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令和6年(2024年)第2回政策評価・行政事業レビュー有識者会議

概要

資料

議事概要

日時

令和6年6月19 日(水) 9時45分から12時00分まで

場所

オンライン開催

出席者

委員

佐藤座長、岩﨑委員、上村委員、神林委員、笹嶋委員、中空委員、堀川委員

1. 各事業の解決の方向性について

事務局から開会宣言の後、各事業の解決の方向性について担当から事業の目的・概要・課題・目標の説明し、順次質疑応答が行われた。

なお、主なコメント・質疑については以下のとおり。

1. ガバメントソリューションサービス(GSS)

委員: 行政事業レビューシートにおける短期アウトカムのGSSユーザー数は権限を付与したら自然に増えるのでしょうか。これはアウトカムというよりはアウトプットのように感じますので、ユーザー数が増えることよりも、ユーザーがしっかりと使えていることを測定するべきだと思います。

担当: 端末をデジタル庁で一括で購入し配布しており、その端末を渡した人数が約3万5千ユーザーで、この方々にソフトウェアのライセンスなど、権限を付与しております。GSSユーザー数はこれをカウントしています。

ご指摘の点につきましては、満足度調査も行っており、最新の満足度調査では約1万3千ユーザーから回答があり、不満の人は1割、それ以外は満足・やや満足・普通といった評価になっております。

委員: 満足度調査だと主観的になりがちなので、どれだけ使っているかということをデータ的に把握はできないでしょうか。

担当: テレワークで利用しているというデータは取れており、調査の回答を見ても、テレワークを非常に利用できるようになったとの回答もあり、その点については従前のシステムよりもかなりテレワークが利用されているのではないかと感じております。

委員: モニタリングできるか、しっかりとデータを取得できるかどうかが重要だと思っています。ロジックモデルについては、アウトカムで何をデータとして取るのかが書かれていないので改善していただければと思います。

委員: 府省庁間や府省庁内でデータにアクセスできてそれが連携すること重要だとわかりますが、どれだけ便利か分かりにくいと考えます。

また、保守・運用は何がどれだけ必要なのかも分かりにくいので、事例でも良いのですが、取り組んでいることを教えていただければと思います。

担当: 利便性向上という点については、従来は家に持ち帰って仕事をしようとすると役所までVPNにつなぐ必要があり、接続できる人数に限りがありましたが、GSSはゼロトラストという仕組みを採用しているので、家庭のWi-FiからSaaSサービスを使って、テレワークできる人が増えております。また端末にもLTE通信の仕組みも入れており、家庭にWi-Fi環境がないような場合や出先の事務所など、どこでも仕事がしやすくなったという評価をいただいております。

保守・運用については、ネットワークを構築して実際に使っていただく中で、ユーザーは分からないことがあると質問することがありますが、ヘルプデスクなどを用意してしっかり対応していくところに様々なコストがかかります。GSSを利用する省庁が増えていくと、さらに対応が必要になってくるため、これまでは構築にリソースが重要でしたが、今後はこれを使っていく人のフォローのために色々なリソースが必要で、そこに関して合理化及び高度化を図っていくことが必要ですので、保守・運用が大事だと説明させていただいています。

委員: クラウドにはどのようなデータに入れるのでしょうか。個人情報などのデータベースにアクセスするということではなく、仕事上スムーズにできそうなものが置いてあり、クラウドで共有できるもので、個人情報のような外に出てはいけないものやハッカーに取られてはいけないようなものについては、セキュリティ上問題ないと考えてよいでしょうか。

担当: 役所はたくさんの行政情報を扱っていますが、例えば国会答弁などのワードファイルで、従来だとファイルサーバーにあるものをクラウドにおいて、それを各所からアクセスし、自宅からでも国会答弁を作成するようなことができます。管理するデータに関しては、セキュリティの度合いと機密性のバランスをとって範囲を決めています。

委員: 暫定報告書のたたき台にもありますが、これまでは各府省庁のLANは各府省庁が独自に開発していたものをデジタル庁で一括で開発することにどのようなメリットがあるのでしょうか。

担当: 事例で紹介しますと、合同庁舎には様々なたくさんの省庁が入っていて、それぞれがWAN回線のルータやG-Net用のルータを置き、さらにそれぞれ回線を引くような構造となっていました。そのネットワーク機器が集約されることや回線そのものも集約して太くなるので、この中を論理的に分割することによってネットワークを構築する形に変えており、ネットワーク機器の集約や回線の集約により合理化を図れることが、各府省庁のLANを統合していくことの経済的なメリットとなります。

