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モビリティワーキンググループ(第5回)

概要

  • 日時:2024年11月22日(金)16時15分から18時00分まで
  • 場所:オンライン
  • 議事次第:
    1. 開会
    2. 議事
      1. モビリティワーキンググループの開催について
      2. 「モビリティ・ロードマップ2025」の論点(案)について
      3. モビリティワーキンググループ等の進め方について
    3. 意見交換
    4. 閉会

資料

議事録

麻山参事官: ただ今から、「モビリティワーキンググループ」の第5回会合を開催いたします。本日はお忙しいところ、ワーキンググループにご出席いただきありがとうございます。本日、司会を務めます、事務局の麻山でございます。よろしくお願いします。
ワーキンググループの開催にあたりまして、森主査よりごあいさつをいただきます。

森主査: 今回の「モビリティワーキンググループ」の主査を務めさせていただいております、森でございます。本日はお忙しいところ、皆様にはお時間をいただきまして、ありがとうございます。今回第5回の開催に先立ちまして、今日の会の趣旨とごあいさつを申し上げたいと思います。

昨年度、このモビリティワーキングでロードマップを策定いたしました。構成員の皆様には多大なご協力をいただき、この策定に時間を割き議論いただきました。そして4回のワーキングを経て作りましたので、そのような時間をたくさん取っていただきましたこと、お礼申し上げます。

このロードマップに関しましては、毎年度改定することとしております。自動運転をはじめとする様々なモビリティサービスを実際に社会実装していくために、需要サイドと供給サイドのそれぞれの思いや考えをしっかりと結びつけて、モビリティの効率を上げていこうと考えております。

今回、このロードマップ2025のとりまとめに向け、今までの2024を具体化、そして進捗状況もお知らせして評価をしながら需給横断的な共通基盤をどうしたらいいのかを考えていきたいと思います。

本日はデジタル庁から、ロードマップ2025の論点と策定に向けた進め方についてご説明をいただきます。

先ほどご紹介した共通基盤のみならず、社会実装においてはどのようなことを詰めていけばいいのか、皆様にご意見いただければと思います。今回どういう検討を進めていくかという論点、どういったテーマを議論していただくかというところについて、皆様のご意見をいただければと思っております。皆様の忌憚のないご意見いただければと思います。私からのお礼ならびに今日の論点についてのご紹介、ごあいさつとさせていただきます。よろしくお願い致します。

麻山参事官: ありがとうございました。本日の会議はオンライン開催となります。構成員の皆様に関しては、会議中のカメラをオンで発言時にはマイクのミュートを解除してご発言いただけますようお願い申し上げます。なお他の方が発言されている際にはマイクをミュートにしていただけますようお願いします。また、傍聴者の方はカメラ、マイクともオフにしていただけますようお願いします。

最初に会議の運営についてご説明をさせていただきます。皆様からいただいたご意見については、資料の説明を除き、議事録の形で取りまとめさせていただきたいと存じますので、ご承知おき願います。

資料の確認をさせていただきます。事前にお送りさせていただいた議事次第の通りとなりますが、資料は、議事次第、資料1、2および参考資料、若菜構成員からご説明いただく資料、出席者一覧、以上になります。不足がございましたら、Teams のチャット機能、もしくは事務局までメールにてお問合せいただければと思います。

自動運転をはじめとする新たなモビリティを社会実装していくためには、需給横断的な交通商社機能と共同利用すべき共通基盤についての議論が欠かせないと考えております。こうした議論を進める上では、地域交通の現状を十分に踏まえることが必要であるため、事前に主査とご相談し、各地で地域交通確保の実務に携わっている若菜構成員に構成員に加わっていただくことといたしました。若菜様からは、後ほど、これまでに自身が携わられた取組や、取組の実務を通じてお感じになられた地域交通の課題などについてご説明いただきたいと存じます。

本日の出席者のご紹介につきましては、時間の制約もありますので、失礼ながらお手元の出席者一覧の配布にて変えさせていただきます。

それでは早速ですが、議事に移らせていただきます。今回は次期ロードマップの論点について議論したいと思います。先ほど申し上げました通り、まず若菜構成員から「地域交通の実情 ~デジタルに期待されること~」についてご説明をいただきたいと思います。若菜様、ごあいさつを含めましてよろしくお願いいたします。

若菜構成員: 今回から参加させていただきます。岩手に今住んでおります、若菜と申します。よろしくお願いいたします。初めての参加のため、勝手がわからないところもあると思いますが、よろしくお願いいたします。では、資料の共有をお願いいたします。

普段私は岩手の特に中山間地域で、地域交通を住民の人と一緒に作ることを仕事や支援として行っております。現場の話を、ということでしたので、現場の話をしながら話題提供になればと思いますので、よろしくお願いします。

普段、特に中山間地域、田舎の方に関わり交通づくりをしているのですが、議論の支えになればということで都市規模と生活圏域の関係において、この辺りをやっているというご紹介をしたいと思います。普段交通を作っている上でも、住民の方にも、生活圏域という考え方はすごく重要です。どの部分を自分たちでやり、どの部分を事業者にやってもらい、行政にやってもらうのかという意味で圏域を考えてくださいという話をしています。
この資料を普段使っていますが、一番左がいわゆる地方都市で10万人とか30万人とかの規模です。岩手だと一番大きい30万人の盛岡市ぐらいの規模感です。そして地方の市町域は人口1万人や2万人の範域があります。一番右側が町村域や小学校区の地区のように見ていただければと思います。私は一番右の町村域、地域、人口は5千人から3千人ぐらいの町村や地区に関わることが多いです。人が暮らすにあたっては、この町村域ではお店もほとんどないような状態です。市の中心街、病院となると岩手では盛岡まで行かなければならない、そのような範域になります。

都市規模により交通資源の質と量が異なると書いておりますが、今はニーズがどうかではなく担い手や車両、ドライバーや事業者がどれくらいいるかという事に左右されることが多いです。一番下に交通資源と書いてありますが、地方都市であればバス事業者さんやタクシー事業者さんはまだいらっしゃいますが、この市町域ではバス事業者はもうおりません。頑張って自分の世代まではやるというタクシー事業者さんはいますが、町村域になるともう事業者さんがいないという状況で、その状況に合わせて交通を組む形です。ただ交通は繋がっていないとダメであり、そのネットワーク性には色々な主体の連携が必要であるため、そこにデジタルが最近ははまってきていることもあり、開発していただきたいニーズはすごくあります。

少し事例の紹介をしたいと思います。市町域と書いてありますが、先ほどのページでは真ん中、人口1万人とか2万人の町村の交通においてどういう問題が起きて、それに対してどのような交通の在り方があるのかという話について、少し事例を使って説明をしたいと思います。これは宮城県の丸森町という一番宮城県の中でも南側にある人口が1万2千人のところです。もうバス事業者さんはいらっしゃらず、タクシー事業者も一昨年は2社ありましたが1社が廃業になってしまいました。残った1社がスクールバスもコミュニティバスも路線バスもタクシーも乗り合いタクシーも全部を1社が担わざるを得ないというところで、苦労して今取り組んでいるところです。実際には交通の見直しということで、デマンドタクシーの更新に実際に今年から取り組んでいます。乗合タクシーは平成19年から丸森は入っていましたが、利用者がすごく減ってしまいました。6台で全町フォローしているのですが、どうも効率が悪い。車両が多すぎるのではないか、受付を2名置いていることもどうなのか、というのがあって、今年からAIデマンドに乗合タクシー自体を切り替え、AIのデマンドシステムを導入しました。

