令和6年(2024年)第3回政策評価・行政事業レビュー有識者会議【公開プロセス】
概要
- 日時:令和6年(2024年)7月24日(水)10時00分から12時00分まで
- 場所:オンライン開催
公開プロセスの様子をライブ配信します(Microsoft Teamsを使用)
第3回政策評価・行政事業レビュー有識者会議【公開プロセス】のライブ配信
※ライブ配信は終了しました - 議事概要:
- 開会
- 議事
- 法人共通認証基盤
- 事業説明
- 質疑・議論
- 意見とりまとめ
- ベース・レジストリ事業
- 事業説明
- 質疑・議論
- 意見とりまとめ
- 法人共通認証基盤
- 閉会
資料
- 外部有識者名簿(PDF/167KB)
- 法人共通認証基盤
- ベース・レジストリ事業
- 議事録(PDF/459KB)
関連資料
- 公開プロセスにおける有識者取りまとめコメント
会議動画
- 令和6年度政策評価・行政事業レビュー デジタル庁公開プロセス動画
YouTube(デジタル庁公式チャンネル)にて公開しています。
議事録
森参事官: それでは、令和6年度「デジタル庁政策評価・行政事業レビュー(公開プロセス)」を開催いたしたいと思います。
本日の進行は、デジタル庁参事官の森が務めさせていただきます。よろしくお願いいたします。
なお、本日はウェブ会議システムを用いて開催をさせていただいております。
まず、開会に当たりまして、デジタル庁戦略組織グループの冨安統括官から御挨拶をさせていただきます。統括官、よろしくお願いいたします。
冨安統括官: デジタル庁の戦略組織グループの冨安でございます。本日は大変お忙しいところ、御参加を賜りまして誠にありがとうございます。
本日の公開プロセスでは、法人共通認証基盤のGビズID、それからベース・レジストリ事業の2事業につきまして御議論いただきます。
GビズIDはまさに電子的な行政手続の対象者を一元的に認証することで法人の代表者や従業員、個人事業主が一つのID及びパスワードを用いて複数の行政手続システムにログインできるようにするものです。ベース・レジストリ事業は住所、所在地、法人の名称など、制度横断的に多数の手続で参照させるデータにつきまして、それらのデータベースの整備等を行うものであります。ともに国民の方々の利便性の向上や行政運営の効率化などを目指している事業となっております。
有識者の先生方には、これから本事業の質を上げていくためにぜひとも政策目的、あるいは目標設定やアプローチ方法などにつきまして、種々の視点からいろいろと御指導、御指摘をいただきたいと思っておりますので、本日はどうぞよろしくお願いいたします。
森参事官: ありがとうございました。
それでは、本日御出席の外部有識者の方々を御紹介させていただきます。本日の公開プロセスには、デジタル庁選任の外部有識者4名、内閣官房行政改革推進本部事務局選任の外部有識者3名の合計7名の外部有識者に御出席をいただいております。
最初に、本政策評価・行政事業レビュー有識者会議において座長をお願いしております、国立情報学研究所情報社会相関研究系教授、佐藤一郎委員です。佐藤委員には座長として議論の進行、最後に御意見の取りまとめ役をお願いしております。
続きまして、次の外部有識者の委員からはウェブ会議システムでの御参加ということになってございます。50音順に御紹介させていただきます。
まず、早稲田大学電子政府・自治体研究所教授、岩﨑尚子委員。
続きまして、関西学院大学経済学部教授、上村敏之委員。
続きまして、武蔵大学経済学部教授、神林龍委員。
続きまして、兵庫県立大学情報科学研究科教授、笹嶋宗彦委員。
続きまして、BNPパリバ証券グローバル統括本部副会長、中空麻奈委員。
続きまして、一般財団法人経済調査会監事、堀川義一委員。
以上7名の委員の皆様、本日はどうぞよろしくお願いいたします。
なお、笹嶋委員におかれましては、所用により10時半頃に途中退室と伺っております。
続きまして、本日の進行について御説明させていただきます。本日の公開プロセスでは、法人共通認証基盤、いわゆるGビズIDとベース・レジストリ事業の2つの事業を取り上げております。まず、GビズIDの事業担当者から事業の説明をさせていただきます。その後、委員の皆様から当該事業に対する忌憚のない御意見、御質問等を頂戴したいと思います。その後、議論の終了8分前程度を目安にアナウンスをさせていただきますので、各委員それぞれ最終コメントを述べていただくようお願いいたします。その後、委員を代表いたしまして佐藤座長にコメントを取りまとめていただきまして、委員の皆様に御承認いただいた上で確定をさせていただきたいと思います。次に、ベース・レジストリ事業についても同様の流れで行わせていただくことにしております。
議事進行に関してでございますけれども、ノイズ、ハウリングの防止のため、マイクは通常オフの設定でお願いいたします。御発言の際には挙手、あるいはシステムの挙手ボタンを押していただきましたら、座長から指名をさせていただきますので、その際、マイクをオンにして御発言をいただきまして、御発言が終わりましたらまたオフに戻していただきますようお願いいたします。
それでは、ここから外部有識者の方々による議論となりますので、進行を佐藤座長にお願いさせていただきます。佐藤座長、お願いいたします。
佐藤座長: 座長の国立情報学研究所の佐藤一郎でございます。よろしくお願いいたします。
まず冒頭に、今回は公開プロセスということでこれまで御議論いただいた委員の方々以外の方も御参加されておりますので、ちょっと概要だけ御説明しますと、デジタル庁では政策評価と行政事業レビューの一体化をして進めさせていただいております。ですので、そもそも2つは異なる制度なのですけれども、似たようなこともしていることなので、1つにまとめてさせていただいています。なので、政策評価的な観点と行政事業レビュー的な観点がやや混ざるところがありますけれども、御理解いただければと思っております。
また、後ほど御説明しますけれども、今日の公開プロセスの前に2回、非公開で当該事業に関して各委員から御意見をいただいているところでございまして、そのときには今回の2件以外の事業もあったのですけれども、皆さんに御議論をいただいて、今回の2件、GビズIDとベース・レジストリを選ばせていただいたというところが背景となります。
それでは、早速1件目となります。法人共通認証基盤(GビズID)に関する議論を始めさせていただきたいと思います。
まず、今日初めて公開プロセスをお聞きになられる方もいらっしゃるかと思いますので、事業担当から事業の説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
吉田企画官: GビズIDを担当しております、デジタル庁の企画官をしております吉田と申します。
まずはこちらがどういった事業概要なのかというところをスライドを使って御説明させていただきます。御紹介いただきましたGビズID、法人共通認証基盤の概要でございますけれども、どういったところを目的としているかということでございますが、各事業者向けの行政手続はオンラインで行えるものがかなり増えてきていると認識しております。そういった中で一つ一つの手続ごとにID・パスワードを管理するというところにつきましては、手続を行う事業者にとっても負担が大きく、これを管理する行政機関側にとってもコストがかかるというところになってまいります。こういったところについて、ある意味このGビズIDというログインのシステムを一つ構築することによりまして、様々な手続に事業者様が1つのID・パスワードでログインできるようにする、行政機関側はそういったログインのシステムを個別に開発しなくてよくなるというところの中でシステムの効率化を図れるようになるのではないかというところで構築させていただいているサービスでございます。
メリットとしましては、まさに今、申し上げたとおり、1つのアカウントで複数の行政手続にログインできるというところでございます。また、今年度からマイナンバーカードによる本人確認でこちらのアカウントを発行することができるようになりましたので、以前は紙申請という形でこのアカウント取得自体にも時間がかかっていたところがかなり簡素になったというところがございます。また、GビズIDプライムという代表者確認をしたアカウントにおいては、二要素認証という形でパスワードプラスアプリ認証というところで所有物を確認して認証するという手段を取っておりまして、セキュリティにも配慮したような仕様となっているところでございます。
GビズIDの足元の活用状況というところでございますけれども、これは5月現在の数字でございますが、登録ユーザー数は115万者というところでございます。GビズIDにつきましては法人と個人事業主の両方に対して発行しているところでございますが、法人のアカウント取得が8割で、個人事業主が2割という割合になってございます。年間ログイン数としましては2200万件ということで、かなり使われているというところでございます。連携システム数に関しましては188ということで、こちらは事業者向けの行政手続といった場合に当然国の行政手続もございますが、地方自治体の行政手続でもこちらのログインのシステムを各自治体の行政手続のシステムに接続させていただいて利用していただくことができるような形になっております。そのほか、政策金融公庫であったりIPAさんであったり、独法であったりといった機関にもこういったシステムを使っていただいているというところが現状になっているところでございます。
2020年頃からこちらのサービスはスタートしておりますが、順調に毎年度大体30万者ずつユーザーが増えているというところになってきているところでございます。GビズIDにつきましては、この重点計画は先々月、新しいものが出たところになっておりますが、昨年の重点計画におきましても、共通的な認証・署名の利用というところに関しまして、法人の電子認証についてはGビズIDというものを共通的な認証サービスとして使っていくということが政府全体のシステムに関しては申し上げているところでございますし、我々としてもそういったものとしてこちらの利用拡大を進めていこうとしているところになっております。
先ほど申し上げたとおり、GビズIDのアカウント発行につきましては、もともとは郵送で行われていたというところがございます。こちらについては商業登記の印鑑証明と実際に持っている印鑑を押した申請書を郵送していただくことをもって代表者の確認を行うということをやっていたためにそういった仕組みになっておりましたが、こちらが今年度からマイナンバーカードの本人の氏名、住所のデータを商業統計のデータと突合させることによって、最短即日でアカウントを発行できるようになったというところで利便性が向上しているところでございます。こちらについてはもともと事業者の皆様から補助金申請のためにこのGビズIDを取りたいと急いでるときになかなか郵送でアカウントが発行できなかったというところの中でそういった御不便に関するお叱りもいただいていたところでございますので、そこの部分について改善してきたというところでございます。
GビズIDのアカウントの種類でございますけれども、まず代表者の方にGビズIDプライムという代表者確認をした形で取得していただくアカウントを発行していただくというところになってございます。ただ、実際の行政手続は社員の方が行うというケースも多く、特に大きい企業になればなるほどそういったケースが多くございますので、こちらのGビズIDメンバーという従業員向けの枝アカウントを発行できるという形になってございます。