委員: 同時に工事ができるから安くなるという理解で良いでしょうか。

担当: 例えば回線の契約を7本するところが1本で済むということなど、色々積み重ねていくと経済合理性が出てくると考えています。

委員: まとめたら費用を抑えられるということがネットワークにおいても成り立つのかは疑問で、また各役所のセキュリティやデータの保管形式もばらばらで、そもそも開発業者もばらばらなので、それを統一するのは難しいのではないでしょうか。各省庁のメニューを全て取り込まないといけなくなるとかえって費用が高くなるようにも感じます。

担当: ご指摘の点は、各府省庁独自システムなどは、統合対象ではなく、基本的に業務の標準化として、あくまでも情報系のワード・エクセル・メールなどを統合していくことが前提です。

業務で使用する標準的なツールは、各府省庁基本的に同じものを使っているので、使い方に差はあっても統合することで合理的になります。各府省庁個別の要件は各府省庁で対応し、共通化できる部分を切り出して共通化しています。

一方で、共通化できる部分でも、府省庁によっては、ヘルプデスクがオンサイトでなくてはいけないとか、ヘルプデスクは20時まで必要などとやや特殊な要件があるので、そういうところについてオンサイトではなくオフラインで電話先の人とのやりとりにしていただけないか、時間帯は9時から17時にしていただけないかなどと調整して、できるところは標準化して効率化することで集約を図り、各府省庁の職員が同じシステムを使うことで効率化を図れるということを考えながら作業をしています。

委員: 各府省庁の合理化が進まないと経済性があがるわけではないので、ヘルプデスクだけではなく根本的にどうするかというものがないと、結局は高止まりになると感じます。

担当: 例えば端末の調達にしても、ある程度の量になると価格がかなり下がってくるという合理化があります。また業務についてもネットワークの帯域が太くなる方向であり、Web会議もやりやすくなり、従来よりも利便性が高くなるものが多いことから、その上での業務の標準化に関しては、各府省庁もそこまで抵抗するものではなく、例えば、各府省庁で個別ソフトを入れており、バージョンが古いものはセキュリティ的に良くないものについて調整したりしています。

また、各府省庁の個別システムに接続するためのネットワーク経路について、特殊な機密性が要求される場合はこういう風にしてはどうかと提案しながら調整したりしていますが、基本的には標準的な仕組みがかなりネットワーク帯域の太いものを作っているので、色々なものを吸収しながら対応できているというのが現状です。

委員: 元々十分にセキュリティがあるところはこの仕組みに入りたくないという発想にもなりかねないと思いますので、統合と利便性があがることを一つの土俵で理由付けすることは矛盾があるのではないかと思います。また、省庁によっては、すぐに移行はできないという現状があると認識していいのでしょうか。

担当: 事例となりますが、全世界に拠点がある府省庁に関しては、実際どういう通信要件であるかという点に関しては色々と整理しながら、調整はじっくりとやる必要があります。

委員: 本当にそうしたところまで統合をする必要があるのかは疑問に思います。

委員: 従業員のワークライフバランスについて言及されていますが、その点はどの程度まで目標に入っているのかでしょうか。テレワークが進んでいるというのであれば、テレワークの頻度だけではなくて、労働時間そのものが短くなってるのかなど労働時間を把握していくべきだと思います。

また、システムの集約によるハッキングのリスクや物理的な電力喪失のリスクの評価は入っているのでしょうか。

最後に、各府省庁独自のシステムを見ながら会議をしないといけないとき、会議はグループウェアでやりますが、個別システムは別にありネットワーク上繋がっていないはずなので、端末を2つおいて、片方はグループウェアを、もう片方は個別システムを見るような形になると思うが、将来的にはもしくは現状どのようにつながりを考えているか入れ込んでいただけると良いと思います。

担当: リスク評価について、セキュリティ面では、ゼロトラストと申し上げましたが、端末の方で境界防御ではない方法でも守る形にしており担保できている部分もあると考えています。各拠点に集約している分についてどうしているのかという点は、各拠点で冗長的に回線を引いているが、まだ工夫の余地はあると思います。ただ、端末にもLTE通信を使えるようにしているのと、自宅のWi-FiからでもSaaSを使えるようにしているので、可用性に関してはその点のメリットもあると考えています。

