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ITガバナンスを確保するための総合運用監視

デジタル庁では、政府情報システムが提供する様々なサービスについて、各サービスがそれぞれで運用・監視を行う中で、全体を俯瞰した総合的な運用・監視を行っていきます。インシデントやその対処が高度化・複雑化してきているため、個別の監視と機動的に連携・支援することで、より速やかな稼働状況の把握・状況判断と早期復旧を目指して、総合的な運用・監視による横断的なITガバナンスの確保を推進しています。

概要

総合運用監視とは

デジタル庁における総合運用監視は、デジタル庁の整備する政府情報システムの全体のサービス提供状況の把握を行いつつ、IIAの3ラインモデル における第2ライン※1および第3ライン※2の役割から各システムのITマネジメント※3を支援する仕組みです。デジタル庁におけるシステム全体のサービス稼働状況を横断して一元的に把握する総合運用・監視システムを構築・運用することで、デジタル庁のITガバナンス※4の実現を目指しています。

※1:IIAの3ラインモデル における第2ラインの役割
政府情報システムの安定運用・管理に対するリスクに関連する事項について、専門知識、支援、モニタリングの提供等を行うものです。
※2:IIAの3ラインモデル における第3ラインの役割
適切な運用をサポートするため、独立した客観的な評価と助言を行うものです。
※3:ITマネジメント
運営、監視、リスク管理など、日常的なシステムに関する運用・管理を行うものです。詳細は、「DS-100 デジタル・ガバメント推進標準ガイドライン 本文 第3編ITマネジメント」を参照ください。
※4:ITガバナンス
デジタル庁が、政府情報システムに関する方針、規則の策定を迅速に出来るように、政府情報システムの全体状況を常時モニタリングすることです。詳細は、「DS-100 デジタル・ガバメント推進標準ガイドライン 本文 第2編ITガバナンス」を参照ください。

総合運用・監視システムについて

総合運用・監視システムは、デジタル庁が管理する政府情報システムを対象として各システムへ外形監視※5を行います。外形監視により得られた各システムの稼働情報の確認結果は、総合運用・監視システムのデータベースに蓄積され、情報分析を行い、分析結果をダッシュボードに表示します。

政府情報システムと総合運用・監視システムの連携を示した図。図の左側に政府情報システムの担当という見出しのついた枠が書かれていて、その中にはデジタル庁が管理するシステムが複数個書かれている。図の右側には総合・運用監視システムの担当という見出しのついた枠が書かれていて、その中には総合運用・監視システムと分析員が書かれている。総合運用・監視システムからデジタル庁が管理するシステムに稼働状況把握・外形監視と書かれた矢印が引かれている。総合運用・監視システムの中には外形監視機能、データベース、情報分析ダッシュボードが書かれており、外形監視機能の情報はデータベースに蓄積され、分析結果は情報分析ダッシュボードに表示される。

総合運用監視担当の分析員は、総合運用・監視システムの情報分析ダッシュボードから全体的な稼働状況を確認します。その上で、他の各システムの監視・観測情報と総合的に分析し、必要に応じてデジタル庁統括部門(PMO※6、幹部等)や対象システムのPJMO※7に分析結果を共有します。また、デジタル庁統括部門と各政府情報システムの担当は常に情報分析ダッシュボードでシステム稼働状況が確認できます。
これにより、統括部門側では全体把握やPJMOへの方針指示、PJMO側では迅速な問題把握や問題解決支援が可能になります。

政府情報システムの担当、総合運用・監視システムの担当、デジタル庁統括部門、利用者の4者の関係を示した図。国民・職員は、デジタル庁が管理するシステムを利用する。総合運用・監視システムの分析員は、情報分析ダッシュボードを確認し、総合的に分析した結果を政府情報システムのPJMOと、デジタル庁統括部門のPMOと幹部に共有する。PJMOは分析員からの分析結果の共有等の支援によって、迅速な問題把握や問題解決を行う。PMOと幹部は、分析結果を元に全体把握を行い、PJMOに方針指示などを行う。

※5:外形監視
対象のWebサイトやWebアプリケーションに対して利用者と同様の方法でアクセスし、異常がないか監視する手法です。
※6:PJMO(Project Management Office)
プロジェクト推進組織(システム管理者)
※7:PMO(Portfolio Management Office)
府省内全体管理組織

総合運用監視の目的・役割

  • 総合運用監視によるデジタル庁のITガバナンス向上
    政府情報システムの提供サービスが(インターネットや外部サービス含む)複数のシステムで構成されるなど、各システムの運用担当者では提供サービスへの影響把握しづらい場合を支援できるように、総合的な手法でデジタル庁の異なるシステムの運用状況を全体的・継続的に監視する。
  • 利用者視点及び客観的なサービス提供状況の把握
    各システムの運用者では、利用者に対するサービス提供やリスク管理等を担う第1ライン※8としてのシステム稼働の状況把握をしている。総合運用監視では、システム稼働に加え、利用者視点でのサービス提供の状況を把握する。そのため、総合運用監視は、第1ラインを支援する第2ライン/第3ラインとして各システムの運用者から独立的・客観的にサービス提供の状況を把握する。
  • インシデント発生時のデジタル庁全体の対応支援
    インシデント発生時に影響の範囲やシステムの関連性を特定することを支援する。これにより、インシデントが発生した各システムの運用者と連携し、デジタル庁全体としてインシデント対応を迅速かつ効果的に行う。
  • 各システムの運用品質のレベルの向上
    独立的・客観にサービス提供状況を把握し、各システムの運用者にサービス提供状況を定期的にフィードバックする。サービス提供状況のフィードバックにより、各システムの運用者による運用品質レベルの向上を図る。
※8:IIAの3ラインモデル における第1ラインの役割
利用者に対する製品やサービスの提供とリスク管理を行うものです。

関連資料