色々調べた上で AIにするのが良いということで入れましたが、入れてみると苦労が多いです。AIシステムを入れると、東京や東北にないどこかにあるサーバーにアクセスして、予約の受付と配車をしてくれます。今まではオペレーターさんが2人いらっしゃり、その人に合わせた細かい対応をしていました。実は結構アナログな部分も入れていましたが、そのアナログ部分が全く入らなくなりトラブルが起きました。例えば、隣のおばちゃんと一緒に買い物に行きたいけれども、家が少し離れているので一緒の車両に乗れないということでどうしたらいいのかということが起こりました。また、下の棒グラフで赤い線と緑の線がありますが、マッチングができない時間帯がどうしても発生してしまいました。利用者にとって「今まで利用できていた時間に利用できなくなった」というフラストレーションもたまり、受付オペレーターも疲弊する状況になってしまいました。また、AIを入れると乗務員さんの労働時間が意外と長くなり、乗務員も疲弊してしまい、乗務員もモチベーションを保つことの難しさに直面をしている状態になっています。そのため、タクシー会社の社長には、多様な働き方、交通においては午前中に集中して午後暇ということが仕事の成り立ちとして難しいところですが、午前中だけ働ける人などといったギグワークもちょっと入れたらいいのではないかという提案はしておりますが、経営形態の変更には時間がかかりますのでまだまだ解決の方向性が見えていない状況です。乗務員はこういうふうに働きたい、朝と夕方だけ働きたい、といったことに対して合わせられないということがあります。労務管理を全部はデジタルでできずアナログの部分、人と人の関係に頼る部分がありますが、それを担う担い手もいないところに直面しています。運営主体でもある行政も入って、乗務員、会社経営者、受付オペレーター、私も入って話し合いを重ねていますが、交通事業者自体が弱体化する中で、みんなで運営をコントロールしていくのはどうしても残る属人的な面とAIというかデジタルの活用は、本当に難しいと感じています。

もう1つの事例は新潟県村上市の山北地区です。人口は5千人で、バス会社さんはいらっしゃいますが、地元のタクシーが廃業をしてしまいました。バスの利用者もすごく減っており、バスも含めた公共交通全体の見直しをする中で、ドアツードア性を高めていくにあたり、地元の学童保育の運営や助け合い活動に取り組んできたNPO法人さんが公共ライドシェアと呼ばれる自家用有償運送を始めました。ここにおいてはシステムを全然入れておらず、完全アナログで1人受付のお姉さんが配車と受付を全部やっています。ドライバーは皆さん個人で、農業などの片手間に協力していますが、対価はきちんともらっています。ここで発生した問題で今対応中なのは、利用者が増えたことです。今までタクシーがなかったのもあり、これがすごく安く使えるため利用者が増えました。なんとかオペレーターさんが受付簿やホワイトボードなどを活用してアナログで対応していますが、利用ニーズの調整に加えて、ドライバーの細かい調整も必要なため、その両方を調整しながらマッチングする作業が非常に大変な状況になっています。日々、このような状況を行政担当者と私も入ってどのように対応するのがよいか話し合いを重ねています。こちらでも混む時間帯が重なっていることと、エリアが広く、1回の送迎で片道30分を超えることもあるため、効率的な配車には限界があります。ドライバーさんは専従職員ではないため、午前中だけがいいとか、今日はいいけど明日はダメとか、働ける時間がまちまちです。システムを入れる予定は今のところありませんが、ドライバーの掘り起こしとあまり便利にしすぎるとバスの方の利用者がいなくなるとか、全体のネットワークの調整などを、私も入ってみんなで手探り手探りやっている状況です。

最後になりますが、地方都市の大きいところには私はあまり入らないので、田舎の事例を2つ紹介しました。実際には交通ネットワークの調整・調和というところでは、田舎では統合と多機能化というのがキーワードです。色々なものを1つの車両に乗せること、スクールも乗せるし、通院も乗せるし高校生も乗せるなど、1台の車両にいろんなニーズを乗せるというのが1つのポイントです。都会は多分バスはバス、タクシーはタクシー、スクールはスクールという分け方になってくると思いますが、田舎の方は色々なニーズを1台の会社や1台の車両に乗せるということが効率化のポイントです。そのため、新しい形態というものがすごく必要になってきています。先ほどの事例でも行政も入って事業者も入って受付の人も入って私も入ってどうしていこうか話さざるを得ないところで、経営を、誰がトップを取って判断するのかについては共同という形でやっています。この問題が一番難しいです。都会においては、デジタルシステムで連携と書いていますが、私が知っている例では、デイサービスとかの車両を社会福祉法人さん皆持っているものをシステムにのっけることで、どの会社のどの法人の車両ということ関係なく、皆で使うみたいな、そういう福祉MaaSみたいなのがやり方なのかなと思います。やはり大きいところと小さいところでそれぞれ違いますが、デジタルに期待することは大きいということで、このような研究会で私も学べたらと考えております。少々雑駁なってしまいましたが私からは以上です。

麻山参事官: 若菜構成員、ご説明ありがとうございました。これからの議論において非常に参考になるご説明だったかと思います。皆様から何かご質問がありましたらお願いいたします。

では、私からの質問で恐縮ですが、比較的規模の大きいところはデジタルを導入している一方で、規模が小さくなると導入が難しいというご説明をいただきましたが、比較的規模が小さい丸森町においてデジタルのシステムを取り入れるにあたりどのようなことが課題になったか現場の経験などありましたら、一言お願いいたします。

若菜構成員: はい、ありがとうございます。丸森も山北もそうですが、例えば、ドライバーさんが1人いたら、丸森ですと朝スクールバスの運転で8時までに子供たちを送ります。その後、デマンドに乗ります。理想ですと、デマンドの利用がない時にはタクシーに入るっていう、そのような働き方をせざるを得ないです。また、ニーズとしてもそれぞれが小さいためそのような組み合わせになります。そうしますと、スクールを発注しているのは行政ですので、学校との連携が必要になります。そのような意味の統合と多機能化というものが色々なところで関わるのですごく難しいです。

麻山参事官: ありがとうございます。他に構成員の皆様からございますか。各府省庁からご出席の皆様も、地域の交通実情についてご質問がありましたらお願いいたします。齊藤構成員、よろしくお願いいたします。

齊藤構成員: 先ほどの色々な人たちの、働き方をこうしたい、どこに行きたいというニーズは予め登録しているのですか。その時に要求があるのでしょうか。どのようなスケジューリングをしているのか分かりませんでした。

