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第5回デジタル社会構想会議

概要

  • 日時:令和4年(2022年)5月17日(火)15時00分から16時30分まで
  • 場所:オンライン開催 ※非公開
  • 議事次第:
    1. 開会
    2. 議事
      1. デジタル社会の実現に向けた重点計画の改定(案)について
      2. 重点計画改定に向けた国民からの意見募集について(結果報告)
    3. 閉会

資料

※閣議決定文書につきましては、デジタル社会の実現に向けた重点計画からご確認ください。

議事録

事務局: 定刻となりましたので、ただいまから「デジタル社会構想会議」を開催いたします。

冒頭、事務局からお知らせを申し上げます。

本日の会議はオンラインにて開催をさせていただきます。

また、今日の会議は会議運営要領に基づき、村井座長に御確認を賜りまして非公開の形式で開催をいたします。なお、議事録につきましては、本日御議論いただく重点計画の閣議決定後に公開されますので御留意をよろしくお願いいたします。

それでは、村井座長、よろしくお願いいたします。

村井座長: 皆さん、こんにちは。座長を務めております村井です。よろしくお願いいたします。

本日はお忙しい中、御参加いただきましてありがとうございます。

今、お話がありましたように、本日は、重点計画の閣議決定に向けた最終的な会議にできればということでございます。よろしくお願いいたします。

本日の会合は、私を含めまして10名の構成員が出席予定と聞いておりまして、池田構成員と三木谷構成員の2名が欠席と伺っています。村岡構成員は途中退席の御予定と伺っております。よろしくお願いします。

デジタル庁からは牧島大臣、小林副大臣、山田大臣政務官に出席をいただいております。

それでは、まず初めに、牧島デジタル大臣から御挨拶をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

牧島デジタル大臣: よろしくお願いいたします。

本日もお忙しい中、デジタル社会構想会議に御参加いただきまして、また、村井座長、進行いただきまして、構成員の皆様方、本当にありがとうございます。感謝申し上げます。

前回の会議でも申し上げたとおり、これまで本会議において御議論いただいてきたデジタル社会の実現に向けた重点計画について、必要な施策を速やかに取り込み、例年、多くの政府の計画が取りまとめられています夏のタイミング、これが通常のスケジュールでございますので、そのタイミングでアップデートを行っていきたいというように思っております。

私、この大型連休、ゴールデンウイーク、そして、その後も少し使わせていただいて、エストニア、フィンランド、ドイツを訪問いたしました。

デジタル庁ができて初めての外遊ということだったのですけれども、エストニアではデジタル庁として2か国目となるMOCを締結することができました。

そして、フィンランドではデジタルに関係する4大臣と面談をしております。

ドイツではG7デジタル大臣会合、ようやく日本もデジタル大臣がデジタル大臣会合に参加できるようになりました。各国の大臣とお話ししますと、デジタル社会の期待とか課題はやはり各国共通なものがあるのではないかというように私としては実感しています。国際的な視野を常に意識しながら、我が国のデジタル施策に取り組むことの重要性も改めて認識しています。

また、各国からデジタル庁の取組についても高い関心が示されています。デジタル庁のような組織を今後つくっていかなくてはいけないという国や、同じようなものがあるのだけれども、その課題をクリアするために日本が何歩か先へ行っているところをぜひ教えてほしいといったようなこともありました。特に重点計画に関してですけれども、毎年重点計画、工程表を作成している。これは日本の、そして、デジタル庁の仕事が丁寧だと高く評価するお声もありました。これも皆様の御指導のたまものでございますので、御礼申し上げます。

本日の会合でお示しする重点計画案について御議論いただければと思います。本日御議論いただいている内容も踏まえて重点計画をアップデートして、そして、世界に誇るべき我が国のデジタル社会の実現に向けて引き続き忌憚のない御意見をいただきながら、しかるべくタイミングで発表していきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。ありがとうございます。

村井座長: 牧島大臣、ありがとうございました。

それでは、早速、議事に入りたいと思います。

まず議事の(1)と(2)ということで、事務局から説明をお願いいたします。

事務局: 事務局でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

まず冒頭、先週、村井座長御主催の事前レクに御参画いただきましてありがとうございました。その場で出た意見につきましては、重点計画での記載ぶりにつきまして対応表にいたしまして、各委員の皆様にお送りさせていただいて御確認いただいたと承知いたしております。それも加味いたしまして資料1-1という形で整理させていただいておりますので、資料1-1に基づきまして御説明をさせていただきます。

まず最初でございますけれども、事前にお送りしていますので、かいつまんで御説明させていただきたいと思います。

まずデジタル化の進捗を図る基本的な指標のところでございますけれども、先般出た御意見も踏まえまして6つの目指すべき社会がどのくらい進捗したのかをはじめ、また、国民や民間企業の満足度や利用率などを設定するということで記載させていただいております。

続きまして、安全保障の課題でございますけれども、安全保障の課題へと発展していく可能性がある国際情勢の変化とか、あるいは大規模地震災害とか、そういったものに対してデジタル社会の強靭性を確保していくことが課題だと認識して取組を推進するというような記載にさせていただいております。

次のページ、お願いいたします。

いわゆるWeb3.0等新技術を踏まえた施策の研究につきましてですけれども、上の段でございますが、新しく項目を立てさせていただいております。こちらのほうで後段のほうになりますけれども、諸般の状況の課題認識、状況認識を書かせていただきつつ、①から以下やることということで調査研究、課題の把握、利用環境の整備等につきまして行うということを記載させていただいております。

次のページ、お願いいたします。

誰一人取り残されない社会、これもデジタル庁のミッションでありますけれども、ここにつきましてもサービスデザイン体制の確立ということで、具体的に様々な障害の種類・程度に応じた端末機器等の開発ですとか、デジタル推進委員の制度化、さらに対象を段階的に拡大していくといったことを記載させていただいております。

次、お願いいたします。

いわゆるデジタル臨調でございますけれども、こちらのほうも議論を進めておりまして、一括的な規制の見直しプランを策定いたします。本文のほうには記載を詳しく書かせていただいておりますけれども、(2)デジタル原則の徹底等、あと地方公共団体の取組の支援とか、そこの枠組みにつきまして記載をさせていただいております。

続きまして、デジタル田園都市の関係でございます。まず地方の関係ということで、上のほうにございますけれども、上の枠の一番下ですが、まさにこういった取組が地域コミュニティの力を引き出すという、地域の自立を促すという取組になるのだということも記載させていただいております。また、デジタル田園都市国家構想、こちらのほうは別の会議のほう、基本方針を策定いたしますので、そこに入っていく内容につきまして私どもでも書かせていただきたいと思っております。

続きまして、6ページでございます。

国家戦略の関係では、先ほど大臣もお話がございました二国間の取組の推進をいたしておりますので、その関係の記載ですとか、来年のG7に向けての記載を書かせていただいております。

