第9回デジタル社会構想会議
概要
- 日時:令和6年(2024年)4月24日(水)8時00分から9時30分まで
- 場所:オンライン開催
- 議事次第:
- 開会
- 議事
- 「デジタル社会の実現に向けた重点計画」の改定に向けて
- 閉会
会議動画
会議の様子はYouTube(デジタル庁公式チャンネル)にて公開しています。
資料
- 議事次第(PDF/45KB)
- 資料1: 「デジタル社会の実現に向けた重点計画」の改定に向けて(PDF/9,987KB)
- 資料2: 個人情報保護法に関するビジネスの現場からの声(PDF/507KB)
- 資料3: 三木谷構成員提出資料(PDF/626KB)
- 資料4: 村岡構成員提出資料(PDF/140KB)
- 参考資料1: デジタル社会構想会議の開催について(一部改正)(PDF/142KB)
- 議事録(PDF/604KB)(2024年6月5日更新)
議事録
事務局: おはようございます。定刻となりましたので、ただいまから、第9回「デジタル社会構想会議」を開催いたします。
本日の会議はオンラインにて開催いたします。
本日の会議ですが、村井座長ともご相談をして、一般の皆様、プレスの皆様を含めて公開する形で開催することとし、Teamsライブイベントを通じてライブ中継をさせていただきます。
また、本日の資料は、デジタル庁ウェブサイトに既に掲載をしておりますので、中継をご覧になる方は、適宜お手元で見ていただきますと幸いです。
本日は、10名の構成員がオンラインで出席をされております。なお、三木谷構成員及び村岡構成員はご欠席、國領構成員、夏野構成員、若宮構成員は途中退席といただいております。ご欠席の三木谷構成員及び村岡構成員からは、資料を頂いております。また、デジタル庁側からは河野大臣、石川副大臣、土田政務官ほか事務方が出席をさせていただきます。
それでは、村井座長、よろしくお願いいたします。
村井座長: 皆さん、おはようございます。構成員の皆様におかれましては、大変お忙しい中、それから朝早くから参加していただきまして誠にありがとうございます。
座長の村井でございます。よろしくお願いいたします。
本日の場では、議事にあるように「『デジタル社会の推進に向けた重点計画』の策定」ということで、構成員の皆様からご意見を伺う場であります。まず、事務局の方から説明をしていただきまして、それから皆さんの議論に入っていくという次第でいつものように進めてまいります。質問等々はまた挙手のボタンで管理をしていただこうと思っていますので、よろしくお願いいたします。
それでは、早速ですけれども、議事に入りたいと思います。重点計画に関するご説明をいただきたいと思いますが、近々予定されている3年ごとの見直しで個人情報保護法の見直しがあって、これがデータの利用に対しては大変大きな意味を持ちます。そのことに関しまして、事業者などの声の整理をお願いしてありますので、それも併せて事務局から説明をお願いいたします。よろしくお願いいたします。
冨安統括官: 統括官の冨安でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
まず、資料1に基づきましてご説明させていただきます。あらかじめ資料1は昨年の重点計画策定後のデジタル関連の取組ということで若干資料を分厚めにしてお配りしましたが、本日はページを選びまして、ポイントをかいつまんでご説明します。その後、2ページの2ポツで、当構想会議からもいろいろと進捗管理につきまして可視化して進めるべきではないかとのご意見をいただいておりましたので、その取組についてご紹介するとともに、最後に今年度の重点計画の改定に向けてポイントとなるような点につきましてご紹介させていただきまして、委員の皆様のご意見をいろいろといただきたいと思っております。よろしくお願いいたします。
まず、資料1の9ページをお願いいたします。デジタル共通基盤の取組ということで、マイナンバーカードの普及・拡大・促進、それから利活用の拡大を行っております。9900万枚の申請、それから国民に対して79.1%の申請をいただいております。ここには記載しておりませんけれども、まずもって本年12月には厚労省と共に進めています保険証の新たな発行が終了するということで、マイナンバーカードを保険証として使うマイナ保険証の利用を促進しているところでございます。ここに掲げました資料につきましては、ユースケースの拡大ということで、デジタル田園都市交付金を活用した取組を紹介させていただいております。右側から窓口DX、それから電子申請、コンビニ交付、市民ポータル等、各自治体と一緒になりましていろいろユースケースの拡大を図っているところでございます。
続きまして、12ページでございます。民間分野での利用拡大について、エンタメ分野による実証実験ということで民間事業者の協力を得まして実施しているものでございます。簡単にご紹介しますと、いろいろなイベントにおける年齢の確認や、真ん中にございます特設エリアに入場するための確認や、下から2つ目の入山届などといったいろいろな本人確認、年齢確認といったものが必要になるような場面での実証実験をしていただいているところでございます。
続きまして、14ページでございます。真ん中にマイナポータルでマイナンバーカードを使いまして行政機関が持っている自分の情報を表示したり取得したりすることができます。そういったところと電子申請もできますので、マイナポータルでAPIを開放いたしまして、左側の民間のAPI利用事業者が健康医療アプリや障害者手帳アプリというユーザーとの接点を提供いただいており、自らのサービスを組み合わせて利用していただくという取組も拡大させているところでございます。
続きまして、事業者になります。事業者が一つのIDで複数の行政手続で認証できる仕組みとしてGビズIDの普及を進めているところでございます。数字がございますけれども、GビズIDプライム発行数が113万者、それから下のほうにありますけれども、接続システム数でも国・地方、その他で172システムということで、これも普及拡大を進めているところでございます。
また、事業者関連の取組の一つとして、19ページです。これは今回の通常国会に法律改正も提出させていただいておりますけれども、ベース・レジストリの整備ということで、絵にありますけれども、名称や所在地等の登記事項を変更したときに、登記以外にも様々な行政機関に許認可や補助金などを受けている場合には別々に届出が必要でございましたけれども、今後は、登記を一度変更すれば、そのデータがほかの必要な行政機関にも連携ができるということで、今後は、手続が一度のみで済むようなことを目指しているところでございます。
続きまして、デジタルガバメントに係る取組というのを簡単にご紹介させていただきます。23ページでございます。いわゆるガバメントクラウドでございます。左側に「選定したクラウドサービス」ということで、左下さくらのクラウドということで、2025年度末までに要件を満たしていただくことが条件でございますけれども、昨年に追加させていただいてございます。
また、ガバメントクラウドを実際に利用しているところも増えてきておりまして、右側にございますけれども、赤字で小さい字で恐縮ですけれども、システム数でも156、地方公共団体88、国68ということで着実に増やしているところでございます。
続きまして、ガバメントソリューションサービスでございます。ガバメントソリューションサービスは、各府省のLANを統合しまして、重複を排除して新たな府省間ネットワークをつくっていくものでございます。赤枠で現在の状況を示しておりますけれども、徐々に拠点数、ユーザー数を増やしてきておりまして、真ん中のR5年度合計が下に書いていますけれども、1,280拠点、約2万7000ユーザーということでございます。この取組は各府省のLANが更新のタイミングが来るごとにガバメントソリューションサービス(GSS)に統合していただくことを各省とやっておりまして、右側に今後導入準備中の省庁ということで総務省や法務省さん、あるいは国税庁さんが令和6年から7年にかけて準備しているところでございます。
また、下にデジタルマーケットプレイス、これは政府調達を簡易迅速にするものでございますけれども、特にSaaSにつきまして調達を迅速化するということで、中小ベンダー、スタートアップの参入機会の拡大も意図しているものでございます。現在、カタログサイトの実証版を構築しております。下の赤字にございますけれども、現在270事業者、300ソフトウエアが登録されているところでございます。今年度後半以降には、本番のデジタルマーケットプレイスのカタログサイトリリースをしたいと思っていますので、引き続き検証して実際の本番に向けましてこれから検討しているところでございます。
続きまして、地方公共団体の基幹業務システムの統一・標準化でございます。赤線のところにございますけれども、今、工程表に沿いまして進めているところでございます。デジタル庁といたしましては、47都道府県に対して県に1人標準化リエゾンというものを置きまして、丁寧に都道府県とコミュニケーションを取っているところでございます。
また、先般、この20の基幹業務のうち、一つでも移行困難なシステムを有している団体につきましては、総務省、デジタル庁がヒアリングをして移行困難ということで丁寧に対応しているところでございます。数といたしましては171団体になっているところでございます。
それから、デジタルガバメントの自治体に使っていただくいろいろな共通機能をデジタル庁でもいろいろ提供する取組をしているところでございます。30ページでございますけれども、自治体窓口DX「書かないワンストップ窓口」ということで、これはデジタルを使わない人でも、窓口に行っていただきますと、バックヤードで連携することでマイナンバーカードがあればいろいろ書かないでも手続が進むということを目指しているものでございます。現在、窓口DXSaaSにつきまして、ガバクラ上でこれをやっている自治体が17自治体というところでございます。