若菜構成員: 利用者さんニーズですと、丸森ではフルデマンドという使いたい時に電話すれば使える状態ですので、スーパーに行きたいと言えばスーパー、病院に行きたいと言えば病院といったように、その時にニーズが発生する形になっています。

齊藤構成員: そうするとニーズが偏っていくようなことが避けられず、先ほどのように色々な人が対応する計画が立ちにくいという話はあるのでしょうか。

前の日ぐらいに登録して、いつ何にという話になれば計画を立てることができ、どういう手順でやったらいいか、事前に定めておく形で平準化するほうがやりやすくなるように感じましたが、それは今行っていないのでしょうか。

若菜構成員: 以前はそうでありましたが、今はリアルタイムで対応するようにいたしました。山北の方は前の日までの予約なのですが、結局全部受け付けてから配車計画を立てるともう1回電話を掛け直すという作業が発生します。いずれにしても1回ニーズをまとめてから配車計画を立てて返すというのは、作業的に非効率になってしまいますので、電話がかかってきたら何分ほどで迎えに行きますと返さざるを得ないです。

平準化について、丸森は以前ダイヤを決めていました。待場に出てくるのは「あなたの集落は朝9時ですよ」ということを決めることによってある程度、平準化、誘導をできていましたが、利用者が減ったため完全にフルでも行けるだろうということになりました。

齊藤構成員: もう1つは、よくデマンドレスポンスとか、デマンドコントロールの際に料金を変えることがありますが、今はすべて同じ料金でやっているのでしょうか。それにより少しシフトするような話があります。例えば電力商品ではある時間帯に集中したら困るから料金高くして他に散らせるような話をしていますが、そういうアイデアはトライされたことはないのでしょうか。

若菜構成員: そのようなダイナミックプライシングみたいなものはやっていないです。ただ、乗合タクシーとバスの差別化と言いますか、誘導としてなるべくバスで行ける人はバスにという点では、価格差をつけています。確かに混む時間はちょっと上げるというのはありかもしれません。

齊藤構成員: どういう行動、何をするときにずらしてもいいのか、ずらしてまずいのかよくわからないので効果あるかどうかわからないですが、そのような話もあるかと思い、質問しました。以上です。

若菜構成員: 今のご質問に対しては、2つ目の山北で今週その話をしてきました。やはり通院は時間がずらせませんが、買い物やATMに行くことはずらせるので、受付をする時に最初に通院ですか、それ以外ですかと聞き、通院以外は時間ずらしていただくという対応の周知をすることにしましょうということになりました。

齊藤構成員: わかりました。どうもありがとうございます。以上です。

麻山参事官: ありがとうございます。髙本参事官いかがでしょうか。

髙本参事官: 先ほど来お話伺っていて、非常に興味深いなと思いました。特に、我々もドライバーのシェアという考え方を、まさにこの空白解消の1つの方法として、主に考えているところございます。

その点で1つご質問なのですけども、今回ご説明いただいた中ですと、スクールバスの運転手の方やデマンドのタクシーということでした。それ以外に例えばその地域のドライバーという職業を持ってらっしゃるような方はもう少しパイがあるのではないかと思います。例えば、運送会社の方とかです。そういった方々もドライバーという意味であれば共通項がある中で、シェアをする考え方の俎上にドライバーのパイ自体をもう少し横展開していくお考えは今のところお持ちではないのでしょうか。

若菜構成員: ありがとうございます。町村域だと、担い手は貨物事業者であることが増えてきました。そのような意味では貨物のドライバーさんが旅客もやるというのは、私の関わるところでは一般的です。むしろ貸し切りとかももういないようなところですので、貨物の方もやっていただいています。そういう意味では、貨物の方でも足りないという状態です。今関わっている事例で先ほど話しましたニーズのマッチングやニーズの誘導は当然ですが、関わる方の掘り起こしとマッチングがなんとかもっとシステム使って上手にできないかと思っています。その辺りは田舎に行けば行くほど難しく、地域のためだからやるっていう気持ちとお金がもらえるからやるっていう気持ちのせめぎ合いみたいなところがあります。単純にそのギグワーク的に時給1,500円もらえるならやるよっていうのだと多分システムはマッチングしやすいと思います。ただ、それはいらないけれども困っている人がいるならばやるという考えとシステムとの融和性とかができると本当にいいなと思います。まさに地域づくりとの兼ね合いの横展開にもなりますので、その辺りは何かできたらいいなと夢見ています。

髙本参事官: ありがとうございます。おっしゃる通りモチベーションの部分で、だいぶ形が変わるというのは、よくわかります。我々も実際にシステムを構築するにあたり、我々の思い描くようなシステマチックな形を作るために必要な人材はモチベーションによって大きく違ってくるというのはあります。そういった点については我々もちょうどそういった取り組み、各地域の皆様でまさに貨客混載みたいなものも含めてどのような形を構築していけるのかという情報を探っているようなところです。またぜひ実際のシステムづくりの中で、ご意見などもお聞かせいただければ大変ありがたく思います。ありがとうございました。

若菜構成員: ありがとうございます。

麻山参事官: 次に私から「モビリティ・ロードマップ2025の論点(案)及び策定に向けた進め方」についてご説明させていただきます。(資料2により説明)

本日は、ご説明の通り、ロードマップ2025においては、どういった点を論点とすべきか、また、その論点を議論する上で、重点的に議論頂くテーマをどうするかということについてご意見を頂きたいと思っております。そして、次回のワーキンググループで、物流の現状と課題、交通空白の解消本部の検討状況に関する国土交通省からのご報告も踏まえ、論点や重点的にご議論いただくくテーマを絞り込んでいきたいと思います。

続いて、ご欠席の川端構成員からご意見をお預かりしておりますので、紹介させていただきます。

まず、資料の6ページに関するご意見です。

より働きやすい環境を作るために、ドライバーの管理のデジタル化やサービサーを横断した管理業務の効率化を交通商社機能の一部にすべきであり、共通基盤は、ドライバーの管理も含めて考えるべきとのご意見をいただいております。また、地方部においては、交通のサービサーが独自に資本を投下することも難しいという状況ですので、どこまで公で負担をするのか、公が直接仕組み作りを行うとか、スタートアップ企業や事業者が参入しやすい基盤を提供することも、ぜひ視野に入れていただきたいというご意見をいただいております。

次に、資料7ページに関するご意見です。コミュニティが活性化している地域では、スタートアップ企業も集積し、相乗効果を生み出すため、いかにコミュニティをつくっていくかが重要であり、そのような概念をどこか全体の論点の中で表現いただきたいというご意見をいただいております。

最後に、モビリティの需要を喚起するには、外出目的を作って需要を作っていくことが重要ですので、そうした項目を追加いただきたいとご意見をいただいております。

以上になりますが、時間の制約が限られた構成員もいらっしゃると伺っておりますので、ご予定のある構成員の方から、ご意見をお願いいたします。時間の許す限り、再度ご発言をいただく時間を取らせていただきますので、まずは5分以内でご意見をいただければ幸いです。なおご発言の際はTeamsの挙手ボタン、もしくはチャット機能でその旨を知らせていただくとともに、発言時はマイクミュートを解除してお願いいたします。各府省庁も含めて、ご意見をいただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。石田構成員、お願いいたします。