最後の個別システムに関しては、ご指摘のとおり2台持ちになっている場合もあれば、業務端末から独自のシステムに触れるようになっているものもあり、そこは個別の事例に沿ってやっているのが現状だが、最終的には利便性を高めていきたいとと考えています。

委員: システムの冗長性に関するリスク評価はできていると思いますが、それ以外の地震に対するリスク評価など、府省庁全体のネットワークですので政府が持っているリスクという観点で評価はできていますでしょうか。

担当: 十分にできているかと言われると議論の余地はございますが、東南海・南海地震と南海トラフ地震を想定したIT-BCPを作って運用しているところで、引き続き確実性を高めていくことは必要だと考えています。

委員: 現在28府省庁のうち10府省庁がGSSに移行されているということですが、最終的に全ての統合はいつ頃を予定されているのでしょうか。印象としては、1つでも接続されなければ既存のネットワークが残ったままになっていますので、重複コストがかかってしまうと考えます。

担当: 次々期を想定している府省庁もあり、2030年ごろには28府省庁を統合することができればと考えています。

委員: 統一すると規模の経済効果が効くのかというと、現実的にはあまり大きくなると構築・運用できる事業者数が減って高くなってしまうのではないかと考えられます。

また、個別システムに関して、別に省庁でネットワークを作ることになると考えると、二重にネットワークを張らなければいけなくなるので、府省庁が特殊要件も含めて1つネットワークを構築した方が安価になりえる可能性もあり、その点について、政府の共通ネットワークの後継として帯域を上げた貢献と、各府省内のネットワークも統一することのメリット・デメリットをどう評価するかがこの事業に問われるところかと思いました。

また、GSSに関しての印象を申し上げると、バックボーンとしてのネットワークの話と、ゼロトラストオンラインの会議システムというネットワーク上に乗っかっているサービスという複数事業で構成されているため、各事業の正確にあった形で評価いただけるとより良いものになると思っています。

質問になりますが、ネットワークの構成において、東南海・南海地震や南海トラフ地震のIT-BCPを前提に設計されたのかということと、設計には民間の知見も必要となりますが、行政ならではの要件もあるため、デジタル庁側でネットワーク構成などシステム構成も含めて設計されたのでしょうか。

担当: 東南海・南海地震や南海トラフ地震のIT-BCPも想定して構築しています。ネットワーク構成図については、デジタル庁として民間専門人材をデジタル庁に雇用しており、彼らを中心に行政人材も意見を出しながら作っているのが現状です。

2. 法人共通認証基盤(GビズID)

委員: アカウント発行数は担当がコントロールできる指標かどうかが気になっています。法人が取得の意思を見せないと発行できないというのであればアウトカムになると思います。また、時間短縮効果とか事業者又は行政側のコスト削減効果のようなものが測定できるのであれば、それをアウトカムとすると良いと思いました。
ダッシュボードについては良い取り組みで、公開予定があるなら公開をして、事業の成果を国民とシェアするという仕組みはとても重要だと思います。長期アウトカムで連携サービスを300まで増やすということ、こういった連携のサービスというのは、まさにアウトカムになると思っていますが、優良事例の横展開を図るような仕組みはあるか、そのような工夫はされているでしょうか。

担当: GビズIDのアカウント取得は義務とはなっておらず、事業者の方にオンライン手続のために自主的に行ってもらうものですのでコントロール可能ではないため、GビズIDの取得事業者数を1つのアウトカムとしています。

コストの評価については、GビズIDの取得というところについて申し上げますと、これまでは郵送で行っていて1週間ぐらいかかっていたものがマイナンバーカードで手続できるようになり、即日発行できるようになった点は時間短縮効果があったと考えています。

加えて、実際にログインするということに関しては、例えばこれまでは郵送で登記事項証明書等を送って事業者確認していたところが、GビズIDにログインすることで単純化・効率化されるというところで、コスト換算をするようなことは可能かと考えています。

ダッシュボードはまだ内部でしか見られるようにできていませんが、どのようなシステムで使えるのか、どのようなユーザーに取得してもらっているのかというところは、まさにマイナンバーカードでもダッシュボード化してその取得者数を公開しているところでもあるため、今後公開できる情報を整理して検討してまいります。