続きまして、34ページでございます。給付支援サービスというところでございます。これは今般の低所得者向けの給付金等でも利用いただいております。小さい字で恐縮でございますけれども、申請から振り込みまでのプロセスをデジタルで完結させ、迅速・効率的な給付を実現するということで、デジタル庁で給付SaaSをつくりまして、今、自治体に提供しているところでございます。導入実績が赤字でございますけれども、令和5年度で15自治体、令和6年度は172自治体となる見込みでございます。
続きまして、データ関係でございます。38ページ以降になります。
まず、39ページ、昨年末にデータアクションプランを策定させていただきました。左側にデータの品質を確保していく取組ということで3つほど並べております。データの標準化の基本ルールである政府相互運用性フレームワーク、いわゆるGIFを見直して活用に向けた普及を強化する。それから、左側の2つ目が、先ほど申し上げましたベース・レジストリの整備を進める。下の3つ目が、生成AIの活用ということ。
それから右側に参りまして、データをしっかりと使っていく連携、そういったもののツール・仕組みを整備する取組でございますけれども、①といたしまして、公共分野、あるいは準公共分野におけるデータ連携、あるいはデータ連携基盤等の構築を進める。それから真ん中でございますけれども、データ連携に向けた実証を進めるということで、いわゆるデータスペースエコノミーを目指しましてコネクター等のツールを整備するということでございます。それから右下に、IAPと呼んでおりますけれども、いわゆるDFFT具体化のための国際的な枠組みを構築していくということの取組を進めているところでございます。
準公共分野につきまして、若干資料の掲載を紹介します。42ページでございます。医療分野につきましては工程表を策定いたしまして、厚生労働省と共に進めているところでございます。冒頭ご説明したマイナンバーカードと健康保険証の一体化の加速、それから真ん中のほうに、医療機関・薬局間での情報を共有していくのですけれども、その共有、マイナポータルで閲覧可能となる医療情報を拡大していく。それから下のほうに医療機関等のシステム効率化ということで、診療報酬改定DXということで診療報酬の共通算定モジュールを通し、抜本的にモダンシステム化するという取組を工程表に沿って進めているところでございます。
続きまして、準公共分野をあと何点かご紹介いたしますけれども、46ページのいわゆる教育DXサービスマップということで、左にございますけれども、容易に教育分野のデジタルサービスの情報を得られることを目的としたサービスマップ、カタログサイトを構築しているところでございます。R6年3月に有識者やユーザーの意見も踏まえてベータ版を公開しています。
それから、次の47ページでございます。いわゆる学習ログの活用のための実証ということで、鹿児島市でそういった実証事業をしております。ここでは例示を紹介させていただいております。
続きまして、準公共分野の防災でございます。防災につきましても、真ん中の枠の中にありますけれども、関係省庁と連携をしまして、まず住民支援のための防災アプリの開発・利活用の促進と、このアプリもカタログ化していく。それから、これを支えるデータ連携基盤の構築ということで、内閣府防災も一緒に取組を進めているところでございます。
続きまして、51ページ、マイナンバーカードを用いました諸事業をしているところでございます。第1回の結果を紹介させていただきます。①にございますように、避難所入所手続の効率化ということで、マイナンバーカードを用いた入所手続では90.2%の業務削減効果が見られた。
あと、例えば⑥の薬剤情報・医療情報の取得ということで安心感につながるということの回答。実際に今般の能登の地震におきましても、薬剤情報や医療情報の閲覧ということが有効だったということを聞いているところでございます。
続きまして、アナログ規制撤廃に関わる取組ということで、いわゆるデジタル臨調で取り組んでおりましたアナログ規制の見直し1万項目につきまして、2年間の工程表を策定いたしまして、進捗を管理しております。今年の3月、今年の6月にも1,800本ずつまた見直しをしなければいけませんので、現在、各省とアナログ規制の見直しにつきまして取組状況を確認しつつ、1万項目についての見直しを順調に進めているところでございます。
続きまして、大きな2番といたしまして、政策の進捗管理・可視化ということで、59ページをお願いいたします。このプロジェクトの目的といたしましては、関係各省庁や自治体などの関係者全体で分かりやすいデータ情報を可視化・公開することで関係者の政策推進の協力を得る、あるいは全体の進捗の把握や先進的な取組やベストプラクティスを見つけやすくということでさせていただいております。
実際に60ページの右側がデジタル庁のホームページになりますけれども、政策データダッシュボード一覧ということで、ここでマイナンバーカード関係や自治体での子育て等の取組、オンライン化に関するダッシュボードなどがここをクリックしていただきますと見られるようになっております。実際、61ページの政策ダッシュボードということで、いわゆるマイナンバーカード普及状況、健康保険証として利用といったものも見られますし、次のページに行っていただきますと、62ページで各自治体、市町村単位での子育て・介護保険の26手続のオンライン化の取組状況ということで、それを県でまとめて26の取組がオンライン化されている自治体がどれぐらいの割合であるかみたいなことを示したものでございます。例えば濃い青色になっております真ん中の千葉県や山梨県などは100%ということを紹介させていただいております。また、63ページでこれをブレークダウンしていきますと、各自治体ごとにどの手続がオンライン化されているかというのも見えるような取組をさせていただいてございます。
また、64ページは先ほどのアナログ規制の進捗を見える化したものでございます。
続きまして、3番ということで次期重点計画の改定に向けたポイントということでご相談させていただく内容でございます。
66ページをお願いします。重点計画の基本的な考え方といたしましては、これまで我が国がデジタルにより究極的に目指す社会の姿、また、その過程でデジタル社会として目指す6つの姿、これは重点計画をこれまで踏襲してきておりますけれども、今般も有識者の方などにいろいろヒアリングしたりしましたけれども、やはりこの目標は不変なのだろうということでここに掲げさせていただいております。
67ページでございます。現在の更に集中的に対応すべき課題ということで、まず3つ挙げさせていただいています。労働力の不足(リソースの逼迫)、産業競争力の低下、また、災害の多発等に対する持続可能性への脅威ということです。
(2)ということで、「『デジタル化』に対する不安やためらい」です。ご紹介しますけれども、社会のデジタル化をよいと思わないとか、デジタル化に適用できていないと答える声が一定数存在するとか、他国と比べてデジタルツールを使ってみること自体に対して抑制的ということでございます。
数字をご紹介いたしますけれども、68ページでございます。68ページは構想会議の委員の皆様からいろいろ満足度などといったもののデータを取るべきだということで昨年から取り始めているものでございます。そういう意味では、例えば一番右上の「デジタル行政サービスを利用したことのある人の中で満足している人」ということで、これは今29%と書いていますけれども、この29を上げていくことが私たちにとって非常に重要だなと昨年数字を得たときには思ったところでございますけれども、今般の議論に際しましては、例えば左上の「社会のデジタル化を良いと考えている人」ということで、グレーのところの「良いと思わない」という人が12%いらっしゃるとか、あるいは右下の「デジタル行政サービスを今後も利用したい人」というのに対して、利用したくない人というグレーのところが24%いらっしゃるというのが今の実態としてあるということでございます。
それから、69ページですけれども、「他の調査から見えてくる我が国の状況」ということで、これは政府や民間サービスに対する国民の満足度ということでございますけれども、各国と比較しても両者とも非常に低い状況があるということでございます。
続きまして、70ページでございますけれども、これも真ん中に3ポツとありますけれども、「摩擦を許容しとにかくツールを使うか」という問いに対して、10か国平均に対して日本はやはり低いという状況があるということでございます。
また、デジタル化への姿勢に係る民間調査ということで、参考になるかと思って拾ってきたものでございますけれども、まずこれは4つのクラスターに分けておられます。デジタル積極層、中立層、置き去り層、反デジタル層の4つの層に分類するときに影響を与える項目ということで、右側、薄い字で恐縮でございますけれども、年齢などが書かれております。その中で行政に係るものもございまして、行政のオンラインサービスの利用意向や行政オンラインサービスの認知度といったものが影響を与えているというのが実態としてあるということでございます。
次のページでございますけれども、それぞれのクラスターが行政サービスについてどの点が充実すれば使いたいかという質問に対しまして、デジタル積極層の方々はデザインや操作性というものでありますし、置き去り層の方で最も割合が高かったのは、分からないことがあった場合のサポート体制ということでございました。
これも踏まえまして、先ほどのそれぞれの重点課題に対する対応の方向性ということで、2ポツでご紹介させていただきます。まず、デジタル産業基盤の強化、AI・データの徹底した活用、デジタルに係る供給側・需要側双方の産業のモダン化等々でございます。