今年度から、GビズIDプライムとメンバーの間にGビズIDアドミンという形で管理者権限を持ったアカウントを創設しております。こちらはどういった趣旨かと申し上げますと、このアドミンがないときは全て代表者の方が従業員の方のアカウントを発行しなければいけなかったというところになっておりました。ただ、その運用というところは大きい企業になってまいりますとかなり煩雑になってまいりますので、こちらの管理者アカウントというのを例えば事業所単位や支社単位で発行して、その方が従業員に対して社員向けのアカウントを発行できるようにするという形の仕組みを導入しているところでございます。
また、本人確認をしないような簡易なレベルのサービスにおいてはGビズIDエントリーということで、パスワード認証のみのサービスも保有しているところでございます。例えば手続について委任という形でどなたかに代理して行っていただくようなものに関しましては、手続ごとにこういった委任が可能なのかどうかということを設定していただきまして、その委任される方もGビズIDを取っていただければ、そういった委任関係を結んで代理申請をすることも仕組みとしては可能となっているところでございます。
GビズIDを発行する際に様々な情報を登録していただいてございますが、我々のほうでこういったアカウントの情報をAPIという形でデータ連携するというところの機能もGビズIDでは持っております。こちらのAPIを活用するとどういうことができるかというところでございますけれども、例えば事業者向けの行政手続の申請フォームみたいなところの中にこういった基本情報をGビズIDから流し込むことでプレフィルされた状態をつくるというところで、事業者の皆様の入力の手間を軽減するということも可能になっているところでございます。
また、これはちょっと内部的なところではございますが、我々はGビズIDのアカウントの取得の割合や、どういった地域の行政機関様がGビズIDを使っていただいているかというところも可視化しながら見ていっているところでございます。ですので、こういったデータを見ながら、今後、どういった自治体の方々に使っていただくかといったところも検討していきたいと考えているところでございます。
今年度に関してどういった取組を進めていくかというところでございますけれども、アカウントの発行フローの改善というところで、事業者の皆様の発行がスムーズにいかないと使いづらいというお声を多くいただきますので、そういったところの改善を図ってまいります。
また、アカウント管理機能の改善というところで、先ほど申し上げたGビズIDアドミンという管理者機能の部分でより組織単位での管理というところが簡単になるような形の改修を予定しているというところです。
加えて、接続先の行政サービス、GビズID自体はログインの機能だけですので、その先に様々な行政手続のシステムが接続するわけですけれども、そういった接続システムがどうやったら簡易に接続していけるかというところをできるようにしていくサービスデスクのツールというところを導入していくでございますとか、あとはUXの改善というところも先ほど来申し上げているとおり使いやすさを追求するために進めていこうとしているところでございます。
また、GビズIDに関しましては、今後、商業登記電子証明書をリモート証明化するというところの中で、そこに認証の機能が必要になるということでこちらのGビズIDを利用していっていただくということも考えておりまして、そういったリモート署名の利用の連携のための改修というところも進めていこうとしているところでございます。こうすることによりまして、認証だけではなく電子署名のケースでもGビズIDが使っていただけるような環境を整備していこうというところでございます。
また、利用率を向上するというところに関しましては、これまではどちらかといえば事業者の皆様がこの手続でGビズIDが必要だからというところで順調に取ってきていただいていたところではございますけれども、今後、ユーザー向けのPRというところを進めていこうと考えております。まさにアンケート調査を行って、今はそちらを整理している段階ではございますけれども、そういったものの整理を踏まえて事業者の皆様に向けた広報等も今後は進めていきたいと考えているところでございます。
まず私からの発表としては以上になります。
佐藤座長: 吉田様、ありがとうございます。
それでは、質疑に移りたいと思うのですけれども、先ほど申し上げましたように非公開で2回御議論させていただいて、その中では担当者の吉田様から御説明をいただいて委員の方から質問して、担当の方から非常に丁寧に御説明をいただいたところで、委員の理解も深まっているところでございます。
今日は公開レビューなので、今までいただいた質疑を踏まえた上で論点を提示させていただきたいのですけれども、今、スライドが表示されていると思いますが、一つはGビズIDの取得拡大に向けて普及啓発をどう効果的に行っていくのかということです。GビズIDはある意味で行政手続をするときにGビズIDを使わなければいけないというところもあったと思うのですけれども、むしろ事業者の方々が利便性があると思っていただいて、より積極的に使うということと、それに合わせてGビズIDの対応サービスの増加であったり、またはGビズIDそのものの検討・改善というものも求められるところになります。
また、GビズIDは経産省で始まって、それをデジタル庁に引き継いだ形なのですけれども、持続的にGビズIDを進めていく上でどういうものを求められるか、また、GビズIDは認証基盤なので、認証した先のサービスも含めて考えなければいけないのですけれども、単体でなかなか効果が評価しにくいところもあるかと思います。これらのところを御議論いただいたわけなのですけれども、重なっても結構なのですが、今日、公開レビューとして構成員の皆様から御質問、御意見などがあればいただきたく、時間的には20分弱ほどでお願いをしたいと思います。先ほど森参事官からも御説明がありましたけれども、笹嶋委員は10時半から授業があるということなので、まず笹嶋委員から御質問、御意見をいただいて、その後、ほかの委員の御意見をいただきたいと思います。
では、笹嶋委員、御意見、コメントなどはありますでしょうか。
笹嶋委員: ありがとうございます。
想定される論点とも重なるのですけれども、要するに効果的な普及啓発を行っていくということに当たりまして、先ほどの説明の中では今年の秋にもPRを始めていくという御説明がありましたけれども、それについてはもうかなり方針といいますか、具体的な内容は固まっておられるのでしょうか。
吉田企画官: この点につきましては、まさに今、アンケートを各事業者様から取っておりまして、そのアンケートの内容を整理している段階でございます。そちらの整理を踏まえまして、どういった広報につなげていくかというところを今後、検討していくというフェーズになってございます。
笹嶋委員: ありがとうございます。
ここからはコメントなのですけれども、この認証基盤のシステムをつくっていただいている会社様といいますか、NTTなどの支出先というところが資料の中で挙がっておりますけれども、こういった認証基盤の利便性というのは非常に抽象的で概念的なので、なかなかPRといいますか、事業者の方が直感的に分かりそうなものというのがなかなか難しいと思いますので、そういったところを一緒に考えていただくといいますか、こういうものをより分かりやすく訴えるとか、実際にGビズIDプライムを使っておられてよかったところなどを効果的にイメージ化することというのは、このシステムの支出先に乗っておられる事業者様などのほうが、非常にふだんスマートシティづくりなどの概念的なことに関するコマーシャルも上手に打っておられている印象を個人的に持っていますので、そういうところに御相談されるのかも一案かなと思いました。
以上、コメントです。
吉田企画官: ありがとうございます。まさに事業者の皆様と議論しながらここを進めていくというところは重要だと認識しております。
加えまして、これまで利用を拡大するに当たっては、実際に接続していただいている、例えば社会保険手続であれば厚労省でありますとか、補助金であると経産省などが多かったりするわけですけれども、接続しているサービスのほうでGビズIDを取ってくださいねと言っていただいているところがかなり普及啓発につながっていると感じておりますので、そういった他省庁との連携というところも私どものほうで進めていきたいと考えております。
笹嶋委員: ありがとうございます。
おっしゃるとおりで、直接ユーザーに近いところといいますか、利用者に近いところの視点を入れたPRが効果的だと私は思いますので、その方向がよろしいかと思います。
ありがとうございました。
吉田企画官: ありがとうございます。
佐藤座長: 続きまして、オンラインシステム上で手を挙げていただいている順でこの後、御意見、御質問をいただきたいのですけれども、堀川委員、お願いいたします。
堀川委員: 堀川です。よろしくお願いします。時間の関係で一気に意見を述べたいと思います。
GビズIDは既存のシステムを利用率には関係なく対象とするとの考えであると理解しています。このため、利用数が少ない手続であっても、システム化されていれば対象となります。今回、年間利用数が100件以下の手続を調査していただいたところ、61件が該当し、そのうち53件は地方公共団体が運営するサービスでした。その中には閉じたユーザー向けに公開されているものも含まれていて、そもそも利用が少ないというのが原因だということも見えてきました。利用者が少ないサービスをGビズIDの対象にするかどうかを費用対効果の観点から検討する必要があるのではないでしょうか。
まず、費用の側面から見ますと、既存の認証サービスがGビズIDに置き換わって初めて削減効果が発生します。現状、併用となっている場合が多ければ、二重のシステムとなり、削減効果は期待できません。そのため、併用の状況をまず調査する必要があると考えます。
次に、効果の側面から見ると、併用となっていたとしても、国民の利便性が高ければ理解は得られると思います。しかし、もし併用となっていた場合、限られた利用者しかいないサービスを対象とするかについてはやはり削減効果が期待できない中で、慎重な判断が必要となると思われます。そのため、まず今回、年間利用者数が100件の水準を対象としましたけれども、そもそもこの100件のラインが適切かどうかも検証する必要があると考えます。
昨今、セキュリティ等にかかる経費が増大し、システムの更新に伴う費用が問題視されている中、国民の利便性向上を図る政策であってもシステム開発予算の膨張に対してコスト意識を持った判断が必要かと考えます。
最後に、EBPMの観点からもコスト意識を考慮した指標の設定を求めます。これまでにない観点かもしれませんが、積極的な検討を期待しているところです。
私からは以上です。
佐藤座長: ありがとうございます。
今、いただいたものは吉田様のほうでは回答しにくいかと思いますので、御意見としていただいたということにさせていただいて、次に上村委員、お願いいたします。
上村委員: 上村です。