また、下段のほうでは包括的データ戦略の関係でトラストの関係の記載を書かせていただいております。

次のページ、お願いいたします。7ページでございます。

こちらのほうは、いわゆるマイナンバーワーキンググループにおける議論が続きますけれども、まずトータルデザインということで、国民に対する行政サービスにつきまして住民向けのプッシュ型サービスの実現など、利便性の高いデジタルサービスの実現に向けた取組について記述をさせていただいております。

下のほうにポツ、ポツ、ポツとありますけれども、「検討に当たって」の以下のところで、例えば個人に関する情報が更新された際に、最新の当該情報を必要とする機関に対し更新情報を通知でき、提供できるようにする。いわゆるリアルタイムで行政機関間でも更新されるということと、それから、自治体内の住民情報の活用をまず進めていくということ。

それから、次のポツでありますけれども、本人が起点となって自らの情報をデジタルで活用できる仕組みということで、本人を介した情報の活用といったことを打ち出しております。

次のページ、お願いいたします。8ページでございます。

こちらのほうは、同じマイナンバーワーキンググループの議論でトータルデザインと併せまして、マイナンバー制度のほうの見直しにつきましても提案させていただいております。現行制度、年金、社会保障とございますけれども、こちらにマイナンバーの利用を徹底するということに加えまして、中ほどの5つ目ぐらいのポツにありますが、社会保障制度や税制以外のいわゆる3分野以外における国家資格等のデジタル化等、ニーズが高いものにつきましてユーザーに役立つということで、ここでは教員や行政書士といったことを書かせていただいておりますが、そういった資格等に対する事務につきましてもマイナンバーを対象にしていくということで、いわゆる3分野から拡大なども書かせていただいているところでございます。

続きまして、9ページでございます。

こちらのほうはカードの在り方です。先般も御議論ございましたカードの在り方につきまして、普及促進を徹底的に図るということに加えまして「また」以下でございますけれども、新たな暗号アルゴリズムへの対応ですとか、利便性向上策などを含め、次期マイナンバーカードの在り方について検討するというように書かせていただいております。

また、下段ではVisit Japan Webというアプリにつきまして追加の機能を提供いたしますので、それについて書かせていただいております。

続きまして、10ページでございます。

いわゆる準公共分野でございますけれども、10ページにつきましては、健康・医療・介護などのPHR、パーソナルヘルスレコードに関する記載、それから、下の段におきましては教育データの利活用の促進とそれに必要な環境整備について書かせていただいております。

11ページでございます。

11ページは、いわゆる防災の関係でございますけれども、情報の収集、人に伝える伝達手段、それから、情報について民間事業者との支援に関する情報も共有していくのだといったことも記載させていただいております。

また、物資調達・輸送調達等支援システムの高度化などについても記載させていただいております。

次のページをお願いいたします。

12ページは子供の関係でございます。いわゆる子供につきまして、困難を抱える子供のためのデータ連携につきまして、プッシュ型の支援に活用する際の課題などを検証する等、記載をさせていただいております。

13ページでございます。

規制改革につきましては、現在、規制改革推進会議で取りまとめが行われると承知しておりますので、取りまとめを踏まえてしっかりと実施していくということを書かせていただいております。

また、下段におきましては、キャッシュレス法を本通常国会で成立させていただきましたので、それを踏まえて、いわゆる各省でばらばらとやるのではなくて、システムの在り方もしっかりと考える等の記載をさせていただいております。

続きまして、14ページでございます。

14ページでございますけれども、いわゆるデジタル基盤となりますクラウドサービス、令和5年度以降、各省庁の情報システムにつきまして順次、ガバメントクラウドに移行していくということ。

それから、下段につきましては、登記の正確性等につきまして記載をさせていただいております。

15ページでございます。

15ページは、まず裁判関連手続のデジタル化につきまして書かせていただいておりますし、あとデジタル社会、地方のシステム標準化につきましてしっかり進めていく旨、書かせていただいております。

16ページでございます。

16ページにつきましては、デジタル化を支えるインフラの整備として光ファイバや5G、データセンター、海底ケーブル、これらの整備方針について取りまとめの記載をさせていただいております。

続きまして、17ページでございます。

デジタル人材の関係でございます。デジタル社会を担う人材につきまして、女性デジタル人材育成プランがございますので、そちらのほうに基づいて記載をさせていただいております。

資料1-1に基づきまして簡便に御説明させていただきましたが、資料1-2、資料1-3、概要とか本体もございますので、適宜御参照いただきながら御議論いただければと思っております。

続きまして、資料2でございます。

資料2は前回、国民にも意見を求めますというように申し上げさせていただきまして、それを実施させていただきました。

まず1ページ目でございます。

デジタル庁アイデアボックスを活用いたしまして、4月15日から5月5日までの募集を行いました。事前に設けた3つの設問に対して、合計約200件の意見をいただきました。以下、御紹介させていただきます。

2ページ目をお願いします。

誰一人取り残されないデジタル社会の実現についてでございます。子供やお年寄り、障害者などを含め、SNSやインターネット上での被害に遭わないような安全性の確保に関する意見や、生活保護受給者への直接入金などの意見をいただきました。

3ページ目です。

スタートアップ企業の創出・成長についてでございます。ITエンジニアなどの人材逼迫がないよう、女性エンジニアや異業種からの転身、大学段階の育成などへの取組を進めることへの意見や、会社設立登記手続の簡素化に関する意見をいただきました。

4ページ目でございます。

そのほか、豊かなデジタル社会の実現に向けた全般的な意見といたしまして、役所のFAX主義の打破や世に広く意見を募集する仕組みの検討、要望、学校の紙文化を打破し、企業のようなDXを進めるべきとの要望を幅広くいただきました。

次のページ、お願いいたします。

これらの意見につきましては、真ん中にございますように本日お示ししております次期重点計画案に記載した各パートの拡充に活用させていただきました。また、今回の御意見に関連しまして、前回、夏野構成員から御提案がございましたけれども、まず主要な意見に対しまして回答した旨、その回答の内容等を含めまして公表いたしますとともに、それのお礼とそれを公表した旨をそれぞれの方にコメントとして返したいと思っております。

以上でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

村井座長: ありがとうございました。

それでは、今、御説明いただきました次期重点計画に関しまして、皆さんからの御意見を伺って議論に移りたいと思いますけれども、本日御欠席の池田構成員からは資料3ということで御意見をいただいております。もちろん、事前にこの御意見も含めまして、今、御説明あったように、この重点計画の中に反映をしていただくというプロセスは既に進められているということでございます。

それでは、皆様から御意見を伺いたいと思いますので、挙手のボタンでいいですか。それかチャットで言っていただいてもいいと思いますけれども、私の気がつくように少し補佐をしていただきますが、よろしくお願いいたします。