それから2番目といたしまして、デジタルを活用してそれぞれの課題に対応した持続可能性の強化ということ。それから、ここではデータ連携の推進やデータスペースの構築、国際的な視点を持って官民で協調して取組を強化すること、また、有事に備えたデータ自体の消失等を防ぐリスクマネジメントを強化する必要があるということです。
(3)が、先ほどのデジタルに対する国民の皆様の受け止めを踏まえましてですけれども、デジタル化ということを目指すというよりは、デジタルを活用して課題解決をする。課題解決を通じて結果としてデジタル化が当たり前となるような取組を強化していくという発想の順序なのかなということで整理しております。ここにはそういったことを書かせていただいております。
それから、(4)は先ほどの今後人口が減少していく、あるいは人手不足ということで公共サービスを維持していくためには国・地方デジタル共通基盤の整備・運用という視点を書かせていただいております。
また、(5)で有志国との国際連携ということで、こういった方向性を踏まえまして、具体的な取組ということで何点か74ページ以降でご紹介させていただいております。デジタル共通基盤構築の強化・加速ということでデジタル共通基盤の構築、デジタルID等のデジタル共通基盤を整備していくということで、マイナンバー情報総点検本部で再発防止ということで定められた今後の取組プランを進めていく、あるいは冒頭ご説明しましたマイナンバー利活用シーンの拡充に向けた取組を進めていくということ。それから②といたしまして、インクルーシブなデジタル社会に向けた環境整備をするということ。③といたしまして、デジタル人材をしっかり育成していくということ。
続きまして、75ページでございます。(2)ということでシステム・制度・業務の三位一体での取組ということで、デジタル臨調におきまして、デジタル原則に基づきましてアナログ規制の見直しということで業務・制度の見直しに取り組んでいるところでございまして、こういった取組が非常に重要だと思いますので、こういう制度・業務まで含めてしっかり改革をしつつシステムを構築していくということで、このシステム・制度・業務を一体として捉えて、これらの整合性確保に三位一体で取り組んでいくことが重要かと思っています。新たな政策を立案する場合もそうですし、既存制度につきましてもそういった観点で見直していくということかと思います。まずは準公共分野から順にそういった観点で取り組んでいってはどうかということで、施策例ということで医療機関等と学校、それから出生の話を書かせていただいております。
また、矢羽根の4ポツで、新たに整備される法令のデジタル原則への適合性を確認するデジタル法制審査の強化ということで、今後の新しい政策についても同様ということで書かせていただいております。
続きまして、76ページになります。デジタルガバメントの強化ということで、公共部分のシステムの共通化・モダン化ということでございます。やはり重複投資の排除、それから古いテクノロジーにリソースが貼りつくことを避けるということが重要かと思っております。取組としては中央政府、それから自治体、それから準公共分野の考え方を整理させていただいております。中央政府のところにつきましては、規制のSaaS等の既にあるものを最小限のカスタマイズで活用したり、ガバメントクラウド等の共通利用できる基盤機能等を整備して利用していただくということかと思っています。
また、自治体におきましても、今取り組んでおります基幹業務システム標準化の推進支援は非常に重要でございます。また、国・地方が協力・連携してデジタル基盤の効率的な整備を進めていくということ。
②でSaaSの徹底活用ということで、やはりこれからはつくるより使うということで、民間で活用されている技術の公共分野への適用拡大といったことも非常に重要かと思っております。
続きまして、77ページでございます。データを活用した課題解決と競争力強化ということで、まずデータ流通・連携の強化ということで、社会課題解決のためにデータを利活用していくことに取り組んでいくということで、データスペースの構築やデータスペースの前提となるデータに係るルール等の国際的枠組みにおける検討といったことを書かせていただいております。
それから、防災DXでございます。データ連携を通じまして課題解決するということで、施策例のところでもマイナンバーカードの活用や防災デジタルプラットフォームの構築、アプリの開発・利活用の促進。それから③がトラストでございます。データ利活用の前提としてはトラストの確保が重要ということで、デジタルアイデンティティに関連するユースケースの創出及び国際連携を踏まえた技術標準の形成と書かせていただいております。
続きまして、78ページでございます。重点課題に対応するための重点的な取組のうち、5番目のセキュリティ、それからここでは安心・安全なシステムという意味ではセキュリティの確保が欠かせませんので、施策例にもいろいろ触れさせていただいております。
それから、最先端技術における取組ということで、AIを始めとする最先端技術につきまして、政府全体で徹底的に利用していくということでございます。
続きまして、座長からご指示のございました個人情報保護法の改正の議論をめぐりまして、ビジネスの現場、あるいは事業者の皆様の声を集めるとのご指示がございましたので、整理いたしました。
資料2でございます。簡単に今の個人情報保護法の3年ごと見直しについて、個人情報保護法は改正法の施行後3年ごとに見直すこととする規定がございまして、令和7年度が次期見直し予定時期に当たるとされております。現在、個情委を中心に見直しの検討が進められていると承知しております。法律そのものには、もともと適正な活用に配慮しつつ個人の権利利益を保護するということで、利活用と保護のバランスということがうたわれております。
デジタル庁としても有識者や事業者の意見を聴取させていただきましたので、紹介させていただきます。3ページでございます。まず、個人データの第三者提供等における本人同意を不要とする規定の創設ということで、例えば契約の履行や正当な利益、公共の利益という概念を導入しまして、本人同意への過度の依存を解消したらどうかといった概念は、欧州の個人情報保護の法体系でありますGDPRとも整合するものでございます。例えばこの契約というのはどんなものがあるかということでございますけれども、海外送金をする場合、銀行は顧客からの依頼で海外送金するのですけれども、金融機関側が相手国の制度などについて情報提供した上で同意を得る必要があるのかといった事業者からの指摘があるところでございます。
2番目、統計データの利活用でございます。現行法上、名前を削除した個人に関する情報でございます仮名加工情報は社内分析しか認められておらず、複数の会社のデータを結合して分析することは認められておりませんが、多数のデータの分析が有効なケースがありますので、この仮名データに限って分析する事業者において統計分析及びこれを他社に提供することを可能としてはどうかといったご意見がありました。
それから3番目で、漏えい等報告の対象を真に必要な対象へ限定ということで、個情委の規則では、発生したおそれのあるものが報告対象となっているのですけれども、法律上では個人の権利利益を害するおそれが大きいものとなっていると承知しています。したがいまして、リスクベースのアプローチで真に「個人の権利利益を害するおそれが大きいもの」を対象にしてほしいという声が出されております。
それから、個人に最適な公共サービスを提供するための柔軟な解釈・運用ということで、ベース・レジストリといった取組における本人の利便性向上につながる場合において、現在の個人情報の利用目的規制の硬直的な解釈や運用の見直しが必要ではないかといった点でございます。
それから、5番目は規制強化に対する意見ということで、子どもの情報に関する新たな規律につきましては、こども行政を担っておりますこども家庭庁における総合的な検討が必要ではないかといったご意見、それから課徴金制度は想定外の事業者に対する萎縮効果をもたらすおそれがありますので、拙速な導入は避けるべきではないか。団体訴訟制度につきましても、立法事実の蓄積が十分でもないので、関係者も交えた十分な議論が必要で、拙速な導入は避けるべきではないかといったご意見。また、3年ごと見直しの在り方につきましてもご意見があるということでございます。
以上、事業者の声をご紹介させていただきました。どうぞよろしくお願いします。
村井座長: ありがとうございました。
それでは、ここで河野デジタル大臣からのご挨拶をお願いしたいと思います。河野大臣、お願いいたします。
河野デジタル大臣: おはようございます。本日も大変ご多忙の中、また早朝から、デジタル社会構想会議にご出席をいただきまして、村井座長を始め構成員の皆様には深く御礼を申し上げたいと思います。
今、冨安統括官からご説明がありましたように、この1年間、マイナンバーカードの普及・利活用の促進、ひも付け誤り等もありましたがこれを総点検で解消し、今後は人的なミスをなくすための直接読み取りといったことも入れながら、普及をしっかりやってまいりたいと思っております。
また、昨年のG7群馬高崎デジタル・技術大臣会合で合意されたDFFTに関する新たな国際的な枠組み、そしてこれがG7サミット、あるいは12月のOECDの会合で承認され、OECDの下にIAPという新しい枠組みをつくることができました。5月の連休のOECDの閣僚理事会は日本が議長国でございますので、ここでしっかりやってまいりたいと思います。
また、いろいろあったアナログ規制も撤廃に向けて着々と取組が進み、5月末には少なくとも国の行政の中でフロッピーディスクが撤廃されるという、諸外国からはフロッピーディスクは何インチを使っているのかみたいなことをよく言われますが、フロッピーディスクもなくなって、いよいよその次はFAXの撤廃かなと思っております。