レビューシートとロジックモデルの説明はなかったですけれども、資料にあるように短期アウトカムが2025年度末までに法人におけるプライムアカウントの発行数270万を目指すと書いてあります。GビズIDアカウント発行については法人側の申請が必要なので、これは行政側がコントロールできないということで適切なアウトカムだと思っていますけれども、その上で質問があります。2025年度の目標の270万ですけれども、この根拠を教えていただきたいというのが1つ目の質問です。
長期アウトカムとしては、連携サービス300を目指すと書いてあるのですけれども、IDが発行されても実際に使えないと意味がないので、そういうチャンスを増やしていくのは正しいと思いますが、ただ、先ほどの堀川委員の質問とも重なるのですけれども、サービスが増えても利用がされないというのは意味がないので、利用率を高めていくのはとても重要かなと思います。なので、長期アウトカムとして利用率みたいなものが適用できればいいかなと思いますけれども、これは可能なのでしょうか。これが2つ目の質問です。
最後ですけれども、ダッシュボードの取組はとてもよい取組だと思っています。これは地域別にいろいろ表示されているわけですけれども、今後、こういうものを公開する予定はあるのでしょうか。これは公開が望ましいと思っていますけれども、これが最後の質問です。
以上です。
佐藤座長: ありがとうございます。
吉田様、質問がございましたので、何か御回答いただけますか。
吉田企画官: もちろんでございます。
まず、270万者というところの目標の根拠でございますけれども、実際に法人について法人番号を発行されているのが400万者ぐらいあるのですが、実際に活動している法人というところで見ると、納税申告している法人というのがどれだけあるかというところを我々は見ております。こういった国税庁様のほうで発表している納税申告している法人数というところが270万ぐらいというところで、そこを一つの目標としているという形になってございます。
利用率を高めていくことが重要であるというところは堀川様も含めて御意見をいただいたところでございまして、まさにここは我々としても非常に重要なポイントだとは考えております。ただ、ここは恐らくGビズID単体というよりは実際の接続先である電子申請手続自体がきちんと認知されているかとか、みんな使いたいと思っているかというところと恐らくセットで考えていく必要があるのではないかなと考えております。
当然、我々としましては一つのID・パスワードで様々な行政手続に使えるようにするというところでこちらを普及させていくというところはやっていくわけでございますけれども、そこの部分については各行政機関と連携して高めていくということが必要になってくるかなと考えております。
先ほど堀川様から併用みたいなところというのはなるべく減らしていくべきではないかというところも御意見としていただいておりましたけれども、我々としても基本的にはそうだと思ってございまして、認証のシステムが幾つもあると事業者の方々も迷ってしまわれるというところもございます。
一方で、もともと既存の認証システムみたいなものがあった場合に、そこを切り替えていくというところも事業者様の立場としては考えながら進めていかなければいけないところではあると思いますので、こういったところにつきましても各行政機関でそういった併用をしているところについてなるべくこちらに寄せていただくことが可能かというところを我々としても呼びかけていくというところではないかと考えてございます。
ダッシュボードの公開の部分につきましては、今、我々GビズIDの班の中でもどういった範囲の情報であれば公開可能なのかというところを検討しまして、今年度中にもそういったダッシュボードをデジタル庁のサイトで公開していけないかということを現在検討しておりますので、そちらについてはまた進めさせていただきたいと考えてございます。
佐藤座長: ありがとうございます。
1点だけ私のほうで補足をしておきますと、ダッシュボードというのはGビズIDの利用状況、例えば利用件数といったもののある種統計的な数字を可視化した上で見えるようなウェブのページを作るということで、利用状況を見る上でもそうしたものが提示されることは重要かと思っております。
委員からの御意見、御質問ですけれども、この後は中空委員と岩﨑委員から手を挙げていただいておりまして、中空委員、お願いいたします。
中空委員: ありがとうございます。時間もあまりないので手短にいきたいと思います。
まず、御説明にありました、印鑑を押し当てて郵送するような手続をマイナンバーができたことによって早めましょう、無駄なことはやめましょうということや、認証システムのパスワードが何個もあるというのも使いづらいので統合していきましょう、集めていきましょうというこれらのコンセプトは非常に重要だし、当然なことであると思います。その上で、2点申し上げたいと思います。
1点目は、今回の対象にするものというのは一切合切一緒だと思うのですけれども、規模による違いというのは出てくるのか、出てこないのか、どう考えるかという点は質問としてお聞きしたいと思います。つまり、例えば銀行の状況だと、法人と個人というのは紐づかないことになっていて、でも、紐づいていて、この紐づきというのがあると、中小企業的にはもしかしたら嫌かもしれない。でも、そうなると法人と個人がイコールでマイナンバーでここのパスワードを開けていくということになると、どうしても社長と法人IDというのは連携するのではないかと思うのですけれども、そうなるとその人以外の人にパスワードを与えていくとなると、それはセキュリティ上本当に大丈夫なのかとか、いろいろな疑問が湧いてきます。なので、法人と個人の突合ができるのか、できないのかということと、それから、こういう観点から規模を意識していますかということについて教えてください。
もう一点は意見です。マイナンバーのほうでの会計検査院の調査では、使ってはいるのだけれども、大分使われてきたし浸透率も高まっているのだけれども、使っているサービスは何百もあるのに結局10個ぐらいのところに集約されているというのが出ていたと思います。私はそこを気にしていて、今回も行政サービス手続を300ぐらい広げていこうと。広げていかないと話にならないというのはよく分かるのですけれども、結局のところ、使われているサービスが集中してしまっているというのがマイナンバーでは明らかになっています。なので、現状で例えば115万者、2200万件なので、一者当たり15回アクセスしているとすると、何に使っているのかぜひ分析をしていただきたいと思います。何が足りないからできないかということも重要な分析になるのですが、現状で何に一番使われているのか、その使われているサービスに偏りがないかどうか、この辺も見ていただくとマイナンバーからのインプリケーションになるのではないかなと思います。これは意見です。
以上です。
佐藤座長: ありがとうございます。
吉田様、御質問への回答をお願いいたします。
吉田企画官: まず、1点目の法人と個人の紐づけのところで個人情報が分かってしまうのではないかというところが一つの御懸念点だったのではないかと思っておりますが、この点につきましては最初にGビズIDのアカウントを取得する際に、マイナンバーカードに入っている4情報という個人の氏名や住所といった情報を確認して発行するという形になっておりまして、個人番号自体を使って紐づけているという形にはなっていないところでございます。
ですので、まずアカウントを取った人がどの個人で、要は個人手続としてほかにどういうことをやっているかみたいなことが政府として追えるような形にはなっていないというところになっておりますので、ここについてはむしろ事業者として手続をする際はGビズIDのアカウントという形で手続をしていただくわけですけれども、ただ、それを取っていただく際に本当に本人かという確認をするという場面だけにおいてマイナンバーカードを使っているというところになっておりますので、そういった情報の濫用というところにはつながらないかなと我々としては考えてございます。
その上で2点目の御質問でございますが、どういった行政手続にGビズIDの使用が集中しているかというところを見ていったほうがよいのではないかという御意見かと思いますけれども、ここについても我々は実際にどういった接続システムでログインが多いかというところはデータとして見させていただいているところでございます。そういった中で利用指針として多いのは、社会保険の手続です。従業員の方の様々な社会保険手続というところを例えばe-Govという政府の総合窓口のシステムがございますが、こちらの経由でございますとか、あとは厚労省のシステムを経由して行っているというケースが多くございます。
加えまして、次に多いのが補助金申請のところかなと見てございます。我々としましても、これを多く使っていただけるところでより使っていただくということでGビズIDの認知も広がりますし、費用対効果というところでも高いというところは認識しておりますので、今後、そういった事業者の方が多く行う手続の部分、一般的に皆が行う手続というところで使っていただけるようにしていくということを他省庁とも御相談しながら進めていきたいと考えているところでございます。
佐藤座長: ありがとうございます。
私のほうで補足をしますけれども、中空委員の最初の御質問は、要するにいわゆる個人情報でも4情報やマイナンバーではなくて、恐らくマイナンバーカードで本人認証をしているので、マイナンバーカードの電子証明の識別子というものが、これに関してはほかの行政手続でもマイナンバーカードを使えばそれが取得をされるし、このGビズIDのほうでも申請時にIDが取得をされるので、マイナンバーカードの電子証明のIDによる紐づけの問題だと思いますので、その意図で聞かれているのだと思います。
時間もありますので、次の御意見をお伺いしたいのですけれども、岩﨑委員、お願いいたします。
岩﨑委員: 岩﨑です。いろいろお取りまとめいただきましてありがとうございました。
御説明いただいたように、既に年間30万ずつ利用者が増えているという点は評価したいと思います。その上でGビズIDの取得拡大に向けたアウトカムについて3点コメントしたいと思います。
1点目は、ユーザー数がサービスの利用状況を示す指標と捉えられているのですが、2025年度末までに法人におけるプライムアカウント発行数は270万件で、長期アウトカムも同じように25年度末までに連携サービスを300件と設定されていますが、長期アウトカムの目指す年度が来年度末ですので、もう少し先を見てもよいかと思います。
2点目は、短期アウトカムの設定については、利用数が妥当だとしても、長期アウトカムは利便性やサービス品質に資する目標設定が妥当ではないかと思います。例えばこれによりどれだけ生産性が上がってサービスを利用したことによる時間短縮につながったかなど、民間とも知見を共有しながら、どう費用対効果を検討していくかといった官民連携も大事かと思います。
3点目は、自治体ごとにGビズIDの発行数が可視化されていて、オープンデータとしても非常に有意義かと考えるのですが、申請が進まない要因として体制強化、あるいは人材、予算など、課題があればどう支援し、取得拡大につなげられるかといった点で、政策評価の側からも大変興味深く拝見しております。
以上です。
佐藤座長: ありがとうございます。
続きまして、神林委員、お願いいたします。
神林委員: ありがとうございます。神林です。
2点質問と1点コメントなのですけれども、質問は先ほど来質問のある目標数の設定なのですけれども、270万件のほうの設定の根拠はありましたが、システム数300件のほうの設定の根拠を教えてくださいという質問が一つです。