村岡構成員は途中で御退席と伺っているので、もしよろしければ先に御発言いただければと思います。よろしくお願いします。

村岡構成員: 山口県知事の村岡でございます。

御配慮いただきましてありがとうございます。それでは、最初に発言をさせていただきます。

まず、牧島大臣、小林副大臣はじめデジタル庁の皆様には、本案の取りまとめ、大変御尽力をいただきまして感謝を申し上げます。

前回の会議で、地方の立場から、特に全国の各知事の強い要望がある部分について発言をさせていただきましたけれども、その内容について今回、計画案にも反映をいただいておりまして、この計画案の方向性には賛同させていただきたいと思います。今後、これを実効あるものとしていくこと、特にデジタル田園都市国家構想が目指す地方の活性化と地方からのボトムアップの成長の実現、こうしたことにつなげていくということに向けて4点ほど意見を述べさせていただきたいと思います。

まず1つ目は、デジタル人材の確保、育成についてです。前回、地方でのデジタル人材の不足、それから、都市部への偏在が大きな課題ですということを申し上げました。これにつきましては、今回頂いている中の34ページにデジタル人材の確保について挙げられていまして、デジタル人材の不足に対して全ての労働人口がデジタルリテラシーを身につけていくこと等が重要である。そうした環境整備を整えていくということ。それから、デジタル推進人材ということで、2026年度までに230万人の育成を目指すということも示されています。

それから、都市部の偏在の解消については、デジタル人材地域還流戦略パッケージ、これに基づいて人材の地域への還流を促進していくということが盛り込まれておりまして、こうした人材不足の解消と併せて地方への人の流れをつくる取組も示していただいていることに大変感謝しております。

地方のデジタル人材不足は、これは官民問わずに喫緊の課題でありますので、今後、こうした取組の具体化を早期に進めていただいて、地方で人材が育ち、また、都市部から人材の還流が図られるようにぜひ実行に移していただきたいと思いますので申し上げます。

2点目は、同じくデジタル田園都市国家構想に関連して、構想実現に向けた地域ビジョンの提示、これは35ページに書いています。その中で、スマートシティ、スーパーシティですとか「デジ活」中山間地域といった地域ビジョンの類型が示された上で、類型ごとに活用可能な支援メニューを分かりやすく提示をして地方の自主的な取組を一層促していくということが示されています。これも前回の会議で申し上げましたが、地方でデジタル実装を進めるためには、それぞれ地域、実情が違いますので、実情に即した効果的な取組を行っていくということが重要だと思います。そのための支援制度については、自由度が高くて地方が取り組みやすいものとなるように見直しも含めて充実を図ってほしい。これも各県から要望が多いところでありますので、こうした観点から支援制度を検討していただきますように引き続きお願いをしたいと思います。

それから、3点目は、地域のIT企業育成に向けた調達制度の改善であります。これは105ページに政府調達デジタル化の在り方という中で、自治体のシステムの調達についてもスタートアップ等の参入促進による担い手の拡大や調達の迅速化等に向けてデジタルマーケットプレイスを含めた施策の検討を進めるということが盛り込まれました。地域ニーズは多様化をしている中で、これに対応したサービスを提供するためのアプリ開発等をアジャイルな手法でスピード感を持って進めていくためには、そうした技術を有するスタートアップ等の連携が効果的でありますので、お示しのマーケットプレイスの導入等が、地方の取組において、スタートアップ等が開発した優れた技術の導入につながることを期待しています。

また、地方のほうにも高い技術を有するIT企業があります。そうした企業の成長が地域の活性化へもつながっていきますので、こうした取組に地域のIT企業が参画をできて、そして、その受注機会の拡大にもつながるような形で進めていただきたいと思います。

それから、最後、4点目ですけれども、インフラ整備の関係です。これは129ページに光ファイバ、5G等に関する具体的な施策と掲げられております。

まず光ファイバは、2027年度末までに世帯カバー率を99.9%まで引き上げる。ブロードバンドサービスに係る新たな交付金制度の創設を目指すというようにされています。しかしながら、前回も申し上げましたけれども、離島ですとか山間地、非常に条件が厳しい地域が残されていますので、こうした地域での整備を速やかに実施するためには、これまで以上の手厚い支援が必要であります。補助制度の拡充、また、ユニバーサルサービス制度の早期の実現について改めてお願いをしたいと思います。

そして、5Gについても2030年度末までに全国、各都道府県での人口カバー率99%を目指すとされていますが、こちらも現在、都市部を中心に整備が進められていて地方のほうは遅れている状況にあります。計画案においては、地理的に条件が不利な地域へはインフラシェアリングの活用も含めた支援等に取り組むということが示されています。大変期待をしておりますけれども、これを進めていくために国のほうのリーダーシップが重要になると思いますので、整備目標達成のためにも国の主導的な取組についてお願いしたいと思います。

最後に、計画案につきましては、現在、全国知事会をはじめとした地方団体への意見照会が行われているところです。知事会として各県からの意見を集約して回答していくことにしております。我が国のデジタル社会の実現に向けて、次期計画に基づく施策展開、これをぜひ国と地方が一体となって進めて実効ある取組を進めていく必要があると思いますので、本日お話しさせていただいたことも含めまして地方の声を引き続き積極的に取り入れていただきますようにお願いをいたします。

私からは以上です。

村井座長: どうもありがとうございました。

それでは、引き続きまして、國領構成員、お願いいたします。

國領構成員: まずは、この大変なお取りまとめに心から敬意を表したいと思います。このような努力を続けること、非常に重要だと思っております。

先日、事前レクのところでは説明させていただいたのですが、今日は政務もいらっしゃるということで御理解いただきたくて発言させていただきます。

資料1-3の①の本体の50ページの冒頭のところに「さまざまな行政サービスに関する情報を利用者のニーズに合わせて一覧的に提供するためのデータ標準化・体系化や識別番号の付与について、海外の事例や民間における成果も参照しつつ検討する」というように書いていただいて、このことに非常に大きな意義を感じております。

現在の行政サービスの提供体制を小売の流通業に例えて言うならば、顧客IDだけがあって商品識別用のJANコードがなかった頃のスーパーマーケットのような状態で、供給者目線で振られた予算コードや法令番号などはあるのですけれども、消費者目線で、言わばメーカー横断的に、提供者横断的に整理された商品メニューやIDがないために利用者目線での行政サービスのアグリゲーションができないという状態になっていまして、手打ちのキャッシュレジをやっていた昭和40年代のスーパーマーケットみたいなものだと思っているのですが、効率が悪いだけではなくて行政が供給者論理の縦割りになってしまったり、国と自治体サービスを一体的に運用したりするということができない大きな原因になっていると感じております。

ということで、ここを今から文章を直すのは大変なのかもしれませんけれども、これは行政のDXには必須のものだと思っておりますので、現在、付与について海外事例や民間における成果も参照しつつ検討するというように書いてあるのですが、もう一歩踏み込んで、付与に向けて海外の事例や民間における成果も参照しつつ検討するというような表現にもう少しでもいいので踏み込んでいただけると、世の中、前に進むのではないかと思います。これをやることによって官民連携によるシステム構築であるとか国民視点によるエビデンスベースの行政評価というようなことも可能になっていくのではないかと思います。