また、デジタル庁はAIの行政における利活用の司令塔ということで、単にChatGPTでスピーチ案を作るということだけでなく、行政の効率化という意味でもしっかりやっていきたいと思っておりますし、デジタル行財政改革と連携して、これまでは地方自治という名目で1,741の自治体が言わばそれぞれやっていたことを、業務は標準化、システムは共通化、そして地方自治は政策の選択というところで、地方自治はやるけれども、ある程度国が準公共分野も含め出ていって、システムあるいはデータ連携基盤をしっかり整備していく、ガバメントクラウドを整備していくというところをしっかりやっていきたい。自治体においてはシステムをつくり込むのではなく使いこなすというフェーズに転換してもらおうと思っております。
また、今、説明がありましたように、政策データのダッシュボードの取組を強化して、マイナンバーカードの普及、アナログ規制の見直し、あるいは自治体の業務の標準化、ガバクラ移行、あるいは教育や子育てといった分野でのDXの推進状況をウェブサイトでしっかり公開し、データに基づいた政策立案・執行管理を行う文化を霞ヶ関にしっかり広げていきたいと思っております。
本日は、この夏の重点計画に向けて対応すべき重点課題、あるいはどう課題を解決していくべきか、どうぞ忌憚のないご議論を賜れればと思いますので、よろしくお願い申し上げます。
ありがとうございます。
村井座長: 河野大臣、ありがとうございました。
それでは、構成員の方からのご意見を伺うということでございます。本日欠席をされている三木谷構成員、村岡構成員のお2人の資料が出ていますので、これを事務局から紹介をお願いいたします。
事務局: それでは、簡潔にご紹介させていただきます。
まず、資料3、三木谷構成員からの提出資料でございます。「1.税制改革」として、AI時代において人材・知財・投資を呼び込むための税金の引下げ、それから「2.規制改革」として、合理的根拠を欠いた医薬品の一部インターネット販売の一律禁止案の撤回、それから、移動の足の確保というナショナルミニマム達成のためのライドシェア新法の整備。
次のページに行きまして、即座の法人設立を可能とするための公証人による定款認証の廃止、円滑で健全なデータ利活用を進めるための個人情報保護法の見直しの検討、教育データの利活用・オープン化の推進。
最後に「3.競争政策」として、新法によるモバイルOS・アプリストアの寡占構造に起因する問題の実効性ある解決、NTT法に基づく通信分野における公正な競争環境の確保といったペーパーを頂いております。
続きまして、資料4、村岡構成員からの資料でございます。
1つ目の丸ですが、地方自治体におけるガバメントクラウドを活用した標準準拠システムへの移行について、地方の実情に応じたきめ細やかな支援をお願いしたい。地方の費用負担に係る様々な懸念の解消に向け、自治体側の責によらない追加経費等に対する財政的支援について特段の配慮をお願いしたい。
2つ目の丸、本年12月に現行の保険証の発行を終了し、マイナ保険証を基本とする仕組みに移行することが予定されているので、一体化の意義やメリットの周知などについて丁寧な対応をお願いしたい。防災分野におけるカードの利活用等について重点的に取り組んでいただきたい。
最後に3つ目の丸、高度情報通信ネットワークの離島、過疎地域などでの整備が、都市部に遅れることのないよう引き続き手厚い支援をお願いしたい。それから、地上系ネットワークの耐災害性の向上や衛星通信など、非地上系ネットワークの積極的な活用等についても盛り込んでいただきたい。こういった意見をいただいております。
村井座長: ありがとうございました。
それでは、構成員の方々のご意見を伺いたいと思うのですけれども、途中退席で時間が迫っている方がいらっしゃいますので、その方に先にご発言いただこうと思います。若宮さん、お願いします。
若宮構成員: 若宮でございます。
デジタル庁というのはまだ始まったばかりなのに随分いろいろなことやっておられるというのですごいなと私は思いました。とはいえ、我々いわゆるアナログネイティブの人たちと付き合っている人間から言いますと、これからこういうものをどんどんやっていくためには国民を教育するということがどうしても必要になってきて、自治体さんなどでは操作手順を教えるということは割とやっていただいているのですけれども、まず国民の皆さんになぜこういうデジタル化をしなくてはいけないのか、デジタル化をするというのはどういうことなのかということを分かりやすく動画などを使って説明することが必要なのではないかということが一つ。
それから、今までは市役所の窓口というのは実際に市役所まで行ってそこが窓口だったのですけれども、これからはそれぞれの市役所のホームページが窓口になるのだと思うのですね。ですから、ホームページでどうやって分かってもらうかというのを皆さんにやってもらうとか、そういう面でいかに国・自治体さんの考えを一般国民に知ってもらうかということを大事にするために、これからホームページを大事にしていただきたいです。
それからもう一つ、デジタル化というのは何をやるのかよく分からないという方たちのために、例えばお薬手帳のデジタル化というのをやったら、これがデジタル化かというのが一般の人に割と分かりやすいのではないかと思うのですね。そういう形で誰もが分かるデジタル化の見本みたいなものを一つつくっていただければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
村井座長: どうもありがとうございました。
それでは、夏野さんも途中退席を予定されているということで、夏野さん、お願いしてよろしいですか。
夏野構成員: ありがとうございます。
今回、網羅的にまとめていただいて、本当にすばらしい形になっていると思いますが、デジタル庁ができて3、4年で、75ページのシステム・制度・業務の三位一体での取組というのがようやく地についてきたのかなという印象を受けております。デジタルの話をすると、必ずシステムがどうのとか、セキュリティがどうのとか、システム周りの話が多いのですけれども、新しいテクノロジーに応じて制度を変えていく、そして業務がどう変わるのだというのをセットで考えるという三位一体がやっと地についてきたのかなという傾向をほかの省庁のいろいろな政策を見ても感じます。
なので、今後、更にこのシステム・制度・業務の三位一体での取組というのを政府全体に広めていくためにも、是非デジタル庁がいろいろな形で、審査すると言ったら変なのですけれども、ちゃんとチェックしていくということが重要なのかなと。これは以前からあるデジタル法制局構想みたいなものに近い考え方だと思うのですけれども、制度や法律などが制定されるときにちゃんとチェックしていくということがすごく大事なのかなと思いました。
以上です。
村井座長: ありがとうございます。
それでは、同様に早退の國領構成員、お願いいたします。
國領構成員: 私からも事務局の皆さん、デジ庁の皆さん、大臣を始め、ご努力に敬意を表したいと思います。確かに実際にいろいろな局面で利便性を感じられることが高まってきたように思っておりまして、いろいろと引っかかりはあちこちで出てしまうのですけれども、この辺は一つひとつ解決していくことが重要だと思います。
その点で、73ページの改定に向けたポイント案の2の「重点課題の対応の方向性」というところが今度の重点計画の基本方針だと思うので、大事なページなのではないかなと思います。やや矛盾した2つのことを申し上げるのですけれども、特に(3)の結果として「デジタル化」が「当たり前」となる取組の強化というのはとてもいいことだなと思います。得てしてどちらかというとアウトプットのイメージ、つまりマイナンバーカードがどれくらい普及しましたかというところで成果を表現することが多いのですけれども、最終的には結果としてどれぐらいよくなったかという辺りに対して、KPIと言いますか、成果目標みたいなものを立てたい。国民に分かりやすくそれが伝わるということが結果的に取組に対する評価というか、国民の皆さんの理解というものが深まるのではないかと思っております。この辺をどうやって表現していくかというところに注意を向けていくといいのではないかというのが1点目。
2点目が、ひょっとしたらそういうすぐに分かりやすいところではないのかもしれないのですけれども、また、時間が少しかかるのかもしれないのですけれども、例えば今、私の念頭にあるのがベース・レジストリの件なのですけれども、こういったデータをきちんと整備していくということが全てに優先して、と言ってもいいぐらい大事なのではないかと考えております。なので、例えばこれがこの項目にはまるのかどうかは分からないのですけれども、(4)の共通基盤の整備・運用のようなところにデータの基盤をきちんと整備するという考え方が反映されていると、それがしっかり次期重点計画のポイントとして機能してくるのではないかと思いますので、ご検討いただけたらと思います。
以上です。ありがとうございます。
村井座長: どうもありがとうございました。
それでは、川邊構成員、お願いします。
川邊構成員: まず、冒頭のご説明をありがとうございました。
今日、見ていらっしゃる方もいっぱいいらっしゃると思うのであえて言及しますと、本当に戦後ないしは明治時代からつくられたアナログの行政の仕組みを今、デジタルに全部置き換えようとしているということをなさっているデジタル庁の多岐にわたる計画というのは本当にすごいことだと思いますし、それがある意味非常に粛々と実行されていっているということに敬意を表したいと思います。
全体感で言うと、仕組みを整えるフェーズというのが終わりつつあって、ここからはそれを使う側の方々の地方や他省庁を巻き込んで、何よりも推進するフェーズに移ってきているのかなと思います。仕組みを整えるところから推進するというところにフェーズが変わっても、デジタル庁には変わらぬリーダーシップを取ってもらいたいというのが全体感です。