石田構成員: 若菜構成員のプレゼンも含めてありがとうございました。何点か申し上げたいと思います。

1つは、7枚目の冒頭の文言が自動運転の社会実装と書いてあるのですけれど、自動運転はいかにあるべきか、そんなところまで遡るのか、という議論に聞こえるのですけど、結構大事かと思いますので、まずそこだけ話させていただきます。自動運転イコール無人運転とか、運転手不足だからドライバレスとか結構短絡的な考えが強いように思うのですけれども、そのように考えるのはなかなか難しいなと思います。1つは完全自動運転、無人運転のL4とかL5の社会実装に相当時間がかかります。現実のモビリティ問題はつい足元にあるということです。

また、今回物流も取り入れるということでありがたいなと思っているのですけれど、今、SIPでお付き合いさせていていただいている日野自動車が中心になっておられるネクストロジスティクスジャパンは、運転手不足はあまりないという意識をお持ちでございます。1つは、報酬が高いことと、社会貢献、物流危機を乗り越える、あるいはカーボンニュートラルの解決に資するのだということで、モチベーションが極めて高いので世に言われる物流業界の運転手不足ってあんまり感じないですよと言われました。乗務員さんの運転サービスの比率はどんどんどんどん低くなってくると思うのですけれども、その分、他のサービスとの掛け合わせ、MaaSをしている時から言っていたのですけれど、そういうことをどう考えていくか、その意味での交通商社機能のあり方が非常に大事になってくるのではなかろうかと思います。

緊急に心配なのは、今日も国交省の物流・自動車局からご出席いただいておりますが、今25年 50、 27年100ということで懸命にされていますけれども、今の事業を細かく見ると、実は1運行あたりの乗客車数が1未満の路線が結構多いのです。L2とかL4の車両は走っているけれど、なかなか人が乗っかっていないという厳しい状況になろうかと思います。ある意味では、自動運転に対する極めて広範なネガティブ宣伝を行っているのと同じでございますので、どういうサービスをするのだということも含めてきちんと考えていかないと、単に L4 を走らせればそれでしまいとはならないと思いますので、合わせて申し上げたいと思います。

交通商社機能に関して、私が国土審議会で今やっています地域生活圏の専門委員会にも絡んでおりまして、そこでの議論が、特に条件不利地におけるモビリティに関しての交通商社機能に対して非常に類似点があります。市町村境界にとらわれない生活圏を考えよう、あるいは生活を支えるためには、どこまで行こうが企業内でやりきれないのですけれども、サービスの提供を複合的に考えなければならないということで、交通商社の一翼を担うかと思うのですが、その主役が地域マネジメント法人であるということも考えております。この交通商社機能に極めて似通っておりますので、ぜひ連携をしていただければと思います。

それと、これは前々から言っておるのですけれど、需要の把握のところで、今の需要は、いろんな制約条件、環境の下で実現された需要でありますので、本当の意味でのWell-Beingに資するための需要をどう定義するかということが極めて大事だと思っております。そのため、息の長い話になろうかと思いますけれども、その辺もよろしくお願いします。

それと長くなって恐縮ですけども、共通基盤におけるデータの利活用で私がやらせていただいておりますSIPに関して、今日越塚構成員がおられるか分からないですけれども、越塚構成員にお願いをしてジャパンモビリティデータスペースというかなり大規模なデータスペースの構築、実装もやっておりますので、ぜひ連携していただければと思います。

長くなりましたけれど、以上でございます。

麻山参事官: 石田構成員、ありがとうございます。自動運転のレベルをどうすべきか、という論点と、交通商社、それから需要の課題につきまして、しっかり検討すべきというご意見だったと思いますので、事務局で論点の絞り込みをしていきたいと思います。山本様お願いいたします。

山本圭司構成員(代理:山本昭雄様): ありがとうございます。今回、ITSジャパン会長の山本圭司の代理で出席しておりますけれども、今回の議論内容につきましては会長と事前に確認をしておりまして、今からの発言は山本会長のコメントとして、ご認識いただいて問題ございません。

2つあるのですけども、1つはモビリティサービスを支える交通商社機能という話が6ページにございましたけれども、これは非常にいい考え、賛成です。やはり全国で共通基盤を必要とする自治体というのはかなり存在しているとITSジャパンでもいろいろな事例を見ていますけども、同じようなものをいろんな仕組み、システムで別々にやっています。こういうところを共通基盤として整える、そういう各自治体のマーケットがどれぐらいあってどのぐらいの共通基盤を構えて、どういうレベルでオペレーションするか、こういうことがいわゆる固定費をどれだけ薄くできるかに寄与するため、非常に重要だと考えます。

トヨタさんとソフトバンクさんをはじめ、他の車両会社だとMONETと、いわゆる交通サービス、商社機能みたいなものを進めているのですが、ここで1つ申し上げたいのは、やはり交通空白地帯の需要には限りがあります。そこで、この交通商社機能をどう具体的に業態を検討するかはこれからにしても、この商社機能は6ページの中では自助となっていますけれども、やはり公共サービスであると、共助であり公助という認識、こういうコンセンサスも日本全体で共通認識をとっていくことが必要だと考えてございます。現在バラバラに補助金等がそれぞれの交通関係の会社にも拠出されるのと同様にこれからの移動サービスを支える商社機能が少なくても共助、公助と認識する時代が来ているのではないかということです。

2つ目にこれは少し後々の議論になるとは思うのですけれども、7ページの自動運転の協調制御、路車協調がどのぐらい日本の中で必要とされているのか、また、それが必要なコンピューターリソースの共有、これらもこの商社機能がオペレーションをするかどうかは別として、6ページで記載されている交通施策を考えるところも商社機能が担う必要があるのではないかと考えております。

2027年に、先ほど石田構成員からもありましたけれども、100箇所の自動運転を展開するという目標があります。全国の自治体シャトルサービスが L2と L4混在ではなくて、L4を目指していかないと運転手不足、少なくとも現行かかっているコストより低くならないということはもう分かっております。L4のために路車協調が必要となり、これが各自治体の中でどれぐらいの路線でどのぐらいあるのか、そのためのコンピューターをどう考えていかなければいけないのか、これに商社機能を含めていけば政府目標、地方の課題解決実現に寄与するのではないかと考えております。以上でございます。長くなりました。

麻山参事官: ありがとうございます。交通商社機能に対する自助・共助・公助という観点からお話いただきました。事務局資料の7ページでお示しさせていただいたいた通り、交通商社に関する共助のあり方ということも考えていますので、テーマ設定の中で、そうした議論も進むようにしていきたいと思います、ありがとうございました。久保田次長、お願いいたします。