もう一つは、ユーザーインタビューの相手は事業者さんという言葉がよく使われていたのですけれども、行政のほうのインタビューは予定されていないのでしょうかというのが質問です。
コメントは、中空さんの御意見と重なるところがあるのですが、典型的な事例として社会保険手続や補助金の申請というのがあるというのはもう認識されていますので、これをアウトカムの中に含めることはちょっと無理かもしれませんが、社会保険手続の場合はもう具体的な手続は分かっていますので、それがどれだけ迅速化されているのか、特に昨今、パートタイマーの社会保険の加入というのを増やさないといけないという政策的な要請がありますので、これがあることによってそれがパンクチュアルにきちんと申請ができているのかどうかという具体的な時間設定であるとか、先ほどの生産性という言葉とも関係しているのですが、具体的な事業に関してはそれは分かると思うのですね。なので、幾つか典型的なサービスをピックアップして、そこでこの認証がどれだけ貢献しているのかというのを具体例として検証すると分かりやすくなるのではないかなというのがコメントです。
以上です。
佐藤座長: ありがとうございます。
吉田さん、神林委員のところをお願いいたします。
吉田企画官: まず、目標数の設定の接続先300件というところの目標はどういう理屈で置いているのかという点かと思いますけれども、こちらにつきましては、現状、足元で200ぐらいの接続数があるというところから、年間どれぐらいならその接続の件数がさばけるのかというところを判断根拠に、300件ぐらいの接続先を増加させていくことが可能なのではないかというところを見積もっているところでございます。
ユーザーインタビューについて行政のほうは予定していないのかというところでございますけれども、こちらの行政の部分につきましては、我々も普段から接続しているシステムの行政機関の方々とコミュニケーションしておりますので、現状、詳細なインタビューというところは予定しておりませんが、ここについても今後、検討していきたいと考えております。
佐藤座長: ありがとうございます。
ほかに委員の方々で追加の質問、御意見などはよろしいでしょうか。
大丈夫そうですので、GビズIDに関する議論はここまでとさせていただいて、各委員から今、かなり個別具体的な御意見をいただいたところでございますけれども、GビズIDに関して最終的な御意見を各委員からいただければと思っております。これから各委員において順番に簡潔にコメントをしていただいて、私のほうで取りまとめをさせていただきます。お手数ですけれども、各委員、手短にGビズIDに関する総評をお願いしてよろしいでしょうか。岩﨑委員、上村委員、神林委員、笹嶋委員は抜けられたので中空委員、堀川委員の順で皆さん手短にGビズIDに関して御意見をいただければと思っております。毎回岩﨑委員を最初に当ててしまっていて申し訳ないのですけれども、岩﨑委員から総評的な御意見をいただけますでしょうか。お願いいたします。
岩﨑委員: ありがとうございます。
現時点で既に進められておりますし、いろいろな成果も出てきていますので、今回の想定される論点に基づいて、行政事業とさらに政策評価の観点からのいろいろなコメントに基づいて、最終的にまた御報告をいただければと思います。
ありがとうございます。
佐藤座長: 続きまして、上村委員、お願いいたします。
上村委員: 重要な事業だと思っています。行政として二重三重にコストがかかるような仕組みにならないようお願いしたいです。利用が目的ですので、ID発行は手段であるということです。利用を長期アウトカムとすること、そのような事業展開をお願いしたいです。より望ましいのは利便性やコスト削減効果だと思いますけれども、まずは利用度合いでお願いしたいです。
あと、ダッシュボードの活用については本当に進捗状況がよく分かるので、とても国民と成果を共有できるよい仕組みだと思いますので、ぜひこの取組を他の事業にも展開していただきたいと思っています。
以上です。
佐藤座長: ありがとうございます。
続きまして、神林委員、お願いいたします。
神林委員: 幾つかコメントが出たと思いますので、それを取り入れていただくことでどんどん改善していっていただければなと思います。
どうもありがとうございました。
佐藤座長: 笹嶋委員は抜けられましたので、続きまして、中空委員、お願いいたします。
中空委員: 企業規模別やその他のどの行政サービスとうまく結びつけるかなど、適宜見直しが必要になったことについては躊躇せず見直していただきたいと思います。結果として皆さんがおっしゃっているように利用率が上がり、認知度が上がることを期待したいと思います。
以上です。
佐藤座長: ありがとうございます。
堀川委員、お願いいたします。
堀川委員: ありがとうございます。
先ほど十分意見を言いました。繰り返しになりますけれども、そもそも需要のないサービスまで対象にするかどうか、システムの予算が膨張している中、費用対効果の側面というのは必要だと思います。さらに言うと、EBPM上もそういう視点をしっかりと入れていただくようにすることを期待しております。
私からは以上でございます。
佐藤座長: 皆様、ありがとうございます。
それでは、各委員の皆様の御意見を踏まえまして、私のほうで取りまとめをさせていただきたいと思います。
個別意見と総評のところを2ついただいたところでございます。まず、各委員から共通といいましょうか、多くいただいたこととして、個別の関係に関して改善をお願いしますというところがございました。それに関して簡単にまず取りまとめをしますけれども、多くの方々から、サービスとしたときに件数も重要ですけれども、利用率であったり利便性の向上というところが大切だというお話がありました。例えばこのGビズIDの年間の利用数というよりは、各事業者の方々がどのぐらい利用するのかというところは、その接続をするサービスにかなり依存したところにはなるかと思いますけれども、とはいっても利用率を高めるために努力をしていただきたいというのが各委員から多くいただいたところで、それは笹嶋委員や上村委員、または中空委員からもいただいたところだと思っております。また、岩﨑委員からもいただいていて、岩﨑委員からは特に利便性に関しても重要であるという御意見をいただいたと認識をしています。
そして、上村委員からはそういった利用率も含めて可視化をすることという観点から、ダッシュボードというものを作ることは国民への説明をするという観点でも重要ということをいただいたところです。また、これに関わるところですけれども、認知度を上げることも必要であるということを複数の委員からいただいたところでございます。
あと、懸念点的な点としては、中空委員から法人と個人の紐づけのところに関して、ここはGビズIDを啓蒙するときに、紐づけをされていないといってもいろいろマイナンバーカードの識別子の問題がいろいろ絡んでまいりますので、そこは明確に御説明をいただくことが今後、重要なのかなと思っております。
それから、堀川委員から重要な御指摘をいただいていて、これはGビズIDを使えば便利というのはそうなのですけれども、そもそも接続しているGビズIDを使う側のサービスの利用数が少ないものに関してGビズIDを対応するというのは、費用対効果から見ると必ずしも適切ではない。
また、これも堀川委員からいただいたところですけれども、そうした行政サービスというのはGビズID以外にも本人認証を行っているような場合、いわゆるGビズIDを含めて複数の本人確認的なものが併用されてしまう場合にはコスト削減効果が低いというところもあります。これはどちらに寄せたほうがいいのか、既存のものなのか、GビズIDに寄るのかというところはなかなか難しいところだと思うのですけれども、まずは併用状況の確認をしていただいて、費用対効果も含めて考える。それは単純に対応すれば利便性は上がるかもしれませんけれども、費用対効果も含めて考えていただくということが重要ということを個別議論でいただいたところでございます。
あと、総論的なところに関してはかなりそこで網羅されているところだと思いますけれども、利用率、利用状況というものをアウトカムにする、つまり件数ではなくてそういった利用する者に関することをアウトカムにするように、適宜KPIまたは目標設定というものを改善していただきたいという点。
あと、こうしたサービスというのは知名度が上がらないといけないので、知名度を上げるための努力。ここは個別意見で笹嶋委員から最初に言っていただいたところと重なりますけれども、利用者には事業者も含まれますけれども、先ほど御指摘いただいたところですけれども行政側も一つの対象になるところですので、多様なステークホルダーの意見を聞きながら改善を進めていただければよいかと思っております。
ちょっと雑駁なまとめ方になってしまったのですけれども、私のほうでは取りまとめたつもりなのですけれども、いかがだったでしょうか。この後、項目立てなどは適切にさせていただきますけれども、今、申し上げたような内容で大体皆さんの御意見は反映されていますでしょうか。これが抜けているというのがあれば、今のうちに言っていただければと思っております。よろしくお願いいたします。大丈夫でしょうか。
ありがとうございます。
それでは、法人共通認証基盤(GビズID)につきましては、これをもって取りまとめとさせていただきます。法人共通認証基盤(GビズID)について御説明いただいた吉田様、どうもありがとうございました。
吉田企画官: ありがとうございました。
佐藤座長: ありがとうございました。
それでは、次の事業ですけれども、ベース・レジストリ事業に関する議論に移らせていただきます。最初に、ベース・レジストリ事業の事業担当者の方から事業の説明をお願いしたいと思います。準備はよろしいでしょうか。
杦浦参事官: ベース・レジストリを担当しております、デジタル庁の杦浦と申します。よろしくお願いいたします。
佐藤座長: 杦浦様、よろしくお願いいたします。
杦浦参事官: ベース・レジストリにつきまして、最初の10分ということでごく簡単に概要をかいつまんで御説明いたします。
次のスライドでございますけれども、ベース・レジストリとはということですが、制度横断的に多数の手続などで参照されるデータのセットであり、国民の利便性向上、行政運営の効率化・簡素化を目指したものになります。こちらは何かものすごく大きな何でも入っているようなデータベースをつくるというよりも、むしろ今、行政等が持っているデータの活用をさらに進める、連携を進めることで我々の手続の効率化といったものを進めていきたいというところを主眼に置いて現在進めてございます。
次のページ、これまでの経緯を簡単にまとめてございます。ベース・レジストリ事業自体はデジタル庁が当初よりやっておりますけれども、最初のほうは大きないろいろな領域を視野に入れてみたものの、リソースの問題もありますし、実際にユースケースを精緻に見ていくと、やはり優先づけするべきところというのが出てまいりました。そういう意味で、2022年度におきまして、実際にどういったところに注力すべきかというところを検討し、今、取り組んでおります法人、不動産、住所といった3分野に注力すべきではないかということで、それらについて具体的に詳細な検討をしていこうと決めたところでございます。