その上で資料に幾つか言及させていただきますと、まず資料1-1と1-4のガバメントクラウド共通基盤のところですけれども、資料で言うとP6からP11の辺りですけれども、まずはこれも同様に登録・普及というのはできたかなと。ですが、本来の目指すべきものというのは利用率や利用満足度というところですので、ここから利用する方々の現場にまでデジタル庁の方々が入り込んで、利用率と利用満足度を是非上げていってもらいたい。真のKGIの向上に着手してもらいたい。これは提供するまでがデジ庁の仕事だよと言うと、なかなか各省庁や自治体でもデジタル人材が足りないですから、利用率を上げたり利用満足度を上げるところまで至らない可能性が結構あるなと私は思っていますので、そこまで含めてデジ庁のほうでリーダーシップを取ってもらいたいなと思っています。
次に、1-2のデジタルガバメントのところです。今日、私はIT連盟の会長としての立場でも発言をしておりますけれども、IT連盟に加盟している地方のベンダーからの声もよく聞きますので言及させていただきますと、2025年までにガバメントクラウドの20業務の共通化がオンスケであると聞いています。これは本当にすばらしいことでありますけれども、中小の自治体において、いわゆる一人情シス問題というものがあって、なかなか20のガバメントクラウドの利用にまで至れないことが多いと。例えばよりSaaS化するみたいなことも含めて20の業務以外についても複数の自治体で共同利用できるようなものを準備していただくと良いのではないかと思います。
あと、セキュリティ対策も一人情シスだとなかなかやり切れないところがありますので、共通化してみんなで使えるようにするとか、人材育成みたいなところもデジタル庁で是非音頭を取っていただければなと思います。
最後になるのですけれども、個人情報保護法の改正について、業界へのヒアリング結果が先ほど発表されておりましたので大きくは割愛しますけれども、3つほど言及させていただきますと、個人情報についてのラベリングが複数あって非常に分かりづらいという問題があって、混乱しているかなと思います。これは直す必要がある。
あと、今、結構業界内で話題になっているのは、3年ごとの見直しというのはアップデートするために3年ごとと決めたのでしょうけれども、そうすると必ず改正ありきで、どんどん内容が3年ごとに厳しくなっていくのではないかなという懸念を持たれておりますので、何かを更新したら3年後に見直すというのはあってしかるべきだと思いますけれども、3年ごとに絶対見直すという書き方は直したほうが良いのではないかなと思っています。
あとは最後ですけれども、現状で言うと3年ごとに改正・強化されていく個人情報保護法の国内のルールと国際ルールとのハーモナイゼーションがうまく図れないのではないかなという懸念もありますので、我々独自の観点があっても良いと思うのですけれども、この辺りも国際標準となるべく平仄を合わせていくということを個人情報保護法の改正についてはお願いしたいと思います。
私からは以上となります。
村井座長: ありがとうございます。
それでは、池田構成員、お願いいたします。
池田構成員: おはようございます。池田でございます。
まず、重点計画の改定案につきましては、時代の変化に応じた改定を盛り込んでいただいておりまして、デジタル庁の皆様方には心から感謝申し上げたいと思っております。
先ほどの資料でもありましたけれども、本市でも書かないワンストップ窓口はいち早く導入させていただいておりまして、既に稼働しているところであります。デジタル庁においてSaaSの仕組みを導入いただいたために、質が高いシステムを短期間かつ比較的安価に導入できたと考えておりまして、感謝申し上げたいと思っております。本システムは他自治体の成功事例を横展開したものでありますけれども、他の分野・仕組みにおいても効果が見込まれるものについては同様のコンセプトの仕組みを積極的に展開していただければと思っております。
また、2点目はマイナンバーカードの保険証利用についてでありますが、先ほど村岡構成員からもありましたが、広報について、利用開始前までに国と自治体がしっかりタッグを組みながら、可能な限り幅広く強く広報を展開していく必要があると思いますので、よろしくお願い申し上げたいと思っております。
3点目でありますけれども、全国市長会の中でも自治体から不安の声が上がっている自治体システムの標準化、そしてガバメントクラウドへの移行についてでありますけれども、現在、いろいろな円安等々の影響もあって費用が高止まりしている等々、また、事業者のリソース不足等の問題が自治体の不安の要因になっていると思いますし、先ほどあったデジタル人材不足は特に町村会等々でも声が大きくなっているところであります。
既にデジタル庁では我々自治体に寄り添った様々な対応をしていただいていると認識しておりますけれども、万が一の場合には影響が国民に及ぶ事業でございますので、今後とも引き続き自治体が地方の声を丁寧に聞いていただければ幸いであります。
4点目でありますけれども、デジタルを当たり前にする取組ということが先ほどありましたけれども、これについては国民が利便性を実感いただけるサービスを提供し続けていくことが大変重要であると考えております。
また、我々末端の基礎自治体においては、全くデジタルに不慣れな高齢者の方々というのも直接相手にいたしますけれども、そういった高齢者の方々等々にも簡単に使っていただけるような仕組みであることも大変重要であると考えております。本市では、高齢者の皆様方に直接いろいろな活用支援等々もやっておりますけれども、私はいつも職員にデジタル化こそアナログで取り組みましょうと言っておりますけれども、こういった草の根の取組もしっかり進めていく必要があると考えております。
最後でありますけれども、資料2の個人情報保護法に関するビジネスの現場からの声というのが先ほど資料でございましたが、その中で個人に最適な公共サービスを提供するための柔軟な運用・解釈というところが挙がっておりました。個人情報保護が重要な点は我々も当然十分に認識をしております。一方で、特に公共分野におきましては、本人の求めに応じて当該行政機関が既に別の目的で保管をしている本人の個人データを利用する場合の解釈を柔軟にすることで本人の利便性向上にもつながることも考えられますので、是非今後、国民の皆様方に納得いただける具体的な利用シーン、また、運用を定義する必要があるのではないかと我々としては考えておりますので、是非その点も含めてまた引き続きご議論いただければと思っております。どうぞよろしくお願い申し上げます。
私からは以上でございます。
村井座長: どうもありがとうございました。
引き続きまして、伊藤構成員、お願いいたします。
伊藤構成員: ありがとうございます。
皆さんと同じくとても感謝しています。夏野さんの言っていた話にも近いのかもしれないですけれども、もちろんサービスやいろいろなオペレーションは大変だと思うのですけれども、いろいろな政策だとか、デジタル庁というのはほかの省庁よりも技術力が圧倒的で、人も多いしレベルも高いはずなのですね。例えば個人情報保護法一つ取っても、かなりプライバシー保護技術やAIの中で、いろいろなアメリカのレポートがあるのですけれども、バイアスがかかって差別がモデルに入っているとか、個人情報が入っていないけれども、データを分析すると個人情報がそこから引き出せるなどのいろいろなリスクもありつつ、プライバシーを保護しながらとても使いやすいモデルをつくる方法などもかなり研究レベルでも応用レベルでも出てきているのですね。この技術によって実は今まで不可能だった法律が出てきたり、すごく乱暴に個人情報だけ取ればいいというような個人情報保護法からもっと細かくこういうことが気持ち悪いよねとか、こういうことだったらいいのだよねというのが技術的に可能になっているので、こういう法律や政策立案のときに最新の技術が議論しているところにないと、古い考え方の法律がつくれてしまうのですね。法律はつくってしまうとなかなか変えるのが大変なので、デジ庁を始め技術的に最新の情報を持った人たちがブレーンストーミングの現場まで、つくってしまったものを後で技術者が見るのではなくてディスカッションの中に技術者が必要だということ。
それと、法律や経済学などの政府の中の文系のところと今の最新の理系のところを両方持っている人材というのはとても重要なので、これはデジ庁だけではできなくて、人材育成が重要だと思うのですね。これはちょっと古いデータかもしれないですけれども、経済産業省のあるレポートで2030年には45万人から80万人のIT技術者が足りないと言っていて、本当にこの人材育成というのはこれからいろいろ地方も含めてやっていく中でとても重要なポイントで、皆さんもよく分かっていることだと思うのですけれども、ただ何となく今までどおりにもうちょっと頑張るのでは全然足りないので、人材育成のところはプライオリティーを高くするべきなのではないか。
あと、去年の末はかなりAIセーフティのところが盛り上がって、これはもちろんバイアスのところもあるけれども、AGI、スーパーAIが出たらどうするのだろうとか、AIを使ってサイバーセキュリティの攻撃をするのはどうするのだとか、バイオテロをどうするのだとか、結構グローバルに話題になって、アメリカとイギリスはAIセーフティ・インスティテュートをつくったのですね。イギリスのAIセーフティ・インスティテュートはほぼ技術者がメインで動いているのですけれども、日本はAIセーフティ・インスティテュートをつくったのですけれども、どちらかというと政策のほうにフォーカスしているのですね。このAIセーフティの技術力というのはとてもいろいろなレイヤーで重要で、解析可能なAIをつくれるかとか、ガードをするかとか、レッドチーミングをするということがとても重要で、その機能がまだあまり強化されていっていないので、IPAの中でAIセーフティ・インスティテュートというのが入って村上さんというすばらしいトップがついたのですけれども、そこの技術力レイヤーはデジ庁も入ってちゃんとサポートするべきなのと、イギリスと会話するときには技術者とやり取りしなくてはいけないので、これは政策もそうなのですけれども、海外のAIセーフティ・インスティテュートと技術的な交流をするチームが必要なので、これはどこかに設置しなくてはいけなくて、もう一つは、AIセーフティはAIだけではなくて、サイバーセキュリティと一部国家安全の話とつながるので、一応AIセーフティ・インスティテュートには各省庁から人は出ているのだけれども、ちゃんとそこがサポートされて横連携が取れないと、なかなかAIセーフティというのはできないので、このAIセーフティをどうやってデジ庁がサポートしていくか、国としてやっていくかということもとても重要なので、ここはあまり担当の人がいないのが一番僕が心配しているところなので、ここも何かデジ庁側でサポートできたらいいなということを考えています。