久保田次長(国土交通省 物流・自動車局 次長): 先ほどご質問いただきましたことについて、自動運転以外の物流の状況も含めて簡単にご説明させていただければと思います。おっしゃるように物流にもいろいろ問題ありまして、自動運転以外にも、今年の通常国会で法案をださせていただきました。いかに効率的に、かつこれからドライバー減っていく中で物を運ぶのかということで混載、いろんな事業者の荷物を一緒に運ぶでありますとか、あるいはそれ以外の対策も含めて効率的に運ぶという目的の中に1つの解として自動運転が位置づけられているということです。新東名等を使って以前は隊列走行という形で、自動運転2台目3台目とかが自動で走るという隊列走行の実証しておりましたが、2台目3台目が仮に前に追従をするだけだとしても不測の事態に備えると、レベル4相当の実力がないと隊列走行もできないため、トラックもレベル4相当にしないとなかなか省人化ができないです。そのため自動運転以外の省人化の対策、先ほど申し上げた積載率の向上とか、そういうものと合わせて自動運転の実証実験、高速道路等を使って省内の道路局であるとか、あるいは経産省と協力しながら今進めていくという状況はございます。以上でございます。

麻山参事官: ありがとうございます。物流の状況につきましては、次回、国土交通省からご説明いただくこととしておりますが、今のご説明に関しまして、石田構成員、何かございますでしょうか。

石田構成員: 大丈夫です。また、次回の議論を楽しみにしておりますので、よろしくお願い致します。

麻山参事官: ありがとうございます。では、須田構成員お願いいたします。

須田構成員: 今回、ロードマップの取り扱うテーマ例ということで、いくつか挙げられていて、事前にもいろいろお話を伺ったのですけど、自動運転の関係で3点ほど、コメントさせていただければと思います。

1つは自動運転でレベル4が重要である、これ私も非常に認識していて、世界的な競争から見てもレベル4をどんどんやっていくのは必要なのですけど、一方ですべてのところでレベル4できるというわけでもないこともわかってきています。また人手不足の観点ではなくて、交通安全から行くと、むしろレベル2をバスにしてもトラックにしてもあるいは乗用車にしてももっと普及させていくストーリーも結構あるのではないかと思っています。レベル4はもちろんやるのだけれど、レベル4に限らず自動運転をどう活用していくか、そういう議論があってもいいのではないかなと思います。

それと、サービスカーのイメージになるのですけども、すでに物流の話が出ましたけれど、事業用車、除雪車だとかゴミ収集車とか、あるいはカーシェアでも無人回送とかオートバレーとか、そういう必ずしも人間が乗らないけれども無人で回送するとか、そういうところの方が比較的やりやすいのではないかという感じもあります。なので、このような新しい視点も議論していただくのもいいのではないかなと思いました。

最後に、協調制御、路車協調ですけれど、私は非常に注目していて、ぜひこれを検討するべきだと思っています。路車協調がどういうところで活用できて、どう自律と協調を按分するのかとか、そこら辺のフレームワークが必ずしも皆様認識が一致しないのではないかと思います。フレームワークについては、誰が責任を取るのかとか、誰がコスト負担するかとか、そういうものを含めて、必ずしも日本の中で完全なコンセンスが得られていないように思います。その辺りを検討するっていうのはどんなものでしょうかと思っているところでございます。以上3点でございます。

麻山参事官: ありがとうございます。自動運転のレベルにつきましては、石田構成員からもご意見いただいておりますので、どういうテーマを設定するか事務局の方で検討させていただきたいと思います。また、物流につきましては、次回、国土交通省からのご報告を踏まえて、重点的に検討すべきテーマにするかどうかも含めて、検討してまいりたいと思います。

最後に、路車協調ですが、道路局の橋本審議官、コメントを、お願いいたします。

橋本審議官(国土交通省 大臣官房審議官(道路局担当)): ありがとうございます。路車協調システムですけれども、一般道と高速両方とも進めなければということで、一般道の方では、例えば交差点等でセンサー等で検知をして、自動運転車に対して、情報を出させていただいていて、それが交通安全に資するのだろうということで実現は進めております。高速道路の方は先ほど自動車局の次長からありましたけれど、新東名で今年度に実証実験を行いますので合流等について、具体的にどんな課題があるかという検証は進められるのかなと思っております。当然安全を高める、あるいは確実性を高めるということで実証実験の結果を共有しながら、どこでニーズがあるかとマッチングを考えていければと思っております。以上です。

麻山参事官: ありがとうございます。須田構成員、いかがでしょうか。

須田構成員: いろいろ試されて検討されていることは私もよく存じていますのでぜひコストの負担とか、責任とかそこらへんにも踏み込んで本当に社会実装した時のイメージが描けるような形で進めていただければなと思っております。よろしくお願いします。

麻山参事官: ありがとうございます。他にご意見はございますか。髙本参事官お願いいたします。

髙本参事官: ありがとうございます。先生の皆様のお話を聞いていて私も自動運転の担当として、いろいろと思うところありまして、非常に感慨深く聞いておりました。自動運転を 50 カ所、100カ所と、それぞれのその目標に向けてという中では、今年は特に今先生方のお話の中の共通項としてオーバースペックの部分、必ずしも皆々がレベル4でがんがん走るような世の中が必ずしも正解ではない、100点ではないと理解いたしました。

我々はもちろんこれまで突き進んでいる中では、まずはL4をというところはあろうかと思うのです。けれどもやはり進んでいく中での課題論点も含めまして、今年は特に重点化と言いますか、本当に先進的なものをやっているような地域においては先進的なものを、一方でこれまでの既存の建て付けの中でやっていくべきところは、既存の建て付けでやっていくべきところで、しっかりとある程度の強弱をつけながら必要な地域に必要なものをそれぞれお届けする、そういった自動運転のあり方につきましても、来年度以降しっかりとこのロードマップの道筋に沿って進めていければと考えた次第でございます。ありがとうございます。

麻山参事官: ありがとうございます。続きまして、日高構成員、お願いします。

日高構成員: 今小豆島四国に来ておりまして、通信が悪いかもしれないので、テキストにも入れました。もし聞こえなくなったら代読いただければと思います。

今回、デジタル庁の交通商社もそうですし、若菜構成員からのお話も含めて、我々もMaaSという言葉でやっていたものを、より具体的にイメージしていただいていますし、そこに対して我々も私もしっかり貢献できればと思っております。

4点記載しました。今も四国でバス事業者様ですとか、地域のお話等具体的にお伺いし、一昨日までは北海道の方で交通事業者さんのお話聞いている中で、やはり労働環境が非常に厳しい。とはいえ、運賃を値上げするということになると、その地域から反対も起きてしまう。この問題はほかでも議論されていると思うのですけども、特に若菜構成員の発表からもあった通り、運賃の下限、タクシーだと下限、鉄道だと上限があって、これまでずっと需要が増えて、供給を増やしていけばよかった時代から、需要が減ってきて少ない需要の中でやらなきゃいけない中で、事業性の担保と利用者の保護の考え方については、どう考えても再整理しないといけない。それを特例的にやるのか、企画乗車券のような形で現行のままでどうにかするのかはあると思います。ただ、これからも日本のいろんなことが変わってくると思うので、特にお金がどうなってくるかは再整理できたらなと思っております。

