各省庁で蓄積し共有することで理解が深まる。一般公開は難しいかもしれないが、広く事例を公開することで参考になるため、情報発信することも検討してほしい。
  • ガイドラインやガイドブックが実際に活用され、デジタル行政が改善されてきたという実感をエンジニアやデザイナー等の現場の人間が持てるようになることが重要。ガイドラインを実践したモデルケースが生まれ、ガイドラインがどう使われているか、当初の想定からガイドラインを踏まえてどう変わったか、といった発信を積極的にしてほしい。作られたものが良くなっているという実感が持てるようになれば、押さえておくべきポイントなどの共通認識が生まれると思う。
  • ガイドラインをどう活用するかという運用の訓練が必要であり、ガイドライン運用規定が必要かもしれない。実際の活用場面としては仕様策定や日々の運用等があり、品質の問題も絡んでくる。また、国だけでなく地方公共団体にも展開することで国全体の普及につながるため、地方公共団体への展開も検討した方が良い。
  • 今回のガイドラインではJIS 8341-3やWCAG等ウェブにフォーカスしているが、JIS 8341-6等のソフトウェア全体に関する部分との関連性が見えていない。全体のアクセシビリティとしてデジタル庁としてどう考えるかという方向性についても今後どうしていくか検討が必要。
  • 海外の基準として欧米では法律や規格があるが、アジア方面では整備が不十分。日本として何に準拠し、何を根拠にしているかを上手く示せると良い。例えば、JIS 8341-1をベースに欧米の規格と合わせるようなJISを作り、最終的にISOにできると良い。

3. 結果の取り纏め

  • サービスデザインガイドラインの全体の体系が整理され、その中でいくつかの具体的なガイドライン・ガイドブックができたことが非常に良かった。この様な文書が存在し、それをデジタル庁が出すということ、多くの人がアクセスできるリソースとして残ることが大事だと思う。
  • 本ガイドラインをデジタル庁が出すということに意義がある。信頼性が高いと感じる読者も多いと思われるため、これを機に日本のデジタルデザインのボトムアップが進んでいくと良い。
  • 行政機関や自治体、民間企業においてもアクセシビリティをどこまで考慮するかという点について顔を見合わせているところがある中で、国としての方針をドキュメンテーションすることにより、日本全体としてのスタンダードを作っていくことになる。アクセシビリティに限らず、議論を経て体系化されたドキュメントが作られることは良いこと。日本発でこういったものが出ていくことで世界中から参照してもらえると感じており、意義のあるプロジェクトだと思う。
  • デジタルの領域は新しい技術が次々と出てきて変化の速い業界であるため、ガイドラインがどう追いついていくか、省庁的なドキュメンテーションの方法と、速度が速く変わっていくデジタルの領域をどう共存させるかが次の課題。
  • ガイドラインができた後、どう使ってもらうか、どう理解してもらうかという点が次に重要になる。また、どこまでやるかという点についてはせめぎあいになると思っており、「ここまでやれば良くて、あとはやらなくて良い」となってしまうともったいないので、もう一歩踏み込めるような形で使ってもらえるものとなるように議論できると良い。
  • ガイドラインが実際に活用され、良いものができた、または、良いものができなかったのでガイドラインを改定していくというスタート地点に立った状態であり、これからがより大事になる。
  • 分量やどこに何が書いてあるかについて、生産性を維持し効率化するためにAI等のデジタルテクノロジーを活用せざるを得ない。多方面において人間とAIが協働するデジタル的な働き方をデジタル庁がデザインし、各省庁や社会に発表すると先進的になると思う。
  • PDFだけでなく、AI等も含めて活用できるデータ形式でまとめること、研修と合わせて運用方法を見ていくことが大事。
  • 来期の対象であるサービスデザインについて、行政×デザイン、政策自体のデザイン、デジタル以外を含むか否か等、範囲が広すぎると具体的なガイドラインに落とし込むのが難しいため、デジタル庁としてどこを切り取って進めていくかが重要。絶対的に正しいものはなく、デジタル庁としてのサービスデザインの範囲を決めていければ良い。
  • サービスデザインという言葉は、地域やマーケットで使われ方に特性がある。デジタル庁としての範囲とその外側にどういったことがあるかを議論できると、日本の行政においてデザインの活用が進んでいくと思う。
  • 品質管理と組織戦略の話は、デジタル庁の今の状況からはみ出た内容となる可能性が高い。その際に根幹となる思想・哲学等が重要になってくるため、そのあたりを固めながら、はみ出たとしても曲げない骨格を持って進められれば良い。
  • 利用時品質について、使用することによる品質という観点で、民間企業の方にも大事なことだと感じてもらえるのではないかと思う。
  • 本ガイドラインは、多様な利用者が平等にサービスを享受できる社会の実現を目指した意欲的な試みが含まれている。アクセシビリティの向上は、全ての人にとって使いやすいサービスの基盤を築く重要な取り組みであり、多様なメンバーによる継続的な議論と意見交換によって、より実効性のあるものになる。引き続き多様な視点を交えた議論が深まることを期待している。
  • 初期段階において多様な利用者の意見収集が必要という意見について、CIFの利用状況記述書では、多様なユーザーグループがどの様に使うかを記述するという内容があるため、本ガイドラインに上手く取り込めると良い。
  • 様々なバックグランドの方から意見を聞ける進行となっており良かった。検討会で出た意見について想像以上に反映されており、非常に画期的な取り組みだと思う。
  • 第2回サービスデザイン関連ガイドライン改訂に係る検討会の資料の中で、デジタル庁の中にエキスパートの方がおり、相談のしやすさを重視しているといった考え方や体制について知ることができて参考になった。その詳細をもっと知りたい。