この辺りで一旦やめます。以上でございます。
村井座長: ありがとうございました。
それでは、野田構成員、お願いいたします。
野田構成員: ありがとうございます。
皆様がおっしゃられたように、本当に1年間で数多くの進捗があったと思います。まずは感謝を申し上げたいと思います。ありがとうございます。
政策の進捗管理・可視化ということで、政策ダッシュボードのご説明をいただきまして、大変詳細にダッシュボードでフォローされており、とてもいい取組だと思いました。これは内部の組織の管理ツールとして、政策がどこまで進捗していくかをチェックする上で意味のある取組だと思うのですけれども、更に加えて、国民視点でデジタルを使ってどういう社会が今実現しつつあるのか、つまり、もともと目指すべき社会の6つの姿を規定し、掲げたわけですけれども、この6つの姿にどこまで近づいてきているのかということを国民目線で見せるということも大変重要ではないかと思います。デジタルはあくまでもイネーブラー、すなわちツールであって、これによって国民生活がどこまで便利になったのか、どれだけ生活の質が向上したのかを、掲げた6つの姿に即して見せていく、どこまで1年間で進捗したかということについて、進捗をダッシュボードのような形で管理をしていただくことが重要と思います。国民不在となり、ツールであるデジタルが目的化しないような仕組みがあればよいと感じました。
次に、67ページに記載されている集中すべき課題というところですが、労働力不足、日本全体の産業競争力の低下、そして持続可能性への脅威という3つを課題と認識いただいており、そのとおりだと思います。とても重要なポイントだと思うのですけれども、先ほど池田市長もおっしゃられたように、地方の問題も非常に深刻です。能登半島地震が露呈したとおり、地方のインフラは危機的な状況ですし、地方の中小企業の生産性の問題も深刻です。大企業の賃金は上がってきていますけれども、中小企業の賃金はなかなか上がりません。地方の中小企業の労働生産性をどう上げて賃金を上げていくのか。これらの地方の課題解決にデジタルは不可欠だと思いますので、地方の視点というものをもう少し色濃く打ち出していただいてもよいと思います。特に、人口縮小が急速に進む地方の老朽化したインフラをどうやってデジタルを使いながら守っていくかは非常に重要な視点です。
3点目は重点課題への対応というところで、河野大臣からもご発言いただいたとおり、1,800の自治体が其々独自のシステムを作るのではなく、広域化したり、システムを共通化することが重要と考えます。国と地方の連携や地方自治体間の広域連携が求められます。もはや一つの自治体では対応が難しいことは明らかだと思いますので、個々の自治体が頑張って開発するという構造を抜本的に変えて、連携をしていくということに対して背中を押す仕組みが必要ではないかと思います。
また、持続可能性の観点から、データ流通・連携の強化は重要なポイントです。例えば、欧州でサーキュラーエコノミーの取組が進んでおり、日本でも最近、取組が進みつつありますが、持続可能な経済システムであるサーキュラー経済の構築には、デジタルが必須です。既にデジタルパスポートやマテリアルパスポート等、製品や素材にIDをつけて全体のバリューチェーン、つまり原材料調達から製品の設計・製造、回収、リサイクル、そしてまたそれを素材・製品に戻していくというバリューチェーン全体のトレーサビリティを管理してゆく動きが欧州で進んでいます。データ連携の仕組みがあって初めてこうしたサーキュラーな経済モデル、グリーン経済というものが成り立つということで、デジタルは必須です。日本としても、新しい持続可能な経済モデルを形成していくという観点からもデータ連携を是非進めていただきたいと思います。
昨年末に、経産省と環境省がサーキュラーエコノミー実現のための産官学パートナーシップを立ち上げて、データ連携をどうするかという議論が進み始めました。経産省が主導しているウラノス・エコシステムをデータ連携の基盤として利用することで今、検討していると理解をしていますが、デジタル庁としてもこうした経産省、あるいは環境省の取組をどのように支援・連携していくのか、是非検討をお願いしたいと思います。
以上です。
村井座長: ありがとうございます。
それでは、越塚構成員、お願いいたします。
越塚構成員: おはようございます。
多くの項をまとめて聞かせていただきますと、非常に盛りだくさんのことをやられていて、非常に進展もありまして、そういう点に関しては大変敬意を表したいと思います。あと、そういう意味ではほかの委員の皆様がおっしゃられているとおりだと思います。
幾つか、少し各論になりますけれども申し上げたいことがございまして、まず1点目はデータということに関してですけれども、このデータはデータ連携基盤やプラットフォームのシステムの話もございますが、おそらくこの1年、データに関しては世界的にも明らかにフェーズが変わってきたような感じがします。先ほどウラノスのことに言及もございましたが、昨日も少し発表がありましたけれども、経産省・IPAさんと欧州のCatena-XとMOUを結んで、これでバッテリー規制に対応していこうということで、この後、おそらく炭素関税のCBAMへの対応ということも今進んでいると伺っております。そういうことで実際に実働が始まっています。
あと、例えば国交省さんのほうでもPLATEAUという世界的にも誇れるようなデジタルツインのものができてきていますし、また、デジタル田園やスマートシティのほうでも都市OSと言われる形で多くの自治体さんに既に入ったという実績があり、今までこういう基盤をつくっていくというフェーズだったものが明らかにもう入ってできてきて、これから動かして使っていくという段階に来たというのは非常に大きな違いだと思います。ここの中であとDFFTの国際連携も始まっている。グローバルな貢献もこれから日本もしていこうという段階になってきているという中で、データに関して非常に重要なのは、こういうことが比較的まだばらばらな状態で行われているので、日本全体の司令塔というものが必要かなとデータに関しては思います。それで日本の多くのデータのイニシアチブがワンチームになって進んでいくということの実現が必要です。データの連携のところは、競争領域で収益を上げていく分野ではなくて、協調領域になります。そこを今後どうサステナブルに運営していくのか、負担の在り方も含めて議論が必要だと思います。
データに関して、あとはAIとの関係も非常に重要でございまして、LLM等の話もありましたけれども、AIはこの後、ランゲージモデルの先にはマルチモーダルなLMMも始まっていきますし、LLMに関しても単に再学習するだけではなくて、各ドメインの専門性に合わせるために既存のデータベースとのハイブリッドな形にもなっているので、このデータ連携基盤やデータスペースとAIとがどうつながっていくかが、AIを進める上でも非常に大事なフェーズになってきていると思います。
あと、DFFTのお話がありましたけれども、OECDの会合が先週ありまして、私も委員だったので参加しましたけれども、国際的にもかなり話題で200名ぐらいの方が参加されていて、200名もいると議論にもならないぐらい多くの方でしたけれども、ただ、ワーキングが3つ立ち上がっていたのですけれども、クロスボーダーペイメントとプライバシーエンハンスメントテクノロジーとトランスペアレンシーの3つのワーキングで、何となく印象としてはあまり本質的ではないところから議論が始まったかなという気はちょっとしていまして、日本からももう少し積極的にワーキングをリードするなり、何か提案するなりというのが要るのかなと思いました。これがデータに関しての1点目です。
2点目は防災なのですけれども、2つございまして、1つは官民がしっかり連携することが大切です。最後に国民の皆様に防災の情報を送り届けるところというのは放送であったりメディアであったり、民間がございますので、そこはしっかり役割分担することが重要だというのが一つと、これは先ほどの個人情報保護法にも関係するのですけれども、災害で被害に遭われた方の捜索といったときに、そろそろスマホの位置情報の履歴を使うなどということで多くの命がもしかしたら救えるのではないかといったところで、これはかなり機微なデータなので慎重な議論は必要だと思いますけれども、その辺の防災と個人情報のところは少し議論の俎上にのせてもいいと思います。これが2点目です。
3点目は個人情報保護法の改正に関してで、先ほど伊藤委員がおっしゃっておりましたけれども、おそらくこれはプライバシーエンハンステクノロジーのお話なのだと思います。秘密計算でありますとか、そこには準同型暗号や秘密分散などといったテクノロジーがございまして、これはまさに先ほどのDFFTのOECDの中でも大きな議論になって、ワーキングができるほどの議論でございます。これと個人情報保護法との間の関係性というのは、議論を始めるべきではないかなと思います。現状ではおそらく秘密計算をされたものも個人情報として取り扱われますので、このPETsが出てきて何もご利益がないのですけれども、その辺がいかに法律とマッチしていくかというところの議論は重要かなと思います。
以上です。