優良事例の横展開については、社会保険手続などについては厚生労働省が一緒に宣伝してくれていることや、補助金であれば、GビズIDの取得が必要という形で、各府省庁の補助金担当が一緒に宣伝してくれているようなところがあるので、このような取り組みを一緒にできないかということを、今後も各府省庁と連携して進めていきたいと考えています。

委員: 身元確認を一元化するような仕組みだと理解していますが、行政手続によって必要な情報が異なる場合、過剰な身元確認になる可能性はないのかというような点は検討されたのでしょうか。

担当: 通常身元確認をする場合において、特に事業者については、商業登記の登記事項証明書、個人の場合は、個人の公的身分証明書と同じようなものが身元確認に必要となります。GビズIDを取得する際にこれらを確認することが、基本的にフィジカルに身元確認する上でも必要な対応となるので、その点を電子的にどう処理できるかということで整理して対応しています。

委員: 場合によっては、GビズIDで通っても、行政手続によってはこういう資格要件を満たしていないといけないという身元確認は、各行政手続のシステムに入った後も追加で手続してもらうことを想定しているということでしょうか。

担当: 身元確認という言葉をどういう概念で使うかというところにも関わってきますが、行政手続によってはこういう資格要件等を満たさないといけないといった手続もあると思います。そうした部分の追加的な資格確認等は、実際その手続のシステムに入った後にしていただくことは当然生じると考えております。

委員: どれだけの中小企業を含めた事業者に、もっと展開していくことをアウトカムにした方が良いかと思います。全事業者がGビズIDを取得していないといけないと思うが、全法人の取得と考えると中小企業も含めると目標数が小さいのではないかと感じます。

また、ソフトウェアの価格が分かりませんが、システムに係る値段に対して効果があるのかが不明のためその点について教えていただけないでしょうか。

担当: アウトカムについては、大企業と中小企業の両方を対象にしているサービスですが、ご指摘のとおり、中小企業における取得率はデジタル化への対応というところにおいて遅れている部分もあると思いますので、そこをターゲットにしていくという考え方はあると考えます。

コストの評価については、1つは、紙でやった場合とのコストとの比較においてどれほど効率的なのかということと、個別にシステム化した場合のシステム開発・運用コストを足した場合とGビズID単体で開発・運用した場合にどれだけコスト効率的なのかという比較がありえるかと思っており、認証サービスというものを各システムごとに個別に作って運用していくことを考えると、GビズIDという形で共通基盤を作った方が効率的だと考えています。

委員: マイナンバーカードによる本人確認により登録したら、国側にはシステム上で個人情報が溜まるようになるのかでしょうか。

担当: 個人情報というところで、どのように本人確認しているかというと、その代表者の氏名・住所を商業登記の情報と突合確認して登録するという形になります。民間のサービスでもアカウントを作る際に登録される個人の氏名や住所等の基本情報の範囲内で、情報は登録されます。

委員: 経費が掛かっている部分はセキュリティ関連になるのでしょうか。

担当: システムのセキュリティも考えて構築していかないといけないと思っており、重要な点ですので、配慮していくことが重要だと考えております。

委員: 頻度が少ない行政手続をシステム化する意味はあるのでしょうか。

担当: 例えば年1回しかやらない手続のためだけに個別システムで認証機能を作るよりは、どんな手続でもGビズIDでまとめて認証できる環境を作ることによって、コストも全体として低減できるのではないかと考えています。

委員: 年に1回しか手続がないのに、パソコンを持たない業者がパソコンを用意しないといけないというケースもあると思うので、逆に不便になるケースもあると考えています。ユーザー目線でシステム構築していくことが大事ではないでしょうか。

担当: そこはまさに手続の複雑性や事業者のリテラシーによる部分かと思います。例えば、事業者によってはすべて電子でやりたいというニーズもあるので、ご指摘のとおり、まずは紙で当面対応していくところもあるとは思いますが、将来的にデジタルがデフォルトになってきた場合に、それに対する対応を準備しておくことが必要になると思っています。

委員: システムありきですべてを判断するのではなく、本当にユーザーにとってシステムありきでいいのかということ、ユーザーファーストで考えるべきものは考えた方が結果として経済性にも繋がるいう意見です。

担当: おっしゃるとおり、当然手続件数が多いものをより先に電子化するといった形で便利にしていくところは必要だと考えます。ただ、件数も少なく、特にユーザーの属性として紙でやる人が多いものもあると思いますので、そこをきちんと見ながら、それぞれの手続ごとに対応を考えていくべきと考えます。