2023年度におきまして、各々の分野におけるユースケース、ニーズ等を精緻化して、どう整備をしていくか、その精緻化の中で必要な制度的な対応も幾つか具体的に見えてまいりましたので、法案を提出して、2024年度、今年度でございますけれども、法案を審議していただき、先般の国会にてお認めいただいたところでございます。その法律自体の施行は来年になりますけれども、その中で公的基礎情報データベースの整備改善計画というものをつくっていき、具体的にどういうシステムをどういった年限で何を目標にしてつくっていくのかをここに具体的に計画としてまとめて、それに従って整備をしていくといった形で進めることとなってございます。
続きまして、3つ申し上げましたけれども、各ベース・レジストリがどういったものか簡単に御説明いたします。次のスライドになりますけれども、こちらは法人分野のベース・レジストリとして、今、商業登記の情報連携を考えてございます。これにつきましては、商業登記は法人が基本的にいろいろな情報を登録しておりますけれども、例えば住所、所在地が変更になった場合、法人は登記の情報を書き換えるとともに、例えば建設業であれば国土交通省に出している登録や許認可のための手続のほうも住所変更しましたといったことを今であればやらないといけないという状況でございますが、今後はこのベース・レジストリを整備して、登記の情報を行政機関が見られるようにして、むしろ国土交通省のほうが登記の情報が変更されたものを見に行って、変更されたのだな、それであればこちらのほうは手続を変更しておきますということで利用者さんに二度三度手続をしていただかなくて済むような仕組みを目指しているものでございます。
それから、次のページが不動産、アドレス関係となります。こちらも先ほどの商業登記と同じようにまずは不動産登記の情報を連携させて、同様に手続や自治体が業務上見なくてはいけないときにその登記の情報をオンラインで見ることができる等々のデータベースの連携を進めていくとともに、もう一つ、アドレス・ベース・レジストリというものを整備しようと思っております。こちらは登記で使われている地番という情報の体系に加えて、いわゆる住所のほうを紐づけた形でデータベースとして展開しようというものでございます。
次のページ、例えば商業登記とはどんな項目があるのかというのが一番左側にございまして、それに対していろいろな手続で、例えばこれまでであれば登記事項の証明書を出してくださいという添付を求めていたものを、役所や自治体が直接オンラインで確認することで添付が要らなくなるとか、あるいは中段に「変更届出の“みなし”」とありますけれども、こちらはまさに所在地等が変わったときの変更を要らないですと、こちらで確認しますといったときに必要となるような情報等々が情報として使えれば、そういった手続の簡略化が実現できますねといったものを整理したものになります。
同様に、次のページの不動産登記に関しましても、どういった省庁でどの情報を使うニーズがあるのかということを我々のほうでヒアリングをかけて、ユーザー省庁の御意見を聞きながらシステム設計等を進めようと、そのためのベースとなる資料となります。
次のページはアドレス関係について御説明をいたします。住所につきましては、例えば配送業者ですと配送業者ごとにデータベース的なものをつくっているということで、重複した整備コストが生じているというのが一つございます。また、データベースが違っていてもお互いに簡単に突合できればそれほど不便はないのですけれども、住所につきましては、後ほど少し御紹介しますが表記の揺れというのがありまして、異なるデータベース間での突合作業というのは大変難しくなっております。そのため、何か統一的なというか、一元的なデータベースをつくるということのメリットは大変大きいと感じてございます。
次のページについてですが、そうはいってもなかなか難しいものはたくさんございます。まず、初期データの整備として住所等々の情報をちゃんとマスターデータとしてデータの品質の高いものを収集するということ、それから、いわゆる登記からくる地番の体系と住所の表記のものをどうやって紐づけるか、これもなかなか細かいところまで行こうとすると課題がございます。それから、データの更新をどうするのか。住所、住居表示等々につきまして町字といったレベルの自治体が管理しているものがありますけれども、その管理の実態についても例えば紙でやっている自治体さんも多数いらっしゃいますし、そういったところからどのように効率的に情報をアップデートできるかといったところは我々も自治体の声を聞きながら、今、具体的に考えているところとなります。
次のページに、少し表記揺らぎの話をしましたので、具体的なイメージをお示ししてございます。典型的には下の緑の中に書いております左側のように、「霞が関」といったときも書き方によってバリエーションがある上に、東京と埼玉で全然違う場所を指し示す場合すらあるということや、あと手書きの時代の話だと思いますけれども、「八」なのか片仮名の「ハ」なのかが分からないし、もしかしたら間違っているかもしれないといった事例もございます。あと、地番と住居表示というのは知らない人にはなかなか分からないところなのですけれども、例えば有名な舞浜で申し上げますと、「舞浜1丁目」という住所は存在いたしません。皆さん大好きなディズニーランドは「舞浜1-1」と所在地が表示されることがありますけれども、「舞浜1-1」の最初の「1」は1丁目の「1」ではなくて、ここでいうと1番地の「1」ということで、あれは地番に基づいた所在地の表示となっております。それに対して舞浜2丁目、3丁目というのはございまして、これは「舞浜2丁目」までが町字と呼ばれる粒度でございまして、住居の表示がされております。これは地番とは全然違う体系で名称と所在地がつけられているということになっておりまして、その点で言うと例えば「舞浜2」とだけ書かれていると、それは2丁目のことなのか、2番地のことなのかが実は分からないといった状況がございまして、この地番と住居表示というのはなかなか奥が深い問題でございます。ちょっと話が逸れましたが、そういったことを解決しながら整備を進めていくということになります。
それから、次のスライドでございますけれども、法案の改正をちょっと御紹介いたしました。今般、デジタル社会形成基本法等の一部改正ということで、大きくベース・レジストリに関係するところが赤囲みでございます。1点目は、データの品質を確保するということで、データ自体が間違っていれば間違ったデータが連携されてしまいますので、これはデータの品質を確保していくことが大事であるということが一点。
それから、具体的なデータベースの整備に関しては整備改善計画をつくりましょうと。あわせて、先ほど申し上げたような変更の届出を不要とするといったことはデジタル手続法の中で決めておきまして、それに従って各省庁は恐らく個別の法令でこういった届出をしなくてはならないということを決めておられますので、我々のデジタル手続法のほうである意味例外規定を横串で設けまして、各省におきまして例えば下位法令、省令等でこの場合は例外手続を取れますといったことを宣言していただければ、個別の法令改正は必要なく我々の手続の省略といったものを使えるような立てつけで今回の法改正をしたところでございます。
次に御紹介するスライドになりますけれども、具体的にこういうデータベースを整備していったら何がいいのかということでございますが、典型的には何度も手続していたものが1度で済むということ、それから、このデータベースをオンラインで見ることができるようにするということで、今まで何々証明書を添付してくださいと言われていたものが不要になる、あるいは自治体が登記事項の確認といった行為のために例えば登記所に行って公用請求という形で書類を取得していたものがオンラインでできるようになるといったところで効率化・利便性の向上を図るということでございます。
レビューシートのほうでロジックモデルの説明ができておりませんでしたので、ちょっと画面をいただきまして、アウトプット、アウトカムのところだけ簡単に御説明をいたします。ちょっと小さいので読みにくいかもしれませんけれども、典型的にはデータベースの整備、それから利用環境の整備、ここには例えば連携させるためのAPIをつくったり、あるいは自治体の職員さんが操作するためのGUIをつくったり、あるいは先ほどのような法令の手当とか、個人情報保護法の関係がありますので、そちらの制度的な手当というのをやっていく、さらに、こういうものがいついつできましたよというところを特に自治体さん等に周知広報活動をやっていって利活用を進めていただくといったところを我々のアウトプットとして考えてございます。
アウトカムとしましては、各々の手続におきましてどれぐらいの件数で実際に御利用・御活用がいただけたかといったところをアウトカムとしておりまして、これはたくさんありますけれども基本的に全部同じことが書いてございまして、手続が簡素化される件数、不要になったり時間が短縮された件数を我々のほうで推計しまして、それに時間単価を掛けて金額に直したものを御提示している次第でございます。
私からの説明は以上になりますので、御不明の点等がありましたら、皆様のコメントの中でいただければまた補足させていただきます。よろしくお願いいたします。
佐藤座長: 杦浦様、ありがとうございます。
それでは、議論に移らせていただきます。先ほどのGビズIDと同様に、ベース・レジストリに関しましても行政事業レビューと政策評価の会議では2回の御議論をさせていただいて、各委員からの御質問に関しましても杦浦様をはじめとして担当課の方から丁寧な御説明をいただいているところでございます。
想定される論点といたしまして、今、表示されていると思いますけれども、ベース・レジストリ事業の目標達成に向けた適切なアウトプットやアウトカムの設定とはどういうものであるか、あと、共通のデータベースを作成するに当たって関係する行政機関、例えば統計データなどとの関係というところはかなり重要になってくると思いますけれども、それぞれのいろいろなデータベース、または統計、または行政手続、自治体も含めてですけれども、そこの関係性の調整というところの整理がどうなっているのか。あと、システム整備やデータベースの維持・運用のための体制についてが主な論点として挙げられてきたところでございます。この3点に重なるところでも結構ですし、それ以外のところも含めまして各委員から御意見や御質問をいただければと思っております。既にシステム上で手を挙げていただいておりますので、その順でお願いしたいと思いますけれども、最初に上村委員、お願いいたします。
上村委員: 分かりました。
ロジックモデルを説明いただきありがとうございます。短期アウトカムは効率化する手続数、長期アウトカムは国民及び行政職員の事務負担の軽減となっています。例えば2026年の目標が手続数100、事務負担の軽減が2.6億円になっていますけれども、この根拠はどうなっているのでしょうか。これが1つ目です。
2つ目ですけれども、こちらは事務負担の軽減が国民及び行政職員のとなっていますが、この2つを分けることはできるのでしょうか。分けたほうがいいような気がしています。これが2つ目です。
3つ目です。国民の利用が大事なので、利用率という利用の度合いをアウトカムにしたほうがいいかなと思っていますが、そういったことは可能なのでしょうか。これが3つ目です。
4つ目ですけれども、先ほどGビズIDをやったのですが、地域別にこのデータベースの整備の進捗状況が見える化できるといいなと思っていますが、そういうことは可能なのでしょうか。これが4つ目です。