あともう一点、資料1-2の概要のシートなのですけれども、ここに臨調が提案してくださった5原則が、デジタル臨調の5原則は私、非常にいいと思っておりまして、一応そういうものが存在することだけは触れていただいていますし、ひょっとすると管轄が違って表に出しにくいのかもしれませんが、世の中に説明していくに当たっては、あの5原則とこの重点計画がまさに一体としてやっているものだ。本文のほうにはそう書いてあるのですよね。なので、その辺の一体感を出しながら説明していただけるとよろしいのではないかと思いました。

以上です。

村井座長: ありがとうございました。

それでは、野田構成員、お願いいたします。

野田構成員: ありがとうございます。

大部にわたる計画の作成、ありがとうございました。本当に事務局の方、大変な作業だったと思います。感謝いたします。また、先般の事前レクで指摘をさせていただいた点につきましても丁寧に御対応いただきましてありがとうございます。

1点目のデジタルによる目指す社会の姿の、地域コミュニティの力を引き出し、地域の自立を促すための取組を推進する、という形で入れていただきました。デジタルが、地域コミュニティの力、市民力を引き出すためのツールであるということを明確に位置づけるということは大変重要だと考えており、だからこそ地方にインフラをきちんと整備して人材を育成していくことの重要性が理解されるのではないかと思っています。

それから、もう一つ、6つの重点計画の進捗に関する指標についても書き加えていただきました。作っていただいた重要な計画ですので、これをどうやって実行していくかが何よりも重要です。しかしながら、デジタル庁だけでは当然ながらすべての計画を進めることはできませんので、各省庁、自治体、それぞれのステークホルダーが協力、努力をしていくことが不可欠です。デジタル庁は司令塔として、何がどこまで進んだのか、進んでいなければ何が原因なのか、ということを分かりやすく国民に開示をしていただき、そしてまたみんなが協力をして進めていく。そういうサイクルをきちんと回す役割を担っていただくということが大変重要だと思うのです。

開示する際には、分かりやすさ、すなわちシンプルである、ということがとても重要です。民間企業ではダッシュボードを作って経営の進捗管理をしていますけれども、うまくいっていれば緑、要注意であれば黄色、進んでいなければ赤とか、分かりやすく信号の、赤、黄色、緑を使って示し、何がどこまで進んでいるのか、何が原因なのかということをシンプルに分かりやすく見える化しています。関わっている全員が、何が課題なのか、どこまで達成できたのか、何が必要かということを一緒になって考える、そういうベースとしてダッシュボードは非常に有効だと思います。

冒頭、牧島大臣から、日本のデジタルの取組は海外から見ても実はすばらしい、一生懸命やっているというお話がございましたが、国際発信という観点からも、ダッシュボード的な分かりやすい指標を、ビジュアル化した形で見せることによって、海外から見ても日本はうまくいっている、ここまで進んでいるということがより理解されるようになると思います。

特に昨年9月のデジタル庁が発足をしたスタート地点から、いろいろなことが進んでいるということを見える化して国際発信することが日本として大変重要ですので、ぜひ検討いただければと思います。

以上です。ありがとうございました。

村井座長: ありがとうございました。

それでは、太田構成員、お願いいたします。

太田構成員: ありがとうございます。

3点、大きな方針はもうこれでいいと思うのですけれども、2つは深掘りの検討をこの重点計画を発表した後にやったほうがいいかなというように思っていまして、マイナンバーのワーキングでもちょっと発言したのですが、デジタルセーフティーネットはすごくいい政策だと思うのですが、ワーキングで申し上げたように所得等国民の状況が分からないとプッシュ型というのはできないので、代表的なものは所得の情報だと思うのですが、今、すごく古い情報しかやはり行政は持ってないので、月次レベルの所得情報、だから、これもギグワーカーの方も含めてどうやって取っていくのか。これはあの場でも申し上げたとおり、人事給与システムとか民間でサービスしているところとやはり連携しないと、もちろん前提としては本人同意というのは前提ですけれども、取れませんので、そこの検討というのを至急始めるということを打ち出していただくのが非常に大事かなと。これは本当に大きなインフラの整備になりますので、やはりもう間髪入れず検討を着手されたほうがいいかなというように思います。それが1つです。

2つ目は、マイナンバーカードが今後どんどん普及していくということで、ここでも書かれているのですけれども、eKYCの実態、現状ですね。デジタルの本人確認、eKYCの現状と今後どうなっていくのかというところがあまりよく分からないですよね。これは2年ぐらい前に経産省で多分NEDOと一緒にeKYCの小さな検討会はあったのですけれども、多分あえてだと思うのですが、マイナンバーカードには触れずに検討するという割と中途半端な検討になっていたのです。

いい話としては、最近、LINEとかメルカリさんでマイナンバーカードをeKYCに使うというようなこともどんどん広がっていて、やはりちゃんと本人確認をして行政ももちろん民間のサービスも使っていくということが増えてきて、その中で改めて国際的にもやはりセキュアエレメントを積んだ今はカードですが、将来的には2年ぐらいすると携帯電話にもスマホにも内蔵された本人確認が使えるということで、どういう将来像を描いていくのか、それもちゃんと検討していただくと、今、すごく面白いロードマップが出せるのではないかなと思うので、やはりeKYCはデジタル庁が音頭を取って、民間も巻き込んで検討いただくのがいいのかなというように思って、それも立ち上げるというようなことを盛り込んでいただくといいかなというように思っているのが2点目です。

3点目は、ちょっとこれは性質が違う話なのですけれども、デジタルの社会というときに人間の話しか書いてないというところなのですが、これはたしか1年ぐらい前にソニーコンピュータサイエンス研究所の北野さんが多分データタスクフォースか何かでおっしゃっていたと思うのですが、やはり生物多様性というのが人間にとってもとても大事だということは今、いろいろなエビデンスが出てきていますし、今年の1月にはWorld Economic Forumでバイオダイバーシティ、シティは都市ですね。Cityというように変えたプロジェクトが始まっていますが、やはり生物多様性というのをどういうようにつくっていくのかというのはとても大きな社会のアジェンダで、そこにやはりデジタルがどんどん活用されているというところはあります。

具体的なところでいうとベース・レジストリだと思うのですけれども、大臣も行かれた北欧なんかは生物多様性のベース・レジストリがすごく充実しているのですね。ただ、やはり日本だとあまり状況がよく分からなくて、何となく山も荒れているし、田んぼも放置されてやぶになっていて、あまり自然がいい状態でない中で我々、デジタル田園都市と言っているわけなのですけれども、基礎的な情報がないのですよ。もう本当にばらばらと農水省がやっているとか環境省がやっているとかというのがあるので、やはり生物多様性が非常に大事であって、デジタルが非常に役に立つ。これはアイコンストラクションの中でやっているグリーンインフラなんかはもう非常にいい例だと思うのですけれども、やはり点群データとかデータがあまりないのですよね。