村井座長: どうもありがとうございました。
それでは、太田構成員、よろしくお願いします。
太田構成員: 構成員の太田です。よろしくお願いします。
まず、取りまとめを拝見して、今年の9月1日でデジタル庁も丸3年になりますけれども、多岐にわたるテーマについてしっかりプロジェクトを進めていらっしゃるという様子がよく分かりました。その上で3点の意見を申し上げたいと思います。
一つは、これまで私もご提案していたデジタル行政サービスの国民及び企業の利用率と満足度をしっかり見ていきましょうというところについて、今回、踏み込んでいただいたというのはとてもよいと思います。これに関しては一回やって終わりということではなくて、変化を追っていくということになると思いますが、現時点の利用率が5割程度、それから満足度が3割程度というのは決して高いとは言えませんが、もう3年やっていますけれども、同様の定点観測をしている東京都の数字とほぼ同じで、これも決して満足できるレベルではありませんが、現状を表していると思います。
その上で、さっき申し上げた変化というところでいくと、最終的には国民ということになりますが、東京都の様子を見ても、すぐに半年から1年で上向くということは現実的にはちょっと難しくて、5年とかの話になりますので、変化を追うというところをもう少し細かく区分けして見ていくというのがいいのかなと。具体的に今、一番デジタルサービスを民間も含めて使い始めているのは企業で、これは中小企業も含めてになりますので、企業がどうなのかというのを、主に国以外で企業向けのサービスを担当しているのは都道府県になりますので、都道府県と連携しながら見ていくというのが一つ。
もう一つは、行政サービスを提供している行政の職員がどういう満足度・利用率を持っているのかというのを見ていくこと。これが一番早く上がっていると思いますので、そこをご提案したいと思います。この辺に関しては1~2年で変化が見えますので、手応えというのを提供している側、それから受けている側が感じていくということになろうかと思います。
2点目は、冒頭、もうすぐ3年になるデジタル庁は多岐にわたる仕事をやっていらっしゃると申し上げたのですが、諸外国と比べるととても少ない5分の1、分野で言うと10分の1の人員でやっているというところにリスクがあると思っておりまして、やはり人員の増強ですね。当初は5,000人という数字も挙がっておりましたけれども、そこをしっかりやっていくということが必要かと思います。
ただ、一気に定員を増やすというのは、採用も含めて現実味がありませんので、当面のところは大事な領域にしっかり人を集中させる。例えば、12月に来る保険証の資格確認なども、今の持っているカードが使えますけれども、非常に大きな規模で展開していきますので、こういうところにしっかりと人員を集中させるということをやりつつ、中期的には定員数をしっかり増強していくというところが必要かと思います。
それから最後の3点目ですけれども、地方創生が丸10年になりますので、振り返りされていると思いますが、今、前向きな話として地域でかなり起こっているのが、地域の金融機関でいろいろなサービスが行政だけではなくて官民連携も含めて出てこないとその地域が立ち行かないと。これは机上ではずっと言われていた話ですけれども、これは新しい世代も金融のほうに出てきまして、具体的にファンドをつくるとか、ちゃんと融資・投資をしていくということで動いておりますので、ちょっとテーマは変わりますが、こことしっかりデジタル田園都市も連携していくということを改めてしっかりやっていく。そうしないと、助成金、特別交付金がなくなると終わってしまうということで、デジ田も3年目に入っていますけれども、これが起こらないようにしっかり金融機関との連携というのを前提にデジタル社会というのも進めていただくということが未来につながっていくと思っております。
以上です。
村井座長: ありがとうございます。
それでは、一通りの構成員の方からのお話を伺ったのですけれども、皆さまからいろいろなご指摘をいただきまして、大変貴重なご意見をありがとうございました。その中で進んだところというのは評価をしていただいたご意見が非常に多かったのですけれども、一方では今の太田さんのお話や先ほどの野田さんのお話もあったと思いますが、67ページで紹介されたデジタル化に対する不安やためらい、69ページの国際比較の図でも、やはり日本は何となくデジタル化に不安を感じている人が多い感じがあるということなのですけれども、このことをご指摘いただいた構成員の方が何人かいらっしゃったわけです。
これは海外の話ですけれども、どれだけ効果があったかということは、何となくシナリオ的なストーリーがあると分かりやすいのです。例えば窓口に行ったときにどれだけ簡単になったか、あるいは窓口に行かないでどれだけの時間が節約できたか、オーストラリアなどは前にもお話ししましたけれども、公務員がかけている電話の時間がどれだけ減ったかというだけの指標でデジタル化を進めてよかったというところが分かるということもあります。
我々が生活していても、病院に行っても、レストランに行って注文してロボットが配膳してきても、いろいろなことがこれだけ変わっているのだなというのを実感することはあるわけで、そうするとビフォーデジタル化、アフターデジタル化でこれだけよくなったのだということを、そういうシナリオや注目点で比較するということも大事なのだと思うのです。これは役所がやることなのかよく分からないけれども、どうもデジタル庁と言ってしまうとデジタル化が10個のうち8個できましたみたいなメトリックになってしまうのです。そうすると、進めろと言う人にとってはよしよくやったとなるのですけれども、不安やためらいを持っている人の心に響かないことになってしまうかもしれない。そんなことも考えつつ、データに関しても本当に大事な局面にようやく入ってきていますから、個人情報保護法の件も、それから先ほど越塚さんがおっしゃったような国際的なインターオペラビリティなども、鍵になるかと思います。そういう社会ができつつあるので、そこに進んでいければと思います。
さて、時間が押してきていますけれども、是非今の一通りの構成員のご意見を伺って、新たに発言をしていただきたいのですけれども、いかがでしょうか。どなたでも結構です。
池田さん、お願いします。
池田構成員: 行政のお話をいろいろといただいたので、今、座長がおっしゃったように、例えば市役所に市民の方が来られるのですけれども、行政の世界だけでデジタル化の恩恵というか、そういった利便性を感じる場面がそんなにあるかというと、多分あまりないというか、そんなに市役所にしょっちゅう毎週来るような方というのは普通いないわけでありまして、例えば本市でも今、先ほど言いました書かない窓口で取り組んでいて、2月から始めたのですが、記者の方々にも、これまでだったら家族で引っ越した場合に幾つかの課に動いていただいて50分かかっていた手続が、市民課の窓口で座っていただいて15分で動くこともなく終わりましたといったアピールをするのですが、それも先ほど言ったようにしょっちゅう引っ越しをするわけでもないですので、なかなか行政の世界だけではその利便性を感じるのが難しいところはあるのではないか。
うちはコンビニ交付をやっていますけれども、市役所の窓口に来て手続をしていただくと手数料が300円かかりますけれども、お近くのコンビニに行っていただいてマイナンバーカードで取っていただいたら150円としているのですね。これも実際住民票をしょっちゅう取るかというと、そういうことではないので、どうしても行政の世界だけでデジタル化の恩恵を感じる機会が絶対的に少ない。ちなみにうちのコンビニ交付は、半額にする前はコンビニでの取得が10%ぐらいだったのですが、今はここ7年ぐらい続けて65%がコンビニで取得をするようになりましたけれども、一回経験をした方はもう二度と窓口には来なくなると思うのですけれども、その一回経験することが年に1回か、2年に1回か、3年に1回かみたいな世界だと、利便性を感じる機会が広がるスピードが圧倒的に遅いのだと思うので、そういう意味では、前から申し上げていますけれども、民間の利活用というのを広げていくことが国民の皆様方に利便性を広げていく上ではとても大きいのではないかなと、私は今、市長として仕事をしながら感じていますので、今の議論があったので一言だけ申し上げたいと思います。よろしくお願いいたします。
村井座長: ありがとうございます。大変貴重なご意見だと思います。
私もそれをアピールできるようなシナリオや漫画というので分かっていただく努力をするべきだろうなと思って先ほどの発言をしたのですけれども、そのほかの方、いかがでしょうか。
では、川邊さん、それから野田さんでお願いします。
川邊構成員: 手短にお話しさせていだきます。
今の話ですけれども、日本の場合、アナログのものがそこそこ便利にできていて、デジタルのものを年に1~2回しか使う機会がないと比較できないというのはすごく大きな問題だと思っています。どうするかというのは自然にそこを使うように導いていくということだと思いますけれども、一方で、意識的にデジタル化を止めてしまっている層みたいな人たちに気づいてもらうというのも大事だと思うのですね。言わばアナログ大好きデジタルストッパーみたいな層がどうしてもいるわけで、そういう人たちに、例えば実は周りの若い人たちはもっとデジタル化を進めたいのに、自分のこだわりによってそこが止まっているのですよみたいなことを理解してもらうことはすごく重要だと思うので、その意味では今回の全国調査やデジ庁のそういう調査などは重要だし、続けてほしいですが、それを浮き彫りにしてある程度名前をちゃんとつけて、そういう人たちにもっと世の中を便利にしていくために自分がデジタルストッパーになっていないですかということを啓発していくというのも併せてやっていくべきなのではないか。いわゆるOSのアップデートで最後の3%の人がいるために全体の利便性が確保できないみたいな問題はITではよくあることなのですけれども、そういうものはWindowsアップデートなどでお知らせするわけですよ。早くアップデートしてくれないと全体がアップデートできませんよと教えるわけなので、名前をつけてそういうことをやったらいいのではないか。私はデジタルストッパーと呼ぼうかなと思っていますけれども、提案までです。