委員: 年間削減効果の金額が算出されていますが、大体何パーセント程度の削減になるか比率で示せるのであれば、確認していただきたいと思います。

委員: アナログ手続も残しておいた方がいいという意見について、自分はよりデジタル化を進めていくべきだと思います。新しいビジネスチャンスや、どういう業界でデジタル化が遅れているかが分かるというチャンスでもあるので、進めていただければと思います。

担当: できるところは進めていくべきですが、デジタル庁としての「誰ひとり取り残されない」という目標も掲げている中で、それを進める順番や、ユーザーのリテラシーを考慮しながら進めていくことが特に公共サービスでは重要だと考えています。

委員: アウトカムの指標として、GビズIDを使うことでどのように利便性があがったのかということを示していただけると良いと思いました。

また、人事異動を踏まえても引き続き継続できる体制にしておくことが大切だと思います。

担当: 利便性を評価する指標については、どういう形ができるか検討していきます。体制については、デジタル庁には民間のプロジェクトマネージャーや認証のスペシャリストなどもいて体制が構築されており、チームで安定的に運用できていると考えております。

3. ベース・レジストリ事業

委員: 短期アウトカムの手続件数はアウトプットに近いのではないかと思います。負担軽減効果のようなものを提示できると良いかと思います。

また、不動産ベース・レジストリについて、京都市のように通りの名前を用いて住所表記する場合にどうなるのかは関心があります。

好事例を横展開することも重要だと思いますが、その点は工夫されているのでしょうか。

担当: デジタル庁としてはデータ整備をすることは大事なアウトプットで、省略できる件数や省略された手続の件数については我々でコントロールできるものではないのでアウトカムと考えています。また、ご指摘の負担軽減効果についても、アウトカムに設定しております。

ベース・レジストリをデジタル庁で整備した上で、各省庁において、参照して手続を不要とするものはこれとこれとこれである、といった点を必要性やそれで足りるかということも含めて、実際には細かく決めていただき、下位省令で定めていただくことになります。その際デジタル庁としては、モデル省令をデジタル庁で考えてお示しすることで、各省庁が乗りやすくするようなことを考えています。

京都市のような事例については難しいところで、これまでも実証事業で調査していく中で、通り名で所在地が書かれているものをどうするかというのは引き続き検討しています。地元で通っていく名称と行政で使う名称が必ずしも一致するのかという点もあり、今後ベース・レジストリを整備していく中で、どこまで整備するかは費用対効果も含めて検討していく必要があると考えています。

最後に好事例の横展開については、これからの事業となりますが、アドレス・ベース・レジストリなどの先行的に公開している例もありますので、それをどう使えるか今まさに試していただいているところであり、今後聞き取っていきたいと思います。

委員: 好事例を横展開するということをアウトプットのようなもので置き換えていくと、皆さんの努力がレビューシートに反映されて良いのではないかと感じました。

委員: ベース・レジストリの整備はこれからの事業ということですが、事業所のデータの統合はあきらめたということでしょうか。

担当: いまのところ、いったん中止した事業所については再度の整備を考えておりません。限られたリソースや予算範囲のなかで、優先順位としてやれること含めて、ここからやっていこうというものが今回示した分野となります。

委員: 今回整備を考えている3分野についてシステム化していくということで、このばらばらな概念に3分野が表現されており、この中には当然住所など重なってくるところが多々ありますが、これをばらばらに開発するのか、それともこれを整理した上で開発するのでしょうか。また、システムの開発業者は統合するのでしょうか。

担当: ベース・レジストリについては今回この3分野ということになり、個々のデータベースという意味では、別のデータベースとなります。

法人分野については法務省が持っている法人商業登記のデータが元となりますが、そのままだとデジタル化・オンライン手続等にはすぐに使えない形になっていますので、いわゆるデータクレンジング含めて整備して提供できる形にします。これと同じことを不動産登記のデータベースについても行うこととなります。不動産登記のデータベースについては、住所というよりは地番の体系で管理されているので、地番の体系と住所・住居表示の体系を紐づけたような形で提供しようとするものがアドレス・ベース・レジストリとなります。従って、双方の知見を活用しながら進めることになります。