ですので、ベース・レジストリという項目の中でやはり生物多様性みたいなものをウエルビーイングというのも含めてやっていく。そのときに非常にデジタルが大事なのだというところはちょっと将来の検討になるかもしれませんけれども、何か着手できるような、そういうきっかけが今回の重点計画で出てくると、これもWorld Economic Forumで出てきているので非常に才能とお金が集まる領域になっているのは間違いないので、そこは出てくるといいなというように思いました。

以上です。

村井座長: ありがとうございました。

それでは、越塚構成員、お願いいたします。

越塚構成員: ありがとうございます。

この前、急遽、事前レクに出られなくて申し訳なく思っていますけれども、そういうこともあって5点ぐらい少し意見を申し上げさせていただきたいと思います。

ここまで、皆さんもおっしゃっていますけれども、非常に膨大な取りまとめ、デジタルの分野はこんなに膨大なのだなというのを改めて感じるぐらいの取りまとめ、本当にありがとうございます。趣旨に関してはもう全面的に賛同いたしますし、どこか修正したらいいとかということは特にございませんが、特にこういうところ、非常に私は重要だと思うということを幾つか、特にデータのいろいろ取り組んでいる立場から申し上げさせていただきたいと思います。

この膨大な中でもデータ連携ということがかなりあらゆるところに書かれていて、数を数えたら実は60か所ぐらいありまして、あらゆるところにあって、データを連携する取組自体が連携するのかなというところは非常に大きく課題に感じていまして、そういうデータ連携に関してのシナジーを持った取組というのは非常に期待したいところでございます。

まず1点目なのですけれども、理念のところでDFFTというのが、とても重要だと思います。日本から世界に発信している。デジタルの分野でなかなかこういう理念を出していくのは難しいところがありますけれども、出せている。これが先ほど大臣のお話にもありましたように、来年度、来年G7が日本で開催されるということで、このDFFTの推進はG7においてもぜひ力を入れてやっていただきたいと思いますし、また、これはその2年後の2025年には実は大阪万博もございまして、そこでもスマートシティであったり万博の中のデータ連携も大分検討もされているという中で、こういったことも連携して世界アピールできるのではないかなと思います。ぜひこのDFFT、前面に出していっていただきたいなと思います。

2番目が46ページ、47ページぐらいの本文のところに書いてあるプラットフォームですけれども、これは私も推進させていただいている分野間のデータ連携基盤、DATA-EXの取組に期待いただいております。これが今年度で基になるSIPの研究事業を終了し、成果がここにも記載のあるDSAに提供されて実稼働に向けた活動も始まります。こちらに関して私どものDSAも全力を尽くして実稼働に向けて取り組みますけれども、ぜひ様々な方からも積極的な御支援、御協力いただきたいと思います。また、このときに海外や国際的なデータ連携との海外とも連携するということ、非常に重要で、先ほども大臣もエストニアやドイツに行かれて成果を上げられたというお話がありましたが、私どもも今年の取組の成果として既にヨーロッパのGAIA-Xと協定を無事締結することができました。GAIA-XのJapan Hubになりました。

そういったところで、国際連携もこういったデータのところでもどんどん着実に進んでおりますし、今はどちらかというと世界は価値観がどんどん分断する方向に向かっておりますけれども、こういったデジタル、ITの分野に関しては、日本はまさにDFFTという価値観を出しておりますので、データの世界ではこういう世界を包摂するような取組というのが日本から発信して、この分断が進む中ででも包摂できることが提案できるとよいと思います。

3番目がベース・レジストリ、これもとても重要なことだと思っていまして、先ほど御説明した我々の取組はプラットフォームでシステムの話です。その中に入るものがデータですので、これもきちっと整備していくことが大切です。我が国でこれから国難がまた起こらないとは限りませんが、今でもコロナのことがありますし、これからもあるでしょう。そうしたときに個人が特定できない、土地も分からない、建物も分からない、そんな状態だと迅速な対応というのはなかなかできません。これが10年前の東日本大震災や今の新型コロナウイルスの感染症の対応で得られたレッスンだと思います。まさにこれは派手でない非常に地味な活動だと思いますが、やはり非常に重要だと思います。

その中で若干抜けていたなと思うのが、先ほど國領先生がおっしゃられたことでもあるのですけれども、行政サービスのそのもののデータの標準化、体系化です。先ほど國領先生もおっしゃられていましたが、確かにこれは今までのベース・レジストリの中でも入ってなかったと思いますので、私もここは非常に重要だと思いますので、力を入れてやっていただくといいかなと思います。

あと4番目がオープンデータなのですけれども、重点計画の中では、これからこういうことをやります、という内容が多いのです。もう既にこれだけ成果が出ているということを言うと、少し元気がでると思います。このオープンデータも地方自治体に関しては、もう7割。7割というと実は1,200もの自治体がオープンデータを完了した。これは私もやり始めたときは千何百もあると、自治体一個一個交渉して回ったら何年かかるのだと思っていたぐらいの数が、もはやいろいろな、もちろん政府、自治体の皆様、Code forのようなコミュニティの皆様とかオープンデータ伝道師の皆さんの御努力あってやはりここまで広がってきました。実はまだまだ500ぐらい残っているのですけれども、活動を緩めずに頂ければと思います。こうした成果は非常に大きいものだったかなと思います。

あと最後が、これはデータではないのですけれども、スマートシティのところですね。これが今、スマートシティ自体もデータ駆動型でいろいろなところで動いていまして、ただ、これは国に関してはスマートシティ、デジ田の取組があり、また、スーパーシティもあり、国家戦略特区もあり、MaaSもありと、結構いろいろなメニューがございます。ややもすると混乱しがちなので、もちろん政策によって個性もあると思いますけれども、シナジーと個々の特色をきちんと色分けしたような形で分かりやすく進めていただけると良いと思います。デジタルの分野はドッグイヤー的に非常に速く進みますが、こういったものはある意味でまちづくり、都市計画というちょっと我々の今のデジタルの分野とは違う領域にもなっていて、これは時間が非常にかかる分野でもあるので、長期の取組が重要であると思いますし、そういう形で進めていただけるといいなというように思います。

以上です。

村井座長: ありがとうございます。

それでは、若宮構成員、お願いいたします。

若宮構成員: 若宮でございます。

本当に膨大な作業を短期間でありがとうございました。私から申し上げたいこと、まず第1点として、今度、デジタルの日なんかもあるわけですけれども、全国民が当事者である、その意識はもう少し強調してもいいのではないかと思います。なんだデジタル改革か、では、デジタル庁とIT企業、しっかりやれみたいなことを言っている、考えてらっしゃる方があるのですけれども、全国民が当事者であるということをはっきりさせなければいけないと思います。第2点としては前記のためということもあるのですけれども、今、デジタルデビューという全くデジタルに手がついてない人にデジタルをやってもらうということと、それから、もう少し高度なIT人材を育てるということ、その間なのですが、要するに国民全体のITリテラシーの底上げというのをやはりやっていかないといけないのではないかと思います。