村井座長: ありがとうございます。
それでは、野田構成員、お願いいたします。
野田構成員: 今、川邊さんもおっしゃったように、市役所のサービスも近年だいぶ向上してきて、アナログで人に温かみを持って接してもらえるほうがデジタルでやるよりもいいと思う市民の方も結構多いのではないかと思います。ただ、問題は将来に向けて今の市役所のサービスを維持できないこと。これだけ人手不足で、特に地方において職員も減っていく中で、今までどおりの期待にはもう応えられないという現状が日本にはのしかかっていると思います。そのことをきちんと伝える必要があります。デジタルによってよくなると思ってもらうと、いやいやそんなによくないよね、人のほうがいいよねとなってしまいます。これからどれだけ人手不足が深刻なのか、どれだけサービスが劣化していくのかということをきちんと理解してもらい、今、デジタルを導入しないと、将来に向けてまさにサービスの質が低下していくのだということを理解してもらうということも重要だと思います。コストの面も含めて、国民負担となって、市民負担となって返っていくものですので、あまりバラ色でデジタルで便利ですよ、よくなりますよという期待値を上げてしまうと、デジタルよりもアナログのほうがいいよねと、まさにブロックしてしまう市民も厳然として減っていかないと思いますので、その辺りの工夫も必要なのかなと感じました。
村井座長: どうもありがとうございました。
それでは、いろいろと貴重なご意見をいただきましたけれども、時間が迫ってまいりましたので、議論はここまでにしたいと思います。是非今のご意見も含めまして、残された時間で事務局の方は重点計画の作成を進めていただきたいと思います。
また、構成員の方に伺う必要があることがあれば、それも速やかに進めていただければと思います。たくさんの評価もいただいたと思うので、ダッシュボードの件やKPIの件などを短い時間でということがありましたけれども、同時にだんだんDXが進んでくると、つまりデジタル社会が進んでくる、つまりデジタル庁の仕事が進んでくるほどデジタル庁がやることはどんどん増えている、守備範囲が増えているということも構成員の方からのご指摘がありました。そうすると、つくるときに先ほどお話のあった少なくとも5,000人ぐらいの規模が要るというのは、かなり具体的にどこに誰が要るのかというのも分かってきたと思うのです。重点計画、あるいはデジタル庁の役割ということも含めてそういうことも織り込んで計画を書いていただければいいのではないかなと私は思いました。
大変貴重なご意見をいつもいただいている構成員の方には私からも感謝を申し上げたいと思いますし、事務局におかれましては、是非構成員の方のご意見を受け止めて、重点計画の作成を進めていただければと思います。
それでは、本日の議事は以上になりますけれども、最後に政務の方からご挨拶をいただければと思います。まず、土田政務官、よろしくお願いいたします。
土田デジタル政務官: 皆様、本日は本当にお忙しいところ、お時間を賜りましてありがとうございます。心より感謝申し上げますと同時に、最後に私から、本当に発信力の強い皆様に1点だけお願いを申し上げたいと思います。それは最後に太田委員に触れていただきましたけれども、ある意味定員数という意味での職員数、デジタル庁の体制強化の発信を皆さんにしていただきたいというところでございます。
今日もいろいろお触れいただきましたけれども、デジタル庁はやっていることも幅広いだけではなくて、これからもっともっとやらないといけないこと、やりたいこと、国民の皆さんのニーズが強い分野が多くあります。そんな中で、今、例えばAIの話なども今日触れていただきましたが、正直皆さんがびっくりするぐらい人員を張れていないというのが現状でございます。民間企業であれば、売上げが明らかに立ちそうなところ、お客さんのニーズが強いところに対して前もって人を採用・張ることができるわけでございますけれども、なかなか霞ヶ関の予算の都合上、定員の都合上、まだまだ張れていないというのが現状です。それであっても、デジタル庁ができて2年半で約2倍の人員を確保できましたが、これも霞ヶ関にとっては異例なことで、ただ、結構限界が見えてきているという状態になっています。今、デジタル庁の幹部もそろって体制強化、人員強化の働きかけはしていますが、かなり限界に近づいていますので、皆さんのお力もお借りして、先ほど5,000人というお話がありましたが、もっともっとデジタル庁の体制を強化して、国民の皆さんに必要なデジタルサービスをお届けしたいと思いますので、どうか皆さんのお力をお借りすることをお願いして、今日の私の御礼としたいと思います。
今日は本当にありがとうございました。
村井座長: ありがとうございました。
それでは、石川副大臣、お願いいたします。
石川デジタル副大臣: 村井座長を始め構成員の皆様、本日は朝から貴重なご意見をありがとうございました。
先般、都城市にも視察に行かせていただきまして、市民の皆様が窓口DXを本当に便利に使っているという現場も拝見させていただきました。この都城もモデルケースに、全国自治体にもこういった行政の効率化・デジタル化を是非推進していきたいと思っております。
ただ一方で、デジタル化の利便性の向上の恩恵が国民の皆さんにまだいま一つ伝わっていないというご指摘はそのとおりだろうと思っております。我々も各民間の皆さんに売り込みを今、続けております。そんな中で、救急現場におけるマイナンバーの利活用の実証試験も2年目に入ってまいりまして、こういったところから、実はマイナンバーカードも自分たちにとって必要なのだ、活用できるシーンがあるのだということがおそらく国民の皆様に広がっていくと思いますので、こういった分かりやすい事例を広報・PRしていくということを、これから12月のマイナ保険証の切替えに先駆けて、デジタル庁、厚労省、総務省の3省で集中的に広報も執り行うという予定でおります。防災現場での活用などもまだまだというところでございますが、一歩ずつ着実に国民の皆様のためのDX、デジタル化ということを仕上げてまいりたいと思います。
今年9月でデジタル庁の設立から丸3年となりますけれども、5年間の集中期間でこれだけ成果を上げたということは、私は河野大臣を始め職員の皆様の本当にたゆまぬ努力の成果だと思っておりますので、引き続き応援団として皆様にもご指導いただければ幸いです。
本日は誠にありがとうございました。
村井座長: どうもありがとうございました。
それでは、河野デジタル大臣、お願いいたします。
河野デジタル大臣: どうも長時間、また、早朝からありがとうございました。デジタル庁の人材の話が随分出ておりましたが、やっと1,100人弱まで来ました。先般の登記情報であったりあるいは戸籍連携のシステムであったり、本来ならデジタル庁がしっかり見なくてはいけないものが現在の体制では各省にお任せということになってしまっておりまして、政府全体のデジタル人員を増やすということが質、それから必要な予算額を減らすということにもなってくるのではないかということで、少し政府内のデジタル人材については内閣人事局などともしっかり次年度に向けて長期的な方針を議論していきたいと思っているところでございます。
AIの人材を始め、これから専門人材をこの中でもどうするかということはしっかり考えていかなければいけませんし、地方自治体からデジタル人材を国あるいは都道府県・基礎自治体がしっかりサポートしてほしいというご要望もいただいている中で、デジタル人材についてはしっかり考えていかないといけないなと思っております。
また、行政手続をそれこそ年に何回やるのだという話もあります。確定申告だったりコンビニ交付だったり、一度やっていただくとそこの利便性はご理解いただけると思いますが、やはり日常的に使えるアプリというものを使っていただく中でデジタル化、あるいはマイナンバーカードの利便性というものにつながっていくのだろうと思いますので、行政手続だけでなく市民カード化であったり、あるいは転売防止のようなものにマイナンバーカードを使えるようなアプリケーションを、今、副大臣・政務官などが一生懸命頑張ってくれておりますので、そういうところからしっかりデジタルの利便性を訴えていく必要があるかなと。
日本はアナログでもそれなりに便利ですし、人が丁寧に対応してくれるというところも諸外国と比べるとあるのかもしれません。そういう中でこれからの人口減少を考えると、デジタル化というのは避けては通れないだろうと思います。スマホ搭載を始め利便性を高め、市民カードなどのようにしっかり使っていただける、また、いざというときにスマホを持って避難すれば、マイナンバーカード機能も搭載されているという状況を早くつくっていきたいと思っておりますので、まだまだやらなければいけないところは多々ございますが、しっかり頑張っていきたいと思っておりますので、今日いただいたご意見を重点計画の中にしっかり反映させて、また前に進んでいきたいと思います。
どうもありがとうございます。
村井座長: どうもありがとうございました。
それでは、事務局から連絡事項をお願いいたします。
事務局: 事務局から2点ご連絡いたします。
1点目ですが、本日の会議動画と使用資料はデジタル庁ウェブサイトで公開いたします。
2点目です。次回以降の構想会議の開催につきましては、村井座長とご相談の上、またお知らせをいたします。
以上でございます。
村井座長: ありがとうございます。
それでは、以上をもちまして、本日の第9回「デジタル社会構想会議」を閉会とさせていただきます。本日はお忙しい中、誠にありがとうございました。
以上でございます。