システムの在り方については法務省や事業者等との折衝も含めて、いままさに検討しているところです。システムの整備一つとっても、既存のシステムがある中で、どう外向けに開放できるような形にしていくかが難しい問題であり、民間の専門人材、データベースの専門家も含めて検討を進めているところとなります。データベースとしては3つのものができあがると思っていただいて問題ございません。

委員: システムの整備よりもその後の維持が大変だと思います。市町村合併などで区割りが変わってしまうと、住所も変わるため、費用対効果という点であまり高くないところで住所変更が出てきます。暫定報告書には必要な頻度で更新と書いてありますが、変更の頻度などの仕組みを説明する方が良いと感じました。

担当: 合併や新しい町・字の発生などもあり、アドレス関係については、自治体の方に今あるデータ、集めたデータが正しいかの確認作業を行うとともに、そのアップデートの方法についても並行して検討を進めているところです。町・字レベルであれば一つの市で年間何百件も出てくるものではないので、そんなに頻度高くなくできるだろうと思っていますが、データベースを細かくしたときに、どういった方法であればなるべき自動的にデータベースをアップデートできる方法として、どういったものを考えられるか、技術的な詳細を詰めつつ、それを誰が担っていくか、自治体のシステムに組み込めば自動的にアップデートできるのかを検討しているところです。

委員: 名称、住居、地番を標準化することが主な目的という理解で良いでしょうか。

また、更新について、最新の情報だけではなく、過去の時点の情報が残っていないと対応関係が分からなくなると考えます。すべての時点のデータをストックしておく必要はないと思いますが、膨大なデータ量となるはずなので、どのくらいデータを保持することを考えているのでしょうか。

担当: データの保持についても課題であると考えています。初期データとして提示する時点で、提示した時点のデータとなります。過去の市町村合併の情報はそれぞれの市町村が持っていますが、それをどういう形で提供しうるは、ベース・レジストリの中で提供するかどうかも含めて検討課題であると考えています。国が整備するベース・レジストリの中で提供する部分に加えて、例えば民間のサービスとして扱っていただくことも考えられると思います。

また、アドレス・ベース・レジストリの目的の一つに、ここの住所はこのように書くと良いという形での標準化は目指しております。ただ、それに付加して位置情報や座標的な話など、そういったものを含めてデータベースをどこまで整備できるかを検討しているところです。標準化については、何か一つに決めるというよりは、データ連携するにあたっての範疇やルールをどこまで定めるかということかと思っており、そこはアドレス・ベース・レジストリとして実現できたらよいと考えています。

委員: 統計を作る時の母集団データベースとの関係はどうなっているのでしょうか。

政府統計を取る時は、基本的な母集団として統計委員会の中で母集団データベースに一元化するという話が進んでいるところですので、確認いただきたいと思います。

委員: ベース・レジストリの維持については自治体の負担も大きいと思いますが、そのような懸念はあるのでしょうか。

担当: 目的自体が、今まで登記の情報について、公用請求などで自治体が自ら見に行かなければならなかったところを、オンラインでできるようにしていくという意味では負担軽減につながると考えます。

一方で、自治体側でオンラインで情報を集めるための環境整備や住居表示のやり方自体の見直しなどが市町村によっては発生するかもしれません。

そのあたりは、住居表示をどのように管理しているかの調査もしており、紙でやっているところもたくさんありましたが、そういうところにどのようなシステムを整備すれば助けになるかなどをお伺いしながら進めております。総務省とも議論しながら、自治体の負担を最小化しつつ、その恩恵を享受いただくためにはどうしたらよいか議論していきます。

委員: データ整備そのものについては自治体の負担はないということでしょうか。

担当: 少なくとも登記の情報に関しては自治体はデータ整備に関係なく、町・字の情報については、こちらが集めた情報が正しいかどうかの確認をお願いしているところです。

2. 政策評価・行政事業レビュー暫定報告書(たたき台)について

暫定報告書(たたき台)について事務局より説明
加筆修正のご意見がある場合はメールで連絡いただくこととなり、第2回有識者会議の審議も踏まえた内容の修正については、出席委員全会一致で座長一任となった。

3. 公開プロセス対象事業の選定について

各委員から推薦したい事業を確認後、佐藤座長からご意見をとりまとめて「法人共通認証基盤」と「ベース・レジストリ事業」を公開プロセスの対象事業とすることを推薦し、出席委員全員から異議がなかったことから対象が決定した。

以上