最後は質問というよりちょっと気になっている点で、地方自治体のDXに関わっているのですが、不動産関係のやり取りというのはかなり判子を押す場面が多くて、紙媒体がなかなか廃止できないという悩みを持っています。これはボトルネックになっていますが、こういった取組が進むと、判子と書類がどんどん減らせるようになるのでしょうか。
最後はちょっと雑駁な質問ですが、以上です。
佐藤座長: ありがとうございます。
杦浦様、回答をお願いいたします。
杦浦参事官: ありがとうございます。
最初のアウトカムの設定については、年限に切っておりますのは、ある意味現在想定されている手続の総数というのは概ね規模自体は調べて推計をしておるのですけれども、最初から全部がそれで100%に行かないだろうということで、ある意味段階的に数年程度かかりそうだというところと、我々の整備スケジュールも最初から全ての機能をフルフルでは出せないと思っておりますので、その兼ね合いで今はこういった形で置いておるものでございます。この辺の内訳はどうなのという御質問はあろうかと思いますので、我々のほうでも今、もう少し精緻化というか、内訳を整理しておりますので、こちらはちょっと時間をいただければ、そのうち公表できるような形に持っていきたいなと思っております。
すみません、2点目は何と何を分けるとおっしゃいましたか。聞き漏らしてしまって申し訳ございません。
上村委員: 事務負担の軽減が長期アウトカムになっていますが、これが国民及び行政職員のということで国民と行政職員を統合されていましたけれども、それを分けることは可能なのではないかということですが、いかがでしょうか。
杦浦参事官: 分かりました。ありがとうございます。
今はベース・レジストリの手続の使い方次第で、ユースケースにもよるのですけれども、内訳自体を分けることは可能でございます。行政機関が使う、例えば先ほどの例で言うとオンラインでいろいろな登記情報等を確認する作業と、公用請求といった形で見に行かなくてはいけなかったのがオンラインで見に行けるようになるといった形、それから国民と言いましたけれども、主には事業者さんの手続ということになりますけれども、事業者さんが直接手続をこれまで何らかしなければいけなかったものがなくなるというところは分けて内訳を整理することはできますので、その辺は内訳の精査を進めてまいります。
あと3番目は、利用率という意味で言いますと、先ほど事業者の手続でこれによってなくなる件数がどれぐらいの割合になってくるのかというのは、それほど精緻ではないかもしれませんが、概ねの率で示すことも可能かなと思っておりますので、そこも先ほど申し上げた内訳を整理していく中でできるだけ何割ぐらいの手続が変更不要になった上で実際にこれだけ使われていますみたいなところをどれだけ数が出せるか、ちょっとやってみたいと思っております。
それから、4番目が整備の状況についての可視化ということかと思います。我々はデータベースの整備改善計画の中で具体的に何年度にこういった機能の提供を目指すといったところをやっていきたいと思います。我々は毎年デジタル庁重点計画という形で今後の一年の取組などについてどういうことをやっていくかという計画を立てたりしますし、その際に年次報告という形でデジ庁のこれまでの取組の成果という形で報告をしたりしておりますので、その中でもここまで整備が進みましたというところはお見せできるようにしたいと思います。
それから、最後の判子をどうなくしていくかということにつきましては、デジタル庁は河野大臣の判子をなくすということに大変熱意を持ってやっておりますので、ある意味紙の書類をなくすというところはベース・レジストリ事業の効果の一つでありますし、先ほど説明のあったGビズIDやそれにまつわる電子署名、あるいは電子委任状といった制度、枠組みの中でどんどん判子に代わる、判子と同等の機能を提供するオンラインの仕組みというのは今も大分出てきておりますし、その利用を推し進めることが判子や紙をなくしていく取組になると思っております。ベース・レジストリだけでなく、そういった電子署名や認証の機能を豊富に提供していくことでどんどんなくなっていくものと思っております。
上村委員: ありがとうございました。
佐藤座長: ありがとうございます。
続きまして、中空委員、お願いいたします。
中空委員: ありがとうございます。
今、アウトカムの根拠の御質問があったので1つ省けたわけですが、もう一つ、次の質問としまして、マスターデータの共有というのがあったと思うのです。それ自体はとてもよいことだと思うのですが、昨今出てくる空き家問題を考えると、黙ってデータが有効でなくなるというケースはあるのだろうと思います。データのチェックというのはするのですか、しないのですかというか、一回受けたものに対するデータのチェックのありなしについて教えてくださいというのが1点目の質問です。質問はこれだけです。
あとは意見なのですが、変更を1か所だけ言えばおのずと全部データとして通ずるというのは非常によいことですし、AI時代のデータ整備というほどでもないような、当然やってもらいたいようなことだなと思います。
しかしながら、リダンダンシーは注意をしていただきたいと思います。先ほどGビズIDもやりました、不動産IDも別途進んでいます、これらとの重複があるかないかというと、ちょっとよく分からないところがあるなと思いました。なので、そのリダンダンシーには気をつけていただきたいと思います。
最後に、進捗状況を開示せよという上村先生の意見にとても賛成で、例えば変更が1か所で済むんだってということを聞いて、でも、自分が変更したから全部変更できているかできていないかというのは確認しないと分かりませんと言われてしまうような気がします。なので、私はこの数年間のタイムラグの間の行政サービスの居心地の悪さというのは結構見せられていて、別の手続ですけれども、これはもうやってくれると言いながら全然連携していないことというのは割と多くあるので、その内そうなると思うけれども全然今はできませんということというのは国民にとっては不信感を抱かせるだけなので、こういう方向を目指していますと。ただ、進捗としてここまでですというのは開示されたほうが安心感があるし、変な誤解を招かないと思います。その意味で、ここの地域はもうこの行政サービスが完成していますよということが分かることは望ましいのではないかと考えます。
以上、意見です。ありがとうございます。
杦浦参事官: ありがとうございます。
1点目のデータのチェック、確認についてお答えいたしますと、例えば登記の関係で言いますと、登記の原本自体は法務省の登記所のほうにありますので、我々のほうで何かここが空き家になったからみたいなチェックをダイレクトにできるかといいますと、そうではございません。あくまで登記の情報自体は法務省のほうで適切に管理していただく。我々としては登記のデータを連携できる形に、データクレンジングなどもありますけれども、そういったものをした上でなるべく自動化してAPI連携等を進めるところに主に注力してやってまいりますので、そもそものデータが正しいのかどうかまで我々が全て把握・確認・フィードバックできるかというと、残念ながらそこまではすぐにはできないというのがお答えになります。
以降、リダンダンシーの話は不動産IDやGビズIDの話もございました。多分みんなIDという言葉を使うので分かりにくいのかなという気もしてございます。先ほど挙げていただいた中で不動産IDとは、このベース・レジストリは密接な関係を持ってございます。不動産IDのほうもいろいろな建物等にIDを振っていくというところで、まさに我々のアドレス・ベース・レジストリの取組と連携してやってございます。具体的には例えば不動産IDを付与するときには当然住所の情報が要るわけですので、そのときにはこちらの我々のデータをお使いいただいて、表記揺らぎにうまく対応したような形で不動産IDのほうでも使っていくなどといった連携をしていく予定になってございます。
また、可視化についてもそのとおりでございまして、当然この仕組みを利用していただくには制度所管の省庁のほうでも少し制度的、あるいはシステム的な御対応をいただくことはございますけれども、それをなるべく早くやってください、頑張りましょうということはデジタル庁としても一緒に取り組んでいきたいと思います。
ありがとうございます。
佐藤座長: ありがとうございます。
続きまして、堀川委員、お願いいたします。
堀川委員: ありがとうございます。説明を聞いていて非常によく分かります。
時間の関係もあるので。
佐藤座長: 大丈夫です。
堀川委員: では、質問と意見を両方。
まず、私は過去に独立行政法人が保有しているデータベースから仕事でデータをExcelに取り込んで分析をしようと思ったのですけれども、当時、もう20年前ですけれども、そのデータベース自体がベンダー独自のフォーマットで、Excelになんて取り込めません。無理です。そもそも独法はどうやってそれをデータベースとして扱っているのかというのも、自分の用途でしかできませんみたいな状況に立ち入ったことがあります。
これは質問ですけれども、今回、地方自治体が持っているデータベースをきっと利活用されるのではないかと推定しているのですが、その取り込みにおいてこういった団体ごとに業者ごとにあるようなフォーマットみたいなもので障壁になっていないのかというのがもしあれば、教えていただきたいのが一点です。
次に、説明にもありましたけれども、アドレス・ベース・レジストリの構築における住所表記の揺れについては、御説明にありましたとおりシステム化だけでは解決できない問題であり、行政側の整理・共通化の重要性が見えている。したがって、この問題は皆さんも今、進めているところでしょうけれども、システム開発前のさらに設計前の段階の行政との調整が国のシステムにおいては最も重要なのだなと。今はその時期になっているのだなと理解しますし、皆様の今進めていることを応援したいと思います。
ここからはEBPM的な話なのですが、中空委員の御意見とちょっと重なるとは思うのですが、中長期アウトカム指標について先ほど御説明がありましたけれども、国民及び行政職員の負担軽減がよくなりますよということを設定されていますが、既に先ほどから説明があったように様々な課題が見えているのですね。その課題を乗り越えて初めて活用に至るわけですから、システム開発にとってはその課題が何なのか、それを乗り越えていきつつあるのか、止まっているのかという指標の設定が重要ではないかと考えますので、その点、積極的に検討していただきたいというのが1つ目の意見です。
次に、過去の国のシステム開発の歴史を見ますと、御存じのように各省庁が個別にまずシステムを構築するのですね。その後に、今でいうデジ庁、昔でいうと内閣官房のIT室や行管が連携して統合に進むのですね。いざ統合しようとすると、先ほどと同じように各省庁が別々のベンダーでシステム化しているのもあり、簡単ではないのですよ。というか、既存のシステムが財産とならないのですね。全く新しいものを作るしかないみたいな、非常に二重投資的な状況を過去に繰り返してきているのです。このベース・レジストリが今後、統合するかはまだ課題かどうかぐらいだとは思うのですけれども、必ずこの歴史の教訓というのを生かしていただいて、将来の統合を見据えた設計も重要かと考えます。これは2点目の意見です。
最後に、これらのポイントを、やはりデジ庁さんですから専門家の知見を交えてレビューシートに反映していただくことでEBPM上効果的な評価ができると同時に、ぜひシステム開発においてこういうレビューシートが一番いいのではないかというグッドプラクティスとなるようなものをつくっていただきたいということを期待しているところです。