2点目。それに応じて地域が頑張って維持するのはあると思うのですけれども、労働環境が厳しいとドライバーの方もどんどん転職してしまってやっていけないということで今タクシーの経営者の方々は大変困ってらっしゃる。ある程度他の職業と同等の労働環境、賃金もそうですし、場所とか働きやすさ等含めて担保しながら、地域のモビリティ、交通商社の事業は持続可能にする必要があると思います。今回事務局も入られていると聞いておりますので、資源のシミュレーションはしっかり実施できたらなと思っています。

3点目、人の少ない地域でどうにか事業ができればという話もあれば、石田構成員からもありました通り、デジタルとかいろんなサービス競争、イノベーションがその中で起きることも考えられるのだろうなと思っております。そのため、ぜひオープンAPIの実現について、一回配車アプリや、デマンド事業者さんを入れたら、そこでロックインされてしまうと、切り替えようとしても、切り替え方もわからないし、また初期設定費がかかると言われて、古くてあまりマッチしないものを使い続けなきゃいけないということが起きないようにしていただきたいと思います。特に交通空白地帯の解消の中で多く導入されるのであれば、ぜひこの観点はデジタル庁もほかのフィンテックとか、いろんなところでご経験あると思うので、交通の中でもぜひ良い形になるようにオープンAPIの検討を進めていただければと思います。

最後4点目、交通商社を地域に入れた時に、地域の中で反対も起きるかもしれません。データの共有はできませんよとか、配車連携はしませんよというケースがあると、結局絵には描いたけど実現しないことになってしまいますので、ぜひ何か権限を具体的に付与できるような仕組みができると良いだろうなと思っております。

反面、地域の中では交通事業者さん同士でずっと競争関係にあって、なかなか手を組むのが難しい地域もあると思います。そうなった時に交通商社を担う人と特定の交通事業者さんが組んで他を恣意的に排除しようとするケースもあると思うので、どうルールメイキングするかもどこかで議論できると良いだろうなと思っております。私から以上でございます。発言の機会をいただきありがとうございました。

麻山参事官: ありがとうございます。頂いたご意見のうち、2番目から4番目につきましては、交通商社の中身の話かと思いますので、これからその内容を検討する際に、どういった形で進めるかについて参考にさせて頂きたいと思います。1番目のご意見につきましては、国土交通省とも関連があると思いますので、国交省からコメントをお願いいたします。

土田課長(国土交通省 モビリティサービス推進課長): 運賃につきましては、各事業法制で決まっているところでございますので、それぞれのモードにおいて判断がなされるものと思っております。例えば、公共ライドシェアで申しますと、ダイナミックプライシングということで一定程度の上限と下限を設けた上で、その範囲内であれば、需給に応じて運賃を決めていただいても良いということをさせていただいております。

麻山参事官: 続きまして、齊藤構成員、お願いいたします。

齊藤構成員: 皆様の言っていることにほぼ同意しています。1つ、デジタルアーキテクチャーの観点で言うと、今回の交通商社機能、自助・公助・共助の話がありますが、アーキテクチャーを決めて、ある部分というのは、自治体をまたがって共通的に持ちながら、いわゆる限界コストゼロ社会ではないですが、共通基盤として作り上げていくことで、逆にデジタルの運用コストを下げるような話が一つ入ってきたら良いと思います。

もう1つ、先ほどの若菜構成員の話で、AIでのマッチングが、今の人の作業、いわゆるアナログ的なところに合わないので、なかなか使えないという話がありました。けれども、今のデジタルサービスは、例えばアルゴリズムを変えながら、AIで学習しながら自動化していくのです。そのようなところをサービサーの競争領域としてやっても良いと思います。先ほどオープンAPIの話がありましたが、やはりあるプラットフォームというのは公的に共通的に自治体をまたいで持ちながら、その上のアプリケーションが相互運用性を確保した形で活動できる形にしていけば、人口の少なくなっている中山間地域は同じような課題を持っているはずなので、自動運転の共通的なサービスになっていくのではないかと思います。そうするとサービサーとしては数が出る形で回収ができるようなモデルになります。物量を稼ぐために日本全国津々浦々利用できる交通商社機能をどういうアーキテクチャーで、どういうプラットフォームの上で公助・共助・自助の世界を作っていくかというのは考えても良いと思います。

もう1つ、需給のマッチングについて、データをどう扱うかという話があります。デジタル庁でマイナンバーもやられているので、ぜひトラストの議論とデータの持ち方を交通商社機能の中で合わせて考えていただきたいです。そうするといろんなサービサーが出てきた時に地域ごとにどう対応するのか、全体でどう対応するのか、サービサーでどう対応してもらうのかという話が整理できます。アーキテクチャーの中のトラスト議論とデータ・マネジメントのやり方が交通商社機能の中で、具体的にイメージしながら議論していただけたら良いと思いました。

麻山参事官: ありがとうございます。データの扱い方につきまして、いろいろご意見をいただきました。重要なご指摘だと思いますので、今後議論を深めていきたいと思います。ご指摘の中で、若菜構成員のお名前が挙がっておりましたので、若菜構成員、ご意見をお願いします。

若菜構成員: ありがとうございます。この交通商社と自動運転にはすごく期待をしています。ただ、この交通商社に期待することの一つとして、少しずれてしまうかもしれないけれども、現場でこれを進める際に一番重要だと思っているのは、働く環境としての良さ、やりがいなどの労働環境を他の業界並みにしていくことだと思っています。

そして、経営の感覚で今すごく戸惑っているのが、市町村行政、バス事業者、タクシー事業者、地域マネジメントをしているRMOで働き方のイメージが全然違う中で、一緒にやらなければいけない点にあります。共通基盤を作っていきたいのですが、みんながイメージしている働き方やサービスの提供の仕方が違うと、うまく使えないのではないかと思っています。商社という名前が新しいものである以上、経営の提案もぜひ入れていかないと、定着が難しいと感じています。物流や旅客を含む移動を伴うものすべて扱えるアーキテクチャーになってほしいです。そのためには働き方のイメージがバラバラだと使えないので、その辺りも考慮した提案になると良いと思いました。大変期待しておりますので、よろしくお願いします。

麻山参事官: ありがとうございます。共通基盤の定着は難しいというようなお話をいただきましたが、どこまでできるか含めて検討していきたいと思います。他にご意見はございますか。村松構成員、お願いいたします。

村松構成員: 齊藤構成員と若菜構成員の話に重なる部分があって恐縮ですが、今言っていただいた中で、デジタル部分だけではなくビジネスモデルについてもアーキテクチャーを描くことが重要だと考えています。それについて、短期的にはスモールプレイヤーで進める方が大事なのかなと理解しておりまして、若菜構成員からもありましたが、いろんな方々を巻き込んでしまうと、どうしても調整コストがかかってしまいます。まずは例えば2社だけでやってみようと、その二社で成功体験を実際にしてみようと、その2社が3社になって4社になって、小さなものを広げていくアプローチが大事だと思っています。