例えばよその国の場合なんかでいうと、私たちは大丈夫よ、現役のときにやったからOBになってもできる。日本の定年した方なんかでは必ずしも現役時代にITリテラシーを高めて卒業されてない方もあるので、その辺をやはり企業のOBなんかも含めてこれから全員を底上げしていかなければいけないのではないかと思いました。

それから、3点目なのですけれども、いろいろな施策が出るときに何のためにこれをやるのか。例えば健康保険証の代わりにマイナンバーカードが使える。何のためにそうするのかということがよく分かってない。ですから、どうしても消極的になってしまう。お医者さんも患者が特に希望していないのに積極的にやる気になれない、医者は患者が希望することだったら一生懸命やるのですけれども、患者からそんなのどうでもいいみたいなことを言われてしまうとその気になれない。やはり何のためにこれをやるかということを相当いろいろな形で広報も含めて言っていただくことが必要だと思います。

最後なのですけれども、基本的に公平原理、こういうのは物すごく大事だと思うのですが、それとやはり分かりやすさ。全員、国民の誰もが自分のITリテラシーをバージョンアップできるような、それぞれの段階で何かを分かるというような形で、分かりやすさというのもすごく強調していただけるのが国民目線のほうから見た気持ちです。どうぞよろしくお願いいたします。

以上です。

村井座長: ありがとうございました。

それでは、川邊構成員、お願いいたします。

川邊構成員: ありがとうございます。

先日の事前レクで指摘させていただいた内容がほかの委員の言うように非常に盛り込まれておりますので、私としてはこの重点計画に関しては全面的に本当に支持、後押ししたいなというように思っております。

今日、大臣、副大臣、政務官、いらっしゃっていますので、事前レクで申し上げた内容とちょっと重複的になりますが、申し上げさせていただきたいなというように思います。

大きく言うと2点でございまして、非常に重厚な重点計画になったなというように本当に感服をしております。日本の行政のデジタル化の事始めということなのでこれぐらいの量にどうしてもなってしまうということだとは解釈しておりますけれども、やはりあまりにも広範囲、重厚ですので、1点目は、これを実行する実行体制をきちんとこれから整えていただきたいなというように思います。恐らく優先順位づけや場合分けをされると思いますけれども、優先順位の高いものでデジ庁が自ら、しかも抱えているエンジニアとかを使ってハンズオンでやるようなものと外部に出すもの、民間に委託するもの、あるいは各省庁に託すもの、いろいろあると思いますので、その分類と優先順位を明確に分けて着手されたらいいと思います。

そして、ハンズオンでやるものは一番重要ですので、それで人員が足りなければ、これはもう正々堂々、政府に対してもっと人員をよこせ、雇いたいということを遠慮なくおっしゃっていただくのがいいのではないかなというように思います。

また、各省庁ですとか各自治体にやってもらうこともたくさんあるというように思いますので、その意味においてはデジタル庁の司令塔としての役割を強化していただきたいなと。短期的には非常に属人的になると思うので重点計画における司令塔としての役割である牧島デジタル大臣のリーダーシップ、ここに期待をしたいというように思います。これが進める上での実行がここから大事になっていくので優先順位をつける体制を整えましょうという大きな指摘の1点です。

大きな指摘の2点目は中身のところでして、これは中身のこと、結局例えばZホールディングスみたいなネット企業がやっていることとあまり変わらないのですよね。ルールを整えて、インフラを整えて、システムを作って、最後、ユーザーに届くサービスレイヤーのことを何かやるということなのですけれども、我々もやってしまいがちなことは、やはりバックエンドとかルールが重要なので、そちらの整備ばかりしていると肝腎のユーザー、ここでいうと住民だったり国民の人たちになるわけですが、その人たちのアテンションが下がってしまって、なかなかいつまでたってもその人たちが体感できないものですから、デジ庁、何やっているのだということになりがちです。

バックエンドやルールを整えるのは物すごく重要なのですけれども、やはり何か幾つか優先順位が高いというか優先順位をつけるべき住民に届くようなサービスというところをピックアップして同時並行的に成果が見えるようにやっていただくことが国民あるいは住民の関心を印象づけるという意味で大事だと思いますので、そういう進行をされたらいいのではないかなと思っています。

その中において、とりわけ私が重要だと思っているのは、やはりマイナンバーカードを基軸にして、あらゆる行政サービスを受けられるようにしていくというようになるべき。民間のサービスで言うところのIDですから、そのIDがもっと普及したりもっと簡便になるべきだと思っていますので、マイナンバーカードの普及とその利用用途の拡大はかなり意識されて成果が見える形でやられたほうがいいのではないかなと思っています。

また、事前レクのときに夏野さんが指摘されていましたけれども、そのIDたるマイナンバーの定期的な更新があって、それが非常に現状でいうと煩雑な可能性が高い。これはせっかく付与したIDを幾らセキュリティ観点とはいえ、ユーザーの更新のやる気をなくさせてしまうようなことになっているというのは民間のサービスだと普通あり得ないことなのですね。ですから、そこは何とか簡便にしていただきたいなと。ベース・レジストリとしてのマイナンバーの意味合いというのはよく理解しているつもりではありますけれども、テクノロジーを使えば対面による信頼性の確保と不正の防止に代わる簡便な更新手続きを実現することができるようになると思います。そういった更新手続きは役所まで行かずとも、位置情報ですとか顔認証ですとかそういったものを使えば実現できるはずですので、ぜひ取り組んでいただければと思っています。

そして、その中身の行政サービスですけれども、このマイナンバーカードがあるからこそ便利に使えるサービスを徹底的に増やしてもらいたいなと。イメージでいうと、今まで全住民に対して画一的な行政サービスを提供していたものがマイナンバー、マイナンバーカードというIDによってワン・ツー・ワンのカスタマイズされた、その人に最適なタイミングで最適な内容の行政サービスが届く「パーソナライズされた行政サービス」。こんなに変わったのだと、オンラインでこんなに私は「パーソナライズされた行政サービス」が受けられるようになったのだということがちょっとずつでいいのでやはり体感していけるのが、その仕組みを整えるのと同時並行的になされていってほしいなと。民間のサービスですと日本のサービサーもそうですけれども、やはりGAFAなんかが中心となってこういったユーザー体験を物すごい磨きながらやっているわけなので、そういった民間のサービスに慣れてしまった住民に対して、いや、行政もやるじゃんというところのレベルまで持っていっていただければなと。

あとは民間のサービサーの活用ですよね。通常の住民サービスにおいて民間のサービサーも協力しています。それに加えてやはり災害が日本の場合は多いので、災害時により広範囲な住民サービスあるいは防災・減災のパーソナライズされた支援を民間のサービサーも協力して住民が受けられるような、そういった民間サービスとの連携、こういったものも同時並行的にどんどん進めていってくれると、先ほど来申し上げているとおり、住民が必要な時に体感しながら、体感しているからこそ行政のデジタル化を支持する、支援するという背景につながっていくと思いますので、くどいようですが、その辺りを意識されながら同時並行的にぜひやっていっていただければなと、そのように思います。