私の意見としては以上です。
佐藤座長: 杦浦さん、何か回答があれば、お願いします。
杦浦参事官: コメントさせていただきます。
いろいろと将来の取組に当たっても御意見をいただきありがとうございます。
1点目に関しましては、今、こちらのデータベースに関して自治体のシステムから何か情報を連携させるかというと、今の時点では自治体側からというよりはむしろ自治体に使っていただくためのアドレス・ベース・レジストリをつくろうということでございますので、今の段階で自治体のシステムに何かつなぎ込んで情報を取ろうというアクティビティはございません。
ただ、先生から最初に御指摘があった独立行政法人など、行政がデータを公開するときに活用しやすいようにしたデータ形式でやってくださいというのは、デジタル庁のほかの取組でオープンデータに関する取組というのがございまして、特に行政側が持っているデータをオープンデータにする場合、こういった取組でやってくださいという著作権の話やデータ形式の話など、特に利活用しやすい、AIの学習データ等にも活用しやすいような形で行政側のデータをどんどん出してくださいというオープンデータの取組をしておりますので、そちらをまた御参考にしていただければと思います。
それから、表記揺れに関しましては行政側の取組も当然ながら必要になってまいります。特に今後は新しく家を建てたときの住居表示を付与する際に、そういった揺らぎや間違いがなくなるように、まさにこのアドレス・ベース・レジストリを参照することで表記揺らぎのない世界をつくっていきたいというところでございます。
それから、システムの更改、あるいはシステムの統合といったところの困難さ、ベンダーさんの資産等々の話がありまして、ここは特にオンプレで今までサーバ等を構築してきた場合に典型的に生じております。ここはどんどんクラウドに載せていくことである意味そういうアップデートの仕方や管理、メンテをしやすくするアーキテクチャーそのものをモダナイズするといった取組も進めてございますので、そういったところはちょっと時間がかかりそうではありますが、理念としては進んでいっておりますし、また、これは自治体のほうでも同じでございまして、千何百ある自治体がそれぞれ独自のシステムをつくるというのにもう無理がございますので、こちらは共通的な利用ができるものをなるべく整備していこうということで、デジタル行財政改革会議のほうでも議論されておりますので、そちらをまた御参考にしていただければと思います。またこういった取組に事業レビューとして取り組んでいくというのは、デジ庁では森参事官なり事務局のほうにお考えいただければいいのかなと思います。
御意見ありがとうございます。
堀川委員: どうもありがとうございます。
佐藤座長: ありがとうございます。
続きまして、岩﨑委員、お願いいたします。
岩﨑委員: 御説明どうもありがとうございました。
短期、長期のアウトカムを拝見してお願いとコメントです。まず1点目が、アクティビティからの発現経路に関してというところですが、一部目標値と指標の記載単位が明確でないところがありますので、その点の記載をお願いしたいところです。
2点目ですが、長期アウトカムの見込みの目標予算額が毎年2.6億円ずつかかるということで、単純に加算されているものなのかどうかの算出根拠について、基本的にデジタル行財政改革に資する事業であれば、コスト効率や費用対効果に期待が持てると思いますので、その点も考慮いただければと思います。
3点目は、長期的に見て、日本の現状で考えますと少子高齢化、人口減少社会となりますので、これがより深刻になってくる中で、長期的にこうしたデータというのが数としては減っていくのかどうかという点について、少しお伺いできればと思います。
以上です。
佐藤座長: 杦浦様、お願いいたします。
杦浦参事官: ロジックモデルの目標のところは内訳が書いていなくてすみません、分かりにくいところですけれども、アドレスの2.6億円自体は毎年同じペースで5年間増えていくと仮定したものになります。これはちょっと内訳が書いていないので、どういう単価の掛け方をしたのか分かりにくいかと思いますが、こちらはコストではなくて効果の見積りとしてアドレス・ベース・レジストリのほうを手続において参照いただいた場合に、例えば手書きでやっていた場合と比べてどれぐらいの時間が節約できて効率化になるかといったところを試算したものになりますので、こちらはまた精査した上で公開できるタイミングにしていきたいと思っております。
それから、2点目のデータが減っていくというのはどういったことをイメージされていましたか。
岩﨑委員: 今後の人口減少社会の進展の中で、法人数が全体の流れとして今後減少傾向が予測されるなかでこういった事業がどういう流れになっていくかどうか、長期的な視点になりますけれども、その点についてもし何かお考えがあれば。
杦浦参事官: なるほど、分かりました。人口も減ってまいりますし、こういったデータが減るのかどうかということに関してはすぐには分からないところはありますが、なかなか人口が減ってすぐに事業者の数が減るかというと、必ずしもそうではなかったり、やはり建築というのはそれなりに進んでいくので、統廃合みたいなものはあるかと思いますけれども、データ自体は増加傾向が続いて、その増加の傾向が鈍化するということはあるのかなと思いますが、なかなかデータ自体が減少に転じるというのはちょっとまだ先なのかなと思いますが、手続そのものを減らしていくとか、データそのものを減らしていくという努力自体も必要かと思います。データを扱うにもコストはかかりますし、サーバのコストやハンドリングのコスト、通信費、もろもろかかりますので、扱うデータ自体を減らしていくということも今後は課題になるかと思います。
岩﨑委員: 分かりました。ありがとうございます。
佐藤座長: 続きまして、神林委員、お願いいたします。
神林委員: 既に想定される論点というところで佐藤さんにまとめていただいていて、この点について十分な回答が得られていないような気がいたしますので、質問を重ねさせてください。
1点目は、アウトプット、アウトカムの設定について先ほど来、皆様からコメントや質問が重なっているのですけれども、一体どうやって計測するのかというのを教えてください。特に事務負担の軽減からくる金額表示されているものについて、一体どうやって計測するつもりなのかというのを教えてください。
あともう一点が、2点目の関係行政機関との引き続きの調整ということの具体的な質問なのですけれども、総務省の事業所母集団データベース、あるいは法務省の法人統計システムとの関係をどう構築しているのか。とりわけ、先ほど御回答の中で登記情報をクレンジングするのはすぐにはできないという御発言があったのですけれども、それは将来的にはきちんとクレンジングをして法務省の登記システムにフィードバックするということをきちんと考えているのかということが一つです。
直感的には既にある事業所母集団データベースや法人登記システムを改善することで目的は達成できるのではないかと思うのですけれども、わざわざこのベース・レジストリ事業を別に立てることの意味を教えてくださいというのが質問になります。
以上です。
佐藤座長: 杦浦様、お願いいたします。
杦浦参事官: ちょっと順不同になるかもしれませんが、私からコメントさせていただきます。
アウトカムに書いております金額につきましては、基本的には例えば今、法人に関してどれぐらいの変更件数がありますかというところを過去に調べたシンクタンクによる調査がありましたので、そちらの件数を基本的には使っております。その件数に対しておのおのの処理に一件当たりどれぐらいの時間がかかるかというところを推計した上で、例えば1時間かかりますということであれば、それにかかっている人件費の単価につきましてはデジタル庁の中で共通的に使っているものがございますので、そちらの単価を掛けて時間掛ける単価で金額に直しているという形になりますので、ある意味本質的には件数に比例したような形で金額というのは出ることになってございますので、こちらの金額というのはそのように出ているということで御理解いただければと思います。
それから、例えば総務省の事業所母集団データベースの話がございました。あちらは例えば事業所単位で売上げや働いている人数などのかなり細かい精緻なデータを取っておるものになります。ですので、今回の登記情報はこちらのベース・レジストリだけでカバーできるものではございませんが、連携できる部分につきましては、例えばこちらの登記の情報連携の仕組みから取れるデータは向こうにお渡しをするといった形で今、連携を進めようとしてございます。
それから、クレンジングに関しましては、すぐできないと申し上げたのかあれなのですけれども、クレンジング自体は淡々と進めてまいります。ただ、それ自体はデータ連携のためのクレンジングですので、例えば住居表示であれば、ちゃんと町字やその下の粒度に合わせた形で分離した形でデータを分けて、連携に便利なフォーマットに合わせて並べ直すとか、あるいは大変細かい話では全角・半角をそろえるみたいなところも含めて、基本的には内容を変えるというよりは表現を変えることのクレンジングというのが一番大きいかと思います。
その中で、データの真正性というか、データの品質自体は登記が申請ベースであるということも考えますと、デジタル庁が何かこれはおかしいのではないのと言って勝手に直すということはないので、そこは法務省なりデータベースの管理者のほうが判断をして、その原本を直すのかどうかということは御判断いただくことになろうかと思います。我々としてはあくまで情報連携に必要な範囲でその目的のための成形をやっていくということで、データそのものを修正するという作業ではないと考えております。
佐藤座長: 神林委員、今の回答で大丈夫ですか。
関係性のところなども、多分神林委員の意図は、例えば総務省や法務省などのいろいろなデータベースがあって、中空委員の指摘もありましたけれども、リダンダンシーが出てしまっている。ほかの省庁の持っているデータベースとこのベース・レジストリのリダンダンシーが出ているとか、あとデータをどちらに寄せるのかという結構重たい質問だったと思って。
神林委員: そちらに任せられないのかということですね。
佐藤座長: そうですね。
杦浦様、お願いします。
杦浦参事官: 任せられるものは任せたいと思いますけれども、こと登記に関しては、登記のほうから取れるものは事業所データベースのほうに持っていっていただければよいですが、恐らくそれだけで足りるということはないので、向こうの調査自体はされる必要があるのだと思います。
ただ、向こうはそういった形で別の目的で使われているものなので、登記の情報で全部足りるかというとやはりそこは難しいのかなと考えております。
佐藤座長: ありがとうございます。
私もいろいろお伺いしたいところもあるのですけれども、皆様に今、御質問をメインにしていただいたところなので、先ほどと同じように最終的なこのベース・レジストリに対しての各委員の御意見をお一人ずついただいて、それをまた取りまとめるという手順でいきたいと思います。
それで、先ほどは岩﨑委員からお願いをしたのですけれども、今回は順番を逆にさせていただいて、堀川委員、中空委員、神林委員、上村委員、岩﨑委員の順でお願いしたいと思います。堀川委員は想定していなかったかもしれませんけれども、堀川委員、何か総評的な御意見を手短にお願いいたします。