もう1点、一方でスモールスタートのボトムアップで進めていくと、巻き込みに限界があるので、ボトムアップで進めるのと並行して、もともと資料にあった通り、大きなビジョンを描いた上で、いろんなステークホルダーを巻き込んでいく、自治体や交通モビリティ事業者だけではなく、SIer、地域に根差したスーパーマーケット、コンビニなどを含めビジネスを拡大していくビジョンを描くと、スモールスタートとビッグビジョンの双方向からの相互作用を活かしながら本取り組みを進めていけるのではないかと考えています。実際に私が担当しているロボットの領域においても、最初から大きくやってしまうと、イニシャルコストもランニングコストもかかってしまうので、始めるためのハードルが高くなってしまいます。しかし、今あるインフラでできるロボットを使ってユースケースを積み重ねていくと、小さな成功体験で広がってロボットの利用が進んでいくというのが実体験としてありますので、そういったところが重要だと理解しています。私からは以上です。

麻山参事官: ありがとうございます。どこかで優先順位をつけて検討する必要があるというご意見だと思いますので、今後どこを中心的に議論していくかも含めて検討していきたいと思います。他にはございますか。石田構成員、お願いいたします。

石田構成員: 日高構成員以来の議論のキーワードでもありましたが、先週ヨーロッパやアメリカの人たちと議論する機会があり、彼らが多用していた言葉がデジタルインフラ。デジタルインフラとは何なのだろうか、ということで、まさにその議論だと思っています。デジタルインフラを誰が持って、誰が運用して、誰がプロトタイプを共有、提供するのかということは極めて大事だと思いますし、スタート時の補助のあり方も大事だと思います。ただ、今までのところでも明らかなように、マーケット、人口の規模感によって話が異なってくると思います。例えば人口5千人の街と人口50万人の町では大きく違うので、その辺の整理をどうしていくのかは難しいけれど、きちんとやらないといけないと思いますので、よろしくお願いいたします。

麻山参事官: ありがとうございます。鈴木構成員、お願いいたします。

鈴木構成員: ドローンの世界の話なので、こちらの話とそぐわないところがあるかもしれません。ドローンはいろいろな産業で事業化が進んでおり、いろんな使われ方をしています。サービスという視点で、事業者のための品質を標準化するため、JISQ9000、ISO9000をドローンサービスに特化させたものとして、ドローンサービス品質JISを今年の8月に発行しました。これは福島のロボットテストフィールドが中心になって作ったものです。いろんな事業者がこれをベースにして事業を進めることができます。事業者として何を必要なものとして揃えていくべきか、ドキュメント、機材、ヒューマンリソース、運行する際の注意点など、一連の手順を標準化することで、多くの方が使えるようになっています。モビリティの世界でどのように使えるか検討が必要であるものの、標準化ができていれば事業展開しやすいのではないかと思います。

また、インフラを国の支援で使えるようにしていくことは、新しい事業を起こす際に利用できるものが揃っていることとなり、事業者にとって非常に有益です。ドローンに関しても、デジタルライフライン全国総合整備計画の中で、ドローン航路という標準的なものを国として整備し、モデルを作ってみんなで使っていく取り組みがあります。送電線を使った配送や河川を使ったドローン配送のための運行システムを整備して、それをみんなで使っていくような取り組みが始まっています。これはハードとソフトのインフラを整備してみんなで使えるようにするもので、モビリティも似たところがあると思います。

それから人が移動するだけではなく、過疎地等で高齢者の買い物難民が出ている中で、ドローンによる配送の実用化が始まりつつあります。道路を走るモビリティだけに頼らず、空も使ったモビリティも含むマルチモーダルな配送システムの検討もぜひ入れていただければと思います。長くなりましたが、以上です。

麻山参事官: ありがとうございます。まだご発言されてない波多野構成員、田中様、ご意見をお願いしたいと思います。

波多野構成員: 自工会からは今日の論点に対して、特に交通商社機能に関しては、事業軸ということもありますので、工業団体としては特段のコメントはないです。

個人の見解としては、この交通商社機能は自動運転に限らず様々なモビリティを提供側のデータとして結合し、様々な需要に対してマッチングしていくものと大きく捉えると、非常に有機的で有効な手段だと思いますので、皆様と一緒にこのテーマを練り込んでいければと思っています。特に移動ニーズのマッチングになりますと、供給側は縦割りや管轄割りにより交通商社機能の実現が制約されると予想されます。そのためこれらの制約を解消する事により地方都市に限らず都市部も含め全体としての事業性向上に繋がってゆくと思いますので、そういった点も視野に入れながら議論を継続していただければと思います。以上です。

麻山参事官: ありがとうございます。田中様、いかがでしょうか。

岡本構成員(代理:田中様): 岡本の代理として、事前に岡本とも共有している意見を2つご紹介させていただきます。

まず、送電線に関して、電力アセットをデジタル社会に活用していただくことについてです。例えば、路車間通信時に電柱の8メートルぐらいの高さに路車間通信のセンサーを置いていただくことも、デジタルライフライン全国総合整備計画の中で標準化や機器の取り付けなどを検討していただいています。センサーを共助とした場合、責任分界点をどうするか、センサーが外れた時やデータ通信ミスがあった時にどうするかなど、これから出てくる問題について、デジタルライフライン全国総合整備計画と連携がうまくできれば良いと社内で議論しているところです。

もう一つの新しいトピックとして、中山間地域があります。中山間地域には再エネが多くあり、エネルギーが豊富なエリアと思われている方が多いです。しかし、今後中山間地域の再エネ電源の近傍にデータセンターが設置されると、一見人がいなくても電力需要が大きくなるエリアが生じる場合もあります。そういった電力需給が逼迫しているエリアで、せっかく人がいなくてもできる自動運転などの行政サービスを提供しても、十分なサービスが受けられないということがないようにしていかなければならないと思います。経済性、地域貢献、カーボンニュートラルに加えて、エネルギーのデマンドレスポンスの観点からも行動変容を促すようにうまくエネルギーデータも活用いただきながらデジタルな社会に貢献したいと考えています。以上、コメントでございました。ありがとうございます。

麻山参事官: 森主査から、何かコメントがありましたらお願いいたします。

森主査: 先ほどの交通商社の議論で、需要と供給サイドの要素は書かれている通りですが、それぞれ地域や人によって、自宅から出て目的地が学校、病院、会社、そして別の目的地に寄って戻ってくるなど、ルートが異なることは容易に想像できます。子育てや教育、医療や健康など様々な場所にアクセスするわけですが、結節点の議論がしっかりされていないといけない。1つの移動チェーンが築かれて初めて移動になる。ハブで一点集中というわけではなく、様々な手段が組み合わさった形でトリップのチェーンができ上がると思いますので、結節点の議論も大きな課題だと思いました。

また、すでに出てきている話ではありますが、自治体をまたがるようなサービスも生まれてきます。公助・共助の話をすればするほど、税で手当をする場合、被っているエリアが自治体をまたいでいると、それはどういう形の負担のあり方を考えるべきかという議論が出てきます。そのため、縦横の連携の仕方は重要になってくると思います。これからの議論を進めていく上で、悩ましい一つの切り口だと感じていました。以上です。ありがとうございます。