私も私ですとか、あるいは民間のサービサーとして頑張りたいと思いますので、一緒になって日本の行政のデジタル化、引き続き進めていければと思います。どうぞよろしくお願いします。

村井座長: どうもありがとうございました。

それでは、夏野さん、いかがでしょうか。

夏野構成員: もうこんなにたくさん書き込んでいただいて網羅的にもなっていると思うので特に言うことはないのですけれども、やはりマイナンバーカードの使い勝手というものの検証を早くやらないと、本当に5年、10年の更新のときに更新されないのでまた5,000円ずつ何かインセンティブを与えるみたいなことはあり得ないと思うので、早めに。

それから、最初から言っていますけれども、やはりマイナンバーの利用とカードの利用の局面というのをきちんと切り分けてぜひ臨んでいただきたいなと思っています。

以上です。

村井座長: ありがとうございます。

伊藤構成員、いかがでしょうか。

伊藤構成員: 私も随分皆さんの意見に合意なので。以前も言ったと思うのですけれども、これは結構個人的なバイアスがあるのですが、Web3という言葉をなるべく使って守っていきたいと思います。Web3が一番横断的な、全部を一つの技術に特定しない次のムーブメント、デジ庁と今の日本社会、せっかく総理もWeb3.0という言葉を今回のイギリスのスピーチで言って先進国で一番日本が進んでいるといううわさが流れているところで、何かまたそれが技術的な抽象的な、もしくは各論の言葉に入れ替わってしまうと、せっかくいい国際的なイメージが始まっているところで台なしになるので、できるだけ守っていただきたいと思います。

以上です。

村井座長: ありがとうございます。

それでは、政務の方、小林副大臣、山田大臣政務官、何か今までの議論を聞いてのコメント、あるいは御意見等いただくことはできますでしょうか。

小林デジタル副大臣: 構成員の皆さん、本当にお忙しい中、充実した議論、ありがとうございました。

川邊構成員が配慮をいただいた、デジタル庁が企業だとすると、やはりそこの配慮は難しいというところだと思っています。一般国民に向けて分かりやすいサービスを少しずつ提供しながら本質的なバックエンドをきれいにしていくということが組織戦略上重要であるということは全く御指摘のとおりですが、限られたリソースの中で何ができるかということだと思っています。

御指摘いただいたような例えばダッシュボードについて、それぞれの項目について指標をつくって、それを公開し、進捗を見せながら、ちゃんと進んでいるということを可視化することは結構早めにできて良いのではないかと思っていまして、ここに書き込めるほどまだ組織内で全体オーソライズはできてないのですが、検討準備を進めていますので、そういった形で予見性を提示しつつ進捗を見せながら、期待をしていただけるような組織運営をしていきたいと思っています。

もう一つ、太田構成員からいただいたeKYCのところですね。これはマイナポータルというところにあらゆるものが全て合体して構成されている関係で少し使いづらくなっている部分がありますが、ここは公的個人認証の機能、個人認証機能やその他の機能を少し整理して、官民で使いやすいものにしていくということも今、準備、構想を整理しているところです。そういったところもまだここに書けないのですが、なるべく早く提示をして、民間の方々にも予見性を持たせて一緒に連携できるという姿を見せていけると、デジタル庁に期待もいただきながら民間ビジネスの円滑な発展も誘引できるのではないかと思っております。

いずれにせよ、かなり充実した内容になっているので、これをいかに実現するかは、むしろ組織づくりと組織戦略になってきます。この点は、石倉前デジタル監が組織の立ち上げを担っていただいて、ここから実際に組織を大きくしながら戦略的に動かしていくというタイミングで浅沼新デジタル監となり、次のフェーズに移ったということで、今、浅沼デジタル監にしっかり準備をしていただいていますので、皆さんにもそこを提示しつつ、デジタル庁が前に進んでいると思っていただけるように取り組んでいきます。一緒に作った皆さんが一番の後援会だと思っていますので、ぜひ多くの皆さんにコミュニケーションを取っていただくことをお願いできればと思っています。

そして、山口県知事がいらっしゃるので、特にこれから地方との連携はとても重要になってくると思っています。できれば大臣が登場したり我々も登場しつつも、なるべく積極的に地方とのコミュニケーションの機会を作っていきたいと思っています。その辺りもぜひ御協力いただいて、国と地方が一体でできるということがデジタル庁の一つの意義だと思っていますので、御協力をよろしくお願いします。

村井座長: ありがとうございます。

山田大臣政務官、どうぞ。

山田デジタル大臣政務官: 今回の重点計画、思い起こせば去年の12月24日、閣議決定に至るまでかなり庁内で喧喧諤諤しながら、どういう軸出しをするか相当議論しました。実現のための6つの方針がto be、実現に向けての理念・原則がコンディション、前提要件、条件、基本戦略、基本的な施策がto doです。特に戦略のところは表に出していきたいもの、優先順位が高いものということで、この構造をまとめるのに私も相当腕まくりして現場とやらせていただきました。その成果をこの場で議論していただいていることは大変感慨深いと思っております。当初の内容から何とかまとめ上げた中で肉づけをして、やっと形になってきたということで、本当に皆さんを含めて感謝したいと思います。

そんな中で、現場で話していたのですが、議論し切れなかった点を、私から説明させていただきたいと思います。

一つは、やはりセキュリティ・バイ・デザインはまだ煮詰まってないところがあると思います。セキュリティ技術は今回、量子暗号や分散、秘匿計算など、私の強い思いがあって入れたのですが、やはりセキュリティ・バイ・デザインという形でどうしていくのかというところに関しては、NISCでしっかりやらなければいけないところは残っていると思います。

若宮構成員が指摘したところはもっともでありまして、人材不足は書いているのですが、既存の人材をどうしていくかという再教育ですかね。教育分野であれば、正直なところ一番問題になる可能性があるのは、現場の先生なのではないかと思います。子供たちのほうがよほどデジタルが得意ななかで、いくら教育のDXをやっても昔ながらの授業をしてしまう先生たちがいます。お医者さんにもPHRが不得意だという人たちもいます。防災になるといまだにFAXを使っているところもありますので、ここをどのようにトランスファーするかという点に関しては、今回、しっかり書き切れていません。これはまた次の重点計画までにしっかり皆さんと議論させていただければと思っています。

皆さんから御指摘がありましたベース・レジストリですね。この辺りは、登記や戸籍、住民票の在り方、管理単位が全く非デジタルになっています。そういう意味で、デジタル化も必要なのですが、それ以前の問題をどうするのか、市区町村表記というのもいいかげんですから、緯度・経度で管理するとかそういうことを含めてもう少し詰めるところがあるだろうと現場でも議論してきました。その点について、なかなか施策にならなかったので、しっかり書けていないと思います。

それから、他の分野との連携という点もまだ弱いのです。例えばNICTで防災や量子暗号の研究をかなりやっているのですが、なかなかそういう点を取り込めていません。特に準公共3分野の中で防災分野がすごく弱いという認識がありますので、ここは国民の関心事でもありますし、強化しなければいけない点が残っていると思っています。