堀川委員: ありがとうございます。
既に様々な課題を認識されているところだと理解しました。デジ庁さんですので、それらを専門家の知見も交えてレビューシートに反映していただくことで、システム開発におけるグッドプラクティスとなるようなレビューシートの作成を期待したいと考えております。
私の意見としては以上です。
佐藤座長: ありがとうございます。
続きまして、中空委員、お願いいたします。
中空委員: ありがとうございました。
一回手続をすればデータとしては完成するということはぜひ目指していただきたいと思います。アウトプットやアウトカムというのは、ほかの委員の方々の御指摘もありましたが、一度ずつ見直していただきたいというのと、あと私からは少しスピードアップして時間を短縮する、早めに達成するということも付け加えていただきたいなと思います。
以上です。
佐藤座長: ありがとうございます。
続きまして、神林委員、お願いいたします。
神林委員: 質問したことについてはちょっとまだよく分かっていないのですけれども、ほかの政府内のデータベースとの関係というのはもう少しきちんと客観的な情報をもって整理をしていただきたいと思います。
あともう一つは件数と金額の関係なのですけれども、線形の関係であれば、それはほぼ同値の話になるので、書き方としてはもう少し工夫をしたほうがよいのかなと思います。
以上です。
佐藤座長: ありがとうございます。
続きまして、上村委員、お願いいたします。
上村委員: 不動産分野ということはかなり重要な事業だと思っています。進める中でボトルネックは恐らく多いだろうし、個別対応しないといけない場面も多い事業だと思いまけれども、ぜひとも進めていただきたいと思っていますが、その際、広範囲かつ効率的に活用できる仕組みになっていただくということが大切ですのでよろしくお願いします。
アウトカムについてはいろいろ議論がありましたけれども、事務負担の軽減の効果についてはどのように計算するのかの出典や計算方法は示していただくことが必要かなと思います。利用度合いについても同じですけれども、ダッシュボードの作成と公開についてはぜひ検討してください。
以上です。
佐藤座長: ありがとうございます。
岩﨑委員、お願いいたします。
岩﨑委員: ありがとうございます。
私はこの事業が利便性の向上や行政運営の効率化だけではなくて中長期的に行財政改革に資する一大事業と捉えています。省庁横断や官民データ連携、ユーザーの利便性向上、あと重複投資の解消に伴う財政改革など、デジタル政府の根幹であると拝察しています。このデジタル庁のベース・レジストリが全てのリアルタイムデータの最新版になるということを期待しますし、そのための関連省庁や自治体連携をしっかりと進めていただきたいと思います。
先ほどデータの修正がないことやリダンダンシーの件の御指摘もありましたけれども、データの質や重要性から鑑みても、各省庁のセキュリティ対策に十分留意するということや監督官庁として司令塔機能のデジタル庁の役割に期待したいと思います。
以上です。
佐藤座長: ありがとうございます。
今、各委員から総評的な御意見をいただいて、ちょっとまとめ切れるかどうか分からないのですけれども、私のほうでまとめをさせていただきます。
やや御発言の順番でまとめてしまうので、重要性とはちょっと違いますけれども、まず堀川委員からグッドプラクティスということがありました。堀川委員の根拠としては、今まで自治体や政府や独法も含めて、データベースの違いによってデータがうまく共通化できないというところも含めてグッドプラクティスをつくってくださいというところだと思います。この件に関して言いますと、住所表記に関してはもう何十年もなかなか合わなくて苦労していて、住所表記の法律をつくってもそれに準拠していない自治体というのも実際に存在したりしてなかなか難しい問題で、このベース・レジストリでどこまでそれがやれるのか、ぜひ過去の失敗を繰り返すことなくやっていただければいいのかなということも含めてグッドプラクティスという言葉を堀川委員はおっしゃったのだと思います。
それから、今回、中空委員、神林委員、上村委員、岩﨑委員からアウトプットとアウトカム、特にアウトカムのところの指標に関してよく精査をしてほしいという御意見があったと思います。1点だけまとめてしまうと、一つは行政職員の負担軽減というのと、もちろん民間側の利便性の2つになってくると思うのですけれども、その中で効果として件数と人件費を掛けるという形で出していました。それが本当にいいのかというところもありますし、あと気になるのはこのデータベースを整備するための費用で、特に自治体や関係する省庁というのはこのベース・レジストリに対してデータベースをつくるためのデータの整備をしなければいけないし、そこでコストもかかるので、単純に費用対効果だけではなくてそういったものも含めて見ていただくことが重要なのかなと思います。
次に、不動産のところは特に皆さん御関心があって、上村委員から判子手続が減らせるのかというところがあって、これはベース・レジストリの問題ではなくてほかの行政手続側の問題だと思うのですけれども、ベース・レジストリはあくまでも政府の持っている、例えば法務省の管理している登記簿というものを対外的に利用しやすくするというところになっていますので、行政手続のものとはちょっと違うのかなと思っております。
それともう一つは、中空委員からも御指摘がありましたけれども、例えば住所の場合、空き家になっているかどうかのチェックができるのかというのも法務省のデータベースでいかに見せるのかというところなので、なかなか難しい問題で、逆にこういう指摘があるというのは、ベース・レジストリに対する期待が非常に大きいというところがあります。なので、そこはなるべくそれができるようになるほうがいいと思いますけれども、ベース・レジストリのやれるところとやれないところというのを明確にすることも重要かと思います。
その点の御指摘は実は中空委員から個別意見のところでいただいていて、どこまでできるのかというのはかなり明確に言っていただいたほうがいいという御指摘をいただいていたところで、比較的こういう話というのは最初のビジョン、特にベース・レジストリに関してはデジタル庁発足時から目標に挙がっていて、かなり大きなビジョンを出されて実際に項目を縮小するということになりました。そうした経緯も含めますと、できることとできないことをまず明確にしていただくことがこのベース・レジストリを進める上でも重要なのかなということを感じます。これは中空委員の御意見からそういう指摘をさせていただいております。
それから、アウトカム、アウトプットに関しては、上村委員からダッシュボードなどで利用状況、これは利用率や利用件数などのいろいろな指標があると思うのですけれども、そうしたものを可視化するような取組が必要になるかと思います。
あと、神林委員から関係行政機関との関係性というところがありました。ここに関しても私も必ずしも原課から明確な回答があったとは思えないところがあるのですけれども、これまで各府省庁で統計用なのか、または個別参照用なのか、データベースなどを整備していったところで、そこのデータベースとの関連性について、実際例えば統計用のデータベースの場合には網羅性や統計的に実態を反映するということがすごく重要視されているところで、一方でベース・レジストリに関して言うと、データベースという言葉は使われますけれども、統計用のデータベースなのか、個別案件の問合せ用のデータベースなのかというところが必ずしも整理をされていないようにお見受けされるので、その辺りを明確にされていくと、関係行政機関との関係性というのもおのずと整理されるのかなと思っておりますので、ここのところは引き続き御配慮いただければと思います。
あと、想定される論点の3つ目ですけれども、データベースというものの維持管理もそれなりに手間がかかりますので、例えば自治体の事務コストを減らすためと言いつつ、自治体側の負担をデータベースの整備の負担で増やしてしまったというのは全く本末転倒になりますので、そうしたところも含めてこのベース・レジストリの維持・運用に関わるコストも含めて適切に行われるように評価、またはその体制をつくるということが求められているかと思います。
大体こんなところで皆さんの御意見は網羅できたのではないかと思うのですけれども、何か抜けている点などがあれば、御指摘をお願いいたします。
佐藤座長: それでは、特に御意見もないようなので、今、僕は雑駁に説明してしまいましたけれども、以上を取りまとめとさせていただきます。
それでは、ベース・レジストリの事業につきましてはこれをもって取りまとめとさせていただきます。ベース・レジストリの御説明をしていただきまして、杦浦さん、どうも丁寧な御説明をありがとうございます。
それでは、議事進行を事務局に戻したいと思います。よろしくお願いいたします。
森参事官: 委員の皆様、活発な御議論をありがとうございました。また、佐藤座長、取りまとめのほうもありがとうございます。
本日、取りまとめていただきました御意見や議事録に関しましては、委員の皆様方に御確認をいただいた後、デジタル庁のウェブサイトで公表させていただく予定にしております。
それでは、最後に冨安統括官から御挨拶をさせていただきたいと思います。統括官、よろしくお願いいたします。
冨安統括官: 佐藤座長、取りまとめありがとうございました。また、有識者の皆様、貴重なコメントをありがとうございました。
途中で委員の皆様からお話がありましたけれども、デジタル庁は昔のIT室、あるいは総務省行管局がやってきたことを引き継ぎつつ、さらにそれを強化して各府省のシステム予算をレビューして、まさに本日御議論させていただいたような共通機能や重複排除といったことを求めていく、あるいは求めている立場にあります。
本日御説明しましたGビズIDやベース・レジストリもデジタル庁が行っている事業ですけれども、まさに各府省なり自治体の皆さんに使ってもらわないといけないプロジェクトでございます。私どもももちろん彼らに使ってもらうために、なぜ使ってもらうのかというところで今日お話がありましたが、アウトカムをしっかり説明して理解いただいて、だからこそこれを求めているのだということで、共通機能を使ってもらうのは手段なので、そういったところのアウトカムの説明はやはりどうしても役所は苦手なところがございます。本日もいろいろと御指摘いただいてありがとうございました。今日は金額的な評価で御説明している部分ありましたけれども、まさに国民や事業者の時間が節約されるという時間で説明していくというのもあるのかもしれませんし、システム予算全体でどうやってアウトカムを説明するのかというのは我々の課題となっていると思いますので、本日の御議論も参考にさせていただきまして、しっかり費用対効果の効果の部分をちゃんと説明できるようにしていきたいと思っております。私どもも本当にそこが課題だと思っていますので、本日はいろいろと御議論、御示唆をいただきましてありがとうございました。しっかりと活かしてまいりたいと思います。
重ねまして、ありがとうございました。
森参事官: ありがとうございました。
それでは、以上をもちまして、令和6年度デジタル庁政策評価・行政事業レビューの公開プロセスを終了させていただきます。委員の皆様方、長時間にわたり活発な御議論をありがとうございました。
本日はどうもお疲れさまでございます。
以上