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AIアイデアソン・ハッカソン開催報告(2024年11月7日実施)

2024年11月7日(木)にデジタル庁で「AIアイデアソン・ハッカソン」を開催しました。デジタル庁職員のほか、東京都、GovTech東京、日本マイクロソフト、グーグル・クラウド・ジャパン、アマゾンウェブサービスジャパン、ELYZAのAIエンジニアなど、約40名が参加しました。行政業務改善アプリのプロトタイプ開発を行い、活気あふれるイベントとなりました。

目次

  1. イベントの概要
  2. イベントの特徴
  3. イベントの成果
  4. 今後の展開

1. イベントの概要

イベントの目的

生成AIは急速に発展しています。AIエンジニアは、行政業務の改善アプリを迅速に開発できると認識しています。しかし、行政職員にはこの認識が十分に浸透していません。AI活用について、AIエンジニアと行政職員の間で認識の差が生じています。この認識の差を埋めることが、本イベントの目的です。デジタル庁は、AIを活用した行政業務の効率化を実証したいと考えています。人口減少による働き手不足の中でも、行政サービスの維持・向上を目指します。

イベントの体制

イベントでは、次の2つの体制で開発を行いました。

  1. 相談窓口
    • 参加職員の「この業務をAIで改善したい」などの相談を受け付けました。
    • 相談内容を分析し、開発要件を定義、および簡易な設計を実施しました。
    • 担当する開発チームを決定し、相談者と開発チームを繋ぎました。
  2. プロトタイプ開発チーム
    • 協力事業者ごとに構成しました。
    • 事前に準備した開発パターンに基づき、担当チームを決定しました。
    • 相談窓口から提供された要件と開発パターンを基に、相談者と共同でプロトタイプを開発しました。
    • 相談者の要望に応じて、開発パターンからカスタマイズしました。

「AIアイデアソン・ハッカソン」の会場の様子。行政職員の悩みをもとにエンジニアがAIのプロトタイプ(業務改善アプリの試作品)を開発するイベントで、エンジニアがテーブルを囲んで開発に取り組んでいる。

イベントの流れ

イベントは、次の流れで実施しました。

  1. プロトタイプの開発(10時00分から15時00分)
    • 職員がAI活用に関する相談を実施しました。
    • AIエンジニアがプロトタイプを作成し、デモを実施しました。
  2. デモンストレーション
    • 作成したプロトタイプの一部に対し、コメンテータが閲覧・評価しました。

コメンテータは、デジタル庁(平将明デジタル大臣、デジタル監、統括官)、東京都(宮坂学副知事、デジタルサービス局長)、GovTech東京(業務執行理事)の計6名です。コメンテータからは、様々なコメントがありました。

デジタル庁の平将明デジタル大臣ら6名がコメンテータとなり、イベントで開発されたAIのプロトタイプを講評している。会場の前方にコメンテータが並んで着席し、参加者が講評に耳を傾けている。

2. イベントの特徴

本イベントは、一般的なハッカソンと比べて以下の特徴があります。

  1. アイデアを持ち込む人と開発者が分かれている。
  2. 開発者は複数のテーマを担当する場合がある。
  3. 開発者が事前にテーマを知らない。
  4. 最終的な順位付けを行わない。

これらの特徴を踏まえ、最も重要な点は、事前に開発パターンを検討し、汎用的に使えるように準備しておくことです。これにより、様々なプロトタイプ開発(業務改善アプリの試作品)が可能になりました。

テーブルを囲んで行政職員3人が並んで着席し、向かい側に座る相談窓口の担当者と話し合っている。行政職員が日頃の業務での悩みを持ち込み、業務改善としてAIのプロトタイプの開発に向けて話し込んでいる様子。

3. イベントの成果

本イベントの最大の成果は、業務改善アプリが当日中に開発され、その動作を行政職員(アイデアを持ち込む人)が実感できたことです。その結果、AIエンジニアと行政職員の間で認識の差を埋めるという当初の目的を達成できました。
5時間という短い開発時間の中で、38個のプロトタイプ(業務改善アプリの試作品)が完成しました。また、開発者側は、各開発パターンに対して汎用的に使うための準備が有効であることも成果として確認できました。

4. 今後の展開

今後は、以下の事項を目指します。

  1. AIによる業務改善を希望する職員が、迅速にAIの恩恵を受けられるようにする。
  2. AIエンジニアが現場のニーズを把握しやすくする。
  3. AIエンジニアのスキル向上を目指す職員の成長を促進する。

最終的な目標は、AIを持続的に活用できる体制を構築することです。今回は事業者ごとに開発チームを構成しました。今後は、複数組織の開発チームが交流できるような仕組みも検討します。
また、相談窓口のAI化や開発パターンの拡充する必要性も認識できました。さらに、作成したプロトタイプをイベント後も活用できるよう、継続的な改善が必要になります。そのための体制構築の重要性も認識できました。

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