麻山参事官: デジタル関係のご意見が多数出ましたので、最後にデジタル庁の統括官からお願いいたします。

村上統括官: 今日は活発なご議論をいただき、ありがとうございます。次回の議論に向けて、自分から改めて3つの切り口で整理をした上で、今後またいろいろご意見いただければと思います。

1番目は自動走行についてです。公開の場ですので個社名の言及は避けますが、どうやら都市部では2、3年以内に自動走行車両をフルに活用したタクシーやそれに準じる事業の実証、場合によっては事業化も出てくる見込みになってまいりました。去年のロードマップで整理した責任関係、社会的責任関係のルールを、国交省で進めていただいていることは承知していますが、この1年2年の単位を合わせて事業者の動きに整合するように対策を実現していく必要があると思います。気を引き締めてフォローアップさせていただき、実現させていなかければならないのではないかと思います。

2番目は交通商社についてです。自動走行車両ベースの事業が見えてくると、人口密度の薄いところは事業化がしてもらえないということが明らかになると思います。相当の顧客密度がある地域でないと事業化しないとなりうるけれども、むしろそういった地域でこそ自動運転の技術を使ってほしいと思います。しかし、少なくとも機能として交通商社機能をしっかり議論しなければ、需要密度や顧客密度が薄い地域では自動走行を活用した様々な運送事業が技術的なフィージビリティはあっても、事業的なフィージビリティはないということになってしまうのではないか。そういう意味でも、この3年間の間に並行していろんなことを実現していく必要があります。今の段階では交通商社には事業としての実体はなく、あくまでコンセプトとして持ち出しております。今後、交通商社機能を自治体が担うのか、民間事業者が担うものなのか、ビジネスモデルを含めて議論していきたいと思います。さらに、自治体をまたぐのか、そもそも交通の需要と供給を繋ぐ時点で教育、社会福祉、交通政策など、自治体内部の縦割りもこえて動かなければ、交通商社が自治体の内外にあるに関わらず、機能しなくなると思います。そういう意味で交通商社の議論は、自治体の地方行政のガバナンスの問題にも半分入っていくと覚悟しています。自動走行の1点目につきましては、昨年のロードマップで多くの施策メニューのアイデアをまとめさせていただいております。交通商社も当面は、地方創生の交付金の中で、地域商社のような取り組みを需給一体として進める地域に対して、手厚く支援をすることを考えています。まずはそういったところが一つの出口かと思いますが、あわせてロジックツリーづくりを通じて、地方行政の中でも需要と供給の担当部署が協力して、政策の論理関係を整理しながらインパクトを測るような基盤を整えていくようなツールも導入していきたいと思います。

3番目がデジタル公共財についてです。デジタル公共財は、国連が提起している議論です。実は、特にソフトやシステムに関しては、利用者が増えれば単にコピーするだけで済むため、純粋な排他性が証明できないため公共経済学上は純粋な公共財ではないかもしれないです。ただ、例えば、国土交通省にご高配いただいたアナログライドシェアが話題になった際、配車予約管理システムを1自治体がベンダーに直接依頼すると、3,000万円の費用がかかり、高すぎて無理であるものの、本当は10個の自治体が同時に使うことがアレンジできれば1自治体当たり300万円となり、実現できるという例が考えられます。しかし、実際にはそのようなアレンジを誰もできないため、モノがあって、3,000万円の案件であれば対象の自治体は1個でも10個でもよいと考えるベンダーがいたとしても、動かないマーケットになってしまいます。路車協調のインフラもある種のデジタル公共財として議論すべきかもしれません。協調領域にある技術をどうマーケットにひっぱりだすかという補助線のようなものが必要です。機能としての需給の一致だけではなく、合理的なデジタル公共財の調達の方法を見出していかなければならないと考えております。現在議論中の交付金の中でデジタル公共財と目され、共同調達を前提とするものについては補助率を上げられないかという議論が開始しています。デジタル公共財を誰が持つか、どう運用するかという議論と交通商社機能の議論は重なる部分が多いと想定しています。

大雑把にレビューいたしますと、進む自動走行の事業に対して昨年議論した内容を実現させたいと考えており、取り残される恐れの多い人口密度や需要密度の低い地域に対して、交通商社機能という概念をしっかりと取りまとめに向けて深めていけないかと思います。デジタル公共財としてピックアップすべき技術とその調達、普及のせしめ方ついても、今年度の新たな論点として議論をしていきたいと考えています。それ以外の今日の議論での指摘も振り返りながら、次回のアジェンダを整理していきますので、引き続き活発なご意見をいただけますようお願い申し上げます。私からは以上です。

麻山参事官: ありがとうございます。予定の時間になりましたので、本ワーキンググループの閉会にあたり、森主査より、全体を通じて、ワーキンググループの総括をお願いします。

森主査: 今日は長時間にわたり、活発な議論をありがとうございました。本年度から加わっていただいた若菜構成員におかれましても、地域交通の維持に関する具体的な取り組みについてのお話をいただき、非常に参考になったと思います。ありがとうございました。今回のワーキンググループはキックオフですので、ロードマップ2025の論点と策定に向けての進め方に関して、いろいろなご意見や検討を深めるべき点のご意見をいただいたと認識しています。それを含めて、事務方としてもさらに議論を整理させていただければと思います。

特に、新たなモビリティサービスを普及させるための交通商社機能というものが出てまいりまして、こういったものは重要だという声が多かったと認識しています。各府省におかれましては、この機能の構築に向けて、それぞれの役割の中で連携をしていただきながら、例えばどういう施策を進めれば新しいモビリティサービスの社会実装につながるかというところを考えていただければ幸いです。

次回のワーキンググループでは、交通空白の解消に対する現在の取り組みと物流をめぐる課題については、これから議論を進めていく共通課題ですので、共通認識をもっていただくためにも次回のワーキンググループで国土交通省からご説明をお願いしたいと思います。事務局におかれましては、本日いただいたご意見を踏まえて、次回のワーキンググループに向けて、ロードマップの論点及び重点的に議論すべきテーマを整理いただきたいと思います。

非常に広範囲にわたる課題であり、様々なレベルの自動運転を実装する際の様々なサービス場面が出てくると思いますので、それも含めて議論を進めていただければと思います。また、進め方に関しても、スモールスタートで行くのか、大きなアーキテクチャーを描いてからやっていくのか、あるいは両方から進めていくのかというロードマップ的な議論もあったので、そこもさらに今後の議論として深めていただければと思います。

いずれにしましても、モビリティ・ロードマップ2025を取りまとめていくためには、皆様の一層の尽力と協力をいただければということをお願いいたしまして、私からのお礼とごあいさつといたします。

麻山参事官: ありがとうございます。時間が短くご発言できなかった等、追加のご意見がございましたら、来週末までに事務局までいただければ幸いです。本会議資料については、後日デジタル庁のホームページで公表させていただきます。また、議事録は有識者の皆様に内容をご確認いただいた後、同じくデジタル庁のホームページで公表いたします。次のワーキンググループは、すでにご連絡させて頂きました通り、12月23日に開催します。本日の議論はこれで終了させていただきます。どうもありがとうございました。

以上

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