最後に、3政務とも話してないので勝手に言いますと、私は白書を作らなければいけないのではないかなと思っておりまして、この重点計画は大綱です。デジタル庁は何をやっているのだ、よく分からないと言われますが、皆さんからも温かい御指摘をいただいたように結構やってきたことはたくさんあります。1年ぐらい経てばしっかりできてくると思いますし、海外と比べて、日本も頑張っているところもあるよねという中で、我々自身の成果というのをいずれ、まだ工数と実力はないのですが、デジタル白書みたいなものを作って、何をやってきたのかということが、しっかりEBPMみたいな形で検証されないと、計画ばかりだとやはり国民には伝わらない部分があると思っています。

そういう意味で、いずれ我々もちゃんと実力をつけてデジタル白書みたいなものを作るべきなのではないかと思っています。現場としていろいろ頑張って議論をしてきており、まだまだ足りない部分も多いですが、認識しているところもありますので、この辺りも深掘りし、これからいろいろと御議論いただければ幸いです。

村井座長: ありがとうございました。

それでは、浅沼新デジタル監、いかがですか。今までの議論を聞いていて。

浅沼デジタル監: 皆様、ありがとうございます。いろいろ御意見をいただきまして、本当に感謝をしております。

この重点計画のまとめに関しましても、デジタル庁、関係者の皆さん、よくまとめていただき、本当に感謝をしております。

次のステップとして、やはり大事なのはこれをどうしっかりと実行して、進捗を国民の皆様に示し、理解をしていただくこと、更に関係者の方々と一緒に進めていくかといったところが大事だというように思っています。その中でダッシュボードに指標をというお話もありました。併せて分かりやすいコミュニケーションも大事だというような御指摘がありましたように、この計画に関わった方々はしっかり読み込むかもしれませんが、一般の国民の方々はこれを全部読み込むということはないので、これが実際に国民の方々にとってどういう生活の変化になるかというところも含めて、今後、コミュニケーションのところを磨いていけると良いと思っています。

デジタル庁の組織という観点におきましても3つぐらいの役割がある、この重点計画に基づいて実行しますといったところと併せて、今後、デジタルのビジョンをちゃんとつくっていく役割と、もう一つは、各省庁の先頭に立ち司令塔となってこの戦略をつくりながらデジタル施策をまとめ上げるといった役割と、最後に、実際に開発を行い、運用するといった役割があるというように思っています。これについても、では、実際どのくらいのリソース、注力をしながら進めていくかというところについては、組織としての戦略を持ち、皆様と共有しながら進め、デジタル庁の役割について共通認識を持っていただけるように今後しっかりまとめていきたいと思っていますので、引き続きどうぞよろしくお願いいたします。

村井座長: ありがとうございました。

取りあえず閉める前にこれだけは言い残したということがあれば伺おうと思いますが、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。

よろしければ、この後ですけれども、通常の政府の会議ですと座長に一任いただいて事務局と取りまとめますという流れですが、これは閣議決定ですので、大臣にお願いして、閣議にて取りまとめていただくということですので、本日のお話、あるいは何か取りこぼしたようなところや気がついたことに関しまして、できることをやってこの閣議決定に向かっていただくということをデジ庁、大臣及び政務の方にお願いするということで閉めさせていただきたいと思います。私もこれまで議論させていただいた中で、どうしても語尾が「検討する」で終わっていると、本当にやるのかといったところに懸念が生じるのではという心配があったのですが、先ほどの國領さんの「向けて」という3文字がするりと入れられるかどうかというのはぜひ検討していただければと思います。

オープンデータの件について、先ほどの県が100%になるというプロセスもよく覚えていますが、やはりだんだん広がっていくものです。ただ、本日の議論に出ていたダッシュボードを含め、野田さんが言ったような評価をずっと続けてオープンにしていくことは非常に重要だと思います。いろいろな人が評価をして、分析をして、提案をしていただけるというのがまさにダッシュボードであり、これはずっと回していかなければいけないのです。特に本日のいろいろな状況の中で指摘されたことというのはまさにこの辺りで、国民とつながっていく、あるいはその次のデータ分析につながっていくというところが大変重要だと思うので、都道府県数が100%になったとしても、その内容に関してやはりいつでも最新で、それがうまく使われなければいけないというところに対して、大変重要な役割があると思いました。

私からはそれを申し上げて、それから、閣議決定に向けた最後の調整をしていただくことを事務局、それから、政務方にお願いをして、重点計画を決定していただきたいと思います。

そうしますと、私のほうの議事の進行は以上でございますので、最後に牧島大臣からのコメントをいただきたいと思います。よろしくお願いします。

牧島デジタル大臣: ありがとうございます。

今日も先生方からより具体的なコメント、そして、デジタル庁全体に対してのエールをいただいたということを心強く思っております。

今日、村井座長から最後、おまとめで御挨拶あったとおり、でき得る限り今日のコメントも含めてさらなるフィードバック、そして、ブラッシュアップ、更新、できるところまでしっかり積み重ねた上で次のステップに入りたいというように考えております。12月24日にデジ庁としては初めての重点計画を出したわけですけれども、スケジュール的にもう世の中、クリスマスと年末に入っていて、とてもいい重点計画だったのにいまいちメディアカバレッジが少なかったというように私は思っているのですね。

なので、デジ庁ができて3か月目でできたのが最初の重点、そして、今回がさらにその後、半年近くたった上でより充実してきたデジ庁の内容を踏まえて、その次のステップに向けて出すのがこの重点ということで、さらにこの重点計画に多くの方が注目をいただいて、そして、国民一人一人が自分事として捉えることができるように、そして、デジタル化が私たちの生活をどういうようによくしてくれるのかという実感につながるようにアピールも行っていきたいというように思いますので、引き続き応援をよろしくお願い申し上げます。ありがとうございます。

村井座長: どうもありがとうございました。

それでは、事務局からの連絡事項、お願いいたします。

事務局: 事務局でございます。

2点、御連絡を申し上げます。

1点目です。本会議の会議資料につきましては、次期重点計画の閣議決定後にデジタル庁のウェブサイトにて公開をいたします。それまでの間は資料の取扱いについて御留意を賜りますよう、よろしくお願いいたします。

また、議事録につきましては、最初に申し上げましたが、明日以降、事務局より内容の確認の御連絡を構成員にさしあげさせていただき、御確認いただいた後、重点計画の決定後、同様に公開をいたします。

2点目です。次回会議につきましては、現時点では未定でございます。次回開催の際は事務局より御連絡をさせていただきます。よろしくお願いします。

以上でございます。

村井座長: ありがとうございました。

それでは、以上をもちまして第5回の「デジタル社会構想会議」を閉会とさせていただきたいと思います。

お忙しい中、大変貴重な御意見をいただきまして参加をしていただきましてありがとうございました。

それでは、以上でございます。どうもありがとうございました。